公共図書館の創造マーケティング : 台北市立図書 館における創造マーケティング活動の経験
著者 曾 淑賢
雑誌名 同志社大学図書館学年報
号 34
ページ 103‑142
発行年 2008‑07‑31
権利 同志社大学図書館司書課程
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011800
公共図書館の創造マーケティング
―台北市立図書館における創造マーケティング活動の経験―
曾 淑 賢
梗概
図書館の商品は蔵書及び蔵書に伴う様々な利用者サービスであり、これら の商品はマーケティング企画及び継続的な進化によって、利用者の使用増加 を図ることは図書館が努力すべき課題である。本文はマーケティングの定義、
公共図書館/情報サービスにおいてマーケティングが必要とされる要因:
(一) 図書館の専門特性及び社会変遷の要因、(二) 公共図書館の競争相手、
(三)図書館マーケティングがもたらされた効率、図書館のマーケティング 戦略、マーケティング組合せ及びマーケティング手順、公共図書館マーケティ ング方式、国内外の図書館におけるマーケティング経験、並びに台北市立図 書館が直近二年間で行ったマーケティング実績を紹介する。
キーワード:公共図書館、マーケティング、台北市立図書館
はじめに
最近、著者は「金書奨」の審査に参加し、天下雑誌によって出版された『台 湾7-SEVEN 創新行銷学: 毎天6000万個感動』 を熟読し、 われわれの日常 生活と密接な関係にある7-SEVEN の創造マーケティングの手法及び成績 が印象に残った。 最近の例を挙げると、 7-SEVEN は2005年5月(民国94 年5月)にHello! Kittyマグネットの魅力を利用し、2億元の費用で10億元 の売り上げを獲得した。一番不思議なのは、その魅力はお年寄りから子供ま で、田舎から都市まで至る所まで及び、思わず7-SEVENの創造マーケティ ングのアイディアに敬服した。 近年、 7-SEVEN が継続的に集客に果たし
〈特集:台湾の図書館〉
た原因及び理由は、より良い差別化サービスを通して次々と新商品、新サー ビスを生み出したことにある。1980年代、一店舗で最高一千杯のシャーベッ トを販売し、お茶の葉っぱで煮た卵を年間一億個販売し、ここ20年間、7-SEVEN は次から次へと新しいアイディアを生み出した(1)。90年代後半以降、 おに ぎり、おでん、21世紀になると、生鮮食品やお弁当の販売をスタートさせた。
サービスにおいては、1980年代はコピー・ファックス、1990年代は公共料金 の支払い、21世紀になると、インターネットと宅急便が普及し、予約販売・
ネットで注文した品物を店頭で受け取るサービスもスタートした。ATMも 新しいサービスである。まさに本の中の一人の顧客が言った「セブンイレブ ンは本当にすごいのはこの点である。私は本当にセブイレブンのこの点が好 きで、セブンイレブンは常にあなたが店を訪れる頻度を増やすニーズを創造 することができる(2)」。
図書館の商品は蔵書及び蔵書に伴う様々な利用者サービスであり、これら の商品はマーケティング企画及び継続的な進化によって、利用者の使用増加 を図ることは図書館が考えるべき課題である。この本を読んでいた時、私は 絶えずにここ数年台北市立図書館の新しい取組みを思い返し、その理念はセ ブンイレブンに近い。もちろん、私はこの本からも良いアイディアをもらい、
ここ数年来の台北市立図書館の新しいマーケティングの理念を実証できたこ とで非常に興奮し、将来また何ができるかを考えさせられた。この文章を通 じて、公共図書館のマーケティングの課題を探求するだけでなく、台北市立 図書館を経営する上での参考となり、国内外におけるマーケティングの成功 実例を国内の図書館同士に参考例として紹介する。
図書館のマーケティング管理を探求する文献は少なくないが、全体的には 理論を探求するものが多く、実際の運用に関する文献が少ない。国内では、
正式的にマーケティング計画を実施する図書館は僅少で、しかも、多くの図 書館ではプロモーションイベントに重点を置き、マスコミを通じての販売促 進、または各種のプロモーションイベントをたくさん開催すればマーケティ ングであると信じ込む。館員はマーケティングの知識に乏しく、顧客の期待 やニーズに対して、科学化・客観化した数値が欠如している。いかにターゲッ ト顧客層のニーズに合った商品を提供し、最適なルートで伝達・提供し、最
も合理的な価格で供給し、かつ積極的に販売促進を行い、ターゲット顧客層 にこの商品を知らせて、利用のモチベーションを高めるかである。Larry X.
BesantとDeborah Sharpは、「図書館の館員はマーケティング経営に得意 ではなく、彼らはマーケティングをしたことがない。図書館の館員は統計、
レポート、プロモーションをしたり、利用を教えているものの、マーケティ ングはしない」と批判した。もし、単に一生懸命に市民を図書館に引き寄せ る方法を考えるだけでは、図書館の蔵書及び蔵書サービスが市民のニーズに 合致するかどうかに対する客観的な評価にならない。商品及びサービスの品 質を維持・向上させる完備した経営戦略や品質制度及び斬新なサービスや商 品がなければ、いかにして顧客を繋ぎ止めることができるであろうか。
Tony Leisnerは、卓越した図書館と目標を達成できない図書館との間に
最も顕著な差異はマーケティングの質と量にあると言っている。そして、「図 書館にとってマーケティングは非常に重要であり、図書館のマーケティング 及び図書館が提供するサービスを整備すべきである」と提言する。図書館の 管理にとって、マーケティングの管理がいかに重要であるかが分かる。今日、
図書館のマーケティング管理はもはや図書館情報業界の共通認識であり、よ り多くの図書館ではマーケティングが自分の戦略計画または実施計画の中に 盛り込まれている。しかし、いかにしてマーケティングの質を向上し、マー ケティング計画を変化する環境に対応させ、更なる図書館の戦略目標サービ スを提供するかということは、研究及び思考を深めなくてはならない重要な 課題の一つである(3)。
一、マーケティングの定義
(一)「マーケティング」とは?
