法人税法の改正
はじめに
平成25年度税制改正においては、特に、現下の 経済状況等を踏まえ、「成長と富の創出の好循 環」の実現に向け、民間投資の喚起、雇用・所得 の拡大、中小企業対策・農林水産業対策等のため の税制上の措置を講ずること、また、社会保障・
税一体改革を着実に実施するため、所得税、相続 税及び贈与税についての所要の措置、住宅取得に 係る税制上の措置を講ずること、さらに、震災か らの復興を支援するための税制上の措置を講ずる こととされ、関係法令の改正が行われました。
このうち法人税関係(国際課税関係を除きま す。)については、企業再生関係税制について、
いわゆる期限切れ欠損金の損金算入限度額を適正 化するなどの改正が行われています。
これらの改正を含む「所得税法等の一部を改正 する法律」は、去る 3 月29日に参議院本会議で可 決・成立し、 3 月30日に平成25年法律第 5 号とし て公布されています。また、次の関係法令もそれ
ぞれ次のとおり公布されています。
・公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のた めの厚生年金保険法等の一部を改正する法律
(平25. 6 .26法律第63号)
・ 株式会社企業再生支援機構法の一部を改正 する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経 過措置に関する政令(平25. 3 .15政令第65号)
・ 法人税法施行令の一部を改正する政令(平 25. 3 .30政令第112号)
・法人税法施行令の一部を改正する政令(平 25. 5 .31政令第166号)
・ 法人税法施行規則の一部を改正する省令
(平25. 3 .15財務省令第 5 号)
・ 法人税法施行規則の一部を改正する省令
(平25. 3 .30財務省令第17号)
・ 減償却資産の耐用年数等に関する省令の一 部を改正する省令(平25. 3 .30財務省令第24 号)
・ 法人税法施行規則の一部を改正する省令
(平25. 4 .12財務省令第29号)
一 企業再生関係税制
1 改正前の制度の概要
⑴ 民事再生等の場合の資産の評価益又は評価損 の益金又は損金算入
法人について再生計画認可の決定があったこ
と等特定の事実が生じた場合において、その法 人がその有する資産の価額につき一定の評定を 行っているときは、評価益又は評価損の計上に 適しない資産を除き、その資産の評価益の額又 は評価損の額は、その特定の事実が生じた日の 目 次
一 企業再生関係税制……… 347
二 組織再編税制の見直し……… 354
三 連結納税制度……… 370
四 貸倒引当金……… 373
五 所得税額の控除……… 374
六 減価償却資産の耐用年数……… 375
七 青色申告書を提出しなかった事業年度 の災害による損失金の繰越し……… 376
八 厚生年金基金制度の見直しに伴う法人 税関係の改正 ……… 376
属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の 額又は損金の額に算入することとされています
(法法25③、33④)。
① 特定の事実とは、次に掲げるものとされて います(法法25③、33④、法令24の 2 ①、68 の 2 ①)。
イ 再生計画認可の決定があったこと。
ロ 上記イに準ずる事実(その債務処理に関 する計画がイからハまで及びニ又はホに掲 げる要件に該当するものに限ります。)
イ 一般に公表された債務処理を行うため の手続についての準則で次の事項が定め られているもの(政府関係金融機関、株 式会社企業再生支援機構及び協定銀行以 外の特定の者が専ら利用するためのもの を除きます。)に従って策定されている こと。
ⅰ 債務者の有する資産及び負債の価額 の評定に関する事項(公正な価額によ る旨の定めがあるものに限ります。)
ⅱ その計画が準則に従って策定された ものであること並びにロ及びハに該当 することにつき確認をする手続並びに その確認をする者に関する事項。なお、
確認をする者は、その計画に係る当事 者以外の者又は当該計画に従って債務 免除等をする者で、一定の者に限られ ており、具体的には、次の者とされて います(法令24の 2 ①一ロかっこ書、
法規 8 の 6 ①)。
ⅰ その計画に係る債務者である内国 法人、その役員及び株主等(株主等 となると見込まれる者を含みます。)
並びに債権者以外の者で、その計画 に係る債務処理について利害関係を 有しないもののうち、債務処理に関 する専門的な知識経験を有すると認 められるもの。なお、専門的な知識 経験を有すると認められる者が 3 人 以上(債務者である内国法人の借入
金その他の債務で利子の支払の基因 となるものの額が10億円に満たない 場合には、 2 人以上)選任される必 要があります。
ⅱ その計画に関する債務者に対し再 生支援をする株式会社企業再生支援 機構
ⅲ その計画に従って債務免除等をす る協定銀行
ロ 債務者の有する資産及び負債につき上 記イⅰの事項に従って資産評定が行われ、
その資産評定による価額を基礎とした債 務者の貸借対照表が作成されていること。
ハ 上記ロの貸借対照表における資産及び 負債の価額、その計画における損益の見 込み等に基づいて債務者に対して債務免 除等をする金額が定められていること。
ニ 2 以上の金融機関等(その計画に係る 債務者に対する債権が投資事業有限責任 組合契約等に係る組合財産である場合に おけるその投資事業有限責任組合契約等 を締結している者を除きます。)が債務 免除等をすることが定められていること。
ホ 政府関係金融機関、株式会社企業再生 支援機構若しくは協定銀行(これらのう ち、その計画に係る債務者に対する債権 が投資事業有限責任組合契約等に係る組 合財産である場合におけるその投資事業 有限責任組合契約等を締結しているもの を除きます。)が有する債権又は株式会 社企業再生支援機構若しくは協定銀行が 信託の受託者として有する債権につき債 務免除等をすることが定められているこ と。
(注) 政府関係金融機関とは、株式会社日 本政策金融公庫、株式会社国際協力銀 行及び沖縄振興開発金融公庫をいいま す(法令24の 2 ②一)。
② 評価益又は評価損の計上に適しない資産と は、次に掲げるものとされています(法令24
の 2 ④、68の 2 ③)。
イ 上記①の特定の事実が生じた日の属する 事業年度開始の日前 5 年以内に開始した各 事業年度又は各連結事業年度において次の 規定の適用を受けた減価償却資産
イ 国庫補助金等で取得した固定資産等の 圧縮額の損金算入(法法42①②⑤⑥)の 規定
ロ 特別勘定を設けた場合の国庫補助金等 で取得した固定資産等の圧縮額の損金算 入(法法44①④)の規定
ハ 工事負担金で取得した固定資産等の圧 縮額の損金算入(法法45①②⑤⑥)の規 定
ニ 非出資組合が賦課金で取得した固定資 産等の圧縮額の損金算入(法法46①)の 規定
ホ 保険金等で取得した固定資産等の圧縮 額の損金算入(法法47①②⑤⑥)の規定 ヘ 特別勘定を設けた場合の保険金等で取 得した固定資産等の圧縮額の損金算入
