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磯 写 可
修 士 論 文
日本人英語学 習者 の 照 応 表 現 と談 話 の 一 貫性
‑ 英 語母語 話者と の 比較 にお い て ‑
駒 田 ゆ き 子
1 0 6 M 2 0 4
三重大学大学院 人 文社会科 学研 究科 地域文化論 専攻 地域言語 文化論 専修
2 0 0 8 年1 月
吹
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早 ‥ ● ‥ ●‥ ■
第1 章 先行 研 究
1.1 日本人英語学 習者の照 応 表 現
1.2 照 応 表 現と談 話の 一 貫性 1 .2.1 談 話と首尾 一 貫 性
1 .2.2 言語的 結 束性と照 応 関係
1 .2 .3 非言 語的 結 束性と照 応 関係
1 .3 照応の種 類と分 類
1.3 .1 照応の種 類
1.3.2 直接 照応
1.3.3 間接 照応
1.3.4 Prin c e によ る分 類
1.4 ま と め
第2 章 セ ンタリン グ理論
2 .1 概要
2 .2 中心の定 義
2.3 規 則と制約
2.4 談話の処 理 過程
2.5 ま と め
第3 章 研 究 方 法
3.1 言語デ ー タ 3 .2 分 析 方 法
第4 章 結果 ‑ ・ ‑
4 .1 話題の焦 点C b と 遷移パタ ー ン の分 布
‑ ・ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ・ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ・
2 6
4 .2 C b の遷移パタ ー ンにお け る 照応 表 現の分 布
4 .3 遷移パ タ ー ン の連 続の傾向 性 と 照応 表 現パタ ー ン の分布 ‑ ‑ ‑ ‑ ・ ‑ ・ ‑ ‑3 7 4.4 ま とめ
第5 章 考察
5.1 R E T‑S H I F T の生起パタ ー ンに見 ら れ る談 話の展開
5.2 n o C b の連 続に見 ら れ る間接照応
5.3 代名詞 の使用 と節の連 結パタ ー ン
42 4 2 4 5 4 9 5 .4 S H I F T 遷 移に見 ら れ る 間接 照 応 : ト ポニ ミ ‑ とパ ー トニ ミ ‑ ‑ ‑ ・ ‑ ‑ ・5 2 5 .5 ま とめ
第6 章 結論 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑
6 .l 縁 括
6.2 今 後の課 題
参 考 文 献 6 6
【図 番 号 ・ 図 題】
図 1 遷移パタ ー ン の分布 (N S) 図2 遷移パタ ー ン の分布 (N N S 上級) 図 3 遷移パタ ー ン の分布 (N N S 中級)
図 4 C b の遷移パタ ー ンにお け る照応 表 現の分 布
2 9 2 9 2 9 3 5 図 5 遷 移パタ ー ン の連続の傾 向 性と照応 表 現パタ ー ン の分 布 (N S) ‑ ‑ ・ ‑ ・3 8 図 6 遷 移パタ ー ン の連続の傾 向 性と照応 表 現パタ ー ン の分 布 (N N S 上級) ・3 8 図 7 遷移パタ ー ン の連続の傾 向 性と照応 表 現パタ ー ン の分 布 (N N S 中 級) ・3 8 図 8 焦 点推 移に関 する 認 知 プ ロ セス
【表 番 号 ・ 表 題】
表1 指示の分 類 ‑ H am i day & H a s a n
表2 照 応の分 類 ‑ Q uirk et al.
表3 照 応の分 類 ‑ P rin c e
表4 中心の遷 移パ タ ー ン 表5 (2.1) の中心の遷 移
序 章
本研究の目的は談話 内において首 尾 一 貫性 を担 う照応 表現に注 目し、 英語 母 語話 者と 比較 することで浮かび 上 がっ てく る日本人英語学 習 者の照応 表 現の特 徴と問題 点を 明 らか にすることであ る。
