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植物地理 分類研究第 60 巻第 2 号 2013 年 3 月 1. 北海道追補高橋英樹 ( 札幌市北区北 10 条西 8 丁目北海道大学総合博物館 (A) 植物誌北海道産維管束植物の学名を整理した伊藤浩司ら 北海道高等植物目録

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(1)

この特集は,創刊50周年記念号として2002年に発行された『植物地理・分類研究』50巻2号の特集第2部「各 都道府県別の植物自然史研究の現状」の追補として企画された。 前回50周年記念号の特集は,各都道府県で発行されている植物誌やレッドデータブックの出版情報の一覧 があれば便利という話から始まり,植物自然史研究に関わる研究機関や標本庫の情報,本誌の扱っている内 容から分類学分野だけでなく植物群落研究についてもまとめることになったもので,各都道府県から1名の 有志の方にお願いして執筆いただいた。47都道府県毎に事情が異なるため紙数は1~4ページ(平均2.4ペー ジ)とまちまちで,合計は112ページに達し,結局この号は第1部の「里見信生先生を偲ぶ」と合わせると厚 さ1cm,重量500gの大部となった。幸い会員内外からの好評を得て,後に第2部だけを分刷・製本して販売 することになった。 今回の企画の意図は,創刊60周年にあたる2012年に,節目としてその後10年間の各都道府県の状況をま とめておこうというものである。この10年間に全国レベルでは,2007年に環境省のレッドリスト改訂版が出 され,2010年10月には名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されて,生物多様性に ついての社会的な理解が深まったと考えられる。これに応じるように県版レッドリストもほとんどの都道府県 で発行または改訂され,中には2回の改訂を行った県もある。県フロラの編纂はレッドリストよりも時間のか かる仕事となるため進捗状況は遅れているが,約1/3の都道府県で,精度や形式の違いはあるものの何らかの 形で植物目録が出版されている。地域の植物研究会の活動も活発である。 また,この10年間で大きく変わった事は,インターネットの普及による情報環境である。ネット検索によっ て,調べたい植物がどこに分布しどのような形態をしているのか,各地でどのような文献が印刷されているの か,パソコンで調べる事が可能になった。もちろん正しい情報ばかりとは限らないので,情報を取捨選択する ための技量は要求される。そもそも地方の植物情報はなかなか得る事ができないというのが50周年記念特集 を企画したきっかけであったわけだが,現在ではネット検索を駆使することでかなりの情報を入手することが できる。ネット上の情報の集積がさらに進めば,10年後にはこのような追補情報を編集する必要がなくなる ような予感もしている。 今回の原稿は原則として前回の執筆者にお願いしたが,定年によって大学等を退かれたり,高齢によるご辞 退もあって同じ方は30名に留まり,前回執筆者のご推薦などによって16名の方に新しくご執筆いただいた。 内容は,改訂版でなく追補であるため前回と同じ項目とし,(A)植物誌,(B)研究機関,(C)標本庫,(D)レッ ドデータブック,(E)植物群落について,前回との重複を避けて10年間の追加分を書いていただいた。分量 は刷り上がりで1ページに収めていただいたので,記載事項が多い県の場合,紙数が足りなかったことと思わ れる。写真は,植物誌,レッドデータブックの表紙など,必要と思われるものを1点以内でお願いした。 執筆を依頼したのは2012年7月であったが,早い方は7月中に原稿をいただいた。しかし全ての原稿が揃 うまでは半年以上かかったため発行が遅れ,執筆時の情報と発行時の現状にずれが生じてしまった場合があ る。このため校正時に加筆修正が必要になった。ご寄稿いただいた皆様にお礼を申し上げるとともに,遅延に よりご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げる。 (編集委員会)

(2)

高橋英樹(〒060-0810 札幌市北区北 10 条西 8 丁目 北海道大学総合博物館 hide@museum.hokudai.ac.jp)

1.北海道 

追補

(A) 植物誌 北海道産維管束植物の学名を整理した伊藤浩司ら 『北海道高等植物目録 I-IV』(たくぎん総研 1987-1994)以降では,合田勇太郎『北海道植物誌-北海 道植物分布記録保存集』(中西出版 2004)が出さ れている。著者は元高校の理科教員で,北大総合博 物館の標本や上述の目録等を参考にまとめ,園芸種 も含めた3,700以上の植物名がリストされている。 著者による批判的な植物標本の検討が不十分で学名 のシノニムリストもないが,北大総合博物館植物標 本庫所蔵の支庁毎の標本点数の概略が理解できる。 地域の植物誌・植物リストとしては,札幌市博物 館活動センター『藻岩原始林・円山原始林の植物リ スト及び収集資料目録』(札幌市観光文化局文化部  2005),林廣志『遠軽町の植物ガイドブック』(林  2012),『平成21年度知床世界自然遺産地域生態系 モニタリング調査業務報告書 5.知床半島産維管束 植物標本データベース』(知床財団 2010)などが ある。 北海道産自生種すべてが掲載されているわけで はないが,一般市民向けのカラー写真集として梅 沢俊『新北海道の花』(北海道大学出版会 2007), 梅沢俊『新版北海道の高山植物』(北海道新聞社  2009)があり,著者独自の観察メモが記され専門 家の間でも定評がある。樹木では佐藤孝夫『新版北 海道樹木図鑑』(亜璃西社 2002)がある。 その他,北海道の地域ごとの植物リストや新分布 記録などの報告は,『利尻研究』,『知床博物館研究 報告』,『北方山草』など地域博物館や植物愛好会の 出版物で見られる。特に『北方山草』は20号(2003) で「特集:最近20年間の北海道植物研究」を組ん で以降,フロラに関する有用な報文が数多く掲載さ れている。 (B) 研究機関 北海道大学総合博物館,同大学北方生物圏フィー ルド科学センター植物園にハーバリウムや植物分類 学関係の研究者がいる。同様に札幌市博物館活動セ ンター,釧路市立博物館,斜里町立知床博物館など にハーバリウム,植物分類・生態学研究者がいる。 (C) 標本 北海道大学総合博物館植物標本庫(SAPS)に約 25万点の標本があり研究用に閲覧可能である。中 核となる宮部金吾・工藤祐舜・舘脇操の旧農学部 標本に加えて,旧理学部所蔵の秋山茂雄スゲ属標 本,早田文蔵採集標本(「故早田教授遺品」)が加わ り,さらに最近収集されたサハリン・千島産標本等 も配架されている。総合博物館では陸上植物標本庫 (SAPS)以外にも,菌類標本庫(SAPA)と藻類標 本庫(SAP)も研究利用が可能であり,これら3標 本庫全体で50万点以上の植物標本が保管されてい る。北方生物圏フィールド科学センター植物園には 新しい収蔵庫が整備され,湿原産の植物標本やミズ ゴケ標本が充実しており,菅原繁蔵の戦前樺太産標 本1セットが保管されている。小樽市博物館から植 物標本目録(井上藤二コレクション)(小樽市博物 館 2003)が出されており,札幌市博物館活動セ ンターには主に札幌市の植物標本がある。 北大総合博物館所蔵の植物(海藻,陸上植物)の 主要タイプ標本画像が,『北大自然史タイプコレク ション』(北大総合博物館 2004)に,サハリン・ 千島産の陸上植物タイプ標本画像の一部が『サハ リン・千島植物標本データベース-タイプ標本集 1-』(北大総合博物館 2004)に,歴史的な地衣 類標本画像が『クラーク博士と札幌の植物』(北大 総合博物館 2012)に掲載されている。標本ラベ ルデータとしては,『原松次植物標本コレクション 目録』(北大総合博物館 2008),『秋山茂雄『極東 亜産スゲ属植物』図版標本目録』(北大総合博物館  2009)が出版されている。日本の固有種の標本デー タは国立科学博物館に提供され,『日本の固有植物』 (東海大学出版会 2011)で採用されている。 (D) レッドデータブック・外来種 『北海道の稀少野生生物北海道レッドデータブッ ク2001』以降,改訂版は出ていない。北海道の指 定植物のモニタリング調査を道総研の環境科学研究 センターが毎年継続的に行っている。 外来種については五十嵐博『北海道帰化植物便覧』 (北海道野生植物研究所 2001)の改定版が準備さ れているという。最近になって『北海道の外来種リ スト-北海道ブルーリスト2010-』(北海道 2010) が公表され,北海道のHPでも公開されている。 (E) 植物群落 北海道の高山植生を網羅した佐藤謙『北海道高山 植生誌』(北海道大学出版会 2007)が出版され, 各山岳での植生表(総合常在度表)がリストされ有 用な資料となっている。湿原植生については一般向 けだが,辻井達一・橘ヒサ子『北海道の湿原と植物』 (北大出版会 2009)に各湿原植生の解説がある。

