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遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は

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Academic year: 2021

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答 申

審 査 請 求 人 ( 以 下 「 請 求 人 」 と い う 。 ) が 提 起 し た 地 方 税 法 ( 以 下 「 法 」 と い う 。 ) の 規 定 に 基 づ く 各 不 動 産 取 得 税 賦 課 処 分 及 び 各 督 促 処 分 に 係 る 各 審 査 請 求 に つ い て 、 審 査 庁 か ら 諮 問 が あ っ た の で 、 次 の と お り 答 申 す る 。 第 1 審 査 会 の 結 論 本 件 各 審 査 請 求 は 、 い ず れ も 棄 却 す べ き で あ る 。 第 2 審 査 請 求 の 趣 旨 本 件 各 審 査 請 求 の 趣 旨 は 、 東 京 都 ○ ○ 都 税 事 務 所 長 ( 以 下 「 処 分 庁 」 と い う 。 ) が 、 請 求 人 に 対 し 、 平 成 2 9 年 5 月 1 0 日 付 け の 各 納 税 通 知 書 ( 3 通 ) に よ り 行 っ た 別 紙 1 物 件 目 録 1 記 載 の 土 地 及 び 同 目 録 2 及 び 3 記 載 の 各 家 屋 ( 以 下 併 せ て 「 本 件 各 不 動 産 」 と い う 。 ) の 取 得 に 係 る 各 不 動 産 取 得 税 賦 課 処 分 ( 内 容 は 、 別 紙 2 賦 課 処 分 目 録 1 な い し 3 記 載 の と お り 。 以 下 併 せ て 「 本 件 各 賦 課 処 分 」 と い う 。 ) 及 び 、 同 年 6 月 3 0 日 付 け の 各 督 促 状 ( 3 通 ) に よ り 行 っ た 本 件 各 賦 課 処 分 に 基 づ く 徴 収 金 に 係 る 各 督 促 処 分 ( 以 下 併 せ て 「 本 件 各 督 促 処 分 」 と い い 、 本 件 各 賦 課 処 分 と 併 せ て 「 本 件 各 処 分 」 と い う 。 ) に つ い て 、 い ず れ も そ の 取 消 し を 求 め る も の で あ る 。 第 3 請 求 人 の 主 張 の 要 旨 請 求 人 は 、 以 下 の よ う に 、 本 件 各 処 分 の 違 法 性 ・ 不 当 性 を 主 張 し て い る 。 請 求 人 は 、 本 件 各 不 動 産 に つ い て 、 前 所 有 者 か ら 遺 贈 を 受 け た 受

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遺 者 で あ っ た が 、 事 情 が あ っ て 遺 贈 の 放 棄 を し た 。 民 法 9 8 6 条 の 規 定 に よ れ ば 、 受 遺 者 は 、 遺 言 者 の 死 亡 後 、 い つ で も 、 遺 贈 の 放 棄 を す る こ と が で き 、 遺 贈 の 放 棄 は 、 遺 言 者 死 亡 の と き に 遡 っ て そ の 効 力 を 生 じ る と さ れ て い る か ら 、 前 所 有 者 か ら 請 求 人 に 対 す る 本 件 各 不 動 産 の 所 有 権 移 転 の 事 実 は 無 か っ た も の で あ り 、 請 求 人 は 本 件 各 不 動 産 を 「 取 得 」 し て い な い こ と と な る 。 本 件 各 不 動 産 に つ い て 、 不 動 産 登 記 簿 に は 、 一 旦 は 遺 贈 を 原 因 と す る 所 有 権 移 転 登 記 が な さ れ た が 、 請 求 人 に よ る 遺 贈 の 放 棄 に よ り 、 東 京 法 務 局 ○ ○ 出 張 所 平 成 2 9 年 1 月 1 9 日 受 付 に て 錯 誤 を 原 因 と す る 所 有 権 移 転 登 記 抹 消 登 記 が な さ れ て い る 。 そ の 後 に な さ れ た 本 件 各 賦 課 処 分 は 、 民 法 の 規 定 に 違 反 す る 違 法 ・ 不 当 な 処 分 で あ り 、 本 件 各 督 促 処 分 と と も に 取 り 消 さ れ る べ き で あ る 。 第 5 審 理 員 意 見 書 の 結 論 本 件 各 審 査 請 求 は 理 由 が な い か ら 、 行 政 不 服 審 査 法 4 5 条 2 項 に よ り い ず れ も 棄 却 す べ き で あ る 。 第 6 調 査 審 議 の 経 過 審 査 会 は 、 本 件 諮 問 に つ い て 、 以 下 の よ う に 審 議 し た 。 年 月 日 審 議 経 過 平 成 2 9 年 1 0 月 1 7 日 諮 問 平 成 2 9 年 1 2 月 1 日 審 議 ( 第 1 5 回 第 2 部 会 ) 平 成 2 9 年 1 2 月 2 6 日 審 議 ( 第 1 6 回 第 2 部 会 ) 第 7 審 査 会 の 判 断 の 理 由 審 査 会 は 、 請 求 人 の 主 張 、 審 理 員 意 見 書 等 を 具 体 的 に 検 討 し た 結 果 、 以 下 の よ う に 判 断 す る 。 1 法 令 等 の 定 め (1) 民 法 9 6 4 条 の 規 定 に よ れ ば 、 遺 言 者 は 、 包 括 又 は 特 定 の 名 義

