145 第Ⅱ章
第
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部
(1)水産業・漁村の復興状況
(水産関係施設等の復旧・復興の概況) 平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方太平洋沿岸をはじめとす る全国の漁業に大きな被害をもたらしました。特に甚大な影響を受けた岩手県、宮城県及び 福島県は、全国屈指の豊かな漁場に恵まれ、震災前には我が国の漁業生産量の約1割以上を 生産してきた地域です。 平成28(2016)年3月で、東日本大震災の発生から5年が経過しました。被災地域の水産 業・漁村の復旧・復興に向け、それぞれの漁業の特色や被災状況に応じ、必要な支援が積極 的に実施されてきていますが、特に東電福島第一原発事故の影響を強く受けている福島県を 中心として、いまだ復旧・復興の途上にある地域・分野があります(図Ⅱ−5−1)。 2 漁 港 [岩手県] 久慈、宮古、 釜石、大船渡 [宮城県] 気仙沼、女川、 石巻、塩釜 [福島県] 小名浜 岩手県・宮城県の主要 な養殖品目の漁協共販 数量の被災前年比 (22年漁期) 被災3県で被害があっ た産地市場(34施設) 被災3県で再開を希望 する水産加工施設 (816施設) がれきにより漁業活動 に支障のある定置漁場 992か所 (約2.9万隻が被災) 復 旧 目 標(27年 度 末 までに2万隻)に対す る状況 (319漁港が被災) 陸揚げ岸壁の機能回復 状況 (約113kmの岸壁が被災) 被災岸壁の復旧状況 24年度中に、水産基本計 画の目標(25年度末まで に1万2千隻)は達成。 更に被災地の要望を踏まえ 27年度末までに2万隻ま で回復を目指す。 ○平成27年度末までに、被災 した漁港の全てにおいて、 陸揚げが可能(部分的に可 能な場合を含む。)となる ことを目指す。また、残さ れた防波堤等の早期復旧に 取り組む。 ○平成28年1月末現在、被災 した319漁港のうち、97% に あ た る311漁 港 に お い て、陸揚げが可能(部分的 に可能な場合を含む。)。 岩手県、宮城県、福島県の 内訳は次のとおり。 岩手県:96%(104漁港) 宮城県:99%(140漁港) 福島県:80%( 8漁港) ○北海道、青森県、千葉県で 被災した岸壁は、復旧完了 済み。 26年3月末で養殖業再開 希望者の養殖施設の整備が 完了 岩手県及び宮城県の産地市 場は、22施設全てが再開。 がれきの残る一部の漁場に ついて、28年度も引き続 き支援を実施。 項目 0 進捗状況・現況20 40 60 80 100% 備 考 項目 0 進捗状況・現況20 40 60 80 100% 備 考 3 漁 船 ※ 26年漁期のワカメ養殖、 コンブ養殖は、26年2月の 低気圧通過に伴う脱落等のた め、前年より減少した。 ※ カキ養殖は、種付けから出 荷までに2∼3年を要するこ となどから、24、25年漁期 の生産は低位となっている。 4 養 殖 5 加 工 流 通 施 設 6 図Ⅱ−5−1 水産業復旧の進捗状況(平成28(2016)年3月1日取りまとめ) 1 水 揚 げ 岩手・宮城・福島各県 の主要な魚市場の水揚 げの被災前年比(22年 3月∼23年2月合計) 平成25年3月末現在 平成27年3月末現在 平成28年1月末現在 36%(115漁港) (全延長の陸揚げ機能回復) (部分的に陸揚げ機能回復)47%(149漁港)(潮位によっては陸揚げ可能)15%(48漁港) 平成25年3月末実績 平成27年3月末現在 平成28年1月末実積 28% 65% 71% 83%(264漁港) 83%(264漁港) 96%(307漁港) 96%(307漁港) 65% (208漁港) 73% (233漁港) (78漁港)24% 31% (99漁港) 3% (9漁港) 97%(311漁港) 97%(311漁港) 岩手 8,846隻 宮城 7,106隻 福島 354隻 岩手 7,768隻 宮城 5,358隻 福島 256隻 岩手 4,217隻 宮城 3,186隻 福島 192隻 46% (9,195隻) ※24年3月末時点 77% (15,308隻) ※25年3月末時点 91% (18,247隻) ※27年12月末時点 岩手: 96%(137か所) 宮城: 100%(850か所) 福島:要望なし 岩手: 94%(127か所) 宮城: 96%(831か所) 福島:要望なし 95% 99% (987か所) ※28年1月末 岩手:100%(13施設) 宮城:100%( 9施設) 福島: 8%( 1施設) 岩手:89%(178施設) 宮城:89%(412施設) 福島:75%(115施設) 65% (22施設が業務再開) ※23年12月末 68% (23施設が業務再開) ※28年2月末 55% (418施設が業務再開) ※24年3月末 74% (608施設が業務再開) ※25年3月末 86% (705施設が業務再開) ※27年12月末 〈水揚量〉 〈水揚金額〉 39% H23.2∼24.1 (181千t) 47% H23.2∼24.1 (375億円) 62% H24.2∼25.1 (285千t) 70% H24.2∼25.1 (560億円) 70% H25.2∼26.1 (325千t) 81% H25.2∼26.1 (649億円) 79% H26.2∼27.1 (367千トン) 74% H27.2∼28.1 (345千トン) 87% H26.2∼27.1 (695億円) 岩手 67% (92.9千トン) 宮城 79% (245.2千トン) 福島 59% (6.4 千トン) 岩手 82% (158.6億円) 宮城 98% (577.7億円) 福島 36% (6.4億円) ワカメ養殖(22年漁期 (2∼5月) 34,439トン) ギンザケ養殖(22年漁期(3∼8月) 14,750トン) ホタテ養殖(22年漁期(4∼3月) 14,873トン) カキ養殖(22年漁期(9∼5月)4,031トン) コンブ養殖(22年漁期 (3∼8月) 13,817トン) 23年漁期 0トン (0%) 24年漁期 5,633トン (41%) 26年漁期 6,904トン (50%) 25年漁期 8,502トン (61%) 23年漁期 354トン (9%) 24年漁期 695トン (17%) 25年漁期 1,473トン (37%) 26年漁期 2,137トン (53%) 23年漁期 56トン (0.4%) 24年漁期 5,130トン (34%) 25年漁期 9,245トン (62%) 26年漁期 11,677トン (79%) 23年漁期 0トン (0%) 24年漁期 9,448トン (64%) 25年漁期 11,619トン (79%) 26年漁期 12,200トン (83%) 27年漁期 11,787トン (80%) 25年漁期 30,413トン (88%) 23年漁期 3,742トン (11%) 26年漁期 23,354トン (68%) 27年漁期 26,058トン (76%) 27年漁期 7,180トン (52%) 24年漁期 27,379トン (79%) 2% (6漁港) 93% H27.2∼28.1 (743億円)第5節
東日本大震災からの復興に向けた動き