(3)

嶋 祐三(〒038-3133 つがる市木造末広 24)

2.青森県 

追補

(A) 植物誌 『青森県史 自然編 生物』(2003)は,それま での研究成果を集大成したもので,青森県の多様な 植物相を明らかにしている。しかし,林一彦が指摘 する陸奥湾に沿う津軽半島のスカシユリ類の自生地 で推定される複雑な種間交雑の問題など残された課 題もある。 青森県自然保護課『平成16年度 白神山地遺産 地域周辺生態系等学術調査報告書』(2005)と『平 成17年度 白神山地遺産地域周辺生態系等学術調 査報告書』(2006)で,細井幸兵衛はサワハコベや コブシなどの和名の変更や,いくつかの植物の誤同 定・誤認を指摘している。また,白神山地で発見さ れたモイワランやネコシデ(ウラジロカンバ),ル リソウや北海道の固有種・タカネグンバイなどを記 載したほかに,隣接する大鰐山地で確認されたウラ ゲキヌガサソウにもふれている。 国立科学博物館・門田裕一は,上北郡六ヶ所村か らキク科トウヒレン属の新種・ムツトウヒレンと八 戸市から新種・ハチノヘトウヒレンを(2008),津 軽地方からキク科コウモリソウ属の新種・ツガルコ ウモリと白神山地からキク科アザミ属オニアザミ群 の新種・ツガルオニアザミ(2009)とシラガミア ザミを,県南地域からキタカミアザミ(仮称)を登 録している。小宮定志らは屏風山砂丘地の湖沼から オオヌキモを登録している(2011)。また,アジア 生態進化植物研究所・福田一郎は,弘前市大和沢で コジマエンレイソウを確認し,染色体数を記載して いる(2011)。 津軽西海岸・七里長浜に沿う屏風山中で,樹齢 250年前後と推定される数本のブナを含む大小30 数本のブナと近くの湿地でオオバナノエンレイソウ が確認され,県絶滅種・ヒシモドキが津軽地方の沼 で約60年ぶりに発見されている。 虻川輝夫『青森県のスミレ』(2011)は県内のス ミレを網羅し,スミレの分布域を地形・気象を視 点に示している。ほかに井上守『津軽半島の植物』 (2005)や長尾キヨ『山里を彩る』(2011)などが 発行されている。細井幸兵衛は『青森県野生植物目 録』のAPG分類体系による増補改訂版の仕事をす すめている。 (B) 研究機関 2005年5月に「白神山地に興味をもつ学内の研 究者」の「共同研究の推進と研究成果の公開」を目 的に弘前大学白神研究会が発足し,会誌『白神研究』 を創刊している。 赤田辰治らは「高倉森ブナ林における毎木調査 と親子関係の推定」(2006)や「白神山地高倉森 の多様な地形にみられる植生とブナ林の遺伝的構 成」(2009)を発表しているが,植物関係の論文 は,松本和浩らの「白神山地に自生するノハナショ ウブに関する研究」(2010・2011)や本多和茂らの 「白神山地に自生するシラネアオイの生活史戦略」 (2011)だけである。 2010年10月に弘前大学白神自然環境研究所が設 立・発足し,同研究所編で『白神自然観察園の植物 (1)』と『白神学入門』が発刊した。『白神学入門』 (2010)には,石川幸男「世界自然遺産としての白 神生態系と植物群落」と本多和茂「白神山地の植 物―シラネアオイの生活史特性」を発表している。 (C) 標本庫 青森県立郷土館に,県立八戸高校所蔵植物標本が 委任されている。同校の前身・県立第二中学校の教 師・山崎良甫が1901年から1916年までの15年間 に八戸を中心に八甲田山や岩木山,釜臥山などで採 集したものである。また,県立郷土館開館前後から 学芸員として開設に携わってきた原子一男が,津軽 半島及び下北半島南西部を中心に採集した4000点 余の標本も委任されている。 (D) レッドデーターブック 2000年3月に『青森県の希少な野生生物-青森 県のレッドデーターブック』を発刊した青森県自然 保護課は,2006年に改定増補版を,2010年には再 改定増補版を刊行している。繊維束植物では,絶滅 の危機に瀕している種数は64→104→124,絶滅 の危機が増大している種数は84→108→113,生 育を存続する基盤が脆弱な種数は44→88→100と 増え,危機的状況の深刻さがわかる。 (E) 植物群落 第3回自然環境保全基礎調査に基づく『特定植物 群落調査-生育調査』(1988)が刊行されてから24 年,『特定地域自然林(白神山地)総合調査報告書』 (1997)が縦覧の用に供されてから15年になる。 かなり大きな変動が推測される。

(4)

