両側下顎枝矢状分割術におけるハイドロキシアパタイト含有
ポリ-L-乳酸製骨接合材料の生体力学的荷重評価
中 久 木 康 一
1)黒 原 一 人
1)有 川 量 崇
2)原
田
清
1)Biomechanical Loading Evaluation of Unsintered Hydroxyapatite/
poly-L-lactic Acid Plate in Bilateral Sagittal Split Ramus Osteotomy
KOICHI NAKAKUKI1), KAZUTO KUROHARA1),
KAZUMUNE ARIKAWA2) and KIYOSHI HARADA1)
Abstract
The purpose of this study was to examine the biomechanical stability on the in vitro model of bilateral sagittal split ramus osteotomy of the mandible (BSSRO). BSSRO was performed on the polyurethane mandible (Mandible teeth clip, SYNBONEⓇ #8311, SYNBONE AG,
Switzerland) by 2 types (angle or parallel) of osteotomy lines with or without bone obstruction. The split rami were fixed by 6 types of osseointegration materials with various designs described as follows: titanium straight locking plate with 4 holes, titanium straight non-locking plate with 4 holes, unsintered hydroxyapatite/poly-L-lactic acid (uHA/PLLA) mesh with 6 holes, uHA/PLLA mesh with 4 holes, uHA/PLLA box with 4 holes, and uHA/PLLA straight plate with 4 holes. The displaced length was measured by 50N and 130N linear com-pressive load on the bilateral lower first molars with 10mm/min, and those data were statistically analyzed. The angle osteotomy line was less displaced than the parallel one, and the osteotomy model with bone
ob-struction was less displaced than that without bone obstruction. In the osteotomy model without bone obstruction, uHA/PLLA mesh fixation showed the least displacement, then titanium plate and uHA/PLLA plate showed less displacement in sequence. In the osteotomy model with bone obstruction, only uHA/PLLA mesh fixation sustained the split mandible. The other plates were fractured by 130N load, which was an approximate value of the occlusal force one month after orthognathic surgery.
These results suggest that the uHA/PLLA mesh with 6 holes fixation can be more stabilized in the osseo-integration method than titanium plate fixation for bilateral sagittal split ramus osteotomy of the mandible in certain conditions.
Key words : absorbable osseointegration material(吸 収性骨接合材料),sagittal split ramus osteotomy(下顎 枝矢状分割術),biomechanical evaluation(生体力学的評 価) [Received Mar. 17, 2014] 緒 言 ハイドロキシアパタイト含有ポリ-L-乳酸(uHA/PLLA) 製の吸収性骨接合材料(スーパーフィクソーブⓇMX,タ キロン社,以下 SF-MX)は,外科的矯正手術における上 顎骨の接合だけではなく,下顎骨への適応もあり1),顎矯 正手術における下顎骨の骨接合にも広く応用されてきてい るが2,3)その生体力学的評価は定まっていない。 下顎枝矢状分割術(以下 SSRO と略す)を想定した固 定力試験として,様々な骨接合材料と固定方法を想定した 1) 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面頸部機能再建学講座顎顔面外科学分野(主任:原田 清教授) 2) 日本大学松戸歯学部公衆予防歯科学講座(主任:那須郁夫教授)
1) Maxillofacial Surgery, Maxillofacial/Neck Reconstruction, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Den-tal University (Chief: Prof. Kiyoshi HARADA)