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で 、 そ の 財 産 の 全 部 又 は 一 部 を 処 分 す る こ と が で き 、 同 法 9 8 5 条 1 項 の 規 定 に よ れ ば 、 遺 言 は 、 遺 言 者 の 死 亡 の と き か ら そ の 効 果 を 生 じ る 。 ま た 、 同 法 9 8 6 条 1 項 の 規 定 に よ れ ば 、 受 遺 者 は 、 遺 言 者 の 死 亡 後 、 い つ で も 、 遺 贈 の 放 棄 を す る こ と が で き 、 同 条 2 項 の 規 定 に よ れ ば 、 遺 贈 の 放 棄 は 、 遺 言 者 死 亡 の と き に 遡 っ て そ の 効 力 を 生 じ る と さ れ て い る 。 そ し て 、 同 法 9 9 5 条 の 規 定 に よ れ ば 、 遺 贈 が 放 棄 に よ っ て そ の 効 力 を 失 っ た と き は 、 受 遺 者 が 受 け る べ き で あ っ た も の は 、 遺 言 者 が そ の 遺 言 に 別 段 の 意 思 を 表 示 し た と き を 除 き 、 相 続 人 に 帰 属 す る と さ れ る 。 (2) 法 7 3 条 の 2 第 1 項 の 規 定 に よ れ ば 、 不 動 産 取 得 税 は 、 不 動 産 の 取 得 に 対 し 、 当 該 不 動 産 の 取 得 者 に 課 す る こ と と さ れ て い る 。 こ の こ と に つ い て 、 判 例 に よ れ ば 、 法 7 3 条 の 2 第 1 項 に い う 「 不 動 産 の 取 得 」 と は 、 他 に 特 段 の 規 定 が な い 以 上 、 不 動 産 所 有 権 の 取 得 を 意 味 す る も の と 解 す る の が 相 当 で あ り 、 そ の 取 得 が 認 め ら れ る 以 上 、 取 得 原 因 の い か ん を 問 わ な い も の と 解 す べ き で あ る ( 最 高 裁 判 所 昭 和 4 5 年 1 0 月 2 3 日 判 決 ・ 最 高 裁 判 所 裁 判 集 民 事 1 0 1 号 1 6 3 頁 ) 。 さ ら に 、 「 不 動 産 の 取 得 」 と は 、 不 動 産 の 取 得 者 が 実 質 的 に 完 全 な 内 容 の 所 有 権 を 取 得 す る か 否 か に は 関 係 な く 、 所 有 権 移 転 の 形 式 に よ る 不 動 産 の 取 得 の す べ て の 場 合 を 含 む も の と 解 す る の が 相 当 で あ る ( 最 高 裁 判 所 昭 和 4 8 年 1 1 月 1 6 日 判 決 、 最 高 裁 判 所 民 事 判 例 集 2 7 巻 1 0 号 1 3 3 3 頁 ) と さ れ て い る 。 ま た 、 不 動 産 取 得 税 は 、 不 動 産 の 取 得 者 が 当 該 不 動 産 に よ り 取 得 し あ る い は 将 来 取 得 す る で あ ろ う 利 益 に 着 目 し て 課 せ ら れ る も の で は な く 、 不 動 産 の 移 転 と い う 事 実 自 体 に 着 目 し て 課 せ ら れ る の を そ の 本 質 と す る も の で あ る こ と に 照 ら す と 、 法 7 3 条 の 2 第 1 項 に い う 「 不 動 産 の 取 得 」 と は 、 所 有 権 の 得 喪 に 関 す る 法 律 効 果 の 側 面 か ら で は な く 、 そ の 経 過 的 事 実 に 則 し て と ら え た 不 動 産