3.岩手県 

追補

編集部 (A) 植物誌 『岩手県植物誌』(岩手植物の会 1970)の改訂を 目指した調査が岩手県植物誌調査会によって行われ ているが,具体的な発行スケジュールは決まってい ない。フロラや県新記録,稀産分類群に関する情報 は,『岩手植物の会会報』『東北植物研究』『岩手県 植物誌調査会ニュースレター』によく掲載される。 また『北上市立博物館研究報告』『岩手県立博物館 調査研究報告書』『秋田県立博物館研究報告』にも 岩手県のフロラに関する研究が掲載されている。 (B) 研究機関 岩手大学人文社会科学部に植物生態学研究室があ り,森林や湿原,農村などに発達する植物群落を, 生育環境や人間活動との関係を中心に研究してい る。 同大農学部に森林保全生態学研究室があり,植物 と動物との相互作用,二次的植生,開発地における 自然再生などを中心に研究している。 岩手県立大学総合政策学部に環境政策講座の研究 室があり,進化生物学,保全生物学,植生学,景観 生態学の分野で研究活動が行われている。 盛岡市の森林総合研究所東北支所では,主に森林 生態学と林業に関連する幅広い研究が行われている。 岩手県環境保健研究センター地球科学部・自然環 境研究室では,希少な野生動植物の分布や生育状況, 保全と増殖に関する研究を行っている。2011年の大 津波による岩手県沿岸部の希少植物への影響や,減 少・消失の原因に関する調査結果がHP上で公開さ れている。ハヤチネウスユキソウやアツモリソウな ど希少植物の増殖法の開発にも成果を挙げている。 盛岡市の岩手県立博物館には1名の植物担当学芸 員が在籍し,県内フロラや絶滅危惧植物の調査を 行っている。 岩手県植物誌調査会は,2007年に岩手県植物誌 調査委員会として発足し2008年に名称変更した任 意団体で,「岩手植物の会」を中心に岩手県内の植 物愛好家と専門家が集い,『岩手県植物誌』の改訂 を目指して全県的な調査・普及活動を行っている。 会長は竹原明秀氏(岩手大学人文社会科学部教授) で,岩手県立博物館の植物担当学芸員が事務局を務 め,月1回ニュースレターを発行している。 (C) 植物標本 2002年の本誌記事でも紹介されている陸前高田 市立博物館収蔵の植物標本が,2011年3月11日に 発生した東北地方太平洋沖地震・津波により被災。 市職員と岩手県教育委員会・岩手県立博物館などが 中心となり海水や泥を被った植物標本15000点(蘚 苔類・地衣類を含む)を回収し,全国の博物館に修 復の協力を呼びかけた。その結果,北海道から福 岡県まで31の博物館等研究機関で被災標本の洗浄 と乾燥が行われ,全国の博物館が連携して標本救済 を行う初めてのケースとなった。さく葉標本につ いては現在,岩手県立博物館で台紙への再貼付が 進められ,また島根大学生物資源科学部秋廣高志 研究室の協力によりデジタル画像化が行われてお り,画像は同研究室のデジタル標本館で順次公開 さ れ る 予 定(http://tayousei.life.shimane-u.ac.jp/ harbarium/)。なお,被災した植物標本の回収率は 95%以上と見られている。 山田町立鯨と海の科学館には,故・吉崎誠東邦 大学名誉教授が収集し2010年に町に寄贈した約 80000点の海藻標本が所蔵されていたが,津波で大 半が流失した。回収された約13000点の標本は,現 在は岩手県立博物館に寄託され,整理中である。 『一関市植物誌』の著者である故・千田善喜氏の 収集標本が,御遺族から岩手県立博物館へ2007年 に寄贈された。他に岩手植物の会・岩手県植物誌調 査会会員等からの寄贈もあり,同館の標本は整理済 み27000点,未整理10000点となっている。整理 済み標本のデータは国立科学博物館が運営するサイ エンスミュージアムネットで公開されている。 (D) レッドデータブック 平成13年に発行された『いわてレッドデータブッ ク~岩手県の希少野生生物~』についての見直し 作業が完了し,2013年3月から概要とリストが岩 手県自然保護課のウェブサイトで公開されている。 2011年の大津波とその後の復旧工事等による影響 が危惧される海岸生植物を含め,新規追加されたも のが101種,カテゴリー変更されたものが128種, 削除されたものが34種で,合計621種が掲載され ている。平成25年度中に印刷物としてのレッドデー タブックが発刊される予定である。 (E) 植物群落 東日本大震災発生後,海岸植生の現状と保全に関 する様々な調査研究が行われている。たとえば,(公 財)日本自然保護協会による「東日本海岸調査」事 業では,市民調査による海岸植物群落調査などが実 施されている。詳細はウェブサイトhttp://tohoku. ikimonomap.info/を参照。

(5)

上野雄規(〒989-0232 白石市福岡長袋字陣場が丘 5-27 violent@abeam.ocn.ne.jp)

4.宮城県 

追補

(A) 植物誌 『 宮 城 県 植 物 目 録2000』( 宮 城 植 物 の 会 ほ か 2001)を発展させた植物誌の2016年発行を目標 として宮城県植物誌編集委員会(宮城植物の会内) が2012年1月に発足した。46名で植物目録データ ベースの作成が進められ,8月現在で進捗率28.3% (入力済種類数/県産種類数),入力件数3.5万件と なっている。この編集の基礎資料として『宮城県維 管束植物目録』(上野 2008)と『宮城県維管束植 物チェックリスト2011』(上野 2011)が活用され ている。 仙台市・(財)仙台市公園緑地協会は2008年4月 から2010年3月に仙台市の植物相調査事業を実施 し,この成果として169科2177種類(含種内分類 群)を収録した『標本に基づいた仙台市野生植物目 録』(仙台市の植物相調査委員会2010)(図)を発 行した。 東北地方北部では日本海側と太平洋側のフロラが 異なっていることに着目し,分布図の作成を目指し た『北東北維管束植物チェックリスト』(藤原ほか 2008初版, 2012 第3版)が発行された。秋田県と 岩手県が中心だが,宮城県と青森県の一部も含まれ ている。 (B) 研究機関 東北大学大学院理学研究科附属植物園は2005年 に東北大学植物園と,続く2006年には東北大学学 術資源研究公開センター植物園と組織替えされた。 通常は東北大学植物園と称され,近年,ガイドブッ ク『植物園の歩き方』(東北大学植物園 2010)が 発行された。 東北植物学会は2010年に日本植物学会東北支部 会の組織替えで設立され,事務局は東北大学大学院 生命科学研究科内に置かれている。 東北植物研究会は2011年に創立30周年記念とし て「標本室への理解を深め,東北地方におけるフロ ラ研究を発展させるために」のシンポジウムを行っ た。また『東北植物研究 第16号』を発行し,別冊『東 北植物研究第1号~第16号総索引』には4,401の種 および種内分類群が収録されている。宮城植物の会 は2004-2009年に「宮城のおし葉標本展」を開き 標本資料の蓄積に努め,また,県内のフロラに関す る報告を収録した『宮城の植物』は第37号まで発 行されている。 (C) 標本庫

東北大学植物園記念館(TUS, TUSG, TUSw &

TUS-K)には約43万点の維管束植物,コケ植物及 び材の整理済み標本が所蔵されている。2011年3 月の東日本大震災と4月のその余震では標本戸棚が 大きく移動したり標本が落下するなどの被害を受け た。その復元は国内の研究者はじめ記念館ゆかりの 研究者,学生及びボランテイアの協力によって行わ れた。 宮城県農業短期大学が2005年に宮城大学食産業 学部に継承されるに伴い,標本戸棚3ケースに保存 されていた標本がボランテイアによって整理され, 目録が整えられた後,東北大学植物園記念館に移管 された。 仙台市野草園には,開園50周年目の2008年,野 草館の新築に伴って小さな標本室が設置された。前 述した調査事業での収集品と市民や児童生徒から 寄贈された標本2.5万点を所蔵している。2011年に 『仙台市維管束植物目録2011』(仙台市野草園)を 発行した。 (D) レッドデータブック 2008年,『宮城県の希少な野生動植物』(宮城県 2001)を改訂するために宮城県RDB改訂調査会が 発足し,植物分科会は2009-2010年に現地調査を 実施した。2011年は東日本大震災のため中止され たが,2012年は津波被害のあった海岸域を中心に 調査中である。この成果は2015年にRDBとして発 行される予定である。 (E) 植物群落 石巻市の金華山島と牡鹿半島ではニホンジカによ る植物の食害が近年,激しくなりブナ林,モミ林そ してコナラ林などへの影響が拡がっている。 宮城県では1995-2011年に金華山島保全対策検 討委員会を置いて,哺乳類の食害から自然を維持・ 保全するための検討を続けた。具体策として防鹿 柵を設置している。柵内では林が回復しつつある が,ほとんどの面積を占める柵外では森林の天然更 新が阻まれて草原化が進んで いる。牡鹿半島でも林床植生 の単純化が進行し,また,採 食の対象となっている草本 の矮性化が報告されている。 2008年,宮城県は牡鹿半島 ニホンジカ保護管理計画を策 定し,頭数の適正な管理やシ カを含めた生態系の保全を目 指した事業を進めている。

