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パターン認識における有意差検定と音声認識システ ムの評価法

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(1)

Kyushu University Institutional Repository

パターン認識における有意差検定と音声認識システ ムの評価法

中川, 聖一

豊橋技術科学大学情報工学系

高木, 英行

松下電器産業中央研究所

http://hdl.handle.net/2324/4488440

出版情報:日本音響学会誌. 50 (10), pp.849-854, 1994. 日本音響学会 バージョン:

権利関係:

(2)

日本音 響学会誌50巻 10号 (1994>, pp.849−854 849

解 説 パ タ

ー

ン 認 臓 に おけ る 有意差検定 と

音声 認 臓 シ ス テ厶の評 価法

*

中 川 聖

一 (豊 橋 技 術 科 学 大 学 情 報工 学 系 )** ・

高 木

英

行

(松下電 器 産 業   中 央研究 所)’*’

1

.は じ め に

 今ま で, パ ターン認識の研究が数 多 く発表さ れ

て きた が, アル ゴ リ ズム や実験の有効 性の検定は あま り はなさ れ て こ なか っ た。 多 くの場合, 発 表

の ア イデア の お も し ろ さ は読み取れ て も, 本当に

有効な手法な の か どうか の確 認を する こ とが なか

な か で き な か っ た。 研究 活動は池に石を落 とす が ごと く他の研 究者や社会に波 紋を広 げて 学術の 発 展に寄 与し て い く もの と思 うが , 発 表の有 効 性が 確 認で きない ようで は, 波紋を 広 げる こ とが で き

ない 。 発表者にして も, す ば ら しい ア イ デ アが,

検定

で その

有

効

性

を示さ なか っ た が た め に疑い の

目で評価さ れ るの も惜 しい 話で あ る。

  筆 者 ら は統計 学を専 門 と し てい る わ け で は な く, ユ ーザ と し て統 計検定を利 用し て い る。 こ の

立場か ら, 教科 書的な厳 密性は多少 犠牲に し て で も, パ ターン認 識を行っ て い る 工学 者が す ぐ使 え

る こ と を意 図し て解 説を行う。 更に実務の立 場 か ら, 具体 的な音 声認 識の検定の現状につ いて も触

れ,

議

論す る。 なお , 本

解説

記

事

は,

筆者

ら が既

に研究会で発表 し た 資料5)を も とに して い る。 入 手 困難な研 究会資料で も あ り, 何か のお役 に立て

ば とい う 思い で, 再 掲 ・加 筆 し た もの で あ る。

2

.

有 意

差

検 定

方 法

1 (2

項 分

布

の

  平

均の 差の

検

定

)

認識 対 象の データベ ース を共 有し た上で認 識性

 寧

Statistical

 methods  for comparing  pattern recogni −   tion algorithms  and  comments  on  evaluating  speech   recognition  performance .

牌 Seiichi Nakagawa (Department of InfQrmatlon  and   Computer Sciences, Toyohash 量University of Tech −   nology , Toyohash量,441)

串 宰 零 Hideyuki Takagi (Central Research Laboratories,

  Matsushita  Electric  Industrial Co ., Ltd,,  Kyoto ,

  619−02)

能を比 較 する場 合の検 定方法で ある。 最近 は共通 音声 データベ ース の整備な ど に よ り, 複数の研究 機 関で 開発 された認識アル ゴ リズム を比較 する こ

とが可能に なっ て き た。 本 節の検 定方 法 はこの よ うな場 合や同一研究 機 関で も異なる アル ゴ リズ ム

の比 較に利用で き る。

 

この 検 定 方法

1

は

2

項 分布を 正規 分布に近

似

す

る こ と に基づ い てい る。以 後の議 論 は, 実用 上の 近似 条 件 と言わ れて い る表一1が 満 た さ れて い る 場 合につ い て有効で ある。

 

2

.