Philip Kotlerは、マーケティングとは顧客のニーズを見分け理解するこ とであり、並びに顧客のニーズに合う解決方法を提出できる芸術及び科学で あると言っている(4)。吳濟華、 王翔煒はマーケティングが一種の社会性及 び管理性の過程であり、このプロセスを通じて個人と団体が、お互いに商品 及び価値を創造・交換することによって需要と欲望を満たす見方であると提 唱している。マーケティング計画のプロセスには四つのステップが含まれて
いる:市場機会の分析、マーケティング戦略の策定、マーケティング方法を 計画し具体的なマーケティング組み合わせを制定すること(所謂「四つのP」、
4P:商品、価格、プロモーションと流通)及び組織、執行とマーケティン グの成果をコントロールすることである(5)。
マーケティングは使用者側のニーズを出発点として、一定の方法を使って 売り手の商品またはサービスを買い手の所に移転させ、その中から利益を獲 得する一連の活動の合計である。マーケティング視点での4P理論(商品、
価格、プロモーションと流通)から、買い手視点での4C理論(顧客、コス ト、利便性とコミュニケーション)、更に最新の相互性とwin-winを強調す る4R(関連、反応、関係、フィードバック)、マーケティングの管理は徐々 に人を重視し、顧客関係管理(CRM)を重視した関係マーケティングと、
システムの組合せを重視した統合マーケティングの方向へと発展した。マー ケティングはもはや企業の独占ではなく、より多くの政府機関、教育研究機 関及び各種の非営利の社会公共機関でも、マーケティング管理を通じて自分 の知名度を向上させ、自分の商品やサービスをプロモーションする動きが始 まっている。邱均平は「知識管理行銷與競爭情報」の文章に知識マーケティ ングと競争情報はコアの競争力を向上させる重要な手段と見なしている(6)。 Dinesh K. GuptaとAshok Jambjekarは図書館哲学の観点からマーケ ティングの意義を認識すると提案した。図書館哲学は図書館と情報センター の実践、技術及び活動の根本的な原理を探求し、統合を経た図書館のマーケ ティングは図書館館員の職業が変化する環境の中にある基本価値と信仰を強 化させる。従って、彼らは「マーケティングは一連の観念の組合せであり、
組織に統合されなければならない」、「図書館のサービスをマーケティングす るのはお金の問題ではなく、組織自体と従業員全体の観念問題である」と主 張した(7)。
(二)「マーケティング」は……ではなく、……である
「マーケティング」は公共関係及び広告を作ること、或いはマーケティン グは頑張って商品を売り出すこと、更に顧客/使用者に彼らが欲しくない或 いは要らない商品/サービスを購入/使用させることだと一般に言われてい
る。ただ、様々な関係を使ったり、またはマスコミにお金を掛けて広告を出 したり、或いは景品、割引、特別価格の方法で販売を促進するだけで、顧客 ニーズの分析、市場調査、商品のターゲット及びサービスの設計を行わなかっ たり、品質管理を怠れば、初期に大勢の顧客が商品を購入するかもしれない が、ニーズに合った商品ではなく、特色のない商品または欠陥商品の場合は、
顧客が1回だけ商品を購入し、その後は購入の意欲をなくすのである。従っ て、マーケティングには以下の概念が含まれている(8):
1、まず、マーケティングは使用者(顧客)のニーズを分析する
マーケティングは個人及びターゲット団体を調査・訪問し、新しい情報 を蒐集し、既存の統計資料も含めた現在持っている情報を使って、顧客の ニーズを分析し、かつ顧客のニーズに応じて、商品を設計しサービスを提 供する。
2、マーケティングは潜在的なマーケットからより小さな次のマーケットを 区切る
マーケティングは顧客のニーズに応じて、商品を設計しサービスを提供 するので、まず、市場の状況を理解し、かつマーケットの区切りをするこ とで、ターゲットの顧客に積極的にプロモーションをすることができる。
図書館にとっては、顧客のニーズを考慮し、違う客層のマーケッティング 戦略を策定する時に、特殊読者、児童、青少年、お年寄り、民族団体、閲 覧素質のない人など、それぞれに対して設計することが望ましい。更に児 童に関しては、赤ちゃん、幼児及び小学校低、中、高学年児童などに分け ることができる。
3、サービスは顧客のニーズに合致する
マーケティングは顧客に図書館が提供しているサービス及び商品を知ら せるだけではなく、顧客のニーズに合ったサービスを提供しなければなら ない。今の蔵書、サービス及び設備は果たして顧客のニーズを満足させて いるか?顧客が期待するサービス項目があるかどうか、図書館がまだ提供 していない参考サービス、図書の宅配、デジタル図書などのサービスがあ るかどうか。また、新しいサービス項目を企画する際に、顧客のニーズを 全く考慮せず、ただ新しさだけを追求するのではなく、顧客のニーズを創
造しなければならない。そして、現行のサービス及び現行のサービス施策 が顧客のニーズに合うかどうかを常に検討しなければならない。
4、マーケティング計画を発展・実施する
マーケティングは緻密な計画を持って、徐々に実施しなければならない。
図書館は市場調査、区切り、顧客のニーズを分析し、かつベストの商品及 びサービスを決めた後、適切なルート及びプロモーション方法を選択し、
ターゲットの顧客層に知らせなければならない。従って、図書館の館員は サービス、費用、伝達方法を熟知し、及び市民に知らせる一番の方法を知 らなければならない。
5、効果を評価する
マーケティングは商品或いはサービスを提供した後、顧客が商品に対す る反応、受け入れの程度及び満足度、価格に満足しているか、ルートは適 切なのかどうかを定期的に評価し、評価の結果をもとに改善しなければな らない。
二、なぜ、公共図書館/情報サービスにマーケティングが必要?
インターネットの普及により、図書館はもはやコミュニティ内の唯一の情 報資源ではなくなる。インターネットは数多くの図書館の蔵書サービスや全 文検索をも提供しているため、どの図書館ももはや地域内の唯一の図書館で はなくなる。インターネット情報の獲得可能性は、多くの利用者の情報検索 方法を変えさせる。公共図書館の強みはどこにある?利用者を図書館に引き 寄せる差別化したサービスは何か?その理由は?