二次元的な引張試験や剪断試験の結果はメーカーより提供 されているものの,この応力―移動量曲線や 1 mm 移動時 の応力比率比較からは,「SF-MX の中ではメッシュ(6 本 固定)が比較的強いが,チタンよりは明らかに弱い」とい うことがわかるのみで,実際に術後の下顎に三次元的にか かる応力に耐えられるのかどうかは不明である4)。 下顎への適応に関してはポリ-L-乳酸(PLLA)製生体内 吸収性スクリューが用いられることが多く5,6),PLLA 製 生体内吸収性プレートは破折する症例もあり,「術後早期 の咀嚼運動には弱いため長期の顎間固定が必要」とされて いた7)。その後,咬合力の負担のかかりにくいオトガイ形 成術などでは十分な強度があることも実験的に示され8), 2000 年ごろより下顎に対しても PLLA 製生体内吸収性プ レート固定が良好に行えるという報告がされるようにな り9,10),徐々に下顎枝矢状分割術にも適用されてきた。ポ リ-L-乳酸(PLLA)製の生体内吸収性スクリューやプレー トに関しても,臨床的に偶発症の発生率や術後の安定性に 関した報告がなされてきている5,6,9)。 以前より三次元的な生体力学的評価は,固定方法や骨 接合材料を対象に広く行われてきており,吸収性材料に ついても行われつつある11︲13)。そこで今回われわれは,よ り両側下顎枝矢状分割術(B-SSRO)の実際に即した,骨 切り線,骨干渉,骨接合材料の条件を変えた下顎骨モデ ルにおける手術後に,下顎両側第一大臼歯に荷重を加え る,三次元的な実験によるSF-MXの生体力学的評価を行っ た。 研 究 方 法
下 顎 骨 モ デ ル に は Mandible teeth clip,SYNBONEⓇ
#8311,SYNBONE AG(以下,SYNBONE)を用い,外 側皮質骨の骨切り線は,下顎第二大臼歯後方から下顎角前 切痕へと伸ばした「下顎角」と,下顎第二大臼歯後方から 咬合平面にほぼ平行に下顎骨後縁に達する「平行」との 2 種類とした。また,固定にあたっては,骨片間の外側皮質 骨の干渉において「骨干渉あり」「骨干渉なし」の 2 種類 のモデルを設定した。「骨干渉あり」は,骨片間を寄せて 固定した時と同等と仮定したもので,下顎骨モデルを骨切 り後に下顎枝近位骨片の骨削合は行わずに固定した。「骨 干渉なし」は,下顎骨モデルを骨切り後に,下顎の荷重に よる移動方向を考え,干渉するであろう下顎枝近位骨片の 下縁側の骨をスクリューに影響の出ない範囲で削合してか ら固定した(Fig. 1)。 骨接合材料と方法は,チタンロッキングプレート(4 穴, 1.0mm 厚),チタンプレート(4 穴,1.0mm 厚),SF-MX メッシュ(6 穴,4 穴,0.7mm 厚),SF-MX プレート(4 穴ボックス,4 穴ストレート,1.4mm 厚)の 6 種類とし, それぞれ 3 例ずつ行った(Fig. 2)。 Biomechanical 試験には島津製作所 精密万能試験機 AG-20kNXD を用いた。骨切りと骨接合を両側に対して施 行したモデルの両側関節突起部を固定し,試験機に取り 付けた治具で両側下顎第一大臼歯に咬合平面に垂直に 10mm/min にて荷重を加え,治具の垂直的移動量と荷重 を計測した。それぞれ 3 例ずつに Biomechanical 試験を実 施した(Fig. 3)。 最大応力時には,プレートの破損のみならず,モデルの 破損,プレートの伸びなどの影響も受けるため,固定力を 比較できない。よって,先行研究14)における術後平均咬 合力(1 週間後:50N,1 か月後:130N)荷重時における 移動量を比較した。 同一材料における条件の違い,骨干渉の有無による移動 量の比較においては,正規性の検定に従い t- 検定,Mann-Whitney U 検定を用いた。一定条件下の固定材料による
Fig. 1 Four types of operated models were prepared; difference of the osteotomy lines of buccal cortex, and with or without obstruction. Obstruction was avoided by making space onto the edge of the proximal segment before fixation.
移動量の比較においては,各要因 2 水準の二元配置分散分 析を行い,その後の検定として,Tukey-Kramer HSD 検 定を用いた。 結 果 1.「骨干渉あり」のモデルにおける,各骨接合材料の, 骨切り線の違いによる移動量の比較(Table 1) 「下顎角」「平行」ともに,50N 荷重時に破断するプレー トはなく,50N 荷重時の移動量は,「下顎角」でチタンロッ キングプレート(4 穴)0.5
±
0.1mm,チタンプレート(4 穴)0.5±
0.2mm,SF-MX メッシュ(6 穴)0.9±
0.1mm, 「平行」でチタンロッキングプレート(4 穴)1.5±
0.3mm, チタンプレート(4 穴)1.3±
0.5mm,SF-MX メッシュ(6 穴)1.5±
0.5mm であった。Fig. 2 Materials and types of fixation in this study.
Fig. 3 Pictures of the models set on the loading machine. The models were tightly secured in fixation jig (a), and loading jig (b) was placed on the first molar, and loaded vertically (c). The space on the buccal osteotomy line (d) avoid obstruction of two bony fragments when deviated after loading.
