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3次元煙風洞の製作 Manufacturing of smoke tunnel for flow visualization around a vehicle

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静岡理工科大学紀要

85

3次元煙風洞の製作

Manufacturing of smoke tunnel for flow visualization around a vehicle

安 昭八e Shohachi YASU

Abstract:官ùs paper has descri以対a

3

dimensional smoke wind tunnel for tlow visuaJization around a vehicle. Students have ∞mpleted a preli.m.inary design of the wind tunnel which伺n be blown the ma氾mum velocity 12m1s in m

easur

ement section. In addition,出is process can pro判de exercises for desi伊ing a勾stem 組d machining of Ùle element of wind tunnel apparatus to meet desired n田ds within realistic constraints such as即onomic and泊先ty, problem-釦lving experience出at incorporates the neces田町 elements for engineering skill.

Key word: smoke 叩ld加nnel,engin聞ing design, practi田,回戸rim叩t

1. はじめに

静岡理工科大学機械工学科の学生が履修する機械工学 実験2・ 航空工学実験は, それぞれ3年次のロボットグィ ークル工学コースと航空工学コースの必修実験科目であ る. 両コース共通実験テーマのーっとして煙風洞実験を 計画した.本実験の目的は, 物体周りの流れの現象, 具体 的には自動車の周りの流れ,航空機の主翼周りの流れを実 際に観察し現象を理解するためである.そのためには当該 流れ易を可視化できる新たな実験装置を設計・製作する必 要があった.本摘では,筆者による風洞の概念設計に基づ き学生逮が卒業研究として自ら基本設計を行b、,学生実験 用装置としての3次元煙風桐装置を完成させたので.その 製作工程と風洞の詳細仕織について報告する.

2. 風洞の概念設計 2.1 投書十条件

機械工学科の学生実験に供するための風洞,かつ学生が 簡単に操作できるレベルの風洞であることを基本とし,以 下に示す条件を満たすものとした.

① 煙流脈法等の可覗化手法を使えること

② 低コストで製作出来ること

@ 学生が安全で容易に実験装置を操作できること 2.2概念設計方針

前項の条件を満たすための煙風洞の概念設計方針とし て次のように設定した.

① 測定部における流れの乱れを極力少なくするため に吸込み風洞とする.また,測定部で煙流脈が位散 しないよう風洞上流側の整流部断面積と測定部断 面積の比(縮流比)をLO以上にする.

2014年2月28日受理

*

理工学部 機械工学科

② 煙発生装置からの煙を測定部にスムーズに流入さ せるために,測定部が大気圧より負圧になるよう整 流部に適度なメッ、ンュのスクリーンを設置する.

③ 整流部のハニカム据付やスクリーンの取付けを容 易にするために.整流部を3分割に分離できる構造 とする.

@ 御形の煙発生プロープは従来の煙風潮と同様に縮 流部の変曲点に掃入する 1)

⑤ 測定部に置かれた供試体周りの流れの観測を容易 にするために,測定部には大型の観測窓と照明用窓 を殺ける.また. 3次元的な流れを可視化できるよ う測定部下流の拡大部曲がりダクトにも観測窓を 股ける.

@ 低コストで風洞を製作するために.風洞は木製とし 地元の難者に製作を依頼する.また,風洞に係わる 機材の選定および調達は自前で行い,風洞製造業者 への一括発注はしない.

⑦ 煙風洞で必要な機材の内.機械工学科で使用せずに 保管している実験装置の機材を極力流用すること にする.

@ 学生実験で学生が自ら風洞の始動操作や調整がで きるよう実験テキストに操作手順を明記する.

@ 煙風洞の設計時点で,風洞の恒久的な設置場所が決 まっていないこともあったため. 風洞全体を分解・

移動・再据付ができる構造とする.

⑪ 風洞の室内への煙発生装置の煙混入を防ぐために,

風桐の排気は室外に排出する構造とする.これは煙 発生装置の煙ミストが室内に充満することを防ぐ

もので安全に実験を遂行するための措置である.

(2)

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2 .3概念設計

前項の概念設計の方針に基づき,概念設計を行った.

まず,風洞のサイズを決める要点として初めに測定部のサ イズである.