通常、公共図書館はインターネットの情報よりもっと良い情報や個人の指 導と協力を提供しているが、コミュニティの中の使用者はこれを知っている かどうか?図書館は図書館のサービスを利用し得る一人一人に接触し、正し いサービスを提供できているか?ベストの方法とは何か?コミュニティの使 用者が一番必要とする情報とサービスは何か、または最近、図書館にどんな 情報とサービスを申し入れているか?マーケティングは図書館にこれらの答 えを見つけ出す手立てである。マーケティングは図書館をコミュニティの中 の重要な情報資源、利用者が情報を検索する際の重要機構に変身させ、図書
館が使用者のために何を提供しているかを分からせる。マーケティングは良 好な顧客関係を築き、図書館と媒体、企業、地方政府及び組織との間の関係 作りに役立っている(9)。
(一)図書館の専門特性及び社会変遷の要素 1、図書館は高度なチャレンジ性を持つサービス業
図書館情報学は変化し続ける科学であり、図書館のサービスは情報科学 の進展を受けて、情報の処理、保存及び伝達方法を常に変化させ続けてい る。図書館も従来の本を保存する役割から、現在の関連性を持つ所と競争 し、同じ行政単位に所属する部署と有限な資源を取り合うものへと変化し ている。
(1)顧客マーケットのチャレンジ
顧客のニーズは時代の変化と共に絶えず調整・増加し、顧客ニーズへの 満足も情報源の多元化に伴って、益々選択肢を増やし、図書館はもう資料・
情報を獲得する唯一の情報源ではなくなってきた。より良い選択があり、
もっと便利でもっと斬新的でもっと豊富な情報があれば、図書館は取り残 される。
顧客の満足度を促進するのは、企業が競争優位を作り出す重要な経営戦 略である。顧客のニーズや意見を幅広く蒐集し、顧客の満足度を指標化し、
有効かつ十分に管理し、サービスの品質及び経営の実績を高める。従って、
現代化した公共図書館は、コミュニティの特性と使用者の情報ニーズを調 査・分析し、使用者は図書館が提供している各サービスに対する意見を理 解し、サービスを受ける根拠とする。
(2)資源のチャレンジ
公共図書館の経費財源は主に政府予算である。不況で政府の税収が減少 し、財政が逼迫した状況では、図書館の経費は通常の業務をぎりぎりまか ない、図書館はサービス項目の増加及びサービス品質の向上に伴う経費を まかなうのが難しい。社会資源の獲得において、外部に援助をしてもらっ て、経営逼迫の状況を乗り越える政府部門が多くなっている。しかし、不 況の中で能力ある、意欲ある企業が少なくなり、資源の獲得が一層難しく
なっている。
2、図書館は変化に直面している―活字からデジタル資源
(1)図書館はこれらの変化が蔵書利用への影響を決定する方法を見つける。
図書館の処理、保存及び情報伝達の方法は、ITが進歩した影響を受け て改善し続ける。従来の印刷媒体から、視聴、画像縮小媒体及び今日のデ ジタル媒体などは、図書館のサービスモデルを大きく変化させ、図書館は これらの変化が蔵書利用への影響を決定する方法を見付けなければならな い。これらの変化は蔵書の利用にどんな影響を与えるか?利用者は図書館 を使用する習慣に変化があるか?従来の閲覧及び図書資料を利用する重要 性が低下し続けるか?新しいデジタル蔵書サービスモデルを検討するかど うか?時代の変化と共に新しい技術及び媒体を十分に使って、サービスの 効率を向上させ、利用者のニーズを満足させるためには、図書館の館員は 学習し続けなければならない。
(2)図書館はこれらの変化が使用者に与える影響を使用者に告知する。
情報科学が急速に発展し、各種の知識及び技術は各分野の中で発生し、
情報化及び伝達方法も多様化している。図書館はこれらの変化が与える影 響を使用者に告知しなければならない。公共図書館は顧客の立場に立ち、
サービスの提供方式は便利かどうか、情報検索への満足に影響しているか どうか、不合理な制限はあるかどうかなどを随時検討しなければならない。
デジタル資源の購入、保存は伝統的な作業方式を変化するだけでなく、サー ビスの提供においても、相当程度の変革をもたらしている。図書館はいか にして顧客の立場に立ち、顧客のニーズ、期待及び使用上の利便性を考慮 し、随時に各種業務の調整及びサービスの変更を顧客に告知し、意見を聞 き入れる必要がある。
(二)公共図書館の競争相手
公共図書館は非営利の組織であり、その目的は使用者に仕事上、学習上及 び生活上における図書情報へのニーズを提供するもので、利潤の追求はない。
ただし、過去のように消極的に利用者が来館するのを待つのではなく、コス ト効率・社会責任及び機能の発揮を重視しなければならない。特に、図書館
は外部からの圧力に直面する際に、経営者は管理モデルの変更を余儀なくさ れ、積極的に様々な方法を使って読者の閲覧趣味や図書館の利用を促してい くと同時に、図書館及び読者の両者が共に勝つ局面を作り出す必要がある(10)。 1、公共図書館にはどんな競争相手がいるか?
(1)他の図書館
図書館においては、本国(台湾)の国家図書館、専門図書館、大学図書 館、私立図書館、他の公共図書館、強いては海外の図書館は全て競争相手 である。お互いにサービスの斬新さ、卓越さを追求する良い競争相手に属 している。
(2)大型書店、インターネット書店
図書館と大型書店は競争相手であり協力相手でもある。読書が好きな利 用者は図書館で本を借り出すだけではなく、本を購入し出版業界の市場を 促進することが望まれている。大型書店は頻繁に講演会、読書会、作家サ イン会などの読書イベントを開催し、良い本、新書の情報を会員や消費者 に提供している。インターネット書店はメールマガジンを使って、定期的 に本の情報、或いはカスタマーズされたサービスを顧客に提供し、趣味に 合った本の情報を自主的に会員に送る。これらのサービス項目と図書館の 機能やサービスが同質であり、顧客は図書館に書店の卓越したサービスを 求めている。従って、図書館は書店と良いライバル関係を保ち、そのやり 方を学習し参考にしなければならない。
(3)オンライン図書代理店
オンライン図書代理店は書目情報、お勧め書目、図書情報及び情報内容 の概要を提供し、その性質は図書館のサービスと商品に類似し、これも利 用者または非図書館の団体が図書館の情報を入手するルートである。
(4)インターネットコミュニティ(無料のインターネット資源)
「インターネットがあれば、図書館に行く必要はない」、「インターネッ トがあれば、図書館に行く人が少なくなってくる」といった言い方が出た 後、図書館は脅威に晒され、積極的に新しいサービスを求め、インターネッ ト化した情報サービス、多様化したインターネット情報を提供するように なった。更に、Googleの「Google Answer」や、Yahooの「Yahoo知
識+」が提供された後、図書館もいかにもっと専門的に便利で、かつ無料 のインターネット化した即時インフォメーションサービスを提供できるか を研究しなければならなくなった。
(5)その他
情報上において、図書館と競争関係にある組織はどれも競争相手である。
例えば、台北市立図書館は台北市政府教育局に所属しているため、同じ教 育局に所属する社教機関、例えば台北市立動物園、天文館は全部競争相手 に当たる。また、同じ市民にサービスを提供する機関であっても、サービ スの品質、顧客の満足度、マーケティングの手法などが一緒に評価される ことがしばしばあり、良い競争相手の場合はお互いの手法を参考し合って、
サービスの品質を向上させることができる。
2、競争相手を分析する
(1)競争相手は、自分より良いところあるいは悪いところは何ですか?
