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「『立山黒部』世界ブランド化」構想とそれに反対 する自然保護運動

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「『立山黒部』世界ブランド化」構想とそれに反対 する自然保護運動

著者 村串 仁三郎

出版者 法政大学経済学部学会

雑誌名 経済志林

巻 88

号 1・2

ページ 35‑96

発行年 2020‑10‑20

URL http://doi.org/10.15002/00023609

(2)

目次  はしがき

1 中部山岳国立公園の「『立山黒部』世界ブランド化」構想の提起   (1)「『立山黒部』世界ブランド化」構想提起の背景 

 (2)「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会」の設立   (3)「検討会」による28プロジェクト案の提起 

2 「『立山黒部』世界ブランド化」28プロジェクトの具体化  (1)「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」の設立と課題  (2)28プロジェクト案の問題点と「推進会議」の内部論議 3「『立山黒部』世界ブランド化」構想に対する反対運動  (1)「『立山黒部』世界ブランド化」構想反対運動の始動  (2)「『立山黒部』世界ブランド化」構想反対運動の展開 4「『立山黒部』世界ブランド化」構想の一部棚上げと今後の課題  (1)「『立山黒部』世界ブランド化」の基本構想の「先送り」

 (2)「『立山黒部』世界ブランド化」構想の到達点と今後の課題   ①反対運動の成果の確認とその意義

  ②今後の課題 

「『立山黒部』世界ブランド化」構想と それに反対する自然保護運動

村 串 仁三郎

(3)

はしがき

私は,長い間わが国の国立公園を研究してきた中でも,戦前から今日に 至るまで中部山岳国立公園内の有力地域である立山黒部について特に力を 入れて研究してきた。拙著『国立公園成立史の研究』では第Ⅱ部第5章「中 部山岳国立公園―(2)立山・黒部」,『自然保護と戦後日本の国立公園』

では,第Ⅱ部第7章「中部山岳国立公園内の黒部第四発電所建設計画と反 対運動」,『高度成長期日本の国立公園』(時潮社,2016年)には掲載され なかったが(1),立山黒部の自然保護と開発との軋轢について,独立論文と して「高度成長期における中部山岳国立公園内の立山観光開発と自然保護 活動」において論じてきた(2)

私は,80歳の傘寿の年を迎えて国立公園研究を終了することを宣言した のであったが,2016年に設置された環境省の「国立公園満喫プログラム」

の動きをみていて,安倍政権の進めている国立公園の観光化政策がこれま で築いてきたわが国の国立公園の自然・環境を大幅に破壊してしまうので はないかとの危惧を抱くようになった(3)

その代表的な事例が,環境省の「国立公園満喫プログラム」の後押しで 設置された「『立山黒部』世界ブランド推進会議」の進めている国立公園の 世界ブランド化のプロジェクトである。

私は,国立公園研究終了宣言をかなぐり捨てて,何としても,「『立山黒 部』世界ブランド推進会議」の進めている政策の危険性を明らかにし,世 論に訴え,「国立公園満喫プログラム」の運動が,本質的には,「『立山黒 部』世界ブランド推進会議」の進めている国立公園の過度な観光化政策と 同じものであることを明らかにしたいと考えている。

と同時に小論は,「国立公園満喫プログラム」に後押しされて作られた

「『立山黒部』世界ブランド化」プログラムの基本的な部分が,国立公園で ある『立山黒部』一帯をバブル時代に行われたような,あるいはそれ以上 の乱開発構想であることを証明しようとするものである。

(4)

1 中部山岳国立公園の「『立山黒部』世界ブランド化」構想の提起 石井隆一富山県知事は,2016年に「『立山黒部』の保全と利用を考える 検討会」を設置し,「『立山黒部』世界ブランド化」28のプロジェクト構想 を提起し,2017年には「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」を設置し て,「『立山黒部』世界ブランド化」28プロジェクト構想の実現に向けて活 動を行なつた。その結果,富山県内では,主要なプロジェクト構想への厳 しい反対が生まれた。その批判を受けて,「『立山黒部』世界ブランド化」

の内の基本構想の一部は,2019年4月に「先送り」され「棚上げ」された。

本稿は,「『立山黒部』世界ブランド化」28プロジェクト構想の提起から,

その構想反対運動によって,その基本構想の一部が「先送り」されるまで の経過を検討するのであるが,その前に,まず「『立山黒部』世界ブランド 化」28プロジェク構想が生み出される背景について論じておきたい。

富山県が「『立山黒部』世界ブランド化」28プロジェク構想を打ち出す背 景には幾つかの問題が存在した。

第1の背景は,平成期のわが国経済の不況であり,そのために生まれた

『立山黒部』観光の停滞・不振である。表1は,近年の立山黒部への観光客

(1)拙著『国立公園成立史の研究』(法政大学出版局,2005年),『自然保護と 戦後日本の国立公園』(時潮社,2011年)を参照。

(2)拙稿「高度成長期における中部山岳国立公園内の立山観光開発と自然保護 活動」,『経済志林』第86巻第1号,2018年6月。

(3)政府の最近の国立公園政策について関心を抱くきっかけは,土屋俊幸氏の 三つの拙著に対する書評(土屋俊幸「村串仁三郎自然保護と戦後日本の国 立公園―続『国立公園成立史の研究』高度成長期日本の国立公園―自然保 護と開発の激突を中心に」,『林業経済』71-7,2018年10月)の拙著に対 する批判が,環境省が現在積極的に進めているアベノミクスに基づく「国 立公園満喫プログラム」路線に基づいているのではないかと感じたからで ある。

(5)

の入込数を示したものである。

2008年から3年間に,立山アルペンルートへの入込者数は,100万人台 であったが,その後2011年,2012年には82万人,88万人と10万人程度減少 し,その後,2015年の99万人をピークにして2016年,2017年に92万人に落 ち込んだ。2009年から2016年まで約10万人も減っている。

黒部峡鉄道への入込者数も,立山アルペンルートと同様の傾向であった。

2007年から2010年までには,40万人台であったが,その後減少し,一時的 に2015年に40万人に戻したが,ずっと30万人台に落ち,2007年―2010年頃 からずっと2018年まで10万人程度減少した。

『立山黒部』観光の停滞・不振に当面して石井富山県知事は,こうした状 況を打開するために『立山黒部』観光の一層の振興策を探求することにな る。これが「『立山黒部』世界ブランド化」28プロジェクト構想である。

「『立山黒部』世界ブランド化」28プロジェクト構想が生み出される第2 の背景は,安倍政権によるわが国の国立公園を世界的な規模で観光化する 政策の存在であった。

わが国の経済は,1990年前後のバブル崩壊以後不振をかこってきたが(1), 21世紀に入っても,リーマンショックを軸に,わが国の経済,産業の衰退,

表1 立山・黒部入込者数の推移   単位万人 アルペンルート立山黒部 黒部峡谷鉄道 平成19 2007 95.4 44.7   20 2008 101.5 46.3   21 2009 103.7 48.5   22 2010 100.1 44.5   23 2011 82.7 37.3   24 2012 88.5 37.0   25 2013 95.8 35.1   26 2014 90.9 34.2   27 2015 99.7 40.2   28 2016 92.1 35.3   29 2017 92.1 33.9   30 2018 98.1 33.6 注 富山県観光振興室調べ,「観光地入込数」から作成。富山県 のHPによる。