(法法49①④)の規定
ト 法人税法第81条の 3 第 1 項の規定によ り個別損金額を計算する場合における上 記イからヘまでの規定
チ 転廃業助成金等に係る課税の特例(措 法67の 4 ①~③⑨⑩、68の102①~③⑩
⑪)の規定 ロ 短期売買商品 ハ 売買目的有価証券 ニ 償還有価証券
ホ 資産の価額とその帳簿価額との差額がそ の資産を有する内国法人の資本金等の額の 2 分の 1 に相当する金額と1,000万円(そ の内国法人の借入金その他の債務で利子の 支払の基因となるものの額が10億円に満た ない場合には、100万円)とのいずれか少 ない金額に満たない場合のその資産
⑵ 民事再生等による債務免除等があった場合の 欠損金の損金算入
① 法人について再生手続開始の決定があった こと等の事実が生じた場合に上記⑴の一定の 評定が行われる場合において、上記⑴の適用 を受けるときは、繰越欠損金額で一定のもの のうち債務免除等を受けた金額等の合計額に 達するまでの金額は、その事業年度の青色欠 損金等の控除前の所得の金額を限度として、
損金の額に算入することとされています(法 法59②三)。
② 上記①の場合を除き、法人について再生手 続開始の決定があったこと等の事実が生じた 場合において、その法人が一定の債権につき 債務免除等を受けたときは、繰越欠損金額で 一定のもののうちその債務免除等を受けた金 額等の合計額に達するまでの金額は、その事 業年度の青色欠損金等の控除後の所得の金額 を限度として、損金の額に算入することとさ れています(法法59②一・二)。
(注) 上記①及び②の繰越欠損金額で一定のも のとは、①の場合にあっては次のイの金額 をいい、②の場合にあっては次のイの金額 からロの金額を控除した金額をいいます(法 令117の 2 )。
イ その適用を受ける事業年度終了の時に おける設立当初からの欠損金額
ロ 法人税法第57条第 1 項又は第58条第 1 項の規定によりその事業年度の所得の金 額の計算上損金の額に算入される欠損金 額
2 改正の内容
⑴ 民事再生等の場合の資産の評価益又は評価損 の益金又は損金算入
① 評価損益の計上に適しない資産の範囲の見 直し
評価損益の計上に適しない資産の範囲から、
評価損益が少額の資産(上記1 ⑴②ホの資 産)が除外されました(旧法令24の 2 ④五)。
この評価差額が少額の資産を評価損益の計 上の対象となる資産から除外する規定は、評 価差額が少額である資産については企業再生 の場面においては重要性が乏しく、時価算定 の公正性の担保について疑義があることなど の理由により設けられていましたが、企業再 生における私的整理の実務の成熟などにより 全ての資産について適正な資産評定が行われ、
資産が公正な時価により評価されるといった 現状からは、このような疑義は払拭されてい ること、企業再生の対象となる法人の規模や その営んでいる業種等によっては、一単位当 たりの評価差額が1,000万円(100万円)未満 である資産を大量に保有している場合もあり、
この場合には評価差額1,000万円(100万円)
の定額基準の存在により評価損益の計上がで きず、そのような法人の実態を正確に反映で きていないことなど、必ずしも現在の企業再 生の実情に沿ったものになっていなかったこ とからこの定額基準を廃止することとされた ものです。
上記の廃止に伴い、少額の減価償却資産の 取得価額の損金算入(法令133)又は一括償 却資産の損金算入(法令133の 2 ①)の規定 の適用を受けた減価償却資産その他これに類 する減価償却資産が追加されました(法令24 の 2 ④五)。
これは、評価差額が少額の資産を評価損益 の計上に適しない資産から除外した場合には、
その差額の大小にかかわらず全ての資産につ いて資産評定を行い、評価損益を計上するこ とが求められることとなりますが、法人税法 施行令第133条(少額の減価償却資産の損金 算入)や第133条の 2 (一括償却資産の損金 算入)の規定が、企業会計における重要性の 原則から重要性の乏しい資産について、会計 上資産に計上することなく費用として損金経 理した場合には、減価償却資産の取得価額に 相当する金額の全部又は一部の損金算入を認 めている規定であることから、その適用を受
けた資産について、改めて資産価値を算定し、
その後の減価償却により費用化を求めること は、これらの規定の趣旨に沿わないこと、ま た、評定事務の実情を踏まえ過度な負担とな ることを避ける必要があることなどから評価 損益の計上に適しない資産とされたものです。
同様に、租税特別措置法第67条の 5 第 1 項 の規定の適用を受けた減価償却資産や、その 取得価額が少額であった減価償却資産で、そ の帳簿価額が既に備忘価額程度となっている もの又は中古市場があったとしても時価が帳 簿価額を著しく上回らないことが明らかなも のなどは「その他これに類する減価償却資 産」として、評価損益の対象から除外される ものと考えられます。
(注) 「これに類する」ものに該当するかどうか については、資産の取得価額が20万円未満 であるかどうかなど一律の金額基準により 判断を求めるものではありませんので、そ の減価償却資産の法人における位置づけな どの要素によって「これに類する」ものに 該当するかどうかの判断がされることにな ると考えられます。
② 株式会社企業再生支援機構の改組に伴う改 正
株式会社企業再生支援機構法の一部を改正 する法律(平25年法律第 2 号)により、株式 会社企業再生支援機構法が改正され、株式会 社企業再生支援機構が株式会社地域経済活性 化支援機構に改組されたことに伴う規定の整 備が行われました(法令24の 2 ①一・五、法 規 8 の 6 ①二・②)。
なお、再建計画が準則に従って策定された ものであること等を確認する者であるその再 建計画の債務者に対して再生支援をする株式 会社地域経済活性化支援機構について、その 再生支援が次の要件を満たすものであること とされました(法規 8 の 6 ①二)。
イ その再生支援をするかどうかの決定が、
地域経済活性化支援委員会の決定により行
われるものであること。
ロ 再生支援の対象となった事業者に対して 債権を有する金融機関等に対する買取申込 み等の求めが、次のイ又はロのいずれかの 方法により行われるものであること。
イ 債権の買取りの申込みをする旨の回答 をするように求める方法
ロ 債権の買取りの申込み又は再生計画に 従って債権の管理等をすることの同意の いずれかをする旨の回答をするように求 める方法
これは、株式会社企業再生支援機構法の改 正により、原則として再生支援をするかどう かの決定が取締役会の委任を受けた場合にの み地域経済活性化支援委員会の決定事項とさ れたこと、買取申込み等の求めが従来の方法 に加え再生計画に従って債権の管理等をする ことの同意のみを求める方法によることもで きることとされたことから、本制度における 確認者となる株式会社地域経済活性化支援機 構の要件を従来どおりのものとするとため、
地域経済活性化支援委員会による決定と債権 の買取申込みを求めることを再生支援の要件 とするものですので、新たに要件を設けたも のではありません。
