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目 次 はじめに Ⅰ ホウレンソウ栽培の基礎知識 1. ホウレンソウとは 2. ホウレンソウ栽培 (1) 栽培方法ア生理 生態的特徴イ作型 ( ア ) 春まき栽培 ( イ ) 夏まき栽培 ( ウ ) 秋まき栽培 ( エ ) 冬まき栽培ウ栽培のポイント ( ア ) 品種の選定 ( イ ) ほ場の準備

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加工用ホウレンソウ

機械化体系マニュアル

SPS 関東地域農業研究・普及協議会

研究実施機関:埼玉県農林総合研究センター

実用化支援機関:社団法人 日本施設園芸協会

埼玉県本庄農林振興センター

株式会社 ニシザワ

独立行政法法人 農研機構

野菜茶業研究所

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目 次

はじめに Ⅰ ホウレンソウ栽培の基礎知識 1.ホウレンソウとは 2.ホウレンソウ栽培 (1)栽培方法 ア 生理・生態的特徴 イ 作型 (ア) 春まき栽培 (イ) 夏まき栽培 (ウ) 秋まき栽培 (エ) 冬まき栽培 ウ 栽培のポイント (ア)品種の選定 (イ)ほ場の準備 (ウ)は種 (エ)は種後の管理 (オ)主な病害虫とその対策 Ⅱ 加工用ホウレンソウ機械化栽培体系 1.加工用ホウレンソウ収穫機 (1)収穫機の特徴 (2)収穫機の性能とメカニズム (3)移植機の仕様と作業能率 2.機械化作業体系 (1)トラクターけん引型シーダーマルチャーを使用したは種方法 ア 使用した機械 イ 使用方法 ウ 使用に当たっての注意 エ は種前の同時防除施肥作業 (2)は種後の栽培管理 ア 被覆 イ 除草 (2)機械収穫 ア 始動 イ 走行 ウ 収穫 エ 収穫機の刈り高さ オ 充電 カ その他注意事項

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(3)搬出 ア 追従作業運搬車 イ 軽トラック ウ 収穫作業中のコンテナの交換・回収作業 3.機械化栽培体系による経営効果 (1)労力・作業性 (2)生産コスト、収益性 参考文献

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はじめに

近年急増する業務・加工用野菜需要と、それに呼応する形で冷凍ホウレンソウの輸入が 増大するという状況に、国内産地の対応が遅れている。その最大の要因は約 150 円/kg と いう、輸入冷凍ホウレンソウの低価格性である。国産冷凍ホウレンソウの価格は、輸入品 の約2倍であり、安価で安定した供給を求める実需者のニーズに応えられる生産者は少な いのが実情である。 このような中、農林水産技術会議が(独)農研機構(主査機関:野菜茶業研究所)に委 託し実施した、「加工用軟弱野菜一斉収穫機の開発」で作業能率が非常に高いホウレンソ ウ収穫機(以下、加工プロ型ホウレンソウ収穫機という。)が開発された。 埼玉県農林総合研究センターでは平成21~22 年度にこの「加工プロ型ホウレンソウ収穫 機」を基礎成果として「研究成果実用化促進事業:加工・業務用ホウレンソウ低コスト生 産体系の確立」に取り組んだ。その内容は加工・業務用ホウレンソウの低コスト生産を実 現するために、ホウレンソウ播種時に同時に畝立て・マルチ・播種・殺虫剤散布ができる 同時作業機(以下、同時作業機という。)と加工プロ型ホウレンソウ収穫機での収穫物の 搬送作業を組み合わせた機械化一貫体系を構築し、100 円/kg を実現する加工・業務用ホウ レンソウの低コスト生産システムを、開発・実証するというものである。 今回、その成果を「加工用ホウレンソウ栽培の機械化体系栽培マニュアル」としてとり まとめ、今後加工・業務用ホウレンソウ栽培に取り組む地域・指導機関へ資することとし たい。

