陸上競技種目によるD大学生の運動能力推移に関す る考察
著者 田附 俊一
雑誌名 同志社保健体育
号 44
ページ 45‑58
発行年 2006‑03‑01
権利 同志社大学保健体育研究室
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000007732
陸上競技種目によるD大学生の 運動能力推移に関する考察
田 附 俊 一
《
ABSTRACT
》The Transition and Evaluation of Physical Fitness of Students at D. University which were measured with Track & Field events
Evaluation, Physical Fitness, University students, Track & Field events, Weakend throwing ability
Physical Fitness of children and students has weakened according to survey of
Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology. Track & Field, and
Fitness Training as Subject were offered in D. Univer-
sity. In this study physical fitness of students at D. University were e-
valuated by data which were measured from 1991 in the classes of the two subjects
(Athletics and Fitness
). It is suggested that the throwing ability of students weakene
d at D. University, and the weakened throwing abili-
ty in childhood did not improve ever after. I will study following theme
hereafter. 1) The background of weakened throwing ability. 2) Throwing movement
and humanity. 3
)The significance of physical education in University.
Ⅰ. は じ め に
毎年
10
月に文部科学省から発表される我が国の体力や運動能力に関する報告 によると, 青少年の体力は, 過去のそれらと比べて低下傾向にあることが指摘 されている1)。D大学では,
1991年よりアスレチックスの名称で陸上競技種目を教材とした
授業が,2000
年よりフィットネスの名称で軽トレーニングの授業が展開されて いる。 アスレチックスでは, 走・跳・投の複数種目を実施して様々なからだの 操り方を経験することなどを目的に, 各種目の技術練習の後, 記録測定を行っ てきた。 フィットネスでは, 軽トレーニングと体力や運動能力の把握を目的に, 体力測定や評価を実施してきた。陸上競技種目は, 走・跳・投という基礎的運動であり, その記録は体力や運 動能力の評価の指標として用いられてきた。
そこで, 本研究では, 上記2つの授業種目において, 過去の受講生の陸上競 技種目の記録から, D大学生の体力の推移について検討した。
Ⅱ. 方
法D大学開講授業の科目名, アスレチックスとフィットネスで, 授業中に実施 した測定記録を検討した。 記録測定は, 各種目概ね2回前後の授業で技術練習 を行ったの後, 実施した。
アスレチックスでは,
30
走,50
走,100
走, 牽引ののち100
走,200
走,400
走 (男子のみ),800
走 (女子のみ),1500
走 (男子のみ),50
ハードル走,100
ハードル走 (女子のみ),110
ハードル走 (男子のみ),2000
競歩,5000
競歩, 走り高跳び, 走り幅跳び, 三段跳び, 棒高跳び, 砲 丸投げ (砲丸2㎏), 砲丸投げ (砲丸4㎏), 砲丸投げ (砲丸5.45
㎏), 砲丸投 げ (砲丸7.26㎏), 円盤投げ (円盤1.0㎏), 円盤投げ (円盤1.5㎏), 円盤投げ (円盤2.0
㎏), ターボ・ジャブ投げ, やり投げ (やり400
), やり投げ (やり600
), やり投げ (やり800), トレーニング・ボール投げ (トレーニング・ボール
300
), ロープ付きメディシン・ボールを利用したハンマー投げ (メディ シン・ボール男子1.5㎏, 女子1.0㎏) を実施した。 アスレチックスで実施する これらの種目は, 学期当初に受講生から実施希望種目のアンケートをとり, そ の数の多いものから実施するため, 毎年同じ種目を実施したわけではない。フィットネスでは, 陸上競技種目のうち
100
走, 走り幅跳びを実施した。このようにアスレチックスとフィットネスで, 各種目の測定が毎年行われた のではないので, これらの種目のうち, 3年以上にわたって
10
名以上の測定を 実施した種目を対象にそのデータを分析した。 なお, 学校の部活動などの陸上 競技経験者は分析の対象から除いた。 その結果, 分析対象となった種目は, 男 子で100走, 走り幅跳び, 走り高跳び, 棒高跳び, 円盤投げ (円盤1.0㎏), ターボ・ジャブ投げ, やり投げ (やり600
) であった。 女子は,100
走, 走 り幅跳び, 棒高跳び, ターボ・ジャブ投げ, やり投げ (やり600) が分析対 象となった。これらの種目にについて
SPSS
を用いて, 種目ごとに, 各年度の平均値の差 について分散分析を行った。なお, D大学は総合大学であるが, 体育・スポーツ系の学部はない。
2005年
現在, 学部学生は22,433
人 (男14,103
人, 女8,330
人) で, このうち約60
%が体 育実技系の授業を受講していた。Ⅲ.