測定部に設置する供試体の模型自動車断面積を 1 5 0 皿×

1 5 0 m m 程度と想定した場合,測定部での供試体のブロ ッケ ージを 1 0 % 以内に収めるようにするためには測定部断面 を横 400mmX 縦 6 0 0 四にする必要がある.

また,測定部での風速を 1 0 m / s と想定した場合の必要空 気流量は約 1 0 0 0 0 m

3

/ h となる.この空気流量を吸込み式で 駆動するためのファンの選定調査をした結果,三菱電機製 の片吸込み型シ ロッコファン ( B G ‑ 4 5 K T A ) が適しているこ とが判明し,本煙風洞の駆動用ファンとして選定した.

測定部下流の拡大部の長さを1. 5 m として,圧力損失を極 力少なくするために測定部断面積と拡大部出口断面積の 比を1. 0 4 程度となるよう拡大部の形状を設計した.また,

拡大部出口寸法はシロツコファン吸込みロ寸法になるよ うにした.

概念設計方針で述べたように整流部と測定部の断面積比 は 1 0 以上であるとしているので整流部の断面サイズを 1 .   8 m 角とした.また,整流部内に設置する整流用のハニカ ムやスクリーンの据付や調整作業を容易にするために整 流部を流れ方向に 3 分割できる構造にした.

整流部から測定部までの縮流部の曲面は円弧で繋ぐよう にし,変曲点近傍に煙発生用の櫛形プロープを挿入できる 構造にした.

シロツコファン出口からの排気は室外に排出するよう 排気ダクトで部屋の窓まで導いた.

上記の概念設計により図 lに示すような煙風洞の概念 図が完成し,これを基に学生に基本設計を実施させた.

7 5 0   1 .   5 ω 1 . 5 0 0   1 . 5 0 0   ̲ ̲   1

5 0 0  

I I

位 大 鶴 ! 測 定 観

1 涜 . . 1 .湾 . 1

00

図 l 煙風洞概略図

3 ,風洞基本設計

煙風洞の基本設計を卒業研究で実施させるためには学 生達が事前に「風洞とは」を理解しておく必要がある.

そこで 2 0 0 9 年度教育プログラムに風洞見学を申請したと ころ受理され, 2 0 0 9 年の夏季休暇中に学生達を連れて,

東京大学駒場 l 号館にある東京大学航空宇宙工学科の煙 風洞と 3 m 吹出し風洞,三鷹の J A X A 各種風洞を見学し,風

洞の理解を深めてから基本設計に着手した. 以下にそ の主要な結果を示す

2)

3 , 1 整流部

煙風洞の上流部である整流部は概念設計で述べたよう に流れ方向に 3 分割する構造になっており,それぞれ滑車 付きの台車に載る構造である . それぞれはフランジで接続 される構造で,最上流側の内部には厚み 50μm のアルミ製 で流れ方向長さ 198mm ,コアサイズ 5 / 8 インチの整流ハ ニカム(住軽エ ンジニアリング附製)と出口部に 2 m x2 m のグラスファイパースクリーン 1 4 メッシュ(株式会社く ればあ製)が設置されている.中間の分割部にはハニカム は内蔵されず出口部にグラスファイパースクリーン 1 4 メ

ッシュ(株式会社くればあ製)が設置されている . 最下流 の分割部には厚み 50μm のアルミ製で流れ方向長さ 198m m , コアサイズ 1 / 2 インチの整流ハニカム(住軽エンジニ アリング附製)と出口部に 2mX2m のグラスファイパース クリーン 1 8 メッ、ンュ(株式会社くればあ製)が 2 枚設置 されている.

3 , 2 縮流部と測定部

煙風洞の縮流部は流れ方向長さが1. 5 m で,その側面は整 流部と測定部内壁面をスムーズに接続するため曲率半径 9 8 2 , 2 脚と曲率半径 9 7 5 , 3 m m の逆向きの 2 つの円弧で結ぶ 形状とした.また,縮流部上下壁面は曲率半径 1 1 7 4 , 3 m m

と曲率半径 1 1 3 5 , 8 m m の逆向きの 2 つの円弧で結ぶ形状と した.測定部での風速が 1 0 m / s 近傍まで煙流脈が乱れず可 覗化できるよう縮流比を 1 0 以上の 1 3 , 5 とした.

