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大規模回路シミュレーションの高速化技術に関する 研究

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Academic year: 2021

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大規模回路シミュレーションの高速化技術に関する 研究

著者 田中 伸幸

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

21

ページ 156‑158

発行年 2000‑03‑31

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1530

(2)

氏名。(本

)  

  

  

  

(東京都

)

学位 の種類

  

  

  (工

 

)

学位記番号

  

工博乙第

  86  

学位授与の日付

  

平成 11年 3月 24日

学位授与の要件

  

学位規則第4条2項該当

学位論文題目

  

大規模回路シミュレーションの高速化技術に関する研究

論 文 審 査 委 員   (委員長)

教 授 窪 野 隆 能

 

教 授 八 巻 直 一 教 授 渡 邊 健 蔵

 

教 授 浅 井 秀 樹

マルチメデイア社会を支える高速なコンピュータや大容量通信システムなどの高速情報処理システ ムを構成するために、LSIの 大規模 0高 密度化ならびに高速化は著 しく進んでお り、また、回路の小 規模化・低消費電力化に有効なんD混LSIも 開発 されている。このようなLSIの設計および動作検証 には、回路のアナログ的な挙動を詳細に解析することが不可欠とな り、極めて大規模な回路の詳細解 析 を実用的な時間で実行で きる大規模 アナログ回路 シミュレータが必要 となつて きた。

本論文では、数百万 トランジスタ規模の大規模回路 シミュレーションに適 した次世代回路 シミュ レーションシステムを構成する要素技術である、専用並列計算機とこれを中核 とする直接法ベースの 大規模回路 シミュレーションシステム、ならびに、高速な緩和 アルゴリズムを提案する。

本研究の目的 とする回路 シミュレータにおいては、解析精度は従来の回路 シミュレータと同様で、

高速化の代償 として解析精度を低下させることはないもの とし、数値計算の収束性・安定性について も従来の回路シミュレータと同様のレベルを確保するものとした。この目標 を達成するために、収束 安定性に優れた直接法を本研究の回路解析手法のベースとして用いる。,直接法を適用できない規模の 回路については、各部分回路 を直接法の適用限界まで大きく分割 して緩和法を適用することとし、最 上位 レベルの回路分割 と対応 して波形緩和法を適用することにより回路のマルチレー ト性 を利用する とともに、次のレベルの回路分割 と対応 して反復 タイミング解析 を適用 し、このレベルでの回路分割 によって生 じる部分回路の解析には直接法を用いることで、直接法 と同等の安定性 を確保するものと

した。

直接法で問題 となる大規模回路への適用性 を改善するため、本論文では、専用並列計算機

SMASH

ならびにスイッチを含む区分線形 ダイオー ドモデルを提案する。SMASHは大規模回路 シミュレー

‑156‑

(3)

:

ションにおいて計算時間の多 くを占める回路行列の三角化分解に特化 した専用ハー ドウエアを有 し、

節点分割に基づ く回路分割を適用 し、ホス ト計算機 と負荷分散 を行 うことにより、行列計算時間を大 幅に短縮することができることを示す。さらに、スイッチと抵抗のみで構成される簡易区分線形ダイ オー ドモデルを提案 し、これを用いることによって素子モデル計算時間を削減できることを示 した。

これらの高速化手法を適用することによって、従来の直接法では非現実的であった大規模回路 を解析 で きることを示す。

さらに、直接法が適用できない規模の回路に対 して適用するオーバーラップ分割による高速反復 タ イミング解析手法を提案 し、直接法の安定性を保つたまま解析可能な回路規模 を飛躍的に増大 させる と同時に高速化 を達成できることを示す。本論文で提案するオーバーラップブロック緩和 ニュー トン 法は、部分回路の境界付近にある素子や節点を隣接する部分回路 に重複 して含むよう冗長分割 して解 析する手法であ り、各部分回路には直接法を適用 して解析する。オーバーラップ分割の適用によって

1回の緩和反復で求まる近似解の精度が向上 し、緩和反復回数が減少す るため、従来法 と比較 してlo

1000倍の高速化 を達成できることを示す。また、オーバーラップブロック緩和ニュー トン法は、適 用する回路規模カセ000節 点以上 と大 きいときに回路全体に直接法を適用するより高速になり、両者の 差は回路規模が大 きくなるにしたがって急速に拡大することを示 し、各部分回路を直接法の適用限界 まで大 きく分割する本論文の分割手法に対 して、オーバーラップブロック緩和ニュー トン法が有効で あることを示す。

