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景気拡大の長期的持続の基本的原因 と 今後の展望 について

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(1)

景気拡大の長期的持続の基本的原因 と 今後の展望 について

田 功 一

はじめに

1 986

1 2

月 に始 まった とされ る今回の景気拡大 は1991

8

月末現在57カ月 を経過 し,ついに戦後最長の景気拡大を記録 した 「いざなぎ景気」(

1 965

年11 月か ら

1 97 0

7

月 までの57カ月間) と肩を並べ るに至 ったが, さすがに,最 近では,景気 はすでに後退局面 に入 っているとの声 も聞かれるようにな ってい る。それに して も, 日本経済が低成長時代 に入 った1

97 5

年以降前回までの景 気拡大 (経済企画庁の 「景気の基準 日付」1)によると,1

975

年以降の第

1

番 目

の景気拡大 は1

975

4

月 か ら

77

1

月 までの22カ月 間,第

2

番 目のそれ は

1 97 7

年11月か ら

80

2

月 までの28カ月間,第

3

番 目のそれ は1

983

3

月か ら

85

6

月までの28カ月間 となってお り,今回の景気拡大 は第

4

番 目の景気拡大 である) と比べてみると今回の景気拡大の長期的持続 は正に注 目に値す ると言 わなければな らないであろう

そこで,本稿ではこのような景気拡大の長期的持続を可能に している基本的 原因は何なのか とい うこと,また,今後 とも今回のような長期的な景気拡大が 生 じうるのか,それ とも,それは今回一回限 りの ものなのか ということについ て若干の考察を行 ってみることに したい。 ところで, この後者の問題のために は,今回の景気拡大の長期的持続を可能に している基本的原因が今後 ともその

1)

経済企画庁調査局編 『季刊 日本経済指標』参照。

〔 3 5 5 〕

(2)

356

第42巻 第 2・3号

効力を発揮 しうるかどうか ということ,及び,今回の景気拡大の引金 となった もの,あるいは,その他今 まで景気拡大の引金 となってきた ものが今後 ともそ の力を十分発揮できる状況にあるかどうか とい うことについて考えてみなけれ ばな らないであろう 景気拡大の引金 になるもの と景気拡大を持続 させ る条件 がそろっていなければ長期的な景気拡大 は不可能であろ うか らであ る。そ こ で,第

1

節では今回の景気拡大の長期的持続を可能 に している基本的原因は何 であるのか とい うこと,及び,その原因は今後 ともその力を発揮 しうるかどう か とい うことについて考察 し,第 2節,第 3節では今回の景気拡大で引金 に なった もの,及び

,7 5

年以降前回までの景気拡大で引金になって きたものを明 らかに し,それ らが現在 どのような状況にあるのか ということについて考察す ることにす る。

1

今 回の景気拡大持続 の基本 的原 因 につ いて

景気の拡大 は投資が投資を呼ぶ という形で展開され る活発な設備投資を推進 力 として進展 してい くのであるが, しか し,それは最終的には個人消費の動向 によ って規定 され る。 この ことを我 々は前稿 にお いて理論的 に明 らかに し

2)

。そ こで,本節で は,まず,個人消費の動 向を見てい くことによって今 回の景気拡大の長期的持続の秘密を探 ってみることに したい。

まず,総務庁の 「家計調査」について見てみると,全国勤労者世帯の実質消 費支 出の伸 びは

88

年 に

3.3%

と比較的高 い伸 びを記録 した後,

8 9

年 には

0 .7%

と伸び率が大幅 に低下 した

。90

年 には

1 .6%

と若干盛 り返 しているが これでは 景気拡大を維持するには不十分であろう。また,一般世帯の方 は

87

年,

8 8

年 に はそれぞれ

4 .3%,2.2%

と比較的順調であ ったが

,89

,90

年 にはそれぞれ

‑0 . 4%

,

0 .1%

と急激 に落 ち込んで しまった この結果,全世帯で は

8 8

年 に

3 .1 %

とい う比較的高い伸びを記録 した後

, 8 9

, 90

年にはそれぞれ

0 .5%, 0 .8%

2)

拙稿 「再生産表式論 と第 Ⅰ部門の不均等発展 の限界

商学討究』,第

41

巻第

2

号,

1990

年参照。

(3)

景 気拡大 の長期 的持 続 の基本 的原 因 と今 後 の展 望 につ いて

357

と全 く停滞 して しま ってい る (

1

‑ 1

表), したが って,「家計調査」で 見 る限 りで は個人消費 は

8 9

年以 降 と て も景気拡大 の持続 を可能 にす る も の とはなっていないのである。

ところが,一方, 「国民総 支 出」

中の 「民 間最終消費支 出」 の方 は, 前年比実質で

8 7

4 . 2%

,

8 8

5 . 2 %

,

8 9

4 . 4 %

,

9 0

4 . 0 %

とな ってお り,

8 9

年,

9 0

年 と伸 び率が次第 に低下 し て きて はい るが, それで も

4%

程度 の比 較 的高 い伸 び を維 持 して い る (

1‑2

表)。 したが って, これが 今回の景気拡大 の長期 的持続 を支 え

1‑ 1

消費支 出の伸 び率 (実質)

( 単位 %)

全世帯 勤労者世帯 一般世帯 7 7 0 . 8 1 . 4 ‑0 . 3 7 8 2 . 0 1 . 3 3 . 2 7 9 2 . 7 3 . 1 1 . 9 8 0 ‑0 . 6 ‑0 . 8 0 .1 81 ‑0 . 8 0 . 6 ‑3 . 3 8 2 2 . 7 3 . 1 2 . 3 8 3 0 . 6 0 . 4 0 .7 8 4 0 . 4 1 . 7 ‑ 1 . 8 8 5 0 . 5 0 . 3 1 . 3 8 6 0 . 8 1 . 0 0 . 2 87 1 . 9 1 .0 4 . 3 8 8 3 . 1 3 . 3 2 . 2 8 9 0 . 5 0 .7 ‑0 . 4

(出所)総務庁 『 家計調査年報』

てい る基本的要 因で あ ると考 えて よい と 思われる。

それで は,上 の よ うな,個 々の家計 の 消費支 出の伸 び と全体 としての消費支 出 の伸 びの違 いはどこか ら出て くるので あ ろうか。

その違 いの原 因を探 るため,労働省 の

毎月勤労統計調査」 と 「国民経済計算」

にお ける 「国民所得 および国民可処分所 得 の分配」中の 「雇用者所得」 とによ っ

1‑ 2

「民 間最終 消妻支 出」

の伸 び率 (実質 )

( 単位%)

7 7 4 . 1 8 4 2 . 7 7 8 5 . 4 8 5 3 . 4 7 9 6 . 5 8 6 3 . 4 8 0 1 . 1 8 7 4 . 2 8 1 1 . 6 8 8 5 . 2 8 2 4 . 4 89 4 . 4 8 3 3 . 4 9 0 4 . 0 ( 出所)経済企画庁『国民経済計算年報』