1

  問 題の 定 式 化

      

問題

nA 個の データ を 用 い て認識 方法

A

の性 能を 調べ た と こ ろ, 誤認識 数が

T

.で あっ た。

一方

nB 個の データ を用い て認 識 方法

B

の性 能を 調べ た ところ, 誤認 識数が

T

,で あっ た。 認識 方法

A

と

B

の間に性能 差は ある か

 個々 のパ ターン に対す る認識は, 1 (誤認 識 )と

0

(認識)の 2 値を そ れ ぞ れ 確率

P

と (1 −

P

)とで 取る確 率変数

X

でモ デル化で きる。 この確

率

変 数

X

は

2

項 分布

B ( 1

,

P

), つ ま り (

O

,

1

)分布に従 う。

実

際に は

各

パ ターン ごとの認

識

の し易さ が異

なっ てい るの で, 正確に は

2

項分布 と は言え ない が, 近 似 的に

2

項 分布で あ るとす る。 また , 評価 用 データが異 な る 母 集 団か らの抽 出サ ン プル で あ れ ば, 両 アル ゴ リスム は直接 比 較 で き ない の で ,

同じ母集団か ら抽 出さ れ た サ ンプル と す る。

 以 下, 新 しい 確 率 変 数

Y

・= nX =Σ獨 濫 を導 入し て議 論を展開する。

  2 .2 検定の ための モ デル化   確 率変 数

X

は

2

項 分布    

B

(

1

,

P

)

に従 う。 確 率 変 数

Y

は 付 録 の定 理

1

よ り

2

項 分 布

(3)

850

表一1 本 手 法が適 用できる条 件 誤 確 認 率

p

の範囲 n の条件

0 .1〜0 .3

e

.

3

−−

O

.

4

0 .4〜0 .6 0 .6〜0 .7

0

,7〜

0

.9

200以 上

100

以 上

50以上

100以 上

200以 上 n はデータ数

   

B

(n,

P

)

に従 う。表

1

の条 件 が満 た さ れ る と き, 付 録の

2

項 分布の正 規 分 布 近 似か ら, 確率変 数

y

は 正規 分 布

   N

(nP . nP

(

1−

P

)

)

に従 うと近似で き る。付 録の定 理

2

よ り確率変 数

X

は 正規分布

    N ( P

.

2

(

1 ;

,)

)

に従 う。 確 率変 数

X

の誤 認識 率は確 率変 数

X

の 誤 認識

率

と同

ff

 

p

で ある。

  Z3   誤認 職 串の薤の分布と有意差検定

 

さて , 二 つ の認 識 方 式の誤 認識 率の差 ρA一

加 を 考え よ う。 確 率 変

tWXA

−

XB

は 付 録の補助 定 理 1

に よ り正規分布

    N (        PA

          −

PB

,

PA ( 1

nA−

PA )

・

2

・

( 宏

命

) )

(

1

)

に従う。

  今, 仮 説

H

。 :

PA

≡

PB

 =

p

。 (既知)が成 り立つ も

の とし よ う。 す ると (1)式 と付録の系よ り,

       

T

. 

T

,

              nA   nB

      (

2

)    

z

「=

     P

。

( 1

−

th ) 1

+

1

                  nA                         nB

は規 準正規 分布

N

(

0

,

1

)に従う。

 

な お, 実 際の パ ターン認 識で は

Pe

が既知でな い

の で, 全サ ンプル か ら最尤推定

値

    ^  鉱 +

T

.

   

P

=

       nA 十nB

を求め,

A

の推 定値 と して 用い る。

 正規 分布表よ り,

   1

)

( { IZI

⊇≧

1

.

96

})=

0

,

05

で ある。 す なわ ち, 確率

5

%で

  { Zl

≧ 1 .96

}

(

3

)

が起 き れ ば, 仮説

H

。を否 定し, 起 こら な け れ ば危

日本 音 響 学 会 誌 50巻 10号 (1994) 表一2 有意な 認識率の差

誤 認 識 率 サ ンプル 数  

Po

      nA = nB

有 意 水準 (危険率) 5%   10%   20%

5

%

 

200

 5001

,0002

,0005

,

000

4 .27%  3 .59%  2 .78 % 2.70    2.27     1.76 1,91    1.61     1 ,25 1.

35

    

1

.

14

     

0

.

88 0

.

85

    

0

.72    0 .56

      200

          500 10%     1,000        

2

,

000

        5 ,000

5

.

88

   

4

,

95

3.72    3 .13 2 .63    2.21

1

.

86

    1.57 1.18    0.99

3

.