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第Ⅱ章 〇 漁港施設 漁港は、漁船の係留及び燃料・食料の補給や、漁獲物の陸揚げ及び加工・流通等の機能が 集積する水産業の基盤施設です。平成27(2015)年度末までに被災した7道県319漁港の全 てにおいて陸揚げが可能(部分的に陸揚げが可能な場合を含む。)とすることを目指してき た結果、平成28(2016)年1月末現在、311漁港(97%)において陸揚げが可能となりました。 被災した漁港のうち、水産業の振興上特に重要な特定第3種漁港である5漁港(八戸、気 仙沼、石巻、塩釜及び銚子)については、高度衛生管理対応の荷さばき所等の整備を行うな ど、新たな水産業の姿を目指した復興に取り組んでいます。 2 漁 港 [岩手県] 久慈、宮古、 釜石、大船渡 [宮城県] 気仙沼、女川、 石巻、塩釜 [福島県] 小名浜 岩手県・宮城県の主要 な養殖品目の漁協共販 数量の被災前年比 (22年漁期) 被災3県で被害があっ た産地市場(34施設) 被災3県で再開を希望 する水産加工施設 (816施設) がれきにより漁業活動 に支障のある定置漁場 992か所 (再流入箇所含む) がれきにより漁業活動 に支障のある養殖漁場 1,111か所 (再流入箇所含む) (約2.9万隻が被災) 復 旧 目 標(27年 度 末 までに2万隻)に対す る状況 (319漁港が被災) 陸揚げ岸壁の機能回復 状況 (約113kmの岸壁が被災) 被災岸壁の復旧状況 24年度中に、水産基本計 画の目標(25年度末まで に1万2千隻)は達成。 更に被災地の要望を踏まえ 27年度末までに2万隻ま で回復を目指す。 ○平成27年度末までに、被災 した漁港の全てにおいて、 陸揚げが可能(部分的に可 能な場合を含む。)となる ことを目指す。また、残さ れた防波堤等の早期復旧に 取り組む。 ○平成28年1月末現在、被災 した319漁港のうち、97% に あ た る311漁 港 に お い て、陸揚げが可能(部分的 に可能な場合を含む。)。 岩手県、宮城県、福島県の 内訳は次のとおり。 岩手県:96%(104漁港) 宮城県:99%(140漁港) 福島県:80%( 8漁港) ○北海道、青森県、千葉県で 被災した岸壁は、復旧完了 済み。 26年3月末で養殖業再開 希望者の養殖施設の整備が 完了 岩手県及び宮城県の産地市 場は、22施設全てが再開。 がれきの残る一部の漁場に ついて、28年度も引き続 き支援を実施。 福島県においては、定置・ 養殖漁場以外の漁場におい て、10市町から支援要望 があり、現時点で相馬市の 一部でがれきの撤去が完 了。 項目 0 進捗状況・現況20 40 60 80 100% 備 考 項目 0 進捗状況・現況20 40 60 80 100% 備 考 3 漁 船 ※ 26年漁期のワカメ養殖、 コンブ養殖は、26年2月の 低気圧通過に伴う脱落等のた め、前年より減少した。 ※ カキ養殖は、種付けから出 荷までに2∼3年を要するこ となどから、24、25年漁期 の生産は低位となっている。 4 養 殖 5 加 工 流 通 施 設 6 が れ き 図Ⅱ−5−1 水産業復旧の進捗状況(平成28(2016)年3月1日取りまとめ) 1 水 揚 げ 岩手・宮城・福島各県 の主要な魚市場の水揚 げの被災前年比(22年 3月∼23年2月合計) 平成25年3月末現在 平成27年3月末現在 平成28年1月末現在 36%(115漁港) (全延長の陸揚げ機能回復) (部分的に陸揚げ機能回復)47%(149漁港)(潮位によっては陸揚げ可能)15%(48漁港) 平成25年3月末実績 平成27年3月末現在 平成28年1月末実積 28% 65% 71% 83%(264漁港) 83%(264漁港) 96%(307漁港) 96%(307漁港) 65% (208漁港) 73% (233漁港) (78漁港)24% 31% (99漁港) 3% (9漁港) 97%(311漁港) 97%(311漁港) 岩手 8,846隻 宮城 7,106隻 福島 354隻 岩手 7,768隻 宮城 5,358隻 福島 256隻 岩手 4,217隻 宮城 3,186隻 福島 192隻 46% (9,195隻) ※24年3月末時点 77% (15,308隻) ※25年3月末時点 91% (18,247隻) ※27年12月末時点 岩手: 96%(137か所) 宮城: 100%(850か所) 福島:要望なし 岩手: 94%(127か所) 宮城: 96%(831か所) 福島:要望なし 岩手: 90%(158か所) 宮城: 99%(932か所) 福島:100%( 11か所) 岩手: 93%(143か所) 宮城: 72%(655か所) 福島: 50%( 3か所) 95% (958か所) ※24年3月末 99% (987か所) ※28年1月末 75% (801か所) ※24年3月末 99% (1,101か所) ※28年1月末 岩手:100%(13施設) 宮城:100%( 9施設) 福島: 8%( 1施設) 岩手:89%(178施設) 宮城:89%(412施設) 福島:75%(115施設) 65% (22施設が業務再開) ※23年12月末 68% (23施設が業務再開) ※28年2月末 55% (418施設が業務再開) ※24年3月末 74% (608施設が業務再開) ※25年3月末 86% (705施設が業務再開) ※27年12月末 〈水揚量〉 〈水揚金額〉 39% H23.2∼24.1 (181千t) 47% H23.2∼24.1 (375億円) 62% H24.2∼25.1 (285千t) 70% H24.2∼25.1 (560億円) 70% H25.2∼26.1 (325千t) 81% H25.2∼26.1 (649億円) 79% H26.2∼27.1 (367千トン) 74% H27.2∼28.1 (345千トン) 87% H26.2∼27.1 (695億円) 岩手 67% (92.9千トン) 宮城 79% (245.2千トン) 福島 59% (6.4 千トン) 岩手 82% (158.6億円) 宮城 98% (577.7億円) 福島 36% (6.4億円) ワカメ養殖(22年漁期 (2∼5月) 34,439トン) ギンザケ養殖(22年漁期(3∼8月) 14,750トン) ホタテ養殖(22年漁期(4∼3月) 14,873トン) カキ養殖(22年漁期(9∼5月)4,031トン) コンブ養殖(22年漁期 (3∼8月) 13,817トン) 23年漁期 0トン (0%) 24年漁期 5,633トン (41%) 26年漁期 6,904トン (50%) 25年漁期 8,502トン (61%) 23年漁期 354トン (9%) 24年漁期 695トン (17%) 25年漁期 1,473トン (37%) 26年漁期 2,137トン (53%) 23年漁期 56トン (0.4%) 24年漁期 5,130トン (34%) 25年漁期 9,245トン (62%) 26年漁期 11,677トン (79%) 23年漁期 0トン (0%) 24年漁期 9,448トン (64%) 25年漁期 11,619トン (79%) 26年漁期 12,200トン (83%) 27年漁期 11,787トン (80%) 25年漁期 30,413トン (88%) 23年漁期 3,742トン (11%) 26年漁期 23,354トン (68%) 27年漁期 26,058トン (76%) 27年漁期 7,180トン (52%) 24年漁期 27,379トン (79%) 2% (6漁港) 93% H27.2∼28.1 (743億円)机
つくえ浜
はま番
ばん屋
や群
ぐんの再建(岩手県田
た野
の畑
はた村
むら)
事例
第Ⅱ章第