平成 3 年版,同 『 季刊国民経済 計算 』N a890

て,個 々の労働者 の所得 の伸 び と労働者

全体の所得の伸 び とを比べてみ ると,前者 は実質で

8 7

2 . 2%

,

8 8

3 . 3 %

,

8 9

2 . 4 %

,

9 0

2 . 2%

となってお り,

8 9

年,

9 0

年 と低 い伸 びに とどまってい るが (

1‑3

表),後者の伸びの方 は

,8 7

3 . 7 %,8 8

5 . 9 %,8 9

5 . 4 %

,

(4)

35 8

第42巻 第 2・3

第 1‑ 3表 「現 金給 与総 額 」 の

伸 び率 (実質 )

( 単位 %)

7 7 ‑0 .5 8 4 1 .4 7 8 2 .5 85 0 .7 7 9 2 .3 8 6 2 .3 8 0 ‑1 .6 87 2 .2 81 0 .4 8 8 3 .3 82 1 .5 89 2 .4 8 3 0 .8 9 0 2 .2 ( 出所)労働省 『 毎月勤労統計要覧』

9 0

5 .1 %

とな ってお り,

8 9

年,

9 0

年 もまだ比較 的高 い伸 びを維持 し ている (

1‑ 4

表)。 したが って, 今 回の景気拡大 の長期 的持続 を支 えて い る全体 と しての個人消費 の 比較的高 い伸 びの持続 は個 々の労 働者 の賃金 の伸 びが低 く押 え られ て い るに もかかわ らず,労働者全 体 の賃金総額が比較 的高 い伸 びを

第 1‑ 4表 「雇用者所得」の伸 び率 (実質)

( 単 位 %)

86 87 88 89 90

(出所)経済企画庁 『 季刊国民経済計算』N o . 89,1 6 8

頁。

1‑ 5

雇用者数 の推移

( 単位 万人 ,%)

盲\

雇用者数 増大数 増大率

5 7 2,0 53 1 40 7 .3 7 7 3, 769 57 1 .5 7 8 3 ,7 99 30 0 .8 7 9 3, 87 6 77 2 .0 8 0 3,9 71 95 2 .5 81 4;0 37 66 1 .7 8 2 4, 09 8 61 1 .5 8 3 4, 208 11 0 2 .7 8 4 4, 26 5 57 1 .4 8 5 4, 313 48 1 .1 8 6 4, 379 66 1 .5 8 7 4, 428 49 1 .1 8 8 4, 538 11 0 2 .5 8 9 4, 679 1 41 3 .1 9 0 4, 83 5 1 5 6 3 .3 ( 出所)総務庁 『 労働力調査年報』

維持 して い ることによ ると考 えて よいであろう

この個々の労働者の賃金の伸びと労働者全体の賃金総額の伸びの帝離 は当然 労働者数の増大に起因す ると考え られ るか ら,次に,労働者数の増大について 見てみることに しよう

総務庁の 「労働力調査」によって雇用者の増大について見てみると

,8 7

年に は前年 に比べ

4 9

万人 (増大率

1 .1 %)

に とどまっていたが,

8 8

年 には

1 1 0

万人 (

2 . 5 %) ,8 9

年 には

1 41

万人 (

3 . 1 %)

,

9 0

年 には

1 5 6

万人 (

3 . 3 %)

と,

8 8

年以降増大数 ・増大率 とも年 々増大を続けている (

1‑5

表)。特 に

8 9

年,

(5)

景気拡大 の長期的持続 の基本的原因 と今後 の展望 につ いて

359 9 0

年の1

41

万人,1

56

万人 という数字 は

1953

年以降最高であった1

957

年の1

40

人を越える程の大 きな数字である。この労働者数の大 きな増大が労働者全体の 賃金総額の比較的高い伸びをもた らした基本的原因であるわけである0

そこで次に,主にどのような産業部門で雇用者の増大があったのか というこ とを同 じ 「労働力調査」によって見てみることに しよう

雇用者が増大 しているのは 「建設業」,「製造業」,「運輸 ・通信業」,「卸 売 ・小売業,飲食店」

,

金融 ・保険業,不動産業」,「サービス業」の

6

つの 部門である.今, これ らの

6

つの部門における雇用者の増大を表に してみると

1‑ 6

表のようになる。 この表か らわかるように,雇用者の増大は

89

年,90 年 には主に 「建設業」,「製造業」以外の非製造業部門における雇用者の増大

によっているのである。

このようなわけで,今回の景気拡大の持続を支えている個人消費の比較的高 い伸びの持続は,雇用者の大きな増大によって支え られているのであり, この 雇用者の大 きな増大は主に非製造業部門における雇用者の増大によっているの である。

ところで,前回と前々回の景気拡大において も本格的な設備投資が展開され たにもかかわ らず景気拡大は比較的短命に終 ったのであるが,それ らの場合に

1‑ 6

産業部門別雇用者 の増減の推移

( 単位 万人)

85 86 87 88 89 90

業 3 1 ‑ 3 24 15 ll

製 造 業 23 ‑ 6 ‑1 4 30 31 30 小 計 26 ‑ 5 ‑17 54 46 41 運 輸

.

2 9 ‑ 5 3 1 6 6

卸 売 .小 売 業, 飲 食 店 1 26 24 28 26 31 金 融 .保険業 ,不動産業

1

8 9 0 9 1 6

業 1 7 29 39 26 50 58

計 19 7 2 67 57 101 111

計 45 67 50 111 1 47 1 52

( 出所)総務庁 『 労働力調査年報 』より作成。

(6)

360

42巻 2・3

は個人消費の動向に関 してはどうい う状況だ ったのであろうか。今 まで見てき た今回の景気拡大の場合の特殊性を浮 き立たせ るため,前回 と前 々回の場合に ついて ここで簡単 に見てお くことに しよう

まず,前 々回の景気拡大

( 1 977

11

月か ら

8 0

2

月 までの

28

カ月間続 いた とされている

1 97 5

年以降の第

2

番 目の景気拡大)についてであるが,最初 に, 収入の伸びについて見てみると

,7 8

,7 9

年 は

2%

台を保 っていたが,

80

年 に

1 .6%

の減少 とな り,

81

年 に もわずか

0 .4%

の増大 に とどま った (

1‑ 3

義)。それに照応 して,個 々の家計の消費の方 も

7 8

,7 9

年 はそれぞれ

1 .3%, 3 .1%

と比較的順調 に推移 したが,

80

年 には

0 .8%

の減少 とな り

,81

年 に もわ ずか

0 .6%

の増大にとどまった (勤労者世帯,第

1‑ 1

表)。全体 としての消費

7 8

年,

79

年 はそれぞれ

5 .4%,6 .5%

と順調であ ったが,

8 0

年 に入 ると

1 .1 %

と停滞 し

,81

年 にも

1 .6%

にとどまった (

1‑ 2

表)。一方,雇用者数の方 は

7 9

,8 0

年 と順調 に増大 し,

7 9

年には前年 に比べて

7 7

万人 (率に して

2 .0%)

増大 し,

8 0

年 には

9 5

万人 (

2 .5%)

増大 した (

1‑ 5

表)0

こうい うわけで, この

1 97 5

年以降の第

2

番 目の景気拡大においては,雇用 者が順調 に増大 しっつあった‑にもかかわ らず

,8 0

年 に入 って収入が 一気 に減少 に転 じて しまったため,個人消費 は全 く停滞 して しまったのであ り, これが基 本的原因 となって景気が後退局面へ向か って しまったと考え られ るのである。

次 に,前回の景気拡大

( 1 98 3

3

月か ら

85

6

月 までの

28

カ月間続 いた と されている

1 9 7 5

年以降の第

3

番 目の景気拡大)についてであ るが,先の場合 と同様, まず,収入の伸 びについて見てみ ると

,8 3

0 .8%

,

8 4

1 .4%,85

0 .7 %

と停滞的であった (

1‑ 3

表)。 これに照応 して個 々の家計の消費の 伸 び も,勤労者世帯で

8 3

0 .4%,8 4

1 .7 %,8 5

0 .3%

と停滞的であ った.