Ⅰ.ホウレンソウ栽培の基礎知識

1.ホウレンソウとは ホウレンソウはアカザ科に属す 1~2 年生植物で、原産地は中央アジア、もしくはア ジア南西部とされている。約2000 年前にペルシャ地域で人為的に野菜として栽培が開 始され始め、6 世紀頃に中国、11 世紀にはヨーロッパ各地に広まっていった。 日本には16 世紀頃に中国から、ヨーロッパから 19 世紀頃に持ち込まれ栽培が始ま った。中国から伝わったものを東洋種、ヨーロッパからものを西洋種と呼んでいる。 それぞれの特徴としては、東洋種は葉が薄く切れ込みが深い・株元が赤い・葉色が薄 い・種にトゲがある、西洋種は葉が丸くて厚い・葉色が濃い・晩抽性である、といわ れている。しかし近年は品種改良が進み西洋・東洋それぞれの長所を取り入れた品種 が多く出回るようになって、形態の特徴が必ずしもそれぞれの特徴を持っているわけ ではない。 2.ホウレンソウ栽培 (1)栽培方法 ア 生理・生態的特徴 ホウレンソウの生育適温は10~20℃である。耐寒性は強く-10℃程度ま では影響は無いが、高温には弱く30℃で生育が抑制される。 花芽分化がは種後15~30日に始まり、その後の花芽の生育は日長に大き く左右され、日長が13時間以上で急速に進む。 酸性土壌では生育抑制・葉の黄化が発生する(生育好適pH は 6~7 程度)。

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イ 作型 現在ホウレンソウは栽培地域やビニールハウスやトンネルの利用により、多種多 様な作型があるが、ここでは露地栽培での季節に基づいた県内での代表的な作型と その特徴について述べる。 (ア)春まき栽培(3月上~5月下旬は種→4月下~6月下旬収穫) 5月以降のは種の場合長日条件下での抽苔や立ち枯れ・べと病等の病害発 生への対策が必要になる。 (イ)夏まき栽培(6月上~9月上旬は種→7月上~10月上旬収穫) 高温・降雨による病害の発生・生育不良対策として雨よけ・遮光等が必要 になる。近年は埼玉県内での栽培は少なくなり、寒冷地での雨よけハウスで の栽培によるものが大部分である。 (ウ)秋まき栽培(9月中~11月上旬は種→10月中~3月下旬収穫) ホウレンソウの生理・生態に最も適した気象条件で、ホウレンソウ栽培が 一番容易である。 今後、埼玉県内だけでなく寒冷地以外で加工用ホウレンソウ栽培を行う場合 この作期での栽培が主流になると思われる。 (エ)冬まき栽培(11月下~2月下旬は種→2月下~5月上旬収穫) 防寒対策でハウスまたはトンネル栽培になる。栽培期間中の温度差が大きい ので、気象条件に応じた保温・換気が必要になる。 ウ 栽培のポイント (ア)品種の選定 生育期の日長が13時間以上の抽苔が発生しやすい時期(3月下旬~9月下 旬)に栽培を行う場合、晩抽性品種を選ぶようにする。 べと病は比較的冷涼な気候と多湿条件で発生が助長され、晩秋と春に降雨や 曇天が続くと、発生が急激にまん延する。埼玉県内の露地栽培では、10月~ 12月と3月~5月に発病が多くなるので、その時期に栽培を行う場合抵抗性 品種を選ぶようにする。(現在ベと病はレース番号1~7番まで確認されてい る、どのレースに抵抗性があるかは品種により異なるので、べと病が発生しや すい時期の栽培にはなるべく総てのレースに抵抗性のある品種を選定するよ うにする。) (イ)ほ場の準備 酸性土壌(pH5.5 以下)のほ場では生育に障害が出る可能性があるので、石 灰資材等で酸度矯正を行う。地力を高めるために堆肥の施用を行う。気温が比 較的高い時期で排水の悪いほ場では苗立ち枯れ病が発生しやすいので、あらか じめ土壌消毒を実施しておく。肥料は全量元肥でチッソ・リンサン・カリとも に15~20kg/10a 程度施用する。 (ウ)播種 近年機械による播種作業が大部分である、埼玉県南部では歩行式シーダーマ ルチチャーによる穴あきマルチを使用した点播、埼玉県北部では手押しもしく は管理機でのけん引型播種機での無マルチ条播が一般的である。 (エ)は種後の管理 は種後土壌が乾燥している場合は、発芽を揃えるために播種直後に灌水チュー ブ等を使用して灌水を行う(注:過度な灌水、発芽後の灌水は生育に障害がでる ために控える)。夏期はダイオネット、冬期は寒冷紗等の被覆資材で被覆する。