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三陸海岸北部、断崖の自然景勝地「北きた山やま崎ざき」や「鵜うの巣す断だん崖がい」を擁する岩手県の田野畑村にある「机 浜番屋群」は、貴重な漁村の原風景をとどめる「番屋」と呼ばれる作業小屋や倉庫など大小25棟で構成 されており、水産庁の「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財百選」にも選ばれています。地元漁師の 作業場として漁業活動の一翼を担うのはもとより、漁業や漁村文化を体験する「番屋エコツーリズム」 の拠点としても多くの観光客に親しまれてきましたが、東日本大震災の津波で全て流失してしまいまし た。 田野畑村は、平成23(2011)年7月に漁村文化の伝承を目指し机浜番屋群再生プロジェクトを立ち上 げ、漁村の原風景を取り戻したい、被災地田野畑村の漁村文化を一緒に再生したいという思いを共有す る人々からの支援や復興交付金事業により、平成26(2014)年12月に以前の面影を復元する形で番屋 群を復旧しました。再建された番屋は、平成27(2015)年4月に関係者に披露され、観光客の受入れを 再開しました。 元の番屋があった場所に再建された番屋群は22棟で、うち13棟は地元の漁業者が利用しながら観光客 も自由に見学ができる「漁師番屋」となっています。このほか訪問客が自ら地元の海産物を料理するこ とができる「食体験番屋」、海水から塩を作る作業を体験できる「塩番屋」、スキューバダイビング体験 の参加者に利用される「海体験番屋」、体験学習やセミナー等多目的に利用できる「学びの番屋」、漁村 文化の紹介や観光案内と番屋群全体の管理事 務所の機能を併せ持つ「ふれあい番屋」等が あります。 震災後、漁師が漁に使う小型の磯舟を使っ た観光ツアー「サッパ船アドベンチャーズ」 は近隣の漁港に拠点を移していましたが、机 浜番屋群の再建に伴い待合所や船の発着所を 机浜に戻し運航を始めています。 再建された机浜番屋群は、田野畑村の復興 のシンボルとして、また、漁村文化の発信と 体験観光の拠点として、今後の交流人口の増 加に貢献することが期待されます。 〇 漁船 平成27(2015)年度末までに2万隻まで復旧することを目標としており、平成27(2015) 年12月末現在、修理又は新船建造を完了した漁船の数は1万8,247隻(目標の91%)となり ました。 〇 養殖施設 平成27(2015)漁期の岩手県及び宮城県の主要な養殖品目の養殖生産量を震災前と比べる と、ワカメは76%、コンブは52%、ギンザケは80%となりました。収獲までに2~3年を要 机浜番屋群 (写真提供:田野畑村)宮城県水産技術総合センター「種苗生産施設」の竣工
事例
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第Ⅱ章 東日本大震災により被災全壊した宮城県水産技術総合センター種苗生産施設が、従前の 石いしの巻まき市し谷川浜 から七しちヶが浜はま町まち松ヶ浜地区に場所を移して平成27(2015)年10月に完成しました。 宮城県は全国有数のアワビの産地であり、アワビは沿岸漁業の重要な魚種となっています。この水揚 げを維持するため、宮城県は、漁業協同組合等の生産団体の要望に応える形で、昭和51(1976)年に水 産技術総合センター種苗生産施設(旧栽培漁業センター)を整備し、年間100万個のアワビの種苗を生産 し、各漁業協同組合に配布するなど県内全域のアワビの種苗の生産・放流を手がけてきました。 しかし、東日本大震災による大津波で種苗生産施設とともに育てていたアワビ稚貝までが全て流出し、 アワビの種苗生産ができなくなりました。さらに震災 の影響でアワビの天然資源、特に小型の個体が減少し たため、資源が枯渇し漁獲できなくなることが懸念さ れました。アワビは放流から漁獲までに3年かかりま す。アワビ漁業の持続と資源の維持のためには継続し た放流が必要なことから、平成24(2012)年度から 国の被災海域における種苗放流支援事業を活用して、 北海道関係機関の多大な協力の下、北海道産アワビ種 苗を調達して放流を実施してきました。 東日本大震災から約4年半をかけ、宮城県水産技術 総合センター種苗生産施設が竣工したことで、ようや く宮城県における種苗生産業務が再開できることにな りました。 〇 加工・流通施設 水産物産地卸売市場については、岩手県、宮城県及び福島県の34施設全てが被害を受けま した。このうち、岩手県及び宮城県の22施設については全てが業務を再開していますが、福 島県においては、平成28(2016)年2月末現在、12施設中小名浜の1施設のみが営業を再開 しています。 水産加工施設については、平成27(2015)年12月末現在、再開を希望する816施設のうち 705施設(86%)が業務を再開しています。 平成27(2015)年11月~28(2016)年1月に実施された「水産加工業者における東日本大 震災からの復興状況アンケート」によれば、水産加工業者の生産能力の回復状況について、 震災前の8割以上に回復しているとする加工業者は58%となり、平成26(2014)年11月~27 (2015)年1月実施の前回調査から8ポイント増加しました。水産加工業者の売上げの回復 状況については、8割以上回復したとする加工業者は48%となり、前回調査から8ポイント 増加したものの、依然として売上げの回復が生産能力の回復より遅れている状況にあります。 県別にみると、特に福島県と茨城県で売上げの回復が遅れています(図Ⅱ−5−2)。 また、復興における問題点を尋ねたところ、風評被害を含めた販路の確保を挙げた水産加 工業者が44%と最も多かったほか、人材や原材料の確保も問題点とされています(図Ⅱ−5 −3)。特に販路の確保に対しては、「既存の販売チャネル以外における販売」、「新商品の開 水産技術総合センター種苗生産施設 (写真提供:宮城県)第Ⅱ章
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発」等の取組が必要であるとする水産加工業者が多くなっています。このように、設備等の 生産能力の復旧が進む中、販路の回復や新規創出が水産加工業の復興に向けた課題となって おり、国では、加工・流通の各段階への個別指導及びセミナーの開催等、販路の回復・新規 創出に向けた活動を支援しています。 0 20 40 60 80 100% 全 体(310件) 青森県( 11件) 岩手県( 28件) 宮城県(137件) 福島県( 70件) 茨城県( 64件) 全く回復していない 10%未満 10%以上20%未満 20%以上30%未満 30%以上40%未満 50%以上60%未満 60%以上70%未満 70%以上80%未満 80%以上90%未満 90%以上100%未満 100%以上 40%以上50%未満 50% 90% 53% 50% 25% 66% 〈生産能力の回復状況〉 第2回調査 (平成26(2014)年11月∼27(2015)年1月) 全 体(313件) 青森県( 11件) 岩手県( 29件) 宮城県(137件) 福島県( 71件) 茨城県( 65件) 図Ⅱ−5−2 水産加工業者における生産能力及び売上げの回復状況 資料:水産庁「水産加工業者における東日本大震災からの復興状況アンケート」(第2回(平成26(2014)年11月∼27(2015)年1月実施)及 び第3回(平成27(2015)年11月∼28(2016)年1月実施)) 12 25 13 9 36 45 9 13 3 19 34 13 13 26 11 7 25 21 0 20 40 60 80 100% 58% 100% 60% 69% 30% 48% 第3回調査 (平成27(2015)年11月∼28(2016)年1月) 24 12 13 11 8 16 15 30 4 20 (267件) ( 10件) ( 25件) (129件) ( 53件) ( 50件) 0 20 40 60 80 100% 売上げがない 10%未満 10%以上20%未満 20%以上30%未満 30%以上40%未満 50%以上60%未満 60%以上70%未満 70%以上80%未満 80%以上90%未満 90%以上100%未満 100%以上 40%以上50%未満 40% 90% 58% 40% 21% 39% 〈売上げの回復状況〉 第2回調査 13 12 15 27 18 45 7 7 7 17 8 14 16 14 10 17 17 24 0 20 40 60 80 100% 48% 90% 61% 60% 21% 28% 第3回調査 24 11 13 30 20 40 8 2 11 6 10 12 16 13 31 19 15 27 (268件) ( 10件) ( 26件) (129件) ( 53件) ( 50件) 60 22 6 24 24 36 40東北復興水産加工品展示商談会 2015 の開催
事例
