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微分積分のオンライン授業に対するアンケート調査 小西 康文

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Academic year: 2021

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微分積分のオンライン授業に対するアンケート調査

小西 康文*

2020119 受理)

Survey of online course in differential and integral calculus

Yasufumi KONISHI* (Received November 9, 2020)

Abstract

This study reports a survey of courses in differential and integral calculus during the last few years.

One of the data sets obtained in 2020 associates with online teaching and learning, and the other data sets associate with face-to-face. A chi-square test was performed to examine differences between these two kinds of data sets. The differences indicate some advantages of the online course.

キーワード:微積分学、中間アンケート、オンライン授業

1.はじめに

2020年、新型コロナウィルス感染症対策として、多くの大学の授業が対面授業からオンライン授 業に切り替わり、茨城大学においても対応可能な全ての授業がMicrosoft Teamsを利用したオンライ ン授業へと切り替わった。こうした対応は、学生への授業効果が期待できるといったものや、教員 の授業負担を軽減できるといった何らかの利点を期待しての変更ではない。そのため、本来対面式 で行う予定であった授業と比較して、授業の質を可能な限り落とさないようにオンライン授業を行 うことが当初の目標であった。しかしながら、実際に授業を行うと、学生からのオンライン授業へ の好意的な意見もいくつか目にすることとなった。実際に、その利便性により、対面形式の授業よ りもオンライン授業の方が好ましいと回答する学生の割合が多い研究もある(Young and Norgard,

2006)。そこで、対面形式でおこなった 2019年度までの中間授業アンケートの結果と、オンライン

授業を行った2020年度の中間授業アンケートの結果を比較し、その違いを分析する。

* 茨城大学全学教育機構 (〒310-8512 水戸市文京2-1-1Institute for Liberal Arts Education, Ibaraki University, 2-1-1 Bunkyo Mito-shi 310-8512 Japan

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2.微積分学の中間授業アンケートと分析方法

茨城大学では、毎年、工学部1年生を対象にした微分積分の7クラスに対して統一授業をおこな っている。統一授業とは、各クラスの微積分学に関する平均学力を入学時に行う基礎テストの点数 などで平均化し、各クラスの担当教員により授業内容の差が大きく出ないように工夫された授業形 態である。具体的には、教科書、授業進度、評価基準を同等にしている。担当教員は毎年数名だけ 変化するため、教員の変化が少ないという意味で2020年度のアンケートとの比較は2019年度のア ンケートが最も適していると考えられる。2019年以前は毎年90分間授業を15回で合計1350分の 授業を行っていたが、2020年度は100分間授業を13回と50分間授業を1回で合計1350分の授業 を行った。今回解析するアンケートは毎年約半分の授業時間が経過した後に実施した。各年度で 7 クラスを対象にアンケートを行っているが、2018年度のみこの中間アンケートを行っていないクラ スがあったため回答数は他の年度よりも少なくなっている。より詳細には、2016年度は受講者397 名に対して回答数3562017年度は受講者455名に対して回答数3452018年度は受講者438名に 対して回答数1802019年度は受講者442名に対して回答数3212020年度は受講者455名に対し て回答数395であった。

この中間アンケート内容は、2017年度から教養教育から基盤教育へと変わった時など、若干変更 する設問項目や選択肢があるものの、基本的に毎年同じ設問項目や選択肢となっている。しかしな がら、2020年度はオンライン授業のため、例年よりも変更した設問項目や選択肢は増加した。こう した状況により、過去のアンケート結果と比較できる質問項目のうち、「授業の速度は適切ですか?」

「授業はわかりやすいですか?」「授業内容は理解できますか?」1 回の授業あたり、平均する とどの程度予習・復習をしていますか?」の4項目に着目する。学生は、これらのアンケート項目 に対する答えをいくつかの選択肢から一つだけ選び回答することとなる。

アンケート結果に対する分析は、カイ二乗検定を用いた二つの方法で行った。一つは対面式の授 業が行われた2016年度から2019年度の間で得られる過去の回答比率に対する2020年度の回答結果 の適合度を有意水準 1%に設定してカイ二乗検定で確かめた。もう一つは、担当教員の違いによる 影響が比較的小さいと考えられる2019年度の回答比率と2020年度の回答比率の等質性を有意水準 1%に設定してカイ二乗検定で確かめた。どちらの検定においても、ある選択肢への回答数が10 下の場合は、順序性のある選択肢であることを考慮して隣の選択肢と合併し検定を行った。

