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パッケージへの画像掲載が製品評価に及ぼす効果

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第18巻 第1号

流 通 研 究

日本商業学会

投 稿 論 文

パッケージへの画像掲載が製品評価に及ぼす効果

─解釈レベル理論にもとづく検討─

外川  拓

(千葉商科大学)

石井 裕明

(成 蹊 大 学)

恩藏 直人

(早 稲 田 大 学)

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1. はじめに

 今日、消費者の購買意思決定の多くは店 舗内で行われており(大槻 1982; 渡辺 2000; 恩藏ほか 2009)、特に日用品の購買意思決 定は 1 アイテムあたり平均 12 秒程度という 短時間で行われている(Dickson and Sawyer 1990)。こうしたなかで、パッケージは店頭 においてわずかな時間で消費者の注意を獲 得し、製品の情報や価値を伝達する手段と して重要な役割を担っている(Garber 1995; 竹内 2007)。また、優れたパッケージ・デザ インにより、製品評価を高めたり、消費者に 好ましい消費経験を提供したりすることも 可能である(Hoegg and Alba 2007; Krishna and Morrin 2008)。  マーケティングや消費者行動の領域にお いては、パッケージ・デザインに関する多く の研究が取り組まれてきた。なかでも、既存 研究において論じられてきたテーマの 1 つ に、パッケージへの画像掲載が消費者反応に 及ぼす効果が挙げられる。のちに詳しくレ ビューする通り、画像が掲載されたパッケー ジは当該製品への注意を促すことや、製品評 価を高めることが既存研究によって示され て い る(Underwood, Klein, and Burke 2001; Hagtvedt and Patrick 2008)。

 しかしながら、パッケージへの画像掲載が 常に好ましい消費者反応をもたらすとは限ら ない。例えば、ライオン、花王、P&G の各 社から発売されている香り付き柔軟剤に関す 要約(アブストラクト)  既存研究においては、パッケージへの画像掲載により、好ましい消費者反応を得られることが示されてき た。本研究では、こうした効果がどのような時に変化するのかを検討するため、解釈レベル理論を援用した。 解釈レベル理論は、対象との心理的距離によって対象への捉え方が変化することを提示している。  実験 1 では心理的距離のうち社会的距離に注目した。その結果、消費者がギフトを想定した場合(社会的 距離:遠)、画像非掲載パッケージが製品評価を高め、自分自身での消費を想定した場合(社会的距離:近)、 画像掲載パッケージが製品評価を高めることが示された。  実験 2 では心理的距離のうち時間的距離に注目した。ギフトを贈与するまでの時間的距離を操作したとこ ろ、消費者が遠い将来の消費を想定した場合は、画像非掲載パッケージが製品評価を高める一方、近い将来 の消費を想定した場合は、画像掲載パッケージが製品評価を高めることが示された。 キーワード  パッケージ・デザイン、画像、解釈レベル理論、心理的距離

パッケージへの画像掲載が製品評価に及ぼす効果

─解釈レベル理論にもとづく検討─

恩 藏 直 人 (早稲田大学) 石 井 裕 明 (成蹊大学) 外 川   拓 (千葉商科大学)