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(オ)主な病害虫 ・ベと病 栽培上の注意の品種の選定を参照、発生条件がそろうと一気に拡大するのでほ 場で発見したら薬剤散布等すみやかに対策を講じるようにする。 ・立枯性病害(立枯病・株腐病・根腐病・萎凋病) 生育初期に地上部が枯死する、夏まき栽培で発生しやすい。主な対策は多発 地・時期での雨よけ栽培・播種前の土壌消毒もしくは播種時の薬剤散布などであ るが、原因なる糸状菌が複数あるため注意が必要である。 ・アブラムシ アブラムシ本体よりも媒介するウイルス(えそ萎縮病・モザイク病)が問題に なりやすい、気象条件により短期間で大量発生するので発生初期の防除が重要に なる。 ・ハスモンヨトウ 気象条件等により大量発生する。ホウレンソウだけでなく他作物(サツマイモ 等)からの移動もあるので周辺の発生状況に注意する、老齢幼虫には薬剤が効き づらいので発生初期の防除が重要。 ・タネバエ、コナダニ ほ場の未熟有機物が発生源になることが多いので、未熟堆肥の施用を控える。 また前作の植物残さも発生源になる可能性があるので、ほ場から収穫終了後に 除去するように心がける。 ・アザミウマ類 ホウレンソウへの被害をもたらすのはミナミキイロアザミウマ及びネギアザ ミウマである。 アザミウマ類は大きさが小さくほ場では両種の見分けが困難であるが、薬剤防 除の場合それぞれ対象薬剤が異なるので注意が必要。 ・シロオビノメイガ 近年増加している害虫、アカザ科植物だけでなくヒユ科、スベリヒユ科植物も 食害する。対策は対象薬剤が少ないので、ほ場周辺から被害株や周辺雑草(スベ リヒユ等)の除去に努めるようにする。

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Ⅱ 加工用ホウレンソウ機械化栽培体系

1.加工用ホウレンソウ収穫機

既存のホウレンソウ栽培ではの収穫・調製にかかる作業は全て手作業で行われるため ために全作業時間の90%を占めることから、取引単価が低い加工用の生産での作業の省 力化が求められている。野菜茶研と(株)ニシザワが開発した加工用ホウレンソウ収穫機 は作業能率が高く、収穫作業での大幅な省力化が期待できる。現在埼玉県内でも加工用 ホウレンソウ栽培が行われているが、収穫作業は手作業で行われており今後の需要増加 に対応していくには労力・コスト両面で限界がある。今後加工用ホウレンソウ栽培は県 内だけでなく遊休農地等を利用して全国に広まっていくとみられ、本収穫機の基本性能 を明示してその導入の促進に資する。 (1)収穫機の特徴 加工用ホウレンソウ収穫機(図1)の特長を要約すると ●歩行式、電動なので露地だけでなくハウス等での使用にも適する。 ●手作業対比約10倍の高能率で大幅な省力化がはかれる ●バリカンで株元から刈り取るため、収穫物に加工用ホウレンソウで不要な根株は 入らない。 ●約3t/10aの収量が可能である。 秋まきホウレンソウ(品種:クロノス)を草丈約45cm で収穫した場合調整後約 3t/a の収量が得られた。(図2) などが大きな特長と言える。 図1 加工用ホウレンソウ収穫機 ←全動力は後方のバッテリー(12V2基)で行う。 0 50 100 150 200 250 300 350 クロノス トラッド7 草丈約30cm 草丈約45cm (kg/a) 図2 ホウレンソウ収穫機による 草丈・品種別収量

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(2)収穫機の収穫のメカニズム 本収穫機は、バリカン刃(刈幅約120cm)で刈り取りを行い、刈り取ったホウレン ソウをブラシでかき上げコンベアーでコンテナ(寸法:70×47×34cm程度、2個) に収穫物を収納する。(図3) 本収穫機でホウレンソウを収穫する場合ベット幅約110cm6条マルチ栽培(3615 マルチ使用)を行う。 図3 ホウレンソウ収穫機の収穫のメカニズム

前方のバリカンで刈り取り

ブラシでかき上げる コンテナに収納 (2個使用) ベット幅約110cm(36 15マルチ使用) コンベアでコンテナへ 機械操作は主に 前面のパネルと ハンドルで行う。

