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アジアにおける投資信託販売~拡大するグローバルな運用会社の役割~

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アジアに

おける

投 資信 託販売

F u n d Di s t r ib u t io n i n A s ia: A G r o w in g Ro le f o r A s ia F u n d M a n a gers G lo b a ll y   構造の変化 アジアと新興国市場が世界の成長とイノベーションを推進   アジアの販売チャネル 地域的なトレンドとニーズは多様   ブロックバスター現象 世界の95%の資金フローが0.5%の商品に   アジアとラテンアメリカ 日本とブラジルが新興国市場の投資・販売の橋渡しを主導   投信販売の成功要因 組織の安定性、パフォーマンス、サービス、ブランド力   商品開発 テーマ型ファンドの成功例と新しいグローバルコア・ポートフォリオ   販売額上位の投信会社 グローバル・コミュニケーションと非本社中心主義   メタトレンド マルチ・コンバージェンスにより、異なる運用手法・地域・顧客の境界が曖昧に

拡 大 する

グローバルな 運 用 会 社 の 役 割

主 要 テ ー マ

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投 資信 託販売

拡 大 する グローバルな 運 用 会 社 の 役 割

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 アジアにおける投資信託の成長には、国際的な資 産運用会社が全域で顕著な成功を収めているという 特徴があり、日本の資産運用会社もアジア地域での 投資信託ビジネスに注目している。一部の日本の運 用会社は、アジアでのビジネス拡大を目指して買収 戦略などに多くの経営資源を割いているが、アジア の投信販売は依然複雑である。また、投資家は金融 資産をより少数の主要な運用会社に集中して委ねる 傾向がある。  一方、長年にわたり日本の資産運用会社が日本市 場で開発してきた独特の商品アプローチやスキル (たとえば、配当やインカムに注目したソリューショ ン、資産配分、有力な世界の運用会社とのサブアド バイザリー提携関係)は、香港、台湾などアジアの 国々の投資家の興味を引き始めている。  したがって、日本の資産運用会社がアジアで製造 だけでなく商品設計も含めたより総合的な役割を果 たそうとすることは当然と考えられる。とはいえ、 アジアの分断された市場全域で投信を販売していく ことは極めて困難である。マーケティングや商品サ ポート、ブランド・マネジメント、信頼の構築、包括 的なコミュニケーションと情報伝達、顧客サポート 日本 8,220億ドル 韓国 1,680億ドル 中国 3,820億ドル タイ 620億ドル インドネシア 160億ドル シンガポール 780億ドル マレーシア 410億ドル フィリピン 50億ドル オーストラリア 1.4兆ドル インド 1,460億ドル 台湾 オフショア: 670億ドル 国内: 750億ドル 香港 オフショア: 1,100億ドル 国内: 1,070億ドル 図表1 アジア市場における投資信託の資産残高

(出所)Strategic Insight Simfund GL

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アジアの投信市場拡大は世界の運用会社に機会をもたらす

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分断された「グローカル」な地域、アジア  日本、米国、欧州、どの国のファンド会社にとって も主要な課題となるのが、オペレーションの観点か らアジアにどのようにアプローチすればよいのか ということである。大まかな地域的トレンドは見出 すことができても、運用会社は分断された「マルチ・ ローカル」な地域に直面することになる。そこでは、 異なる言語、規制の枠組み、資産の可能性、文化、投 資に対する考え方、ビジネス慣習など、土地ごとの 特異性が存在する。同時に、明確に国際投資指向を もつ国際的な運用会社が多くの市場や商品において 浸透しており、それがアジアのビジネスをグローバ ルでありながらローカル(「グローカル」)という複 雑なものにしている。アジア全体の国内およびクロ スボーダー投信の資産額は2.2兆ドル。そのうち日 本は0.8兆ドルを占めているが、その投資先は海外 に偏っている。資産額で日本に続くのが中国(0.4兆 ドル)、韓国(0.2兆ドル)そしてインド(0.15兆ド ル)であり、日本とは異なりこれらの国々ではファ ンド投資が国内資産に集中している。一方、クロス ボーダー UCITS が優勢な香港、シンガポール、台湾 の資産は合わせて0.5兆ドルである。 アジアの成長が世界全体の投信業界の原動力に  アジアは、投資と販売いずれの面でも世界的に最 も急成長している地域であり、2025年までに総資 産で米国と欧州を超える可能性がある1)。機関投資 家と富裕層(HNW)向けのビジネス機会は既にか なり大きく、アジア太平洋の HNW 投資家は(資産 残高で欧州を超え)今や北米とほぼ肩を並べて世 界の先頭を行く。さらに、中間所得層の爆発的増加 ――全世界の中間所得層の人口は、現在の4.5億人 から今後10 ∼ 15年で約20億人へと(主としてア ジアにおいて)増加するであろう――と、退職ニー ズを中心とした彼らの長期的な経済的目標を受け て、2010年代後半には資金フローのバランスが大 きくリテールへと傾くと考えられる。 1) 詳細は、ストラテジックインサイト社の作成した2011年 の 詳 細 な 研 究 報 告、“Building Bridges: Views from the leading regional institutions and distributors on how to build a successful Asia Pacifi c asset management business”および“Capturing the Promise: Funds in Asia, and Asia in funds worldwide”を参照のこと。 http://www.strategicinsightglobal.com/service/AFM-2011/index.asp の取り組みなど、全てが世界で最も有効に機能して いる資産運用会社のベストプラクティスと肩を並べ るものであることが必要で、さらにアジア地域では、 そこからもう一歩抜きん出たものでなければならな い。とは言え、日本の運用会社は、国内市場で投信販 売の様々な課題を乗り越えてきており、その経験が 国境を越えてビジネスやリレーションを構築する際 にも有益であることに気づくだろう。現在、全世界 の投信業界の運用資産は30兆ドルを超えており、 依然として株式が中心である。しかし近年その成長 は、主に債券とオルタナティブ資産クラスによって もたらされている。

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マルチ・ローカルなアジア、急成長はテーマが導く

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 アジアの投信業界は、2007年のグローバル金融 危機「以前」に大きな成長を遂げ、また危機「以降」 には大きな回復を成し遂げる能力のあることを示 した。2005 ∼ 2007年にかけて全世界の投信の 純流入額は記録的水準で、アジア、欧州、米国の3地 域でほぼ均等となっていた。資産残高ではアジアは 米国の5分の1に過ぎなかったが、株式投信と、株式 と債券が中心となるバランス型投信(mixed asset strategies)に対する需要が旺盛で、流入額ではほ ぼ米国と肩を並べていた。2008年には、アジアは 世界で唯一、資金フローがプラスの地域となった。 2009年以降、投資家は基本に戻り、グローバル債 券投資に重点を置くようになった。またアジアでは 規制変更を受けて(投資家保護などを目的とした規 制強化が実施され商品説明に以前に比べ時間が掛か るようになった)投信販売が減速し、市場の成長が 鈍化した。しかしそれでも、いくつかの運用会社は アジアで成長を遂げた。これは、PIMCO やフランク リン・テンプルトンといった、強力な商品とグロー バルブランドを持つトップクラスの投信会社に資金 の流れが集中し、グローバルな「ブロックバスター (大ヒット)」ファンド現象が発生したためであった。 1,000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 米国 ヨーロッパ アジア 200 0 200 400 600 800 米国 2008年 2009年∼2011年上期 2005∼2007年 ヨーロッパ アジア 1,000 800 600 400 200 0 (10億米ドル) (10億米ドル) (10億米ドル) 米国 ヨーロッパ アジア 株式 混合 債券 その他 図表2 金融危機以前、最中、以降の純資金流入額