(注) 株式会社企業再生支援機構法の改正によ り、地域経済活性化支援委員会は、取締役 会の委任を受けた場合に限り、特定の事業 者以外の事業者の再生支援の申込みにつき 株式会社地域経済活性化支援機構が再生支 援をするかどうかの決定(支援決定)を行 うこととされました(株式会社地域経済活 性化支援機構法16)。
(参考) 株式会社地域経済活性化支援機構法(平 成21年法律第63号)(株式会社企業再生支援 機構法の一部を改正する法律(平成25年法 律第 2 号)による改正後)(抄)
(設置)
第15条 機構に、地域経済活性化支援委員会
(以下「委員会」という。)を置く。
(権限)
第16条 委員会は、次に掲げる決定(第 1 号 から第 6 号までに掲げる決定にあっては、
第25条第 1 項第 1 号の規定により認定を受 けた事業者に係るもの又は取締役会の決議 により委任を受けたものに限る。)を行う。
一 第25条第 4 項前段の再生支援をするか どうかの決定(同項後段の規定により再 生支援決定と併せて行う選定及び決定を 含む。)
二~七 省 略 2 省 略
(業務の範囲)
第22条 機構は、その目的を達成するため、
次に掲げる業務を営むものとする。
一 再生支援対象事業者に対して金融機関 等が有する債権の買取り又は再生支援対 象事業者に対して金融機関等が有する貸 付債権の信託の引受け(以下「債権買取 り等」という。)
二 再生支援対象事業者に対する次に掲げ る業務
イ 資金の貸付け(社債の引受けを含む。)
ロ 金融機関等からの資金の借入れに係 る債務の保証
ハ 出資(再生支援対象事業者の株式の 取得を含む。第 8 号及び第31条第 1 項 において同じ。)
ニ 事業の再生に関する専門家の派遣 ホ 事業活動に関する必要な助言 三~十一 省 略
2 ・ 3 省 略
(再生支援決定)
第25条 過大な債務を負っている事業者であ って、債権者その他の者と協力してその事 業の再生を図ろうとするもの(次に掲げる 法人を除く。)は、機構に対し、再生支援の 申込みをすることができる。
一 資本金の額若しくは出資の総額又は常 時使用する従業員の数を勘案して大規模
な事業者として政令で定める事業者(再 生支援による事業の再生が図られなけれ ば、当該事業者の業務のみならず地域に おける総合的な経済活動に著しい障害が 生じ、地域経済の再建、地域の信用秩序 の維持又は雇用の状況に甚大な影響を及 ぼすおそれがあると主務大臣が認めるも のを除く。)
二 地方住宅供給公社、地方道路公社及び 土地開発公社
三 前号に掲げるもののほか、国又は地方 公共団体が資本金、基本金その他これら に準ずるものの 4 分の 1 以上を出資して いる法人(国又は地方公共団体がその経 営を実質的に支配することができないも のとして政令で定める法人を除く。)
四 前 2 号に掲げるもののほか、その役員 に占める公益的法人等への一般職の地方 公務員の派遣等に関する法律 (平成12年 法律第50号)第 3 条第 2 項に規定する派 遣職員又は同法第10条第 2 項に規定する 退職派遣者の割合が政令で定める割合を 超えている法人その他国又は地方公共団 体がその経営を実質的に支配することが 可能な関係にあるものとして政令で定め る法人
2 ・ 3 省 略
4 機構は、第 1 項の申込みがあったときは、
遅滞なく、支援基準に従って、再生支援を するかどうかを決定するとともに、その結 果を当該申込みをした事業者(前項に規定 する中小企業者が申込みをした場合にあっ ては、当該申込みをした中小企業者及び当 該書面を交付した認定支援機関)に通知し なければならない。この場合において、機 構は、再生支援をする旨の決定(以下「再 生支援決定」という。)を行ったときは、併 せて、次条第 1 項に規定する関係金融機関 等の選定、再生支援対象事業者の事業の再 生のために当該関係金融機関等が同項各号
に掲げる申込み又は同意をすることが必要 と認められる債権の額(以下「必要債権額」
という。)及び同項に規定する買取申込み等 期間の決定並びに第27条第 1 項に規定する 回収等停止要請をすべきかどうかの決定を 行わなければならない。
5 ・ 6 省 略
7 機構は、再生支援決定を行ったときは、
速やかに、主務大臣にその旨を報告しなけ ればならない。
8 再生支援決定は、平成30年 3 月31日まで に行わなければならない。ただし、機構が あらかじめ主務大臣の認可を受けた事業者 に対しては、同年 9 月30日までの間、行う ことができる。
(買取申込み等の求め)
第26条 機構は、再生支援決定を行ったときは、
直ちに、その対象となった事業者(以下「再 生支援対象事業者」という。)の債権者であ る金融機関等のうち事業再生計画に基づく 再生支援対象事業者の事業の再生のために 協力を求める必要があると認められるもの
(以下「関係金融機関等」という。)に対し、
再生支援決定の日から起算して 3 月以内で 機構が定める期間(以下「買取申込み等期 間」という。)内に、当該関係金融機関等が 再生支援対象事業者に対して有する全ての 債権につき、次に掲げる申込み又は同意を する旨の回答(以下「買取申込み等」とい う。)をするように求めなければならない。
この場合において、関係金融機関等に対す る求めは、第 1 号に掲げる申込みをする旨 の回答をするように求める方法、第 2 号に 掲げる同意をする旨の回答をするように求 める方法又は当該申込み若しくは当該同意 のいずれかをする旨の回答をするように求 める方法のいずれかにより行うものとする。
一 債権の買取りの申込み
二 事業再生計画に従って債権の管理又は 処分をすることの同意(再生支援対象事
業者に対する貸付債権を信託財産とし、
当該同意に係る事業再生計画に従ってそ の管理又は処分を機構に行わせるための 信託の申込みを含む。)
2 前項の関係金融機関等に対する求めは、
再生支援決定を行った旨の通知及び事業再 生計画を添付して行わなければならない。
3 第 1 項第 1 号の債権の買取りの申込みは、
価格を示して行うものとする。
⑵ 民事再生等による債務免除等があった場合の 欠損金の損金算入
上記1 ⑵②について、青色欠損金等の控除前 の所得金額が債務免除等を受けた金額の合計額 を超える場合における繰越欠損金の損金算入額 は、青色欠損金等の控除後の所得の金額からそ の超える部分の20%相当額を控除した金額を限 度とすることとされました(法法59②)。した がって、法人が上記1 ⑵②の適用を受ける事業 年度において、債務免除等を受けた金額の合計 額を超える所得の金額がある場合には、少なく ともその超える部分の所得の金額の20%相当額 の金額がその事業年度の最終的な所得の金額と なります。
この改正は、平成23年度改正において青色欠 損金の損金算入限度額が当期の青色欠損金等の 控除前の所得の金額の80%相当額に制限された 一方で、青色欠損金に劣後して繰越欠損金を控 除する場合においては繰越欠損金額の損金算入 限度額は青色欠損金控除後の所得金額に達する までの金額とされたことにより、法人に債務免 除等を受けた金額を超える所得の金額がある場 合には、繰越欠損金を青色欠損金に優先して控 除する場合と劣後して控除する場合とで最終的 な所得の金額に差異が生じてしまう結果となっ ていたことから、平成23年度改正の趣旨を踏ま え、差異が生じないようにするために行われた ものです。