842

.431

.721

,210

.

77

     

200

          500 15%     1 ,

000

       

2

,000         5,

000

7

.

00

   5.

89

4 .43   3.73

3

.

16

    2 .66 2 .21    1.86

1

.

40

    

1

.

18

4 .572

.

892

.061

.

450

.

91

     

200

          500 20%     

1

,

000

        2 ,000        

5

,

000

7 .84    6.60 4 .96   4.

17

3 .51   2.95 2 .48    

2

.

09 1

,

57

    

1

.

32

5.123

.242

.291

.

621

.

02

          200

          500 30%   1,

000

        2,000        

5

,

000

8 .98    7 .56

5

.

68

   

4

.

78

4.02    3 .38 2.84    2 .39

1

.

80

    

1

.51

5 .873

.

712

.621

.851

,21

険率

5

%で仮説を認め る こ とにす る (厳密に は仮 説

H

。を否定で き ない だ けで あるが)。従っ て,パ タ

ーン認 識 の場合,

2

.

2

節の近似 条 件が成 り立つ 場 合の検定は, 事 象

     際

一

号

                 ⊇≧

1

.

96

         (

4

)

     Pt

(・−

P

・)

( 去

・

羨

が成 り立つ か ど うか を判定し, 成 り立て ば認識 結 果に有意差あり, 成 り立た なけれ ば認識性 能に有 意差な し と す る。 た だ し

p

。は (

3

)式で代 用 す る。

 

5

%以外の危 険率で有意差 検定を する場合は,正 規 分布表か ら,

1

.

96

に代わ る値を 用い る。 例え ば,

危険率 1%,

10

%,

20

%の場合は正規分 布表よ り,

2 .58, 1 .

65

, 1 .28 をそ れぞれ 用い れ ばよい 。 表一2

は主な n,

P

の

組

み

合

わせ と

危険率

5%と 10%,20

%に対す る有 意差の認 識率の差を 示し てい る。

(4)

パ ターン認識にお け る有意 差検定 と音声 認識シ ス テム の 評価 法 851  なお,

2

.

2

節の条件を満た さない 場 合 と連 続 型

分 布で ない た めの補正 と して, (

2

)式の分子に

  

・

參 講      

(・)

を加え る と よい 。 符 号は分 子の大き さが小 さ く な る よ うに決め る2 }。

 

2A

  検 定 方 法

1

の ま とめ

 初め に表一

1

の適 用 条件を満た すか どうか を調

べ る。 次に, (

1

)式が成 り立つか ど うか で危 険率 5%の有 意 差 判 定を行 う。 (

4

)式 中の

p

。は (

3

)式

で 代 用 し,他の記 号 は

2

.

1

節の問題 を参照の こ と。

危険率

1

% や 10%で検定 する場合は,右辺

1

.

96

の

代わ りに

2

.

58

や

1

,

65

を 用い る。 簡 易 的に は表一

2

を参 考にす る。

表一3 符 号 検 定 表。3 .1節の 物 と raの小 さい 方の 数 値が

 表中の値以下で あれ ば, 有 意 差 あり。 (N = n2+ns) 危険 率 (% ) 危 険 率 (% )

1V   1    5   10 N 1    5    10

3

.有 意 差 検 定 方法

2 (

符 号 検

定

,

 

sign  

test )

 

2

章で述べ た検 定 方法

1

を 現実の音声 認 識 に適 用 し よ う と する と, 有意差を 示すた め に必要なデ ータ数が 不足す る こ と が多い と思わ れ る。 現実の 音 声 データベ ース の規模か ら す る と, 数 千の テス トデータ を 用意す る こと は相 当困難で あり, 認 識 率が

100

% に近 くか つ 認識

率

の 差 が 少 ない 場合 は,有 意 差検定 が ほと ん ど不可能になっ て し まう。

 この よ う な 場合, 符号検 定がで きれ ばテ ス トデ ータ 数 を 大 き く 削 減 するこ と がで きる。 そ の代わ

り認 識データベ ース を 共

有

する だ けで な く,

一つ 一つ の テス ト データに対 す る認 識 結 果 を 比較す る

こ と が求め られる。 他研究機 関の手 法 と比 較 す る 場 合に は, 何 番目の データで誤認識を起 こ し たか

とい う データ をお互い が持つ 必 要が ある。

  3 .1 検定 方法

            問題

認 識 方 法

A

と

B

を同じパ ターンサ ンプル 集 合に適 用 して認識実 験 を行っ た結 果, 次の よ

うな結 果が得ら れ た 。

 