(6)

松田義徳(〒012-0804 秋田県湯沢市杉沢字森道上 239 matsu-ye@agate.plala.or.jp)

5.秋田県 

追補

(A) 植物誌 藤原陸夫ほか『秋田県植物目録第10版』(2003) が出版され,『第11版』(2005年 同)では標本・ 野帳記録・植生調査票の記録・文献等を利用した約 36万件のデータをもとに,種以下2,748分類群(自 生植物2,330分類群を含む)が掲載されている。 全県的な資料として,高田順「秋田県における車 軸藻フロラ」(秋田自然史研究 55: 7-15, 2009)が ある。高田順「秋田県水草分布図(1)-(5)」(秋田自 然史研究 57-61巻, 2010-2012)は,県内を2.5万 分の1地形図の4分割を1区画として区切り,著者と 秋田県立博物館の収蔵標本をもとに,県内に所産す る109種類の水草について分布図を作成している。 郡市単位及び特徴ある地域では,奥田重俊・豊島 美津秋『協和町の植物 協和町動植物調査報告書』 (協和町教育委員会, 2005),高田順「秋田県大潟村 の野生植物 補遺1」(秋田県自然史研究 51: 15-26; 同 52: 5-6, 2007),大日向貞英『羽後町の植物 羽 後町の自然』(個人出版, 2009),菊地卓弥『大潟村 の植物 大潟村生物調査報告書』(大潟村教育委員会, 2012),堀井雄治郎『史跡脇本城址 植物相・植生調 査報告』(男鹿市文化財調査報告 34, 2007)がある。 北東北およびその隣接する地域の植物分布を記録 し,メッシュ法で植物分布図を作成する目的で,藤 原陸夫・阿部裕紀子『北東北維管束植物チェックリ スト - 秋田県・岩手県 -』(秋田植生研究会, 2008) が出版された。2010年の『第2版』から調査地域 を北緯38度40分以北の本州全域を対象にし,2012 年の『第3版』では,現地調査と文献調査による約 81万5千件のデータから,種以下3,908種類(自生 植物3,188種類を含む)を記録している。これらを 基に,北東北の太平洋側と日本海側および他地域と のフロラの関連の解明するため,阿部裕紀子・藤 原陸夫「北東北植物分布図について」(秋田県立博 物館研究報告 36: 27-38, 2011)において12種類 の分布型を示している。また,同「北東北植物分 布図 - セリ目植物 -」(秋田県立博物館研究報告 37: 1-30, 2012)では72種類について,比類のない詳 細さ(行政管理庁「標準地域メッシュ・システム」 の5倍地域メッシュ)で分布図を作成し,新たな知 見を提示している。 (B) 研究機関 秋田県立大学生物資源科学部生物環境科学科で は,天然秋田スギの構造と動態,白神山地のブナ林 モニタリング,八郎潟残存湖等をフィールドにした プランクトンの調査が行われている。森林科学研究 室が主催する「森林科学セミナー」は,森林にま つわるトピックスを取上げ,2000年から現在まで 103回実施されている。秋田大学教育文化学部・大 学院教育学研究科では,地衣類の分類と生態学的研 究,高山植生を研究している。 アマチュアの同好会としては「秋田自然史研究 会」があり,会誌『秋田自然史研究』は2013年ま でに63号になり,県内の植物に関する研究報告や 新知見が多く掲載されている。ほかに地域レベルで のサークルもあり,観察会や調査を実施し会報を発 行している。 (C) 標本庫 秋田県立博物館(国際略号AKPM)に約9万点(内 整理済み約5万5千点)のさく葉標本がある。植物 標本整理ボランティアにより標本の整理とラベルの カード化及びデジタル化を継続しており,収蔵標本 のデジタル化(約3万9千件)も進めている。『秋田 県立博物館研究報告』には,所蔵標本を活用した本 県所産のスゲ属やイネ科植物に関する報告がある。 (D) レッドリスト 2008年,秋田県は県版レッドリスト(蘚苔類, 地衣類)を作成し,これを受けて,2009年3月,『秋 田県の絶滅のおそれのある野生生物2009-秋田県 版レッドデータブック-維管束植物以外編(蘚苔 類・地衣類)』を出版した。蘚苔類33種,地衣類18 種が掲載されている(http://www.pref.akita.lg.jp/ www/contents/1229668761523/files/sentai.pdf)。 2009年『秋田版レッドリスト(シャジクモ類)』では シャジクモ類27種を選定した(http://www.pref.akita. lg.jp/www/contents/1237868145450/index.html)。 維管束植物について,平成21年度から秋田県自 然保護課は改訂作業を進め,平成24度年に改訂版 レッドリストを公表し,平成25年度に改訂版レッド データブック(維管束植物)を発行する予定である。 (E) 植物群落 特徴のある群落に関して,阿部裕紀子「秋田県の クロマツ植林の植物社会学的研究」(秋田県立博物 館報告 27: 1-18. 付表2, 2002)がある。 地域的な報告書として秋田県自然保護課では, 2012年以降県内12箇所の自然環境保全地域等で植 生調査を実施し,報告書を作成している。

(7)

土門尚三(〒999-8317 飽海郡遊佐町小松字長田 29 フロラ山形副会長 hana_no_kura@yahoo.co.jp)