なお、繰越欠損金を優先控除する場合と劣後 控除する場合とで最終的な所得の金額に差異が
生ずる結果となるのは、青色欠損金の繰越控除 の損金算入限度額が所得の金額の80%相当額と なる法人だけですので、そもそもこの 8 割制限 の対象とならない中小法人等については、これ までと同様に青色欠損金控除後の所得金額を限 度として繰越欠損金を損金算入できることとさ れています。
(注) 中小法人等とは、次の法人をいいます。
① 普通法人のうち、資本金の額若しくは 出資金の額が 1 億円以下であるもの又は 資本金又は出資を有しないもの。ただし、
次の法人を除きます。
・ 大法人(資本金の額又は出資金の額 が 5 億円以上である法人、相互会社及 び外国相互会社並びに法人課税信託に 係る受託法人をいいます。)との間にそ の大法人による完全支配関係がある法人
・ 相互会社
・ 法人課税信託の受託法人
② 公益法人等又は協同組合等
③ 人格のない社団等
⑶ その他
① 中小企業者の事業再生に伴い特定の組合財 産に係る債務免除等がある場合の評価損益等 の特例の創設
青色申告書を提出する中小企業者について 平成25年 4 月 1 日から平成28年 3 月31日まで の間に再生計画認可の決定があったことに準 ずる一定の事実が生じた場合( 2 以上の金融 機関等が有するその中小企業者に対する債権 が債務処理に関する計画によって特定投資事 業有限責任組合契約に係る組合財産となる場 合に限ります。)には、その事実を上記1 ⑴ 及び⑵の制度の対象となる事実とみなして、
これらの制度の適用を受けることができる特 例が創設されました(措法67の 5 の 2 ①)。
なお、制度の詳細については、「租税特別措 置法等(法人税関係)の改正」の「第五 そ の他の特別措置関係」の「六 中小企業者の
事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免 除等がある場合の評価損益等の特例(創設)」
を参照してください。
② 被災法人について債務免除等があった場合 の欠損金の損金算入の特例の改正
被災法人について債務免除等があった場合 の欠損金の損金算入の特例が改組され、株式 会社東日本大震災事業者再生支援機構による 支援決定の対象となった法人又は産業復興機 構の組合財産である債権の債務者である法人 について再生計画認可の決定があったことに 準ずる一定の事実が生じた場合には、上記1
⑴及び⑵の制度の適用を受けることができる 特例とされました。なお、制度の詳細につい ては、「租税特別措置法等(法人税関係)の 改正」の「第六 震災税特法関係」の「二 被災法人について債務免除等があった場合の 欠損金の損金算入の特例」を参照してください。
3 適用関係
⑴ 上記2 ⑴①の改正は、平成25年 4 月 1 日以 後に再生計画認可の決定に準ずる事実が生ず る場合について適用し、同日前に再生計画認 可の決定に準ずる事実が生じた場合について は従前どおりとされています(改正法令附則
3 )。
⑵ 上記2 ⑴②の改正は、株式会社企業再生支 援機構法の一部を改正する法律の施行に合わ せ、平成25年 3 月18日から施行されています。
⑶ 上記2 ⑵の改正は、平成25年 4 月 1 日以後 に再生手続開始の決定があったことその他こ れに準ずる事実が生ずる場合について適用し、
同日前に再生手続開始の決定があったことそ の他これに準ずる事実が生じた場合について は従前どおりとされています(改正法附則 9 )。
二 組織再編税制の見直し
1 適格合併等が行われた場合の欠損金の 引継ぎとその制限
⑴ 改正前の制度の概要
内国法人を合併法人とする適格合併が行われ た場合又は内国法人との間に完全支配関係があ る他の内国法人でその内国法人が発行済株式若 しくは出資の全部若しくは一部を有するものの 残余財産が確定した場合に、被合併法人又は残 余財産が確定した法人に未処理欠損金額がある ときは、その未処理欠損金額は、その合併法人 である内国法人又は残余財産が確定した法人の 株主である内国法人の適格合併の日又は残余財 産の確定の日の翌日の属する事業年度前の各事 業年度において生じた欠損金額とみなすことに より、その内国法人に引き継がれることとされ ています(法法57②)。なお、上記の合併法人 又は株主である法人が連結親法人又は連結子法 人(連結法人)である場合には、その被合併法
人又は残余財産が確定した法人の未処理欠損金 額は、その合併法人又は株主である法人の属す る連結グループの連結欠損金額とみなすことに より、その連結法人に引き継がれることとされ ています(法法81の 9 ②二イ)。
ただし、その被合併法人(合併法人との間に 支配関係がある法人に限ります。)又は残余財 産が確定した法人(被合併法人等)とその合併 法人又は株主である法人(合併法人等)との間 に支配関係が生じた日が合併法人等の適格合併 の日の属する事業年度開始の日の 5 年前の日又 は残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度 開始の日の 5 年前の日後であるときは、適格合 併が共同で事業を営むための適格合併である場 合を除き、被合併法人等の未処理欠損金額には 次の①及び②に掲げる金額は、含まないことと されています(法法57③、81の 9 ②二イ)。
① 被合併法人等の被合併法人等と合併法人等 との間に最後に支配関係があることとなった
日(支配関係発生日)の属する事業年度(支 配関係事業年度)前の各事業年度で前 9 年内 事業年度に該当する事業年度において生じた 欠損金額
② 被合併法人等の支配関係事業年度以後の各 事業年度で前 9 年内事業年度に該当する事業 年度において生じた欠損金額のうち特定資産 譲渡等損失額に相当する金額
この特定資産譲渡等損失額に相当する金額 は、被合併法人等の支配関係事業年度以後の 各事業年度で前 9 年内事業年度に該当する事 業年度(対象事業年度)ごとに、次のイの金 額からロの金額を控除した金額とされていま す(法令112⑤)。
イ 対象事業年度に生じた欠損金額のうち、
対象事業年度を法人税法第62条の 7 第 1 項
(特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算 入)の規定が適用される事業年度としてそ の被合併法人等が支配関係発生日において 有する資産について、同項の規定を適用し た場合に特定資産譲渡等損失額となる金額 に達するまでの金額
ロ 対象事業年度に生じた欠損金額のうち、
その被合併法人等において所得の金額の計 算上損金の額に算入されたもの及び法人税 法第80条(欠損金の繰戻しによる還付)の 規定により還付を受けるべき金額の計算の 基礎となったもの並びに法人税法第57条第 4 項、第 5 項又は第 9 項の規定によりない ものとされたもの