結 果男子で, 分析対象となった
100
走, 走り幅跳び, 走り高跳び, 棒高跳び, 円盤投げ (円盤1.0㎏), ターボ・ジャブ投げ, やり投げ (やり600) のうち, 1%水準で有意な差が見られたのは, 走り幅跳びとやり投げ (やり600
) で あった。 走り幅跳びはF(5,127)= 7.96, p <. 01, やり投げ (やり600
) はF
(7,304
)=6.61
,p <. 01
であった。男子走り幅跳びの年度別データは表1に示したとおりである。
男子走り幅跳びの年度別平均値の多重比較は表2に示したとおりである。
表1. 男子走り幅跳びのデータ
年度 測定者数 平均値 標準偏差 標準誤差 平均値の95%信頼区間 最小値 最大値 (年) (人) () () () 下限 () 上限 () () ()
1991 22 4.80 0.42 0.09 4.61 4.99 4.10 5.60
1993 13 4.61 0.40 0.11 4.37 4.85 4.01 5.40
1994 29 5.01 0.48 0.09 4.82 5.19 4.25 6.10
1995 19 5.12 0.36 0.08 4.94 5.29 4.55 5.75
2000 21 4.47 0.47 0.10 4.25 4.68 3.70 5.45
2004 29 4.53 0.47 0.09 4.36 4.71 3.55 5.50
表2. 男子走り幅跳びの年度別平均値の多重比較 (
1991
年から2004
年)(I) 年度 (J) 年度 平均値の差 (I−J) 標準誤差 有意確率 95%信頼区間
(年) (年) () () 下限 上限
1991
1993 0.19 0.15 0.82 −0.26 0.64 1994 −0.21 0.12 0.57 −0.57 0.16 1995 −0.32 0.14 0.21 −0.72 0.09 2000 0.33 0.13 0.14 −0.06 0.72 2004 0.27 0.12 0.28 −0.10 0.63
1993
1991 −0.19 0.15 0.82 −0.64 0.26 1994 −0.40 0.15 0.08 −0.82 0.03 1995 −0.51 * 0.16 0.02 −0.97 −0.05 2000 0.14 0.16 0.94 −0.31 0.59 2004 0.07 0.15 1.00 −0.35 0.50
1994
1991 0.21 0.12 0.57 −0.16 0.57 1993 0.40 0.15 0.08 −0.03 0.82 1995 −0.11 0.13 0.96 −0.49 0.27
2000 0.54 * 0.13 0.00 0.17 0.91
2004 0.47 * 0.12 0.00 0.14 0.81
1995
1991 0.32 0.14 0.21 −0.09 0.72
1993 0.51 * 0.16 0.02 0.05 0.97
1994 0.11 0.13 0.96 −0.27 0.49
2000 0.65 * 0.14 0.00 0.24 1.05
2004 0.58 * 0.13 0.00 0.20 0.96
2000
1991 −0.33 0.13 0.14 −0.72 0.06 1993 −0.14 0.16 0.94 −0.59 0.31 1994 −0.54 * 0.13 0.00 −0.91 −0.17 1995 −0.65 * 0.14 0.00 −1.05 −0.24 2004 −0.07 0.13 0.99 −0.43 0.30
2004
1991 −0.27 0.12 0.28 −0.63 0.10 1993 −0.07 0.15 1.00 −0.50 0.35 1994 −0.47 * 0.12 0.00 −0.81 −0.14 1995 −0.58 * 0.13 0.00 −0.96 −0.20 2000 0.07 0.13 0.99 −0.30 0.43