方法

A

,

B

ともに正解 …・… ……… …・・nl 個

 

方 法

A

で 正解, 方法

B

で 誤 認識 ……n2 個

 

方 法

A

で誤 認識, 方法

B

で正解 …… m 個   方 法 A ,B と もに誤認 識 … ……… ……n4 個 認識方法

A

と

B

の間に性 能差はある か

123456789012345678901234567890123456789012345

               

111111111122222222223333333333444444

00001112223334445566677788999001112233

                                                       

111111111

0001112223344455566777889990011222334455

                                                   

1111111111

工

11

00011

工

22333445556677788990001122333445566

                                               

1111111111111111

464748495051525354555657585960616263646566676869707172737475767778798081828384858687888990111111111111111222222222222222222222222333333344555667778899000112223344555667788899001112111111111122222222222222222222222333333333333566778889900111223344555667788899001122233445111111122222222222222222222222333333333333333

677889900011223344455667788899001122333445566

こ こ で, 認 識結 果が異なっ た n2 と n3 に つ い て

考え る。

N

= n・+n3 と し,

2V

が決まっ た とい う条 件の 下で の 物 とn3 の 起 こ る確 率を

Pi

と

A

とす

(5)

852

る。 も し方 法

A

と 方 法

B

の問に性能 差が なけ れ ば m と n3 は大体 同じ数になる はずで ある。

 仮

説

H

。 :

A

≡ ρ2(=

1

/

2

)と し よ う。 こ の とき,

実際 の観 測 値 n2 (n3 で も よい )は

2

項 分布

B

(

N

,

1

/

2

)に従 う。そこで前 節と同様に して       n2−

1

>/

2

   

z

==

     師

と お くと

Z

は規 準正規分布 N (

0

, 1)に従うか ら,

前節 と同様の手 順で検 定で き る。実 際に は, (

5

) 式 と同様に して ,

   

n2 − 」へ厂/

2

±

112

   

z

=

      (

6

)

      駟

と お く。 以下で は, もっ と簡 便に利用で きる手順 を紹 介する。

 n2と n3 が 大体 同じ か どうか は表一

3

に 基づ い て 検 定す る。 合計 数

N

= (n、+n、)個 と検定 危険 率で

表

をひ き, n2 と n3の小さい 方の数値が表の値よ り 等 しい か小 さい 場 合 は, n2 とn3 は大体 同じ とは言

えず有 意な差が ある, と判 断 する。

1V

が 90 を 越 え

る場合は,

  

(

N

−

1

)/

2

一脚

価

厂

再 ア

よ り小で最も近 い 整数を採用し, 比較す る。 た だ し, 々 は危 険 率が 1,

5

,

10

%の と き, そ れぞ れ

1

.

2879

,

0

.

9800

,

0

.

8224

で ある2)’3) g

 

3

.

2

 例     題

  例えば, 二 つ の認識 方法の結果が異な っ た数を 調べ る と, n2 = 12 個, n3 =

28

個で あっ た場 合を考 えて み よ う。 合計

40

個で ある か ら表

2

の

N

=

40

を 見て み る と, n2 とn3 の小 さい方の数 が

11

個以 下で あ れ ば 危 険率 1%で有意 差 あ り,

13

個以下で あ れば危 険率

5

%で有意 差 あ り と言 える。 この例 題の場合小さい 方は n2 ・ ・ 

12

個なの で, 危険

率

1%

で は有意な差が ある と は言えな い が, 危 険率

5

%

で は認 識 方法

B

の 方が有 意に 性 能が高い と言 え る。 もち ろ ん, (

6

)式を用い て も,

IZI

=

2

.

37

な の

で 同じ結論 が言える。

4

.