(6)

慢性的なデフレを克服できない中で,歴代の内閣は,即効性はあるが産業 としては安定性を欠く観光業の世界化・インバウンド観光に大きな期待を かけた。

第2次安倍内閣は,2015年11月に,「明日の日本を支える観光ビジョン 構想会議」を立上げ,3年間の成果として,「訪日外国人2倍増の2000万 人達成,消費額3倍増の消費額3.5兆円達成」の目標を提起した(2)

第2次安倍内閣は,これらの観光政策を更に,2016年5月に,環境省内 に「国立公園満喫プロジェクト有識者会議」を設立し,国立公園を観光地 化して,外国人観光客を国立公園に誘導し外貨を稼ぐプログラムを策定し 実行した(3)

このように安倍政権は,単に日本で観光ビジネスを発展させるだけでな く,「国立公園満喫プロジェクト有識者会議」をテコとして,自然保護を目 的とする機能をもつていた国立公園を,もう一つの目的でもあつた国民の ための利用という機能に目を付けて,膨大な外国人観光客を呼び込むため の観光地,リゾート地域に改変しようとしている。

「国立公園満喫プロジェクト有識者会議」は,2016年に各地の国立公園 所在地に呼びかけ,差し当たり5国立公園を選出して,「日本の国立公園を 世界水準の『ナショナルパーク』としてブランド化」を推進するために必 要な助言と支援を与えている(4)

更に「国立公園満喫プロジェクト有識者会議」は,2018年6月の第8回 の会議で,「国立公園満喫プログラム」の一つの実験場として,先行する8 国立公園に準じた外国人観光客を呼べる特別な国立公園モデルに選定され 先行8公園以外の3国立公園の一つとして中部山岳国立公園の中心的存在 であった立山黒部地区を選定した(5)。爾来富山県は,環境省から支援され ることになる。

第3の背景として,これまで行なってきた富山県の立山観光開発政策の 歴史がある。

富山県は,厳しい気候的・地理的ハンディーを抱え,近代の始まる時期

(7)

から太平洋ベルト地帯と違って有力な近代産業を欠き農業と漁業に依存し てきた地域であった。

立山連峰は,古来から宗教登山の聖地として発達してきたが,近代に入 ってからも,観光資源として活用する試みがなされてきた。大正末期から 昭和にかけて国立公園設立運動が起きてくると,富山県では,立山黒部を 国立公園に指定し,自然保護を行ないつつ観光資源として機能させるため,

鉄道を建設して観光開発を行なってきた(6)

戦後も山岳観光道路建設に道を開いた1952年の道路整備特別法に従っ て,日本道路公団は,立山の美女平・弥陀ヶ原間の高原バス道路を建設し,

富山県当局も,1952年に「富山県総合開発計画」を策定し,その具体化の ために立山山岳地帯総合開発計画案を策定し,立山開発鉄道株式会社を設 立し,立山の観光開発に努めてきた(7)

戦後も終わり,レジャーの大衆化が進展し,立山山岳観光も少しずつ盛 んになり,1960年に選出された吉田実富山県知事は,「山の夢」という立 山観光開発計画の実現を目指して,県,関西電力,富山電力,立山開発鉄 道の4社により「立山黒部有峰株式会社」(TKA)を設立して,立山黒部 の観光開発に取り組んだ(8)

そこから立山黒部アルペンルートの開発計画が生まれた。この計画の当 初案は,室堂から立山にトンネルを通し,黒部川の斜面にも道路を建設し て黒部川左岸のダムサイトにおりるルートで,富山市と長野県大町を道路 で結び,東京圏に直結して経済活動と観光産業を発展させようとの試みで あった。

この案は,技術的な実現性と自然・環境保護の両面から議論され,紆余 曲折を経て現行の「立山黒部アルベンルート」として1971年に完成した。

しかし立山の観光化は,観光公害を生み,弥陀ヶ原を中心とした自然を 大きく破壊したため,自然保護のために立山登山口から室堂までの立山自 動車道路にはマイカーの乗入れが制限され,今日に至っている。

このように富山県の政財界陣にとって,『立山黒部』の観光化は,強い期

(8)

待であり希望であったが,しかし立山黒部の自然は,犯しがたい貴重な県 民の財産であるとして県民によって守られてきたという事実もあった。

(1)わが国の平成期の経済不振については,金子勝『平成経済衰退の本質』,

吉見俊哉『平成時代』,共に,岩波新書,2019年,山家悠紀夫『日本経済 30年史』,岩波新書,2020年,を参照。

(2)2016年3月30日開催の「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」第 2回会議で提起された「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」(案)

を参照,環境省HP

(3)安倍政権は,2016年5月23日第1回「国立公園満喫プロジェクト有識者 会議」を皮切りに2020年3月まで12回にわたり開催し,「国立公園満喫プ ロジェクト」の作業を進めた。

(4)2016年5月23日開催の第1回「国立公園満喫プロジェクト有識者会議」「議 事要旨」,丸山環境大臣の挨拶参照,1頁,環境省HP。

(5)環境庁長野自然環境事務所「立山黒部における環境庁の対応」を参照。富 山県観光振興室のHPを参照。2018年6月29日第8回「国立公園満喫プロ ジェクト有識者会議」,「資料3-2 先行8国立公園以外の公園での主な 取組」を参照。

   ついでに指摘しておけば,後の「促進会議」において,会議のオブザー バーであった環境省国立公園課長は,度々「促進会議」と「国立公園満喫 プロジェクト」との関係について言及している。

   第2回会議で,なおオブザーバーの田中良典環境省国立公園課長代理の 中山長野県自然環境事務所長は,「国立公園満喫プロジェクト」についての 文書「立山黒部における環境省の対応」についての説明が行なわれた。説 明の要点は,第5回「国立公園満喫プロジェクト有識者会議」で,「国立公 園満喫プロジェクト」が行なうべき国立公園の観光化計画のためにモデル 国立公園8地区が選ばれたが,「立山黒部地区を含む中部山岳国立公園が,

モデル地区8公園に準じる3公園として位置づけられた」ので,「長野自然 環境事務所では,南部地区(上高地,乗鞍,平湯等)と立山黒部地区の2 つの重点地域を設けて,それぞれ進めることとした。」ということである。

   そして中山長野県自然環境事務所長は,立山においては,6「滞在プロ グラムの充実」に対応して「滞在型のエコツーリズムプロジェクトの充実 について,支援を開始」していると述べた。第2回会議資料,「議事録」,5

(9)

(2)「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会」の設立

富山県石井隆一知事は,2016年11月13日に「『立山黒部』の保全と利用 を考える検討会」を立ち上げ,第1回の会合を富山市のANAクラウンプ ラザホテル富山で開催した。