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る調査では、パッケージ上に掲載された画像 に対し、男女で異なる選好が示された。特に、 一部のブランドでは、パッケージ上に掲載さ れた画像に対し、男性からネガティブな評価 も聞かれている(杉江 2014)。また、2013 年 6 月、アサヒビールはギフト専用の「スーパー ドライ・ドライプレミアム」を発売した。パッ ケージ・デザインを策定する際、同社は「スー パードライ」のデザインをベースに用いなが らも、カラーを変更するとともに、もともと 掲載されていた麦のイラストをあえて取り除 くことにした。製品品質の高さを消費者へ明 確に表現するためである。その結果、「スー パードライ・ドライプレミアム」は、発売後、 計画の 3 倍以上もの売上げを示したという (笹田 2014)。こうした例を踏まえると、ど のような状況において、パッケージへの画像 掲載がより好ましい製品評価をもたらすかに ついて検討することが課題となる。  そこで本研究では、上述の課題について、 近年の消費者行動研究で関心が高まってい る解釈レベル理論をもとに検討していく。解 釈レベル理論では、対象への心理的距離に よって対象の捉え方が変化することが想定 されている(Trope and Liberman 2003)。心 理的距離には、社会的距離(例えば、自分か ら見た他者と自分自身)や時間的距離(例え ば、3 か月後と明日)が含まれる。本研究に おいても、パッケージへの画像掲載が有する 効果は、製品消費主体に対する社会的距離や 製品消費までの時間的距離によって変化す ることを仮説として示し、2 つの実験を通し てそれらの仮説を検証していく。 2. 理論的背景 2-1 パッケージ・デザイン研究  パッケージ・デザインについては、これま で多くの研究が取り組まれてきた。既存研究 の視点を概観すると、次の 3 つに大別できる。 1 つ目は「あるパッケージ・デザインによっ てどのような消費者反応が生じるか」とい う視点、2 つ目は「パッケージを組織の内外 でいかにデザインしていくか」という視点、 3 つ目は「環境問題や幼児の製品誤飲といっ た社会的問題に対して、パッケージ・デザイ ンでいかに対応するか」という視点である (外川 2010)。  なかでも、1 つ目に述べたパッケージ・ デザインと消費者反応の結びつきについて は、両者の関係を概念モデルとして提示した Garber(1995)を端緒に多くの研究が行われ ており、パッケージ・デザイン研究の主要な 潮流を形成している。こうした研究潮流の例 として、パッケージ・カラーに関する研究が 挙げられる。Garber, Burke, and Jones(2000) は、バーチャル・シミュレーションを用いて 実験を実施した結果、特定のブランドに高い ロイヤルティを持つ被験者は、パッケージ・ カラーの変更程度が高まるにつれ当該ブラ ンドを選択する確率が減少する一方、ロイヤ ルティの低い被験者は、パッケージ・カラー の変更程度が高まるにつれ当該ブランドを 選択する確率が高まることを明らかにした。  パッケージの形状についても様々な視点か ら研究が進められている。例えば Raghubir and Greenleaf(2006)は、四角形のパッケージ における縦横比に注目し、黄金比(1:1.618) に則ったパッケージ形状が消費者から高い選 好を得られると指摘した。そのほか、パッケー ジ形状が複雑なほど、内容量が多く知覚され ることを示した研究(Folkes and Matta 2004) や、内容量が同じパッケージであっても、細 長いパッケージのほうがそうでない(ずんぐ りとした)パッケージに比べて、内容量が多 く知覚され、消費量も増加する傾向を明らか にした研究(Raghubir and Krishna 1999)など

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も行われている。  パッケージ・サイズに関する研究も展開さ れている。Wansink(1996)によると、内容量 が同一であっても、大きなパッケージに入っ た製品のほうが小さなパッケージに入った 製品に比べ、より多くの量が使用されるとい う。加えて同研究は、パッケージが一定のサ イズに達すると使用量の変化が横ばいにな ること、そして製品によって使用量に及ぼす パッケージ・サイズの効果の程度が異なるこ とも明らかにしている。 2-2 パッケージへの画像掲載と消費者反応  既に述べた通り、パッケージ・デザイン研 究においては、カラー、形状、サイズといっ た各要素が消費者反応に及ぼす影響について 繰り返し議論されてきた。こうしたなかで、 とりわけ高い関心が寄せられてきた要素の 1 つに、パッケージ上の画像が挙げられる。パッ ケージ・デザインに関する既存研究では、画 像の掲載が消費者反応に影響を及ぼすこと が 指 摘 さ れ て い る。Underwood, Klein, and Burke(2001)は、複数の食品ブランドについ て画像掲載パッケージと画像非掲載パッケー ジを用意し、模擬購買実験を行った。その結 果、パッケージへの画像掲載は消費者の注意 を引き付ける効果を有していた。