日本人英語学 習 者が産出する談 話には、 英語 母 語話 者の談話 と 比 べ て多く の相 違 点が 認 め ら れ る と 予想さ れ る。 語嚢 や 統語 上 の誤 り も あ れ ば、 誤 り と は言え ないま でも 語 用論 的に母 語話 者と は異 なる談 話の産 出も み ら れ るであ ろう。 これ らの誤 り や母 語話 者との相 違 点におい ては、 日本人英語学 習者の習 得の順 序、 運 用能 力の発 達の過 程、 母 語 の影 響 など が 要因とし て考え ら れ る と さ れて いる (E llis, 1 9 9 4)。 本 研 究では、 談 話の 一 貫性と密 接に か かわ る照 応 表 現を取り 上げて、 その選択と産出 に つ いて の日本人英語学 習 者の特 徴と問題点を、 英語 母 語話 者と 比較をすることに よっ て考 察 する。
談 話に は話し言葉の談 話と書き 言葉の談 話が あるが、 本研究では話し言 葉の談 話 を研究の対象をした。 すで に産 出した談 話を 目で見て確認し、 何 度も書き直しが 可 能であ る書き言 葉と は異な り、 口頭によ る 発話は産出に至 る 一 連の処 理 を瞬 時に、
かつ連 続 的に行わなけ れ ば な ら ない ( 松 原, 2 0 0 6) 。 従っ て、 学 習 者にとっ ては、 口
頭によ る産出の方が よ り負 荷が大き く、 ご まか しのきかない照 応 表 現の習 得の度 合
いを測ること ができ る と考え たo
本研究では、 英語 運用 能 力が日本人 とし て は最も高い レベ ル の英語学 習 者の談 話、 すな わ ち、 文単 位において も、 談話レベ ルにおいても、 あ る水 準の照 応表現理解と 運 用能力 をすで に備えて いる日本人英語学習 者の談 話を分 析の対象とし て、 照 応 表 現の選択 や運 用にお け る英語 母 語話 者との相 違 点と 共 通点に つ いて検証する。 そし て、 そ れ らの相 違 点 や共 通点が英語 運 用能力 を反 映 した もので あるのか、 あ るいは、
外国語学 習 者とし て の日本人英語学 習者に共 通 し てみ ら れ る特 徴であ るのかを 明 ら か にする ため に、 中 級レベ ル の 日本人英語学 習 者のデ ー タ も 同様に分 析 する。
具体 的な分 析方法とし ては、 T he N I C T J L E C o rp u s(2 0 0 4)の 日本人英語学 習 者と 英語 母 語話 者の話 し言葉の談 話に, セ ンタ リン グモデル を応 用し、 発 話 単位 内の 「中 心」 と よ ば れ る話 題の焦 点が談話の展開に応 じ て どの ような遷 移パタ ー ンで移 動し て いるか、 そ れ らの中心に対し て どのような照応 表 現が 選択さ れて い るか、 ま た、
遷移パタ ー ン の連 続の傾向性は ど う表れて いるか、 に つ いて両者を比較 分析す る。
各 章の内容に つ いては 以 下に述べる と お りである。 まず、 第 1 章では 1.1 で、 日 本人英語学 習者の照応 表 現の理解と 運 用に関する先 行研究を概 観 する0 1.2 では、 こ
の研 究で分 析の対 象とする談 話に つ いて、 談話と は何かを 明 らか に し、 談 話の 一 貫 性と照応 表 現との関係に つ いて H alli day & H a s a n の結 束性の概 念を み る。1 .3 では、
照応の定義と分類に つ いて、 H alli day & H a s a n 、 Q uirk etal., P rin c e、 山梨の研究 を検 討しな が ら、 その種 類 や 分類に つ いて述べる。
第2 章では、 本研究の分 析ツ ー ル とし て利用 したセ ンタ リ ングモデル の基 礎と な
って いるセ ンタ リング 理論に つ いて、 基 本 的な考え方、 モデル の説明、 その特 徴 や 有用性に つ いて述べ る。 セ ンタ リング 理論は、 談話単位内にお け る 注意の焦 点 (fo c u s of atte ntio n) 、 照応 表 現の選択 (ch oic e of r efe r ring e xp r e s sio n)、 談話の局所 的 一
貫性 (c oh e r e n c e) の関係 性に つ いて説明し、
一 貫 性の ば らつ き は照応 表 現の違いに
よ る推 論量 (infe r e n c elo ad) に対 応し てお り、 セ ンタ リ ングによっ て モデル化さ れ
る 注意 状 態の特徴がこれ らのば らつ き を説明でき る とし て いる (G r o s z et al., 1 9 9 5,
W al ke r et al.,1 9 9 8, 石崎 ・ 伝, 2 0 0 1).