「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会」は,事務局から提案された 検討会の「趣旨」と委員を確認した(1)

この検討会の「趣旨」は,「『立山黒部』は,日本でも類を見ない自然環 境が存在する山岳地として,自然環境の保全活動が先進的に行われるとと もに,利用の面においても国内外から多くの観光客が訪れる観光地として の地位を確立してきた。」と指摘し,「特に,『立山黒部』を世界遺産に登録 する動きがあり,また,2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向 けて訪日外国人のさらなる増加が見込まれている。」「こうした国内外から さらに多くの観光客が訪れる日が来た場合,その観光客に満足していただ ける観光地となっているのかを今一度考える必要があるのではないか。」

-6頁。

   このことから,「『立山黒部』世界ブランド化」構想が環境省の「国立公 園満喫プロジェクト」の実験場となっていると先に指摘した所以である。

   第3回「推進会議」において,オブザーバーの田中課長は,「国立公園満 喫プロジェクト」の展開する「立山の自然と立山信仰等の文化を活用した 新たな滞在型のプロジェクトの開発を,当省としてもしっかりと展開した いと考えております。」と環境省の立場から述べた。第3回「推進会議」「議 事録」,17頁。

(6)戦前の富山県の立山についての自然保護と観光開発については,前掲拙

『国立公園成立史の研究』第5章の「5.2 黒部の国立公園指定運動と自然 保護運動」を参照。

(7)戦後の富山県の立山についての自然保護と観光開発については,前掲拙著

『自然保護と戦後日本の国立公園』第7章7で簡単に触れた。

(8)前掲「高度成長期における中部山岳国立公園内の立山観光開発と自然保護 活動」,『経済志林』第86巻第1号,2018年6月.

(10)

「『立山黒部』の現状を今一度把握し,『世界ブランド』としてさらなる高み を目指すための方策を検討することとしたい。」と指摘している。

最後に「趣旨」は,「検討するにあたっては,『立山黒部』は国立公園内 に位置し,自然環境の豊かさが魅力の中心であることから,単に観光地と しての開発のみを考えるのではなく,適切な自然環境の保全を行うことを 前提に検討することとしたい。」とも指摘している。

しかし「観光地としての開発のみを考えるのではなく,適切な自然環境 の保全を行うことを前提に検討する」と指摘してはいるが,後に検討され る内容から明らかになるように,この文言はあくまで建前であって,本音 は,「観光開発」優先の『立山黒部』の「世界ブランド」化策を作ることで あった。

「検討会」は,事務局から提案された「検討会」委員を確認した。

表2 「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会」委員名簿

(五十音順,敬称略)

座 長 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授 西村幸夫

委 員 (株)日本政策投資銀行富山事務所長 鵜殿裕

旅館「海月」女将,(有)オズ代表 江崎貴久

富山県環境審議会自然環境専門部会長 鍛治哲郎

(株)J-WET Adventures マネージャー 片山利奈

北陸経済連合会会長 久和進

黒部峡谷鉄道(株)代表取締役社長 小橋一志

立山山荘協同組合理事長 佐伯千尋

立山黒部貫光(株)代表取締役社長 佐伯博

(公社)とやま観光推進機構会長 高木繁雄

関西電力(株)北陸支社長 多田隆司

観光庁長官 田村明比古

(株)星野リゾート代表取締役社長 星野佳路

(一社)富山県旅行業協会理事,(株)エコロの森代表取締役 森田由樹子

JTIC.SWISS代表 山田桂一郎

(株)美ら地球代表取締役社長 山田拓

オブザーバー 国土交通省北陸地方整備局立山砂防事務所長 大坂剛

環境省長野自然環境事務所長 中山隆治

立山町長 舟橋貴之

黒部市長 堀内康男

注 「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会」第1回資料から作成。

(11)

「検討会」の委員の構成は,表1のように,総勢16名である。座長の東京 大学大学院工学系研究科都市工学の西村幸夫教授は,研究歴からみて都市 工学専攻の学者であるが,都市景観にも詳しいが,発言からみて必ずしも 自然環境を重視しているとは思えない観光寄りの学者ある(2)

16名の委員中,観光業界関係の委員は,座長を含め12名であった。旅館

「海月」女将,J-WET Adventures マネージャー,黒部峡谷鉄道(株)代表 取締役社長,立山山荘協同組合理事長,立山黒部貫光(株)代表取締役社 長,(公社)とやま観光推進機構会長,観光庁長官,(株)星野リゾート代 表取締役社長,(一社)富山県旅行業協会理事,JTIC.SWISS代表,美ら地 球代表取締役社長らであった。

更に観光業を後援する財界関係者が,(株)日本政策投資銀行富山事務所 長,北陸経済連合会会長,関西電力(株)北陸支社長の3名であった。

自然保護を目的とする国立公園の開発に関わる「検討会」であるから,

自然環境を守る分野からの委員が当然期待されるが,直接自然環境に関係 する委員は,元環境省国立公園課長で富山県環境審議会自然環境専門部会 長鍛冶哲夫委員1名だけであった。

「検討会」における発言から観光業者であるが,自然環境を重視した佐伯 千尋立山山荘協同組合理事長は,自然環境関係者とカウントしてよいであ ろう。

従って「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会」は,自然と環境の

「保全」を掲げているが,『立山黒部』の保全を積極的に考える委員は,た ったの16名中2名(12%)という少なさであった。あとは全て「『立山黒 部』の利用」を求める観光促進関係者とそれを支援する財界関係者であっ た。

「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会」の「趣旨」でいくら自然環 境の保全を謳っても,自然環境の「保全」を強調する委員が,16名中2名

(12%)であっては,「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会」で提起さ れる観光開発構想をチェックするにはあまりにも少人数に過ぎる。

(12)

国立公園である『立山黒部』の観光開発を検討するのであれば,「検討 会」の委員構成は,観光関係者5割,自然環境関係者5割,大いに譲歩し ても自然環境関係者3,4割程度の委員を配置しなければ,著しくバラン スを欠く。こうした観光関係者中心の「検討会」が,もっぱら『立山黒部』

の自然環境を無視して観光開発構想の策定に熱中するのは目に見えている。

更に付け加えれば,地元委員の構成は,16名の委員中9名で,県外委員 が7名,地元委員が多くはない。これでは,地元の利益を無視した中央向 きの「検討会」になってしまうのも避けられない。

委員のほかオブザーバー4名が置かれているが,地元首長2名,環境省 から長野自然環境事務所長,国土交通省の北陸地方整備局立山砂防事務所 長であるが,これらの人は本来委員になっているべき人たちである。

更に環境省が国立公園の観光化を目指している「国立公園満喫プロジェ クト」有識者会議の委員である星野リゾート代表取締役社長,旅館「海月」

女将が,「検討会」の委員に加わっていることは,「『立山黒部』の保全と利 用を考える検討会」が「国立公園満喫プロジェクト」と繋がっていること を明確に示している(3)