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(3)収穫機の仕様と作業能率について ア.作業能率について 本収穫機は収穫時のコンテナ交換に 15 秒/回かかり、ホウレンソウの収量に応じて 1~2m走行するごとに交換が必要となる。収穫時の作業時間は、ベット幅約110cm 6条マルチ栽培(3615 マルチ使用)のホウレンソウを、作業速度 0.059m/sで作業を 実施した場合 4.23 時間/10a かかる。収穫の際収穫機のオペレータ 2 人、コンテナ運搬 2 人が必要で、収穫時の総作業時間は、16.9 時間/10a となり、収穫機の能率は手作業 の作業時間(165 時間/10a)の約 10 分の1になる。(表2) 収穫機の仕様については平成22年3月現在まだ開発段階のため暫定値となるが表1 の通りである。 2.加工用ホウレンソウ機械化栽培体系 ホウレンソウ収穫機の紹介で記述したように、今回使用した収穫機は手作業の約10倍 の作業が可能であるため、一度に多くの面積の栽培が可能である。そのため、収穫だけで なくホウレンソウ栽培にかかる他の作業についても省力・機械化が必要になる。本章では、 その組み立てた機械化栽培体系の具体的な作業と調査結果について説明していく。 表3 作業体系 作 業 機械化栽培体系 慣行作業体系 播 種 同時播種マルチャー(トラクター) 播種マルチャー、薬剤散布、 肥料散布 収 穫 収穫機 追従作業機 手作業 搬 出 追従作業機 (軽)トラック 手作業 運 搬 (軽)トラック (軽)トラック

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(1)トラクターけん引型シーダーマルチャーを使用した播種方法 加工用ホウレンソウ収穫機で収穫を行う場合先述したように、穴あきマルチを利用 した栽培を行う必要があるため、播種作業はマルチ穴内に播種を行っていくことが必 要になる。 埼玉県内でマルチ栽培を行っている産地では通常歩行型シーダーマルチャーを使用 しているが、今回はトラクター牽引型シーダーマルチャーを使用した調査・実証を行 ったのでその使用方法について述べる。 図4 歩行式シーダーマルチャーを使用した播種 ア.使用した機械 今回実証に使用したシーダーマルチャーは(株)向井工業製MR6-150を 使用した。 図5 トラクターけん引式シーダーマルチャーMR6-150 主な特徴 ●マルチ専用(うね形成)ロータリー一体のトラクターけん引型シーダーマル チャー ●播種方法はマルチ穴感知型のベルト繰り出し式 ●使用するトラクターの適応馬力は18~25ps

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イ 使用方法 図6 3615マルチ(マルチ幅130cm、6条、株間15×15cm)を使用する。 (左は大穴透明マルチ、右は中穴黒マルチ) 図 7 トラクターとの接続は3点リンク 図8 播種前には耕耘用ロータリを使用した 耕うんは必要 図9 種子ホッパーに種子を投入 図10 播種機を降ろしマルチの端を押さえる

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図 11 ほ場走行時には一定の速度で走ること 図 12 マルチの端を埋める。 (速度が変わると種の落ちる位置がずれる) うね高さ約5cm うね幅約110cm 図13 今回形成うねの形状、うね高さはほ場の排水の良し悪しによって変える。 (本機械はうね高さ5~25cmまで調整可能、排水悪→うね高く、排水良→うね低く) ウ 使用にあたっての注意 (ア)は種時の種子がマルチの穴の中に入っているかどうか試走をして確認する。 位置がずれている場合はは種機の調整を行う。 播種位置がずれていると、生育に影響がでるため。(図15・16:ホウレンソ ウがマルチを持ち上げる) 図 14 向井工業製の作業機には本体に調整方法が 記載してある 図15 播種位置のずれ(発芽直後) 図 16 収穫前