有 意

差 検

定方

法

3 ( 整

合 対 検

定

,

  Matched

−

Pair

 

test )

3)・4)

テス トサ ンプル 集 合をセ グメ ン トに分割 し, そ れ それ の セ グメ ン トで, 誤 り数の差 が 測定で きる 場合には, 次の検定 法を利用で き る。

日本 音 響 学 会 誌 50巻 IO号 (1994)

問題

テ ス ト サ ン プル

集合

が n 個の部 分 集 合 に分 割され, 部 分サ ン プル集 合

i

での認識方 法

A

と

B

に よ る誤認 識 数を

TAi

, 

T

,,

t

す る σ=

1

,

2

, …

, n)。 認識手 法

A

と

B

の間に性 能差は

ある か 。

   

T

,=

TA

,−

T

. , (

i

”

1

, 

2

, … , n)

   T

=

歯 1

        i=1 咒

   v

・−

t

− 、

自 ( T

,−

T ) 1

と お く。 仮 説

H

。’

T

=

O

が 成 り立つ と き,

T

の分散

の推定 値は

  

σT・= ⊥

y2

        n

とな り, n が十分 大 きい とき (例え ば n >

50

),

   z

=

2

        σT

は, 規 準正規 分 布

N

(

0

,

1

)に従 う。従っ て, 仮 説

H

。 :

T

…

O

の検 定は第

2

節 と同 様の手 順 で検 定で きる。厳 密に は,

Z

は自由 度 n−

1

の

t

分布に従 う

か ら, n が小 さい と き は ’検定を用い る必 要が あ る3)。

 

セ グメ ン トへ の分割の 方法や

T

,の定義は,誤 り が セ グメ ン ト間で独立で あ る 限 り任意で ある。 例

えば音韻 認識で ,

1

文 ごとに置換誤 り, 脱

落

誤 り, 挿入誤 りの総数の差 を

T

,と定 義し て よい し,不特 定話 者の 認識 実験で は, 話者ごとの 二 つ のアル ゴ

リズム に よ る誤 り数の差を

T

,と し て も よい 。

5

.評 価 法の適用 と

音

声 認 識 研 究の   現 状 分 析

 

以 上述べ た統計 的検 定法 を 音 声 認識シス テ ム に 適用 する際に 注 意 すべ き点を列挙する。

  1

.

2

章で述べ た検定方法

1

は, nA 個の テス トサ     ンプル と nB 個の テ ス ト サ ン プル は, 同一

の

  

母集団か らの抽出サ ン プル で あ ると仮 定 し

  

てい る。 音 声認

識

の評 価の場 合, 両者のテス

  

トサ ン プル が 同一の場 合が普通で ある。 こ の

  

場 合は,

3

章で述べ た符 号検定 法の方 が適切

である。 2章の検 定 方 法 1 よ りも有意差の条 件が少 し ゆ る く な る と思 わ れる。

(6)

パ ターン認識に お け る有 意 差 検 定 と音 声 認 識シ ス テム の評 価法

  2

.

1

人の話 者の

1

,

000

個の データ と

10

人 の話

  

者の各

100

個の データ を 用いた と き

,そ れ ぞ

  

れ同じ認識 率の差が生 じて も統計 的に は同

  

じ で も後 者の方が一般に信 頼で きる結 果 と     言える。 な ぜな ら, 話者が代わ ればパ ターン

  

の分布 も変わ り,認 識アル ゴ リズ ム が

特

異 な     分布だ け に整 合する こ と が除 外で き る か ら     で ある。 すな わ ち,

2

章 (

3

章 )の検 定方 法     で はサ ンプル が同一の 母集 団 (同一サ ンプル     集合〉か ら得 られ て い る とい う仮 定が あっ     た。 しか し, ある特 定話者の み, 非 常に有効     で あ り,他の話 者に はあま り有効で な くて も

  

全

体

と して有効で ある とい う結論にな るこ     とも あ る。 こ の場合は,

4

章で述べ た方法が     適切で あ る。

  3

.上 記

2

と本 質 的 に同 じこと だ が,同じ発話 環

  

境の データだ け よ り も種々 の 環境の データ

  

を含ん で い る方が信頼 性が高い 。例 え ば, 母

  

音をフレ ーム単位で認 識す る 場 合,

1

か所 の

    母 音か ら,数 多くの フ レ ーム を サン プル と し     て用い る の はあま り意 味が ない 。

 