(注) 共同で事業を営むための適格合併とは、適 格合併のうち次のイからニまでの要件又はイ 及びホの要件に該当するものをいいます(法 令112③)。
イ 適格合併に係る被合併法人が適格合併の 前に営む主要な事業(被合併事業)とその 適格合併に係る合併法人が適格合併の前に 営む事業(合併事業)とが相互に関連する ものであること。なお、適格合併が法人を 設立する合併である場合には、その適格合
併に係る他の被合併法人の被合併事業が合 併事業となります。
ロ 被合併事業と合併事業のそれぞれの売上 金額、被合併事業と合併事業のそれぞれの 従業者の数、適格合併に係る被合併法人と 合併法人又は他の被合併法人のそれぞれの 資本金の額若しくは出資金の額又はこれら に準ずるものの規模の割合がおおむね 5 倍 を超えないこと。
ハ 被合併事業がその適格合併に係る被合併 法人と合併法人又は他の被合併法人との間 に最後に支配関係があることとなった時か らその適格合併の直前の時まで継続して営 まれており、かつ、その最後に支配関係が あることとなった時とその適格合併の直前 の時における被合併事業の規模の割合がお おむね 2 倍を超えないこと。
ニ 合併事業が合併法人と被合併法人又は他 の被合併法人との間に最後に支配関係があ ることとなった時からその適格合併の直前 の時まで継続して営まれており、かつ、そ の最後に支配関係があることとなった時と その適格合併の直前の時における合併事業 の規模の割合がおおむね 2 倍を超えないこ と。
ホ 適格合併に係る被合併法人の適格合併の 前における特定役員である者のいずれかの 者と合併法人の適格合併の前における特定 役員である者のいずれかの者とがその適格 合併の後に合併法人の特定役員となること が見込まれていること。
なお、合併法人等が連結親法人又は連結子法 人である場合で、被合併法人等の適格合併の日 の前日が連結事業年度終了の日であるとき又は 残余財産の確定の日が連結事業年度終了の日で あるときは、その被合併法人等の前 9 年内連結 事業年度において生じた連結欠損金個別帰属額 は、合併法人等の連結欠損金額とみなされます
(法法81の 9 ②二ロ)が、その被合併法人等の 前 9 年内連結事業年度において生じた連結欠損
金個別帰属額を前 9 年内事業年度において生じ た欠損金額とみなすことなどにより法人税法第 57条第 3 項の規定により計算される未処理欠損 金額に含まないこととされる金額(上記①及び
②の金額)に相当する金額(引継対象外未処理 欠損金額相当額)は、合併法人等の連結欠損金 額とみなされる被合併法人等の連結欠損金個別 帰属額から除くこととされています(法法81の
9 ②二ロ、法令155の19⑧)。
⑵ 改正の内容
被合併法人等の未処理欠損金額に含まないこ ととされる欠損金額(引継対象外未処理欠損金 額)の計算について、次の見直しが行われまし た。
① 被合併法人等が適格組織再編成等により資 産の移転を受けていた場合の特定資産譲渡等 損失額に相当する金額の計算
上記⑴②の未処理欠損金額に含まないこと とされる特定資産譲渡等損失額に相当する金 額を計算する場合において、合併等前 2 年以 内期間内に行われた特定適格組織再編成等に よりその被合併法人等が有することとなった 資産については、その被合併法人等が支配関 係発生日において有するものとみなすことと されました(法令112⑥)。この被合併法人等 が有することとなった資産をその被合併法人 等が支配関係発生日において有するものとみ なすことにより、被合併法人等がその資産の 譲渡等をしたことにより生じた損失の額は、
上記⑴②イの特定資産譲渡等損失額となる金 額を構成することとなりますので、被合併法 人等の未処理欠損金額に含まれない欠損金額 として、合併法人等への引継ぎが制限される こととなります。
(注) 被合併法人等の連結欠損金個別帰属額か ら除くこととされる引継対象外未処理欠損 金額相当額を計算する場合には、法人税法 第57条第 3 項の規定によって計算すること とされています(法令155の19⑧)ので、こ
の改正により、被合併法人等が適格組織再 編成等により資産の移転を受けていたとき は、その移転を受けた資産を被合併法人等 が支配関係発生日において有するものとみ なして、連結欠損金個別帰属額から除くこ ととされる引継対象外未処理欠損金額相当 額を計算することとなります。
具体的には、次のイの場合におけるロの資 産が、被合併法人等が支配関係発生日におい て有するものとみなされます(法令112⑥)。
ただし、ハの資産に該当するものについては、
対象となる資産から除かれていますので、ロ の資産であっても、ハの資産に該当するもの は被合併法人等が支配関係発生日において有 するものとはみなされないこととされていま す(法令112⑥ただし書)。
イ 対象となる場合
被合併法人等のその適格合併の日又は残 余財産の確定の日以前 2 年以内の期間で合 併法人等と被合併法人等との間に最後に支 配関係があることとなった日以後の期間
(合併等前 2 年以内期間)内に、被合併法 人等又は特定支配関係法人を合併法人、分 割承継法人、被現物出資法人又は被現物分 配法人とし、特定支配関係法人を被合併法 人、分割法人、現物出資法人又は現物分配 法人とする 1 又は 2 以上の特定適格組織再 編成等が行われていた場合に、その 1 又は 2 以上の特定適格組織再編成等により移転 があった資産で被合併法人等が有すること となったものがあるときとされています。
なお、特定支配関係法人とは、合併法人 等及び被合併法人等の両方との間に支配関 係がある法人をいいます(法令112⑥かっ こ書)。また、特定適格組織再編成等とは、
適格合併若しくは適格合併に該当しない合 併で法人税法第61条の13第 1 項(完全支配 関係がある法人の間の取引の損益)の規定 の適用があるもの、適格分割、適格現物出 資又は適格現物分配(適格組織再編成等)
のうち共同で事業を営むためのものに該当 しないものをいいます(法法62の 7 ①)。
(注) 共同で事業を営むための適格組織再編 成等とは、適格組織再編成等のうち、上 記⑴の共同で事業を営むための適格合併 及びこの適格合併と同様の要件を満たす 適格現物分配と適格現物出資をいいます
(法令112⑩)。
ロ 対象となる資産
被合併法人等が支配関係発生日において 有することとみなされる資産(対象資産)
は、上記イの 1 又は 2 以上の特定適格組織 再編成等により移転があった資産とされて います。つまり、一度でも上記イの特定適 格組織再編成等により被合併法人等又は他 の特定支配関係法人等に移転が行われた資 産は、対象資産に該当することとなります。
ただし、上記イの 1 又は 2 以上の特定適 格組織再編成等により被合併法人等が有す ることとなった資産とされていますので、
当然ながら、特定適格組織再編成等により 移転が行われた資産であっても、被合併法 人等に移転がされなかった資産については、
対象資産には該当しません。また、対象資 産は、特定支配関係法人のいずれかが支配 関係発生日において有していたものに限る こととされています(法令112⑥)ので、