さらに、大規模回路の有するマルチ レー ト性を利用 した高速化を達成するために、本論文では最上 位の回路分割で動作速度の異なる機能ブロックレベルの極めて大 きな分割を適用 し、波形緩和法によ

る解析 を行 うことを提案する。従来の波形緩和法では、部分回路間で局所的帰還ループを構成する場 合に収束性が劣化 し、無駄な計算を行 って しまう問題があった。本論文では、このような局所的帰還 ループに対 して、帰還ループに沿った部分反復 とウインドウ分割アルゴリズムを提案 し、部分反復に よつて、収束性の悪い局所帰還ループ部分のみを集中して緩和反復することによって全体の緩和反復 を減少 させ られることを示す。部分反復 に全体の解析時間ウインドウより小 さな時間ウインドウを適 用することで、時間ウイン ドウ後半部分の収束性 を向上 させ、その結果 として解析時間が短縮 され る。この波形緩和アルゴリズムにより、解析時間の増大をともなうことなく、回路のマルチレー ト性 を有効 に利用で きることを示す。

以上の要素技術 を適用することにより本研究の目標である数百万 トランジスタ規模の大規模回路シ ミュレータを構築で きる見通 しが得 られた。

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マルチメデイア社会を支える高速なコンピュータや大容量通信 システム等の高速情報処理システム を構成するために、LSIの大規模・高密度化ならびに高速化は著 しく進んでいる。このようなLSIの動 作検証には、回路のアナログ的な挙動 を詳細にかつ実用的な時間で解析で きる回路 シミュレーション

システムが必要 となってきた。

本論文では、数百万 トランジスタ規模のLSIに 対処できる次世代回路 シミュレーションシステムを 構成するための要素技術 についての提案 と検討 を行 っている。

第一章で本研究の背景について述べた後、第二章では本研究を進める上で必要 となった回路 シミュ レータ開発支援 プログラムASSISTに ついて述べている。ASSISTは 回路シミュレータの構築に共通的 に必要 となる部分をライブラリの形で提供するものであ り、シミュレータの性能評価 を可能としてい る。

第三章においては、直接法に基づ く回路 シミュレーションのハー ドウェアエ ンジンとなるLU分

専用並列計算機SMASHについて提案 している。sMASHは、大規模回路 シミュレーションで必要 とな る大規模疎行列の三角分解を高速に実行する計算機であ り、並列アーキテクチャと行列要素のラベル 整合 を高速 に実行するハー ドウェアを内蔵する。SMASHと回路分割技術 を併用することで、計算の 主要部であるLU分解過程が極めて高速に実行 されることを示す。 さらに、第四章において、専用計 算機

SmsHと

ホス ト計算機 とのデータ通信 を考慮 したシミュレーションシステムの提案 とその評価 を行つている。本 システムによれば、回路分割 を適用 し、SMASHと ホス ト計算機 との負荷分散 を行 うことにより、シミュレーション時間を大幅に短縮で きることを示 している。

第五章では、スイッチと抵抗のみで構成 される簡易区分線形ダイオー ドモデルを提案 し、これを用 いることによって素子のモデル計算時間を削減でき、また、過渡シミュレーションの前処理 として必 要 となる直流解析が効率的に実行で きることを示 している。

第六章では、直接法が適用できない規模の回路に対 して適用するオーバーラップ分割による高速反 復 タイミング解析手法を提案 し、取 り扱える回路規模 を飛躍的に増大 させると同時に高速化が達成で

きることを示 している。

第七章では、機能ブロックレベルでの回路分割に基づ く波形緩和法 による解析 について述べてい る。特 に、局所的な帰還ループに沿った部分反復 とウインドウ分割手法を提案 し、その評価を行つて いる。

第八章 において、結論 を述べ ると共に今後の展望 について示 している。

以上の成果は、回路 シミュレーションの分野を中心 として、工学分野において重要な価値を有 し、

博士の学位(工)を与えるにふ さわ しいと認定する。

‑158‑

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