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(イ)ホウレンソウ品種・粒数サイズ等について 秋冬まき栽培の品種はクロノス・トラッド7、播種時の粒数は1穴4粒程度にする。 ホウレンソウの品種は刈り取り収量 2.5t 以上が見込め、べと病に抵抗性を示し、 極立性で苗立ち率の高かったクロノス・トラッド 7 を秋冬まき品種とするのが妥当で ある。(図17) 1 穴当たりの株立ち数を変えてホウレンソウの生育をみた場合。株数が少ないほど 1 株は大きく育ち、葉が大きく厚みがあって品質が良くなるが、収量的には株数の少な さを補えるほど大きくなるわけではない。生産コストの点から、収量は重要なので、 4株が良いと考えた。最適株数については、生育面だけでなく播種機の播種精度から も、多すぎない方が望ましい。(図18) 図17 品種別ホウレンソウ生育データ 図18 株数別生育データ ホウレンソウの種子を購入する際、品種により種子のサイズ(LかM)を選択する ことができるものがあり、加工用栽培のように草丈を大きくして収穫する場合、Lサ イズを選択すること。また生育ステージを揃えたい場合は購入後種子をフルイにかけ るなど種子の大きさを揃えておくとより効果的である。 ホウレンソウの場合種子の大きさは品種によって大きく異なる。は種機のは種粒数 変更は粒数調整ユニットの交換等で対応するが、栽培時期による品種の変更や同一品 種でも種子のサイズを変更した場合ほ場での試走等によって粒数の確認を行うこと。 (向井工業製の場合、粒数調整は繰り出しベルトを交換する) 0 100 200 300 400 500 600 700 2株 4株 6株 2株 4株 6株 クロノス トラッド7 株数(株/穴) 収 量 (k g/ a) 株 重 (g / 5 株 ) 葉柄 葉身 5株重 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 クロ ノス トラッ ド7 ビリー ブ リビエ ラ パレ ード プラ トン サラ ダホ ウレ ンソ ウ パン ドラ サン ピア テン 茎 葉 重 ( kg / a) 茎葉重 葉色 葉の厚さ

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エ は種前の同時防除施肥作業 は種作業をトラクターで行うため、トラクター(播種機)に粒剤施用機・施肥機 を設置し作業を行えばは種時に同時に防除施肥が実施できる。 図19 播種同時防除・施肥作業 粒剤はタネバエ対策の粒剤を施用(施用量は薬剤ごとに使用量に準ずる)。 肥料はほ場の状態にもよるがチッソ・リンサン・カリともに15~20kg/10 a施用。 土壌改良資材等はは種前の耕うん前に施用しておくこと。 *図19のように同時作業を行う場合、トラクター運転者がは種時に複数の操作(ト ラクター運転・耕うん・は種・施肥・薬剤散布)を行うことになる。操作の切り替 え時(播種開始・終了・うねの旋回等)にそれぞれの操作を間違わないようにする。 (例:は種開始時に、は種や施肥散布操作をしないで走行してしまうなど・・・) 肥料散布機 薬剤散布機

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(2)播種後の栽培管理 ア 被覆 秋まき栽培で9月下~10月上には種を行う場合は特に必要はないが、10月下旬 以降か冬まき栽培を行う場合は種直後の被覆処理が、発芽やそれ以降の生育に大きな 影響を与える。(図20) 図 20 秋 冬 ま き ホ ウ レ ン ソ ウ の 被 覆 に よ る 生 育 差 ( 左 : ト ン ネ ル 被 覆 、 中 央 : べ た が け 被 覆 右:無被覆) 図21 秋冬まきホウレンソウの被覆処理による生育差(グラフ) 11月20日まき(3月5日収穫)のホウレンソウの生育は、トンネル区(ユーラック カンキ2号)>べたがけ区(パスライト)>無被覆区の順に進み、被覆資材の保温力による 生育促進効果が明らかで、在ほ期間の短縮を図れた。(図21)また、草姿が立性となった ため、機械収穫適性が増加するという効果も期待できる。トンネル被覆はホウレンソウ の生育には最適の処理であるが、水田跡地や沖積土壌の用にトンネル用の支柱の設置・ 撤去が困難であるような場合はべたがけ処理を行う。 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 トンネル区 べたがけ区 無被覆区 茎 葉 重 (k g/ a ) 茎葉重 草丈