130N 荷重時には「下顎角」では SF-MX プレート(4 穴 ストレート)が 2 例,SF-MX メッシュ(4 穴)が 1 例に おいて,「平行」では SF-MX メッシュ(4 穴)が 1 例で破 断した。 骨切り線(「下顎角」と「平行」)による比較では,50N の荷重において破断したものはなかったが,50N 荷重時の 平均移動量は,「平行」のほうが「下顎角」に比較して大 きく,チタンロッキングプレート(4 穴)と SF-MX プレー ト(4 穴ストレート)では p < 0.01 で,SF-MX メッシュ (4 穴)と SF-MX プレート(4 穴ボックス)では p < 0.05 で有意差が認められた。130N の荷重においては,「下顎 角」「平行」ともに破断したものはあったが,50N 荷重 時と同じ様に,「平行」の移動量が「下顎角」よりも大 きく,チタンロッキングプレート(4 穴)では p < 0.01 で, SF-MX プレート(4 穴ボックス)では p < 0.05 で有意差 が認められた。 2.「骨干渉なし」のモデルにおける,各骨接合材料の, 骨切り線の違いによる移動量の比較(Table 2) 50N 荷重時に,「下顎角」では骨接合材料の変形は生じ たものの破断,破折はなかったが,「平行」では,SF-MX ボックスの 1 例は破断し,SF-MX ストレートは変形により 50N に到達しなかった。50N 荷重時の移動量は,「下顎角」 でチタンロッキングプレート(4 穴)2.0
±
0.9mm,チタ ンプレート(4 穴)2.2±
0.3mm,SF-MX メッシュ(6 穴) 1.1±
0.2mm,「平行」でチタンロッキングプレート(4 穴) 5.9±
1.6mm,チタンプレート(4 穴)9.0±
2.3mm,SF-MX メッシュ(6 穴)3.7±
1.2mm であった。 130N の荷重には,「平行」では全ての骨接合材で到達し なかった。「下顎角」でも SF-MX メッシュ(6 穴,4 穴) とチタンプレート(4 穴)以外は 130N に到達せず,チタ ンロッキングプレート(4 穴)も 1 例はプレートが大きく 変形して 130N に到達しなかった。 骨切り線(「下顎角」と「平行」)による比較では,50N の荷重においては,「平行」の SF-MX プレート(4 穴ボッ クス)と SF-MX プレート(4 穴ストレート)で破断した ものがあったが,それ以外での平均移動量は,「平行」の ほうが「下顎角」に比較して,SF-MX プレート(4 穴ス トレート)では p < 0.01,チタンロッキングプレート(4 穴),SF-MX メッシュ(6 穴),SF-MX メッシュ(4 穴) では p < 0.05 で有意に大きかった。 130N の荷重では,「平行」は全ての骨接合材料において 破断した。130N の「下顎角」においては,チタンプレート 群の最大強度は 130N 以下,または 130N 荷重時に大きな 移動量を伴っていたのに対して,SF-MX メッシュ(6 穴) および SF-MX メッシュ(4 穴)は,移動量は大きくなっ たものの破断したものはなかった。Table 2 Deviation length (mm) of each fixation material when loaded 50N and 130N on model with no obstruction
50N 130N
Fixation Angle Parallel Angle Parallel
n mean±SD n mean±SD p-valuea n mean±SD n mean±SD p-value
Titanium-locking 3 2.0±0.9 3 5.9±1.6 0.022 2 10.1±0.5 0 n.d. - Titanium 3 2.2±0.3 3 9.0±2.3 0.007 0 n.d. 0 n.d. - SF-MX Mesh 6holes 3 1.1±0.2 3 3.7±1.2 0.022 3 3.9±0.7 0 n.d. - SF-MX Mesh 4holes 3 1.2±0.0 3 4.7±1.2 0.05b 3 5.0±0.8 0 n.d. - SF-MX Box 3 2.6±0.5 2 7.5±2.2 - 0 n.d. 0 n.d. - SF-MX Straight 3 5.7±1.1 1 13.9 - 0 n.d. 0 n.d. -