以上のように,そもそも「検討会」の委員構成は,あまりにも観光中心 に偏りすぎであり,「検討」されて出てくる結論が見え見えである。

(1)第1回「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会」「資料」1頁,富山県 観光・地域新興局観光振興室,HPより。

(2)座長の西村幸夫東大教授は,「検討会」後の「推進会議」の取りまとめで,

一貫して観光重視を貫いており,自然環境を重視するおような発言をいっ さいしておらず,もともと富山県知事から座長を依頼された人物であり,

富山県知事に意向に反するような発言をするわけがない。

(3)「国立公園満喫プロジェクト」のデータについては,環境庁のHPを参照。

「国立公園満喫プロジェクト」についてはここで,立入って言及しないが,

私は近々詳しく批判的に検討することにしている。

(13)

(3)「検討会」による「『立山黒部』世界ブランド化」28プロジェ クト案の提起

「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会」は,第1回の「検討会」に おける討議をへて2017年1月23日の第2回「検討会」資料として検討すべ き「『立山黒部』世界ブランド化」のための28プロジェクト案を提起した(1)

表3は,「検討会」において示された「課題・論点整理」と28のプロジェ クト名を示したものである。「検討会」資料は,この分類別に,1から28の プロジェクト案を写真入りで詳細に解説している。

表3 「検討会」の課題・論点整理表

経済 上質な滞在 混雑対応 01 混雑スポットにおける食事・休憩スペース拡充 活動 環境の整備 02 アルペンルートの営業時間拡大

03 乗車整理券の配布

04 高原バス等のWEB予約システム 滞在環境の充実 05 宿泊施設の整備

06 滞在プログラムの充実 新しい魅力 通年営業 07 アルペンルートの早期開業

の発掘・磨 08 アルペンルート冬季営業の試験的実施

き上げ 09 黒部峡谷鉄道の冬季営業

新しい魅力発掘・磨 10 ヘリスキーの企画・実施 き上げ 11 黒部ルート見学会の旅行商品化

12 カルデラ体験学習会の旅行商品化 顧客層に合 新規市場の開拓・個 13 新しいマーケット(欧米豪等)の開拓 わせた受入 人旅行者への対応 14 多言語表記・案内の充実

環境の整備 15 携帯電話不通エリア, WiFi未整備エリアの解消 ユニバーサルデザイン 16 ユニバーサルサービスの推進

周遊性の確 周遊ルートの確保 17 立山〜弥陀ヶ原ロープウェイ

18 立山カルデラロープウェイ

19 黒部峡谷ロープウェイ エリア内周遊の促進 20 宇奈月温泉街の賑わい創出 環境 環境保全の 自然環境の適正利用 21 登山道の整備

保全 推進 22 環境意識の啓発

自然環境の保全 23 山岳トイレの整備 24 外来植物除去活動の推進 25 利用調整地区の導入の検討

26 環境保全経費の受益者負担の在り方の検討 ライチョウの保全 27 とやまのライチョウサポート強化,生息状況調査 安全性 安全対策 利用者の安全確保 28-1 雪崩事故対策

28-2 火山対策

注 第2回「検討会」資料により作成。第3回「検討会」資料に同じものがある。

(14)

表3に示したように,28のプロジェクト案は,重大な問題から単純なサ ービス問題まで非常に多岐にわたっている。「検討会」の分類に従えば,

「経済活動」「環境保全」「安全性」3大分類から,中分類,小文分類に分け て,更に1から28の小さなプロジェクトがぶら下がっている。

注目されるのは,28のプロジェクト案が小さなテーマと重大なテーマが 同一水準で並べられていて,不思議なことに,問題の重要性が明確に表現 されていないことである。

次の節で28のプロジェクト案の重要性の軽重別に表示するので,ここで は28のプロジェクト案について言及しないでおきたい。

2 「『立山黒部』世界ブランド化」28プロジェクトの具体化

(1)「『立山黒部』世界ブランド化促進会議」の設立と課題

富山県は,「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会」を3回開催し,

そこで「検討」された28プロジェクト案を更に具体化して「推進」するた め,2017年6月1日に「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」を設立し た。

第1回「推進会議」は,事務局から提出された「会議の趣旨」と委員を 確認し,「検討会」でまとめた「報告書」を論議した。

「『立山黒部』世界ブランド化促進会議」の「会議の趣旨」の要点を示せ ば,「本会議では,『28のプロジェクト』の実現に向け,各プロジェクトの 進捗管理やブラッシュアップ,必要に応じた新たなプロジェクトについて 議論することとしたい。あわせて,安全性や法令に関する課題があり行政

(1)第2回「『立山黒部』の保全と利用を考える検討会」「資料」,富山県HP 参照。

(15)

とともに具体的な詰めを行なうことが必要なプロジェクトや関連する事業 者が共同して実施することが必要なプロジェクトについては,ワーキング グループを設け,検討することとしたい。」ということである(1)

「推進会議」の委員は,「検討会」の委員16名のうち14名が横滑りし,日 本政策投資銀行富山事務所長鵜殿裕,関西電力北陸支社長多田隆司の2名 が退き,新たに関西電力代表取締社長岩根茂樹,森トラスト代表取締役社 長伊達美和子,ラティナ・インターナショナル代表取締社長ダニエル・モ ンテベルデ,筑波大大学院人間総合科学研究科教授吉田正人,観光学者の 桜美林大学教授渡辺康洋の5名が加わって19名となった(2)

なお新たに委員となった吉田正人筑波大教授は,1979年に千葉大理学部 卒業後,日本自然保護協会研究員を20年以上務め,日本自然保護協会の代 表理事,国際自然保護連合会日本委員会会長,日本生態学会自然保護専門 委員会委員長など生態学者として歴任してきた世界的な自然保護運動の重 鎮である(3)

その結果,「推進会議」の委員構成は,自然保護関係者が19名中3名とな った。観光関係の委員3名が加わって,財界を含め観光関係委員が19名中 16名(全体の84.2%)に増え,圧倒的に比重を高めた。

他方,オブザーバーは,4名から5名となったが,環境省長野自然環境 事務所長に代わって環境省国立公園課長が任命され,治山関係の国土交通 省北陸整備局立山砂防事務所長が退き,新たに国土交通省鉄道事業課長と 観光庁観光資源課長の観光関係者が2名増えた(4)

更に「推進会議」に前後して「『立山黒部』世界ブランド化推進会議ワー キンググループ」(以下WGと略す)が組織され,5回ほど開催され,28プ ロジェクトを「推進会議」の言葉を借りれば,ブラシュアップする作業を 行なった。

なお「推進会議WG」の委員は,「推進会議」の委員構成と変わらなかっ た(5)

「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」は,その後,2017年10月10日に

(16)

第2回,2018年3月26日に第3回,2018年12月2日に第4回,2019年4月 16日に第5回が開催され,プロジェクト案の具体化をすすめた。

(2)28プロジェクト案の問題点と「推進会議」の内部論議

2017年6月1日第1回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」の資料 に示された28プロジェクトを私の問題意識に基づいて重要課題別に示し たものが表4である。