* 平均の差は.05で有意
男子走り幅跳びの平均値の年度別推移は図1に示したとおりである。
男子やり投げ (やり600
) の年度別データは表3に示したとおりである。図1. 男子走り幅跳びの年度別平均値の推移
㪋㪅㪋 㪋㪅㪌 㪋㪅㪍 㪋㪅㪎 㪋㪅㪏 㪋㪅㪐 㪌 㪌㪅㪈 㪌㪅㪉
㪈㪐㪐㪈 㪈㪐㪐㪉 㪈㪐㪐㪊 㪈㪐㪐㪋 㪈㪐㪐㪌 㪈㪐㪐㪍 㪈㪐㪐㪎 㪈㪐㪐㪏 㪈㪐㪐㪐 㪉㪇㪇㪇 㪉㪇㪇㪈 㪉㪇㪇㪉 㪉㪇㪇㪊 㪉㪇㪇㪋 ᐕᐲ䋨ᐕ䋩
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表3. 男子やり投げ (やり600
) のデータ年度 測定者数 平均値 標準偏差 標準誤差 平均値の95%信頼区間 最小値 最大値 (年) (人) () () () 下限 () 上限 () () ()
1993 16 30.50 6.97 1.74 26.79 34.21 18.50 49.73
1994 69 30.08 6.90 0.83 28.43 31.74 14.50 48.80
1995 36 28.75 7.32 1.22 26.27 31.23 14.82 45.82
1996 31 30.59 6.33 1.14 28.27 32.91 20.26 43.24
1999 43 26.46 6.53 1.00 24.45 28.47 12.52 40.52
2000 79 24.09 6.40 0.72 22.66 25.53 13.30 47.42
2001 17 24.90 8.91 2.16 20.31 29.48 11.66 43.74
2003 21 25.61 5.25 1.15 23.22 28.00 14.83 34.65
男子やり投げ (やり
600
) の年度別平均値の多重比較は表4−1, 表4−2に示したとおりである。
表4−1. 男子やり投げ (やり600
) の年度別平均値の多重比較 (1993
年から1996
年)(I) 年度 (J) 年度 平均値の差 (I−J) 標準誤差 有意確率 95%信頼区間
(年) (年) () () 下限 上限
1993
1994 0.42 1.87 1.00 −5.30 6.13 1995 1.75 2.03 0.99 −4.44 7.94 1996 −0.09 2.08 1.00 −6.43 6.25 1999 4.04 1.98 0.45 −1.99 10.08
2000 6.41 * 1.85 0.01 0.76 12.05
2001 5.61 2.35 0.25 −1.57 12.78 2003 4.89 2.24 0.36 −1.94 11.73
1994
1993 −0.42 1.87 1.00 −6.13 5.30 1995 1.34 1.39 0.98 −2.90 5.57 1996 −0.51 1.46 1.00 −4.96 3.95 1999 3.63 1.31 0.11 −0.37 7.63
2000 5.99 * 1.11 0.00 2.60 9.38
2001 5.19 1.83 0.09 −0.39 10.77 2003 4.48 1.68 0.14 −0.66 9.61
1995
1993 −1.75 2.03 0.99 −7.94 4.44 1994 −1.34 1.39 0.98 −5.57 2.90 1996 −1.84 1.65 0.95 −6.89 3.20 1999 2.29 1.52 0.80 −2.36 6.95
2000 4.66 * 1.36 0.02 0.51 8.80
2001 3.85 1.99 0.52 −2.21 9.92 2003 3.14 1.85 0.69 −2.52 8.80
1996
1993 0.09 2.08 1.00 −6.25 6.43 1994 0.51 1.46 1.00 −3.95 4.96 1995 1.84 1.65 0.95 −3.20 6.89 1999 4.14 1.59 0.16 −0.72 8.99