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イ 除草 ホウレンソウで機械収穫を行う場合、手作業による収穫と異なり異物の選別がされ ない状態でコンテナに収納され、特に雑草はホウレンソウと同じように刈り取られて しまう。そのため、雑草が多いほ場では種直後に除草剤処理を実施することは加工処 理過程の労力軽減のため重要な作業である。(図22) 雑草の発生を抑制するためには、は種時に黒マルチを展張又は子葉展開期にアージ ラン液剤の散布を行うと効果が高い。(図23) 図 22 収穫機使用時の雑草の混入 図23 被覆資材・除草剤使用による除草効果 (ウ)防除 前章で述べたように秋冬まき栽培のホウレンソウは、栽培期間中の病害虫の発生 が少ないため、それほど注意を払う必要はない。しかし、ほ場で病害の発生がみら れたときには農薬散布等を実施する。 *注意すべき病害虫:ベと病、ヨトウムシ類、コナダニ等 (3)機械収穫 加工施設の処理方法にもよるが、草丈が約40cm以上になった時点で収穫を行う。 ア 使用方法 本収穫機は平成 22 年 3 月現在まだ開発中で本調査に使用した収穫機はプロトタイプで ある。今後市販化(平成 22 年夏予定)された場合多少操作が変更される可能性がある。 (ア)始動 キーの差し込み等の作業はなく、安全装置 2 カ所(図 24・25 の赤いボタン)の解除を 行う。 図 24 図 25 充電・メインブレーカーをONにする(図 26 は充電・メイン・駆動ブレーカーがON、 0 10 20 30 40 50 60 70 80 黒マルチ アージラン液剤 無処理 雑 草 重 量 (g / ㎡ )・ ホ ウ レ ン ソ ウ 草 丈 (c m ) 雑草重量 ホウレンソウ草丈

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コンベア・刈り刃ブレーカーがOFFの状態) 図 26 バッテリー残量計が十分であることを確認する。(図 27:残量の場所に赤いゲージ で表示される)もし残量が少ない場合充電を行う→充電方法は充電の項目を参照。 図 27 (イ)走行 走行前に注意すること、前方のバリカンの位置を確認して走行に支障がないかどう かを確認すること。(図 28:調整は後方バッテリー横のハンドルで調整する) 図28 (刈り刃が地面に接している) (ハンドルで調整) (この程度なら走行可能) 満タンの場合この位置に表示

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図 29 かき上げブラシの高さ調整も同時に行う。図 30 左右ハンドルのクラッチで旋回を行う。

図 31 操作パネル:左右の旋回以外はこのパネルで操作

図 32 走行・作業スティックを操作して走行開始 図 33 速度は最大でも1.2km/hなので長距離移動は 不向き

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(ウ)収穫 ・収穫前に準備するもの 本収穫機は収穫物をコンテナに収納していく、草丈40cmの生育良好なほ 場では、10aあたり400~500程度のコンテナが必要になる。(寸法:70 ×47×34cm程度、両脇に金具がついている物の方が後の作業が圧倒的に楽で ある。) 図34 使用するコンテナ(青)2 個、黄色のコンテナは一般的な野菜コンテナ(61×42×39) ブレーカースイッチ総てをONにして、ブレーカーの隣のモードスイッチ「作 業」にする、操作パネルでコンベア・刈り刃スイッチを「起動」して、ホウレ ンソウのうねに収穫機を進ませる。進入時に刈り高さ調整を忘れずに! 図35 収穫機収穫作業 図36 コンテナの交換 交換したコンテナ、総重量約10kg(内容重量約 6.4kg)

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・作業スピードは生育状況にもよるが 0.059m/s程度が最も順調に収穫が行える。 ・コンテナの交換は1~2m走行ごとに交換が必要になる。 ・機械収納時はブレーカーをOFFにした後安全装置のボタンを押しておく。 *本収穫機は安全装置をセットしないと機械に電流が流れるためバッテリー容量が減 少していくので注意。 (エ)収穫機の刈り高さ 収穫機で収穫を行う際に、機械の走行の説明で述べたがバリカンの高さ調節 で刈り高さの調整が可能である、刈り高さの範囲はうね高さ約5cmの場合刈 り高さ最高約18cm(図40:コンテナに切り株が当たるため)から最低約 1.5cm(図39:泥・マルチ等のゴミの混入、切り株を抜いてしまう可能 性から)程度である。 図37 刈り高さ 17.7cm 図38 刈り高さ 1.5cm 実 際 図 最適な刈り高さは草丈約50cmで刈 り高さ約 1.5cm~18cm での部位別(葉 身・葉柄・外品)の収量を調査したが、 約8cm程度で収穫を行うのが収量・品 質のバランスからみて妥当であるとお もわれた。(図41) 図41 図40 図39

