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ヘルスケアのための人の振る舞いに即したUI に関する研究

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Academic year: 2021

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ヘルスケアのための人の振る舞いに即した UI に関する研究

- 住空間における自己検診システムの提案 -

A Research on User Interface adapted to Human Behavior for Healthcare

- Proposal for Self-Medication System in a Daily Living Space -

5113E004-6 井上 裕太     指導教員 長 幾朗 教授    

INOUE Yuta      Prof. CHOH Ikuro

概要: 元来、人間は怠惰な生き物である。日常生活において、体調の変化や定期検診など外発的な動機づけが成さ れない限り自身の身体状態を継続して気にかける機会は極めて少ない。また、個人の生活習慣に起因する疾患は増加 傾向にあり、医療費の高騰や病院業務の非効率といった問題を引き起こしている。この様な時代背景から生まれた需 要により、ヘルスケア情報を収集・管理するためのウェアラブル機器は多岐にわたって開発された。しかし、既存の 機器に見られる携帯情報端末等を基盤とした情報提示の方法は、私たちの日常の行為から乖離しており、習慣として 自己検診を実行する上での障壁が存在する。本論文では、身体部位別による情報提示の実装および住空間における生 活動線に配慮した UI(user interface) の設計・評価を行い、利用者の自己検診に対する内発的動機づけに訴求した。

キーワード:UI、自己検診、身体部位別、生活動線、 内発的動機づけ

Keywords: user interface, self-medication, individual body parts, raw activity line, intrinsic motivation

点、つまり、洗面所や浴室、台所、居間に代表される住 空間は自己検診を遂行する環境に適している。最終的に は「朝起きて顔を洗い、自己検診を行う」のように与え られたタスクを生活動線に組み込むことでシームレスな 行為を支援することが求められる。

3. ヘルスケア情報のアクセシビリティ

 ヘルスケア情報を扱う際、外界における可視性が低い ため 、適切なメタファを利用して認知モデルの形成を 支援し、UI のアクセシビリティを向上しなければなら ない。これにより、利用機器の使用感が日常生活の行為 に即した自然な形態に変化するため、利用者は機器操作 に対するモチベーションを維持することができる。これ を NUI(natural user interface) と呼ぶ。

 自己検診を行う際、アクセシビリティの向上のために

「身体部位別の情報提示」が有効であると考えた。これは、

入手したいヘルスケア情報の種類と身体の各部位を紐づ け、ハードウェアを使用して該当する部位へ接触するこ とにより即座に情報提示を行い、UI の自然な対応づけ を満たす。例えば、心拍を胸部と紐づけ、脂肪量や食習 慣に関する情報を腹部、一日の歩数やそれに付随する消 費カロリーを脚部と紐づけるように、入手したい情報の 在り処を各身体部位によって想起させる。

 人は身体に不調を来したり違和感を感じたとき、その 箇所をさすったり押さえるなどの振る舞いによって無意 識に身体部位との接触を図っている。こうした暗黙知の 特性をもつ日常の動作は機器操作のメタファに成り得る と考えた。以上の点から、利用者は身体部位別の情報提 示によって認知モデルの形成・実行の反復を素早く遂行 でき、UI のアクセシビリティの向上が期待される。

1. はじめに

 長期にわたって健康な体を維持するためには日々の強 い意欲や内発的動機づけが必要とされる。これは、身体 に不調を来していない段階で健康管理を行うことに面倒 さや煩わしさを感じるためである。自己検診を習慣づけ るには、利用機器の使いづらさや煩わしさを低減し、利 用者の意識を変えていくことが求められる。以上の点か ら、分かりやすい動作を用いた情報提示の方法と周辺環 境からの働きかけによって、利用者の身体・心理の双方 に配慮した自己検診システムを提案した。

2. 住空間における自己検診の確立

 今日に至るまで、個人が認識するべき健康に関わる情 報の多くは医療従事者の目線に留まっていた。しかし、

WHO がガイドラインの中で「自分自身の健康に責任を 持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」と定め ているように、自己検診の必要性は長年問われ続けてき た。また、罹患予防や品の高い医療サービスを享受する ためにも情報の管理者を一般の生活者へ移行することが 望ましいと考えられる。