(出所)Strategic Insight Simfund GL, MF

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  ア ジ ア 各 国 の 国 内 籍 フ ァ ン ド に は2006 ∼ 2010年で0.7兆ドルの純資金流入があり、世界の 長期的なファンド流入額の30%を占めた。これは、 日本、韓国、中国、インドなどでは、各国市場の固有 ニーズに対応した商品の重要性が高いことを示して いる。一方、クロスボーダーファンドでも、同時期に アジアの投資家から0.4兆ドルの純資金流入があっ た。商品としては株式/バランス型と債券型で半分 ずつとなっており、香港、シンガポール、台湾など のハブ市場を通じたものもあれば、その他の市場の フィーダーファンドやファンドオブファンズによる ものもあった。注目すべきは、2011年は全体の資 金フローの勢いが低調で目立たなかったにもかかわ らず、特定の主要運用会社のフラッグシップ商品に 巨額の資金が流入していたことである。  銀行と証券会社の間の競争は、依然としてアジア、 とりわけ日本と韓国で、投信販売における重要な要 素となっている。ここ数年日本の投信販売では、証券 会社の販売力が銀行を上回っており、目新しいテー マ、毎月の分配金利回り、サブアドバイザリーが重視 されている。野村総合研究所(NRI)のデータによる と、現在、日本における投信の70%(残高ベース)は 毎月分配型である。NRIでは、販売チャネルごとの特 徴や販売会社向けのサポートについて分析を行って いる(15ページの PIMCO に関するケーススタディ を参照)。  日本と同様に韓国でも、金融危機後、銀行の投信 販売シェアは低下し、主として証券会社に取って代 わられている。香港、台湾、シンガポールはともに銀 行が支配的だが、それ以外の販売チャネルはかなり 100 80 60 40 20 0 (%) 日本 中国 韓国 インド 香港 台湾 シンガポール 銀行 証券会社 保険会社 IFA 直販 図表3 アジアの販売チャネル (注)中国では保険会社による投信販売は認められていない。中国は最近ようやくIFAと外国企業を含むサードパーティー金融機関に投信販売を認めたところである。 (出所)Strategic Insight推計、アジア各国の投信業界団体

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アジアにおける投信販売の特徴

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 2008年以降、ストラテジックインサイト社で は、世界1,250の機関投資家および販売会社のファ ンド選定責任者に対して独自の調査を実施し、ファ ンドマネジャーやファンドの選択において最も重要 な意思決定基準は何かを探ってきた。アジアでは、 金融危機の影響を受けて、組織の安定性、グローバ ルな専門性、そして(投資プロセスおよび顧客との リレーションの両方の観点から見た)一貫性が、ブ ランドにとって非常に大きな競争上の強みとなって 多様な構成になっている。ただし現在は、「アキュム レーター」や「ミニボンド」のようなスキャンダルに よって規制の先行きが不透明になり、投資信託の販 売全体に影響が及んでいる。  インドでは独立ファイナンシャルアドバイザー (IFA)が中心的な役割を果たしているが、銀行が支 配的な中国では、サードパーティー金融機関による 投信販売が認可されて IFA や外国金融機関に門戸が いた。ファンド選定責任者は規模が大きく安定した 信頼できる運用会社を探しており、販売会社は顧客 との信頼関係を再構築しようとしている。  アジア全域において、顧客とのリレーション、お よび機関投資家や販売会社にサービスを提供する 人材の質は、金融危機後、主要な投信会社や戦略的 パートナーを選択する上で、パフォーマンスと同程 度の重要度が置かれている。パフォーマンスが良け 開かれたところである。  東南アジアは、早くから現地のリソースを活用し 商品やサポート体制をゼロから立ち上げて市場を 構築してきた運用会社にとって、プロフィットセン ターとなってきている。(こうした会社には、フラン クリン・テンプルトン、アライアンス・バーンスタ イン、シュローダー、フォルティス、プルデンシャル などが含まれる) 図表4 チャネル別に見た投信販売の成功要因(アジア太平洋) (出所)Strategic Insight 10段階評価で重要度をランク付けしたもの ホールセール業者 機関投資家 パフォーマンス 9.6 9.0 組織の安定性 9.5 9.4 顧客サービス 8.9 7.3 ブランド 8.4 6.0 投資ニーズの理解 8.4 5.5 商品の幅広さ 7.5 5.3 商品の革新性 7.5 5.2 マーケティングとコミュニケーション 7.2 5.2 オンライン上の存在感 7.0 5.2

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販売に必要とされる要件の変化

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 商品の観点からは、投資プロセスの明確さと商品 ラインの論理的配置が不可欠である。フランクリン・ テンプルトンやシュローダーといった、本国市場以 外のビジネスが3分の2を超えるようなグローバル 運用会社は、現地国の投資家のニーズと世界的テー マへの対応という両方の観点からグローバルな商品 開発を考えている。場合によっては、インドネシア やインド、マレーシア、ブラジル、香港などのように、 市場シェアを獲得するためには現地商品を組成する のが合理的なこともあるが、アジアでは回転率が高 れば商品は購入候補として目を引くかもしれない が、購入対象として残れるかを決定するのは顧客と のリレーションである。サービスが優れているかど うかは、パフォーマンスの多くの側面と異なりコン トロールすることが可能である。サービスに対する 満足度は、機関投資家の方が販売会社より若干高い ――調査対象のうち、機関投資家の73%がアジア 地域で提供されているサービス水準に満足していた が、販売会社では57%であった。この結果の一因と しては、機関投資家の方が販売会社よりも具体的な ニーズがあり、要求が販売会社ほど厳しくないこと が挙げられよう。ただ販売会社の結果の方が、アジ ア各国間でのばらつきが大きかった。  アジアの機関投資家と販売会社の両方から最も頻 繁に聞かれた不満の1つは、「誰もが最低限の基本的 な要件以上のことをしない」ということであった。 運用会社に創意工夫やコミットメントを示す積極的 なイニシアチブが欠如していることは広く指摘され ている。金融危機の間、多くの運用会社は基本的な サービスとコミュニケーションをきちんと行うこと に集中していたが、新しい考え方を示す先駆的リー ダーシップと積極的なガイダンスを提供した運用会 社は一歩抜きん出て市場シェアを獲得することがで きた。  アジアの投資家及び販売会社は次第に、メタトレ ンドに関する見方、投資家教育、規制当局への情報 提供、業界を擁護し拡大するための援助等を提供し てくれる、強力なブランド力のある運用会社を求め るようになってきている。他の地域と同じように、 アジアの販売会社はより少数の戦略的パートナーと 手を組み、金融危機後はさらに一層、利用するブロッ クバスター・ファンドの数を減らしている。選ばれ るためのカギとなる差別化要因は、投資パフォーマ ンスにおけるアルファ、ブランド力、顧客サービス、 組織の安定性である。  優れたブランドの資産運用会社で顧客サービスが 弱かったり、あるいはその逆であったりすることが しばしばあるが、この2つを同時に高めることは非常 に重要である。優れたブランドを持ちつつ顧客サー ビスに強いという最高のポジションにある運用会社 は、競争上の強みをうまく利用すべきである。  商品やビジネスが複雑化する中、顧客は、1つか2 つの投資分野に専門性をもつ分かりやすいブランド を求めている。運用会社にとっては、これはブロッ クバスター商品の開発につながり、人気の高いニッ チ商品やテーマで優位な地位につける可能性がある (たとえば、台湾におけるアライアンス・バーンスタ イン・ハイイールド債ファンド)。しかし一方では、 運用会社を型にはめ、資産クラスや投資テーマの需 要が変化したときに、運用会社のアピール力を制限 してしまう可能性もある。