手軽に入 手で きる資料として,過 去

2

年

間

(1989 年〜

1990

年)の 日本音 響 学会誌と電子情報通信 学 会論 文誌の音声 認識に関す る論 文

37

件に対 し て

2

章の検 定 方法 1 を適用 し, 調査 し た5 )。 こめ結果, 発表 論文で有効 と結論づ け ら れ た 方 法の うち,

4

割以 上が 有意 水 準

5

%で,

3

割 以 上 が有意 水準

10

%で有 意で ない と言え た。

3

章の符 号検 定を 用 い れ ば更に救 済された論文 も 増 え たか も知 れ ない が,一般 に論文で は符 号検 定に必要なデータは

開

示 さ れ ない の で各 著者に お任せす る しか ない。 6.

音

声 認 識 シ ス テ厶 の 評価法 と研 究 指 針

 

最近, 音 声 データベ ース が充実 して きて , 評価 用 データ も多量 にな り, 信頼 で きる結 果の報告が 増えて き た。 更に研究 成果 が 蓄積される た め に,

必 要 な項 目を列挙して お く。

  1

.共 通 データベ ース の

構

築 と

利

用(他機 関と比     較のため)

  2

.実験 条件の明記 (学習サ ンプル の話者 数とサ

  

ンプル数,評価サ ンプル の話 者数と サ ン プル

  

数 (特 定/多数話 者 /不 特定 ), 語 彙 数, パー

  

プレ キシティ, 録音 条件など)

853

3

。標 準 と なる方 式 との 同じ データベ ース を用   い た 比較 (同一機 関 内での 評 価のた め)

  

●標準 認 識 方 式 と して は

DP

マ ッ チン グ,

    

HMM

, バ ッ フ ァ 式多 層パ ーセプ トロ ン

,

    ベ イズ の二次識別関数, マ ルチテ ン プレ     ー ト法 な どが考え られ る。

  

●

特

徴パ ラ メ ータと して は,

LPC

メル ケ プ

   

ス ト ラ ム,回帰係数の併 用 な ど が考え ら      れ る。

4

.

2

章で述べ た検 定方 法

1

に よっ て基準 と な

 

る方式 と比べ て提

案

する方式 の認 識 率が 向

 

上 し, 有意な差を 示せ れば, その方 式 は有 効

 

で あるに は違い ない 。しか し, そ れ が 必 ず し

 

も意 味の あ る結果で あ る と は 限 ら ない 。例え

 

ば, ある方式あ るい は 目 的 と す る 認識 率が

  90

%の と き, 従 来比 較 対 象の 方 式が 70

%

で   あり, こ れ に比べ て提 案す る方 式が 75%に

 

向上 し そ の差が有 意であっ て も,

90

% と比べ

 

れ ば あま りに も差が大き過 ぎる。話者 適応 や

 

雑音下で の音 声 認識の研 究 に は こ の 種の研   究 例が多 くみ られ る。抜本 的な新 しい 方式を

 

追及 すべ きで あろう。

5

.本 解説で 述べ た検定法 は第

1

位 候 補の 認 識

 

結果に よ る もの で あっ た。 当然, 第

1

位 候 補

 

の認識 率が 同じ で あっ て も第 2 位 候 補 以 内

 

に正解が含ま れ る率に差 が ある と 全体の 性

 

能が異なる。 この差が 有意で ある か ど うか に

 

も 同 じ手 法 が使える。単語認 識結 果を

複

数 個   出 力 (単 語ラ テ ィス)し, これ を 用い て文 を   認識す る場 合に第

1

候 補の認 識が 同 じで も   差が 出て くる。どの程 度の差が 出る かは 別の

 

評 価 法で

検

討で きる6}。

6

.棄却 率も性 能の評 価 尺度 と して重要で ある。

 

我々の検討 で は, 妥 当 な棄 却 法を採 用すれ

 

ば,認識 率と棄

却率

は強い相 関が ある こ とを   見 出 してい る7)。

7

.ま  と  め

本 文で はパ ターン ごと に認 識 方式

A

と

B

の認 識結 果の対 応を

考

え ない 場 合 と考える場 合の検定 方 法を紹 介し, 音声 認識へ の適 用に際し て私 見を 述べた。

 