図書館や企業を問わず、競争相手はオープン時間が長く、より良い閲覧 雰囲気、より良いサービス品質を行っているかどうか。例えば、誠品書店 は24時間営業でゆったりとした閲覧雰囲気、本の事を知り尽くす専門の店 員がいて、多元化した閲覧イベント、会員サービス、より良い商品を提供 するなどして、これらは図書館に衝撃を与えている。
(2)競争相手はパートナーになる可能性があるか?外部資源の運用 前述したように出版社、書店、他の図書館は図書館の良い競争相手であ りながらも、共にパートナー関係を築き、共同で閲覧イベントを推進し、
バーチャルの参考サービス、レファレンスサービスを提供することができ る。
(三)図書館マーケティングがもたらす利益
公共図書館でマーケティング計画が実施された後にもたらされた利益は同 様ではないものの、以下の通りである(11):
1.マーケティング計画の実施は、ターゲットマーケット及び顧客層に対し て調査及び分析をして、図書館の館員が顧客の類型及びそのニーズを知る ことができ、顧客のニースに応じてサービスを企画し商品をデザインする。
2.マーケティング計画は、図書館にどんなサービスを提供したらいいか、
もっと良い戦略、例えば24時間サービスの評価を検討させることができる。
3.マーケティングは結果から導かれた改善方式であり、サービス及び蔵書 を改善することができる。
4.図書館は顧客を増やし、現在の顧客の使用頻度の増加も含めて、潜在的 な顧客の利用を促すことができる。
5.マーケティング計画の実施は、図書館に任務、価値及びサービス哲学を 点検させるだけではなく、各項目の目的及び行動指針の実施効果をコント ロールし、将来図書館をもっと正確かつ合理的に発展させることができる。
6.マーケティング計画は、図書館の母集団におけるコア地位を維持させる ことができる。
7.図書館マーケティングは上位組織及び議員に図書館の業務及びサービス の推進効果、並びに市民に対する重要性を分からせ、十分な支持及び経費 を獲得することができる。
8.図書館のイメージを変え、市民に図書館の機能及び努力を知らしめるこ とができる。
三、図書館のマーケティング戦略、マーケティング組合せ及びマーケティン グプロセス
(一)マーケティング戦略
マーケティング戦略には主に六つの戦略、すなわち目標戦略、位置付け戦 略、4P組合せ戦略などが含まれている。中には4P組合せ戦略は、目標戦 略及び位置付け戦略の基礎の上に展開されている。4P組合せ戦略は商品戦 略(Product)、 価格戦略(Price)、 ルート戦略(Place)、 プロモーション 戦略(Promotion) に分けられる。 マーケティングの専門家は従来の4P 組合せに人(People) を追加し5Pとした(12)。 その中、 商品戦略はとても 重要であり、商品戦略が決まった後、次の戦略を続々と展開することができ るからである。従って、商品は販売の主体であり、商品戦略が決まったら、
価格、ルート、プロモーション戦略などを策定する基礎が出来上がる(13)。 マーケティング専門家のKotler(1998)は「Marketing Management」
という本の中で、現在マーケティングの核心は、所謂STPマーケティング
―即ち区切り(segmenting)、目標(targeting)、位置付け(positioning)
であり、この枠組みはマーケティング戦略を分析する根幹であると述べた。
学者のThomas(1978)はサービスマーケティングの枠組みに対して、はっ
きりした概念を提出し、学者のHeskett(1987)はこの枠組みをサービスの 黄金トライアングルと呼び、この枠組みには:1.外部マーケティング(external marketing)2.内部マーケティング(internal marketing)3.相互マー ケティング(interactive marketing)が含まれている。外部マーケティン グ戦略は、即ち従来のマーケティングの4Pである。内部マーケティング戦 略には主に五つの項目:1.内部マーケティング戦略の概念化2.人的資源 管理の傾向3.サービスプロセスの合理化4.現場人員の必要条件5.顧客 本位の評価が含まれている(14)。 従って、 いかなる組織も外部マーケティン グを重視するだけではなく、内部マーケティングも無視できず、周到な内部 マーケティングは外部マーケティング作業の推進に役立っている。
(二)公共図書館のマーケティング戦略組合せ
マーケティング戦略の4Pの組合せは非常にフレキシブルであり、図書館 のマーケティング戦略を策定する際に、四つの項目を同時に考慮に入れるこ とで、顧客に満足した商品やサービスを提供することができ、図書館マーケ ティングの目的を果たすことができる。
1、商品(Product)
市場マーケティング学の商品に関する概念とは、市場が提供し、かつ人 のある種のニーズに満足させる実物、サービス、保証、意識などの形式を 含む全てのものである。市場マーケティング学の商品に関する概念には二 つの特徴がある:まず、商品は実物を持つものとは限らず、人のある種の ニーズに満足させるサービスも商品である。次に、企業にとっての商品は 実物を持つ本体だけではなく、実物を販売する際に追随するサービスも商 品である(15)。
公共図書館の商品は、基本的には図書館が提供している情報資源、施設 設備、サービスとイベントから構成される。従来の情報資源、例えば図書、
雑誌、新聞などの印刷資料から、縮小資料、テープ、ビデオ、DVD、視 聴覚資料など、新しく開発された商品として電子ブック、電子資料庫(デー タベース)などの電子資源がある。施設設備は従来の本棚、机から、視聴 覚室、インターネット検索設備など、サービスも従来の閲覧、取り寄せ、
参考、視聴から情報、インターネットサービスなどがあり、立て続けに従 来の商品やサービス設備を改善し、施設上においては、顧客のニーズを考 慮しもっと快適で便利な設備を提供している。とにかく、新しく提供され た商品とサービスは、顧客のニーズに応じて設計し、時にはカスタマーズ され、良好なルートとサービス価値を持ち、プロモーション後にいい評価 をもらい、顧客の愛用を獲得したら、成功した商品と言える。
2、価格(Price)
企業は商品の価格をどのように決定するか?長い間、市場経済のもとで 価格は企業の経営者が最も重視する戦略の一つである。価格は市場マーケ ティング組合せの中で、唯一企業に収益をもたらす要素であると同時に、
市場競争の一つの重要な手段であり、価格の設定が適切かどうかは、商品 の販売量と企業の利潤に直接関わるからである。従って、いかに商品に適 切な価格を設定するかは、企業の経営者が直面している現実味を持つ重大 な戦略課題である(16)。
営利の組織にとって、価格は消費者に消費行為を引き寄せ、競争相手と 市場占有率を奪い取る重要な要素である。ただし、公共図書館は非営利の 組織であるため、その商品とサービスの価格には、製造と商品を運送する 際に発生した直接的及び間接的なコスト、或いは全ての実際の費用が含ま れている。公共図書館の主な目標は、金儲けのためではなく、図書館の機 能が発揮できることを追及し、かつコスト利益の極大化を強調する。そし て、図書館の経費は政府の税収から賄われているため、市民は必要な資料 とサービスに対して対価を支払ったと思いがちになる。 ただ、「使用者が 支払う」という概念は依然として図書館に適用されるが、完全にコストで 計算することができない。公共図書館の任務の一つである経済的な弱者に 無料、もしくは安いコストで図書情報サービスを提携することができ、そ の閲覧及び学習のチャンスが経済条件によって制限されないことを考慮し
なければならない。
