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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

臨床動作法におけるクライエントの多面的理解に関 する研究 : 自己意識と現実検討に着目して

志方, 亮介

http://hdl.handle.net/2324/4474920

出版情報:Kyushu University, 2020, 博士(心理学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (2)

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氏 名 志方 亮介

論 文 名 臨床動作法におけるクライエントの多面的理解に関する研究

―自己意識と現実検討に着目して―

論文調査委員 主 査 九州大学大学院人間環境学研究院 准教授 古賀 聡 副 査 九州大学大学院人間環境学研究院 教授 黒木 俊秀 副 査 九州大学大学院人間環境学研究院 准教授 小澤 永治 副 査 九州大学大学院人間環境学研究院 教授 大場 信惠

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は,身体動作を媒介とする心理療法である臨床動作法におけるクライエントの動作の特 徴と自己意識および現実検討との関連を検討し,クライエントの多面的理解の可能性とその意義 を考察した臨床心理学的研究である。

第 1 章では先行研究を概観し,本論文における問題提起を行った。臨床動作法では,クライエ ントの生活場面における体験様式が動作課題への取り組み方に表現され,さらに動作法時の体験 様式が変容することによって心理的不適応が緩和されると考えられる。先行研究では,臨床動作 法の効果や,動作法時の体験様式に関する実証研究が重ねられたが,他方で生活場面の体験様式 と動作法体験との関連は事例研究が中心であり,実証的に検討する余地が残る。そこで本論文で は,生活場面の体験様式と動作法時の体験様式との関連を実証的に検討し,臨床動作法を用いる 際のクライエントへの多面的理解の可能性と意義を示すことを主題とした。

第 2 章では,身体意識性と悩み方に着目し,自己意識と動作法体験との関連を検討した。第一 節では,身体意識性尺度と悩み方尺度を作成し,身体意識性と悩み方との関連を明らかにした。

第二節では,自己意識と動作法体験との関連を検討した。その結果,身体意識性が高いほど動作 の変容感を得やすいことが,また,悩むことに肯定的であるほど,動作課題に対して身構えずに 安定的な取り組みが可能であり,自体コントロール感や動作の変容感,弛緩感を得やすいことが 示された。

第 3 章では,投影法検査であるロールシャッハ・テストを用いて,対象者の現実検討と動作法 体験および動作課題の展開との関連を検討した。その結果,知覚・表象活動において現実検討が 優位である場合は,動作課題に意欲的に取り組み,自体操作の実感を得やすいことが示された。

他方,知覚・表象活動において主観的な思考や感覚が優位である場合,動作困難感や不快感,不 安感を感じやすいことが示された。さらに,対象者の現実検討の特徴に応じた援助の工夫が考察 された。

第 4 章では,自傷行為等の行動化や対人交流の回避を示す大学生に臨床動作法を用いた事例を 示し,第 2章,第 3章の研究で得られた知見にもとづく事例への理解を試みた。クライエントは 脳性麻痺による身体障害があった。クライエントが示した不適応行動や,自身の身体障害に関す る語りについて,自己意識や現実検討の視点から理解することが可能であった。また,クライエ ントが動作法中に示した動作困難感や特定の課題を回避する様子は,クライエントの他者の目線 を気にする自己意識や心理的葛藤に対して現実的な対応が困難である様子と関連すると考えられ,

第2章,第3章の知見を支持することが考察された。

第 5 章では,本論文における一連の研究結果を要約した。本論文では,動作法体験が身体意識

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性や悩み方に着目した自己意識による影響を受けること,知覚・表象活動における現実検討の様 相から動作課題への取り組み方が予測可能であることが示された。自己意識や現実検討に着目し て臨床動作法におけるクライエントの動作法体験を多面的に理解し,クライエントの特性に応じ た動作課題の設定や援助様式の選択が可能になることが示された。

論文審査においては,臨床事例から読み取れるさらなる解釈の可能性について示唆が行われ,

より重篤な病理を抱える精神科臨床での実践について議論が行われた。また,本論文で用いられ ている心理学的概念に関する議論,他の身体性に着目する心理療法と比較した臨床動作法の独自 性についての議論が行われた。多様な臨床事例での検討や他技法との比較検討などさらなる検討 の余地はあるが,身体動作の変容に伴う自己概念や表象様式の変化に着目する視点を提示した点 は,臨床心理学的意義が大きいと考えられる。

よって,本論文は博士(心理学)の学位に値するものと認める。

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