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(オ)充電 収穫機に使用しているバッテリーは連続使用していると容量の減りが早いが1 0分程度運転を休止するとある程度回復する。満タン状態から2~3時間程度の 使用であれば翌日充電無しでもほほ満タン状態になっているため、それほど充電 は必要にはならない。しかしほ場の真ん中では電力の補充や動かなくなった収穫 機の移動は困難であるために、走行作業中はバッテリー残量計は常に確認が必要 である。作業終了後に充電を行う場合は専用の充電器(12V)で充電を行う。 バッテリーは2基あるが1台の充電器で充電する。但し完全にバッテリーが空の 状態であれば、充電はほぼ1日(1夜では不十分)かかるので注意が必要。(充電 器は充電が終了すると自動的に停止する。)(図42) 図42 (カ)その他注意事項 降雨時もしくはぬれたホウレンソウの収穫はなるべくひかえる。 駆動系が全て電力だからというだけではなく、ホウレンソウの収穫能力が格段に落 ちる。 うねに収穫機に進入させる際にバリカンの位置に注意する、特にほ場が周りより低 い場合、うねへ進入時に刈り刃がマルチ(畑)に潜り込むことが多い(図43・44) イネのコンバインでの収穫時の注意事項と同様)。 図43収穫のうねへの進入 図44 刃の潜り込みによるマルチの破損

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(4)搬出 収穫機での収穫は作業能率が非常に高く同一時期に収穫するホウレンソウの栽 培面積を増やすことを可能とした、しかし収穫物の収納にはコンテナを非常に多 く使用しその速やかな交換・搬出作業が求められる、ここではその搬出作業方法 についての実証について記述する。 ア 追従作業運搬車 ・CV42(築水キャニコム製:最大出力4.2 ps、最大積載量500kg) 特徴:クローラー駆動 通常走行の操作部は後方であるが一部の操作系が荷台前 方にもあるために前後両方からの操作が可能。 図45 CV42 <単独走行> ベット幅約110cmの畝内走行は問題なく走行可能。収穫物を収納したコンテ ナ20個程度を積載しても走行に問題は無く、段差を乗り越える際も特に荷崩れ等 は発生しなかった。 <追従走行> 追従走行性能は良好(図46)で、草丈約50cmのホウレンソウ上をまたぐこ とが可能(図47:荷台床面高さ約70cm)。収穫機操作者がコンテナ交換を行う ことも可能(図48)。

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図46 図47

図48

なお現在CV42は市販されておらず、平成 22 年 3 月現在後継機CV43が販売されて いる(図49:荷台が全面フラットなのでコンテナの収用能力はより高いと思われる)。

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イ 軽トラック 農家で最も一般的に使用される農業機械(?)、4輪駆動タイプであれば、十分に乾いた 排水性が良好なほ場への侵入が可能。またコンテナ回収が終了すれば直接加工工場へ運送 できる。 ホウレンソウ栽培ほ場への侵入はうね高さ約5cmベット幅110cmの場合は種後から 生育初期もしくは、収穫後であれば侵入可能(図50・51)。 しかしそれ以外の時期は侵入不可能(図52・53:今回使用した軽トラでは前のバンパ ーもしくは駆動部分がホウレンソウに接触する)。 図50 図51

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図52 図53

図54 コンテナは24個まで積載可能

排水良好なほ場であれば、収穫時に軽トラックを収穫機と同時に走行させることが、 一番最善であると思われたが、実際は収穫時には進入が不可能であった。

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ウ 収穫作業中のコンテナの交換・回収方法 (ア)排水良好なほ場・ほ場が乾いているとき 収穫前:空コンテナを2個ずつ等間隔(約2mおき)においていく(2 名:軽ト ラか人力) 収穫時:収穫機のみ使用(2 名)、収穫後コンテナはその場所に置いておく 回収:回収を軽トラで行う。(2 名)そのまま加工場へ輸送 (イ)ほ場の排水性が悪いほ場、もしくは降雨後のぬかるんでいるほ場 収穫前:追従作業機に空きコンテナをのせる。 収穫時:収穫機に追従して走行(収穫機2 名、作業機 2 名)、収穫後のコンテ ナを空きコンテナに交換しながら走行する。 空きコンテナが無くなったら追従作業機はコンテナを軽トラ(もし くはトラック)に積み、空コンテナを持ってくる。 収穫後:トラックで加工場へ輸送する。