 Underwood and Klein(2002)は、画像には 製品やブランドと関連するポジティブな記憶 を連想させる効果があるという Kisielius and Sternthal(1986) の知見をもとに、パッケー ジへの画像掲載が消費者反応に及ぼす効果を 検討した。食品ブランドを用い、Underwood, Klein, and Burke(2001)と 類 似 し た 実 験 を 行ったところ、パッケージへの製品画像掲載 により、消費者のブランド信念が好ましくな ることが示された。これらの知見を踏まえ、 画像の掲載時と非掲載時だけでなく、パッ ケージ上の画像の配置に関する研究や、画像 で示す製品の量(例えば、パッケージ上の写 真で描かれている中身のクッキーの枚数)に 関する研究も行われている(Deng and Khan 2009; Madzharov and Block 2010)。

 製品画像ではなく、芸術作品の絵画を掲載 することの効果も確認されている。Hagtvedt and Patrick(2008)によると、パッケージに 古典的な絵画を掲載した場合、古典作品では ない類似した絵画を掲載した場合や、絵画を まったく掲載しない場合に比べ、製品に対す る評価が高まる。  以上のように、多くの既存研究において は「画像以外のデザイン要素が等しい場合、 パッケージに画像を掲載したときと掲載し ないときで、消費者反応にどのような違いが 生じるのか」という視点で研究が進められて きた。その結果、消費者の注意を引きつけ、 ブランド信念を好ましくし、製品評価を高め るなど、既存研究は主にパッケージへの画像 掲載が好ましい消費者反応をもたらすこと を示している。  しかしながら、パッケージへの画像掲載が 常に好ましい消費者反応をもたらすとは限 らない。本稿の冒頭でも述べた通り、実際の 市場においては、画像を掲載していないパッ ケージを採用することにより、消費者から支 持を集めている製品も存在する。そこで本研 究では、パッケージへの画像掲載がどのよう な状況で製品評価を高めるのかについて、解 釈レベル理論をもとに検討していく。 2-3 解釈レベル理論  近年、消費者行動研究において関心が高 まっているテーマの 1 つに、解釈レベル理 論が挙げられる。解釈レベル理論によると、 人が対象や出来事に対して感じる心理的距 離によって、高次の解釈レベルと低次の解釈

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レベルに精神的表象が変化する(阿部 2009; Trope and Liberman 2003)。人が対象との 心理的距離を遠く感じた場合、解釈レベルは 高次となり、抽象的、本質的、目標関連的に 対象を捉える。一方、対象との心理的距離を 近く感じた場合、解釈レベルは低次となり、 具体的、副次的、目標非関連的に対象を捉 える(図表 1)。前者における目標の捉え方は why 質問(「物事をなぜ行うのか」という視点) に対応し、後者における目標の捉え方は how 質問(「物事をどのように行うのか」という視 点)に対応するともいわれている。  これらのなかで、本研究と特に関連が強い のは、具体性(抽象的―具体的)である。解 釈レベル理論研究における具体性は、ある 行為を行っている状況を想定するにあたり、 人が利用可能な情報の詳細さや豊富さとし て扱われている(Trope and Liberman 2003; Trope, Liberman, and Wakslak 2007)。例え ば、MP3 プレイヤーの使用に対して、解釈 レベルが低次となり具体的な視点で捉えた 場合、MP3 プレイヤーを使用している状況 や使用方法といった詳細な情報に焦点が向 けられる(Hamilton and Thompson 2007)。  心理的距離には「時間的距離」(例えば、 3 か月後と明日)、「空間的距離」(例えば、 30km 離れた店舗と 1km 離れた店舗)、「社会 的距離」(例えば、自分から見た他者と自分)、 「経験的距離」(例えば、PC の画面上で見た だけの製品と実際に触れた製品)などが含ま れる(Liberman, Trope, and Wakslak 2007)。 これらのなかでも、既存研究が特に中心的 に取り上げているのは時間的距離と社会的 距離である(外川・八島 2014)。時間的距離 に関する研究としては、例えば、Trope and Liberman (2000)が挙げられる。彼らは、時 計付きラジオを用いた実験を行い、消費者が 遠い将来の購買を想定した場合は本質的属 性が優れた製品、近い将来の購買を想定した 場合は副次的属性が優れた製品を選択する 傾向があることを示した。  その他にも、遠い将来の購買を想定した場 合、価格が高いほど製品に対する知覚品質が 高まるのに対し、近い将来の購買を想定した 場合、価格が高いほど価格に対する知覚犠 牲が高まることを見出した研究(Bornemann and Homburg 2011)や、消費者が遠い将来の 購買を想定している場合、妥協効果と背景対 比効果が弱まり、魅力効果は強まることを示 した研究(Khan, Zhu, and Kalra 2011)などが ある。