図 2 に整流部と縮流部,測定部までの形状を示す.図中 の縮流部の変曲点近傍には櫛形の煙発生プロープの設置 位置を示す. また,測定部の正面(側面)には供試体周り の煙流脈を可覗化できる 6 0 0 m m X  1 0 0 0 m m のサイ ズのガラ ス製観測窓が設置してある .

セ ッ トリンゲチャンJ I ‑

図 2 整流部,縮流部と測定部の形状

(3)

静岡理工科大学紀要 87

なお,拡大部の出口部の曲がりダクト側面にも 200mm X 200mm の観測窓ガラスが設置してあり , 供試体後流の流れ 模様を下流側から観測できる構造となっている.

測定部の上面及び下面には 300

X1000mm の照明用ガラ ス窓が設けてある.

測定部内面は黒色の艶消し塗装をしてあり,ガラス製の 観測窓の対向面は黒色の板状面となっている .

また,図 3 , 4 に示すように供試体である翼型の迎え角を 自由に変更できる翼型回転機構が取り付けられている .

図 3 翼型回転機構の構造図

図4 翼型回転機構の完成写真

また,図 5 の写真は翼型の迎え角を 0 度から 5 度程度に 傾けた状態を正面の観測窓ガラス側から見たものを示す.

このように翼型回転機構により翼型を予定した角度に設

定できるようになった.

図 5 翼型に迎え角を付けた状態 3 . 3 風洞駆動源

概念設計段階で選定した三菱電機製の片吸込み型シロ ツコファン ( B G ‑ 45KTA) は最大動力 6kW のインバータ付き モータで駆動され,回転数を遠隔で制御できる機能を有し ている.本ファンの吸込み口,吐き出し口のサイズは 500 阻の角形となっており, 60Hz の電源で1l 000m

3

/ h の定 格風量である .

3 .4煙発生装置および櫛形煙発生プロープ

煙発生装置にはドイツのル ック社製 Y I P E R nt  (日本取 扱業者株式会社ギミック)を採用した煙素材は専用の 流動パラフィン系のオイルを使用し,装置内で加熱・沸騰 させ冷たい空気を吹き付けて煙の素になる微粒子を発生 させている.本煙風洞は吸込み式であり櫛形の煙発生プロ ープが挿入される縮流部は大気圧より負圧になり煙発生 装置からの煙は自然に風洞内に流れる構造となっている .

しかしながら風洞内の流速が遅い場合には負圧効果が少 なく,煙発生装置から櫛形プロープまでの内径 30 聞 の ビ ニールホース配管での圧力損失があり,煙が自然に流れな いことが生じる.この課題を解決するために煙発生装置か らの煙を‑̲e̲昇圧してビ ニールホースに流入させる必要 がある.本装置では煙発生装置からの煙を‑̲e.泊 500 阻 角 の段ボール箱に入れ,その中に挿入された内径 30 四 の ビ ニールホースの入口端に内径 2mm のテフロンチューブ 、 を 取付け, O . O l M P a 程度の空気をビニールホース内に流して いる . このエジェクター効果により昇圧された煙が内径 30 皿のビニールホース内を流れ,櫛形煙発生 . プローブか

ら風洞内に煙流脈を形成する構造にしている .

櫛形煙発生プロープは長さ1. 5m ,翼長 150 醐,翼厚

22 . 5 皿 の NACA0015 の翼型形状になっており , 内部は空洞

である.発生プロープの後縁部の煙吹出し部は内径 4 皿 ,

長さ 30 凹の銅パイプ 40 本が取り付けられており,ここか

(4)

88 Vol.22, 2 0 1 4

ら煙が流脈状に風洞内を流れる構造となっている.

3 . 5 風洞内外装塗装

前述のように,煙の流脈は測定部上下面からの照明によ り白線のように照らされ可視化できる仕組みである.流脈 をより鮮明化するために,測定部および縮流部,拡大部の 内面は艶消しの黒色塗装を施した.

一方,風洞外装の塗装は塗布面積も広いため, 2 0 1 0 年 度の教育プログラムに風洞整備で申請をしたところ認可 され, 2 0 1 0 年度の卒研生の協力で図 6 に示すように風洞 の外壁の塗装を完了した. 図 6 は 2 0 1 2 年度まで煙風洞実験 をしていた坂口実験場での煙風洞写真である.