基礎サービスは無料で提供しているが、個人化サービス或いはきめ細か いサービスの場合は、有料にすることを考えてもいい。例えば、図書を自 宅まで配達するサービスなら、お年寄り、体の不自由な人や視覚障害者に 無料で提供しているが、健常者でこのサービスを利用する場合は若干費用 を徴収する。また、図書館のメールマガジンは全ての利用者に無料で提供 できるが、個人の専門的なニーズに応じて斬新的な全文検索を提供する場 合は費用の徴収方法を設計してもいい。
3、場所(Place)
場所は商品と顧客を結び付ける。企業のマーケティング活動には場所が 欠かせないマーケティング要素の一つである。マーケティング場所を確定 する過程が非常に緩く、かつ確定後の変更は容易ではなく企業がコントロー ルし難いため、企業のマーケティング組合せの肝心な部分となっている。
マーケティング場所の目的は、企業が最も有効な方法で商品をターゲット 顧客の手に移転させることである。適切なマーケティング場所戦略を決め るには、マーケティング場所を確定し、運営の過程における主な問題を研 究しなければならない(17)。
図書館のサービスと商品の場所は実在の空間とバーチャルな空間がある。
従来、図書館の場所は実在の空間、即ち図書館である。実在空間のマーケ ティング場所が関係する問題は入口、標示、移動方向、図書館館員の行動 などがある。しかし、今日、図書館の経営は「私たちは図書館へ行く(We go to the library)」から「図書館は私たちの真ん中に来る(The library comes to us(18))」に変化し、様々なルートを使ってサービスと 蔵書を図書館という実在の空間から外にプロモーションしていくことを強 調しているので、インターネット化された情報サービスは各種類の図書館 が積極的に取り組む領域である。近年、この部分のやり方に関しては、国 内の公共図書館は図書館ホームページを立ち上げ、インターネット上で蔵 書、電子図書、電子データベース、インターネット情報の検索、オンライ ン視聴、教育訓練プログラムなどに取り組んでいる。これらの機能は実在 の空間の制限を超えて、顧客が簡単に自宅、オフィス、学校で情報を検索
することができる。なお、有料または無料の図書宅配サービスは、地下鉄 駅、ショッピングセンターに図書館を設置し、出張式の図書巡回車を提供 するのも、もっと自主的に積極的に蔵書サービスを外にプロモーションし、
使用者はもっと便利なルート上に図書館の商品と出会い、図書館を利用す るモチベーションを引き起こす。従来、使用者は問題があって図書館の館 員に助けを求める時のルートは直接来館、電話での問い合わせ、手紙での 問い合わせなどであったが、近年、新たに追加されたルートは電子メール、
オンライン視聴、オンライン相互システムなどがある。
4、プロモーション(Promotion)
プロモーションとは、販売を促進することであり、企業は一定の方法を 通じて顧客にメッセージを伝え、かつ顧客と情報のコミュニケーションを 行うことで、消費者の購買行為に影響を与え、企業が商品を販売する目的 を果たすマーケティング活動である。その使用の便利さは広く企業に重視 され、企業の主な競争手段となる(19)。
一般的には、商業のプロモーション目標は情報の提供、商品の区別、商 品価値の強調、需要の刺激、安定した売り上げなどがある。プロモーショ ンの方法は広告―商品カタログ、商品陳列、ポスターとダイレクトメール、
広告関連の雑誌、DMの郵送、人員による訪問販売、販売促進―景品、抽 選、特別価格、割引、公共関係―研修会、招待会、講演会、年度報告など がある。
図書館のプロモーションは使用者にどんな商品を獲得できるかを知らせ、
読者を潜在的な読者から実際の読者へと変身させ、図書館を知らないこと から図書館を利用することへ変えさせ、例えば作家の講演会、読書会の開 催、夏休みの読書活動、或いは館内の展示などを使って、蔵書をプロモー ションする。或いは、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどのマスコミを通じ て、販売促進の効果を促す。プロモーションの最も重要な原則は、様々な 方法を使って顧客とコミュニケーションする、 所謂相互マーケティング
(interactive marketing)であり、第一線でサービスを行う人は、読者 の観点から出発し、図書館のサービスを読者に提供する相互行為である。
図書館のサービスを行う人は読者と良好でハイクオリティー、かつフレン
ドリーな動きがあってこそ、本当の優れたサービスである。図書館の第一 線でサービスを行う人は図書館の理念を伝える使命を背負うため、成功し た相互マーケティングは概ねサービスを行う人の専門素質に頼っている。
特に、図書の購入、図書の分類、参考資料をあつかう専門館員を統合し、
図書館のサービスを読者が必要とするサービスとして提供し、読者と共同 で良好な相互サービスを築き、図書館サービスの品質を高める。全体的な マーケティングコミュニケーションには広告、公共関係、プロモーション 活動及び直接マーケティングなどが含まれ、最も重要なのは明白かつ一致 したメッセージであることである。なお、図書館は定期郵便、特別郵便、
内外のホームページ、年報などの方式で図書館の理念とサービスをプロモー ションすることもできる。
5、人(People)
人は図書館の核心である。この「P」をマーケティングの組合せに加え ることによって、人という要素が全てのマーケティングの側面における重 要性を確かめることができる。図書館にとって、人はマーケティングの鍵 である。大型の図書館なら通常コミュニティ関係、公共関係、或いはマー ケティング人員或いは部門がある。マーケティング人員は豊富な知識を備 えるため、通常コミュニティとの接触を担当する。これらの専門人員は、
マーケティングの作業に触れるべきであるが、図書館の全てのマーケティ ングサービスを担当するものではない(20)。
(三)公共図書館のマーケティングプロセス
マーケティングの作業は循環しているものである。周到なマーケティング 計画の基礎は、図書館の任務、価値及びサービス哲学を検証するものである。
そして、図書館の能力を分析し、顧客のニーズを研究することで、サービス の方向を改善でき、或いは使用者のニーズの充足を促進する措置を見付ける ことができる。次に、分析及び研究を用いて、プロモーション政策を選択し、
マーケティングアクションプランを発展させ、今完成した状況を実施・評価 する。また、評価の結果を用いて、新たなマーケティング計画を変更し発展 し、図書館、コミュニティ及び情報世界の変化に対応させる。従って、公共
図書館のマーケティングには概ね以下のプロセスが含まれている:内部評価
(internal assessment)、マーケティング研究(market research)、特定 目標の設定(setting specific goals)、プロモーション戦略の選択(selecting promotion strategies)、アクションプランの作成(creating a plan of action)、実施(implementation)、評価(evaluation)。詳しい説明は以下 の通りである(21):
1、図書館は情報/図書館サービスの任務を明確に設定し、図書館の任務或 いは目的を検証することによって、マーケティングプロセスを開始する。
2、マーケティング審査及び内部評価を通じて、図書館の能力を評価する。
企業の方向性、如何にたどり着くかを決める前に、企業の現在地を知ら なければならない。図書館はSWOT及びPESTの技術を用いて、図書館 の現況を検証し可能なチャンスを確定することができる。
(1)SWOT(strengths, weaknesses, opportunities, threats)
図書館側が考えている強みは、顧客側から見れば必ずしも強みではない。