「『立山黒部』世界ブランド化」構想の28プロジェクト案の内,最重要の 第1課題は,「ロープウェイ建設等の整備」に関する17,18,19の三つの プロジェクトである(1)

これらの「ロープウェイ建設等の整備」プロジェクト案は,「短・中期」

1―4年に取り組むべき課題であるとされているが,私がこれまでにみて きた国立公園内の観光開発計画の中でもアルペンルート建設に次ぐ巨大な 建設事業計画であり,それ故に立山黒部の自然・環境を著しく破壊する可 能性をもった危険なものである。

17「立山〜弥陀ヶ原ロープウェイの建設」は,図1からわかるように,

ケーブルカー立山駅から弥陀ヶ原まで約10キロメートルの間をロープウ

(1)第1回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」(資料5),1頁。富山県 HP参照。

(2)第1回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」(資料1)の委員名簿参 照。

(3)吉田正人氏の略歴は,「ウイキペディア」,あるいは吉田正人『世界自然遺 産と生物多様性保全』,2012年,地人書館,の著者紹介を参照。

(4)第1回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」(資料1)の委員名簿参 照。

(5)第1回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議ワーキンググループ」(参考 資料)「出席者名簿」を参照。

(17)

表4 『立山黒部』世界ブランド化プロジェクトの課題別一覧 第1課題 ロープウェイ建設等の整備

周遊性の確保  17「立山〜弥陀ヶ原ロープウェイの建設」

10「へリスキーの企画・実施

18「立山カルデラロープウェイの建設」

12・カルデラ体験学習会の旅行商品化 19「黒部峡谷ロープウェイの建設」

11・黒部ルート見学会の旅行商品化 第2課題 既存施設の利用時間・空間の拡大

混雑対応 1・混雑スポットにおける食事・休憩スペース拡充 2・アルペンルートの営業時間拡大

滞在環境の充実  5・宿泊施設の整備 6・滞在プログラムの充実 通年営業 7・アルペンルートの早期開業

8・アルペンルート冬季営業の試験的実施 9・黒部峡谷鉄道の冬季営業

10・ヘリスキーの企画・実施 第3の課題 サービスの拡大・充実

3・乗車整理券の配布

4・高原バス等のWEB予約システム 13・新しいマーケット(欧米豪等)の開拓 14・多言語表記・案内の充実

15・携帯電話不通エリア,WiFi未整備エリアの解消 16・ユニバーサルサービスの推進

20・宇奈月温泉の賑わい創出 21・登山道の整備

23・山岳トイレの整備 第4の課題 環境保全と安全性

22・環境意識の啓発

自然環境の保全 23・山岳トイレの整備(再掲)

24・外来植物除去活動の推進 25・利用調整地区の導入の検討

26・環境保全経費の受益者負担の在り方の検討 雷鳥の保全 27・とやまのライチョウサポート強化

27・ライチョウ生息状況調査の保全 安全対策 28・1雪崩事故対策

28・2 火災対策

注 第1回「推進会議」(2017年6月1日)の資料より作成。

(18)

ェイで結ぶ計画である。「推進会議」の資料によれば,この計画は,「立山 ケーブルカー等のボトルネック解消に大きな効果が見込まれる。自然環境 への配慮として,植生を傷めない形でのロープウェイの方法の検討が必要。

例えば,植生を潰すのではなく,既に開発されている道路,駐車場等にロ ープウェイの支柱の設置等。より環境負荷の少ない交通手段として,既存 の交通手段(ケーブルカー,バス等)との代替可能性,採算性等の検討が 必要」とコメントが付されている問題の大きなプロジェクトである。

しかし「立山〜弥陀ヶ原ロープウェイの建設」自体が,「植生を傷めない 形で」は不可能であり,「立山〜弥陀ヶ原ロープウェイ」の運営も決して

「環境負荷の少ない交通手段」とはなりえない。

膨大な資金を投下して建設される17「立山〜弥陀ヶ原ロープウェイ」は,

図1 ロープウエイの建設計画図(2017年6月1日提起)

注 第1回「推進会議」,45頁。

(19)

投資効率からみて当然,冬季営業,通年営業を必然化するであろう。これ まで冬季間の立山山麓一帯は,標高1500メートル以上の高地の危険な自然 条件のために,観光客の入山が拒まれてきた。施設の冬季営業は,厳しい 自然のため危険にさらされるだけでなく,立山山麓一帯の自然環境に想像 を絶する悪影響を与えることになる。

18「立山カルデラロープウェイの建設」は,第1回「推進会議」資料に よれば「弥陀ヶ原ロープウェイと異なり,想定するルート上や乗り場まで のアクセスルートがないため,ロープウェイ建設による環境への影響は極 めて大きい。」とコメントされている。

19「黒部峡谷ロープウェイの建設」は,図1からわかるように,黒部峡 谷鉄道の終点から黒部ダムまで約15キロメートルのロープウェイを架設 するものであり,第1回「推進会議」資料では,「貴重な植生と景観を有す る地域(特別保護地区)であり,想定するルート上には,開発されている 道路等が無いため,設置工事による環境への影響は極めて大きい。」とコメ ントされている(2)

こうしたコメントのように,「環境への影響は極めて大きい」建設計画が 立案されたことは,自然や環境の問題を無視して,富山県当局や「推進会 議」が立山黒部への観光開発を望んでいるということを明快に示している ということである。

第2課題「既存施設の利用時間・空間の拡大」のプロジェクトも,第1 課題と同じような問題性を抱えている。

5「宿泊施設の整備」は,「推進会議」資料では,「既存の宿泊施設につ いては,事業者において,施設やサービス面等での高付加価値化を目指 す。」「宿泊施設の建て替え・新築については,行政及び事業者において,

例えば,既に開発されている場所の活用など,景観や植生を害さない形で ハイグレードな宿泊施設の整備を検討していく。」とコメントされている(3)

この「ハイグレードな宿泊施設の整備」は,「国立公園満喫プロジェク ト」が強調しているような,「自然環境と調和した高品質高単価のサービ

(20)

ス」の「提供」という政策に呼応するもので,高所得外国人を呼び込み,

高利得を目指す観光業界の意図が透けて見える(4)

果たして,一般論としても国立公園が,「国立公園満喫プロジェクト」の 意図するように,自然や環境を破壊する可能性を持った「ハイグレードな 宿泊施設」を備えていいものか大いに問題である。

7「アルペンルートの早期開業」,8「アルペンルート冬季営業の試験的 実施」については,資料でも,アルペンルートの「冬季営業は,エリアに よっては,ライチョウ生息地等に影響を与えかねないので,詳細な生態系 の調査分析が必要」と指摘され,「室堂〜天狗平間は,特に積雪量が多いた め冬季の除雪が難かしく,現状での冬季営業は困難」,「厳冬期は,晴天率 が低く,屋外での活動の危険性が非常に高い」とコメントされている。こ うした危険を前提にして,アルペンルートの「冬季営業」を決行しようと する意図が理解できない。