特定適格組織再編成等の被合併法人、分割 法人、現物出資法人又は現物分配法人とな った特定支配関係法人のいずれもが支配関 係発生日において有していなかった資産に ついては、対象資産には該当しません。
ハ 対象から除かれる資産
対象から除かれる資産は、次のとおりで す。
イ 合併等前 2 年以内期間内に行われた特 定適格組織再編成等に該当しない適格組 織再編成等により移転があった資産(法 令112⑥一)。すなわち、共同で事業を営 むための適格組織再編成等により移転が
行われた資産がこれに該当し、合併等前 2 年以内期間内にこの適格組織再編成等 により被合併法人等に移転されたものや この適格組織再編成等により他の特定支 配関係法人に移転された後に特定適格組 織再編成等により被合併法人等に移転さ れたものについては対象資産から除かれ ます。
ロ 合併等前 2 年以内期間内に行われた適 格合併に該当しない合併により移転があ った資産で法人税法第61条の13第 1 項
(完全支配関係がある法人の間の取引の 損益)に規定する譲渡損益調整資産以外 のもの(法令112⑥二)。すなわち、適格 合併に該当しない合併により時価による 移転が行われた資産がこれに該当し、そ の後に行われた特定適格組織再編成等に より被合併法人等が有することとなった ものであっても対象資産から除かれます。
ハ 上記イ及びロに掲げる資産以外の資産 で次に掲げるものに該当するもの
ⅰ 資産を次の単位に区分した後のそれ ぞれの資産の支配関係発生日における 帳簿価額又は取得価額が1,000万円に 満たないもの(法令112⑥三イ、法規 26の 2 ①)
ⅰ 金銭債権……一の債務者ごとに区 分します。
ⅱ 減価償却資産……次の区分に応じ てそれぞれに区分します。
⒜ 建物……一棟ごとに区分し、区 分所有されている建物については その区分所有された建物の部分ご とに区分します。
⒝ 機械及び装置……一の生産設備 又は一台若しくは一基ごとに区分 し、通常一組又は一式をもって取 引の単位とされるものについては 一組又は一式ごとに区分します。
⒞ その他の減価償却資産……⒜又
は⒝に準じて区分します。
ⅲ 土地及び土地の上に存する権利
……一筆ごとに区分し、一体として 事業の用に供される一団の土地等に ついてはその一団の土地等ごとに区 分します。
ⅳ 有価証券……その銘柄の異なるご とに区分します。
ⅴ その他の資産……通常の取引の単 位を基準として区分します。
ⅱ 支配関係発生日における価額が支配 関係発生日における帳簿価額を下回っ ていない資産。ただし、合併法人等の 適格合併の日又は残余財産の確定の日 の翌日の属する事業年度の確定申告書、
修正申告書又は更正請求書に支配関係 発生日における資産の価額及び帳簿価 額に関する明細を記載した書類を添付 し、かつ、支配関係発生日における資 産の価額を明らかにするものを記載し た次のいずれかの書類を保存している 場合に限られます(法令112⑥三ロ、
法規26の 2 ②)。
ⅰ 資産の種類、名称、構造、取得価 額、その取得をした日、支配関係発 生日における帳簿価額等その資産の 内容を記載した書類
ⅱ 次のいずれかの書類で支配関係発 生日における資産の価額を明らかに するもの
⒜ その資産の価額が継続して一般 に公表されているものであるとき は、その公表された価額が示され た書類の写し
⒝ 合併法人等が、支配関係発生日 における価額を算定し、これを支 配関係発生日における価額として いるときは、その算定の根拠を明 らかにする事項を記載した書類及 びその算定の基礎とした事項を記 載した書類
⒞ 上記⒜又は⒝のほかその資産の 価額を明らかにする事項を記載し た書類
2 年
(内国法人)P
【改正後】P への引継ぎ不可
資産 C の売却により生じ た欠損金額 C A 実現損
(被合併法人等)X
支配関係 発生日
▼
資産 A の売却により生じ た欠損金額
A 資産 B の売却により生じ
た欠損金額 B その他の欠損金額
B 実現損 C 実現損
当初からの グループ
(特定支配関係法人)Z Y
(特定支配関係法人)
①買収 ④適格
合併
③適格合併
②適格合併
C
(含み損)
B
(含み損)
A
(含み損)
欠損金額a 欠損金額
b 欠損金額
c
【改正のイメージ】
② 被合併法人等の未処理欠損金額のうちに特 定支配関係法人から引継ぎを受けた欠損金額 がある場合の未処理欠損金額の計算
上記⑴②の未処理欠損金額に含まないこと とされる特定資産譲渡等損失額に相当する金 額を計算する場合において、合併等前 2 年以
内適格合併が行われていたこと又は合併等前 2 年以内期間内に特定支配関係法人の残余財 産が確定していたことにより、被合併法人等 の欠損金額とみなされたこれらの特定支配関 係法人の各事業年度において生じた欠損金額 のうちに、特定資産譲渡等損失相当欠損金額 があるときは、その特定資産譲渡等損失相当 欠損金額は、合併法人等に引き継げないこと とされました(法令112⑦)。
(注) 被合併法人等の連結欠損金個別帰属額か ら除くこととされる引継対象外未処理欠損 金額相当額を計算する場合には、法人税法 第57条第 3 項の規定によって計算すること とされています(法令155の19⑧)ので、こ の改正により、被合併法人等の連結欠損金 個別帰属額とみなされた特定支配関係法人 の欠損金額のうちに特定資産譲渡等損失相 当欠損金額がある場合には、その特定資産 譲渡等損失相当欠損金額は、合併法人等に 引き継ぐことができないこととなります。
具体的には、次のイの場合において、次の ロの特定資産譲渡等損失相当欠損金額がある ときは、その特定資産譲渡等損失相当欠損金 額を上記⑴②イの特定資産譲渡等損失額とな る金額に加算することとされています。
イ 対象となる場合
次のイ又はロの場合に該当する場合にお いて、その被合併法人等の各事業年度にお いて生じた欠損金額とみなされた欠損金額 のうちに、特定資産譲渡等損失相当欠損金 額が含まれているときとされています(法 令112⑦)。
イ 被合併法人等の適格合併の日又は残余 財産が確定した日以前 2 年以内の期間で 被合併法人等と合併法人等との間に最後 に支配関係があることとなった日以後の 期間(合併等前 2 年以内期間)内に被合 併法人等又は特定支配関係法人を合併法 人とし、特定支配関係法人を被合併法人 とする 1 又は 2 以上の適格合併(合併等
前 2 年以内適格合併)が行われていた場 合
ロ 合併等前 2 年以内期間内に被合併法人 等又は他の特定支配関係法人による完全 支配関係がある 1 若しくは 2 以上の特定 支配関係法人の残余財産が確定していた 場合
(注) 特定支配関係法人とは、合併法人等 及び被合併法人等の両方との間に支配 関係がある法人をいいます(法令112⑥)。