 自己検診のライフスタイルが定着しない理由は、その 行為自体が複雑だからではない。自己検診を遂行するた めの利用機器について、利用者が個別の操作方法を学ば なければならない要因が大きい。このため、情報提示の 方法に生活経験を利用することにより人の振る舞いに即 した UI を構築していく必要がある。

 また、利用者を自己検診に誘導するためには、情報提 示の連続性とその情報が目に付く場所に配置されている ことが重要である。例えば、日々習慣として行う手洗い や洗顔、歯磨き、入浴、家事などの振る舞いに対する接

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 被験者による PPP の採点結果、原則 3「使い方が簡単 で明解に理解できる」、原則 6「なるべく少ない身体負担 で使用できる」の項目について高評価が得られた。この 結果、ユーザビリティの観点から本プロトタイプの有用 性が認められた。肯定的なコメントには、自身の健康状 態を気遣う自己検診は歯磨きや洗顔などの身嗜みを整え る振る舞いの延長線上にある行為と捉えられるため、生 活動線における機器操作に違和感を感じることなく使用 できるといった意見を得られた。以上の点から、本論文 の主旨であるユーザの動作と動線の双方に配慮した NUI の構築が成されたと考察できる。 

 一方、否定的なコメントには提示情報の表示の工夫に 関する意見が多く見られた。例えば、定量的なヘルスケ ア情報だけではなく寝不足や疲労度を視覚化した定性的 な情報による注意喚起の機能が求められた。また、利用 者の属性や年齢によって入手したい情報の種類が異なる ため、各人の身体特性や過去に罹った疾患を分析し、個 別に最適化した情報を提示して内発的動機づけを醸成す るための手法を検討していかなければならない。

6. おわりに

 本研究の目的である罹患予防としての健康意識の醸成 は、利用機器と周辺環境の連携、且つ身体部位別の情報 提示から成る NUI によって向上したと結論づけた。本 システムは未だ開発段階にあり、今後新たなユーザビリ ティ評価を経てこれまでに検討した機能が実装されるこ とにより、さらに分かりやすく使いやすい形態に改良さ れることが望まれる。

参考文献:

[1] D.A ノーマン「誰のためのデザイン ?−認知科学者のデザイ ン原論」新曜社 ,(1990)

[2]WHO, “The Role of the Pharmacist in Self-Care and Self- Medication” Report of the 4

th

WHO Consultative Group on the Role of the Pharmacist, (1998)

[3]

山岡俊樹他「ユーザインタフェースデザインの実践」海文 堂 ,(1999)

[4] 中川聰「ユニバーサルデザインの教科書」日経 BP 社 ,(2005) 4. 住空間に適した自己検診システムの提案

 これまでの要件を考慮し、住空間における自己検診シ ステムのプロトタイプを制作した。本システムでは、半 球型のハードウェア「ECHO」を使用し、身体部位別に 自身の体を検診することによって、接触を図った部位に 関連するヘルスケア情報を周辺環境へ提示することがで きる ( 図 1)。また、システムの配置場所は住空間におけ る利用者の生活動線を想定している。

 

 UI の構造は、システム側では体系化されたヘルスケ ア情報とその情報をユーザにわかりやすく伝えるインタ ラクション部分を分けて考えた。これらは二層構造に なっており、体系化されたヘルスケア情報の上にインタ ラクション部分が位置する形となっている ( 図 2)。ヘル スケア情報は身体部位別に体系化されており、インタラ クション部分は ECHO を用いることによってユーザと の接点を構築している。また、本プロトタイプにおいて は、その特性を考慮してユーザがシステムの動作原理の 概要を正確に理解することを促すために、機器操作の「分 かりやすさ」や「使いやすさ」に評価の比重を置いた。

5. ユーザビリティ評価

 前述のプロトタイプを用いて、ユーザビリティ評価を 実施した。本実験では、12 名の被験者 ( 男性:6 名、女性:

6 名、平均年齢:24.6 歳 ) に対し、5 つのタスクを与え、

PPP(Product Performance Practice) 評価および思考発話 法によるインタビューを行った。

図 3 実験の様子

図 1 ハードウェアの外観

図 2 本システムの UI 構造

図 2 本システムの UI 構造

参照

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