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商品の考案にはグローバルトレンドを反映

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いことを考慮すると、グローバルなファンドがもつ 規模の経済やテーマの統一性が全体的な意思決定で 重要な要素となる。また、現在、新たなリスク管理と 絶対リターンのフレームワークの下で、世界の投資 家にとってのグローバルコア商品の将来像が描き直 されようとしている。伝統的なロング・オンリーの アクティブ運用をソリューションの中核に据え続け る会社もあれば、他方ではオルタナティブな資産ク ラスやストラクチャを軸に考えている会社もある。 両方を採用する会社も少なくない。  下の図で示したように、世界的に投資信託業界は 「マルチ・コンバージェンス(多数の対立軸における 収斂)」の時代に突入している。具体的には、伝統的 な投資アプローチ・商品とオルタナティブなものの 境界の曖昧化、西から東への底流と東から西への底 流の間の競争の高まり、機関投資家・グローバル金 融機関・販売会社が資産運用会社に対して求めるも のの同一化が見られる。 伝統的アプローチとオルタナティブ・アプローチ  過去10年間、ビジネスはますます複雑化し、新た な投資戦略やその組み合わせが生まれた。資産運用 会社は、変化する規制の枠組みに適応し、新たな投 資戦略や投資商品を実験している。これを受けて、 伝統的運用戦略とオルタナティブ運用戦略のコン バージェンス(収斂)とともに、伝統的な運用会社と オルタナティブな運用会社の間の競争が激化して いる。こうしたコンバージェンスは米国と欧州市場 で最も顕著で、オルタナティブ戦略はUCITSにも組 み込まれている。コンバージェンス商品は日本の投 資信託にも取り込まれ始めており、例えば、2011 年に発売された20億ドルのノムラ・グローバルト レンド・ファンドは、マン・インベストメンツの運 用部門であるAHL社が運用するマネージド・フュー チャー戦略を特色としている。日本の資産運用会社 はサブアドバイザリーやファンドオブファンズを通 じて国際的な専門業者を選択してきた長い経験があ り、オルタナティブ・アプローチの導入において、長 期的には日本ばかりでなくアジア全域でも重要な役 割を果たす可能性がある。 機関投資家とホールセール業者の境界線が曖昧に  世界中の1,250に及ぶ機関投資家や販売会社と ミラエ リライアンス 中国銀行 中国工商 マッコーリー ナティクシス MFS T. ロウ・プライス ウエリントン フィデリティ シュローダー アリアンツ フランクリン・ テンプルトン ヘッジファンド・スタイル アクティブ ETF MMF UCITS パッシブ 機関投資家 リテール 政府系金融機関 エンハンストMMF ファンド・オブ・ヘッジファンズ アクティブETF 130/30 Newcits 東 西 オルタ ナ テ ィ ブ 伝統的 リテール銀行 プライベートバンク IFA 保険 寄贈基金 ソブリンウェルスファンド 年金基金 中央銀行 ウェルスマネジメント リテ ー ル 機関投資家 伝統的 オルタナティブ 東から西へ 西から東へ 図表5 マルチ・コンバージェンスが市場を変える (出所)Strategic Insight

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 少数の大型フラッグシップ・ファンドに流入す る資金が市場全体のフローに占める割合は、次第に 高まっている。この現象は世界中で進行中だが、ア ジアでも同じように明らかで、資産運用会社のオペ レーションとその成功の行方に大きな影響を及ぼし ている。世界全体では2010年、ファンド数で全登 会合を重ね意見交換を行う中で、われわれはベスト プラクティスがよりグローバルな性格のものになり つつあり、RFP(提案依頼書)や運用会社の選択に世 界共通の基準が適用されるのを実際に見てきた。グ ローバルなプライベートバンキングにおけるファン ド販売は、様々なプラットフォーム、全ての業務を こなすアドバイザリー・チーム、現地国のアドバイ ザーなどとの多様な関係を通じて行われ、しばしば、 国内の中堅機関投資家の要求や特定のSWF(ソブリ ンウェルスファンド)のニーズよりも複雑となる。 各国の投資に関する考え方、言語、規制の枠組みは それぞれ異なるため現地の専門知識に対する必要性 は高まっているが、その一方、各投資家に対応する チャネルごとの独自性は、投資の内容、スピード、ス タイル、ブランド・メッセージなどに関して曖昧に なってきている。さらには、リテール投資家向けを 主力としていた運用会社が機関投資家の分野に参入 し、機関投資家を主たる顧客としていた運用会社が 投資信託のホールセール・ビジネス(プライベート バンキングやリテールの一部ビジネス)に進出して 機関投資家向けのファンドやシェアクラスを設定し 始めている。 2010年の旗艦ファンドの数:350本 (業界全体の0.5%) 投信の総本数:70,000本超 500億ドル (99.5%のファンド) 3,500億ドル (0.3%のファンド) 2011年上期の旗艦ファンドの数:185本 (全体の0.3%) 投信の総数:70,000本超 2011年上期:3,500億ドル=資金フローの100% 2010年:8,000億ドル=資金フローの95% 8,000億ドル (0.5%のファンド) 図表6 グローバル・ブロックバスター現象

(出所)Strategic Insight Simfund GL, MF

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録商品のわずか0.5%のファンド群に全資金流入額 (マネー・マーケット商品を除く)の95%近くが流 れ込んだ。2011年はさらに集中度が高まってお り、0.3%の商品に全世界の投信への資金流入額が 集中している。  金融危機後、アジアの機関投資家や販売会社の ファンド選定責任者は、より少数の戦略的パート ナーと手を組むようになっている。資産運用会社が 成功するには、有名なブロックバスター商品を持っ ている、あるいは、適切なテーマ型ファンドや絶対 リターン戦略を用いて顧客のアセットアロケーショ ン構築を支援できることが必要となっている。  図表7は、この現象の広がりとクロスボーダーの国 際的ファンド(こうしたファンドはアジアでも次第に 販売されるようになっている)における現在のブロッ クバスター商品を示したものである。アライアンス・ バーンスタイン(台湾におけるハイイールド債)、フ ランクリン・テンプルトン(グローバル債券、アジア 株式、アジア全域)は、新規資金流入で見たトップク ラスのクロスボーダーファンドの例である。 フランクリン・テンプルトン ―15年間で15%から60%に  フランクリン・テンプルトンは、過去12カ月間で 見た世界のクロスボーダー商品の上位10本のうち 3本を占めた。これは、世界的キャンペーン(「グロー 図表7 クロスボーダー:販売額上位ファンド(2011年9月までの過去12カ月)

(出所)Strategic Insight Simfund GL

(単位:億米ドル)