全世帯で見 ると

3

年 間にわた って

0%

台であ り

( 8 3

0 .6%,8 4

0 .4%,8 5

0 .5%) ,

もっと停滞的になる (

1‑ 1

表)。 これに加えて, この期間雇用 者数 の伸 び も全体 として停滞 した

。8 3

年 には

11 0

万人

( 2. 7%)

と大 き く増大 したが

, 8 4

年には

5 7

万人(

1 .4%) , 8 5

年には

4 8

万人 (

1 .1 %)

の増大 にとどまった (

1‑ 5

表)。 これ らに照応 して,全体 としての消費の方 も盛 り上が りを欠

(7)

景気拡大 の長期的持続 の基本的原因 と今後 の展望 につ いて 3

61

,8 3

3 .4%,84

2.7 %, ̲ 8 5

3 .4%

と停滞的に推移 した (

1‑ 2

表)。

こうい うわけで,前回の景気拡大においては,収入の伸び (したが ってまた 個 々の家計の消費の伸び) も雇用者数の伸び も概 して停滞的であ り, これに照 応 して全体 としての消費の方 も停滞的に推移 したのであ り, この ことが景気拡 大を長続 きさせえなか った基本的な原因であったと思われる。

以上 のよ うなわ けで,前 々回の景気拡大 において は雇用者数 は増大 しつつ あったが,収入 (したが ってまた個 々の家計の消費)が急に収縮 して しまった ため,全体 としての消費 も急速に収縮 して しまった ことが,そ してまた,前回 の景気拡大 においては,収入 (したが ってまた個 々の家計の消費)の伸び も, 雇用者数の伸び も全体的に停滞的であったため,全体 としての消費 も停滞的に 推移 した ことが,景気拡大を短命 に終わ らせたのであるが,今回の景気拡大に おいて は,収入や個 々の家計の消費の伸 びが停滞 して きているに もかかわ ら ず,雇用者数が大幅に増大 しているため,全体 としての消費が比較的高い水準 で推移 してお り, このことが景気拡大を長期間持続 させ ることになっているの である

ところで,今回の景気拡大の長期的持続を支えている非製造業における雇用 者の大 きな増大は流通業や運輸業や金融業における規制緩和や コンピューター 化の進展による情報サービス産業,特にソフ トウェア産業の拡大に負 うところ が大 きいと思われ るが3),規制緩和や コンピューター化 は今 なお進行中であ るか ら, これ らの諸部門は今後 とも拡大 していける余地が非常に大 きいと思わ れ る。 したが って,いったん投資が投資を呼ぶ とい う形で進展す る自立的な景 気拡大が引き起 こされたな らば, これ らの産業部門においては今回同様雇用が 大 きく増大す るであろうと考え られる。 したが って,いったんそのよ うな景気 拡大が引き起 こされたな らば,今後 とも今回のような雇用の大幅拡大 とそれに

3)

通産省の 「特定サービス業実態調査」によると情報サービス業全体,及び,そのう ちのソフ トウエア業における従業者数の推移は付表 1のようになっている。 この裏 か らわかるように情報サービス業全体,特に,ソフ トウエア業においては従業者数 が急速に増え続けている。

(8)

36 2

第42巻 第2・3

よる個人消費の比較的高い伸びの持続にもとづ く景気拡大の長期的持続が十分 可能であろうと考え られる。

そ こで,今後 とも今回のような長期間持続す る景気拡大が起 こりうるかどう かは,投資が投資を呼ぶ とい う形で進展す る景気の自立的な拡大が今後 とも発 生 しうるかどうかにかか っているとい うことがで きる。そこで以下 この問題に ついて考察 してみたい と思 うが,次節ではさしあた り,今回の景気拡大がいか に して引き起 こされたかについて検討 してみることに したい。

2節 今回の景気拡大の起動力について

今回の景気拡大 は

1 9 8 6

1 2

月 に始 まった とさ れてい るが,製造業で設備投資の本格 的拡大が 始 まるのは

1 98 8

年 に入 ってか らであ る (

2‑

1

表)。製造業で は設備投資は

85

年に前年比

1 3 .0

%増 を記録 した後,

8 6

年,

87

年 と

2

年 間マイナ ス (それぞれ

‑8 .0%

, ‑

3 .9%)

を記録 したの である (

2‑2

表)。 これに対 し非製造業で は

85

年 の第

2

四半期か ら

8 6

年 の第

2

四半期 まで大 きく拡大 した後

,8 6

年後半 に伸びが落ち込むが,

87

年 に入 って第

1

四半期前年 同期比

1 5 .7%

と拡 大す る。第

2

四半期 に同

5 .1 %

とまた伸 びが落 ち 込むが,第

3

四半期,第

4

四半期 と持 ち直 し, それぞれ同

1 1 .0%

,

1 3 .0%

と拡大す る (

2‑

1

表)。結局

,87

年 は前年比

1 1 .3%

増 であ った(

2‑ 2

表)。 そ して,

8 8

年第

1

四半期 には

9 .1%

とやや伸 びが落ちるが,製造業 における設備投 資の拡大 に伴 い第

2

四半期か ら本格的に拡大 を 始 め,第

2

四半期以降それぞれ

20 . 4%,21 .7%

,

1 7 .8%

と拡大を続 けた (

2‑ 1

表)0

2‑ 1

設備投資 の推移 (対前年 同期増加

率)

( 単位 %) 製 造 業 非製造業

8 5 Ⅰ 年 2 5 . 0 ‑6 .7

Ⅱ 1 3 . 2 2 0 .5

Ⅲ 1 0 .7 2 9 . 4

8

6 Ⅰ 年 ‑2 5 .0 . 2 3 2 5 4 . . 2 9

Ⅱ ‑3 . 2 1 7 . 8

Ⅲ ⊥1 1 .5 6 . 4

87 Ⅰ 年 ‑1 ‑

l

4 l .7 . 8 1 3 5 . .7 4

Ⅱ ‑5 . 8 5 .1

Ⅲ ‑2 . 3

l

l .0

8 8

Ⅰ 年 21 5 . . 3 5 1 3 9 . .1 0

Ⅱ 1 3 .7 2 0 . 4

Ⅲ 29 .9 2 1 .7

Ⅳ 31 .4 1 7 .8 (出所)大蔵省 『法人企業統計季

報』よ り作成。

(9)