例えば、大量の蔵書が強みであると思われているかもしれないが、使用者 にとってもっと重要なのは新鮮さであり、彼らは数量は少ないものの、新 鮮さを持つ蔵書のほうが好ましい。従って、一生懸命に図書館の強み、弱 み、チャンス及び脅威をリストアップし、マーケットについて研究し、強 みや弱みに対する仮説を検証する必要がある。ある要素、例えばインター ネットは図書館の脅威でありチャンスでもあると捉えることなどである。
(2)PEST(political, economic, social, technical)
もし図書館はある組織に所属したら、図書館はマーケティング作業を企 画する際に周りの環境がその母組織に与える影響や、組織内の環境が図書 館への直接的な影響を知らなければならない。それぞれの影響要素に対し、
今の状態やこれからの発展を検証しなければならない。
A.政治要素(P):法律要素、例えば著作権問題、一般的な政治環境。
B.経済要素(E):経済が個人や組織に与える影響。
C.社会要素(S):人口の変遷、社会習慣の変化(どこで消費する、レ ジャー娯楽への希望)及び教育の改革など。
D. 技術要素(T): 広い技術要素が図書館及び情報センターに影響を与
える。例えばインターネット、電子通信及び人々が 情報の発見を期待する媒体。
3、マーケティング研究を行うことによって、顧客が必要とされている商品 は何か、顧客が図書館をどのように見ているかを理解する。
1995年アメリカマーケティング学会(American Marketing Association)
のマーケティング研究(market research)に対する定義によれば:「マー ケティング研究は情報を通じて、消費者、顧客及び市民と結び付くこと、
研究員は情報を使ってマーケティングのチャンス及び問題を確認・区切る こと;マーケティング活動を発生させ、改善及び評価を行うこと;マーケ ティングの効果を監督しマーケティングプロセスへの理解を深めること(22)」 としている。通常、マーケティング研究が関係する活動は以下の通りであ る:(1)問題を確定する(2)仮説を立てる(3)テストの方法を決め る(4)資料を収集する(5)整理・解釈する(6)政策を決める。
マーケティング研究は図書館に図書館の使用者が何を探しているかを決 める時の手伝いをするものである。例えば、商品の特性からすると、種類、
品質及び設計などがある。使用者はサービス、システム、活動及び資源の 中から得られた利益は何かと言えば、例えば、良いパフォーマンス、品質、
信憑性及び耐久性などがある。
4、商品及びサービスを区切った後、競争相手を正確に特定することができ る、所謂マーケティングプロセス中の「競争を検視する」である。例えば、
学術図書館、商業情報サービス会社、インターネット、書店、他の学術情 報センター、地方のコピー屋さんや学生間の図書の貸出などは、公共図書 館の競争相手となり得る。
図書館の競争相手を確定した後、本館のあり方を決める必要があり、並 びに競争相手と区別をする。例えば、潜在的な使用者に優先的に図書館を 選ばせる良い理由を与えることなどである(23)。
5、図書館の任務、内部検証及び外部顧客のニーズを評価した結果に基づき、
マーケティング目標及び目的を展開する。
新しいマーケティング計画を展開する際、マーケティングの目的を明確 にすることは最も重要なプロセスである。但し、マーケティングの目的を
設定する際に経費、人力及び計画の執行を考慮しなければならない。合理 的に執行可能な目的は計画の道しるべや、進捗を追跡する評価道具となる。
目的はなるべく詳細に示したほうがいい。
6、各目標に合致するために、図書館の商品をプロモーションできる戦略を 選択し、マーケティング戦略を明確に決め、プロモーション組合せの各要 素間のバランスを取る。
有効なマーケティング戦略の発展は、マーケティング組合せを規範する 必要があり、これらの概念は広く営利組織に使われている。ただ、提供し ている商品への検証及び商品が使用者に対する価値への評価を通じて、い い図書館マーケティング計画は利益をもたらすことができる。
7、目標に合う戦略を使って、実行する必要のあるアクションプランを策定 し、マーケティング戦略を実施する。
8、実施の効果を評価する。
図書館は定期的に内部及び外部評価を行い、マーケティング計画を修正、
追加をすることができる。たとえ特定の努力を継続しなくても、長年提供 してきたサービス計画の停止もためらうことはない。ある計画を停止する 目安として、あらゆるデータから該当サービス計画は効果がないと明らか になったときである。これを失敗とは考えずに、計画が成功するチャンス であると考える。なお、評価を行う際、計画を成功させる全ての要素を考 慮しなければならない。これらは直接的に外部資源の伝達に携わらない図 書館の人員が含まれている。
(四)公共図書館のマーケティング方式
公共図書館のマーケティング方式は様々な組合せがあり、本節では比較的 にプロモーションに使われている資料、景品、措置、並びに如何にインター ネットを通じてマーケティングを行うかを紹介する。
1、図書館のマーケティング資料
従来、図書館がプロモーションに使っていた書類資料は全てマーケティ ングの資料と見なして良い。各図書館では印刷物を作成し使用者に配布す る。たくさん情報を展示している図書館もあれば、不足している図書館も
ある。適量の印刷物に、しかも各印刷物ずつ一致したビジュアルインパク トを作り出している。強烈で一致したビジュアル標識は図書館の可視性及 び生き残る能力を増幅させるものである(24)。
(1)図書館ロゴ
多くの大企業ではロゴがマーケティング計画の核となる。通常、ロゴは 管理階層から概念を提供され、画像デザインナーによって設計され、経営 管理グループの認可を得たら採用される。図書館も同様である。図書館の ロゴは、図書館に関連する情報を導く役割を果たすべきである。通常ロゴ は、一つの小さな円形に収められ、図書館の価値や任務、並びに図書館の 名称或いは略称が描かれている。ロゴの色合いが非常に重要であり、図書 館の特性に符合しなければならず、かつ読者の注意を引くものでなければ ならない。一般的なマーケティングの実務上では、ロゴは特定の顧客層を 増やし、または特別なイベントを引き立てることができる。図書館のロゴ は多様性を持ち、各年齢層の注意を引かなければならない(25)。
(2)図書館情報資料(Library Information Materials)
全ての図書館ではプロモーションを促進する冊子、ビラ、便箋及びパン フレットが作られている。これらの資料の大半は分館に置かれ、現在の使 用者が利用しているが、以下の資料なら、プロモーション及びマーケティ ングの運用上において、大量に印刷する必要がある(26)。
A.図書館位置図
図書館位置図には図書館本館及び分館の位置を示し、使用者に家の近 くにどんな図書館があるかを知らせ利用してもらうために、各拠点の主 な道路を含めて、図書館の位置図をなるべく明確に描く。なお、地図上 に利用時間及びお問合せ先を印刷しても良い。
B.貸出証
図書館の貸出証はアメリカ図書館の重要な商品である。適切に使用す れば良いマーケティングツールになる。多くの公共図書館ではキーホル ダー式貸出証の発行を開始させている。貸出証に穴を開き、ちょうどキー ホルダーに繋がるサイズなので携帯に便利である。ポケット或いは財布 に入れても、キーホルダーを取り出す時に貸出証が見えるから、利用者
に図書館へ行って本の貸出をしたい気持ちを喚起することができる。
C.メールメッセージ