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所 有 権 取 得 の 事 実 を い う と 解 さ れ 、 売 買 契 約 の 解 除 に 基 づ く 売 主 の 所 有 権 の 回 復 も 、 そ の 経 過 的 事 実 に 則 し て こ れ を み れ ば 、 そ れ が 合 意 に よ る も の で あ る と 解 除 権 の 行 使 に よ る も の で あ る と に か か わ ら ず 、 一 旦 買 主 に 移 転 し た 所 有 権 が 再 び 売 主 に 移 転 し た も の と い う べ き で あ り 、 し た が っ て 、 上 記 に い う 「 不 動 産 の 取 得 」 に あ た る と 解 す べ き で あ る ( 最 高 裁 判 所 昭 和 4 8 年 1 1 月 2 日 判 決 ・ 最 高 裁 判 所 裁 判 集 民 事 1 1 0 号 3 9 9 頁 ) と さ れ 、 さ ら に 、 不 動 産 取 得 税 の 課 税 要 件 で あ る 「 不 動 産 の 取 得 」 と 同 様 の 意 義 を 有 す る と 考 え ら れ る 特 別 土 地 保 有 税 の 課 税 要 件 で あ る 「 土 地 の 取 得 」 に つ い て も 、 所 有 権 の 移 転 の 形 式 に よ り 土 地 を 取 得 す る す べ て の 場 合 を 含 み 、 取 得 の 原 因 と な っ た 法 律 行 為 が 取 消 し 、 解 除 等 に よ り 覆 さ れ た か ど う か に か か わ り が な い と 解 す る の が 相 当 で あ る ( 最 高 裁 判 所 平 成 1 4 年 1 2 月 1 7 日 判 決 ・ 最 高 裁 判 所 裁 判 集 民 事 2 0 8 号 5 8 1 頁 ) と さ れ て い る 。 (3) 法 7 3 条 の 3 4 の 規 定 に よ れ ば 、 納 税 者 が 納 期 限 ま で に 不 動 産 取 得 税 に 係 る 地 方 団 体 の 徴 収 金 を 完 納 し な い 場 合 に お い て は 、 徴 税 吏 員 は 、 納 期 限 後 2 0 日 以 内 に 、 督 促 状 を 発 し な け れ ば な ら な い と 規 定 す る 。 た だ し 、 こ の 「 納 期 限 後 2 0 日 以 内 に 」 と の 定 め の 部 分 は 、 訓 示 規 定 で あ り 、 納 期 限 後 2 0 日 を 過 ぎ た 後 に 発 付 さ れ た 督 促 状 も 有 効 で あ る と 解 さ れ て い る ( な お 、 地 方 税 の 他 の 税 目 に 係 る 督 促 処 分 に 関 し て 同 様 の 定 め を 置 い て い る 法 3 2 9 条 、 3 7 1 条 、 4 5 7 条 の 各 規 定 中 、 督 促 状 の 発 付 期 限 に 関 す る 部 分 は 、 い わ ゆ る 訓 示 規 定 で あ り 、 期 限 後 に な さ れ た 督 促 も 有 効 で あ る と の 下 級 審 判 例 ( 徳 島 地 方 裁 判 所 昭 和 3 0 年 1 2 月 2 7 日 判 決 ・ 行 政 事 件 裁 判 例 集 6 巻 1 2 号 2 8 8 7 頁 ) が あ る 。 ) 。 2 以 上 を 前 提 に 、 本 件 に つ い て 検 討 す る 。 (1) 本 件 各 賦 課 処 分 に つ い て 本 件 各 不 動 産 に 係 る 登 記 の 全 部 事 項 証 明 書 及 び 処 分 庁 が 謄 写 し