3.各骨切り線と各骨接合材料における,骨干渉の有無 の違いによる移動量の比較(50N 荷重時) 「骨干渉なし」のモデルにおいては 130N の荷重までに 多くが破断したために,50N 荷重時のみにて比較した。 50N 荷重時の「下顎角」「平行」それぞれにおける,骨干 渉の有無による移動量を観察すると,「下顎角」では,「骨 干渉なし」は「骨干渉あり」よりも移動量が概して大きく なっていたが,チタンロッキングプレート(4 穴),SF-MX メッシュ(6 穴)および SF-穴),SF-MX メッシュ(4 穴)の 三者では,「骨干渉なし」と「骨干渉あり」との間に有意 差を認めなかった。 一方で,「平行」においては,50N までに破断して評価 が で き な か っ た SF-MX プ レ ー ト(4 穴 ボ ッ ク ス ) と SF-MX プレート(4 穴ストレート)を除くすべての骨接 合材料において,チタンプレート(4 穴)では p < 0.01 で, チタンロッキングプレート(4 穴),SF-MX メッシュ(6 穴),SF-MX メッシュ(4 穴)では p < 0.05 で,「骨干渉 なし」は「骨干渉あり」よりも有意に移動量が大きかった。 4.各骨切り線と骨干渉の有無における,骨接合材料の 違いによる移動量の比較(50N 荷重時)(Fig. 4) 「下顎角」では,「骨干渉あり」の場合は,骨接合材料に よる移動量の違いに有意差は認められなかった。「骨干渉 なし」の場合は,SF-MX プレート(4 穴ストレート)は, 他の全ての骨接合材料に比較して,P < 0.001 で有意に移 動量が大きかった。 「平行」においても,「骨干渉あり」の場合は,骨接合材 料による移動量の違いに有意差は認められなかった。「骨 干渉なし」の場合は,SF-MX プレート(4 穴ボックス) と SF-MX プレート(4 穴ストレート)において破断した ものがあり比較できなかったが,チタンプレート(4 穴) は SF-MX メッシュ(6 穴)と比較して,p < 0.05 で有意 に移動量が大きかった。 考 察 近年,顎変形症の手術時の骨接合にも吸収性材料が用い られるようになったが,下顎枝矢状分割術に関する生体力 学的評価は定まっておらず,SF-MX を用いた評価を試み た。 SF-MX は本邦では 2007 年に発売され,主に頭蓋顎顔面 外科手術などに臨床応用されている。SF-MX は独自の圧 縮鍛造成形法により強化した,非焼成のハイドロキシアパ タイト(u-HA)粒子とポリ-L-乳酸(PLLA)との複合体 をスクリューまたはプレートの形状に加工した骨接合材料 である。SF-MX は表面および内部に骨伝導性を有する u-HA 粒子が均一に分散されており,その粒子が表面に露 呈している。そのため,生体内へ埋入後より,周囲骨を伝 導して直接結合する生体活性を示し,さらに,分解・吸収 過程においても生体活性が持続される15)。また,埋入直後 から体液による加水分解が進行し,最終的には 3 ~ 4 年で 材料中の PLLA が吸収され,5 ~ 6 年で骨孔の全骨置換が 得られることが動物実験において確認されている1)。 SF-MX に対してはいくつかの使用報告があるもの の10,16),まだその評価は定まったとは言えず,更に,新規 材料においてなされる臨床応用に近い条件での生体力学的 評価11︲13)は下顎枝矢状分割術に関してはいままでなされ てこなかった。 今回の実験においては,少ない n 数でも可及的に同じ 条件を満たすように,下顎骨のモデルとして SYNBONE を用いた17)。実際のモデルサージェリー時には,テクニ カルな誤差が生じることは否めないが,SYNBONE を用 いることにより材質や形による違いが解消され,同じ規格 で固定して骨切りすることが可能であったことから,誤差 を最小限に留めることができたと考えている12)。材料強度 のばらつきは少なからず有るものの,荷重・計測器機の測
Fig. 4 Comparison of deviation length (mm) of each fixation materials when loaded 50N, by the models with or without obstruction, and the osteotomy lines of buccal cortex.