景気拡 大 の長期 的持続 の基本 的原 因 と今後 の展 望 につ いて 363

こういうわけで,まず,製造業の設備投資は景気拡大の起動力でなか った こ とは明 らかである。非製造業では上のように

8 7

年 に入 って設備投資が拡大を始 めるが,急速な盛 り上が りを見せたわけではないか ら,生産の拡大 ‑景気の拡 大に一定の役割を果 したことは間違 いないに して も,それが景気拡大の主要な 起動力であったということはで きないであろう

そこで,次に,輸出について見てみることに しよう.輸出は

,8 6

,8 7

年 は それぞれ前年比

1 5 . 9%

,

5 . 6 %

のマイナス となっている (

2‑3

表)。数量 指数を見て も,

8 6

年 は前年比

0 . 6 %

のマイナスである し,

8 7

年 は

0 . 3 %

のプラ スであるにす ぎない (

2‑4

表)。 また,対米輸 出について も,

8 6

年 は前年

1 3 . 0 %

,

8 7

年 は

1 0 . 4 %

のそれぞれマイナスとなっている (

2‑5

表)。 し たが って,輸出は

8 6

年末か ら

8 7

年にかけての景気の拡大に何 ら寄与 していない

と言 ってよいであろう

2‑ 2

設備投資 とその増加率の推

( 単位 億 円,%)

製 造 業 非製造業

8 5 1 3 4 , 1 7 5( 1 3 .0 ) 1 7 3 , 1 3 0( 1 7 . 1 )

8 6 1 2 3 , 4 2 0( ‑ 8 . 0 ) 1 9 3 , 7 7 8(

l

l . 9 ) 8 7 1 1 8 , 8 2 7( ‑ 3 . 9 ) 2 1 5 , 6 2 4(

l

l . 3 ) 8 8 1 4 7 , 5 5 7( 2 4 . 4 ) 2 5 2 , 7 1 3( 1 7 . 2 ) 8 9 1 8 5 , 5 9 0( 2 5 . 8 ) 3 1 2 , 1 2 9( 2 3 . 5 ) 9 0 21 7 , 9 4 8( 1 7 . 4 ) 3 5 6 , 7 1 1( 1 4 . 3 )

(出所)第 2‑1 表 に同 じ。

2‑ 4

輸出数量指数

( 1 98 5 年 ‑1 00)

増減率 ( %)

8 5 1 0 0 . 0 4 . 6 8 6 9 9 . 4 ‑0 . 6 8 7 9 9 . 7 0 . 3 8 8 1 0 4 . 8 5 .1 8 9 1 0 8 . 8 3 . 8 9 0 1 1 4 . 8 5 . 5

(出所)第 2‑ 3 表 に同 じ。

2‑ 3

輸 出額 の推移 (円建)

輸 出額 ( 億 円) 増減率 (%) 8 5 4 1 9 , 5 5 7 4 . 0 8 6 3 5 2 , 8 9 7 ‑1 5 . 9 8 7 3 3 3 , 1 5 2 ‑5 . 6 8 8 3 3 9 , 3 9 2 1 . 9 8 9 3 7 8 , 2 2 5

l

l . 4

(出所) 日本関税協会 『 外 国貿易概況 』

2‑ 5

対米輸 出の推移 (円建 )

盲\

輸 出額 ( 億 円) 増減率 ( %) 8 5 1 5 5 , 8 2 7 9 . 6 8 6 1 3 5 , 6 3 7 ‑1 3 . 0 8 7 1 2 1 , 4 8 1 ‑1 0 . 4 8 8 1 1 4 , 8 7 4 ‑5 . 4 8 9 1 2 8 , 1 6 0 l l . 6

(出所 )第 2‑ 3 表 に同 じ。

(10)

364 第 42巻 第2・3

次 に政府 の財政支 出で あ

るが,「国民総 支 出」中の「 府 最 終 消費 支 出」 と 「公 的 総 固定 資本形 成」 の合計 を 見 て み る と,

8 6

年 は

5 4

6 5 8 6

億 円で前年 に比べ

2

3 2 5 1

億 円

( 4 . 4%)

増,

8 7

5 6

7 0 4 3

億 円で前年 に比

べ 2 兆 4 5 7

億 円

( 3 . 7%)

とな ってお り (

2‑ 6

表), み出 している。 したが って,

2‑ 6

表 政府支出の推移

( 単位 1 0 億 円 ,%)

年 +「 「政府最 終消費 支 出」 公的総固定資本形成

増減額 増減率 85 5 2, 33 3 .5 ‑220 .7 ‑0 .4 86 5 4, 6 58 .6 2, 3 25 .1 4 .4 87 5 6, 70 4 .3 2, 0 45 .7 3 .7 88 59 , 231 .1 2, 5 26 .8 4 .5 89 6 2, 1 9 9 .0 2, 9 67 .9 5 .0 (出所)経済企画庁 『国民経済計算年報』平成 3 年版 よ り

作成。

両年 とも前年 に比べ

2

兆円以上の需要増加を生 これが,景気浮揚 に一定の役割を果 したことは間 違いないであろ う

しか し

,8 6

,8 7

年,特 に

8 7

年 に何よりも目につ くのは住宅建設の増大であ

。8 6

1

3 0

日に

5 . 0 %

か ら

4 . 5 %

き下 げ られた公定歩合 は

8 7

2

2 3

日までにさらに連続的に

4

回引き下げ られ,最終的に

2 . 5 %

とい う異常な低水 準にまで引き下げ られた。そ して, これが

8 9

5

3 0

日に至 るまで

2

年以上に わた って据え置かれたのである (

2‑ 7

表)。そのため,都市銀行の住宅 ロ ーン金利 は

8 6

1

月末の

7 . 5 0 %

の水準か らしだいに連続的に引 き下 げ られ,

8 7

6

月末 には

6 . 1 2 %

とい う低水準 とな った (

2‑8

表)。住宅金融公庫の 金利 も

8 6

1

月の

5 . 4 %

か らしだいに引 き下げ られ

,8 7

4

月 には

4 . 2%

にま で引 き下 げ られた (第 2‑ 9表)。そ して, これ らに照応 して全国銀行の新規 住宅信用供与額 も

8 6

年 には前年 に比べ

2

1 4 9 7

億 円

( 5 9 . 9 %)

増の

5

7 3 9 9

億 円,

8 7

年 には

3

6 6 4 6

億 円

( 6 3 . 8 %)

増 の

9

4 0 4 5

億 円 とい う高水準 に達 し (

2‑l

o衷),住宅金融公庫の新規信用供与額の方 も

8 6

年 には前年 に比べ

3 8 9 1

億 円

( 1 4 .1 %)

増の

3

1 5 4 6

億 円,

8 7

年 には

1

1 7 1 5

億 円

( 3 7 .1 %)

4

3 2 6 1

億円に達 した (

2‑1

1表)。 この結果,新設住宅戸数 は

8 6

年 には 前年比

1 0 . 4 %

増の

1 3 4 万 6 6 0 9

,8 7

年 には同

2 2 . 7 %

増の

1 6 7 万 4 3 0 0

戸 とな り,

7 2

,

7 3

年以来の高水準 に達 した (

2‑1 2

表)。そ して, これに照応 して 「

(11)