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第Ⅱ章 図Ⅱ−5−3 復興における問題点と販路回復で必要とされる施策 資料:水産庁「水産加工業者における東日本大震災からの復興状況アンケート」(第3回(平成27(2015)年11月∼28(2016)年1月実施)) その他 1% その他2% 〈復興における問題点〉 〈販路回復で必要とされる施策〉 販路の確保・ 風評被害 44% 新商品の開発 25% 新ブランドの立ち上げ 6% 既存の販売チャネル 以外における販売 26% 展示会等への 参加 16% 主力商品に特化 10% 地元での 販売を強化 14% 原材料の確保 20% 運転 資金の 確保 6% 人材の確保 20% 施設の 復旧 8% 東日本大震災の被災地では、水産加工業を中心として、震災の影響で失われた販路を回復・新規創出 していくことが大きな課題となっています。このため、平成27(2015)年6月、仙台市において東北地 方等の水産加工業者96社が出展する「東北復興水産加工 品展示商談会2015」が開催され、2日間で国内外から延 べ4,200名を超えるバイヤーや関係者らが来場し、商談 が行われました。この展示商談会には様々な加工品が出 品されたほか、顧客ニーズに合致した商品の開発ノウハ ウや商品のPR方法、水産加工業者が輸出に取り組む上で 把握しておくべきポイントに関するものなど、新たな販 路の獲得に向けたセミナー等も多数開催され、大勢の関 係者で賑わいました。この商談会は平成28(2016)年 も仙台で開催が予定されています。こうした機会を通じ、 販路の回復等が図られていくことが期待されます。 〇 がれきの撤去 津波によって大量のがれきが海に流れ込み、漁業活動の再開に支障を及ぼしました。平成 28(2016)年1月末までに、がれきによる漁業活動への支障が生じた定置網漁場及び養殖漁 場のそれぞれ99%で撤去作業が終了していますが、国では、がれきの残るこれらの漁場以外 の一部の漁場も含め引き続き撤去作業を支援しています。 〇 水揚げの復旧状況 漁港施設、漁船、養殖施設及び加工・流通施設等の復旧に伴って、被災県の水揚げは回復 商談会展示ブースで出展者から説明を受ける あべ農林水産副大臣(当時)石巻市水産物地方卸売市場石巻売場の完成(宮城県石巻市)
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してきています。平成27(2015)年2月~28(2016)年1月の岩手県、宮城県及び福島県の 主要な水産物産地卸売市場への水揚げは、震災前(平成22(2010)年3月~23(2011)年2 月)と比べ、水揚量で74%、水揚金額で93%となっています。ただし、福島県においては、 震災前と比べ、水揚量で59%、水揚金額で36%にとどまっています。 平成27(2015)年9月、東日本大震災の津波で全壊し再建が進められてきた宮城県の石巻市水産物地 方卸売市場石巻売場(石巻魚市場)の復興工事が完成し、全面供用開始となりました。 石巻魚市場は、震災後の平成23(2011)年7月から仮設テントにより卸売業務を再開し、平成25 (2013)年8月からは建設事業に着手し整備を進めてきました。 新施設は、上屋の長さが震災前の650メートルを上回る約880メートルと、国内最大規模になりました。 また、同施設は、閉鎖式で高度衛生管理型の魚市場となっており、水産物の付加価値の向上及び国際的 な販路拡大を目指しています。 完成した魚市場は、鉄骨造一部4階建て、延べ床面積約4万6千㎡で、荷さばき施設である東棟・中 央棟・西棟と管理棟から成っています。荷さばき場は「沖合・近海小型底曳きゾーン」、「定置ゾーン」、「近 海まき網ゾーン」、「海外まき網ゾーン」等と漁業種類ごとに分けられ、効率的に利用できる体制となっ ています。また、それぞれの漁業種類ごとに「陸揚げエリア」、「選別エリア」、「陳列・販売エリア」及 び「出荷エリア」に分かれ、荷さばきの各工程が管理されています。管理棟には事務所スペースのほか、 2階に見学通路や展示コーナー等も設置さ れています。見学通路は「沖合・近海小型 底曳きゾーン」に面しており、大きな窓ガ ラスからは水揚げの風景や競りの様子が見 学できます。また、モニターが設置してあ り、入港予定船の情報や水揚げされた魚の 放射能検査結果を表示しています。 完成した石巻魚市場は、石巻の基幹産業 である水産業はもとより地域の復興の牽引 役として期待されています。 完成した石巻市水産物地方卸売市場石巻売場 (写真提供:石巻市) 石巻市水産物地方卸売市場石巻売場荷さばき場イメージ図 (資料提供:石巻市)第
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第Ⅱ章 (被災県の漁業生産構造の変化) 岩手県及び宮城県を中心とした津波被害地域の経営体に対する継続的な調査では、漁業経 営を再開する意思のある経営体の多くが平成26(2014)年までに経営を再開し、水産物の販 売収入が震災前の水準を上回る経営体も増加してきています(図Ⅱ−5−4)。 一方、2013年漁業センサスによれば、平成25(2013)年の岩手県、宮城県及び福島県の3 県における漁業経営体数は5,690経営体で、震災前の平成20(2008)年と比べ43%の減少と なっています(表Ⅱ−5−1)。このうち、岩手県は3,365経営体(平成20(2008)年から37 %減)、宮城県は2,311経営体(同年から42%減)となっています。東電福島第一原発事故に より本格的な操業が再開されていない福島県については、操業を再開した漁業経営体は、平 成25(2013)年時点では、平成20(2008)年の2%の14経営体にとどまっていますが、試験 操業に参加する経営体数は徐々に増加しつつあります。 個人経営体や会社経営体が減少する中、国では「漁業・養殖復興支援事業(がんばる漁業 復興支援事業、がんばる養殖復興支援事業)」によって、地域で策定した漁業・養殖業の復 興計画に基づき、震災後の環境に適応した安定的な生産体制を構築する漁業協同組合等の取 組を支援しています。これらの活用等により、漁業協同組合又は漁業生産組合が管理・運営 する漁業経営体は、震災前と比べて増加し、漁業協同組合による経営が60経営体、漁業生産 組合による経営が25経営体となりました。 また、岩手県においては新規に漁業に着業した経営体が525経営体と全体の16%を、宮城 県においては258経営体と全体の11%を占めています。 図Ⅱ−5−4 岩手県及び宮城県における漁業経営体の経営再開の動向 0 20 40 60 80 100経営体 平成23(2011)年 24(2012) 25(2013) 26(2014) 4 60 11 12 63 46 25 4 7 30 3 35 13 75 6 17 73 4 1 68 20 5 1 49 13 24 7 〈宮城県〉 未再開 再開(震災前水準に達していない) 再開(震災前水準を上回った) 平成26(2014)年調査対象から除外 廃業など 0 20 40 60 80経営体 平成23(2011)年 24(2012) 25(2013) 26(2014) 〈岩手県〉 未再開 再開(震災前水準に達していない) 再開(震災前水準を上回った) 平成26(2014)年調査対象から除外 廃業など 資料:農林水産省「東日本大震災による津波被災地域における農業・漁業経営体の経営状況について」(平成27(2015)年9月公表) 注:「平成26(2014)年調査対象から除外」は、平成25(2013)年までの調査結果において、水産物販売収入が震災前水準を上回ったため、 平成26(2014)年調査から除外した経営体である。第Ⅱ章