第 3 章では、 言語デ ー タ とし て利用したコ ー パ ス と そ のデ ー タの基と なっ て いる s s T テス トに つ いて紹 介し、 ま た、 分析 方 法に つ いても述べ る。
第4 章では、 T h e N I C T J L E Co rp u s (2 0 0 4) の日本人英語学習 者と英語 母 語 話者
の談 話に セ ンタ リングモデルを適用 し、 以 下の 3 点に つ いて分析 する。 まず、 話題
の焦 点 (C b) と 遷移パタ ー ン の分布に つ いて、 次に、 C b の遷移パタ ー ンにお け る照 応 表 現の分 布に つ いて、 最 後に, 遷 移パタ ー ン の連 続の傾 向性 お よ び照応 表 現パタ
ー ン の分布に つ いて数量的な分 析を試み る。
第5 章では, 第4 章で明 らか になった結果を基に、 次の4 点から考 察を試 み る。
まず, R E T と S H I F T の生起パタ ー ンという観点から、 日本人英語学 習者と英語 母 語話 者の発話内にお け る話題の焦 点であ る中心の移 動の パ タ ー ン を 比較 する (R E T とS H I F T に つ いて は第2 章を参 照)o 次に、 2 発 話 間において、 同 一 指示的照応 関 係が ま っ た く み ら れ ない n o C b の連 続は何を意 味 するの か、 そこには どのような 現
象が み ら れ るかを考 察 する。 ま た、 照応 表 現の選択においてみ ら れ た日本人英語学 習 者と英語 母 語話者の相 違は、 節の連 結の パタ ー ン の違いに よ る ものであ るこ と を 明 らか にする。 最 後に、 両者に共 通 し てみ ら れ た照 応 現 象と し て、 認 知のプロ セ ス
によ る間 接照応の役 割につ いて述べる。
第6 章では、 ま と め と今 後の課 題につ いて述べ る。
以 上の考 察を 通 し て , 高い英語 運 用能力 を有 する 日本人英語学 習 者の談 話にお け る照応 表 現は英語 母 語話 者のそ れに近づ いて は いるが、 中心の移 動 時 や 節と節の接 続 時の照 応 関係の構 築においては、 母 語話者との間に違いが あるこ と を 明 らか にす る。 具 体 的には, 日本人英語学 習者は、 英語 母 語話 者の談 話の展開にみ ら れ る 言 語 的 結 束 性を伴っ た中心の移 動は困難であ り, ま た、 英語 母 語話 者と日本人英語学習 者の照 応 表 現の選 択の違いは、 節の連結の パタ ー ン の違いが 一 因であ ること を 明 ら か にする。 さ らに、 言 語的 結束性の構 築は英語 運 用能力 を 反 映した ものであ り, 英 語 運 用能力 が低いと言語的 結 束性の弱い談話に な って い る が、 明 示的な言語的結 束 性は み ら れ な くても, そこ には推 論を介 した潜 在 的照応 関 係によ る結 束 性が み ら れ ること を 提 示する。 こ のような 言 語外の情 報に基づく 間接照応によ る照 応 現 象は英 語 母 語話 者、 英語学 習者の両者に共 通 し てみ ら れ る現象であ るが、 日本人英語学 習 者では言語的結 束 性の欠如を補 って いること も指 摘 する。
第 1 章 先 行研究
こ の章で は、 1.1 で 日本人英語学 習者の照 応表 現の習 得に関する先行研究に つ いて 述べ る. 1 .2 で は、 談 話と は何か、 談 話の 一 貫性 と 照 応 表 現は ど ういう関係にあるの かを 明 らか にする。 そ し て、 照応 表 現と談話の 一 貫 性を関係づけ る働き を担っ て い る結 束性に つ いて、 H alli day & H a s a n の言 語的同 一 指示によ る結 束性の概 念と 山梨
によ る非 言語的 な 推 論に よ る照 応 現 象に つ いて検 討 する。 1 .3 では、 H alli day &
H a s a n 、 Q uirk et al., P rin c e、 山梨の研 究を 比較 しなが ら, 照応の定 義と分 類につ
いて説 明 を試み る。
1 .1 日本人英語学習者の照応表 現
言語 を習 得 する 上で、 照 応に つ いて の理解 や運 用能 力を高め ること は き わ めて重 要であ る。 なぜなら、 「照 応は どの言 語においても 広範 囲に観 察さ れ、 か つ 高頻 度で 生起する言語現 象であ り、 第1 言語、 第 2 言語 を問わず、 テクストの内容理解に重 大 な影 響を与え る」 ( 村 端,1 9 9 3) と考え ら れ るからであ る。 日本人英語学 習 者にお
いても、 照応 表 現の理解 や運 用に つ いて の習 得は重 要であ る といえ る。 日本人英語 学習 者の照 応 表 現に つ いて の先 行研究を概 観 する と、 次のような報 告が さ れて いる。
日本人英語学 習 者の話 し言葉の談 話にお け る照 応 表 現は、 初 級で は名詞句が多用 さ れて いる。 すな わ ち、 焦 点 化さ れて代名詞 が 選択さ れ る べき談 話要素であ るにも か かわ らず名詞句が 選択さ れて いる場面 が多い (谷村, 2 0 0 4)1。 これ は、 日本語で は
名詞句が談 話の整 合 性に貢 献し、 ゼロ代 名詞 と 同様に継 続し て話題の中心 を担 う( 吉
田,2 0 0 5) という母 語の影 響が関係し ているのかも しれ ない。 ま た、 初 級では 「談話 主 題 の遷移 方 法が 十分 学 習しき れて いない」 (谷村,2 0 0 5) .
一 方、 中級 や上級では談
話主題の遷 移が 可能にな る が, 要素が継 続、 展開せずに、 談 話主 題 が次々 と変 化し て いる という報 告も あ る (谷村, 2 0 0 4, 駒田 ・ 吉田, 2 0 0 7). すな わ ち、 一 つ の話題に
つ いて階 層 的に発 話を積み 上げて首尾 一 貫性のあ る談 話 単 位を形 成 すること に お い
1 初 級は TO E IC2 0 0 ‑3 5 0 の英語専 攻でない大 学1 年生、 中級は TO E IC4 0 0 ‑5 5 0 の英語専 攻
でない大 学1 年生, 上級は TO E I C 6 0 0 ‑8 0 0 の英語専攻の大 学1 年生であ る。