ポートフォリオ 国籍 目的 設定日 過去12カ月

資金流入額 運用残高 Templeton Global Bond ルクセンブルク 債券・グローバル 91年 2月 133 431 Templeton Global Total Return ルクセンブルク 債券・グローバル 03年 8月 117 223 iShares DAX®(DE) ドイツ 株式・ヨーロッパ各国 00年12月 111 127 db x-trackers DAX ETF ルクセンブルク 株式・ヨーロッパ各国 07年 1月 56 69 PIMCO GIS Unconstrained Bond アイルランド 債券・グローバル 08年12月 40 60 M&G Optimal Income 英国 債券・その他 06年12月 38 79 Aberdeen Global - Emerging Markets Equity ルクセンブルク 株式・エマージング 01年 8月 38 89 AllianceBernstein - Global High Yield ルクセンブルク 債券・ハイイールド 97年 9月 30 164 PIMCO GIS Global Inv Grd Crdt アイルランド 債券・グローバル 03年 7月 28 114 Templeton Asian Growth ルクセンブルク 株式・日本以外のアジア太平洋 91年 7月 28 141 JPM Income Opportunity ルクセンブルク 絶対収益追求型・中位 07年 7月 25 63 Neuberger Berman High Yield Bond アイルランド 債券・ハイイールド 06年 5月 23 41 BlackRock Emerging Markets Index アイルランド 株式・エマージング 09年 3月 23 25 PIMCO GIS Diversifi ed Income アイルランド 債券・グローバル 05年 6月 21 35 Stone Harbor Emerg Mrkts Lcl Curr Debt アイルランド 債券・エマージング 07年10月 21 43 iShares S&P 500 アイルランド 株式・北米 02年 3月 20 86 M&G Recovery 英国 株式・英国 69年 5月 19 105 DWS Deutschland ドイツ 株式・ヨーロッパ各国 93年10月 19 30 PIMCO GIS Global Multi-Asset アイルランド 混合・フレキシブル 09年 4月 19 29 ACL Alternative Limited バミューダ ヘッジ・マルチストラテジー 03年12月 19 40

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バル―新しいコア(Global - the new core)」な ど)、現地スタッフの力、著名投資マネジャー(マー ク・モビアスなど)の先駆的なリーダーシップ、フ ラッグシップファンドの品揃え、が組み合わさった 結果である。1995年には、同社の米国外のビジネ スは15%に過ぎなかったが、2011年には60%を 超えた。テンプルトン以外で巨額の資金フローを集 めたファンドのテーマは、ETF(i シェアーズ、db X-トラッカーズ)、オルタナティブ(PIMCO)、新興国 市場(アバディーン、ジュリアス・ベア)、インカム (M&G、JP モルガン)、ハイイールド債(アライアン ス・バーンスタイン、ニューバーガー・バーマン)な どであった。  アジアでは約6,000本の UCITS クロスボーダー ファンドとシェアクラスが販売されている。フラン クリン・テンプルトン、アライアンス・バーンスタ イン、PIMCO、アバディーンといった国際的運用 会社は、図表7に記されたブロックバスター商品に よってアジアの投資家からかなりの大きさの資金フ ローを集めているが、時には必要に応じて現地での 募集を組み合わせることもあった(たとえば、シュ ローダーの2007年資金流入額トップのファンド は韓国籍の BRICs ファンド、2011年のトップは香 港籍のマルチアセット・インカム・ファンドだった)。 上位クロスボーダーファンドではアジアとラテンア メリカの間の関係の深まりも見られる。たとえば、 フランクリン・テンプルトン・アジアン・グロース・ 図表8 日本を除くアジア国内:販売額上位のアジア国内ファンド(2011年9月までの過去12カ月)

(出所)Strategic Insight Simfund GL

(単位:億米ドル)

ポートフォリオ 国籍 目的 設定日 過去12カ月

資金流入額 運用残高 Tracker Fund of Hong Kong 香港 株式・アジア各国 99年11月 18 61 Polaris Taiwan Top 50 Tracker Fund 台湾 株式・アジア各国 03年 6月 17 30 Huashang Strategic Selected Fund 中国 混合・フレキシブル 10年11月 16 13 JPMorgan Korea Trust Equity 韓国 株式・韓国 07年 6月 15 13 HSBC Asian High Yield Bond ケイマン諸島 債券・アジア・現地通貨 11年 5月 13 12 Samsung KODEX Leverage Derivatives ETF 韓国 株式・韓国 10年 2月 11 9 Schroder Asian Asset Income Fund 香港 混合・フレキシブル 11年 6月 10 9 Mapletree Industrial Trust シンガポール 不動産 10年10月 10 10 Value Partners Classic Fund ケイマン諸島 株式・中国 93年 4月 9 15 HDFC Top 200 Fund-Dividend インド 株式・インド 96年10月 9 21 Samsung KODEX200 ETF 韓国 株式・韓国 02年10月 9 22 Yinhua SZSE 100 Index Classifi cation Fund 中国 株式・中国 10年 5月 8 10 GTJA Allianz Shuangxi CSI100 Index Split Fund 中国 株式・中国 10年 4月 8 8 ICBCCS Tianyi Bond Fund 中国 債券・人民元 11年 8月 8 8 Harvest New Thematic Equity Fund 中国 株式・中国 10年12月 8 7 KB Value Focus Equity Class 韓国 株式・韓国 09年11月 8 9 Mirae Asset Global Dynamic Bond 韓国 債券・グローバル 09年 6月 8 10 China Southern Principal-guaranteed Fund 中国 元本保証 11年 6月 7 8 KB South Korea Representative Group Equity 韓国 株式・韓国 09年 8月 7 9 Allianz Corporate Value Rising Long-term Eq 韓国 株式・韓国 06年 8月 7 10