2000 6.50 * 1.43 0.00 2.13 10.87
2001 5.70 2.04 0.10 −0.52 11.92 2003 4.98 1.91 0.16 −0.84 10.81
* 平均の差は.05で有意
男子やり投げ (やり600
) の平均値の年度別推移は図2に示したとおりで ある。表4−2. 男子やり投げ (やり
600
) の年度別平均値の多重比較 (1999年から2003年)(I) 年度 (J) 年度 平均値の差 (I−J) 標準誤差 有意確率 95%信頼区間
(年) (年) () () 下限 上限
1999
1993 −4.04 1.98 0.45 −10.08 1.99 1994 −3.63 1.31 0.11 −7.63 0.37 1995 −2.29 1.52 0.80 −6.95 2.36 1996 −4.14 1.59 0.16 −8.99 0.72 2000 2.36 1.28 0.59 −1.54 6.27 2001 1.56 1.93 0.99 −4.34 7.46 2003 0.85 1.80 1.00 −4.64 6.33
2000
1993 −6.41 * 1.85 0.01 −12.05 −0.76 1994 −5.99 * 1.11 0.00 −9.38 −2.60 1995 −4.66 * 1.36 0.02 −8.80 −0.51 1996 −6.50 * 1.43 0.00 −10.87 −2.13 1999 −2.36 1.28 0.59 −6.27 1.54 2001 −0.80 1.80 1.00 −6.31 4.71 2003 −1.51 1.66 0.98 −6.57 3.54
2001
1993 −5.61 2.35 0.25 −12.78 1.57 1994 −5.19 1.83 0.09 −10.77 0.39 1995 −3.85 1.99 0.52 −9.92 2.21 1996 −5.70 2.04 0.10 −11.92 0.52 1999 −1.56 1.93 0.99 −7.46 4.34 2000 0.80 1.80 1.00 −4.71 6.31 2003 −0.71 2.20 1.00 −7.43 6.01
2003
1993 −4.89 2.24 0.36 −11.73 1.94 1994 −4.48 1.68 0.14 −9.61 0.66 1995 −3.14 1.85 0.69 −8.80 2.52 1996 −4.98 1.91 0.16 −10.81 0.84 1999 −0.85 1.80 1.00 −6.33 4.64 2000 1.51 1.66 0.98 −3.54 6.57 2001 0.71 2.20 1.00 −6.01 7.43
* 平均の差は.05で有意
女子では, 分析対象となった100
走, 走り幅跳び, 棒高跳び, ターボ・ジャ ブ投げ, やり投げ (やり600
) のうち, 5%水準で有意な差が見られたのは100
走, 1%水準で有意な差が見られたのはやり投げ (やり600) であった。100
走はF
(5,81
)=2.80
,p <. 05
, やり投げ (やり600
) はF
(5,123
)=10.88, p <. 01であった。
女子
100
走の年度別データは表5に示したとおりである。図2. 男子やり投げ (やり600
) の年度別平均値の推移㪉㪋 㪉㪌 㪉㪍 㪉㪎 㪉㪏 㪉㪐 㪊㪇 㪊㪈
㪈㪐㪐㪉 㪈㪐㪐㪋 㪈㪐㪐㪍 㪈㪐㪐㪏 㪉㪇㪇㪇 㪉㪇㪇㪉 㪉㪇㪇㪋
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表5. 女子
100
走のデータ年度 測定者数 平均値 標準偏差 標準誤差 平均値の95%信頼区間 最小値 最大値 (年) (人) (sec.) (sec.) (sec.) 下限 (sec.) 上限 (sec.) (sec.) (sec.)