3.分析結果

「授業の速度は適度ですか?」という質問に対して、2020年度は「速い」が1.0%、「少し速い」

8.4%、「適度」が85.6%、「少し遅い」が4.6%、「遅い」が0.5%であり、「適度」が80%を超え ていた。ここでは、「速い」と「遅い」がともに10以下の回答数であったため、「速い」と「少し速 い」を一つにまとめ、さらに「少し遅い」と「遅い」を一つにまとめて、「速い・少し速い」「適度」

「少し遅い・遅い」の3つのカテゴリーに対して分析を行った。

過去4年間の回答比率と2020年度の回答比率との間の比率差は有意となった。図1を見ると、

2020年度における「適度」の占める回答比率は2016年度、2017年度、2018年度における「適度」

の占める回答比率よりも多い。そのため、この検定結果からは、過去の授業と比較して、2020年度

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のオンライン授業で適度な速度で授業が行われていたと考えられる。つぎに、2019年度の回答比率 2020年度の回答比率との間の比率差は有意でなかった。この検定結果から、2019年度と2020 度では担当教員の変化は少なく、授業方法は対面形式とオンライン形式で大きな変化があったこと を考慮すると、オンライン授業と対面授業で授業の速度に差がでる可能性は低い。実際に、統一授 業として同じ教科書を使って同じ進度で行うため、授業の速度に大きな変化がでる可能性は低い。

逆に2016年度から2019年度の間に比率の差が見受けられるため、授業担当者による影響が良く反 映される質問項目とも考えられる。

図 1 2016 年度から 2020 年度までの授業の速度に関するアンケート結果

「授業はわかりやすいですか?」という質問に対して、2020年度は「大変わかりやすい」が16.7%、

「わかりやすい」が54.4%、「ふつう」が26.6%、「わかりにく」が2.3%、「大変わかりにくい」が 0%であり、「大変わかりやすい」と「わかりやすい」の合計が過半数を大きく超えていた。ここで は、「大変わかりにくい」が10以下の回答数であったため、「わかりにくい」と「大変わかりにくい」

を一つにまとめて、「大変わかりやすい」「わかりやすい」「ふつう」「わかりにくい・大変わかり にくい」の4つのカテゴリーに対して分析を行った。

過去4年間の回答比率と2020年度の回答比率との間の比率差は有意となった。図2を見ると、

2020年度における「大変わかりやすい」および「わかりやすい」の占める回答比率は過去4年間の いずれの年よりも多い。そのため、この検定結果からは、過去の授業と比較して、2020年度のオン ライン授業は大変わかりやすい授業が行われていたと考えられる。また、2019 年度の回答比率と 2020年度の回答比率との間の比率差も有意となった。この検定結果から、2019年度と2020年度で

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は担当教員の変化は少なく、授業方法は対面形式とオンライン形式で大きな変化があったことを考 慮すると、オンライン授業と対面授業で授業のわかりやすさに差がでる可能性は高い。また、この 有意差は、オンライン形式の授業が対面形式の授業よりも、わかりやすい授業であることを表して いる。特に、微積分学という式変形などを示すのに板書による授業が適していると考えられる科目 でこうした結果となったことは興味深い。担当教員の授業準備に対する負担は大きかった可能性は 高いが、例え対面形式の授業が可能になったとしても、今後もオンライン形式の授業を取り入れる 大きな動機付けになる。

図 2 2016 年度から 2020 年度までの授業のわかりやすさに関するアンケート結果

「授業内容を理解できますか?」という質問に対して、2020 年度は「よく理解できている」が 26.1%、「だいたい理解できている」が70.4%、「あまりできていない」が 2.8%、「ほとんど理解で きていない」が0%、「理解できているかどうかわからない」が0.8%であり、「よく理解できている」

と「だいたい理解できている」の合計が9割を超えていた。ここでは、「ほとんど理解できていない」

と「理解できているかどうかわからない」が10以下の回答数であったため、「あまり理解できてい ない」「ほとんど理解できてない」「理解できているかどうかわからない」を一つにまとめて、「よ く理解できている」「だいたい理解できている」「あまり理解できていない・ほとんど理解できて いない・理解できているかどうかわからない」の3つのカテゴリーに対して分析を行った。