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表Ⅱ−5−1 東日本大震災による被災3県の漁業経営体数の推移 資料:農林水産省「漁業センサス」 計 5,313 3,365 個 人 経 営 体 5,204 3,278 団 体 経 営 体 109 87 会 社 19 14 漁業協同組合 23 23 漁業生産組合 9 10 共 同 経 営 55 39 そ の 他 3 1 平成20年 (2008) (2013)25 (単位:経営体) 〈岩手県〉 計 4,006 2,311 個 人 経 営 体 3,860 2,191 団 体 経 営 体 146 120 会 社 120 58 漁業協同組合 5 37 漁業生産組合 1 15 共 同 経 営 18 10 そ の 他 2 ー 平成20年 (2008) (2013)25 〈宮城県〉 計 743 14 個 人 経 営 体 716 ー 団 体 経 営 体 27 14 会 社 19 14 漁業協同組合 3 ー 漁業生産組合 ー ー 共 同 経 営 4 ー そ の 他 1 ー 平成20年 (2008) (2013)25 〈福島県〉 計 10,062 5,690 個 人 経 営 体 9,780 5,469 団 体 経 営 体 282 221 会 社 158 86 漁業協同組合 31 60 漁業生産組合 10 25 共 同 経 営 77 49 そ の 他 6 1 平成20年 (2008) (2013)25 〈3県 計〉(2)原発事故への対応
(東電福島第一原発の状況) 東電福島第一原発では、事故収束に向けて、「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃 止措置等に向けた中長期ロードマップ*1」に基づき、廃止措置事業が実施されています。平 成27(2015)年10月には、放射性物質を含む地下水の海への流出を防ぐ海側遮水壁が完成し、 東電福島第一原発前の港湾内においても海水中の放射性物質濃度の低下がみられています。 また、福島県の沿岸各地においては、福島県水産試験場と福島県原子力センターによる調 査が行われており、海水中の放射性セシウム濃度は全てのポイントで平成23(2011)年内に 検出限界以下まで下がり、以後も安定的に推移しています。 (福島県及び近隣県での水産物の放射性物質モニタリング) 消費者の手元に届けられる水産物の安全性を確保するため、国では、「検査計画、出荷制 限等の品目・区域の設定・解除の考え方*2」(以下「ガイドライン」といいます。)に基づき、 関係都道県や漁業者団体と連携して水産物の計画的な放射性物質モニタリングを推進してき ました。具体的には、ガイドラインを踏まえて関係都道県が中心となって四半期ごとに策定 したモニタリング計画に基づき、それぞれの区域で、主要な魚種や前年度に50ベクレル/kg 以上が検出された魚種を中心として、原則的に週1回程度のモニタリングが行われています (図Ⅱ−5−5)。 東電福島第一原発事故以降、平成28(2016)年3月末までに88,559検体の検査が行われて154
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第Ⅱ章 きました。検査の結果からは、時間の経過に伴い、基準値(100ベクレル/kg)を超える放 射性セシウムが検出される割合は着実に低下してきていることが分かります(図Ⅱ−5− 6)。特に福島県においては、事故直後の平成23(2011)年4~6月期には基準値を超える 検体が53%を占めていましたが、平成26(2014)年7~9月期以降は1%以下となっていま す。 図Ⅱ−5−5 水産物の放射性物質モニタリングの枠組み モニタリング区域 県域を区分 各区域ごとの主 要水揚港で検体 採取 モニタリング対象魚種 主要生産物 50ベクレル/kg 超となったこと のある品目 モニタリング頻度 原則週1回 漁期前の検査 (カツオ、サンマ 等) 自粛 出荷制限指示 1地点のみで基準値 超えとなった場合は 各自治体の要請によ る自粛。 複数の地点で基準値 超えとなった場合は 国による出荷制限。 出荷 基準値に近い値となっ た場合、出荷を自粛す る自治体・漁業団体も ある。 自治体が中心となってモニタリング計画策定 モニタリング 強化 近隣県の モニタリング結果 基準値に近い値 >100ベクレル/kg ≦100ベクレル/kg モ ニ タ リ ン グ 実 施 【出荷制限等の実効性確保】 対象魚種の水揚げは行わない(モニタリング用検体を除く)。 水揚げ港において市場関係者がこれを確認。 図Ⅱ−5−6 水産物の放射性物質モニタリング結果(平成28(2016)年3月末現在) 平成23 24 25 26 7∼ 9月 3∼ 6月 12月10∼ 1∼3月 4∼6月 7∼9月 10∼12月 1∼3月 6月4∼ 9月7∼ 10∼12月 1∼3月 4∼6月 9月7∼ 10∼12月 3月1∼ 4∼6月 7∼9月 12月10∼ 1∼3月 28年 27 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 100 50 0 % 検体 平成23 (2011) (2012)24 (2013)25 (2014)26 7∼ 9月 4∼ 6月 12月10∼ 1∼3月 4∼6月 7∼9月 10∼12月 1∼3月 6月4∼ 9月7∼ 10∼12月 1∼3月 4∼6月 9月7∼ 10∼12月 3月1∼ 4∼6月 7∼9月 12月10∼ 1∼3月 28年 (2016) 27 (2015) 総検体数: 50,516検体 100ベクレル/kg超の検体数: 536検体 100ベクレル/kg以下の検体数:49,980検体 〈福島県以外で採取された水産物〉 100ベクレル/kg超 100ベクレル/kg以下 超過率 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 100 50 0 % 検体 総検体数: 38,043検体 100ベクレル/kg超の検体数: 2,449検体 100ベクレル/kg以下の検体数: 35,594検体 〈福島県で採取された水産物〉 100ベクレル/kg超 100ベクレル/kg以下 超過率 35 498 6.6 174 346 404 326 359 217 162 141 114 47 42 35 44 15 10 6 2 3 2 0 34 652 5.0 42 1,556 2.6 115 2,025 5.4 133 3,463 3.7 47 2,976 1.6 18 3,362 2,625 3,534 3,168 2,864 2,535 3,048 2,732 2,773 2,653 156 539 765 909 1,265 1,481 1,585 1,715 1,991 2,101 2,141 2,059 2,652 2,499 2,357 2,108 2,450 2,417 2,263 2,141 0.5 0.6 0.7 0.4 0.6 0.4 0.3 0.3 0.1 0.2 52.7 39.1 34.6 26.4 22.1 12.8 9.3 7.6 5.4 2.2 1.9 1.7 1.6 0.6 0.4 0.3 0.1 0.1 0.1 0.0 16 24 14 17 9 10 8 2 5 2,789 0.1 3 2,131 0.1 3 2,358 0.04 1 2,238 0.0 0第5節 東日本大震災からの復興に向けた動き 第Ⅱ章