1991 16 17.85 1.45 0.36 17.08 18.63 15.07 21.41
1994 12 16.99 1.30 0.37 16.16 17.81 14.22 18.65
1995 12 17.30 1.48 0.43 16.36 18.24 15.27 20.46
1996 12 17.29 1.26 0.36 16.49 18.09 15.44 19.62
2000 14 17.29 0.92 0.25 16.76 17.82 15.85 18.72
2001 21 18.48 1.47 0.32 17.81 19.15 16.12 21.73
女子
100
走の年度別平均値の多重比較は表6のとおりである.
表6. 女子
100
走の年度別平均値の多重比較(I) 年度 (J) 年度 平均値の差 (I−J) 標準誤差 有意確率 95%信頼区間
(年) (年) (sec.) (sec.) 下限 上限
1991
1994 0.87 0.51 0.54 −0.63 2.36 1995 0.55 0.51 0.89 −0.94 2.05 1996 0.56 0.51 0.88 −0.93 2.06 2000 0.56 0.49 0.86 −0.87 2.00 2001 −0.63 0.45 0.72 −1.92 0.67
1994
1991 −0.87 0.51 0.54 −2.36 0.63 1995 −0.32 0.55 0.99 −1.91 1.28 1996 −0.30 0.55 0.99 −1.90 1.29 2000 −0.30 0.53 0.99 −1.84 1.24 2001 −1.49 * 0.49 0.03 −2.91 −0.08
1995
1991 −0.55 0.51 0.89 −2.05 0.94 1994 0.32 0.55 0.99 −1.28 1.91 1996 0.01 0.55 1.00 −1.59 1.61 2000 0.01 0.53 1.00 −1.53 1.55 2001 −1.18 0.49 0.16 −2.59 0.24
1996
1991 −0.56 0.51 0.88 −2.06 0.93 1994 0.30 0.55 0.99 −1.29 1.90 1995 −0.01 0.55 1.00 −1.61 1.59 2000 0.00 0.53 1.00 −1.54 1.54 2001 −1.19 0.49 0.15 −2.60 0.23
2000
1991 −0.56 0.49 0.86 −2.00 0.87 1994 0.30 0.53 0.99 −1.24 1.84 1995 −0.01 0.53 1.00 −1.55 1.53 1996 0.00 0.53 1.00 −1.54 1.54 2001 −1.19 0.46 0.12 −2.54 0.16
2001
1991 0.63 0.45 0.72 −0.67 1.92
1994 1.49 * 0.49 0.03 0.08 2.91
1995 1.18 0.49 0.16 −0.24 2.59 1996 1.19 0.49 0.15 −0.23 2.60 2000 1.19 0.46 0.12 −0.16 2.54
* 平均の差は.05で有意
女子
100
走の平均値の年度別推移は図3に示したとおりである。女子やり投げ (やり600
) の年度別データは表7に示したとおりである。図3. 女子100
走の年度別平均値㪈㪍㪅㪏㪇 㪈㪎㪅㪇㪇 㪈㪎㪅㪉㪇 㪈㪎㪅㪋㪇 㪈㪎㪅㪍㪇 㪈㪎㪅㪏㪇 㪈㪏㪅㪇㪇 㪈㪏㪅㪉㪇 㪈㪏㪅㪋㪇 㪈㪏㪅㪍㪇
㪈㪐㪐㪇 㪈㪐㪐㪉 㪈㪐㪐㪋 㪈㪐㪐㪍 㪈㪐㪐㪏 㪉㪇㪇㪇 㪉㪇㪇㪉
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表7. 女子やり投げ (やり600
) のデータ年度 測定者数 平均値 標準偏差 標準誤差 平均値の95%信頼区間 最小値 最大値 (年) (人) () () () 下限 () 上限 () () ()
1994 20 16.75 2.47 0.55 15.59 17.90 11.80 21.32
1995 10 17.64 2.49 0.79 15.86 19.43 13.88 21.96
1996 11 16.51 3.81 1.15 13.95 19.06 10.54 22.78