図 6 煙風洞の外装塗装(坂口実験場にて)

4. 煙風洞製作および使用状況

煙風洞の製作は地元建設会社である ( 朝山中建設に依頼 した.基本設計段階から木造でどの程度までの加工が可能 かなど相談に乗ってもらうことにより製作段階で無理の ない詳細設計ができるようになった. なお, ( 朝山中建設 にとって風洞製作は初めての経験で あったため, 2 0 0 9 年 度の教育プログラムによる学生の風洞見学報告書から,圏 内にある既存の風洞を理解していただし、た.

風洞の各部位である測定部,整流部,拡大部および縮流 部の順で( 朝山中建設の作業所で製作を行い,夢創造ハウス l 階に各部位を搬入し,排気系ダクトを除き風洞の仮組を 行った.

4 . 1 試運転

2 0 1 1 年 3 月に風洞の仮組立てが完了し,初めてシロ ツコ ファ ンを駆動し風洞内に流れを発生させた.この時点では 煙発生装置は使用せずタフト法により風洞内の偏流がな いこと,また風洞全体の振動も少ないことを確認した.

2 0 1 1 年度後期の機械工学実験 2 ・航空工学実験に間に合せ るよう同年 4月に仮組立てした風洞を分解し,坂口実験場 に移設,整備を行い, 7月には学生実験に供することがで

きるような状態になった.

なお,煙風洞実験のテキストは 2 0 1 1 年 1 月には完成し ており同年に S I S T 教科書を発行した 2 0 1 3 年 1 月に若干 の修正を行ったテキスト改訂版を発行した

3)

その後, 2 0 1 3 年 5 月,やらまし、か創造工学セ ンターが 竣工したのに伴い,本風洞を坂口実験場からセンタ ー 1 階 の空力実験室に移設することになり, 8 月に移設を完了し た. 2 0 1 3 年度後期からの煙風洞実験はやらまし、か創造工 学セ ンターで実施したこの移設工事で,本風洞のシロッ コファン上流部と下流部のダクトの一部を改造し , 吹出し 風洞にも転用できる構造にした.

5 . まとめ

煙風桐のやらまし、か創造工学センターへの移設後,オー プンキャンパスで高校生 ・保護者への見学 コースになり現 象の可覗化により理科の楽しみを体験してもらうことが できるようになった. また,後期からの 3 年次の実験では 前年度までのように坂口実験場への移動時聞が削減され 学生の肉体的疲労が緩和され,実験に集 中できるよ うにな

った.

煙風洞の設計に際しては,概念設計段階から詳細設計段 階に至るまで元東海大学高木通俊教授からは適時設計の 助言をいただき当初の目標を達成することができました.

ここに感謝します.

また,仮組立て状態での試運転では可覗化情報学会風洞 研究会幹事のミ ツワ電機闘の高倉秀一氏にハニカム構造 改造の指摘をいただいたこと感謝します.

低コストで製作することを目標にして製作を開始し,無 事学生実験に供することができたのは岡山中建設の絶大 な協力があったことをここに記して感謝します.

煙風洞の翼型回転機構の製作や櫛形煙発生プロープの 製作および風洞の照明等の調整には工作セ ンターの職員 に協力いただいたことを感謝し、たします.

大学トップからは 2 年間に E り教育プログラムの認定 をしていただき,学生達に実製品を作るための厳しさや国 内の風洞見学を体験させることができました . また,

JABEEが奨励するエ ンジニアリ ングデザイ ンを実践する 上でよい機会を与えることができたことに感謝します.

参考文献

1  )  日 本 の 低 速 風 洞 , 可 覗 化 情 報 学 会 誌 , V o l .   1 4   S u p p l .  , N o . 3 ,  1 9 9 4 ‑ 7 

2)  野口純弥他,煙風洞設計・製作・試験の研究, 平 成 2 1 年度静岡理工科大学機械工学科卒業論文 3)  静岡理工科大学, 機械工学実験 l 機械工学実験 2

航空工学実験, 2 0 1 3 年度版

参照

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