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た 登 記 申 請 書 の 添 付 書 類 ( 遺 言 公 正 証 書 の 謄 本 等 ) に よ る と 、 請 求 人 は 、 前 所 有 者 が 死 亡 し た 平 成 2 8 年 4 月 6 日 、 同 人 が 生 前 作 成 し た 公 正 証 書 遺 言 に 基 づ き 、 本 件 各 不 動 産 の 所 有 権 を 特 定 遺 贈 を 原 因 と し て 承 継 取 得 し た こ と が 認 め ら れ る 。 法 7 3 条 の 2 第 1 項 に い う 「 不 動 産 の 取 得 」 と は 、 不 動 産 所 有 権 の 取 得 で あ り 、 そ の 取 得 が 認 め ら れ る 以 上 、 取 得 原 因 の い か ん を 問 わ な い も の と 解 す べ き で あ る か ら 、 請 求 人 に お い て 、 本 件 各 不 動 産 に つ い て 、 同 規 定 に い う 「 不 動 産 の 取 得 」 が あ っ た こ と が 認 め ら れ る も の で あ り 、 処 分 庁 が 、 請 求 人 に 対 し て 本 件 各 賦 課 処 分 を 行 う た め の 法 律 上 の 要 件 が 備 わ っ て い る ( か つ 、 法 7 3 条 の 7 の 規 定 す る 非 課 税 要 件 に は 該 当 し な い ) と 判 断 し た こ と に は 、 違 法 ・ 不 当 な 点 は な い 。 (2) 遺 贈 の 放 棄 に 係 る 請 求 人 の 主 張 本 件 各 不 動 産 に 係 る 登 記 の 全 部 事 項 証 明 書 に よ る と 、 請 求 人 へ の 本 件 各 不 動 産 の 所 有 権 移 転 登 記 が 経 由 さ れ た 後 、 錯 誤 を 原 因 と し て 同 登 記 の 抹 消 登 記 手 続 が 行 わ れ て い る こ と が 認 め ら れ る 。 こ の こ と に つ い て 、 請 求 人 は 、 事 情 が あ っ て 遺 贈 の 放 棄 を 行 っ た と し て 、 遺 贈 の 放 棄 は 、 民 法 の 規 定 に よ り 遺 言 者 で あ る 前 所 有 者 の 死 亡 時 に 遡 っ て 効 果 が 生 じ る た め 、 請 求 人 に よ る 本 件 各 不 動 産 の 「 取 得 」 は な か っ た も の で あ り 、 不 動 産 取 得 税 の 課 税 要 件 を 欠 い て い る 旨 を 主 張 す る ( 第 3 ) 。 本 件 各 不 動 産 に 係 る 上 記 所 有 権 移 転 登 記 抹 消 登 記 の 原 因 は 、 「 錯 誤 」 と あ る の み で あ り 、 登 記 申 請 書 の 添 付 書 類 ( 写 し ) を 見 て も 、 そ の 具 体 的 な 事 由 は 明 確 と は な ら ず 、 遺 贈 の 放 棄 が あ っ た 事 実 を 資 料 上 確 認 す る こ と が で き な い 上 、 請 求 人 に よ る 遺 贈 の 放 棄 が 真 実 あ っ た と し て も 、 実 際 に い つ い か な る 方 法 に よ り 行 わ れ た の か は 、 必 ず し も 明 確 で は な い 。 し か し 、 遺 贈 の 放 棄 の 事 実 が 現 に あ っ た と す る と 、 遺 贈 の 放 棄 の 法 律 効 果 は 、 遺 言 者 の 死 亡 の 時 に 遡 る と さ れ て い る か ら ( 民 法 9 8 6 条 2 項 ) 、 遺 言 者 の 死 亡