9「黒部峡谷鉄道の冬季営業」は,これまで危険なものとして回避して きた危険な事業であり,まだ季節の安定しない時期に開業するためリスク も考えられるので,慎重に検討されなければならい問題である(5)

第3の課題「サービスの拡大・充実」の問題は,特に問題のないプロジ ェクトであり,第4の課題「環境保全と安全性」のプロジェクトは,不十 分さはあるにしても検討してまずいというものではなく,健全な山岳観光・

登山にとって望ましいプロジェクトであろう。

ただし注目しておきたいのは,第1課題として提起された重大なプロジ ェクトが,比較的問題のない観光サービスと同じように並べられて,比較 的問題のない観光サービスの推進という美名で,危険極まりないロープウ ェイ建設プロジェクトが隠されていることである。

なお「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」は,2017年6月に設立さ れた後の8月に,石井富山県知事を先頭に,「『海のあるスイス』先進地調 査団」が観光地を調査するためにスイスなどを訪れた。

2017年8月16日の『北日本新聞』は,石井県知事が「調査団成果」とし

(21)

て,「世界的山岳リゾートの誘客戦略や施設整備の有り方を学んだ」「立山 黒部エリアの観光については『現状では(滞在型でなく)通過型になって おり,ツェルマットと比べると設備面でも差がある』と説明。」と報じた。

この調査を機会に,「推進会議」は,立山を滞在型観光地化する意向を強 めることになる。第2回「推進会議」では「『海のあるスイス』先進地調査 報告」が提出された(6)

2017年6月に28プロジェクトが提起されると,後に詳しく検討するよう に,2017年8月に「推進会議」の外部から「立山黒部世界ブランド化」構 想全体への批判が佐々木泉氏によって提出された。また2018年3月8日に は,県内の有力な自然保護団体「NPO法人立山自然保護ネットワーク」

からも批判の意見書が提出された。

「推進会議」内においても,一部の委員からプロジェクトに対する疑問,

批判が提出されていた。

第1回「推進会議」では,総論的な議論がなされて,各プロジェクトに ついては議論されなかったが,それでも立山山荘協同組合理事長の佐伯千 尋委員から,批判がなされた。

佐伯千尋委員は,5「宿泊施設の整備」のプロジェクトに絡んで,事務 局から「キャパシティーが不足している」との説明に「キャパシティーは 十分にあります」とか,2「アルペンルートの営業時間拡大」プロジェク トに関連して,安全性についての疑問が出されていたが,事務局からは今 後の問題として無視された(7)

2017年8月22日に地元山岳警備隊協力隊長の佐々木泉氏のプロジェク ト案への厳しい批判があった。2017年10月20日に開催された第2回「推進 会議」では,佐伯千尋と吉田正人,鍛冶哲郎の3委員からプロジェクトに ついて批判的な意見が出された(8)

第2回会議でも,主に総論的な議論が多く,肝心の本構想の基本的課題 である「ロープウエイ建設等の整備」計画問題は,議論の俎上に登らなか った。

(22)

座長から『立山黒部』の「保全と活用の問題」に絡んで「自然保護とい う立場からご意見を」と乞われた吉田正人委員は,次のように述べた。

「まず,以前この会議に出られなかったものですから,構造がよくわかっ ていないのですが,資料4でプロジェクトの進捗状況を先にやって,資料 5にブランドコンセプトが書いてある。普通は,ブランドコンセプトを決 めてからからプロジェクトが進むのだと思うんですが,プロジェクトが先 に進んでいるというのが良くわからない。今後,ブランドコンセプトによ ってプロジェクトが変わっていく可能性があるということもあるんでしょ うか。」

いわば戦略的哲学がなく進められるプロジェクトの弱点を指摘するこの 質問には,事務局も,座長も何も答えなかった。

更に吉田正人委員は,ブランドコンセプトに関連して,立山の山岳信仰 の意義を強調し,「世界遺産条約では,自然と文化を別々に考えるのでな く,つながりのあるものと考えようということがテーマになっています。」

と指摘し,「立山でも歩くことを大事にした観光を考えることが大事ではな いか」と述べ,「プロジェクトを拝見すると,交通機関を便利な方に持って いこうというインフラ中心です。」と総論的な批判を行なっている。

佐伯千尋委員も,事務局から出されたブランドコンセプトに関連して,

吉田委員の指摘する「立山信仰」,「歩く」ことの重要性を強調し,「自然が 主じゃないか」,「弥陀ヶ原のラムサール(指定地域が抜けているか―引用 者),これも歩けば素晴らしいところだと思います。…そういうものを基本 に置くべきじゃないかと。みていますと,大事なものを壊してまでロ-プ ウエイを架けなきゃいけないのかという気になってきます。」と総論的な批 判を述べた。

鍛冶哲郎委員も,「ブランドコンセプトについて,特に異論はありませ ん」と述べているが,立山黒部をヨーッロッパ・アルプスのツェルマット やシャモニーをモデルに開発をしようとしているプロジェクトの構想に対 して婉曲に「立山を考える場合,ツェルマットなんかと違う」と批判して

(23)

いる。

第3回「推進会議」は,立山の有力な自然保護団体「NPO法人立山自 然保護ネットワーク」から2018年3月22日に「『立山黒部」世界ブラン化」

構想への批判が提出された直後の26日に開催され,重要な論議を行なった。

第3「回推進会議」においては,配付された「第3回会議プロジェクト 進捗報告資料」によれば,私が第1課題として重視してきた「ロープウェ イ建設等の整備」プロジェクト案について重要な変更が報告された(9)

事務局は,7「立山〜弥陀ヶ原ロープウエイ」建設計画の代わりに,第 1に,古くなった現「立山―美女平のケーブルカー」の代替施設として「立 山―美女平ロープウエイ」を新設する計画案と,図2に示したように第2 に,新たに「称名滝駅〜大観台駅」間ロープウエイの建設と「大観台駅〜

弥陀ヶ原駅」間のゴンドラリフトの建設計画案とを提起したのである。

この変更は,後に詳しく見るように,「推進議会」の内外から「立山〜弥 陀ヶ原ロープウエイ」建設計画に対する強力な反対意見がだされた結果で ある。

この第3回「促進会議」で西村座長から,「ブランドコンセプト」だけで なく「他のプロジェクト全体に広げて議論していただきたい」と問われて,

吉田正人委員は,2点について意見を述べた(10)

第1点は,エコツーリズムの重要性を指摘し,ガイドの必要性などを強 調する意見だった。

第2点は,自然保護に関連して,「NPO法人立山自然保護ネットワー ク」の「意見書」には,「特に早い時期からの開業とかロープウェイの建設 については,非常に納得のできる意見もある」,「まずは生態系や景観への 影響を考えることが非常に大事だと思います。美女平とか,大観台までの 代替手段を考えるというのは分かるが,そこから先の弥陀ヶ原までゴンド ラで行くというのは果たして必要あるのかという感じはいたします。」と