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資料:水産庁調べ 平成23 (2011) (2012)24 (2013)25 (2014)26 7∼ 9月 3∼ 6月 12月10∼ 1∼3月 4∼6月 7∼9月 10∼12月 1∼3月 6月4∼ 9月7∼ 10∼12月 1∼3月 4∼6月 9月7∼ 10∼12月 3月1∼ 4∼6月 7∼9月 12月10∼ 1∼3月 28年 (2016) 27 (2015) 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 100 50 0 % 検体 平成23 (2011) (2012)24 (2013)25 (2014)26 7∼ 9月 4∼ 6月 12月10∼ 1∼3月 4∼6月 7∼9月 10∼12月 1∼3月 6月4∼ 9月7∼ 10∼12月 1∼3月 4∼6月 9月7∼ 10∼12月 3月1∼ 4∼6月 7∼9月 12月10∼ 1∼3月 28年 (2016) 27 (2015) 総検体数: 50,516検体 100ベクレル/kg超の検体数: 536検体 100ベクレル/kg以下の検体数:49,980検体 〈福島県以外で採取された水産物〉 100ベクレル/kg超 100ベクレル/kg以下 超過率 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 100 50 0 % 検体 総検体数: 38,043検体 100ベクレル/kg超の検体数: 2,449検体 100ベクレル/kg以下の検体数: 35,594検体 〈福島県で採取された水産物〉 100ベクレル/kg超 100ベクレル/kg以下 超過率 35 498 6.6 174 346 404 326 359 217 162 141 114 47 42 35 44 15 10 6 2 3 2 0 34 652 5.0 42 1,556 2.6 115 2,025 5.4 133 3,463 3.7 47 2,976 1.6 18 3,362 2,625 3,534 3,168 2,864 2,535 3,048 2,732 2,773 2,653 156 539 765 909 1,265 1,481 1,585 1,715 1,991 2,101 2,141 2,059 2,652 2,499 2,357 2,108 2,450 2,417 2,263 2,141 0.5 0.6 0.7 0.4 0.6 0.4 0.3 0.3 0.1 0.2 52.7 39.1 34.6 26.4 22.1 12.8 9.3 7.6 5.4 2.2 1.9 1.7 1.6 0.6 0.4 0.3 0.1 0.1 0.1 0.0 16 24 14 17 9 10 8 2 5 2,789 0.1 3 2,131 0.1 3 2,358 0.04 1 2,238 0.0 0 放射性物質モニタリングの結果、1地点のみで基準値を超過した場合は自治体の要請によ る出荷の自粛措置が、複数の地点で基準値を超えた場合は国による出荷制限措置がとられる ことにより、基準値を超えた水産物は市場に出回らないようになっています(図Ⅱ−5−7)。 一方、時間の経過に伴う放射性物質濃度の低下を受けて、検査結果が安定して基準値を下 回るようになった魚種・海域から、順次、出荷制限の解除が行われてきています。平成27 (2015)年には、福島県沖のマダラ、ムシガレイ、ニベ及びメイタガレイ等、茨城県沖のヒ ラメ、シロメバル及びイシガレイ等、並びに宮城県沖のスズキが出荷制限を解除されるなど、 出荷制限の対象魚種は着実に減っています。 図Ⅱ−5−7 水産物の出荷制限又は出荷自粛措置の実施・解除の流れ 注:自主的な出荷自粛の実施・解除については、各自治体・漁業関係団体が独自に決めており、ここでは一般的な例を記した。 モ ニ タ リ ン グ を 強 化 基準値超え (>100ベクレル/kg) 原子力災害対 策本部長によ る出荷制限指 示 出 荷 制 限 解 除 自 粛 解 除 各自治体、漁 業関係団体に よる出荷自粛 措置 他の地点で も基準値超 え 各自治体で当 該品目の出荷 制限を関係漁 業団体に要請 複数の場所で 少なくとも1 か月以上(計 3回以上)の 検査結果が全 て基準値を安 定的に下回る 出荷制限指示 の解除要件に 準じて、基準 値を安定的に 下回る 調査を強化し、 動向を把握 他の地点で は基準値超 えがない第
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第Ⅱ章 (福島県沖での試験操業・販売の状況) 福島県沖では、東電福島第一原発事故の後、出荷制限等の対象となっていない魚種も含め た全ての沿岸漁業及び底びき網漁業の操業が自粛されています。その中で、漁業の再開に向 けた基礎情報を得るため、小規模な操業と漁獲物の販売を行って出荷先での評価を調査する ことを目的として、試験操業・販売が行われています。 試験操業・販売の対象となる魚種は、放射性物質のモニタリング結果等を踏まえ、漁業者、 水産加工・流通業者、研究機関及び行政機関等で構成される福島県地域漁業復興協議会での 協議により定められています。平成24(2012)年6月に相馬市の沿岸から50km以東でのミ ズダコ、ヤナギダコ及びシライトマキバイ(沖合性のツブ貝)を対象に開始され、平成28 (2016)年3月現在、試験操業海域は東電福島第一原発の半径20km圏内を除く福島県沖全域 に広がり、対象魚種も73魚種まで拡大しました(表Ⅱ−5−2)。当初6隻で開始された試 験操業への参加漁船は、平成28(2016)年3月末には延べ943隻に増加し、漁獲量も平成24 (2012)年の122トンから平成27(2015)年には1,512トンまで徐々に増加してきています。 試験操業で漁獲された魚介類については、毎週約200検体を対象に各漁業協同組合等が放 射性物質の自主検査を行い、放射性セシウムの濃度が自主基準値(50ベクレル/kg)を下回 った魚種のみが出荷されます。仮に自主基準値を上回る値が検出された場合には、その魚種 が流通経路に乗らないよう厳しい措置が講じられています。また、試験操業・販売の対象で はない魚種が漁獲された場合には、全て海に戻されます。 表Ⅱ−5−2 福島県沖での試験操業の対象魚種(平成28(2016)年3月現在) 41 ウマヅラハギ 42 オオクチイシナギ 43 カガミダイ 44 カナガシラ 45 ソウハチ 底びき網 46 ホウボウ 平成26(2014)年8月 47 マガレイ 地方名アカジガレイ 48 マダイ 49 マトウダイ 50 オキナマコ 51 サワラ 流し網 52 ブリ 地方名イナダ、ワラサ 53 シロザケ 平成26(2014)年9月 刺し網 54 ヒメエゾボラ ツブ貝 55 モスソガイ 平成26(2014)年10月 かご ツブ貝 56 マダコ 57 サヨリ 平成26(2014)年12月 船びき網 58 マダラ 平成27(2015)年1月 底びき網 59 キタムラサキウニ 潜水 60 ショウサイフグ 底びき網 61 ナガレメイタガレイ 平成27(2015)年4月 62 ホシザメ 底びき網、刺し網 63 ムシガレイ 64 メイタガレイ 65 アコウダイ 底びき網、はえ縄 地方名メヌケの一種 66 カンパチ 平成27(2015)年10月 刺し網、流し網 67 シラウオ 船びき網、さし網 68 タチウオ 刺し網、流し網 69 コモンフグ 70 トラフグ 平成27(2015)年12月 刺し網、底びき網 71 ヒガンフグ 72 マフグ 73 アサリ 平成28(2016)年3月 松川浦養殖 資料:福島県漁業協同組合連合会 魚種名 計画承認 主な漁法 備 考 1 ミズダコ 2 ヤナギダコ 平成24(2012)年6月 底びき網・かご 3 シライトマキバイ 沖合性のツブ貝 4 キチジ 5 ケガニ 底びき網 6 スルメイカ 7 ヤリイカ 平成24(2012)年8月 8 エゾボラモドキ 底びき網・かご 沖合性のツブ貝 9 チヂミエゾボラ 〃 10 ナガバイ 底びき網 〃 11 アオメエソ 地方名メヒカリ 12 ミギガレイ 平成24(2012)年11月 底びき網 地方名ニクモチ 13 ズワイガニ 14 コウナゴ 平成25(2013)年3月 船びき網 イカナゴの稚魚 15 ヤナギムシガレイ 平成25(2013)年4月 底びき網 地方名ヤナギガレイ 16 ユメカサゴ 地方名ノドグロ 17 キアンコウ 平成25(2013)年8月 底びき網 18 シラス 船びき網 カタクチイワシの稚魚 19 アカガレイ 20 サメガレイ 21 アカムツ 22 チダイ 23 ヒレグロ 平成25(2013)年10月 底びき網 24 マアジ 25 メダイ 26 ケンサキイカ 27 ジンドウイカ 地方名ヒイカ 28 ベニズワイガニ 29 ヒゴロモエビ 平成25(2013)年12月 底びき網 地方名ブドウエビ 30 ボタンエビ 31 ホッコクアカエビ 32 イシカワシラウオ 平成26(2014)年2月 固定式刺し網 33 スケトウダラ 底びき網 34 アワビ 平成26(2014)年4月 潜水 35 ヒラツメガニ 固定式刺し網、 36 ガザミ かご 地方名ワタリガニ 37 ホッキガイ 平成26(2014)年5月 貝桁網 38 マイワシ 39 マサバ 流し網 他にマアジを対象 40 ゴマサバ 魚種名 計画承認 主な漁法 備 考いわきのウニ漁復活に向けた試験操業・販売の開始
