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東医大誌 77(4): 259
-260, 2019
巻 頭 言
私立学校法の改正に想う
東京医科大学 常任監事
小 野 高 史 Takashi ONO
昨年
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月に私学法が改正され、本年4
月から施行されます。今回の改正は、学校法人の公共性・公益性を 高め、社会からの信頼と支援につなげる観点からガバナンス強化が必要と考えられたことや、公益法人等で 同様の趣旨で制度改革が進んだこと等により実施されました。主な内容として、役員の善管注意義務や損害 賠償責任、監事への報告義務、監事による理事の業務執行状況の監査や不正行為等を発見した場合の理事会 や評議員会の招集請求、法令違反行為等の差し止めが明記されました。企業でも不正等が発生する度に会社法改正やガバナンスコード、委員会設置会社制度、社外役員制度等の 検討乃至導入が行われて来ましたが、制度をいち早く導入した大企業においても不正等が発生しています。
その原因は、「手段」である制度の導入で安心してしまい、「目的」を理解し制度を定着させるための意識改 革や実行計画が用意されず
PDCA
が実現されないことにあります。また、組織で起きる重大なアクシデン トへの対応を担当部門(関係者)だけの物差しで判断したり、組織全体の物差しが世の中の物差しとずれて いたりすることも大きな原因です。常に上位の物差しを意識して判断することで健全な物差しを育てること が大事です。不正は、不正の動機、不正の合理化(正当化)、不正の機会の
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要素がそろった時に実現すると言われて います。職場や仕事に対する不満、業績を挙げたいという欲求等が不正の動機や不正の合理化を生み、内部 統制の不備等により不正の機会があると不正が実現します。重大事象が発生した時には、犯人捜しで表面的 解決を図るのではなく、上記3
要素に着目した真の原因追求によって再発防止に取り組むことが大事です。一方、コンプライアンス(遵守)に対してインテグリティー(誠実)を重視して、「悪いことをしない」
から「良いことをする」という発想もあります(日本経済新聞
2019
年7
月10
日、中山達樹弁護士)。医療 安全でも大阪大学医学部の中島和江教授が「レジリエントな手術チームのシステムダイナミクスの解明」に よって、良い手術が実現されるコミュニケーションの取り方等を明らかにしています。ポジティブに良いこ とに取り組もうという姿勢が参考になるように思われます。私立学校法改正による監事の権限と責任の強化が有効に機能するためには、役職員が重大事象の事実や可 能性を察知したところから監事と情報共有することが大事です。事後検証型を越えて事前予防型の監事機能 を実現できる組織を目指して行きたいと思います。
東 京 医 科 大 学 雑 誌
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巻 第4
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略 歴小野 高史(おの たかし) ONO Takashi