景 気 拡 大 の長 期 的持 続 の基 本 的原 因 と今 後 の展 望 につ い て 365

2‑7

公 定歩合 の

推 移

( 単位 %) 年 月 日

8 3 .1 0 . 2 2 5 . 0 0 8 6 .1 . 3 0 4 . 5 0 3 .1 0 4 . 0 0 4 . 21 3 . 5 0

ll

.1 3 . 0 0 8 7 .2 . 2 3 2 . 5 0 8 9 .5 . 31 3 . 2 5 1 0 .l l 3 . 7 5 1 2 . 2 5 4 . 2 5 9 0 .3 . 20 5 . 2 5 8 . 3 0 6 . 0 0

(出所) 日本銀行 『経済統計 年 報 』,『経済統計月 報 』

2‑8

都市銀行の住 宅ローン金利

( 単 位 %) 年 月 日

8 6 .1 . 2 7 7 . 5 0 3 . 2 4 7 . 3 2 4 . 2 1 7 . 0 2 8 7 .2 . 2 8 6 . 6 6 4 .1 6 . 4 8 6 . 2 9 6 .1 2 1 0 .1 6 . 3 0

ll

.2 6 . 6 0 8 8 .4 .1 6 . 4 8 1 0 .1 6 .6 0 8 9 .1 0 .2 6 .7 8 (出所 ) 日本銀行 『 経 済統計

年報 』平成 2 年版 , 1 7 2 頁。

第 2‑1 0

全国銀行 (信託勘定を含む) の住宅信用供与 (新規)

( 単位 億 円,%)

信用供与額 増減額 増減率 8 5 3 5 , 9 0 2 1 2, 61 1 5 4 .1 8 6 5 7 , 3 9 9 21 , 49 7 5 9 .9 8 7 9 4, 0 4 5 3 5, 6 46 6 3 . 8 8 8 8 2, 7 2 6 ‑ l l , 31 9 ‑1 2 .0 8 9 1 1 1 , 9 7 2 29 , 2 4 6 3 5 . 4 9 0 9 2, 3 2 2 ‑1 9 , 6 5 0 ‑1 7 . 5 (出所 ) 日本銀行 『経済 統計年 報 』 よ り作

成。

第 29表

宅 金

資金 利

( 単

% )

年月 白

8 6 .1 .9 5 . 4 3 . 31 5 . 2 5 8 7 .1 .9 4 .7

3 . 28 ‑ 4 .7 4 . 2 4 4 . 2 1 2 .8 4 . 6 8 8 .1 . 2 5 4 ̲5 4 . 2 5 4 . 3 5 1 0 .1 3 4 . 5 5 1 2 . 30 4 .4

(出所 )住宅金融公庫 『 住 宅 金融月報 』

2 ‑11

住宅金 融公庫 の住宅信 用供与 (新規)

( 単位 億 円,%)

下\

信用供与額 増減額 増減率 8 5 2 7 , 6 5 5 ‑2 , 1 2 2 ‑7 .1 8 6 31 , 5 4 6 3 , 8 91 1 4 .1 8 7 4 3 , 2 6 1 l l , 7 1 5 37 .1 8 8 5 3 , 9 8 0 1 0 , 7 1 9 2 4 . 8 89 5 5 , 3 4 7 1 , 3 67 2 . 5

(出所 )第 2‑1 0 表に同 じ。

(12)

36 6

4 2

2・3

2‑1 2

新設 住宅着 工戸 数

下\

数 ( 戸) 増減率 ( %)

7 2 1 , 8 0 7 , 5 8 1 2 3 . 5 7 3 1 , 9 0 5 , 1 1 2 5 . 4 8 5 1 , 2 3 6 , 0 7 2 4 .1 8 6 1 , 3 4 6 , 6 0 9 1 0 . 4 8 7 1 , 6 7 4 , 3 0 0 2 2 . 7 8 8 1 , 6 8 4 , 6 4 4 0 . 6 8 9 1 , 6 6 2 , 6 1 2

1 . 3

(出所)建設省 『建築統計年報 』よ り作 成。

2‑13 「国民総 支 出」 中の

「民 間住 宅」

( 単位 1 0 億 円 , %)

7 T T 、

\ 「民間住宅」

増大額 増大率

8 5 1 4 , 6 3 3 . 4 5 3 5 . 2 3 . 8 8 6 1 5 , 7 0 3 . 2 1 , 0 6 9 . 8 7 . 3 8 7 1 9 , 5 1 3 . 0 3 , 8 0 9 . 8 2 4 . 3 8 8 2 2 , 1 2 5 . 8 2 , 6 1 2 . 8 1 3 . 4

( 出所 )経済企画庁 『国民経済計算年報』平 成 3 年版 よ り作成。

民総支 出」中の 「民間住宅」 は

8 6

年 には前年 に比べ

1 兆 6 98

億 円

( 7 .3%)

1 5 兆 70 3 2

億円,

87

年 には同

3兆8098

億円

( 24 .3%)

増 の

1 9 兆 51 30

億 円に達

したのである (

2‑1 3

表)0

上 に述べたように,非製造業における設備投資や政府支出も景気拡大の起動 力 として一定の役割を果 した と考え られるのであるが,住宅建設 はその増大額 において もその盛 り上が りの激 しさにおいて も群を抜 いているのであ り4), したが って, この住宅建設の急激な増大 こそが今回の景気拡大の主要な起動力 であった と言 ってよいと思われる。

以上の ことか ら,今回の景気拡大の展開過程 は次のように総括す ることがで きるであろう

つまり,今回の景気拡大は

,8 6

年か ら

87

年 にかけての非製造業 における設備投資や政府支出の増大,そ して, とりわけ,異常な低金利の維持 にもとづ く住宅建設の急激な増大を起動力 として生産が拡大 し,その結果

, 88

年 の初めか ら製造業で設備投資の本格的な拡大が始 ま り,それに刺激を受 け

て,非製造業で も設備投資が本格的に拡大 し始め, これはこれでまた製造業の

4

)念のため,86年か ら

87

年 にかけての 「国民総支出」中の 「民間住宅」の四半期毎の 数字 を掲 げてお くことにす る (付表

2

)。なおまた,非製造業の設備投資の87年 に おける増加額 は, 「国民総支出」中の 「民間企業設備」の増加額か ら考え ると,

3

兆 円程度 であ った と推察 され る (付表

3

参照)0

(13)

景気拡大の長期的持続の基本的原因と今後の展望について

36 7

設備投資拡大に反作用 し,投資が投資を呼ぶ 自立的な景気拡大の過程が始 まっ た。そ して, こうした設備投資の拡大,特 に非製造業でのそれが雇用の大幅な 増大を もた らし, これが個人消費の順調な増大に結果 し,景気の長期的な拡大 を可能に していったのである。