(福島県 いわき市漁業協同組合)
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福島県いわき市では、新鮮なキタムラサキウニの身をウバガイ(ホッキ貝)の殻に山盛りに載せて蒸 し焼きにした郷土料理、「ウニの貝焼き」が、磯の香り豊かな夏の味覚として地元の人々や観光客に親し まれてきました。 しかしながら、東電福島第一原発事故の影響により、 いわきのウニ漁は操業自粛を余儀なくされ、地元産のウ ニを使った貝焼きは作れなくなっていました。事故当初 は比較的高い濃度の放射性物質が検出されたキタムラサ キウニですが、平成25(2013)年2月以降は、自主基 準値の50ベクレル/kgを超えるものは出ていないことか ら、平成27(2015)年4月に試験操業計画が承認され、 同年7月30日、5年振りに潜水漁が行われました。漁獲 されたウニは貝焼きに加工され、放射性物質検査で安全 が確認された後で出荷されました。初回の試験操業は約 30分間、漁獲量は11kgでしたが、伝統のウニ漁の本格 再開に向けた第一歩が踏み出されました。 (安全な水産物の提供と消費者への情報提供の充実) 前述のように、放射性物質濃度が基準値を超える水産物が流通することのないよう、国、 関係都道県及び関係漁業者団体等が連携して対応しており、消費者の手元に届く水産物の安 全性は確保されています。 しかしながら、消費者庁が平成28(2016)年2月に実施した「風評被害に関する消費者意 識の実態調査」では、「放射性物質の含まれていない食品を買いたいので、福島県産の食品 を買うことをためらう」とする消費者の割合は16%となっており、平成25(2013)年2月の 初回調査から若干減少しているものの、依然として一部の消費者の間では福島県産の食品に 対する懸念が根強いことがうかがわれます(図Ⅱ−5−8)。一方で、「食品中の放射性物質 の検査が行われていることを知らない」と答えた消費者の割合は増えてきており、事故から 月日が経ち、食品と放射性物質の関係に関する消費者の知識や理解の度合いが低下してきて いるものとみられます。国では、風評被害を防ぎ、正しい理解に基づく消費活動を促進する ため、引き続き水産物の放射性物質モニタリングを実施し、その結果を分かりやすい形で公 表するよう努めています。 水揚げされたウニ (写真提供:福島県漁業協同組合連合会)自分たちで安全性を調べる!
「いわき海洋調べ隊・うみラボ」の活動
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第Ⅱ章 図Ⅱ−5−8 「放射性物質の含まれていない食品を買いたいので福島県産の食品を買うことを ためらう」とする消費者の割合 資料:消費者庁「風評被害に 関する消費者意識の実 態調査」 平成25 (2013) (2014)26 8月 2月 2月 8月 2月 8月 2月 27 (2015) (2016)28年 25 20 15 10 5 0 % 19.4 17.9 15.3 19.6 17.4 17.2 15.7 福島県いわき市では、東京電力(株)や行政の情報に頼 らずに海の情報を得るため、市民主体の海洋調査チーム「い わき海洋調べ隊・うみラボ」が魚の放射性物質濃度を独自 に測る活動をしています。「うみラボ」では、漁業者の協力 の下、東電福島第一原発沖で魚を釣り、いわき市の水族館「ア クアマリンふくしま」のイベントで放射性物質濃度の測定 を行い、結果をホームページで公表しています。 市民自らが釣った魚をさばき、専門家からのアドバイス を受けながら測定を行う中で、放射能と海洋生物の関わり について学ぶとともに、「セカンドオピニオン」としての測 定結果を発信することで、福島の魚介類に対する不安の解 消に役立っているとのことです。 (諸外国への情報提供と輸入規制への対応) 我が国の水産物は各国に輸出されていることから、国内の消費者だけでなく海外に向けて も適切な情報提供を行う必要があります。このため、英語、中国語及び韓国語の各言語で水 産物の放射性物質モニタリング結果を公表しているほか、各国政府や報道機関に対し、調査 結果や安全確保のために我が国が講じている措置等を説明し、輸入規制の緩和・撤廃を働き かけています。 このような取組の結果、東電福島第一原発事故直後は53か国・地域が我が国水産物に対す る輸入規制を行い、うち18か国・地域は一部又は全ての都道府県からの水産物に対して輸入 停止措置を講じていましたが、平成28(2016)年3月現在までに、タイ等16か国は輸入規制 測定前に魚を刻む工程第Ⅱ章
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を完全撤廃し、一部の都県を対象に輸入停止措置を維持している国・地域も8か国・地域(う ち福島県以外も対象としている国・地域は5か国・地域)まで減っています。また、輸入規 制を維持している国・地域についても、EU等では放射性物質に係る検査証明書の対象を縮 小するなど、規制措置が緩和されてきたところです(表Ⅱ−5−3)。 国・地域名 シンガポール ロ シ ア エジプト E U ブラジル 米 国 中 国 台 湾 香 港 韓 国 対象となる都道府県等 主な規制内容 カ ナ ダ 6月13日 から全ての規制を解除 ミャンマー 6月16日 から全ての規制を解除 セ ル ビ ア 7月 1 日 から全ての規制を解除 チ リ 9月30日 から全ての規制を解除 ○平成23(2011)年に輸入規制を解除した国 メ キ シ コ 1月 1 日 から全ての規制を解除 ペ ル ー 4月20日 から全ての規制を解除 ○平成24(2012)年に輸入規制を解除した国 豪 州 1月23日 から全ての規制を解除 ○平成26(2014)年に輸入規制を解除した国 マレーシア 3月1日 から全ての規制を解除 ベ ト ナ ム 9月1日 から全ての規制を解除 ○平成25(2013)年に輸入規制を解除した国 タ イ 5 月 1 日 から全ての規制を解除 ボ リ ビ ア 11月16日 から全ての規制を解除 ○平成27(2015)年に輸入規制を解除した国 福島、群馬、栃木、茨城、宮城、新潟、長野、埼玉、 東京、千葉(10都県) 上記10都県以外の道府県 政府による放射性物質検査証明書及び産地証明書の要求 輸入停止 表Ⅱ−5−3 我が国の水産物に対する主な海外の輸入規制措置の状況 (平成28(2016)年3月末現在) 岩手、宮城、福島、山形、茨城、千葉、新潟 (7県) に所在する登録施設 輸入停止 福島、宮城、岩手、青森、群馬、栃木、茨城、千葉 (8県) 輸入停止 北海道、東京、神奈川、愛知、三重、愛媛、 熊本、鹿児島(8都道県) 政府による放射性物質検査証明書の要求 岩手、宮城、東京、愛媛 (4都県) 放射性物質検査報告書の要求 上記9都県以外の道府県 産地証明書の要求 上記に加え、韓国側の検査で、少しでもセシウム又 はヨウ素が検出された場合にはストロンチウム、プ ルトニウム等の検査証明書を追加で要求 宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、岩手(7県) 上記7県以外の都道府県 政府による産地証明書の要求 政府による放射性物質検査証明書の要求 福島 政府による放射性物質検査証明書の要求 日本国内で出荷制限措置がとられている品目 県単位で輸入停止 上記以外 米国側で放射性物質検査 福島、茨城、栃木、群馬、千葉(5県) 輸入停止8県以外の都道府県 政府による放射性物質検査証明書の要求 放射性物質検査証明書(セシウム134、137及びス トロンチウム90)及び動物衛生証明書の要求 青森県に所在する登録施設 政府による放射性物質検査証明書の要求(活魚、海 藻類及びホタテは除く) 岩手、福島、群馬、栃木、茨城、宮城、千葉(7県) 政府による産地証明書の要求(活魚、海藻類及びホ タテは除く) 上記7県以外の都道府県 上記16都道県以外の府県 政府による産地証明書の要求 福島、茨城、栃木、群馬、千葉 (5県) 輸入停止 福島 輸入停止 茨城、栃木、群馬(3県) 政府による放射性物質検査証明書の要求 上記4県以外の都道府県 産地証明書の要求第