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ファンドはカテゴリー内で最大の運用資産を有する ベストセラー商品だが、その資産の25%はチリの 年金ファンドからのものである2)。  日本を除くアジアでは、販売額上位の国内ファン ドの半数以上が株式関連商品である(図表8)。中国 をテーマとしたファンドには引き続き資金流入があ り、また長期的に人民元高になるとの思惑から、人 民元建て点心債ファンド市場の需要は拡大する可 能性が高い。近年、マルチアセット・インカム・ファ ンドも、インカムの提供と分散化の実現(その他、日 本からアイデアを得た毎月分配型の組み合わせ)に より、アジアで人気を得ている。シュローダーは、 HSBC(およびその他数社の主要な販売会社)と提 携して、2011年にアジアン・アセット・インカム・ ファンドを開発・発売し、6月以降で10億ドルの資 金を集めた。アジアにおける資産運用会社と販売会 社の非常に成功したパートナーシップの例である。 JP モルガンは香港でシティと提携し同様の商品で 追随している。一方、シュローダーは欧州の投資家 向けに、同じ戦略のルクセンブルグ籍UCITSファン ドを計画中である。 資金フローの大きさとテーマのアイデアでは 日本がアジアのリーダー  過去12カ月(2010年10月∼ 2011年9月)、日 本の販売額上位リストを占めたのは債券と不動産 関連商品だった(図表9)。販売上位の投信は、フィ 図表9 テーマをリードする日本:販売額上位の日本国内ファンド(2011年9月までの過去12カ月) (出所)野村総合研究所 (単位:億米ドル) ポートフォリオ 目的 設定日 過去12カ月 資金流入額 運用残高 新光US-REITオープン<ゼウス> 不動産 04年 9月 99 87 大和住銀・短期豪ドル債オープン 債券・豪ドル 03年 4月 70 140 日興・ラサール・グローバルREITファンド 不動産 04年 3月 62 88 野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(ブラジルレアルコース) 株式・セクター・為替オーバーレイ 10年10月 51 41 ダイワ米国リート・ファンド 不動産 04年 5月 49 41 野村グローバル・ハイ・イールド債券(資源国通貨コース) 債券・ハイイールド 10年 4月 44 111 日興アッシュモア新興国財産3分法ファンド(ブラジルレアルコース) 混合・バランス・為替オーバーレイ 10年 2月 38 41 ダイワ・US-REIT・オープンBコース(為替ヘッジなし) 不動産 04年 7月 35 28 フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド 債券・ハイイールド 98年 4月 35 64 国際・ワールド・リート・オープン(毎月決算型) 不動産 04年 7月 35 58 日興ハイブリッド3分法ファンド(新興国通貨戦略コース) 混合・バランス・為替オーバーレイ 10年10月 31 22 三菱UFJ 新興国債券ファンド通貨選択シリーズ(ブラジルレアルコース) 債券・エマージング・為替オーバーレイ 09年 4月 31 78 野村米国ハイ・イールド債券投信(ブラジルレアルコース) 債券・ハイイールド・為替オーバーレイ 09年 1月 28 49 野村グローバルCB投信(資源国通貨コース) 債券・CB・為替オーバーレイ 10年 7月 26 28 大和住銀・エマージング・ボンド・ブラジルレアルコース 債券・エマージング・為替オーバーレイ 09年 7月 25 44 ダイワ・グローバルREIT・オープン<世界の街並み> 不動産 05年 6月 25 53 日興・エマージング・ハイ・イールド・ボンド・ファンド・ブラジルレアルコース 債券・エマージング・為替オーバーレイ 10年12月 23 16 レッグ・メイソン・LM・ブラジル国債ファンド 債券・エマージング 08年10月 22 44 野村・日経225連動型上場投資信託 株式・日本 01年 7月 22 82 フィデリティ・USリート・ファンドB 不動産 03年12月 22 59 上記合計 772 1,175

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 新興国市場への投資は世界中の資産運用業界で中 心的テーマになっているが、特にアジアの販売会社 と投資家にとってはそうである。日本の資産運用会 社は新興国市場商品の開発と提供では最前線に位置 しており、アジア全域で販売の拡大を図る際には、 その競争力が役立つのではないか。  たとえば、日本とブラジルとのつながりの深まり は、新興国市場との架け橋の構築という意味で格好 のケースである。ブラジルはかつて、そして現在で も、日本国外で最大の日系人居住地である。またブ ラジルが高金利であったことから、ブラジルと日本 の商品を多様な手法で組み合わせた商品が、過去数 年間販売額上位に並んでいた。ブラジルレアル連動 の野村ハイ・イールド債券ファンドのような商品で も明らかなように、「新興国市場との架け橋」は世界 中の投資テーマになりつつある。  図表10は、日本とブラジルとの架け橋がどれだ けの広がりを見せ、投資家にアピールしたかを示し たものである。日本では近年、ブラジルとラテンア メリカをテーマにした多様な商品が成長している。  ブラジルのイタウ銀行は、日興アセット、大和投 信、新光投信の各運用会社とサブアドバイザリー契 約を結び、彼らの親会社の販売網を活用することで、 デリティとレッグ・メイソンを除けばほとんどが野 村、大和、日興を始めとする日本の運用会社のもの であった。これらの運用会社は長年、国際的なファ ンドマネジャーの運用力を活用し、共同ブランド商 品やサブアドバイザリー契約により新しいテーマ商 品の開発に成功してきた。2011年の年初来で上 位を占める外資系サブアドバイザーは、アシュモア、 ラサール、ドイチェ、PIMCO などである。新光 US-REIT オープンは、2011年9月までの12カ月間で 100億ドル近い資金を集め、販売額ベースで首位に 立った。  アジアではハイイールド債が人気の投資テーマ で、特に日本では顕著であった。近年、多くの革新 的な商品が登場し、ブラジルレアル、オーストラリ アドル、中国人民元などの通貨と連動した毎月分配 型を売り物とするものも多かった。最も成功した商 品は野村グローバル・ハイイールド債券投信で、さ まざまな通貨に連動するコースがあり、2010年に 160億ドルを超える資金を集めた。この金額は、人 気のクロスボーダー商品、アライアンス・バーンス タイン・グローバル・ハイイールド・ファンドへの 同時期の全世界での資金流入額の3倍に及ぶ。しか しアライアンス・バーンスタインは、日本以外のア ジアの運用マネジャーの中で、グローバル・ハイイー ルド債のエキスパートとしての地位を確立してい る。同様に、シュローダーも香港で今夏発売された 新商品によってアジア・ハイイールドのエキスパー トとしての地位を得ようとしている。世界中でこの テーマを中心にした商品が販売されているところで あり、日本の運用会社は自分たちの実績を他のアジ ア市場、ラテンアメリカ、さらには欧州、米国にも輸 出することが可能だろう。 2) 詳細は、ストラテジックインサイト社の110ページに及ぶ 新 し い 調 査 報 告 書“State of the Asset Management Industry ‒ Latin America”を参照。

http://www.strategicinsightglobal.com/service/ SOTILatAM/index.aspを参照。

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日本市場向けに115億ドルのブラジルレアル連動 型ファンドを運用している。同社はまた2010年、 日本の機関投資家を主たる対象顧客とするイタウ・ ジャパン・アセットマネジメントを設立した。  われわれはまた、ラテンアメリカでもアジア投資 が非常に魅力的に映っていると見ている。これもま た新興国市場との間をつなぐ架け橋の一例である。 チリの年金基金は国際的な資産運用会社のフラッグ シップ商品に大きく投資している。上位10位まで のクロスボーダー株式ファンドで海外投資額全体の 26%を占め、年金資産全体の11%をやや上回る。 チリの年金基金で最も人気の高い投資カテゴリーは アジアで、アジア全域や各国に投資する数十のファ ンドがチリ年金基金のクロスボーダー株式ユニバー スの一角を占めている。  ラテンアメリカとアジアの新興国市場同士のつ ながりは、投資という面から見ると急速に拡大して おり、多くの米国および欧州の資産運用会社がその 資金フローの恩恵を受けている。たとえば、米国の 運用会社は、アジアをテーマとしたクロスボーダー UCITS ファンド、米国1940年法ファンド、現地国 の投資商品などをこれらの地域で販売している。運 用の専門性を活かしてこの成長を取り込むことは、 アジアおよび新興国市場の運用を行うマネジャーに とって戦略的なチャンスである(「アジアの黄金時 代」)。また、われわれは日本の運用会社には他にな い戦術的な強みがあると見ている。トップレベルの 先進国市場にありながらブラジルとラテンアメリカ との文化的結びつきを以前から持っているのは唯一 日本の運用会社だけだからである。 図表10 日本におけるラテンアメリカ、ブラジル関連ファンド (出所)野村総合研究所 (単位:億米ドル) 純資金流入額 運用残高 2011年9月までの過去12カ月間 2011年9月 新興国株式・債券ファンド ー 25 336 ブラジルレアル連動型ファンド 296 567 ブラジル株式・債券に投資するファンド ー 16 264 上記合計 256 1,168

