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新潟医療福祉大学 言語聴覚学科

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Academic year: 2021

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(1)

日本語話者の若年健常成人における発話速 度調節の一機序とその性差の検討

田村俊暁

1), 2)

、佐藤克郎

1), 2)

1)

新潟医療福祉大学 言語聴覚学科

2)

新潟医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科

【背景・目的】発話に関わる神経や筋の障害によって発声 や構音に障害を来す

dysarthria

(ディサースリア、運動障 害性構音障害)患者に対する訓練として、発話速度の調節 法がしばしば慣例的に用いられている。

しかし、発話速度の調節法では発話の明瞭度が改善する 一方でプロソディ―(

prosody

、韻律)が損なわれる不利 益も起こり得ることも知られているが、双方を高い水準で 維持するための詳細な方法論は示されていない。また近年、

従来「普通の速さで」の指示で測定されてきた発話速度に ついて、「ゆっくり」や「速く」といった負荷を与える評 価方法が熊倉(

2018

)などによって提唱されている。

本研究の目的は基礎データとして健常発話者が発話速 度を調節するときの一機序およびその男女差について検 討することである。

【方法】対象は言語病理学を学ぶ若年健常発話成人

23

(平均年齢

21.4

±

0.8

歳、男性

10

名・女性

13

名) 。 対象者に長文「北風と太陽」 (

223

モーラ)の音読を指 示し、

PCM

レコーダーに録音した。音読は、

1

回以上の 練習後、

1

) 「通常の速度」 、

2

) 「できるだけ速い速度」で の

2

条件を各

1

回行わせた。

音声資料をパーソナルコンピューターに取り込んだ後、

音響解析ソフト

praat

を用いて音声波形を画面上に表示 し、施行ごとに音読に要した時間を測定した。音読に要し た時間と文章全体のモーラ数から小澤ら(

1997

)に準じて

1

分間あたりに音読されたモーラ数を算出した。

また、文章全体で実際に構音運動が行われている発話区 間と休止区間(

200

ミリ秒以上の無音区間)を検討するた め、音声波形と同期させたサウンドスペクトログラムで発 話区間と休止区間の時間と割合を各施行で測定・算出した。

上記の実験は新潟医療福祉大学倫理委員会の承認を得 て実施された。

【結果】総発話時間と総休止時間は、 「通常の速度」で音 読させた場合は、平均総発話時間

33.2

秒(男性;

34.1

±

4.6

秒、女性;

32.5

±

3.1

秒)、平均総休止時間

6.8

秒(男 性;

9.1

±

3.6

秒、女性

5.0

±

1.5

秒)であった。 「できるだ け速い速度」では、平均総発話時間

22.4

秒(男性;

20.5

±

3.5

秒、女性;

23.9

±

3.3

秒) 、平均総休止時間

1.8

秒(男 性;

1.6

±

0.9

秒、女性

2.0

±

0.7

秒)であった。

1

分間あたりに発話されたモーラ数は、 「通常の速度」

で音読させた場合が平均

408.9

±

42.7

モーラ/

1

分、 「で

きるだけ速い速度」では平均

616.6

±

110.6

モーラ/

1

分 であった。

発話区間と休止区間の全体に占める割合は、 「通常の速 度」で音読させた場合、平均で発話区間

80.1%

、休止区間

19.9

%であった。「できるだけ速い速度」で音読させた場 合、平均で発話区間

92.2

%、休止区間

7.8

%であった。

更に、女性に比して男性は「できるだけ速い速度」での 発話区間と休止区間の短縮率は有意に高かった(図

1

)。

【考察】今回の研究で主に以下の知見を得た。①「できる だけ速く」の負荷により、発話区間に比較して休止区間は 著しく短縮した。②「通常の速度」に対する「できるだけ 速い速度」の発話区間および休止区間の短縮率は女性より 男性が高かった。③「通常の速度」では男性は女性に比し て休止区間が全体に占める割合は多かったが「できるだけ 速く」の負荷を与えることで割合が女性に近づいた。

今回の結果は、一定の明瞭度を保つための構音運動に要 する時間は制約が多く、休止時間はより柔軟に延長短縮が 可能であるという多くの先行研究を支持するものである。

また、 「できるだけ速く」の負荷を与えることで「通常の 速度」では男女間に差が大きかった発話・休止区間の割合 が近づいたことは、発話時間のみでなく休止時間も一定の 明瞭度を保つための機序を担っていることを示唆するも のである。

以上より、

dysarthria

の臨床においては、

dysarthria

患 者への適切な発話速度を検討する際に「できるだけ速く」

などの負荷を与えて通常との乖離を評価することに加え て、発話区間・休止区間の時間やその割合に着目すること で治療の選択肢が増えることが推察される。

【結論】音読による発話速度調節の一機序およびその男女 差について検討した結果、発話速度評価の際には速度負荷 による通常発話時との変化に加えて、発話区間・休止区間 に着目することの重要性であることが示された。

【文献】

1)

熊倉勇美

:

発話障害の評価と訓練—言語聴覚士に何が できるか,何をすべきか

,

言語聴覚研究

, 15: 3-10, 2018.

2)

小澤由嗣

,

武内和弘

,

城本修ら

:

健常者の音読速度と 速度調節の方略-予備的検討-,広島県立保健福祉短大紀 要

, 3: 95-102, 1997.

(%)

女性

女性 男性

男性

1.「通常の速度」から「速い速度」への短縮率

p < 0.001

P-10

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第18回 新潟医療福祉学会学術集会

参照

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