ところで,今回の景気拡大を起動 させた主要な要因である異常な低金利の維 持 とそれに もとづ く住宅建設の増大を もう一度繰 り返す ことは不可能であろ

なぜな ら, この異常な低金利 は地価や株価の異常な高騰を もた らし,資産 格差 その他様 々な弊害を もた らす ことが今や誰の 目に も明 らかにな っている

し,また,現在の地価水準で も地価が高 くなりす ぎ,その結果住宅価格が高 く な りす ぎ,住宅建設が停滞 しているのであるか ら (

2‑1 2

表参照), もう一 度金利を異常な水準にまで下げて も住宅建設が増大することはあ りえないか ら である。

そ うだとす ると,投資が投資を呼ぶ とい う形で進展す る景気の 自立的な拡大 が今後 とも発生 しうるかどうかはこの異常な低金利の維持 とそれにもとづ く住 宅建設の増大 とい うこと以外 に景気拡大を起動 させ る要因が どの程度 まだ残 っ ているかにかか っていることになる。 しか し, この問題 に解答を与えるために

75

年以降の景気拡大で起動力 となった諸要因を確かめ,それ らが現在 どのよ うな状況にあるかを考察 してみる必要がある。節を改めて この問題 に取 り組ん でみることに したい。

第 3

節 前回までの景気拡大の起動力 と今後の展望について

1 975

4

月か ら

77

1

月 までの22カ月間持続 した とされている最初の景気 拡大か ら見てい くことに しよう

まず,設備投資について見 ると

,75

年 も

76

年 も,製造業 と非製造業の両方で 前年比マイナスを記録 している (

3‑1

表)。四半期別 に見 ると,全産業及 び製造業では

7 4

年第

4

四半期か ら

76

年第

3

四半期 まで前年同期比マイナスで,

7 6

年第

4

四半期か らようや くプラスに転 じる.非製造業で も同 じ期間,75年第

1

四半期,76年第

2

四半期を除いてマイナスになっている。連続的にプラスに

(14)

36 8

42巻 2・3

3‑ 1

設備 投資 とその増加 率 の

推移

( 単位 億 円 ,%)

盲\

製 造 業 非製造業 7 4 7 6 , 3 0 3( 2 0 . 6 ) 6 7 , 4 2 8( 5 . 2 ) 7 5 6 2 , 2 9 5( ‑1 8 . 4 ) 6 4 , 5 8 1(‑4 . 2 ) 7 6 6 1 , 3 4 4(

1 . 5 ) 6 4 , 1 7 1(‑0 . 6 ) 7 7 6 1 , 9 8 9(

1.i) 7

3 , 3 1 7( 1 4 . 3 ) 7 8 5 8 , 6 2 9(‑5 . 4 ) 8 8 , 9 4 3( 21 . 3 ) 7 9 7 1 , 4 3 8( 2 1 . 8 ) 1 0 1 , 5 4 6( 1 4 . 2 ) 8 0 9 0 , 9 8 2( 2 7 . 4 ) 1 1 6 , 9 8 2( 1 5 . 2 ) 8 1 9 8 , 9 7 2( 8 . 8 ) 1 2 9 , 5 2 9( 1 0 . 7 ) 8 2 1 0 1 , 3 4 3( 2 . 4 ) 1 3 2 , 4 1 3( 2 . 2 ) 8 3 9 8 , 9 6 2 ( ‑2 . 3 ) 1 3 9 , 5 3 3( 5 . 4 ) 8 4 1 1 8 , 7 0 2( 1 9 . 9 ) 1 4 7 , 7 9 0( 5 . 9 )

(出所)大蔵省 『法人企業統計季報』 よ り作 成。

転 じるの は同 じく

76

年第

4

四半期か らである (

3‑2

表)。 したが って, この最初の景気拡大 で は設備投資 は 景気拡大の起動力 にはな りよ うが な か ったのである。

3‑ 2表 四半期毎 の設備投 資 の推 移 (対前年 同期増加率 )

( 単位 %) 全産業 製造業 非製造業

7 4 Ⅰ 年 2 3 . 4 3 6 . 0 2 2 . 6

Ⅱ 2 2 . 9 3 6 . 6 9 . 6

Ⅲ 1 2 . 4 2 2 . 3 6 . 9

7 5 Ⅰ 年 ‑2 ‑4 . . 4 4 ‑1 ‑3 2 . .1 2 ‑6 4 . . 7 2

Ⅱ ‑1 3 . 3 ‑1 7 . 5 ‑8 . 4

Ⅲ ‑1 4 . 9 ‑2 2 . 3 ‑6 .1

7 6 Ⅰ 年 ‑1 ‑6 4 . . 4 1 ‑21 ‑3 .1 . 9 ‑6 ‑8 . . 7 8

Ⅱ ‑2 . 0 ‑9 . 0 5 . 3

1 . 6 ‑2 . 2

1 . 0

7 Ⅳ 7 Ⅰ 年

l

6 l . . 2 9 9 5 . . 7 5 1 3 8 . . 2 3

Ⅱ 6 . 4 3 . 0 9 . 6

Ⅲ 1 5 . 3 6 . 9 2 3 . 7

(出所)第 3‑1

表に同 じ。

次 に,輸 出につ いて見 てみ よ う

輸 出額 は75年 は前年比2.1%増 にす ぎず (

3‑ 3

表),数量で も

0.3%のマイ

ナスとな っている (

3‑4

表)。 したが って,輸 出 も景気拡大の起動力にな りえなか った ことは明 らかである。ただ,7

6

年 には額で前年比20.4%,数量 で も

2 1 .1%増大 している。 したが って,76

年 における景気拡大の持続 に輸 出 の増大が大 きな役割を演 じた ことは間違いないであろ う

最後 に,政府支 出について見 ると

,

国民総支 出」中の 「政府最終消費支 出」

と 「公 的総 資本形成」の和 は,

75

年 には28

兆 3078

億 円で,前年 に比べ

3 兆

9865

億 円増,率 に して1

6.4%増 とな っている。 また,76

年 には30

兆 9739

億 円

(15)

景気拡大の長期的持続の基本的原因 と今後の展望について

369

3‑ 3

表 輸出額の推移

(円建 )

輸出額 ( 億 円) 増減率( %)

7 4 1 6 2, 0 79 61 .6 7 5 1 6 5, 4 53 2.1 7 6 1 9 9, 34 6 20 . 4

7 7 21 6 , 481 8 .6 7 8 20 5, 558 ‑5 . 0 7 9 2 25, 31 5 9 . 6 80 29 3, 8 25 30 . 4 81 3 34, 690 1 3 . 9 8 2 3 4 4, 3 25 2 .9 83 3 49, 09 3 1 . 4 84 4 0 3, 25 3 1 5 . 5

3‑4表 倫出数量指数

( 1980 年 ‑100)

盲\

増減率( %)

7 4 6 4 .6 20 .5 7 5 6 4 .4 ‑0 .3 76 7 8 .0 21 .1 77 8 4 .6 8 .5 7 8 8 5 . 2 0 .7 7 9 8 5 .4 0 .2 80 1 0 0 .0 1 1 7 .1 81 11 0 .6 1 0 .6 8 2 1 0 8 .1 ‑2.3 8 3 11 7 .5 8 .7 84 1 3 6 .3 1 6 .0 ( 出所)第 3‑ 3 表 に同 じ。