ロ 特定資産譲渡等損失相当欠損金額 被合併法人等の各事業年度の特定資産譲 渡等損失額となる金額に加算する特定資産 譲渡等損失相当欠損金額は、上記イイの合 併等前 2 年以内適格合併の被合併法人であ る特定支配関係法人又は上記イロの残余財 産の確定した特定支配関係法人(関連法 人)の関連法人対象事業年度ごとに次のイ の金額からロの金額を控除した金額とされ ています。なお、他の関連法人の欠損金額 とみなされたものについては、他の関連法 人の所得の金額の計算上損金の額に算入さ れたもの、法人税法第80条(欠損金の繰戻 しによる還付)の規定により還付を受ける べき金額の計算の基礎となったもの及び法 人税法第57条第 4 項、第 5 項又は第 9 項の 規定により他の関連法人の欠損金額からな いものとされた金額並びに他の関連法人を 被合併法人とする適格合併が行われた場合 又は他の関連法人の残余財産が確定した場 合において未処理欠損金額に含まないこと とされた金額を除くこととされています
(法令112⑦)。
ただし、関連法人の各事業年度において 生じた欠損金額で共同で事業を営むための 適格合併に該当する適格合併により被合併 法人等又は他の関連法人の各事業年度にお いて生じた欠損金額とみなされた金額につ いては、適用がないこととされていますの で、特定資産譲渡等損失相当欠損金額はな
いものとされます(法令112⑦ただし書)。
この場合には、その関連法人の欠損金額と みなされた金額に係る特定資産譲渡等損失 相当欠損金額もないものとされます。
イ 関連法人対象事業年度に生じた欠損金 額のうち、関連法人対象事業年度を法人 税法第62条の 7 第 1 項(特定資産に係る 譲渡等損失額の損金不算入)の規定が適 用される事業年度としてその関連法人が 支配関係発生日において有する資産につ いて、同項の規定を適用した場合に特定 資産譲渡等損失額となる金額に達するま での金額(法令112⑦一)。なお、欠損金 額には、その関連法人の欠損金額とみな されたものを含みますが、そのみなされ た欠損金額のうち他の関連法人の特定資 産譲渡等損失相当欠損金額から成る部分 の金額を除きます。
ロ 関連法人対象事業年度に生じた欠損金 額のうち、その関連法人の所得の金額の 計算上損金の額に算入されたもの、その 関連法人において法人税法第80条(欠損 金の繰戻しによる還付)の規定により還 付を受けるべき金額の計算の基礎となっ たもの、法人税法第57条第 4 項、第 5 項 又は第 9 項の規定によりその関連法人の 欠損金額からないものとされた金額及び その関連法人を被合併法人とする適格合 併が行われた場合又はその関連法人の残 余財産が確定した場合にその関連法人の 未処理欠損金額に含まないこととされた もの(法令112⑦二)。なお、他の関連法 人の特定資産譲渡等損失相当欠損金額の
計算上控除された金額がある場合には、
その金額を控除した金額とされています。
(注) 関連法人対象事業年度とは、上記イ イの適格合併に係る被合併法人である 特定支配関係法人又は上記イロの残余 財産が確定した特定支配関係法人(関 連法人)の合併等前 2 年以内適格合併 の日前 9 年以内に開始し、又は関連法 人の残余財産の確定の日の翌日前 9 年 以内に開始した事業年度のうち、支配 関係発生日の属する事業年度以後の事 業年度をいい、法人税法第62条の 7 第 1 項(特定資産に係る譲渡等損失額の 損金不算入)の規定が適用される事業 年度を除きます。また、支配関係発生 日とは、関連法人と合併法人等及び被 合併法人等の両方との間に最後に支配 関係があることとなった日をいいます。
ハ 関連法人が他の関連法人から資産の移転 を受けていた場合の特定資産譲渡等損失相 当欠損金額の計算
関連法人が支配関係発生日以後の合併等 前 2 年以内期間内に行われた特定適格組織 再編成等により他の関連法人から資産の移 転を受けた場合には、その移転を受けた資 産については、その関連法人が支配関係発 生日において有するものとみなして上記ロ イの特定資産譲渡等損失額となる金額を計 算することとされています(法令112⑧)。
その関連法人が支配関係発生日において有 するものとみなされる資産の範囲について は、上記①の資産と同様ですので、上記① を参照してください。
2 年
(内国法人)P
【改正後】P への引継ぎ不可
B 実現損 ④適格
合併
資産 C の売却により生じ た欠損金額
C C
欠損金額 a
欠損金額 a
欠損金額 a
C 実現損 Y から引き継いだ他の欠損金額
A 実現損
欠損金額b
欠損金額 b
欠損金額c
X
(被合併法人等)
他の欠損金額 支配関係発生日
▼
①買収
資産 B の売却により生じ た欠損金額
B
B B 実現損 A 実現損
他の欠損金額
(関連法人)Y
資産 A の売却により生じ た欠損金額 A
A 実現損
Z
(関連法人)
当初からの グループ
③適格
(含み損) 合併
(含み損)
(含み損)
②適格合併
A
【改正のイメージ】
③ 特定資産譲渡等損失相当欠損金額の特例計 算
上記②の特定資産譲渡等損失相当欠損金額 を計算する場合において、上記②ロイの金額
(特定資産譲渡等損失相当額)を関連法人の 支配関係発生日の属する事業年度(支配関係 事業年度)の前事業年度終了の時における純 資産価額を基礎として計算した金額とするこ とができる特例が設けられています(法令 113⑧)。
(注) 被合併法人等の連結欠損金個別帰属額か ら除くこととされる引継対象外未処理欠損 金額相当額を計算する場合についても、上 記と同様に被合併法人等の純資産価額を基 礎として計算した金額とすることができる 特例が設けられています(法令155の19⑪⑫)。
具体的には、次の区分に応じ、次の金額と することされています(法令113⑧一・二)。
イ その関連法人の支配関係事業年度の前事 業年度終了の時における時価純資産価額が 簿価純資産価額以上である場合……その関 連法人の特定資産譲渡等損失相当額はない ものとすることとされています。したがっ て、その関連法人に係る特定資産譲渡等損 失相当欠損金額はないものとなります。
ロ その関連法人の支配関係事業年度の前事
業年度終了の時における時価純資産価額が 簿価純資産価額に満たない場合で、かつ、
その満たない金額(簿価純資産超過額)が その関連法人対象事業年度において生じた 特定資産譲渡等損失相当額の合計額に満た ないとき……その関連法人の特定資産譲渡 等損失相当額は、その関連法人の簿価純資 産超過額に相当する金額がその各関連法人 対象事業年度における特定資産譲渡等損失 相当額のうち最も古いものから順次成るも のとした場合にその事業年度における特定 資産譲渡等損失相当額のうちその簿価純資 産超過額に相当する金額を構成するものと された部分に相当する金額となります。し たがって、その関連法人の各事業年度の特 定資産譲渡等損失相当額の合計額が簿価純 資産超過額を超える場合におけるその超え る部分の金額は、ないものとして、特定資 産譲渡等損失相当欠損金額を計算すること となります。
(注) 時価純資産価額とは、その有する資産 の価額の合計額からその有する負債の価 額の合計額を減算した金額をいい、簿価 純資産価額とは、その有する資産の帳簿 価額の合計額からその有する負債の帳簿 価額の合計額を減算した金額をいいます。
なお、負債には、新株予約権に係る義務 を含むこととされています。
この特例計算は、合併法人等の適格合併 の日又は被合併法人等の残余財産の確定し た日の翌日の属する事業年度の確定申告書、