図書館メールメッセージの作成は簡単である。通常、このメールメッ セージは新しい顧客ではなく、現在の顧客の維持に使われている。一部 の大型図書館では、児童版及び大人版の二種類のメールメッセージを作っ ている。但し、大人のメールメッセージなら大量に大人に送信している が、児童に対してはそうではない。児童にメールを送ったら、図書館の 利用を喚起し、並びにその両親にも喚起させることができる。もし、図 書館は政策或いはソフトの関係で児童にメールメッセージを送れない場 合、大人向けのメールメッセージを作成したり、父母、先生、託児所或 いは小児科医など、児童に関連する仕事に従事する人に送ればいい。
メールメッセージは時効性のあるイベント、資源及びサービスをリア ルタイムに伝達することができる。限られた空間に多すぎる情報を入れ ることを防げる。児童向けのメールメッセージなら、適切に画像を入れ てレイアウトしても良い。
D.便箋
図書館は便箋を印刷するのが好きなようである。あらゆるテーマ、新 書、電子資源、古本などを使って便箋を作ることができる。コンピュー タを使ってレイアウトし印刷すれば簡単に作れる。
E.名刺
名刺に図書館のロゴ、図書館のホームページや連絡情報を印刷されれ ば、図書館のベストのプロモーションツールとなる。その大きさは携帯 に便利なだけでなく、相手に図書館の存在を喚起させることができる。
名刺のデザインはなるべく貸出証と同様で裏面に連絡情報を印刷すれば 良い。
(3)斬新で割安な図書館資料(Novelty Library Materials)
通常、図書館は特殊なイベントを主催し、または特別なサービスを提供 する際に、イベントに参加する人に景品を贈呈するために予算を組んで景 品を購入している。しかし、図書館の利用者の注意を引くことが重要では あるが、マーケティング計画は新しい使用者の引き寄せに専念し、ユニー
クで従来とは異なる景品を使えばもっと効果的である(27)。 A.鉛筆と筆
「鉛筆」は非常に安く、ニーズに応じて特別にデザインしたものでも 安い。鉛筆に図書館名、イベント名及びホームページを印刷する。鉛筆 を贈呈するメリットとして、配りやすく、しかも小学生の必需品である。
もし「筆」を贈呈する場合、なるべく学校の規則に応じて、そのニーズ に符合するようにする。色のついた筆のほうが学生を引き寄せるものの、
毎日宿題を書く時に使えるとは限らない。鉛筆と筆を児童に配れば二重 のメリットがある。学校の学習上に使えるだけではなく、図書館のマー ケティング計画にも符合する。
B.シール
子供はシールが好きなようである。児童はシールを集めて、ノートや 作品に貼り付いたシール、または家で保存しているシールを他人に見せ 付けるのが好きである。図書館で配られている自家製のシールは人気を 集める。シールの大きさは3×3インチを超えてはならず、しかもその 上に図書館のロゴ、ホームページやプロモーション名など図書館の関連 情報を印刷する。児童に個人の蔵書に貼り付けさせる特別にデザインし た蔵書シールを配っている図書館もある。この方法はいいアイディアで はあるが、蔵書シールを本の中のページに貼り付け、児童はすでに読ん だ本を再度めくるチャンスが少ないから、宣伝の効果があまり良くない。
C.カバー
多くの学校では学生に教科書をカバーで包むことを要求し、またはカ バーの使用を呼び掛けている。通常、教師が提供するカバーの数に限り があるため、保護者は質の良い紙を捜し歩いている。従って、図書館は 特別なカバーをデザインし印刷することができる。カバーの上に、テー マに従って関連の参考文献の提供、電子資源、ホームページなど、図書 館の情報を印刷し、学校で無料で配布する。学生のニーズに満足するだ けでなく、保護者の負担を減らすこともできる。カバーを印刷する際、
テーマごとに異なる様式、色合いのものをデザインできるが、素材は同 様でなければならない。毎日教科書を使用する学生にとって、毎日図書
館の情報を目にすることに等しく、図書館への注意及び図書館の利用を 促すことになる。
D.ポスター
図書館が特別にデザインし作ったポスターには、特別に図書館のマー ケティングの重要意義を考えて、図書館のロゴ、図書館のホームページ、
住所及び電話番号を印刷される。一番良いのは、児童が図書館を使用す る実際の画像或いは館員がイベントを行う際の写真を用いてデザインし、
歓迎や面白い風景を示す。学校の教師は、図書館のプロモーションポス ターを受け入れて、または展示することを好むし、児童は毎日学校でポ スターを見ることができるから、レポートや宿題を書く時に利用できる 図書館があることを思い出せる。
E.クリアファイル
学校の期間中に学生はクリアファイルを使う時がある。試して空白、
カラーのクリアファイルを作って、その上に図書館のロゴを、裏に各種 テーマの情報一覧表や図書館のマーケティング計画を印刷する。クリア ファイルの裏をデザインする時、図書館のホームページや図書館の利用 案内、インターネット資源の関連情報を入れる。もしできれば、クリア ファイルに名刺を入れられるものを作って、学生に自分の貸出証をその 枠の中に入れて、保存しやすく随時図書館の利用を呼び掛けられる。
F.キーホルダー
もし図書館がキーホルダーに掛けられる貸出証を提供するならば、キー ホルダーも合わせて提供すればよい。これは利用者に知識の宝庫を開け る鍵を差し上げることを意味し、他のカードキーよりもっと価値及び意 義を持つことである。
G.その他
いかなる児童も好んで収集し、または使えるものであれば、大きさを 問わずその上に図書館のロゴを印刷する。ヨーヨー、鉛筆削り、尺、ノー ト、カバー、マグネット、鉛筆入れ、マウスパット、キーホルダー、カッ プ、定期入れ、マイバッグなどが良い。
マーケティングの資料は大小に及び、それらは簡単なニーズや欲望を満
たすことができる。どんなものを選んで作っても、品質の良い商品だけで なく、マーケティング計画の目的にも符合し、各種資料に図書館のロゴ、
名称及びホームページを印刷するのを忘れないようにする(28)。
2、インターネットを使って図書館の商品及びサービスをマーケティングす る
今まで図書館に行ったことのない利用者にとって、ホームページは図書 館である。但し、図書館の利用者にとってみれば、一つのホームページは 彼らが好きな図書館のもう一つの分館であり、しかも週に七日間、毎日24 時間、情報を入手することができる場所である。より多くの図書館はイン ターネット上にサービスやマーケティングを提供し、世界規模の検索情報 の変遷に対応している。
「Current Digital Media Universe Estimate」の統計によれば、イ ンターネットの使用者が増加し続けて、2004年1月の数字では199,096,845 人となり、インターネットの空間にいる人が大勢いる。従来、人は必ず自 ら図書館に出向いて資料を入手できたが、現在、使用者は情報が彼らを探 し、アトリエまたは家の中で情報を得られることを期待している。24時間
/7日間で全てのサービスを獲得できることへのニーズが増加し続けてい る。例えばオハイオ図書館2002年6月のレポート「Charting the Information Future, Technology Task Force Report」では、過去何年間の間に、
図書館の任務及び図書館員がその任務を完成させる方法に相当な変化が見 られると書かれている。例えば24時間/7日間のバーチャルな参考サービ スである。技術は図書館に週七日間、毎日24時間のサービスを提供させる ことができる。このサービスは図書館の館員や顧客にデジタルと印刷の情 報を共用させ、顧客に情報検索の方法を指導し、図書館という建物の開始 時間の制限もなくしている。
図書館はインターネットを使って、サービス、マーケティングサービス を提供し、マーケティングプロセスの一部分と見なしても良い。図書館が より多くのサービスをインターネット上に移行した場合、図書館のホーム ページはますます重要となり、図書館の他の商品をマーケティングする主 なツールとなる(29)。その方法は以下である:
(1)ホームページを製作する。中国語版、英語版、児童版、視聴版を含む。
(2)メールマガジンを発行し、積極的にイベント情報や新書、良い本の情 報を提供する。
(3)インターネットを通じて、各種利便性のあるサービスや追加サービス を提供する。
(4)インターネットを通じて、顧客の意見調査を行い、利用者が各種のオ ンラインサービスを利用する統計データを分析し、サービスを提供す る時の根拠となる。
3、図書館の友を設立する(Friends Groups(30))
積極的な「図書館の友」は図書館の最も価値ある資産の一つである。図 書館の友の組織は都市によって異なるものの、一般的には図書館にその任 務を完成させるのに協力する同じ興味を持つ人から構成されている。通常、
彼らは書籍、読書及び図書館が好きで、しかも図書館価値の宣伝や資源の 増加への協力を通じて図書館を助ける。従って、図書館の友も公共図書館 におけるマーケティングの道具の一つである。図書館の友の活動は概ね以 下である:
(1)市民の図書館に対する理解を深め、図書館への支持を呼び掛ける。
(2)イベントをサポートする。例えば作家、児童、音楽会、展覧会、映画 鑑賞、花の展覧会、講演会、読書会などのイベントをサポートし、コ ミュニティの文化生活を豊かにする。
(3)年に1回の手紙による寄付を通じて、図書のオークションや特別な募 金イベントを開催し、図書館の予算では負担できない設備や資料を提 供する。
(4)図書館の資源やサービスの利用を呼びかける。
(5)図書館と他のコミュニティ団体や市民団体との間のコミュニケーショ ンや協力を維持する。
(6)図書館の委託を受けたコミュニティの図書館の友では、図書館の案内 を受け付け、図書館ボランティアの中堅幹部を担う。
4、コミュニティ公共関係を経営する
(1)コミュニティ説明会、公聴会に参加し、市民の図書館に対する理解を
深めさせる。
(2)コミュニティ学校、公益組織、会社を訪問し、持続的な相互関係を築 く。
5、メディアを通じてマーケティングを行う
(1)ニュースの原稿を発表する。
(2)記者会見を開く。
(3)ラジオ、テレビ番組を通じて行う。
(4)車体広告、バス及び地下鉄駅のBee TVを運用する。
四、国内外公共図書館のマーケティング経験
(一)海外
1、アメリカ(Public Library of Charlotte & Mecklengurg County)
この図書館が1991年に出したマーケティング企画は、図書館における成 功したマーケティング代表作と見なされている。当時、図書館の館長は理 事会に専門部署、発展及びマーケティング部門(Development & Marketing)
の設置を説得し、マーケティングの仕事を専門者に当たらせた。マーケティ ング企画及び推進を経て、図書館の使用率が80%向上した。イベントをプ ロモーションするだけでなく、「高品質の顧客サービスの確保」 という名 の指導原則と、 優れたサービス計画及び顧客サービスの訓練など一連の マーケティング項目を制定した。この図書館は1992年より祝日休日休館を 取り消し、地元の市民から好評を受け、企業も図書館のイベントをサポー トするようになった(31)。
2、アメリカシカゴの北部図書館システム(North Suburban Library System)
会員館のマーケティング管理能力を向上させるために、この図書館は2003 年にシステムの中に図書館のマーケティングに関するアンケート調査を展 開した。 回答を得た150部のアンケートの中から、40%の図書館では既に マーケティング企画を制定していたが、50%の図書館ではマーケティング と公共関係の基本手法を学習・掌握し、並びにマーケティング計画の制定 における指導を希望していることを発見した。北部図書館システムは研究
調査の結果をもとにマーケティング管理の訓練計画を制定した(32)。 3、アメリカオハイオ州のWashington-Centerville公共図書館(Washington-
Centerville Public Library, WCPL)
この図書館はマーケティングを図書館全体の目標、目的及び戦略計画の 中に組み込んでいた。単独で実行するマーケティング計画を制定するより も、こうした方式のメリットは「マーケティングは図書館の各部門の機能 であり、マーケティング部門だけが実行するものではない」ことを強調し ている。この図書館のマーケティングプロセスには計画、研究、プロモー ション、評価が含まれている(33):
(1)インターネットプロモーション
毎年、図書館のホームページは作成コンペのプロモーション戦略の一つ となる。ClickZ のケーススタディでは、 インターネットマーケティング
(Internet Marketing)は一つの成功したプロモーション方式である。「わ れわれは我がホームページを拡充し、その機能を強化することで、将来、
われわれはインターネットテクノロジーを利用して、コミュニティ向けに 図書館の模範をプロモーションできる」。 この図書館はインターネットと
email の利用は、図書館と利用者のコミュニケーションを加速させるもの
と信じている。
(2)マーケティングの審査及び研究
Washington-Centerville公共図書館では、この図書館の核心価値を「積 極的で責任を持つ;コミュニティと顧客を中心に;将来性ある思考と伝統 を超えるサービス形態の提供に努める」こととしている。
この図書館ではフォーマルとインフォーマスなマーケティング研究を採 用している。例えば、2001年にコミュニティ調査、2002年に幾つかのフォー カス団体の研究を行っていた。この図書館はサービスカウンターの読者及 びイベントに参加した市民から関連の情報を収集していた。この図書館で はターゲット顧客への理解は大半マーケティングの研究から得ていた。な お、図書館の各部門ではシーズン毎に1回の各自のSWOT分析会議を開 催していた。館員は新たな顧客のトレンドに従って全力を尽くすことを奨 励され、管理者及び適切な人にアドバイスを提出する。
(3)プロモーション戦略
A.プロモーションにおいて、この図書館では直接的な郵便物と電子メー ルは利用者にとって最も有効な方式であると考えている。
B.マーケティング戦略の発展において、館員が接触を試みる顧客や、顧 客が最も好きなメディア(新聞、電子メール及びホームページなど)を 理解し、新しいサービスを見つけ出す。
C.この図書館でもその情報の収集、特定の顧客にサービス、イベントな どの効率を説明することを試みた。プロモーションイベントの大半には フォーカスが必要であり、一対一のプロモーションを行い、かつ新しい コミュニティプロモーション方式を採用する。
(4)戦略の範例
この図書館の成功した戦略は以下である:
A.商業性のあるコミュニティイベントの開幕などに参加する。
B.年報的かつ有効的な直接マーケティングを採用し、または新しいサー ビス項目を発表する。例えば利用時間を延長する。
C.印刷物に広告を出し、サービスエリアを地方に限定する。
D.インターネット訓練クラス及びオンラインデータベース検索訓練クラ スを開く。
E.ニュース原稿を発表し、簡単な報道から深入りした特別報道へ移行し、
平均週に三回地方の新聞に掲載する。
F.特別なイベントを使って良好な公共関係を築く。例えば年度の芸術寄 付活動で図書館のイメージを向上させる。
G.地域組織及び市民団体と対話する。
(5)評価
この図書館は設定した目標に従って、様々な方法を使ってマーケティン グ戦略を評価し、評価の結果に基づき、プロモーション方式を改善する。
例えば、継続的に夏休みの読書クラブを開催し、イベントの参加者数、イ ンターネット利用者数及びメディア使用率の増加など典型的な方法を使っ て、その効果を評価する。