2020
年
1月
31日
2019
年度聖路加国際大学大学院看護学専攻修士論文
自殺未遂者支援のための
地域連携システムを構築するプロセス
―救命救急センター退院後、
地域での支援につなげるための取り組み―
Structuring a Community Network System for Suicide Attempt Survivors:
Support after Discharge from the Emergency Department
17MN302
倉永 優子
1
要旨
【目的】
自殺未遂で救急搬送された患者への再企図予防のための支援について、救命救急センタ ーにおける自殺未遂者支援のための地域連携システム構築のプロセスと関連要因を明らか にすることを目的とした。
【方法】
本研究は、救命救急センターにおける自殺未遂者支援のための地域連携システムの構築 に関わった救命救急センターの中心的担当者と救命救急センターの看護管理者、地域関係 機関の担当者に対する半構成的インタビューと関連する文書・資料等を合わせて分析する 事例研究法である。研究法としてYinのCase Study法を参考とし、理論的枠組みに政策 過程モデルと事業創出のプロセスを用いた。録音したインタビューデータから起こした逐 語録と収集した文書・資料等を合わせてケース毎にコーディングを行い、救命救急センタ ーにおける自殺未遂者支援のための地域連携システム構築のプロセスと関連要因を検討し た。次いで全体の相違点や共通点を比較するケース間分析を行い、共通するプロセスを抽 出した。本研究は聖路加国際大学研究倫理審査委員会において承認を受けて実施した。
(承認番号:18-A091)。
【結果】
3つのケース、7名の対象者にインタビューを実施した。ケース毎に自殺未遂者支援の ための地域連携システム構築のプロセスと関連要因を検討し、ケース間分析を実施して52 個のサブカテゴリーを作成し、さらに集約して41個の共通するカテゴリーと5個のケー ス毎に特徴的なカテゴリーが抽出された。これらのカテゴリーを地域連携システム構築の プロセスに沿って検討し、『連携の必要性を認識する段階』、『連携の実現を具体化する段 階』、『連携開始に向けて体制を整え公なものとする段階』、『システムを稼働する段階』、
『地域連携システムを継続し効果と課題を実感する段階』、『事業の枠を超えたネットワー クに発展していく段階』の6つの共通する段階が抽出された。
地域連携システム構築において、病院・地域双方が自殺未遂者の問題を認識し、支援を 行うために両者で顔を合わせて正式な取り決めを行うとともにそれぞれの組織内での調整 を行っていた。また国の政策や補助金を活用しながら地域が主体的に事業化しており、救 命救急センターと地域が顔の見える関係を構築しながら協力する地域関係機関を広げ、自 殺未遂者支援の枠を超えて地域のネットワークに発展させていた。
【結論】
地域連携システムの構築において、国の施策に則りながら地域関係機関が主体的に事業 に取り組むことと、病院と地域関係機関が顔の見える関係を作ってネットワークを構築す ることの重要性が示唆された。