6.山形県 

追補

(A) 植物誌 本県の植物研究に先駆的役割を果たされた結城嘉 美は『山形県植物誌』(1934),『山形県の植物誌』 (1972)『新版山形県の植物誌』(1992)と3回にも わたって植物誌をまとめられた。新版は487頁で, 山形県の地形,気候,植物区系,森林植生,植物方 言,植物研究列伝からなっており,目録ではシダ植 物以上2,302種がリストアップされているが,もう すでに絶版になっている。 県内の地域フローラとしては,県内の諸高山を中 心に調査研究された,山形県総合学術調査会の『朝 日連峰』(1964),『飯豊連峰』(1970),『鳥海山・ 飛島』(1972),『出羽三山(月山・羽黒山・湯殿 山・葉山)』(1975),『神室山・加無山』(1978), 『 最 上 川 』(1982),『 蔵 王 連 峰 』(1985),『 御 所 山』(1989),『麻耶山』(1992)があり,いずれも 絶版になっている。その他,『月山朝日山系総合調 査報告書』(山形県 1956),加藤信英『山形県山 シダ植物目録』(1960),吉野智雄『小国の植物』 (1962),『山形市の生物的自然』(1976),『舞鶴山 の植物』(天童市 1982),若松多八郎『鶴岡の植 物』(1984),佐川昇『山形県内陸地方産シダ図集』 (1986),土門尚三『北庄内の植物誌』(1999),大 高滋『尾花沢市の植物誌』(2003),『白鷹山地・自 然環境学術調査報告書』(2006)などがある。写真 を主体としたものでは,布施隆『原色月山の植物』 (1976),加藤久一『蔵王の自然と植物』(1975)な どがある。ほとんどが自費出版で,残念ながら絶版 となっている。 (B) 研究機関 山形大学理学部生物学科と山形大学農学部では, それぞれ昭和25年より大学紀要に年1回「自然科 学編」,「農学編」に研究成果を発表している。山形 県立博物館では各種講座や調査研究を進め,その成 果を紀要などに発表している。また,結城嘉美を中 心に設立された,アマチュアの「フロラ山形」があ り,県内のフローラを主とした調査研究がなされて いる。また,年1回発行される会誌『フロラ山形』 は67号を数え,歴史の古さを物語る。事務局は山 形県立博物館内にある。さらに,同会の会員で編成 される「山形県野生植物調査研究会」がある。 主な植物園として,西川町の月山中腹にブナの森 を中心とした「山形県立自然博物園」,西蔵王の山 麓に「山形市野草園」,寒河江市の山形県林業試験 場に「薬草園」がある。いずれも冬季閉鎖される。 (C) 標本 山形県内の標本はほぼ山形県立博物館に集結され ており,その数約13万点。内訳は結城嘉美コレク ション3万8千点で,山下一夫コレクション,一般 コレクション5万2千点,その他4万点となってお り,県内の維管束植物がほぼ揃っている。 なお,県立博物館によって,各コレクションの植 物資料目録が冊子として編集されている。 (D) レッドデータブック 2004年3月,山形県野生植物調査研究会の編集 により山形県文化環境部環境保護課から『レッド データブックやまがた・絶滅危危惧野生植物』が発 行された。その結果の一部は県のホームページから も閲覧できる。残部あり(行政情報センター・山形 県庁1階)。その後,改訂作業が進められ,2012年 3月に環境省のカテゴリーをほぼ準用した基準で絶 滅危惧種が選定されている。発行は未定。 (E) 植物群落 全県的な資料では,『山形県植生図』が1975年に 山形県から発行され,当時山形大学の石塚和夫,斉 藤員郎他が担当している。また,『山形県植生調査 報告書』(山形県 1979)がある。一方,地域調査 としては,『山形市の生物的自然』(山形市 1976) があり,植物としては本文に目録があり,その他に 植生自然度図,現存植生図2枚,主要植物地図が添 付されている。 『酒田市の植生と植物相』(酒田市 1981)は石塚 和雄,結城嘉美などが担当し,植生・植物相などの 大要を示すとともに,酒田市飛島と庄内砂丘地の植 物目録は特に注目される。自然環境保全上の問題点 についてもふれ,また,現存植生図,植生自然度図, 貴重植物分布図5枚が添付されている。その後,宮 脇 昭他による『酒田市の潜在自然植生』(酒田市  1983)が発刊され,本文のほかに潜在自然植生図が 1枚添付されている。酒田市がこれだけ植生調査に 力点をおいたのは,酒田大火(1976)からの復興と 庄内空港の開港を見据えていたものと思われる。 その他,宮脇 昭他による『高畠町の植生』(高 畠町 1983),『庄内川の植生』(建設省 1975), 斉藤昌宏『梅花皮沢植生調査報告書(飯豊山系)』 (1980),『特定植物群落調査報告書(山形県)追加・ 追跡調査』(山形県 1988),『西部地域自然環境調 査』(山形市 1990)があり,いずれも絶版になっ ている。

(8)

黒沢高秀(〒960-1296 福島市金谷川 1 福島大学共生システム理工学類 kurosawa@sss.fukushima-u.ac.jp)

7.福島県 

追補

(A) 植物誌 福島県植物研究会(五十嵐彰会長)が『福島県植 物誌』(福島県植物誌編さん委員会 1987)の改訂を 目指してきたが,最近は目立った進展がない。県内 のフロラや植生を掲載してきた福島県植物研究会に よる『フロラ福島』,会津生物同好会(五十嵐義会長) による『会津生物同好会誌』,福島県生物同好会(木 村吉幸会長)による『福島生物』は,前回報告時と 同様に発行されている。このほか,最近は福島大学 の紀要である『福島大学地域創造』に県内の植物相 や植生と保全の論文,福島県生活環境部自然保護課 発行の『尾瀬の保護と復元』に尾瀬の植物相や植生 に関連した論文が掲載されることがある。いわき地 域環境科学会の『EQUAL』にいわき市およびその 周辺の植物の新知見が一時期掲載されていた。植物 相を良くまとめた植物誌とも言えるような市町村誌 が,只見町(2001年),原町市(2005年)など相次 いで出版された。只見町は『会津只見の植物』(2004) も発行している。福島県には,調査報告書を内部 資料とし図書館などで公開しないという不可解な慣 例があったが,幸い2005年以降改められ,松川浦 (2005年),飯豊山(2006年),会津駒ヶ岳および田 代山帝釈山(2008年),尾瀬(2008年)などの調査 報告書が相次いで公開されている。これらの中にも 植物相が植生の概要などと共にまとめられている。 『福島生物』50号(2007)に県内の植物相研究の歴史, 特徴,課題をまとめた総論が掲載されている。 (B) 研究機関 前回の「各都道府県別の植物自然史研究の現状」 を集計して,各都道府県の状況を比較し,福島県を 公的な研究機関の整備および標本の蓄積に関して ワースト4のひとつであるとする報告が『フロラ福 島』20号(2003)に掲載されている。公的な研究 機関に関して,全国最低レベルである状況は現在も 変わっていない。多少とも植物の自然史に関わって いる大学の研究室は,福島大学共生システム理工学 類の森林生態学研究室(木村勝彦教授),環境微生 物学研究室(難波謙二教授),植物分類学研究室(黒 沢高秀准教授,兼子伸吾特任助教)の3研究室のみ である。県内の博物館に野生植物の専門家は一人も いない(哺乳類,鳥類,昆虫も同様である)。なお, 総合博物館である県立博物館の自然史部門には,化 石を扱う2名の学芸員しかいない。 県内の動植物研究団体などが集まって福島県自然 史博物館設立推進協議会(樫村利道会長)をつくり, 標本展などの普及活動や,県への陳情などを行って いる。しかし,今のところ自然史博物館設置などの 計画はない。 このような状況の中,2009年に只見町が「ただ み・ブナと川のミュージアム」(只見町ブナセン ター)を開設した。2011年より館長に鈴木和次郎 氏を迎え,今後紀要も出版する予定とされている。 (C) 標本 現在も県内において“Index Herbariorum”に 登録されている標本室はない。福島大学教育学部理 科教育教室の標本室は,学内改組に伴い共生システ ム理工学類生物標本室(登録はしていないが仮に FKSEの略号を用いている)となった。2011年12 月時点で40,413点が整理,公開されている。標本 はデータベース化され,研究者の問い合わせに応じ ているほか,一部s-netとGBIFを通じて公開され ている。佐瀬秀男氏(2001年没)の維管束植物標 本(9,538点)は整理が完了し,齋藤慧氏(2003年没) の標本も,半分程度整理が完了し公開されている。 いずれも『福島県植物誌』(2007)作成の中心人物 の一人で,植物誌の証拠標本を多く含んでいる。福 島大学教育学部生物学教室から福島県立博物館に寄 託されていた福島師範学校,福島大学学芸学部等の 標本も2010年にFKSEに返還されている(ただし 未整理)。 FKSE以外に県内に公的な標本室はない。この標 本室も大学や学類(概ね学部に相当)が設置したも のではなく,学類に部屋使用料年間数万円を研究費 から支払った上で,教員が個人的に運営しているも のである。 (D) レッドデータブック このような状況に対応して,2002年に発行され た県のレッドデータブック『レッドデータブックふ くしまI 植物・昆虫類・鳥類』の改訂作業は行わ れておらず,その計画もない。残念なことに,組織 としてレッドデータブックの改訂をするという体制 が県庁内にできていないため,自然保護の部署に志 を持った職員が配属され,個人的に多大な努力をし ないと改訂作業は始まらないと思われる。2002年 の県のレッドデータブックに関しては,いわき自然 塾が,『ふくしまの滅びゆく植物たち』という解説 書を2006年に発行している。 (E) 植物群落 植生に関しては,地域的な文献や調査報告書が出 されているのみである。植物誌の項を参照されたい。