 一方、社会的距離についても近年では多く の研究が行われている。社会的距離とは他者 やその集団との類似性の高さを意味してお り(Trope and Liberman 2003)、一般的な言 葉に置き換えると、特定の人物や集団に対す る「親近感」や「身近さ」などと近い。  Kim, Zhang, and Li (2008)は、時間的距離と 社会的距離の交互作用について検討している。 ホテルに関する架空のレビューを用い、時間 的距離と社会的距離を操作した実験を行った ところ、特に 2 つの心理的距離が近い状況に おいて、消費者は低次解釈レベルと関連した 製品属性を重視することが明らかになった。 Zhao and Xie(2011)の Study 3 は、近い将来 のイベント(2 日後)を想定した場合、社会的 距離が近い人(自分と同じ大学の学生)からの 推奨、遠い将来のイベント(2 か月後)を想定 した場合、社会的距離が遠い人(他大学の学生) からの推奨が、それぞれ製品に対する選好を 高めることを示した。Yan and Sengupta(2011) は、社会的距離の効果に注目し、製品選択を 課す実験を行った。その結果、解釈レベルが 高次の場合、消費者は抽象的な推論である「価 格に依拠した品質判断」を行う傾向が示され た。なお、同様の傾向は時間的距離に注目し

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た別の実験でも確認されている。

 社会的距離の概念は、これまでギフト・ ギビング研究(例えば、Belk and Coon 1993; 南 1998)のなかで扱われてきたギフト用の 製品購入状況に結び付けることもできる。 Hamilton and Thompson(2007)の Study 3 は、 社会的距離(遠:他者へのギフト用/近:自分 用)と経験的距離(遠:画面上で製品情報を閲 覧/近:直接製品に触れる)に焦点を当ててい る。実験を行ったところ、直接製品に触れた 被験者が自分自身の使用を想定した場合、被 験者は保存可能な曲数が多い(「製品をなぜ使 うのか」に対応する why 関連属性が優れた) 製品より、操作性が高い(「製品をどのように 使うのか」に対応する how 関連属性が優れた) 製品を高く評価するという結果が得られた。 2-4 画像と解釈レベルの適合性  本研究の問題意識である「どのような状況 において、パッケージへの画像掲載が好まし い消費者反応をもたらすのか」について、画 像が有する特性と解釈レベルとの適合性と いう観点から考察を進めていく。  既存研究によると、画像を提示した場合、 人は非言語的処理を用いて対象を捉えるとい う(Paivio 1986; Glaser 1992)。非言語的処理 を行った時、言語的処理を行った時に比べ、 人はアイディア、印象、記憶に関する具体的 な表象を生起する(Yuille and Catchpole 1977; MacInnis and Price 1987)。こうしたプロセス の結果、パッケージ上に掲載された画像は、 消費者に製品内容物の外観、味、香り、音な どの具体的なイメージを伝達するといわれて いる(Underwood, Klein, and Burke 2001)。  情報を具体的に伝達するという画像の役 割は、上記のような情報処理方略の違いだけ でなく、人間の概念構造との関連からも説明 できる。例えば、「哺乳類 ― 犬 ― ブルドッ グ」といった階層の概念を示す際、画像に よって示すことができるのは、ブルドッグの ような具体的な対象であり、哺乳類そのも のを描き出すことはできない(Amit, Algom, and Trope 2009; Amit, Wakslak, and Trope 2013)。概念の階層構造において、画像は哺 乳類のような抽象的な上位階層の概念をそ のまま表すことができず、より詳細で具体的 な姿を描き出すことになる。  以上の知見を踏まえると、画像が掲載さ れたパッケージは画像が掲載されていない パッケージに比べ、製品内容物に関する具 体的なイメージを消費者に伝達すると考え られる。ただし、一口にパッケージ上に掲 載された画像と言っても、そこでの描写は 様々であろう。パッケージの内容物やその属