「立山〜弥陀ヶ原ロープウエイ」計画に反対する意見であった。

座長は,吉田委員の意見を受けたあと,オブザーバーの環境省の田中良

(24)

典国立公課長にコメントを求めた。

田中国立公園課長は,ロープウエイについて次のように発言した(11)

「立山―弥陀ヶ原間のロープウエイに代わって新たに提起された『ロープ ウェイの建設の想定ルート①』(これは称名滝駅―大観台駅間のロープウェ イと大観台駅―弥陀ヶ原駅間のゴンドラリフトのことであるが-引用者),

「これが経由するような立山の弥陀ヶ原地区については,ラムサール条約登 録湿地でもある国立公園の特別保護地区であり,特に厳重な景観の維持を 図る必要がある地区と,その周辺で特別保護地区に準じる環境で,特別地 域のうちで風致を維持する必要性が最も高い地域であり,現在の風致を極 力維持することが必要となっている第1種特別地域でございます。これら の地域においては,以前から申し上げておりますとおり,ロープウェイ等 の新設は認められません。それからこの右の方からまいりますと,想定ル ート①のゴンドラリフトでございますが,大観台駅から弥陀ヶ原駅の間は,

弥陀ヶ原の台上(台地上の誤記―引用者)に,見た目のボリュームのある ゴンドラリフトを敷設する計画で,仮に道路敷等を活用して自然植生を改 変しないようにしたとしても,眺望景観の保護の関係からも大きな影響が

図2 「立山~弥陀ヶ原ロープウエイ」の修正案

注 第3回「資料」,13頁。

(25)

懸念されます。また,称名滝駅から大観台駅の間のロープウェイの案でご ざいますが,新たな起点・終点の両方にターミナル施設の設置による環境 影響,それからビデオにありましたけれども,称名滝の眺望をロープウェ イ自身が邪魔をするような位置取り等,環境配慮について大きな問題があ ると考えております。」

田中国立公園課長は,ここで,称名滝駅―大観台駅間のロープウェイ建 設計画と大観台―弥陀ヶ原間のゴンドラリフト建設計画について,国立公 園法上認められないと明確に指摘している。

そして「老朽化したケーブルカーの代替施設として,より環境影響の小 さい位置においてロープウェイを設置することについては,可能性はあり えると考えております。」と述べた。

ちなみに,森トラスト代表取締社長の伊達美和子委員は,先の反対意見 を受けて「私は観光地を作るためには,やはりインフラ整備が必要だと思 います。その時に,ケーブルカーに代わってロープウエイやゴンドラとい う新たな輸送手段ができるというのは,非常にポジティブだと思いまし た。」と述べている。国立公園の保護地域にある立山のことなどまったく無 頓着で,平場の未開発地域の観光開発を語っているような無教養な意見に,

私は驚かされる(12)

2018年12月2日の第4回「推進会議」には,立山―弥陀ヶ原間のロープ ウエイ計画について,2回目の修正案が事務局から提出された(13)

「立山―弥陀ヶ原ロープウエイ」構想案の第2回目の修正案は,図3に示 したように,第1に称名滝駅―大観台駅間ロープウェイ建設計画の称名滝 駅の位置を変更することであった。

国立公園課長が指摘したように,称名滝―大観台「ロープウエイ」計画 は,起点の称名滝駅が,滝の近くの特別保護地区にあったため,開発計画 が環境省では認められない公算が大きかった。

そこで事務当局は,特別保護地区にある起点の「称名滝駅」を第3種特 別地区にある称名平駐車場に移転する「称名滝駅―大観台駅間ロープウエ

(26)

イ」案を作ったのである。

第2の修正案は,立山―美女平にケーブルの代替案として「ロープウエ イ」建設計画を,何より優先させる案であった(14)

なお第4回「推進会議」で「ロープウエイ」建設計画案の予算案が示さ れた(15)

称名滝駅―大観台ロープウエイ建設計画予算は,箱型案が約55億円,新 型の回転式が約65億円,称名滝駅舎整備費用約10億円,大観台駅舎整備費 用約25億円,立山―称名滝駅間アクセス整備費用約10―15億円,計100億 円―120億円であった。

立山―美女平間ロープウエイ建設計画予算は,立山駅舎整備費用として,

約6億,美女平駅舎整備費用として約6億,ロープウエイ整備費として約 4億円,計約57億円が計上された。二つの事業だけで157億,177億円とい う膨大な費用であった。

図3 称名滝―大観台「ロープウエイ」の図 第4回資料,16p

(27)

第4回「推進会議」では,西村座長は,この会議で初めて「『立山―弥陀 ヶ原ロープウエイ』に関しては,関係者のご意見をまずお伺いして,そし て,全体として皆さん方のご意見を伺いたい」と発言した(16)

全ての論議を紹介することができないので,重要な発言のみを拾って簡 単に紹介しておこう(17)

初めに座長から「ロープウエイの整備」について発言を求められオブザ ーバーの中尾文子国立公園課長は,「立山―弥陀ヶ原ロープウェイ」につい ては,調査中で「暫定的な」案と理解していると発言し,称名滝―大観台 ロープウエイについて,「自然への改変はちいさくありません。」「慎重に検 討」したいと指摘し,多くを語らなかった(7-8頁)。

次にオブザーバーの英浩道観光庁観光資源課長は,「新ルートの合意がで すとか,このルートは立山黒部地域が非常にいろいろとブランド化に向け て着実に進んでおられることに敬意を表したい」と述べた(8頁)。

次いでオブザーバーの舟橋貴之立山町長は,「立山―弥陀ヶ原ロープウエ イ」の設置により生まれる立山駅地元住民の不安を代弁した(8頁)。

これまでロープウエイについて批判的な発言を行ってきた佐伯千尋委員 は,「我々の方で今一番思っているのはロープウエイのことであります」と して,批判を行なったが,後に詳しく論じるロープウエイ批判と同じなの でここでは詳論を省きたい(10頁)。

鍛冶哲郎委員も,佐伯委員の発言を認め,「言うべきことはない」と発言 した(11頁).

「満喫プロジェクト有識者会議」委員でもある江崎委員は,「ロープウエ イについて」,総論的に賛成の立場であるが,「今はいいんですが,10年後 の日本を考えたとき」,ドローンの時代に「ロープではないのをつくるとか 考えてみてもいいんじゃないか」と発言した(14頁)。私は,この意見は,

ロープウエイ建設を否定する貴重な発言だと思った。

石井富山県知事は,「立山―弥陀ヶ原ロープウエイ」構想は,まだ「スケ ルトン」段階,今後「自然環境については十分配慮しながらやっていくと

(28)

いうのが大前提です」と述べた(9頁)。しかしそれはあくまで建前であっ た。

なお参考までに,ロープウエイ建設賛成派の意見を幾つか紹介しておこ う(18)

オブザーバーの大野芳黒部市長は,「富山県の一人としましては,この一 帯を世界的な大きな観光地にするためにも,自然にもちろん配慮しなけれ ばなりませんが,ぜひロープウエイの構想を実現してほしい」と発言(11 頁)。