(9)

小幡和男(〒306-0622 茨城県坂東市大崎 700 ミュージアムパーク茨城県自然博物館 obata@nat.pref.ibaraki.jp)

8.茨城県 

追補

(A) 植物誌 『茨城県植物誌』(鈴木ほか 1981)以後,県フロ ラをまとめた印刷物は刊行されていない。ミュージ アムパーク茨城県自然博物館(以下,自然博)では, 県植物誌の改訂を目指し,2007年に「『新版 茨城 県植物誌』作成のための資料の収集及び方法の検 討」を刊行するなど作業を進めているが,具体的な スケジュールはまだ決まっていない。 県フロラに関する調査は,「総合調査研究」と 題して自然博が主体となり1994年より進めてい る。県内を4地域に区切り,1地域を3か年調査し ているが,現在2巡目の第3次調査を行っている。 2002年以降の成果としては,『茨城県自然博物館 第3次総合調査報告書』(2004),『同第4次報告書』 (2007),2巡目の第1次調査の成果を掲載した『茨 城県自然博物館総合調査報告書 茨城県西部および 筑波山周辺地域の菌類』(2009),『同 茨城県西部 および筑波山の維管束植物』(2011),『同 茨城県 西部地域および筑波山・鹿島灘の非維管束植物』 (2012)が刊行されている。自然博以外では,茨城 植物研究会による県フロラ研究の成果が,『茨城植 物研究第2号』(2009),『同第3号』(2010),『同 第4号』(2012)として刊行されている。 県フロラ研究が掲載されている主な逐次刊行物と しては,『茨城県自然博物館研究報告』(自然博), 『茨城生物』(茨城生物の会),『茨城県高等学校教育 研究会生物部会誌』(茨城県高等学校教育研究会生 物部)などがあげられる。 県内の市町村が刊行した地域の自然ガイドとして は,2002年以降『みつかいどうの自然』(現常総市 2003),『みのりの自然』(現小美玉市 2005),『波 崎の自然』(現神栖市 2005),『千代田の花・虫・ 鳥-動植物ガイド-』(現かすみがうら市 2005), 『東海村の自然誌』(東海村 2007),『日立の自然ガ イドブック-植物・昆虫・野鳥-』(日立市 2011) などが刊行されている。 2002年以降の個人の刊行物としては,茨城県の 海藻のフロラをまとめた『茨城の海藻-観察観察ガ イドブック-』(中庭 2008),霞ヶ浦の水生植物を まとめた『霞ヶ浦の水生植物-1972~1993変遷の 記録-』(桜井ほか 2004),『霞ヶ浦の水草』(レイ モン・アサディ 2002)などがあげられる。 (B) 研究機関 2002年以降の新設の施設としては,2005年に茨 城県が土浦市の霞ヶ浦湖岸に設立した「茨城県霞ヶ 浦環境科学センター」があげられる。設置の目的は, 霞ヶ浦の環境保全に関する調査研究に取り組むとと もに,環境学習や市民活動の拠点として,研究と教 育の目的を兼ね備えた施設となっている。 (C) 標本庫 自然博は,『植物標本目録第1集 鈴木昌友コレク ション:維管束植物』(2000),『同第2集 維管束 植物(2)』(2001)を刊行し,維管束植物標本合計 52,825点を掲載した。その後,『同第3集 佐藤正巳 コレクション:地衣類』(2003)において地衣類標本 16,531点を,『同第4集 コスタリカの植物』(2007) で1,084点のコスタリカ産植物標本を掲載した。 自 然 博 に 収 蔵・ 登 録 さ れ て い る 植 物 標 本 は, 2013年1月現在で,全体では130,995点,維管束植 物は94,621点となっている。これらの収蔵標本は, 自然博のホームページ,サイエンスミュージアム ネット(S-net),GBIF等で検索することができる。 (D) レッドデータブック 茨城県は,1997年に維管束植物に関するレッド データブックとして『茨城における絶滅のおそれの ある野生生物(植物編)』を刊行した。 2009年度に,茨城県生活環境部環境政策課は「茨 城における絶滅のおそれのある野生生物種の見直し 検討委員会」を設置し,レッドリストの改訂作業に あたった。3か年に及ぶ作業により2012年2月に改 訂したレッドリストを発表した。 さらに,同委員会により改訂したリストに基づい た新版レッドデータブックの作成が行われており, 2013年3月に出版される予定となっている。 なお,牛久市は2005年に『牛久における絶滅の おそれのある野生生物 植物編(牛久市版レッドデー タブック)』,2006年に『同普及版』を出版している。 (E) 植物群落 県内の植生については,自然博の『総合調査報告 書』に,地域のフロラリストとともにその概要が掲 載されている。また,前記の『茨城県自然博物館研 究報告』をはじめとする刊行物に植生調査の成果等 が随時掲載されている。 最近の事業として特筆すべきは「筑波山における ブナとイヌブナの全個体調査」である。これは筑波 山ブナ林保全事業の一環として,県環境政策課,自 然博,(独)森林総合研究所が共同で実施したもの で,成果は,県のホームページで公表されている。

(10)

福田廣一(〒321-0973 宇都宮市岩曽町 606 栃木県立宇都宮北高等学校)