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体   系 耕うん 施肥 うね立て は 種 マルチ 殺虫剤 散布 収穫 運搬 ほ場 片付け 合計 省力機械化 ロータリー マニアスプ レッダ 収穫機 トラック ロータリー 作業時間(h/10a) 2 3 17 2 2 28 慣   行 ロータリー マニアスプ レッダ シーダーマ ルチャー 手散布 手刈り トラック ロータリー 作業時間(h/10a) 2 3 2 1 165 2 2 177 注[1]埼玉県上里町での調査結果  [2]作業時間は、順調に稼働している際のタイムスタディによる 同時は種マルチャー 2 単収 単価 粗収入 変動費 限界利益 労働時間 kg/10a 円/kg 円/10a 円/10a 円/10a hr/10a

ホウレンソウ 収穫機 2,500 100 250,000 101,200 148,800 28 9~5月 コマツナ 収穫機 2,500 80 200,000 95,000 105,000 26 6~8月 注[1]労働力:パート1人、収穫作業は臨時雇用4人 800円/時、雇用労賃は変動費   [2]農地:畑(借入地)12ha 地代10,000円/10a  [3]償却資産 トラクター200万円、ロータリー25万円、トラック70万円、同時は種マルチャー70万円、            収穫機180万円、運搬機70万円、マニュアスプレッダ60万円 作目 収穫方法 栽培期間 3.機械化栽培体系による経営効果 (1)労力・作業性 ホウレンソウ収穫機は、収穫作業の能率が手作業の約 10 倍で、4人の組作業では延べ 17 時間/10a で収穫作業が実施できる。この収穫機を利用した省力機械化作業体系では、 総作業時間28 時間/10a となり慣行の 15.7%に短縮される(表4)。 表4 ホウレンソウ生産体系と 10a 当たり作業時間 (2)生産コスト、収益性 加工・業務用ホウレンソウ経営モデルは、雇用労力によりホウレンソウとコマツナ を栽培する借地型経営で、加工施設を持つ法人経営体を前提に試算計画法と損益分岐点 分析を併用して作成した(表5)。生産類型はホウレンソウ9か月作付及びホウレンソ ウ9か月+コマツナ3か月作付の2類型とした(表6)。作付面積は、加工施設の日処 理能力 4,000kg 及び栽培期間の屋外作業可能日数から設定した。雇用労賃は 800 円/時、借入地代は 10,000 円/年とした。 ホウレンソウ単一類型では、年間 32.3ha の作付けが可能である。このときの限 界利益は省力機械化体系が 48.1 百万円、慣行体系が 8.4 百万円である(表6)。 ホウレンソウとコマツナの複合類型では、年間 46.1ha の作付けが可能である。こ のときの限界利益は、省力機械化体系が 62.6 百万円、慣行体系が 9.1 百万円であ る(表6)。 表5 経営モデルの前提条件

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作付面積 売上高 変動費 限界利益 所得 ha 千円 千円 千円 千円 ホウレンソウ単一(9~5月) 32.3 80,750 32,623 48,127 46,697 (慣行体系) 32.3 80,750 72,352 8,398 7,496 ホウレンソウ(9~5月)+コマツナ(6~8月) 46.1 108,350 45,733 62,617 61,187 (慣行体系) 46.1 108,350 99,262 9,088 8,186 注[1]年間固定費は機械化体系1,430千円、慣行体系902千円   [2]作付面積は加工所日処理能力4t及び屋外作業可能日数288日から設定 経営モデル 0 50 100 150 200 250 0 1000 2000 3000 4000 5000 機械化 慣行 表6 収穫機の導入が経営モデルに及ぼす効果 ホウレンソウ単一類型の収量別損益分岐点単価は、収量 2.5t/10a の場合省力機 械化体系が 42.1 円/kg、慣行体系は 90.7 円/kg であった(図 55)。冷凍用ホウレ ンソウの価格は 60 円/kg という取引事例(農畜産業振興機構調査)がある。省力 機械化体系は、この単価でも利益確保が可能である。 省力機械化体系の費用均衡面積(機械化体系の費用が慣行と同額になる面積: 固定費の増加額÷変動費の減少額)は 38a である(データ略)。収穫機の導入は、 大規模なホウレンソウ生産のコスト低減が図られ安価な業務用食材向供給が可能 となる。 図 55 ホウレンソウ単一類型の損益分岐点単価 注:収穫量の変化に伴う費用構成の変化は考慮していない。

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参考文献

新 野菜つくりの実際 葉菜 川城英夫編 (社)農山漁村文化協会 そだててあそぼう[47]ホウレンソウの絵本

図 29 かき上げブラシの高さ調整も同時に行う。図 30 左右ハンドルのクラッチで旋回を行う。

参照

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