観光学者の渡辺委員は,「今回提案されているロープウエイですけれど も,1案,2案と,先ほど3案というお話も出たんですけれども,こうい う形でいずれになるにせよ,みられる形が増えるということは,旅行商品 化にとっては非常に大きなことなので,商品をつくる旅行会社としては非 常に魅力がある」と観光学者ではなく観光会社の意見を代弁している(13 頁)。

なおロープウエイ建設に批判的な筑波大教授の吉田正人委員は,この会 は欠席していた。吉田委員のロープウエイ建設に批判的が聞けないのは残 念である。

たが,2019年4月16日に開催された第5回「推進会議」では,事務局の 司会から,「筑波大学の吉田委員に置かれましては,都合により3月末で退 任をされております。」と何らの説明もなく報告された(19)。私には,吉田 委員の辞退の理由はわからないが,「立山―弥陀ヶ原ロープウエイ」構想に 批判的であり,自然保護に理解のあった吉田委員の辞任に大きな疑いを感 じる。

この会議の後,2019年1月29日に,これまでなかった全国組織である日 本イヌワシ研究会からから初めて批判書が提出された。

2019年4月16日に第5回「推進会議」が開催された。この会議では,特 に問題は指適されなかった。

(29)

(1)第1回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」「資料5」,45-6頁参照。

(2)以上のコメンとは,同上,46頁。

(3)第1回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」「資料5」,プログラム5 は,12頁,7は18頁,8,9は21頁参照。

(4)環境省の「国立公園満喫プロジェクト」の政策については,「国立公園満 喫プロジェクトの今後の進め方」を参照。この文書は,2018年8月7日の 第9回「国立公園満喫プロジェクト有識者会議」に提出されたもので,「国 立公園満喫プロジェクト」の基本政策が示されている。なお「国立公園満 喫プロジェクト」については別途検討することになっているので,ここで は立ち入らない。

(5)前掲第1回「推進会議」「資料5」,21頁。

(6)第2回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」の「資料3」,「『海のある スイス』先進地調査報告」。

(7)第1回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」「議事録」,3-4頁。

(8)第2回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」「議事録」,吉田発言は14

-5頁,佐伯発言は17頁,鍛冶発言は18頁。

(9)第3「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」の「資料2」「第3回会議プ ロジェクト進捗報告資料」,11-3頁。

(10)第3回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」「議事録」,15頁。

(11)同上,16-7頁。

(12)同上,19頁。

(13)第4回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」「会議資料」,16頁。

(14)同上,17頁。

(15)同上,16-7頁。

(16)第4回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」「議事録」,3頁。

(17)第4回「推進会議」での各委員の発言の頁は,本文中に( )に示した。

(18)同上。

(19)第5回「推進会議」「議事録」,2頁。

(30)

3 「『立山黒部』世界ブランド化」構想に対する反対運動

(1)「『立山黒部』世界ブランド化」構想反対運動の始動

すでにみたように,第1回「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」で は,「『立山黒部』世界ブランド化」構想・28プロジェクト案が提出される と,「推進会議」の内外から批判の声があがった。

「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」の作業が進展していくと,富山 県内のマスコミは,それを好意的に報道した。その中で,一方では,「『立 山黒部』世界ブランド化推進会議」内部でも,すでにみたように主要なプ ロジェクトに対してかなりはっきりとした批判的意見が出されるようにな り,他方では,外部からの厳しい批判も出されるようになった。

2017年8月22日に,阿曽原温泉小屋の代表佐々木泉氏は,「『立山黒部』

世界ブランド化についての意見書」を「『立山・黒部』世界ブランド化推進 会議委員」宛てに提出した(1)

佐々木泉氏は,意見書に付記された「参考(プロフィール)」によれば,

1980年より富山県警山岳警備隊員として13年間山岳救助活動に当たり,県 警退職後1993年から黒部峡谷の「阿曽原温泉小屋」の経営に当たりながら,

富山県警察山岳警備協力隊長,宇奈月方面山岳救助隊長,環境省自然公園 指導員,県環境保全協会理事,北アルプス山小屋組合理事, 欅平・祖母谷 間道路管理組合副組合長,黒部観光旅館組合長 ,黒部・宇奈月温泉観光局 理事等々を兼任しながら,四季を通じ立山黒部で遭難救助・登山道整備・

山岳地帯での災害復旧等の業務を現場に出て行なってきた立山黒部につい ての自然・地理・気象・登山・観光に通暁した専門家であった。

この「意見書」は,「『立山・黒部』世界ブランド化」プロジェクト構想 として挙げた主な開発事業が安全性を欠如し,大きな危険性を伴っている と指摘し,そうしたプロジェクトに批判的な意見を述べたものである。

この「意見書」は,かなり長文なので,その要点を絞って以下に示す。

(31)

「意見書」は,まず「安全対策有っての観光!立山黒部の特徴を十分考慮 した観光戦略を!」と前置きして,「私と周りにいる,立山黒部の現場に携 わる人間が感じている懸念と実態を理解していただき,会議の参考になれ ばと思い本意見書を提出いたします。」と述べて,次のように指摘する。

第1に,「立山黒部アルベンルートについて」,「近年,アルペンルートの 営業再開時期が年々早まってきており,それに伴い様々な事故・トラブル が発生しています。」と指摘し,以下,さまざまな危険性,気候の厳しさ,

雪崩とか猛吹雪遭遇の危険性を指摘し,警告する。

(1)「冬期間のアルペンルートの気象条件は検証されているのか?」と問 うて,雪の大谷の20メートルの積雪量の大きさを指摘し,11月の「雪の大 谷」で路面が凍結したり,ガードレールが撤去されたり,初夏の「雪の大 谷」のオープン時に高原バスが吹雪に襲われたり,危険を伴っている,と 警告する。

(2)「立山黒部アルベンルート」を「期間延長すれば雪崩の危険が増大す る」,(3)「扇沢(長野県側)からの冬季利用についても雪崩の危険がある」

と指摘し,(4)「極寒期の寒冷地に,はたして一般観光客は楽しめるのであ ろうか」,(5)「乗り物のない区間は大丈夫か」,(6)「登山者・スキーヤー・

スノーボーダー等への対応は」と問い,「立山黒部アルベンルート」の「期 間延長」や「冬季利用」の危険性を具体的に示した。

第2に,「立山駅から弥陀ヶ原まで,ロープウェイを建設する案」につい ては,「その自然へ影響については他の方にお任せして,安全面から述べま す。」として,「ロープウェイを積雪期に稼働させることになると」,「新た に技術・体力ともレベルの高くないスキーヤーを受け入れることになり」,

「山での天候急変」が多く,平坦な地形の雪面でも「視界が効かなくなるホ ワイトアウト」など「大変危険」となり,新たに「安全対策」が要求され

「山岳警備隊の」「大きな負担が増えます。」と指摘する。

第3に,「黒部峡谷鉄道の冬季営業」につて,現状でも「少しの積雪でも 線路まで押し出してくる雪崩が発生する」ので危険であり,冬期間の営業

参照

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