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第Ⅱ章 こうした中で、依然として輸入規制を維持している国・地域に対しては、引き続き様々な 国際会議の場も活用しつつ規制の緩和・撤廃に向けた働きかけを継続していくことが必要で す。 特に、韓国については、平成25(2013)年9月以降福島県等計8県の水産物の輸入を全面 的に禁止するなど規制措置を強化したことから、我が国は、二国間協議やWTOの衛生植物 検疫(SPS)委員会における説明のほか、韓国側が設立した「専門家委員会」による現地調 査の受入れなどに取り組んできました。しかしながら、韓国側から規制撤廃に向けた見通し が示されないことから、平成27(2015)年5月にWTO協定に基づく協議を要請し、更に同 年8月にWTO紛争解決小委員会(パネル)の設置要請を行い、同年9月にパネルが設置さ れました。我が国としては、今後ともWTOのルールにのっとってパネルの手続を進めてい くとともに、韓国への二国間での働きかけを継続していくこととしています。 (漁業者等への賠償) 福島県沖では、試験操業・販売は徐々に拡大しているものの本格的な漁業の再開時期につ いては依然として見通せず、福島県の漁業者の多くは、漁業によって生計を立てることがで きない状況に置かれています。また、福島県の水産加工業者は、他県産や輸入品を加工原料 として経営を再開しつつありますが、風評等による損害が生じています。 このため、風評被害を含め、被害を受けた漁業者等に対する東京電力(株)からの損害賠 償が実施されています。国としては、引き続き、被害を受けた漁業関係者の救済に向けて、 関係各所への働きかけや支援を継続していくこととしています。第Ⅱ章
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水産業・漁村地域の活性化を目指して
−平成27(2015)年度農林水産祭受賞者事例紹介−
地域の水産業や漁村の活性化を目指して漁業経営の改善や地域資源を活かしたビジネ スに取り組み、広く社会の賞賛に値する優秀な事例について、毎年秋に開催される農林 水産祭において表彰が行われます。平成27(2015)年度受賞者の概要を紹介します。 長崎県対馬市は玄界灘に面し、周辺が好漁場であることから漁業が基幹産業となっています。長崎 県では、県が制定した基準を満たした水産加工品を「平成長崎俵物」として認定しており、対馬から は「対馬煮あなご」等が認定されています。 対馬産のアナゴは市場価格が激しく変動していましたが、有限会社対馬かまぼこ店では、基準以上 のサイズのアナゴを漁業者から一定の価格以上で必ず買い上げる仕組みを作って、価格の安定・向上 と漁業所得の向上を実現しました。この仕組みに参加する漁業者は、基準サイズに満たないアナゴが 漁獲されないよう漁具を工夫しています。さらに、長崎県及び大学関係者と協力して対馬西沖産アナ ゴの品質の高さを科学的に証明し、「対たいしゅう洲黄こ金がねあなご」の商標登録を行ってブランド化を進めていま す。 また、新たな加工品として、対馬西沖で漁獲されたアナゴを活締めして開いた後で急速凍結した「対 洲黄金あなご刺身用」を開発。一般的にはさばくことが難しいアナゴですが、自宅で刺身用として本 格的な味わいを手軽に楽しめる商品として幅広い 層に受け入れられ、新たなアナゴの刺身需要の掘 り起こしにもつながっています。 これらの対馬産アナゴのブランド化に取り組む 姿勢は、他の島内加工業者等への刺激となり、対 馬産の他の水産加工品等の開発・販売意欲の向上 に貢献しているだけでなく、一連の取組を発展さ せることで、対馬での漁業者の所得向上と漁業の 担い手確保にもつながるものと期待されています。 長浜漁業集落は、鹿児島県本土の西方約45㎞に浮かぶ 甑こしき島じま列島の下しもこしき甑島じま南部に位置し、エビ漁や キビナゴ漁が盛んな地域です。天皇杯受賞(水産部門)
産物(水産加工品) 有限会社対つし馬まかまぼこ店(代表:島しま居い 孝たか廣ひろ 氏)内閣総理大臣賞受賞(水産部門)
生活(地域活性化) 長 なが 浜 はま 漁業集落(代表:下しも野の 尚ひさ登と 氏)第
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第Ⅱ章 流など漁場生産力向上の取組を中心に活動を行っ てきましたが、魚価は上がらず、後継者も育たず、 目標とした漁村の活性化は進まない状況にありま した。 そのため、平成22(2010)年度からは、地元の 低利用資源の付加価値を高めた地域の特産品の開 発に取り組み始めました。集落全体で話し合いを 重ね、大学や加工業者、鹿児島県及び薩さつ摩ま川せん内だい市し を巻き込み、試行錯誤を重ねつつ商品開発に取り 組んだ結果、エビふりかけ及びエビつけあげの開発・商品化に成功し、地域のイベントや島内外の店 舗等での売上げ実績を積み上げて漁業集落の活性化を図っています。 この活動には、漁業者の男性達だけでなく女性も積極的に参画し、集落全体で多様な幅広い年代の 人々が取り組んでいることが特徴的であり、地域づくりに取り組もうとする他の地域のお手本となっ ています。 山口県萩はぎ市し須佐地区は山口県の北東、島根県境に位置するイカ一本釣り漁業が盛んな地域です。 昭和38(1963)年に結成された須佐地区一本釣船団は、漁獲量の減少や魚価の低迷、担い手の高齢 化等漁業を取り巻く環境が厳しさを増す中、水揚量の6割を占めるケンサキイカの単価向上を通じて 漁村の活性化を図ることを目的として、平成10(1998)年頃からケンサキイカのブランド化に向けた 取組を開始しました。 平成12(2000)年に、須佐の地名の由来とされている「須す さ の お の み こ と佐之男命」の伝説にちなんで地元のケン サキイカを「男み こ と命いか」と命名するとともに、7~9月の土日に活イカの直販イベントを開催し、「男 命いか」ブランドの普及と定着を図っています。今では毎年大勢の来場者が訪れる須佐の夏のイベン トとして定着しています。 平成18(2006)年には、全国ブランドとして広く認知されることを目指して、船団員だけでなく漁 業協同組合青壮年部と女性部、商工観光関係団体及び行政機関等が結集して「須す さ み こ と佐男命いかブランド 化推進委員会」を設立。キャラクターやロゴを作るとともに、「須佐男命いか」を商標登録し、マス メディアへの積極的なPR活動等も行っています。さらに、地元の飲食店と連携した「須佐男命いか 認定店」制度を設けたり、一本釣船団の漁船を遊覧船として運航する観光ツアーに協力するなど地域 の観光振興にも大きく貢献しています。 また、一本釣船団長の呼びかけにより平成24 (2012)年に「海の森をつくる会」が発足し、地 元の小中学生等とともに海草の移植や稚魚の放流 事業等にも取り組んでいるところです。 これらの活動は漁業者だけでなく地域の関係団 体や一般の人々が一体となって協力してきた取組 であり、今後更なる発展が期待されています。内閣総理大臣賞受賞(むらづくり部門)
須す佐さ地区一本釣船団(代表:一いち木き 清きよ久ひさ 氏)第Ⅱ章