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微分積分学および演習Ⅰ 演習問題 4

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Academic year: 2021

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(1)

微分積分学および演習Ⅰ 演習問題 4

2018年度前期

工学部・未来科学部1 担当: 原 隆(未来科学部数学系列・助教)

演習課題

Exercises in class

印の付いた問題は、少し難易度が高めです。

問題4-1. (展開係数と微分係数)

(1) 多項式f(x) = (x+ 1)2(2x1)2(x1)4を展開してf(x) =a0+a1x+a2x2+a3x3+a4x4 と表したときのxn の係数 an (n= 0,1,2,3,4)を求めなさい。

(2) 多項式 f(x) =x3+ 3x26x+ 5f(x) =b0+b1(x1) +b2(x1)2+b3(x1)3と表し たときの(x1)n の係数 bn (n= 0,1,2,3)を求めなさい。

問題4-2. (基本的な関数のマクローリン展開) 以下の関数f(x)

f(x) =a0+a1x+a2x2+a3x3+a4x4+. . .+anxn+. . .

と羃級数展開されることを仮定した上で、その展開係数 an n = 4 まで求めなさい。答えは f(x) =a0+a1x+a2x2+a3x3+a4x4+. . . の形で答えること。

※ 余力があったら一般の自然数nに於ける展開係数an も計算してみよう。

(1) f(x) =ex (指数関数) (2) f(x) = sin(x) (三角関数) (3) f(x) = cosx (三角関数) (4) f(x) = log(1 +x) (対数関数) (5) f(x) = (1 +x)α, α は実数 (羃乗関数) (6) f(x) = Arctan (x) (逆三角関数) 問題4-3. (無限階微分可能ではあるが解析的ではない関数)

O 1

x y

f(x) =ex12 関数 f(x) =



ex12 (x̸= 0 のとき) 0 (x= 0 のとき)

について、以下の 設問に答えなさい。

(1) = 0 のとき、f(x) n 階導関数f(n)(x) 多項式 Qn(t) を用いて

f(n)(x) =Qn

(1 x

)

ex12 という

形で表されることを、n に関する数学的帰納法を用いて証明しなさい。

(2) (1) の結果を用いて、すべての整数 n 0 に対して f(n)(0) = 0 が成り立つことを、

微分係数の定義 nに関する数学的帰納法を用いて証明しなさい。

(3) f(x) n 次のマクローリン多項式 Pn(x) を求めなさい。これを用いて、x ̸= 0 のときは

nlim→∞|f(x)−Pn(x)| 0に収束しないことを証明しなさい。

(2)

【解答】

問題4-3.

(1) n に関する数学的帰納法により証明する。n= 0 のときは f(0)(x) = f(x) = 1·ex12 より Q0(t) = 1とすれば良い。

次に、自然数 nに対して多項式 Qn(t) が存在してf(n)(x) =Qn

(1 x

)

ex12 と表せると仮定 したときに、f(n+1)(x) が多項式 Qn+1(t) を用いて f(n+1)(x) =Qn+1

(1 x

)

ex12 と表され ることを示す。積の微分法と合成関数の微分法より

f(n+1)(x) = (

f(n)(x) )

= (

Qn

(1 x

) ex12

)

= (

Qn

(1 x

))

ex12 +Qn

(1 x

)

(ex12) (積の微分法)

=Qn (1

x )

· (1

x )

ex12 +Qn

(1 x

) ex12 ·

(

1 x2

)

(合成関数の微分法)

= {

(1

x )2

Qn (1

x )

+ 2· (1

x )3

Qn

(1 x

)}

ex12

であるから、 Qn+1(t) =−t2Qn(t) + 2t3Qn(t) と置けばQn+1(t) (tに関する) 多項式で f(n+1)(x) = Qn+1

(1 x

)

ex12 と表される。以上よりn に関する数学的帰納法から題意は証 明された。

(2) 先ず n= 0 のときは定義より f(0)(0) =f(0) = 0 が成り立つ。

次に f(n)(0) = 0と仮定すると、(n+ 1)階微分係数f(n+1)(0)の定義より

f(n+1)(0) = lim

∆x0

f(n)(∆x)−f(n)(0)

∆x0 = lim

∆x0

f(n)(∆x)