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シュローダー:

ローカルからローカル、グローバルから

ローカルのパートナーシップ

 シュローダー・アジアン・アセット・インカム・ファ ンドは同社が2011年6月に販売を開始したベスト セラー商品である。2011年これまでのところで 最もよく売れたアクティブ運用の香港籍ユニットト ラストで、運用資産残高は10億ドルを超えている。 「高利回りへパワーアップ(“Power Your Way to Higher Yield”)」というマーケティング・メッセー ジは香港の投資家に大いに受けた。それはこのファ ンドが長期的なキャピタルゲイン獲得の期待に加え て、年間6%の分配金を毎月定額で分配したからで ある――これは日本で成功を収めたコンセプトで ある。このファンドはマルチアセット・アプローチ を採用しており、ハイイールド債、高配当株式、コモ ディティ、不動産など、アジア関連の高利回り資産 クラスに投資することが可能である。HSBC と共 同で戦略的に開発され、同行の投信用ツール「ファ ンドエクスプレス」の精選リストに掲載されている。 恒生銀行や中国銀行などの販売会社も、「ニュー・ ファンズ・エクスプレス」のリストに掲載し、この 新しいシュローダーのファンドの販売促進を行っ ている。  シュローダーのビジネスはその70%超がイギリ ス市場以外のものである。長い時間をかけて、まず はローカルからローカルにビジネスが築かれ、その 次にグローバルからローカルへの販売アプローチが 採用された。たとえば、シュローダーはインドネシ アでは25%のシェアを有しており、ブラジルでは 何十年もビジネスを行ってきた。同社の最近の成長 には、販売の重点をさまざまなチャネルや(マルチ) アセット・クラス(GAIA プラットフォームによる オルタナティブ投資を含む)にわたる投資ソリュー ションの提供に置いたことが大きく貢献している。

PIMCOの日本戦略:

サブアドバイザリービジネスの拡大と

ブランド力

 PIMCO はファンドの実質的な資産残高で日本 最大の外資系投信運用会社である。ウェスタン・ア セットマネジメント、フィデリティ、ピクテ、ゴール ドマン・サックスがこれに続く(図表11)。実質的 とは、PIMCO の名前で運用されているファンドだ けでなく、他社の名前のファンドだがサブアドバイ ザーとして実質的に PIMCO が運用しているファン ドも含めたという意味である。日本における同社の 資産はほぼすべてサブアドバイザリー・ビジネスに よるものである。PIMCO はビル・グロースとモハ メド・エラリアンのリーダーシップによる強いブラ ンド力と日本の経営陣の強いリーダーシップを武器 にしている。  2011年3月時点で外資系運用会社として運用 資産トップに立った PIMCO は、71名の日本在住ス タッフ(このうち10名がポートフォリオ運用専従 者)を擁するが、これに対してフィデリティの現地 スタッフは273名、ピクテは92名である(どちらも 日本市場に深く食い込み、長年存在感を発揮してい る外資系運用会社である)。とりわけ注目されるの は、過去5年間PIMCOではスタッフの数がそれほど 変化しなかったにも関わらず、サブアドバイザリー・ モデルと強力な顧客サポートを武器に、機関投資家 とリテール両方のビジネスで資産を拡大できたこと である。  PIMCO の例では、成功事例に共通な特徴と同社独 自の特徴とが浮き彫りになっている。われわれが実

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アジアにおける投信販売の成功例:ケーススタディ

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施した意見交換では、アジアの販売会社と機関投資 家の90%以上が、ポートフォリオ・マネジャーへの アクセス(直接その考え方を聞くこと)の必要性が高 まっていると強調していたが、ビル・グロースについ ては例外だった。PIMCO の「ニューノーマル」とい う考え方やグロース氏の「インベストメント・アウト ルック」で見せるリーダーシップ、そしてソーシャル メディアにおけるリーダーシップや同氏の情報提供 の内容・スピード・スタイル、これら全てを様々な媒 体を通して目にすることができる。そこで、PIMCO は数カ月前に、親会社のアリアンツと切り離して別 のファンド販売会社を設立した。特にアジアや日本 において、同社のブランド力と多様なチャネルでの 認知度を活用することを目指している。  PIMCO はまた、日本の販売チャネルごとの異な る要望にもうまく応えてきた。日本における販売 チャネルごとの特徴については NRI が図表12に示 したように分析している。  さらに日本では、PIMCO のマネージング・ディレ クターでピムコジャパン社長の高野真氏のリーダー シップが、グローバルブランドと日本での事業の卓 越性をさらに強固なものにしている。国際的運用会 社における現地でのリーダーシップに関するケース スタディでしばしば見られるように、ピムコジャパ ンが最大の外資系投信運用会社になることができた のも、グローバルなリーダーシップと現地でのリー ダーシップが――現地事情に合わせて修正された強 力なブランド力とともに――うまく組み合わさった ことによるものである。 図表11 日本における外資系資産運用会社ランキング (出所)野村総合研究所 2011年3月時点(億米ドル) 運用資産の内訳 メイン・マネジャーとして サブ・アドバイザーとして 合計 PIMCO 1 538 539 ウェスタン・アセット n/a 428 428 フィデリティ 251 167 418 ピクテ 149 114 263 ゴールドマン・サックス 89 77 166 HSBC 99 63 162 JPモルガン 63 78 141 イタウ n/a 135 135 UBSグローバル 84 28 112 コーヘン&スティアーズ n/a 112 112 上記合計 736 1,740 2,476

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フランクリン・テンプルトン:

「本国」から離れてグローバルに成功

 世界金融危機以降、フランクリン・テンプルト ンは世界全体の純資金流入額において首位に立っ ている――これは同社の歴史において初めてのこ とである。また、金融危機以降、同社は全資金流入 額の60%を米国以外で獲得している(1995年は 15%)。これには、アジアとラテンアメリカ(投資先 としても販売先としても最も急速に成長している地 域である)の投資家が大きく寄与した。フランクリ ン・テンプルトンは、「本社中心」によらないオペレー ションを重視することで世界中で現地のトレンドか ら学び、現地での販売や情報提供に力を注ぐことに より、世界的なブロックバスター商品群を築くこと ができた。  長期投資を呼びかける世界的なキャンペーンと 教育は、同社の成功のカギとなった。2010年、同 社 は、「2020 Vision(2020年 に 向 け た 展 望)」 と し て、「今 後10年 間 は 株 式 投 資 を(“case for equities in the decade ahead”)」を軸とする世 界的なマーケティングキャンペーンの本格展開を開 始した。同社の過去2年間の資金流入はその90%が グローバル債券だったにもかかわらず、である(む しろ、だからこそ、かもしれない)。このキャンペー ンは、金融危機の最中に現地でのオペレーションが 拡大したのに合わせて展開されているが、開始され たのは2005年、同社が「フランクリン・テンプルト ン・アカデミー」を導入した時であった。アカデミー はファイナンシャルアドバイザー(保険外務員、銀 行員、販売提携先)に対する研修プログラムであり、 長期的な分散投資の利益を強調したもので、その後 欧州、米国、ラテンアメリカで実施された。  このキャンペーンに続いて、2011年は「グロー バル―新しいコア(“Global - New Core”)」と呼ば れる別のメタトレンド・キャンペーンが行われてい る。そこでは、「あなたのポートフォリオは十分にグ ローバルですか(“Is your portfolio as global as it should be”)」と問いかけ、4つの戦略的トレンド を提示して、なぜアジアとラテンアメリカで台頭す る中間所得層が将来投資の世界を変えることになる かを詳細に示している。  われわれの研究と独自のサーベイからも明らかな ように、メタトレンドに関連した、業界の先駆的リー ダーシップをとるようなテーマを持つことが、機関 投資家やホールセラーと共にブロックバスター商品 を開発するために不可欠な要素なのである。 図表12 販売チャネルの特徴 (出所)野村総合研究所 証券会社 銀行 商品の特徴 ―差別化された商品であることが重要。 ― 大手証券会社は同時に数千億円もの運用能力を 要求。 ― ほかの銀行チャネルで既によく売れた商品が 好まれる。 発売までのスピード ―企画から完了までわずか2カ月。 ― この要求に対応できるのは少数の大手運用会社 だけ。 ―企画から完了まで最大3カ月。 販売サポート ― 発売から3カ月間、運用会社による集中的・オン デマンドのサポートが要求される。 ― 支店数は比較的少なく大都市に集中。そのため サポートスタッフの数は限定的なことが多い。 ―長期的なサポートが要求される。 ― 支店数は比較的多く地方に分散しているため、 大人数のサポートスタッフが必要。 報告の要求 ―定期的な報告は不要とされることが多い。 ―毎週または毎月の報告を要求されるのが一般的。 ―市場環境によっては特別レポートを要求される。

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アライアンス・バーンスタイン:

ハイイールドを大きなニッチに

 アライアンス・バーンスタインのベストセラー 商品、グローバル・ハイイールド・ファンドは、図 表13に示したように、2009年以降のハイイール ド・ファンドへのクロスボーダー資金フロー全体の 20%を集めた。その大半(およそ70 ∼ 80億ドル) は、アジア、特に台湾からの資金であった。  アライアンス・バーンスタインは、アジア地域の クロスボーダー市場に焦点を当てている。同社のグ ローバル・ハイイールド・ポートフォリオの50を超 えるシェアクラスのうち、40クラス近くは台湾、香 港、シンガポールのどれかまたは全てで販売するた めに登録されたものである。このファンドは、香港 ドル、シンガポールドルを含むアジア現地国の通貨 建てでも提供されている。また、アライアンス・バー ンスタインは長年にわたってアジアで大規模な現地 販売網を開拓してきた。たとえば、台湾ではグロー バル・ハイイールド・ファンドは銀行チャネルにお ける販売額トップのファンドであり(40を超える 銀行で販売されている)、銀行でのファンド販売総 額の60 ∼ 80%を占めるケースもあった。アライ アンス・バーンスタインはこの運用資産180億ドル を誇るブロックバスター商品を積極的に宣伝し販売 してきた。その結果、同社は投資家の高い「マインド シェア」を獲得し、台湾とアジアの多くの投資家は “ハイイールドのエキスパートはアライアンス・バー ンスタイン”と考えるようになっている。 図表13 販売額上位のクロスボーダー・ハイイールド債ファンド (出所)Strategic Insight (単位:億米ドル) ポートフォリオ 運用会社 設定日 純流入額 2006 2007 2008 2009 2010 2011 (8月まで) AllianceBernstein-Global High Yield アライアンス・バーンスタイン 97年 9月 24 16 ー 21 48 51 35 Neuberger Berman High Yield Bond ニューバーガー・バーマン 06年 5月 0 0 1 2 26 16 Pioneer Funds Global High Yield ウニクレーディト/パイオニア 04年 6月 1 0 1 6 14 8 UBS(Lux)Bond Sicav - Short Duration HY UBS 11年 1月 8 PIMCO GIS Global High Yield Bd PIMCO 05年 6月 0 1 3 4 11 6 Fidelity Funds - US High Yield フィデリティ 01年 9月 7 ー 1 ー 2 12 35 5 Pictet-US High Yield-P USD ピクテ 09年11月 4 6 4 Fidelity Funds - European High Yield フィデリティ 00年 6月 3 ー 4 ー 3 3 7 4 iShares Markit iBoxx Euro High Yield ブラックロック 10年 9月 5 4 Putnam Global High Yield Bond パットナム 98年10月 0 2 1 0 2 4

上記合計 35 15 ー 21 80 156 94

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構造の変化

アジアと新興国市場が世界の成長とイノベーションを推進:アジアは、投資と販売いずれの面でも世界的に最 も急成長している地域であり、2025年までに総資産で米国と欧州を超える可能性がある。現在は機関投資家と富 裕層向けのビジネスが牽引しているが、中間所得層が成長すれば彼らの長期の経済的目標によって資金フローの バランスはリテールへと傾くと考えられる。

アジアの販売チャネル

地域的なトレンドとニーズは多様:アジアの大半の国では銀行チャネルが支配的だが、金融危機後は証券会社 が伸びており、特に日本と韓国で顕著である。クロスボーダー商品が大半を占める香港、台湾、シンガポールで は販売チャネルはかなり多様で、最近では保険連動商品が拡大している。独立ファイナンシャル・アドバイザー (IFA)はインドで中心的役割を果たしているが、中国でもIFAによる投信販売が認可され第一歩を踏み出したとこ ろである。東南アジアは、早くから現地の商品を軸に現地のリソースを活用してきた運用会社にとっては、プロ フィットセンターとなってきている。

ブロックバスター現象

世界的に見ると95%の資金が0.5%の商品に集中している。販売会社が、提携する運用会社および販売するフ ラッグシップファンドの数を減少させているためである。資産運用会社にとっての成功のカギは、いかに現地の ブロックバスター商品とグローバルなブロックバスター商品とを組み合わせていくか、ということになろう。巨 大なグローバル運用会社と小さなスペシャリストのブティック会社、それぞれに競争上の強みがある。

商品開発

現在、新たなリスク管理と絶対リターンのフレームワークの下で、世界の投資家にとってのグローバルコア商 品の将来像が描き直されようとしている。伝統的なロング・オンリーのアクティブ運用をソリューションの中核 に据え続ける会社もあれば、他方ではオルタナティブな資産クラスやストラクチャを軸に考えている会社もあ る。両方を採用する会社も少なくない。

アジアとラテンアメリカは投資と販売で繋がりが深まりつつある

ラテンアメリカの販売会社と機関投資家にとって、アジアは最も重要な投資テーマであるが、これまでその恩 恵を受けてきたのはほとんどが米国と欧州の運用会社だった。日本の運用会社はブラジルとの文化面や投資での つながりを他の市場でも活かすべきである。

投信販売の成功要因

金融危機以降、組織の安定性、グローバルな専門性、そして(投資プロセスおよび顧客とのリレーションの両方 の観点から見た)一貫性が、ブランドにとって非常に大きな競争上の強みとなった。リーマンやマドフ事件後、販 売会社のファンド選定責任者は規模が大きく安定した信頼できるプロバイダーを探しており、販売会社は顧客と の信頼関係を再構築しようとしている。グローバル・キャンペーンを中心とした先駆的なリーダーシップと非本 社中心主義は現地国で成功するためのカギとなる要素である。