1999 22 12.60 3.91 0.83 10.86 14.33 6.54 21.31
2000 54 12.87 2.95 0.40 12.07 13.68 6.39 19.84
2005 12 11.93 2.47 0.71 10.37 13.50 9.09 16.26
女子やり投げ (やり
600
) の年度別平均値の多重比較は表8のとおりであ る。表8. 女子やり投げ (やり600
) の年度別平均値の多重比較(I) 年度 (J) 年度 平均値の差 (I−J) 標準誤差 有意確率 95%信頼区間
(年) (年) () () 下限 上限
1994
1995 −0.90 1.19 0.97 −4.35 2.55 1996 0.24 1.16 1.00 −3.11 3.58
1999 4.15 * 0.95 0.00 1.40 6.90
2000 3.87 * 0.81 0.00 1.54 6.20
2005 4.81 * 1.12 0.00 1.56 8.07
1995
1994 0.90 1.19 0.97 −2.55 4.35 1996 1.14 1.35 0.96 −2.76 5.03
1999 5.05 * 1.17 0.00 1.65 8.45
2000 4.77 * 1.06 0.00 1.70 7.84
2005 5.71 * 1.32 0.00 1.89 9.53
1996
1994 −0.24 1.16 1.00 −3.58 3.11 1995 −1.14 1.35 0.96 −5.03 2.76
1999 3.91 * 1.14 0.01 0.62 7.20
2000 3.63 * 1.02 0.01 0.68 6.58
2005 4.57 * 1.29 0.01 0.85 8.29
1999
1994 −4.15 * 0.95 0.00 −6.90 −1.40 1995 −5.05 * 1.17 0.00 −8.45 −1.65 1996 −3.91 * 1.14 0.01 −7.20 −0.62 2000 −0.28 0.78 1.00 −2.53 1.98 2005 0.66 1.11 0.99 −2.54 3.86
2000
1994 −3.87 * 0.81 0.00 −6.20 −1.54 1995 −4.77 * 1.06 0.00 −7.84 −1.70 1996 −3.63 * 1.02 0.01 −6.58 −0.68 1999 0.28 0.78 1.00 −1.98 2.53 2005 0.94 0.98 0.93 −1.91 3.78
2005
1994 −4.81 * 1.12 0.00 −8.07 −1.56 1995 −5.71 * 1.32 0.00 −9.53 −1.89 1996 −4.57 * 1.29 0.01 −8.29 −0.85 1999 −0.66 1.11 0.99 −3.86 2.54 2000 −0.94 0.98 0.93 −3.78 1.91
* 平均の差は.05で有意
女子やり投げ (やり
600
) の平均値の年度別推移は図4に示したとおりで ある。Ⅳ. 考
察男子では, 分析対象となった
100
走, 走り幅跳び, 走り高跳び, 棒高跳び, 円盤投げ (円盤1.0㎏), ターボ・ジャブ投げ, やり投げ (やり600) のうち, 走り幅跳びとやり投げ, 女子では, 分析対象となった100
走, 走り幅跳び, 棒高跳び, ターボ・ジャブ投げ, やり投げ (やり600) のうち,100
走とや り投げの年度別平均値の推移に, 有意な差が見られた。 しかし, それぞれの多 重比較を検討してみると, 次のように考えられた。男子走り幅跳びでは, 図1に示されたように, 平均値の推移が年度ごとに凸 型に現れており,
1991年から現在にわたって, 記録の向上, あるいは記録の低
下に一定の傾向を見つけることはできないと思われた。男子やり投げでは, 図2に示されたように1996年に平均値の向上が見られ, 図4. 女子やり投げ (やり
600
) の年度別平均値㪈㪈㪅㪇㪇 㪈㪉㪅㪇㪇 㪈㪊㪅㪇㪇 㪈㪋㪅㪇㪇 㪈㪌㪅㪇㪇 㪈㪍㪅㪇㪇 㪈㪎㪅㪇㪇 㪈㪏㪅㪇㪇
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また,