( 出所) 日本関税協会 『 外国貿易概 況』

で,前年 に比 べ

2 兆 6 6 6 1

億 円増,率 に して

9 . 4 %

増 とな って い る(

3‑5

表)0

7 5

年 には設備投資が前年比マイナスであ り,輸 出が微増 にす ぎなか ったのに, 政府支 出のみが この よ うに

1 6 . 4 %

増 と大 き く伸 びてい るのであ るか ら, この 政府支 出の増大が景気拡大の起動力であ った と言 うことがで きるであろ う。ま

,7 6

年 には設備投資の伸 びが前年 に引 き続 いてマイナスで,政府支 出の方 も 伸 びがやや鈍化 しているのに対 して,輸 出のみが大幅に増大 しているのであ る か ら5), この輸 出の増大が景気拡大の持続 に主要 な役割 を果 した と見 て よい であろ う。

次 に,1

977

1

1月 か ら

1 980

2

月 まで28カ月 間続 いた第

2

番 目の景気拡大 につ いて検討 してみよ う。

上 のよ うに,

7 6

年 には輸 出が大 き く増大 し,景気拡大持続の主要 因 とな るの

5) 1976

年の輸出の前年に比べての増大額は第

3‑ 3

表か ら計算すると

3

3893

億円 となる。また, 「国民総支出」中の 「財貨 ・サービスの輸出」で見ると

, 76

年には 前年に比べて

3

6002

億円増大 しており (付表

4

),いずれも政府支出の

76

年にお

ける増大額

2

6661

億円を上回っている。

(16)

370 42巻 2・3号 3‑ 5表 政 府支 出の推移

( 単位 1 0 億 円 ,%) 年 「 「 政府最終消費支 出 公約総固定資本形成」 」+ 増減額 増減率

7 4 2 4, 3 21 . 3 4,1 5 4 .7 20 . 6 7 5 2 8, 3 07 . 8 3, 9 8 6 .5 1 6 . 4 7 6 3 0, 9 7 3 . 9 2, 6 6 6 .1 9 . 4 7 7 3 5, 0 81 . 5 4,1 07 .6 1 3 . 3 7 8 3 9, 8 51 . 6 4,7 7 0 .1 1 3 . 6 7 9 4 3, 491 . 5 3, 6 39 .9 9 .1 8 0 4 6, 4 5 6 .0 2,9 64 .5 6 . 8 81 4 9, 8 6 3. 6 3, 407 .6 7 . 3 8 2 5 0, 91 7 . 7 1 , 0 5 4 .1 2 .1 8 3 51 , 5 7 6 .0 6 58 .3 1 .3 8 4 5 2, 5 5 4. 2 9 7 8 .2 1 . 9 8 5 5 2, 3 3 3. 5 ‑2 20 .7 ‑0 .4 ( 出所)経済企画庁 『 国民経済計算年報』平成 3 年版 よ

り作成。

で あ るが,

7 7

年 に入 って徐 々に伸 び率が 低下 し始 め,

7 8

年 の第

2

四半期 か らはマ イナスに転 じ, これが

7 9

年 の第

1

四半期 まで持続す る ( 3‑ 6表)。 こうして, 輸 出 は

7 7

年 に は前年比

8 .6%

増 に とどま

3‑ 6表 四半 期毎 の輸 出 (

建)の伸 び率 ( 前年

同期 比 )

( 単位 %)

( 出所)第 3‑ 3

表に同 じ。

り,

7 8

年 には

5 .0%

滅 とな った (

3‑ 3

表)。数量で見て も

77

年 は前年比

8 .5

%増

,7 8

年 は

0 .7 %

増 にとどまった (

3‑ 4

表)。 こういうわけで,輸出はこ の第

2

番 目の景気拡大の起動力ではなか ったと言 ってよいであろう

なお,棉 出は

7 9

年第

3

四半期か ら前年同期比

2

ケタ増 とな り, これが

8 2

年第

1

四半期ま で続 く (

3‑ 6

表)。年毎で見 ると

79

年 にはまだ前年比

9 .6%

増 にとどまって いるが,

8 0

年 には

3 0 .4%

増 と大 き く増大す る

。81

年 には伸 び率が低下す るが, それで も

1 3 . 9%

増 と

2

ケタ増を維持 している (

3‑ 3

表)。 このように見て

くると,輸出はこの第

2

番 目の景気拡大では,景気拡大の起動力 としては働か なか ったが,すでに始 まった景気拡大を増幅す る役割を果 し,後には景気の後

(17)

景気拡 大 の長期 的持続 の基 本 的原 因 と今後 の展 望 につ いて

∂〟

退 を軽減す る役割 を果 した と見 る ことがで きるで あろ

次 に,設備投 資 につ いて 見 てみ る と,製 造 業 で は, 先 に見 た よ うに,

7 6

年 第

4

四半 期 か ら伸 びが プ ラスに 転 じるが, 1ケ タ台 に とど ま り,

7 7

年第

4

四半期 か ら またマイナ スにな って しま

う(

3‑2

表)。そ して,7

8

年第

4

四半期 か らよ うや く

プ ラス に転 じるが,本格 的 に増 大 す るの は7

9

年 に入 っ てか らである (

3‑7

表)

この結 果, 77年 に は前年 比

1 .1%増 に とどま り,7 8

年 に は5

.4%減 とな り, 7 9

年か ら 増 大 し,

7 9

年,

8 0

年 はそれ

3‑7 四半期毎 の設備 投資 の推移 (対前 年 同期増加 率)

( 単位 %) 製造業 非製造業 製造業 非製造業

7 8 Ⅰ 年 ‑1 2 . 9 5 .6 8 2 Ⅰ 年 7 . 8 ‑2 . 4

‑4 . 7 1 6 .0

3 . 7‑ 5 .1

Ⅲ ‑7 . 3 1 4 . 4 Ⅲ 3 . 0 3 .7

7 9 Ⅳ Ⅰ 年 1 4 4 . . 9 1 5 3 0 0 .0 .7 8 Ⅳ 3 Ⅰ 年 ‑4 ‑3 . . 4 7 ‑2 2 . .1 9

1 9 . 2 1 5 . g L

‑6 . 6 6 .1

Ⅱ 2 4 . 7 1 9 .6 Ⅲ ‑3 .1 1 2 . 4

8 0 I 年 2 1 8 8 . . 8 6 ‑3 9 . . 5 3 8

4 Ⅰ 年 3 7 . . 9 8 2 5 3 . .7 4

3 0 . 3 2 4 .0

2 2 . 8 ‑4 . 9

Ⅲ 29 . 2 7 . 2 Ⅱ 2 3 . 5 0 .9

81

Ⅰ 年 3 20 0 . . 6 9 2 2 1 0 .8 .9 8 5

Ⅰ 年 2 2 5 5 . . 6 0 ‑6 4 .9 .7

1 0 . 5 9 . 2

1 3 . 2 2 0 . 5

5 . 0 7 .9 Ⅲ̀ 1 0 . 7 2 9 . 4

(出所)第 3‑ 1

表に同じ。

ぞ れ

21 . 8

%,

27 .4

% 増 と なっている (

3‑ 1

表)0

非製造業では

,7 7

年の第

1

四半期 と第

3

四半期に

2

ケタ台の伸びを記録 した が,景気拡大の初期

( 77

年第

4

四半期 と

78

年第

1

四半期)には

1

ケタ台の伸び にとどまっていた。 しか し

,7 8

年の第

2

四半期か ら2ケタ台の伸びに転 じ, こ の増大傾向は途中中断をはさみなが らも

81

年第

1

四半期 まで続いた (

3‑ 2

義,第

3‑ 7

表)。年毎でみると

,77

年 には前年比1

4 .3%,78

年 には21

.3%,

7 9

年 には1

4 .2%,8 0

年 には1

5 . 2%,81

年 には1

0 .7%のそれぞれ増大を記録 し

た (

3‑ 1

表)0

(18)

