九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
Expression of brain-derived neurotrophic factor and its receptor TrkB is associated with poor prognosis and a malignant phenotype in small cell lung cancer
木村, 信一
http://hdl.handle.net/2324/2236059
出版情報:九州大学, 2018, 博士(医学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
(別紙様式2)
氏 名 木村 信一
論 文 名 Expression of brain-derived neurotrophic factor and its receptor TrkB is associated with poor prognosis and a malignant phenotype in small cell lung cancer 論文調査委員 主 査 九州大学 教授 小田 義直
副 査 九州大学 教授 田口 智章 副 査 九州大学 教授 森 正樹
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
The tropomyosin receptor kinase (Trk) ファミリーは、TrkA、TrkB および TrkC からなる受容体チロシンキナーゼであり、それぞれ NTRKI、NTRK2、および NTRK3遺伝子によってコードされ、神経栄養因子の受容体として働く。Trk
ファミリーは様々な腫瘍の進展、増悪 に関与していることが報告されている。
これまでTrkBおよびそのリガンドである Brain-derived neurotrophic factor (BDNF) が非小細胞肺癌で発現していることが報告されているが、神経内分泌癌であ る小細胞肺癌における BDNF-TrkB 経路の役割 は不明である。今回申請者らは 58人 のSCLC 患者および20人の非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者の腫瘍標本におけるBDNFおよ びTrkB 発現を免疫組織化学染色 (IHC)により評価し、in vitroにおいてSCLCと NSCLC細胞株を用いてBDNF-TrkB経路の役割を調べた。その結果、IHCではTrkBとBDNF はNSCLCに比べてSCLCの腫瘍組織において発現が高い傾向にあり、TrkBとBDNFの高発 現群は低発現群に比べて有意に予後不良であった。In vitro においても、TrkB
mRNAはSCLC細胞株の方がNSCLC 細胞株に比べて発現が高い傾向にあった。また、
BDNF はTrkB過剰発現SCLC細胞のAKTおよびERKシグナル伝達経路を活性化し、細胞の 遊走移動能を促進した。さらにこれらの効果はTrk阻害剤GNF-5837によって抑制され た。これらの結果からBDNF-TrkB 経路がSCLCの治療標的となる可能性が示唆さ れた。
以上の結果はこの方面の研究に知見を加えた意義あるものと考えられる。本論文に ついての試験はまず論文の研究目的、方法、実験成績などについて説明を求め、各 調査委員より専門的な観点から論文内容及びこれに関連した事項について種々の質 問を行ったがいずれについても適切な回答を得た。
なお本論文は共著者12名であるが、予備調査の結果、本人が主導的役割を果たしている ことを確認した。
よって調査委員会合議の結果、試験は合格と決定した。