9.栃木県 

追補

(A) 植物誌 栃木県では栃木県立博物館の研究員をはじめ県 内外の専門研究員の協力を得て栃木県自然環境基 礎調査を実施してきた。その結果が2002年3月に 『とちぎの変形菌類・菌類・地衣類・藻類・蘚苔類』 として刊行されたのは既報の通りである。さらに, 2003年3月には『とちぎの植物Ⅰ・Ⅱ』と題して 維管束植物のフロラについて約43000点の証拠標 本を基に研究史等も含めた報告がされた。これによ り待望の総合的な植物誌が発刊されたことになる。 これらの報告書を見るに,まだまだ調査の途に就い たばかりの分類群もあるが基本的な調査の進め方は 確立されつつあるので,今後さらなる各分類群の継 続的調査がより重要となる。 (B) 研究機関 日光市花石町に東京大学理学部附属植物園日光分 園がある。東京都文京区にある小石川植物園の分園 で,おもに高山植物や寒冷地植物など約2000種が 植栽されている。地域のコナラやミズナラ,モミな どの巨木の生い茂る自然林植生の断片も窺い知れる 植物園である。 栃木県では栃木県立博物館に自然史系の植物・菌 類の担当学芸員を2名配置している。二人とも教員 畑出身で現在の担当者は維管束植物が星直斗,それ 以外の葉状植物・菌類が富永孝昭である。植生につ いては星が兼ねている。 近年,栃木県立博物館では自然系の学芸員担当者 がプロパー採用から教員畑出身者に移ることが多く なり,より専門的研究従事者の採用枠の確保への取 り組みが火急のこととなっている。 (C) 標本 栃木県立博物館では継続的なテーマ等に基づき野 外調査を実施し資料の収集に当たっている。毎年の 採集資料点数は栃木県立博物館年報に報告されてい る。標本として整理された資料は収蔵庫(標本庫) に収納すると共に学会誌や栃木県立博物館研究紀要 や自然部門収蔵資料目録などに記載報告されてい る。最新の報告として『栃木県新産大型菌類目録』 (富永ほか 2011)や『維管束植物(7)小池コレ クション・柏渕コレクション』(小倉編 2009)な どが報告されている。 なお,何年も前から収蔵庫の収納スペースが不足 し,収蔵に困難を極めている状況があり,早急な対 策が望まれる。良き妙案があればと思う。 (D) レッドデータブック 栃木県環境森林部自然環境課は『栃木県版レッド リスト』を平成16年8月に策定,『レッドデータブッ クとちぎ2005』を平成17年3月に発刊した。平成 23年3月には『栃木県版レッドリスト(2011改訂 版)-栃木県の保護上注目すべき野生動植物・地 形・地質-』が策定・公表された。 (E) 植物群落 地域調査の報告として『栃木県宇都宮市多気山持 宝院境内の植物相と森林群落』(星ほか 2009)が ある。県央における唯一の残存自然林(ウラジロガ シ他)についての記載報告である。 図 栃木県版レッドリスト(2011改訂版)-栃木県の 保護上注目すべき野生動植物・地形・地質-

(11)

大森威宏(〒370-2345 群馬県富岡市上黒岩 1674-1 群馬県立自然史博物館 ohmori@gmnh.pref.gunma.jp)

10.群馬県 

追補

(A) 植物誌 『群馬県植物誌 改訂版』(群馬県 1987)以降 植物誌改訂の動きはない。ただし,外来植物につい ては群馬県立自然史博物館のプロジェクトとして大 森威宏編『群馬県外来植物チェックリスト2008年 版』(群馬県立自然史博物館 2009)が刊行された。 県新産植物や分布上の新知見は『群馬県立自然史博 物館研究報告』,『群馬生物』,『Field Biologist』の ほか,県自然環境課が発行する『良好な自然環境を 有する地域学術調査報告書』や『尾瀬の自然保護』 に県委託調査の成果として発表されている。 (B) 研究機関 群馬県自然環境調査研究会では,毎年実施する良 好な自然環境を有する地域学術調査のほか,絶滅危 惧動植物保全対策調査(2001 ~ 2003),群馬県外 来生物調査(2005 ~ 2008),群馬県レッドデータ ブック改訂に関する調査(2009~2012)を行って きた。群馬県尾瀬保護専門委員会では2003年以降 毎年尾瀬の植物相・植物群落に関する調査を行い, 『尾瀬の自然保護』(群馬県発行)の中で毎年報告し ている。群馬県立自然史博物館では3年計画で県内 の特定地域または生物群の調査を行い『群馬県立自 然史博物館自然史調査報告書』として報告してい る。2002年以降のテーマは,四ッ又山・鹿岳周辺 地域(下仁田町・南牧村:2002 ~ 2004),移入生 物(2005 ~ 2007),長野原・東吾妻町地域(2008 ~2010),上野村地域(2011~2013)である。 (C) 標本庫 群馬県立自然史博物館の2002年以降の主な寄贈 植物コレクションは宮前俊男氏(19000点),須藤 志成幸氏(9000点),粟田郁男氏(2600点),樋口 佳友氏(2000点),である(点数はいずれも概数)。 また,前橋市教育委員会から明治時代の標本730点 が管理移管になった。これらのうち,粟田郁男氏コ レクションは全国で採集されたシダ植物で,それ以 外は群馬県産の維管束植物が主体である。宮前俊男 氏コレクションには,群馬県尾瀬管理保護センター 開設と保護事業開始にあたり,尾瀬地域で採集され た標本約350点を含む。また,サイエンスミュージ アムネット及びGBIFポータルサイトへの収蔵標本 情報の情報提供を2007年度より行っている。2012 年4月現在35837件の維管束植物及び菌類の標本情 報を提供し,これらのサイトで公開されている。 (D) レッドデータブック 2009年度から群馬県自然環境課により『群馬県 の絶滅のおそれのある野生生物』(2001)の改訂作 業が行われ,2012年4月に『群馬県の絶滅のおそ れのある野生生物 植物編 2012年改訂版』が発 行された。選定基準の明確化を行った結果選定種は 初版の382種から633種に増加した。また,今回の 改訂に合わせて定量評価を導入した。レッドリスト については群馬県のホームページから閲覧でき,冊 子体は群馬県県民センター(〒371-8570群馬県前 橋市大手町1-1-1 群馬県庁2F)で有償頒布して いる。 (E) 植物群落 県の事業として『良好な自然環境を有する地域学 術調査報告書』と『尾瀬の自然保護』が継続的に発 行され,現在に至るまで植生に関する報告が行われ ている。 図 群馬県の絶滅のおそれのある野生生物 植物編  2012年改定版

(12)

吉田考造(〒369-1412 埼玉県秩父郡皆野町皆野 1065-1 kozoy@beige.ocn.ne.jp)