マルチ・コンバージェンスにより、異なる運用手法・地域・顧客の境界が曖昧に

投信業界は「マルチ・コンバージェンス」の時代に突入している。伝統的な投資アプローチ・商品とオルタナティ ブなものの境界の曖昧化、西から東への底流と東から西への底流の間の競争の高まり、機関投資家・グローバル 金融機関・販売会社が資産運用会社に対して求めるものの同一化が見られる。

将来に向けてキーとなるテーマ

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レポートについて

本レポートの全体または一部の無断複製を禁じます。

©Copyright 2012 Strategic Insight, an Asset International Company, when referenced or sourced Morningstar Inc. and Lipper Inc. (Nomura Research Institute, Ltd. is a co-author of the report). All rights reserved. 本レポートの著作権は、アセット・インターナショナルのグループ会社であるストラテジック・インサイト及び野 村総合研究所に帰属します。モーニングスター社、リッパー社の著作を参照または情報源とする場合にはそれぞれの会社に帰 属します。本レポートに含まれる情報、データ、分析、意見は、(a)上記の会社に関する秘密情報および専有情報を含み、(b)い かなる目的でも複製または再配布が禁じられ、(c)専ら情報供与の目的で提供されるもので、(d)妥当性、完全性、正確性また は適時性を保証するものではありません。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。上記の会社は 互いに資本関係を有していません。本レポートの一部または全部の無断複写・転載を禁じます。 本レポートに含まれるいかなるデータあるいは説明も、ストラテジック・インサイトと野村総合研究所の書面による事前の同 意なく、法定報告もしくはそれ以外の報告、販売促進用資料または広告の形で、一般または販売仲介業者に配布してはいけま せん。本レポートは当社が信頼できると考える情報および情報源を利用して作成したものです。しかし当社は、その正確性、適 切性または完全性に関して何ら保証しません。また当社は、いかなる誤謬・脱漏についても、本レポートで言及された証券に 関連して行った行為を含む本レポートの利用によって生じたいかなる結果についても、責任を負いません。本レポートは、本 レポート内で言及された証券の購入または売却に際して利用されることを意図した目論見書でも事実の表明でもありません。 ダニエル・エンスカト グローバル・コンサルティング 部長 ジャグ・アレクセイエフ グローバル・リサーチ 部長 堀江 貞之 上席研究員 金子 久 上級研究員  このレポートはストラテジックインサイト社のダニエル・エンスカト(グローバル・コンサルティング部長) とジャグ・アレクセイエフ(グローバル・リサーチ部長)が同社のシニア・アナリストであるブライアン・リウ、 ジェイミー・マーク、リーズ・カーペンターらの協力を得て作成したものである。レポートには、世界全域お よびアジアの投信販売に関する、当社グループの継続的な調査から得られた主要な結果が含まれている。レポー トの基礎となったストラテジックインサイト社による過去の調査報告書には以下のようなものがある。  このレポートには野村総合研究所、堀江貞之(上席研究員)と金子久(上級研究員)による分析を含んでいる。 両研究員は、日本の資産運用と投信市場の研究を担当している。野村総合研究所が行ったこれまでの調査の一 つとして、「日本の資産運用ビジネス」(2006, 2007, 2008, 2009, 2010/2011, 2011/12)が挙げ られる。

Building Bridges: Views from the leading regional institutions and distributors on how to build a successful Asia Pacifi c asset management business(2011)(橋を架ける:アジア太平洋 地域で資産運用ビジネス構築に成功する方法に関する地域の有力な機関投資家と販売会社の見解(2011))

本調査は、2008年以来実施してきた1,000を超えるファンド運用会社やウェルスマネジメント会社経営陣 との意見交換、および2010年10月から2011年3月にかけて実施した300を超えるアジア太平洋の主要な 機関投資家・仲介業者に関する独自の詳細調査の結果をまとめたものである。

State of the Asset Management Industry: Latin America(2011)(資産運用業界の現状:ラテンア メリカ(2011))

本調査は、2011年、ブラジル、メキシコ、ペルー、チリ、コロンビア、ウルグアイ、ベネズエラの資産運用会社、 規制当局、業界団体、販売会社の人々と現地で1年相当の時間をかけて意見交換を行った結果をまとめたもの である。包括的なラテンアメリカのファンド運用に関するレポートであり、様々な課題、現地の人々の見解、 現地で得たトピックなどが含まれている。

Capturing the Promise: Funds in Asia, and Asia in funds worldwide(2011)(有望市場をつかま える:アジアのファンドと、世界のファンドにおけるアジア投資(2011))

本調査は、アジアのファンド・ビジネスに関する地域レベル、国レベルの分析と、世界的なアジア戦略・アロ ケーションの拡大についてのグローバルな視点にフォーカスを当て、ファンド業界を動かす主要な原動力に ついて考察したものである。

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 野村総合研究所 (NRI) は1965年に日本最初の民間シンクタンクとして設立された。NRI では幅広いナビゲーションとソ リューションのサービスを提供している。ナビゲーション・サービスには、リサーチ、経営コンサルティング、システムコンサ ルティング等が含まれる。NRI は日本の資産運用ビジネスについて大規模なサーベイや調査を実施してきた。その内容は、規 制のコンプライアンス、新しいポートフォリオ運用技術、パフォーマンス評価手法、ガバナンス、そして資産運用ビジネスにお ける機関投資家やリテール投資家の状況など、多岐にわたる。NRIは、トロント大学ロットマンICPM(年金マネジメント国際 センター)のグローバル・リサーチ・パートナーである。ICPM は年金マネジメントの改善をグローバルに促進していくこと を目指している。NRIはこうした活動を通じて日本の年金基金運営の改善に寄与したいと考えている。

 ストラテジックインサイト(Strategic Insight, SI)は、25年以上にわたり、投資信託業界に深く根ざしたリサーチを実施し ビジネス・インテリジェンスを蓄積してきた。投信市場は、今や全世界で30兆ドル近い規模になっている。われわれのコア・ミッ ションは引き続き、投信信託業界全体の発展を促進し、クライアントがグローバル市場で成功できるよう支援することである。 SI社は、Simfundデータベース、徹底的なリサーチ、インターネット・ライブラリー、オンデマンド調査を連係させ、さらに個別 のアドバイスを盛り込みながら、このミッションを成し遂げようとしている。SI 社のクライアントは米国ファンド業界全体の 資産の90%を管理しており、クライアントの中には200を超える投資顧問会社、保険会社、販売会社、投資銀行、ヘッジファン ド、コンサルタント、法律事務所、業界団体、規制機関、その他業界関連企業の経営者が含まれる。SI 社のグローバル調査は拡 大を続け、50を超える世界最大級の最もダイナミックな米国および海外の運用会社・販売会社に提供されている。 詳細に関する問い合わせ先 堀江 貞之 金融ITイノベーション研究部 上席研究員 focus@nri.co.jp 金子 久 金融ITイノベーション研究部 上級研究員 focus@nri.co.jp 詳細に関する問い合わせ先

Daniel Enskat, Head of Global Consulting daniel@sionline.com, +852 2251 8428 Jag Alexeyev, Head of Global Research jag@sionline.com, +1 212 944 4456

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