372 42 第2・3

以上の ことか ら,製造業の設備投資は景気拡大の起動力 として何の役割 も果 さなか ったが,非製造業のそれは一定の役割を果 したと言 ってよいであろう

最後 に,政府支出について見てみると, 「国民総支出」中の 「政府最終消費 支 出」 と 「公的総資本形成」の和 は,77年 には35兆81

5

億 円で,前年 に比べ

4

兆1

076

億 円増,率 に して1

3.3%増 とな っている。 また,78

年 には39兆851

6

円で,前年 に比べ

4

兆77

01

億 円増,率 に して1

3.6%増 とな っている (

3‑

5

表)0

上 に述べたように,非製造業の設備投資 も景気拡大の起動力 として一定の役 割を果 したと考え られ るのであるが,それによって前年 に比べて新 たに追加 さ れた需要 は, 「国民総支出」中の 「民間企業設備」の増加額か ら考えると

,77

年 には

1

兆円程度,

78

年 には

2

兆円程度であると推察 され る(

3‑ 8

表参照)

これ に対 して,政府 支 出 に よ って両年 に前年 に比べ新 たに追加 され た需要 は上 の よ うに両年 と も

4

兆 円を越 えて お り,特 に,

78

年 に は

5

兆 円近 くに達 して い る。

この ことか ら, この第 2番 目の景気拡大 にお いて は政

3‑ 8

「民 間企 業設 備 」 の推移

( 単 位 1 0 億 円 , %)

「民間企業設備」 増減額 増減率

7 5 24, 290 .5 3 69 . 6 ‑1 .5 7 6 25, 2 24 .0 9 33 . 5 3 .8 77 2 6, 260 .6 1 , 0 36 . 6 4 .1 7 8 28, 1 0 2 .6 1 , 8 4 2. 0 7 .0 7 9 3 2, 9 37 .6 4, 8 35 . 0 1 7 .2 80 37, 61 5 .9 4 , 6 7 8 . 3 1 4 .2 (出所)第 3‑ 5

表に同 じ。

府支 出が景気拡大 の主要 な

起動力であったと言 って間違いないと思われ る。

最後 に,1

98 3

3

月か ら

1 985

6

月までの28カ月間持続 した とされている

3

番 目の景気拡大について見てみよう

まず最初 に,第 1,第

2

番 目の景気拡大の起動力であった政府支出について 見てみ ると,「国民総支出」中の 「政府最終消費支 出」 と 「公的総資本形成」

の和 は,83年 は

51 兆5760

億円で,前年 に比べ658

3

億 円増,率 に して1

.3%増 に

す ぎない

。84

年 は52兆5542億 円で,前年 に比べ9

782

億 円増,率に して1

.9%増

にす ぎない。 さらに

,85

年 には前年比マイナスとな っている (

3‑ 5

表)0

(19)

景気拡大の長期 的持続の基本的原因 と今後 の展 望 について

373

こういうわけで, この第

3

番 目の景気拡大に関 しては,政府支出は景気拡大の 起動力 とは無関係であったと言 ってよいであろう

次に,設備投資について見てみると,製造業では

8 1

年第

3

四半期か ら前年同 期比でそれまでの

2

ケタ増か ら

1

ケタ増 に変わ り,

8 2

年第

4

四半期か らはマイ ナスとなる

。8 3

年第

4

四半期か らよ うや くプラスに転 じるが,まだ

1

ケタ増に とどま り,

8 4

年第2四半期 に入 ってよ うや く2ケタ増 となる (3‑ 7表)0 年毎で見 ると

, 8 3

年 には前年比

2 . 3%

, 8 4

年 と

8 5

年 にはそれぞれ

1 9 . 9 %, 1 3 . 0

%増 となっている (

3‑1

表).非製造業では

8 1

年第

2

四半期か らそれまで

2

ケタ増か ら

1

ケタ増 に転 じ,あいだに

2

期マイナスを含みなが らこれが

8 3

年第

2

四半期まで続 く

。8 3

年第

3

四半期か ら

8 4

年第

1

四半期 にかけて

2

ケタ増 の局面 も現われ るが,す ぐまた,マイナスや 1ケタ増 に戻 り,製造業 に

1

年遅 れてよ うや く

8 5

年第

2

四半期か ら

2

ケタ増が続 く (

3‑7

表)。年毎で見 る

と,

8 3

年 には

5 . 4 %

増,

8 4

年 には

5 . 9 %

増 とい う低 い伸 びにとどま り

,8 5

年 に ようや く

1 7 . 1 %

増 とい う高い伸びになる (

3‑1

表)。 こう見て くると,設 備投資 もこの第

3

番 目の景気拡大の起動力 とは無関係であったと言 って間違い ないであろう

そ こで,最後 に,輸出について見てみることに しよう 輸出は

8 2

年第

3

四半 期か ら

8 3

年第

2

四半期 まで前年同期比でマイナス

,8 3

年後半 になってか らプラ

スに転 じるが

1

ケタ増 にとどまってお り

,8 4

年に入 ってようや く

2

ケタ増 に転 じる (

3‑6

表)。年毎で見 ると,

8 2

,8 3

年 は前年比 それぞれ

2 . 9%

増,

1 . 4 %

増 とい う低 い増加率 にとどまり,

8 4

年 によ うや く

1 5 . 5 %

増 と

2

ケタ増 に なる (

3‑3

表)。数量で見て も

8 2

年 は前年比

2 . 3 %

減,

8 3

年 は

8 . 7 %

増 と

1

ケタ増で,ようや く

8 4

年 になって

1 6 . 0 %

増 と

2

ケタ増 に転 じる (

3‑4

表)。

こうして見て くると,輸出 も景気拡大の起動力にはな りえなか ったかに見える が, しか し,そ うではない.全体 としての輸出は上のようであるが,対米輸出 を取 り出 してみると事情 はだいぶ変わ って くる。対米輸 出は

8 2

年第

3

四半期か ら一時落ち込み

,8 2

年第

4

四半期 と

8 3

年第

1

四半期には前年同期比マイナスと なるが

,8 3

年第

2

四半期か らプラスに転 C,それ以降急激に増大 し,

8 4

年に入

参照

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