11.埼玉県 

追補

(A) 植物誌 『1998年版 埼玉県植物誌』(埼玉県教育委員会 1998)の刊行後,調査組織「埼玉県植物誌調査会」 は「埼玉県絶滅危惧植物種調査団」に継承された。 さらに,維管束植物群を主とした任意の有志による 「さいたま植物資料研究会」も新たに結成され,会 誌『さいたま植物通信』を1999年4月から年4回 発行で2009年1月までに40号を出し,終刊してい る。掲載種は在来の自生種や帰化種,外来種に限ら ず,園芸種や植栽種の逸出なども取り上げ,新たな 分布情報等を掲載している。これらの通信は合本 1 巻(A4-178 頁 , 2007),2 巻(A4-214 頁 , 2010) にまとめられ,次期植物誌改定(未定)や後述の 「レッドデータブック」等の参考資料となっている。 一方,2000年以降,出版された市町村史は『小 川町の自然- 小川町の歴史 別巻 [3] 』(2003),  『岡部町史-自然編(植物)』(2004),『鳩山の自然― 鳩山町史 別巻3』(2005),『越生の自然2008-越 生町史自然編』(2008)で地域のフロラを紹介して いる。また,その他各種団体等からの報告もある。 一例として,『甲武信岳を中心とした奥秩父(埼玉 県側)高等植物調査報告書』(秩父の環境を考える 会 2000),『秩父山地の回廊(コリドー)の植物』 (秩父の環境を考える会 2005),『渡良瀬遊水地の 植物図鑑』(渡良瀬遊水地アクリメーション振興財 団 2008),『野生植物が語る武蔵野の景観』(入間 市博物館 2010)などが挙げられる。 (B) 研究機関 埼玉県立自然の博物館(2006年に自然史博物館 から現在の館名に変更)から発行される年1回の研 究報告書にフロラや埼玉新産種等の分布記録が掲載 される。また,県立高等学校の生物教員で構成する 埼玉県高等学校生物研究会が年1回発行する『埼玉 生物』 では,県内各地で行われた調査結果が掲載さ れ,フロラ研究の基礎資料となっている。さらに, 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林秩父 演習林では,秩父演習林の普及解説書としての小冊 子の発行(現在12冊)などとともに演習林内の植 物調査も行っている(東京大学秩父演習林の植物. 演習林 44: 73-119, 2005)。 (C) 標本庫 埼玉県立自然の博物館には,県内外で収集された 登録標本資料が現在,約73,000点,うち維管束植 物標本が約59,600点収蔵されている。これらの登 録資料は,前身の「秩父自然科学博物館」,館名変 更前の「埼玉県立自然史博物館」時代から継承さ れ整理されたものである。また,『1998年版埼玉県  植物誌』編纂のために「埼玉県植物誌調査会」が収 集した標本資料を含め,後の「さいたま植物資料研 究会」や「絶滅危惧植物種調査団」が収集した資料 がまだ数多く未整理状態で収蔵されている。 整理の終わった登録資料においては,順次,収蔵 資料目録の発行や,最近では,地球規模生物多様性 機構(GBIF)日本ノードポータルサイトへのデー タ提供も行っている。因みに被子,裸子,コケ植物 を合わせて約52,600点がWebで公開されている。 (D) レッドデータブック NPO法人埼玉県絶滅危惧植物種調査団(2007年 に法人化,2009年に解散した「さいたま植物資料 研究会」が合流)が埼玉県から受託した「埼玉県 レッドデータブック植物編改定調査」に基づき,『改 定埼玉県レッドデータブック植物編2005』(埼玉県 2005),『埼玉県の希少野生生物 埼玉県レッドデー タブック植物編2011』(埼玉県 2011)が出版・公 開されている。総数1,031種(2005年版では1,035 種;以下カッコ内種数は2005年版を指す)が絶滅 危惧種にリストアップされ,各分類群では維管束植 物764種(769種),蘚苔類114種(107種),藻類 31種(31種),地衣類69種(65種),菌類53種(63 種)となっている。 また,上記のNPO調査団はレッドデータブック と併行して,埼玉県が条例で指定する「県内希少野 生動植物種選定(植物:現在まで19種が指定)」に ついても,受託し継続調査を実施している。 (E) 植物群落 『植物群落レッドデータ・ブック』(日本自然保護 協会 1996)において,全国で7,492件,うち埼玉 県から88件の植物群落が掲載されている。『改定埼 玉県レッドデータブック植物編2005』では,それ らに基づき,消滅のおそれのある植物群落として, 市町村ごとに367件が掲載された。2011年版のブッ クでは,さらに,重要な群落を抽出し,体系的に整 理し,タイプごとにまとめ,保護上重要な植物群落 として,78群落(338件)が選定され,保全管理に 視点を置いた内容となっている。なお,記録として, すでに絶滅している群落等も含められている。

(13)

大場達之(〒158-0083 東京都世田谷区奥沢 8-21-2 e-mail ohba@ec.catv.ne.jp) 御巫由紀(千葉県立中央博物館 〒260-8682 千葉市中央区青葉町 955-2)

12.千葉県 

追補

(A) 植物誌 2003年に千葉県の県史シリーズ51として千葉県 の自然誌別編4,千葉県史料研究財団編『千葉県植 物誌』が刊行された(略称:千葉県植物誌,1181 頁)。千葉県に自生する維管束植物2786種類につい て,検索表,カラー図版,分布図,簡略な記述を付 け,分布・群落・花の向き・花色・花粉媒介・種子 散布・葉序・葉の構成・葉縁・葉寿命・生活形・定 着度・県の保護評価・国のレッドデータランクをコ ロン表記として付してある。根拠とした植物分布 データは千葉県立中央博物館の植物標本庫(CBM) ほかの植物標本,主としてルートセンサスによる野 外記録,文献データで,その総数は植物誌刊行の時 点で506095件である。野外調査データまた別項目 として,多軸生態系列図,植物方言,千葉県の草本 植物フェノロジー,植物群落名の一覧がある。執筆 者は32名,千葉県の研究者を中心に,神奈川県植 物誌の執筆者にも応援執筆を御願いした。本書は現 在品切れ中である。 植物誌刊行後の追加訂正は,連絡誌『千葉県植物 誌資料』を27号まで刊行し,新しい帰化植物など はカラー図版を付けている。 2003年以降に刊行された地域植物誌としては, 折目庸雄『増補改訂 富里の植物 - 千葉県富里市植 物誌 -』(千葉県植物誌資料特集4, 126頁,2007), 寺村敬子『北総台地の植物記録(印西市草深・本 埜 村 龍 腹 寺 )』( 千 葉 県 植 物 誌 資 料 特 集5, 60頁, 2007),館山市植物調査団『館山市の植物』(千葉 県植物誌資料特集6, 238頁, 2011)がある。これ ら千葉県植物誌資料関係の印刷物は千葉県立中央博 物館ミュージアムショップ(TEL.043-266-5996) から購入できる。 (B) 研究機関 大学・博物館などには大きな変化は無い。研究団 体として最も大きなものは千葉県生物学会で,観察 会,研究報告会などを定期的に開催しており,会誌 『千葉生物誌』も2012年8月の時点で62巻1号(通 巻128号)までを刊行している。 (C) 標本庫 千葉県立中央博物館植物標本庫(CBM)には登 録 済 み 標 本 が289,377点(2012年8月30日 現 在 ) あり,そのうち千葉県産の標本は181,204点(2012 年8月30日現在)である。これら標本は,排架中 のものなどを除き閲覧可能である。未整理標本は約 100,000点収蔵されている。 (D) レッドデータブック 千葉県のレッドデータブックは10年ごとに刊行 される予定で『千葉県の保護上重要な野生生物 - 千 葉県レッドデータブック - 植物・菌類編 2009年 改訂版』487頁が2009年3月に千葉県環境生活部 自然保護課から刊行されている。本書は千葉県文書 館(TEL.043-223-2658)から入手できる。また重 要な種類の追加・訂正があった場合には『追録』が 別途刊行される計画で,現在1(2011年3月)と2 (2012年3月)がでている。 (E) 植物群落 『千葉県植物誌2003』に,これまで千葉県から 記録のあった植物群落名を体系的に纏めてある。 2014年には,生物多様性センターから,千葉県レッ ドデータブック - 群集・群落編 -(仮称)が纏めら れる予定になっている。

参照

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