∆x = lim

∆x0

1

∆xQn

( 1

∆x )

e

1 (∆x)2

である。したがってlf(n+1)(0) = 0を示すためには

∆xlim+0

1

∆xQn

( 1

∆x )

e

1

(∆x)2 = lim

∆x→−0

1

∆xQn

( 1

∆x )

e

1 (∆x)2 = 0

を示せば良い。ここで u= 1

∆x と変数変換すると、 ∆x → ±0 のときにu → ±∞ となる ので

∆xlim→±0

1

∆xQn

( 1

∆x )

e

1

(∆x)2 = lim

u→±∞

uQn(u)

eu2 · · · ·() が成り立つ。ここで 任意の多項式関数 P(u) に対して lim

u→±∞

P(u)

eu2 = 0 であること (詳細 は後述) を用いると () の右辺が 0 となることが分かる。したがって f(n+1)(0) = 0 が示さ れた。

(3)

オレンジ色の部分の主張について

「指数関数の方が多項式よりも無限大に発散するスピードが速い」という良く知られた事 実ではあるが、折角なので テイラー-マクローリンの近似定理 を用いて証明してみよう。

先ず 任意の自然数 n に対してテイラー-マクローリンの近似定理を指数関数 ex に適用 してみると

ex = 1 +x+ x2

2! +. . . .+xn

n! + ec

(n+ 1)!xn+1

と表すことが出来る (但し c 0 x の間のある実数)。この式にx=u2 を代入すると eu2 = 1 +u2+u4

2! +. . . .+ u2n

n! + ec

(n+ 1)!u2(n+1) となるが、剰余項 ec

(n+ 1)!u2(n+1) は明らかに正の実数なので*1 eu2>1 +u2+u4

2! +. . .+u2n n!

が成り立つ。したがって不等式 (0<) P(u)

eu2 < P(u)

1 +u2+u4

2! +. . .+u2n n!

が得られるので、u→ ±∞ のときに右辺が0 に収束することを示せば、挟み撃ちの原理 により lim

u→±∞

P(u)

eu2 = 0 が証明出来る。

そこで P(u) = a0+a1u+. . .+aNuN (N 次多項式) として N <2n となるように n を十分に大きくとっておくと、

P(u) 1 +u2+u4

2! +. . .+u2n n!

= uN u2n

a0

uN + a1

uN1 +. . .+aN1

u +aN

1

u2n + 1

u2n2 +. . .+ 1

(n1)!·u2 + 1 n!

(主要項で括り出す)

= 1

u2nN

a0

uN + a1

uN1 +. . .+aN1

u +aN

1

u2n + 1

u2n2 + 1

2!·u2n4 +. . .+ 1

(n1)!·u2 + 1 n!

u→±∞

−−−−−→0· aN

1/n! = 0 となるので、所望の式 lim

u→±∞

P(u)

eu2 = 0 が無事導き出されるのである。

尚、この式は後程学習する ド・ロピタルの定理 を用いて証明することも可能である (が、ド・ロピタルの定理をわざわざ持ち出すのはちょっと大袈裟すぎる気がしないでも ない)

*1ec>0,u20に注意!!

(4)

(3) 0 に於ける全ての 高階微分係数f(n)(0) 0なので、f(x) 0に於けるn 次のテイラー多 項式 (またはマクローリン多項式) Pn(x)

Pn(x) =f(0) + f(0)

1! x+f(2)(0)

2! x2+. . . .+f(n)(0) n! xn

= 0 + 0·x+ 0·x2+. . . .+ 0·xn= 0 となる。したがって

nlim→∞|f(x)−Pn(x)|= lim

n→∞|f(x)|=|f(x)|

であるが、定義より明かに= 0 ならばf(x)̸= 0なので、= 0 のときは上記の極限は0 は収束しない(つまり f(x) x= 0 のまわりでテイラー展開出来ない!!)

 問題文で提示された図を見ると、関数 y =f(x) =ex12 のグラフは x = 0の近くでは x 殆ど一致しているように見えるだろう。つまり、この関数は x= 0 の周辺ではあまりに 平らな関数なので、原点のごくごく周辺のみを切り出してみると、もはや定数関数 y= 0 (少なくとも肉眼では) 見分けが付かない。「f(x) のマクローリン展開が収束しない」と言う 現象は、「x= 0のごく近くで y=f(x) y= 0 区別出来ないf(x) x= 0の周辺 非常に平らである」ことを表している、とも解釈出来る*2

*2あくまでも直観的な表現になりますが。

参照

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