統計に基づ く検 定 は,あ る仮 定の下に行 わ れる。

(7)

854

例え ば,データ数はある一定以 上 必要で あ ると か ,

認 識データ の認識難 易度はほ ぼ同 じで

2

項 分布が 仮 定で きるな どで ある。 検 定

結

果の

信頼性

には こ

の よ う な条件の吟味が必要で ある が, 従来の 多 く の発 表に見 られ た ような検 定を する こ とな く感 覚 的に提 案手 法は性 能が良さ そ う だ, と結 論 付 け る よ りは よ ほ ど読者の た めにな り, ひ い て は学術 の 寄与に役 立つ と信 じる。 さ りと て, 筆者らの発 表 で もい つ も検 定結果を 述べ てい るわけ で はない。

自戒を 込 め た解説と し たい 。

         謝   辞

 

検定 方法につ い て, 大 阪 工業大学 経営工 学科の 奥田徹示 教 授 と久留米 大学商 学部の 河野和正 教授

の ご指導 を賜っ た。 厚 く御礼 申し上げます。

文 献

D

裏西 久男, 加 納省吾, 河 野 和正, 瀬口常 民, 統 計 解 析 入 門, 修 正 13版 (廣川書 店,東 京,1974>.

2)奥津   恭,工場にお け る推計学の 問 題と その解き方 (共 立 出 版, 東 京, 1951).

3)森口繁一編

, 統 計的 方 法, 新 編 改 訂 版 (日本 規 格 協 会, 東京, 1989).

4)L ,Gilick and  S.

J

. Cox ,“Some statistical issues in the comparison  of speech  recognition  algorithms ,” IEEE Int. Conf. Acoustic Speech Signal Process.

(ICASSP ’89),532−535 (1988). 5)中川 聖一

,高 木 英 行,

“パ

ターン認 識に お ける有 意 差と 音 声 認 識シ ス テ ム の評 価,

” 信 学 会 第 2種 研 資 SPREC − 91−7 (1991.7).

6)中川 聖一

,

“音 声認識・理解システム の評 価 とデータベ ース

,

”信 学会誌73, 1304−1310 (1ggO). 7) 甲斐 充彦,中川 聖一

,

“未 知 語 検 出 率の シ ミュ レ ーシ ョ

ン と孤 立単 語及 び 文音 声認識に よ る評 価,” 信 学 技 報

SP 94−25 (1994).

【定理

1

】

日本 音 響学会 誌 50巻 10号 (1994)

付 録

1)

 

標本 確率 変

tw

 

X

,(

1

≦

i

≦ n )が 確 率

p

で

1

の値

を, 確率

1

−

p

で

0

の値をとるとす る と,                 n

  

Y

 ・ = nX = Σx ,               i≡1

は

2

項分布

B

(

N

,

p

)に従 う。 従っ て平均と分散

は,

  E

[

y

]=nP ,

  1

厂

[ Y ]

; nP (

1

−

1

)

)

o   【定理

2

】

 

確 率変数

X

が 正規分 布

N (

μ,σ2)に従うと き,

任意の実数 σ,

b

(a≠

0

)に対して, 確率 変数

Y

=

aX +

b

は正規分 布

N

(a”+

b

,σ2σ2)に従 う。

  【補 助定理

1

】

 

互い に独 立な二 つ の確 率変 数 瓦 }厂 が そ れ ぞ れ 正規分布

N (

k ,(r。

2) と

N (

陶,ay2)に従う な ら ば,

0

で ない実 数 α,

b

に対 し, 確 率 変

ta

 aX +

by

は

正規 分 布

N (

ak +

b

μy, α2

σノ+がσの に従う。

  【

系

】

確率 変数

x

が正 規 分布

N (

μ, σ2

) に従 うとき,

   z

=

2 ⊆

二E

          σ

は

規

準正

規

分

布 N ( 0

, 1

)

に

従

う。

  【

2項 分 布の 正 規 分 布 近 似

】

 n が大 き く, か つ ,

p

が

0

又 は 1 に近 く ない と

き,

2

項 分 布

B

(n,

p

) を 正 規 分布

N (

nP , 

mp

(

1

−

p

))で近似す るこ と がで き る。

参照

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