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と い う 原 因 が 生 じ た 後 に 、 相 続 財 産 の 帰 属 先 に つ い て 、 そ れ が ど の よ う に 帰 結 す る こ と と な っ た の か と い う 側 面 に お い て は 、 遺 贈 の 放 棄 後 は 、 遺 贈 に よ る 所 有 権 の 移 転 は 当 初 か ら 存 在 し な か っ た も の と 法 律 上 処 理 さ れ る こ と と な る も の で あ る 。 (3) 「 不 動 産 の 取 得 」 に 係 る 経 過 的 事 実 の 存 在 に つ い て し か し な が ら 、 遺 贈 に よ り 、 一 旦 は 遺 言 者 の 死 亡 時 に 遺 贈 の 効 果 が 生 じ る の で あ り ( 民 法 9 8 5 条 1 項 。 た だ し 、 遺 贈 が 停 止 条 件 付 で あ る 場 合 は 条 件 成 就 時 に 効 果 を 生 じ る が ( 同 条 2 項 ) 、 本 件 の 場 合 に は こ れ に は 当 た ら な い 。 ) 、 遺 贈 の 放 棄 が な さ れ た と し て も 、 そ の 直 前 ま で は 、 受 遺 者 に 遺 贈 の 対 象 た る 財 産 が 帰 属 し て い る 法 律 状 態 で あ っ た と い う 経 過 的 事 実 そ の も の は 、 否 定 さ れ る も の で は な い 。 現 に 、 請 求 人 は 、 特 定 遺 贈 に よ り 所 有 権 を 取 得 し た の み な ら ず 、 本 件 各 不 動 産 に つ き 、 所 有 権 移 転 登 記 を 経 由 し て お り 、 こ の 間 、 当 該 物 権 変 動 に つ い て の 第 三 者 対 抗 要 件 を 備 え て い た 時 期 が あ っ た も の で あ る 。 遺 言 は 、 遺 言 者 に よ る 単 独 行 為 で あ り 、 受 遺 者 の 意 思 に か か わ ら な い も の で あ る が 、 遺 贈 を 原 因 と す る 所 有 権 移 転 登 記 は 、 登 記 権 利 者 ・ 義 務 者 の 双 方 申 請 で 行 わ れ る の が 原 則 で あ っ て 、 そ う と す る と 、 請 求 人 自 ら が 上 記 対 抗 要 件 具 備 に 与 し て い る も の で あ り 、 か か る 経 過 的 事 実 の 作 出 に 請 求 人 も ま た 積 極 的 に 関 与 し て い る こ と は 明 ら か で あ る 。 (4) 検 討 そ こ で 、 民 法 の 上 記 規 定 ( 9 8 6 条 2 項 ) に よ り 遺 贈 の 放 棄 に 遡 及 効 が 認 め ら れ て い る 趣 旨 と 、 不 動 産 取 得 税 の 課 税 の 際 に 課 税 要 件 で あ る 「 不 動 産 の 取 得 」 を 経 過 的 事 実 に 則 し て と ら え る べ き と の 法 理 と の 関 係 を ど の よ う に と ら え る か が 問 題 と な る 。 民 法 9 8 6 条 2 項 の 規 定 が 、 遺 贈 の 放 棄 の 遡 及 効 を 定 め て い る 趣 旨 は 、 遺 贈 の 放 棄 が な さ れ れ ば 、 こ の 点 に 係 る 遺 言 者 の 意 思 は 実 現 さ れ な い こ と と な り 、 受 贈 者 が 受 け る べ き で あ っ た も の ( 遺

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贈 の 対 象 と さ れ て い た 相 続 財 産 ) は 、 原 則 と し て 、 相 続 人 に 帰 属 す る ( 民 法 9 9 5 条 ) こ と と な る が 、 放 棄 の 効 果 を 相 続 開 始 時 に 遡 及 さ せ る の で な け れ ば 、 受 贈 者 が 受 け る べ き で あ っ た も の を 、 相 続 人 が 相 続 財 産 の 一 部 と し て 被 相 続 人 か ら 直 接 に 包 括 的 に 承 継 し た と の 構 成 が と れ な く な っ て 、 法 律 関 係 が 複 雑 化 す る こ と と な る の で あ り 、 そ の よ う な 不 適 切 な 結 果 と な る こ と を 避 け る た め に 、 遺 贈 の 放 棄 に は 遡 及 効 が あ る こ と を 規 定 上 明 言 し た も の で あ る と 考 え ら れ る 。 一 方 、 前 述 ( 1 ・ (2) ) の と お り 、 不 動 産 取 得 税 は 、 不 動 産 の 取 得 者 が 当 該 不 動 産 に よ り 取 得 し あ る い は 将 来 取 得 す る で あ ろ う 利 益 に 着 目 し て 課 せ ら れ る も の で は な く 、 不 動 産 の 移 転 と い う 事 実 自 体 に 着 目 し て 課 せ ら れ る の を そ の 本 質 と す る も の で あ る こ と に 照 ら す と 、 法 7 3 条 の 2 第 1 項 に い う 「 不 動 産 の 取 得 」 と は 、 所 有 権 の 得 喪 に 関 す る 法 律 効 果 の 側 面 か ら で は な く 、 そ の 経 過 的 事 実 に 則 し て と ら え た 不 動 産 所 有 権 取 得 の 事 実 を い う と 解 さ れ 、 取 得 の 原 因 と な っ た 法 律 行 為 が 覆 さ れ た か ど う か に か か わ り が な い と い う べ き で あ る 。 そ し て 、 こ の こ と は 、 本 件 の よ う に 、 不 動 産 の 取 得 の 原 因 が 特 定 遺 贈 で あ り 、 遺 贈 の 放 棄 に よ っ て 法 律 関 係 が 覆 さ れ た 場 合 で あ っ て も 、 同 様 で あ る と 解 せ ら れ る 。 な ぜ な ら 、 こ の 場 合 受 遺 者 ( 本 件 で は 請 求 人 ) に 「 不 動 産 の 取 得 」 が あ る と し て 不 動 産 取 得 税 の 課 税 を 行 っ て も 、 不 動 産 取 得 税 の 課 税 要 件 の 判 断 は 、 あ く ま で 経 過 的 事 実 に 則 し た 不 動 産 の 移 転 を と ら え る に 過 ぎ な い も の で あ る か ら 、 相 続 財 産 の 承 継 に つ い て 規 定 す る 民 法 の 規 定 に よ り 、 所 有 権 移 転 の 効 果 が 事 後 的 に 覆 滅 し た こ と と は 矛 盾 す る も の で は な い し 、 ま た 賦 課 処 分 自 体 は 、 相 続 を 巡 る 財 産 の 得 喪 に 関 す る 法 律 効 果 に 直 接 の 影 響 を 及 ぼ す も の で は な く 、 民 法 の 上 記 規 定 ( 9 8 6 条 2 項 ) が 存 在 す る 趣 旨 を 没 却 す る も の で は 何 ら な い か ら で あ る 。 し た が っ て 、 不 動 産 取 得 税 の