修正申告書又は更正請求書に上記イ又はロ による特定資産譲渡等損失相当額の計算に 関する明細を記載した書類の添付があり、
かつ、次の書類を保存している場合に限り 適用することができることとされています
(法令113⑨、法規26の 2 の 2 ③)。
イ 支配関係事業年度の前事業年度終了の 時において有する資産及び負債のその終 了の時における価額及び帳簿価額を記載 した書類
ロ 次のいずれかの書類で資産及び負債の 支配関係事業年度の前事業年度終了の時 における価額を明らかにするもの
ⅰ その資産の価額が継続して一般に公 表されているものであるときは、その 公表された価額が示された書類の写し
ⅱ 合併法人等が、その終了の時におけ る価額を算定し、これをその終了の時 における価額としているときは、その 算定の根拠を明らかにする事項を記載 した書類及びその算定の基礎とした事 項を記載した書類
ⅲ 上記ⅰ又はⅱの書類のほかその資産 及び負債の価額を明らかにする事項を 記載した書類
なお、税務署長は、その書類の保存がない 場合において、その書類の保存がなかったこ とについてやむを得ない事情があると認める ときは、この特例を適用することができるこ ととされています(法令113⑩)。
⑶ 適用関係
上記⑵の改正は、合併法人等と平成25年 4 月 1 日以後にその合併法人等との間に最後に支配 関係があることとなった被合併法人等との間で
行われる適格合併又は同日以後に合併法人等と の間に最後に支配関係があることとなった被合 併法人等の残余財産の確定について適用し、合 併法人等と同日前にその合併法人等との間に最 後に支配関係があることとなった被合併法人等 との間で行われた適格合併又は同日前に合併法 人等との間に最後に支配関係があることとなっ た被合併法人等の残余財産の確定については、
従前どおりとされています(改正法令附則 5 ①)。
2 適格組織再編成等が行われた場合の欠 損金の切捨て
⑴ 改正前の制度の概要
内国法人とその内国法人との間に支配関係が ある他の法人(支配関係法人)との間でその内 国法人を合併法人等とする適格組織再編成等が 行われた場合において、その内国法人と支配関 係法人との間に最後に支配関係があることとな った日が内国法人の適格組織再編成等の日の属 する事業年度開始の日の 5 年前の日後であると きは、その適格組織再編成等が共同で事業を営 むためのものに該当する場合を除き、その内国 法人の次の①及び②の欠損金額は、ないものと することとされています(法法57④)。なお、
適格組織再編成等とは、適格合併若しくは適格 合併に該当しない合併で法人税法第61条の13第 1 項(完全支配関係がある法人の間の取引の損 益の繰延べ)の規定の適用があるもの、適格分 割、適格現物出資又は適格現物分配をいいます。
① 内国法人のその内国法人と支配関係法人と の間に最後に支配関係があることとなった日
(支配関係発生日)の属する事業年度(支配 関係事業年度)前の各事業年度において生じ た欠損金額
② 内国法人の支配関係事業年度以後の各事業 年度において生じた欠損金額のうち特定資産 譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の 金額
この特定資産譲渡等損失額に相当する金額 は、内国法人の支配関係事業年度以後の各事
業年度(対象事業年度)ごとに、次のイの金 額からロの金額を控除した金額とされていま す(法令112⑧)。
イ 対象事業年度に生じた欠損金額のうち、
対象事業年度を法人税法第62条の 7 第 1 項
(特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算 入)の規定が適用される事業年度としてそ の内国法人が支配関係発生日において有す る資産について、同項の規定を適用した場 合に特定資産譲渡等損失額となる金額に達 するまでの金額
ロ 対象事業年度において生じた欠損金額の うち、その内国法人において所得の金額の 計算上損金の額に算入されたもの及び法人 税法第80条(欠損金の繰戻しによる還付)
の規定により還付を受けるべき金額の計算 の基礎となったもの並びに法人税法第57条 第 4 項、第 5 項又は第 9 項の規定によりな いものとされたもの
なお、内国法人が連結親法人又は連結子法人
(連結法人)である場合には、その連結法人の 前 9 年内連結事業年度において生じた連結欠損 金個別帰属額を前 9 年内事業年度において生じ た欠損金額とみなすことなどにより法人税法第 57条第 4 項の規定により欠損金額からないこと とされる金額(上記①及び②の金額)に相当す る金額(制限対象欠損金額相当額)は、連結欠 損金額からないものとすることとされています。
(法法81の 9 ⑤三、法令155の20⑤)。
⑵ 改正の内容
内国法人の欠損金額からないものとされる欠 損金額(制限対象欠損金額)の計算について、
次の見直しが行われました。
① 内国法人が適格組織再編成等により資産の 移転を受けていた場合の特定資産譲渡等損失 額に相当する金額の計算
上記⑴②の欠損金額からないものとされる 特定資産譲渡等損失額に相当する金額を計算 する場合において、上記⑴の適格組織再編成
等の日以前 2 年以内の期間で内国法人と支配 関係法人との間に最後に支配関係があること となった日(支配関係発生日)以後の期間
(合併等前 2 年以内期間)内において、その 内国法人又は内国法人及び支配関係法人の両 方との間に支配関係がある法人(特定支配関 係法人)を合併法人、分割承継法人、被現物 出資法人又は被現物分配法人とし、特定支配 関係法人を被合併法人、分割法人、現物出資 法人又は現物分配法人とする 1 又は 2 以上の 特定適格組織再編成等が行われていたときは、
その特定適格組織再編成等により移転があっ た資産のうちその内国法人が有することとな ったものについては、その内国法人が支配関 係発生日において有するものとみなすことと されました(法令112⑥⑪)。この内国法人が 有することとなった資産をその内国法人が支 配関係発生日において有するものとみなすこ とにより、内国法人がその移転を受けた資産 の譲渡等をしたことにより生じた損失の額は、
上記⑴②イの特定資産譲渡等損失額となる金 額を構成することとなり、内国法人の欠損金 額からないものとされる欠損金額となります。
(注) 連結欠損金額からないものとされる制限 対象欠損金額相当額を計算する場合には、
法人税法第57条第 4 項の規定によって計算 することとされています(法令155の20⑤)
ので、この改正により、連結法人が特定適 格組織再編成等により資産の移転を受けて いたときは、その移転を受けた資産をその 連結法人が支配関係発生日において有する ものとみなして、連結欠損金額からないも のとされる制限対象欠損金額相当額を計算 することとなります。
内国法人が支配関係発生日において有する ものとみなされる資産については、上記1 ⑵
①の被合併法人等が支配関係発生日において 有するものとみなされる資産と同様とされて います(法令112⑪)ので、上記1 ⑵①を参 照してください。