出典:Trope and Liberman (2003), p.405 をもとに筆者作成

図表1 時間的距離による対象の捉え方 対象 明日 か月後  抽象的  単純  本質的  目標関連的  と対応 高次解釈レベル  具体的  複雑  副次的  目標非関連的  と対応 低次解釈レベル

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性を描き出したものもあれば、Hagtvedt and Patrick(2008)が注目した芸術作品の絵画の ように、内容物とは直接的に関連性のない描 写も存在する。パッケージ上に掲載された画 像が製品内容物に関する具体的なイメージ を伝達するという効果は、特に前者のように 製品の内容物やその属性を描写した画像を 用いた場合に生じると考えられる。したがっ て、本稿ではこれ以降、画像のなかでも特に パッケージの内容物に関連した画像に注目 して議論を進める。  解釈レベル理論の前提に基づくならば、製 品の購買や消費に対する心理的距離が遠い 場合は解釈レベルが高次になるため、画像が 掲載されていないパッケージが適合してい る一方、製品の購買や消費に対する心理的距 離が近い場合は解釈レベルが低次になるた め、画像が掲載されたパッケージが適合して いることになる。  具体的な情報を伝達するという画像の特 性と解釈レベルとの適合性は、結果的に情 報に対する好ましさや評価にも影響を及ぼ すと考えられる。解釈レベル理論を用いた 既存研究においても、広告などの刺激の特 性と解釈レベルが一致した場合、不一致の 場合に比べ、消費者は製品やブランドに対 して好ましく評価する傾向が示されている (Martin, Gnoth, and Strong 2009; Hong and

Lee 2010)。こうした傾向は、円滑な情報 処理により対象が好ましく評価されること を示したプロセス・フルーエンシー(process fluency)の概念とも一致する(Lee and Labroo 2004; Labroo, Dhar, and Schwarz 2008; Alter and Oppenheimer 2009)。 3. 仮説の設定  前述のレビューにもとづくと、解釈レベル 理論における「具体性」とは、ある行為を 行っている状況を想定するにあたり、人が利 用可能な情報の詳細さや豊富さとして扱わ れており(Trope and Liberman 2003; Trope, Liberman, and Wakslak 2007)、画像は対象 の特徴や性質を具体的に伝達する機能を有 している(Yuille and Catchpole 1977; Paivio 1986; Amit, Algom, and Trope 2009)。とす るならば、パッケージに画像を掲載すること は、製品内容物の特徴や製品から得られる便 益について、消費者へ具体的なイメージを もたらす役割を果たすであろう(Underwood, Klein, and Burke 2001)。

  ま ず は こ の 傾 向 に つ い て、 心 理 的 距 離 の 1 つ で あ る 社 会 的 距 離 と 関 連 付 け な が ら、議論を進めていく。既にレビューした Bornemann and Homburg(2011)は「 社 会 的 距離に注目することにより、ギフトの購買、 他者へのアドバイス、他者のための意思決 定など多様な消費状況が考慮可能である」 (p. 495)と述べている。この指摘に基づき、 本研究ではギフトの購買状況に注目するこ とにより、社会的距離とパッケージへの画像 掲載効果を検討する。ギフト購買の想定に より社会的距離を操作する方法は、Hamilton and Thompson(2007)でも用いられている。 彼らによると、消費者が自分自身の消費を想 定した場合、製品消費主体に対する社会的距 離を近く感じ、解釈レベルが低次となる。一 方、他者は自分自身より社会的距離が遠いた め、消費者がギフトを想定した場合、解釈レ ベルは高次となる。第 2 節での議論を踏ま えると、前者では、製品内容物に関する具体 的なイメージをもたらす画像が掲載された パッケージが製品評価を高め、後者では画像 が掲載されていないパッケージが製品評価 を高めるであろう。したがって、以下の仮説 を設定した。