2000
年から2003
年において若干の記録の向上が見られるものの, 全体的 には記録の低下傾向があると思われた。女子
100
走では, 図3
に示されたように, 年度別平均値の推移は凹型となっ ており, 多重比較の結果も表6に示されたように,1994年と2001年にしか有意
な差が見られないことから,1991
年から現在にわたって, 記録の向上, あるい は記録の低下に一定の傾向を見つけることはできないと思われた。女子やり投げでは, 図4に示されたように全体的には記録の低下傾向がある と思われた。
以上のように, アスレチックスとフィットネス受講者には, 走・跳・投能力 のうち, 走能力と跳能力では一定の傾向を見つけることはなかった。 瀬戸と水 間の報告2)によると,
1993
年の大学1年生の男子走り幅跳びの平均値は4.351
と報告されている。 D大学生のアスレチックスとフィットネス受講者の2004年 の男子走り幅跳びの平均値が4.53
であることから, D大学生男子の跳能力は 全国平均と比較して劣っているとは言えない。 日本人の体力標準値第四版3)に よると,20
歳の女子100
の平均値は18.04
秒, 標準値は19.20
秒となっている。表5に示した各年度の100
平均値 (16.99秒から18.48秒) と比較して, D大学 生女子の走能力は, 全国レベルと比較して劣っているとは言えない。D大学では, いわゆる体育実技科目の受講にあたり, 種目選択は希望制となっ ており, 希望者が多い場合には抽選となっていた。 アスレチックスとフィット ネスの受講希望順位について記録をとっているが, 受講希望にあたり一定の傾 向は見られなかった。 アスレチックスとフィットネスの受講生との会話から受 講理由について推測すると, 受講者は陸上競技経験者に加え, 運動が比較的苦 手だと意識している学生が, 団体種目を履修すると授業の進行にあたり他の受 講生に迷惑がかかると考えた結果, 個人種目であるアスレチックスとフィット ネスを受講した場合もあった。 本研究では, 陸上競技経験者は検討の対象から 除外した。 また, アスレチックスとフィットネスの受講を第一希望とした場合 でも, 講義概要を読まずに申し込んだ学生もおり, 受講希望データからアスレ チックスとフィットネスにおいて, 陸上競技種目の記録測定を念頭において受
講した学生に一定の傾向を検討することも困難であった。
男女とも, やり投げの記録は低下傾向が見られた。 やり投げは, ボール投げ と異なり, その形状から投げるにあたり技術を要するが, ボール投げとやり投 げの相関は, 1%水準で有意 (.660) に見られることから, やり投げの記録を 投能力の指標として検討することができると思われる。 投能力は, 低下傾向が 見られた。 尾縣貢らの報告4)によると, 小学生の体力のうち, とりわけ投能力 の低下が見られる。 小学校の学童期に低下傾向が経年的に見られる投能力は, その後, 身体的に成長をしても, 経年的な低下傾向が見られたと思われる。
Ⅴ. ま
と め本稿では, D大学の体育実技科目で提供されているアスレチックスとフィッ トネスの種目を受講してきた学生の運動能力について, 経年的検討を加えた。
その結果, 投能力に明らかな低下傾向があると思われた。 投能力の低下傾向 は, どのようなことに起因するのかが, 今後の検討課題となるが, あわせて, 投能力の低下が, 人間が生活する上で他の何らかの現象としてあらわれている のかについても検討したい。
また, 今後も記録測定を継続しながら, これらの結果をもとに, 大学の実技 系体育科目についても検討したい。
文 献
1) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/10/05101101.htm
2) 瀬戸進, 水間恵美子, 中・高・大学生のスポーツテストの30年の変遷, 渓水 社, 2001, p. 40
3) 東京都立大学体育学研究室, 日本人の体力標準値第4版, 不昧堂出版, 1989, p. 130
4) 尾縣貢, 高橋健夫, 高本恵美, 細越淳二, 関岡康雄, オーバーハンドスロー 能力改善のための学習プログラムの作成:小学校2・3年生を対象として, 体 育学研究, 第46巻, p. 282