過去4年間の回答比率と2020年度の回答比率との間の比率差は有意となった。図3を見ると、

2020年度における「よく理解できている」と「だいたい理解できている」の合計が占める回答比率 は過去4年間のいずれの年よりも多い。そのため、この検定結果から、過去の授業と比較して、2020 年度はオンライン授業をとおして授業内容がよりよく理解できていると考えられる。また、2019

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度の回答比率と2020年度の回答比率との間の比率差も有意となった。この検定結果から、2019 度と2020年度では担当教員の変化は少なく、授業方法は対面形式とオンライン形式で大きな変化が あったことを考慮すると、オンライン授業と対面授業で授業内容の理解のしやすさに差がでる可能 性は高い。また、この有意差は、オンライン形式の授業が対面形式の授業よりも、授業内容を理解 しやすいことを表している。このことは、上で言及した授業のわかりやすさに関する分析と反する ことなく、オンライン授業の有効性を表す結果となった。

図 3 2016 年度から 2020 年度までの授業内容の理解度に関するアンケート結果

1 回の授業あたり、平均するとどの程度予習・復習をしていますか?」という質問に対して、

2020年度は「1時間以上」が21.0%、40分~1時間」が33.4%、20分~40分」が31.6%、20 未満」が13.9%であり、この4つのカテゴリーに対して分析を行った。

過去4年間の回答比率と2020年度の回答比率との間の比率差は有意となった。また、2019年度 の回答比率と2020年度の回答比率との間の比率差も有意となった。図4を見ると、2020年度にお ける「1時間以上」および「40分から1時間」の占める回答比率は過去4年間のいずれの年よりも 多い。そのため、この検定結果から、過去の授業と比較して、2020年度は1回あたりの勉強時間が 増えたと言える。ただし、オンライン授業のための教材を予習や復習に利用したことによる影響も 考えられるが、外出できない状況により学習時間が増えた可能性も高いと考えられる。

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図 4 2016 年度から 2020 年度までの学習時間に関するアンケート結果

4.まとめ

本稿では、2016年度から2020年度まで、前学期の微積分学の授業で行っている中間授業アンケ ートの分析を行った。2016年度から2019年度までは対面形式で授業が行われ、2020年度はオンラ イン形式での授業となった。この対面形式での授業時のアンケート結果とオンライン形式の授業時 のアンケート結果を比較すると、授業のわかりやすさ、授業内容の理解度、授業外学修時間におい てオンライン形式での授業アンケートの方がより良い結果となった。ただし、この結果に対して幾 つか注意点がある。授業のわかりやすさに関しては、2020年度とその他の年では担当教員が数名異 なっているため、担当教員の違いによる授業のわかりやすさの誤差を排除できていない。授業内容 の理解度に関しては、対面形式の授業の時には主に期末試験で評価していたのに対して、オンライ ン形式の授業の時にはレポート課題によって評価していたため、実際に学力が向上したのかどうか 比較することはできない。授業時間の増加に関しては、課題の量は基本的に例年と同じであるため、

オンライン授業による効果というよりは新型コロナウィルス感染症による外出禁止による影響が大 きいと考えられる。こうした幾つかの注意点はあるものの、今回の分析結果から、対面式の授業が 可能になった後もオンライン形式の授業の活用を考慮していかなければならないと考えられる。

引用文献

Young, A. and Norgard, C. (2006) Assessing the quality of online courses from the students’ perspective, Internet and Higher Education, 9, 107-115.

図 4  2016 年度から 2020 年度までの学習時間に関するアンケート結果  4. まとめ 本稿では、 2016 年度から 2020 年度まで、前学期の微積分学の授業で行っている中間授業アンケ ートの分析を行った。 2016 年度から 2019 年度までは対面形式で授業が行われ、 2020 年度はオンラ イン形式での授業となった。この対面形式での授業時のアンケート結果とオンライン形式の授業時 のアンケート結果を比較すると、授業のわかりやすさ、授業内容の理解度、授業外学修時間におい てオンライン形式での

参照

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