のいずれの骨切り線においても 50N 荷重時に破断する骨 接合材料はなかったが,荷重が増すにつれて破断するもの が増加した。いずれにおいても,「平行」の骨切り線の移 動量が「下顎角」よりも大きく,チタンロッキングプレー ト(4 穴),および SF-MX メッシュ(6 穴)以外において は,有意差を示すものも多かった。「骨干渉なし」のモデ ルにおいては,「下顎角」「平行」ともに 130N 以上の荷重 時には全ての骨接合材料が破断した。50N 荷重時において も,SF-MX プレート(4 穴ボックス),SF-MX プレート(4 穴ストレート)は破断し,その他の骨接合材料において も,有意に「平行」の移動量が「下顎角」よりも大きかっ た。以上の結果より,骨干渉の有無や骨接合材料の種類, 形態にかかわらず,「平行」の骨切り線で固定した場合の 方が荷重に対する移動量は大きくなることが示唆され,症 例における適応や,術後の管理方法などに工夫が必要とな る可能性が考えられた。 骨干渉の有無,および,骨接合材料の種類や形態による 移動量の比較は,骨干渉の有無にかかわらず,130N 以上 の荷重で破断する骨接合材料が多かったため,50N 荷重時 において行った。 骨干渉の有無による移動量の比較においては,「下顎角」 「平行」のいずれの骨切り線においても,「骨干渉なし」の モデルにおいて「骨干渉あり」のモデルよりも有意に移動 量が大きくなっていたが,「下顎角」のチタンロッキング プレート(4 穴),SF-MX メッシュ(6 穴)および SF-MX メッシュ(4 穴)の三者だけは有意差がみられなかった。 「下顎角」の骨切り線においては,「骨干渉なし」の状態で も,チタンロッキングプレート(4 穴),SF-MX メッシュ (6 穴),あるいは SF-MX メッシュ(4 穴)で接合すれば, 比較的強度が保たれると考えられた。 骨接合材料の種類や形態による移動量の比較において は,「下顎角」「平行」のいずれの骨切り線においても,「骨 干渉あり」のモデルでは骨接合材料による移動量の差はみ られなかった。「下顎角」における「骨干渉なし」のモデ ルでは,SF-MX プレート(4 穴ストレート)が,他の骨 接合材料と比較して有意に移動量が大きかった。しかし, 固定力の差は大きくないことが示唆された。一方で, SSRO において「骨干渉なし」,つまり下顎骨外側皮質骨 の骨切り部に骨片間の隙間が生じる状態で骨接合を行う場 合には,骨接合材料として SF-MX プレート(4 穴ストレー ト)を選択すべきではなく,特に「平行」の骨切りにおい て「骨干渉なし」での骨接合を行う場合には,SF-MX プ レート(4 穴ストレート)に加えて SF-MX プレート(4 穴ボックス)やチタンプレート(4 穴)の使用を避けたう えで,術後の顎間固定や長期間の食形態制限など,骨接合 材料に荷重を与えないための管理が必要であろうと考えら れた。 実際の手術に骨接合材料を適用するにあたっては,垂直 のみならず側方荷重もかかりねじれの力も加わる。本研究 においては,模型を用いた実験誤差を少なくするために, 骨分割や骨干渉など,実際の臨床とは異なる設定を用いて いる。生体内において進む加水分解の影響も加味しておら ず,本研究の結果がそのまま臨床に適応されるとは考えに くい。また,プレートベンディングによる影響が加わるた めに今回の実験の結果がそのままあてはまるとは言えな い。PLLA プレートの屈曲時における力学的評価において は,その強度が低下することがすでに示されており19),今 後も検討が必要である。 結 語 スーパーフィクソーブ MX を用いて,生体力学的な実 験を行い,モデルの骨切り線の相違,骨干渉の有無,骨接 合材料の種類と形態の相違における特徴を検討したとこ ろ,以下の結果が得られた。 1)「下顎角」の骨切り線においては「平行」の骨切り線 よりも移動量が小さく,また,「骨干渉あり」のモデルは 「骨干渉なし」のモデルよりも移動量が小さかった。 2)骨接合材料の種類と形態による比較としては,「骨干 渉なし」のモデルにおいて,SF-MX メッシュ群が最も移 動量が少なく,SF-MX メッシュ群が最も強固な固定法で あると考えられた。 3) また,「骨干渉なし」のモデルにおいては,術後約 1
か月の咬合力に相当する 130N の荷重に対して破断しな かったのは,SF-MX メッシュ群のみであった。 本研究の要旨は,第 29 回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会 (2011 年 11 月東京),および,第 22 回日本顎変形症学会総会 (2012 年 6 月福岡)において発表した。 また,本研究の実験は,タキロン株式会社メディカル事業部メ ディカル研究所(兵庫県神戸市)の協力を得て行った。 文 献
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