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傾向分析の適用に関する一考察
著者 瀧野 千春
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 26
号 1
ページ 169‑173
発行年 1977‑11‑15
その他のタイトル The Application of the Trend Analysis
URL http://hdl.handle.net/10105/2544
,V。l.諾HJCAS‑tt&)B88I52 N。.1.(cult.&s。c.)1977年
傾向分析の通用に関する一考察
闇 PjJ^^^^E芸 事 (心理学教室) (昭和52年4月30日受理)
I
瀧野(1972)は分割距離錯視の研究において、内隔を変化すると、外隔の過大視量が一定の傾 向で変化することの吟味の方向として、傾向分析の方法を用い、内隔の要因が分散分析によって 統計的に有意であることを確かめた後、その平方和(SS)を、 1次、 2次、 3次、 4次の成分に わけ、どの成分が有意であるかをしらべている。
今回の論文では、同心円鍍視に関して、内外円の直径比が変化すると、内円の偏位はどのよう に変化するか、また外円の偏位についてはどうかという点について行なわれた研究(加藤, 1976;
赤木, 1977)のデータに基いて、傾向分析を行ない、その結果を示すとともに、傾向分析の具体 的な方法を説明し、その効果的な計算方法に適切なプログラミングの開発に関して考察する。
II
内円の偏位に関する加藤(1976)の研究の資料を用いた傾向分析の計算例は、 Winer (1971)の 方法によったもので第1表に示されている。
第1表 内円の偏位に関する傾向分析の計算例
(1 ) (2 ) 3 ) (4 ー (5 ) 6 ) (7 ー (8 )
S . 48 15 1 .6 8 1 0 1 .6 0 2 5 .6 0 0 . 4 8 ‑ 4 0 .9 6 ‑ 4 4 .0 0 ‑ 7 0 .5 6 ∑ C j< D S S
1 次 ‑ 7 ‑ 5 ‑ 3 ‑ 1 1 6 8 ‑ 2 5 4 4 . 4 8 8 0 6 4 8 0 2 .8 7 5 6 9 . 4 1 * *
2 次 ‑ 3 ‑ 5 ‑ 5 1 6 8 ‑ 7 9 .2 0 8 0 6 4 0 .7 8 ‑
3 次 】 3 ‑ 3 ‑ 7 ‑ 5 2 6 4 9 38 .4 0 1 2 6 7 2 6 9 .4 9 4 9 . 28 * *
4 次 7 ‑ 13 Q 9 ‑ 3 ‑ 1 3 6 1 6 ー 12 2 1 .6 0 2 9 5 6 8 5 0 .4 7 3 5 . 79 * *
5 次 2 3 ‑ 1 7 】 1 5 1 5 1 7 】 2 3 7 2 1 8 4 5 87 .0 4 1 0 4 8 3 2 3 .2 9 2 . 3 3
この第1表においては、内外円の直径比が8条件あり、その下にそれぞれの条件における48名 の被験者の鍍視量(偏位量)の合計がT,・で示されている。さらに1次から5次までの成分の分 析に必要な直交多項式[orthogonal polynomials)の係数がその下に表示されている。この係数は 山内(1977)、 Winer(1971)から条件数に応じて適切なものをえらんで使用する。なお∑c?は それぞれの次数における8個の係数の2東和であり、 Cはそれぞれの次数における8個の係数と それに対応するTJ・の積を求めその8個の積を加えたものである。たとえば1次については以下 のようになる。
∑ c/‑ (‑7)2+(‑5)2+(‑3)2+(‑1)2+l2+32+52+72‑168
169
170
瀧 野 千 春
C‑ (‑7)(88. 48) + (‑5)(151. 68) + (十3)(101. 60) + (‑ 1)(25. 60) + (1)(0. 48)
+(3)(‑40. 96)+(5)(‑44. 00)+(7)(‑70. 56)
‑ ‑2544. 48
さらにDは∑cj2とn (この表では48)の積すなわち」>‑ォ・∑cj2であり、 ss‑o>/Dであ る。そして第1表のそれぞれのSSはいずれもdf‑lであり、このMSを分散分散の誤差項で あるMSec甘,‑1.41で割ってF値が得られるO このMSec,)に対応するa/eooは315である。
これらのF値から、傾向分析においては、 1次、 3次、 4次の成分が有意であり、 2次および5 次の成分は有意でないことがわかる。すなわち、全体として、内外円の直径比が大きくなるにつ れて、内円の偏位量は減少する傾向を示すが、条件2 (内外円直径比が2:3)で極大値がみられ、
さらに偏位量が負の値をとる条件5から以後の区間において極小値がみられるが、またそれと重 なって内外円直径比が極端に大きくなるとかえって偏位量は減少するのではないかと考えられる
ような傾向が存在すると解釈される。
上記の計算を行なうのに適切なプログラムを以下に記しておく。このプログラムは筆者がC社 (国内)のPR0‑101用に開発したものである。
PR* 1:
MAC ENT 1:
ST書2: ENT2:
7‑1×2;
ST書1: ENT3:4:
5‑3×4;
6‑5+6:
GoTo 1:
:MJ
8=6×6‑5‑7 : 9=8+9:
6‑KO:
ANS8:9:
GoTo 2:
END
官
HI
外円の偏位に関する赤木(1977)の研究の資料を用いて、傾向分析を行な、った具体的な計算例 が第2表に示されている。この第2表では内外円の直径比の条件数は6条件で、 1次から4次ま での成分に分けられる。被験者数(n)は48であり、分散分析の結果のMSeciOは0.90、 dU:w3は 220である。
第2表のF値から、傾向分析においては、 2次、 3次、 4次の成分がそれぞれ有意であり、 1
次の成分は有意でないことがわかる。すなわち、外円の負の偏位畳は内外円の直径比が大きくな
るにつれて、直線的(linear)に変化する傾向を示さず、この点で内円の正の偏位の傾向とは異な
事2表 外円の偏位に関する傾向分析の計算例
(1) (2) (3) (4) (5) (6)
T j ‑15.36 ‑ 28.08 ‑ 37.08 ‑ 39.36 ‑ 5.28 ‑ 24.00 ∑ D SS
1 次 ‑ 3 ‑ 1 1 3 5 70 22.92 3360 0.16 ‑
2 次 5 ー1 ‑ ‑ 4 ‑ 1 84 86.16 4032 5.02 5.58*
3 ft ‑ 5 ‑ 4 180 ‑ 193.68 8640 4.34 4.82*
4 次 ‑ 3 一3 1 28 ‑92.16 1344 6.32 7.02**
ったものであることが示されている。また2次の成分が有意であるのは、内外円直径比が2:3の 付近に、負の偏位が最も大きくなる点が存在することを示している。 3次および4次の成分が有 意であることは、内外円直径比が大きくなると、負の偏位が減少する傾向が現われ、続いて内外 円直径比が大きくなると再び増加する傾向を示し、内外円直径比が極端に大きくなると、減少に 転ずることを示している。特に4次の成分が1%水準で有意であることはそのような傾向が他の 候向(2次および3次の傾向)よりも強いことを示している。
IV
前述のⅡおよびⅢにおける計算においては、 Ⅱのところで述べたプログラムを用いたのであっ たが、このプログラムでは数値をinputする回数(特にT,・を何回もinput Lなければならな いので)が多くなるので、この点を改良して下記のプログラムを作成した。
PRサ 2:
MAC ENT ll:
ST書1: ENT15:6:7: 8:9:10:
14‑14+Kl:
12=15× 6:
1= 1+12:
12‑15× 7:
2= 2+12:
12=15× 8:
3= 3+12:
12=15× 9:
4= 4+12:
12‑15×10 : 5= 5+12:
IF14=11: 1:2:2:
ST#2: ENT6:
ST暮3: ENT7:
I‑I+Kl:
8=6×7;
172
瀧 野 千 春
IM=IMxtAt÷8 :
13=13+IM : ANSIM:
GoTo3:
MJ
ANS13:
END
さらに、結果がプリントされて表示される機種として、 S社(国内)のPC‑7200用のプログ ラムとして下記のようなプログラムを作成した。
0:F X .25i
l.'CX 蝣・ロ7.4毒B*X*VL
2JFLG FLO iと
3:HLT XQ>某1サX2増5.13絹サX5と ヰ:IF FIG 7'kTロ jli 5:洋L7春X3号XサX蛸6*XSと 毒." XかX2号MサX蛸7毒X7i 7:ォl*X3*J?サX*X担X鎚 串:XO*X4毒X'X蛸舞lI放 き:XC紬諾.5書x>かXまQ*Xl施 iO.'GT白三と
:HLT鎚
12硝U B主
1stiq・坤±1'M i掠†こX右.)/〜.毒X6.‑XS+Xl 】*xHl .tヰJHLT払
)5:ft>増毒Vl.'ほ7蛸7}/y書K7‑'X7+Xi l輔I li i&JHLT Bと
17i&*2号y.<ほか.糟vy群き>XB蛸j j城l li
lB:サIT王:i
け:如m><*き+VQレ†'*X9サX?十Xi'i増日1 20:Hi> 良
21:頒事かYMXl白蝶Ievy毒,Ylか削o+Xi三号XIlと 22:P即ワirrrやjX右?FJB iP那 蝣2Fi>小rVl那>m>左 23.'PだT ¥3Fs>*F'jX8サFEI> JP丹T '4F5サ*F">;!9'FE君と :/ヰ:戸符丁 や5FiferモiXIOサFEE .一押T yrコttウWF'サXl 'FEE
と
25:END END皇 国ttf^Htfa
引 用 文 献
赤木さだ子1977 同心円錐視の外円の偏位効果に関する発達的一考察,奈良教育大学昭和51年度卒業論文.
加藤 まり1976 同心円錯視の偏位効果に関する発達的一考察,奈良教育大学昭和50年度卒業論文.
瀧野 千春1972 分割距離培視における傾向分析,心研, 43, 100‑102.
Winer, B. J. 1971 Statistical principles in experimental design, 2nd ed., New York : McGraw‑Hill.
山内 二郎1977 簡約統計数値表,日本規格協会.
The Application of the Trend Analysis
Chiharu Takino
Department of Psychology, Nara University of Education, Nara, Japan (Received April 30, 1977)