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賦 課 に お い て は 、 民 法 9 8 6 条 2 項 の 規 定 に 該 当 す る 事 実 が あ る こ と を も っ て 、 課 税 要 件 の 認 定 を 妨 げ る 事 由 と な る も の で は な い と 解 せ ら れ る 。 以 上 に よ れ ば 、 請 求 人 が 主 張 す る よ う に 、 本 件 各 不 動 産 に つ き 請 求 人 に よ る 遺 贈 の 放 棄 が あ っ た 事 実 を 理 由 と し て 、 本 件 各 賦 課 処 分 が 違 法 ・ 不 当 と な る も の で は な い 。 (5) 本 件 各 督 促 処 分 に つ い て ま た 、 請 求 人 は 、 本 件 各 賦 課 処 分 に よ る 各 不 動 産 取 得 税 の 納 期 限 で あ る 平 成 2 9 年 5 月 3 1 日 ま で に 、 同 税 に 係 る 各 徴 収 金 の 納 付 を し て い な い 。 そ の た め 、 処 分 庁 は 、 請 求 人 に 対 し て 本 件 各 督 促 処 分 を 行 っ た も の と 認 め ら れ 、 同 各 処 分 は 法 令 の 規 定 に 則 っ て な さ れ た も の で あ る か ら 、 違 法 ・ 不 当 な も の と す る こ と は で き な い 。 (6) 以 上 の と お り で あ る か ら 、 本 件 各 処 分 を 違 法 ・ 不 当 と す る 請 求 人 の 主 張 に は 、 い ず れ も 理 由 が な い 。 3 請 求 人 の 主 張 以 外 の 違 法 性 又 は 不 当 性 に つ い て の 検 討 ま た 、 本 件 各 処 分 に お い て 、 課 税 標 準 額 及 び 税 額 の 算 出 に 当 た っ て の 違 算 等 、 上 記 2 に 述 べ た 以 外 の 点 に お い て も 違 法 又 は 不 当 が あ る と は 認 め ら れ な い 。 以 上 の と お り 、 審 査 会 と し て 、 審 理 員 が 行 っ た 審 理 手 続 の 適 正 性 や 法 令 解 釈 の 妥 当 性 を 審 議 し た 結 果 、 審 理 手 続 、 法 令 解 釈 の い ず れ も 適 正 に 行 わ れ て い る も の と 判 断 す る 。 よ っ て 、 「 第 1 審 査 会 の 結 論 」 の と お り 判 断 す る 。 ( 答 申 を 行 っ た 委 員 の 氏 名 ) 近 藤 ル ミ 子 、 山 口 卓 男 、 山 本 未 来 別 紙 1 及 び 2 ( 略 )

参照

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