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H1: 消費者が他者へのギフトを想定して いる場合、画像が掲載されていない パッケージのほうが、画像が掲載さ れたパッケージに比べ製品評価は高 まる。 H2: 消費者が自分自身の製品消費を想定 している場合、画像が掲載されたパッ ケージのほうが、画像が掲載されて いないパッケージに比べ製品評価は 高まる。  既に述べた通り、解釈レベル理論の鍵概 念である心理的距離には、H1、H2 で想定し た社会的距離以外にも時間的距離、空間的 距離などが含まれる(Trope, Liberman, and Wakslak 2007)。そのため、社会的距離だけ でなく、その他の心理的距離に関する仮説を 構築し、検証することで、本研究が想定す る解釈レベルと画像掲載効果の関係につい て、より一般性を高めることが可能となる。 Bornemann and Homburg(2011)や Yan and Sengupta(2011)も、特定の心理的距離に注 目した実験を行うだけでなく、他の心理的距 離を用いた実験を行うことにより、研究知見 の一般化を図っている。  これまでの議論によると、解釈レベルが低 次の(心理的距離が近い)状況下で、画像が掲 載されたパッケージが刺激として提示され た場合、刺激と解釈レベルが一致するため、 円滑な情報処理が可能となり、対象は好まし く評価される。この傾向について時間的距離 を適用して考えた場合、消費者が近い将来の 製品消費を想定しているとき、パッケージに 掲載された画像は製品内容物に関する具体 的なイメージを与え、製品評価を高めると考 えられる。一方、消費者が遠い将来の製品消 費を想定しているとき、パッケージに掲載さ れた画像は、刺激と解釈レベルとの不一致を 生じさせ、製品評価を低下させてしまうであ ろう。以上より、次の仮説を設定した。 H3: 消費者が遠い将来の製品消費を想定 している場合、画像が掲載されてい ないパッケージのほうが、画像が掲 載されたパッケージに比べ製品評価 は高まる。 H4: 消費者が近い将来の製品消費を想定 している場合、画像が掲載された パッケージのほうが、画像が掲載さ れていないパッケージに比べ製品評 価は高まる。  H1 ~ H4 はいずれも、消費の主体や時期 に対する心理的距離によって、パッケージ上 の画像が製品評価に及ぼす影響が調整され ることを想定している(図表 2)。これらの仮 説を検証するため、本研究では 2 つの実験 を実施した。 パッケージへの 画像掲載(具体的) /非掲載(抽象的) 製品評価 消費の主体や時期への 心理的距離 (消費者の解釈レベル) 図表2 仮説の概念図

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4. 予備調査 4.1 刺激の制作  本研究ではパッケージを刺激として用い た実験を実施しているが、それに先立ち、実 験用刺激の製品カテゴリーを検討した。実験 において、少数のブランドしか存在しない製 品カテゴリーを用いると、特定のブランドの 特徴やそれにもとづく消費者の経験が結果 に影響してしまう恐れがある。また、特定の 消費者層のみが購買経験を有する製品カテ ゴリーを用いると、一部の消費者の特性がバ イアスとして結果に影響する懸念もある。そ こで本研究においては、様々なブランドや製 品が市場に導入されており、年齢や性別を 問わず多くの消費者が購買経験を有してい るチョコレートを実験用製品カテゴリーと した。  いくつかの調査報告によると、チョコレー トは自分自身で食すために購入されるだけ でなく、誕生日や気軽なお礼のためのギフ トとして購入されることも多く(アサヒグ ループホールディングス 2008; ネスレ日本 2013)、近年ではそれらのギフトを予約して 購入する現象も見られるという(日本経済新 聞 2012)。本研究で行われる実験では、製品 を誕生日プレゼントとして購入(予約)する 状況を被験者に想定してもらうシナリオを 用いる予定であるため、この点でもチョコ レートが適切な製品カテゴリーであると判 断した。  なお、言うまでもなく、チョコレートにも 板チョコレート、チョコレート・バー、箱入 りチョコレートなど様々な形態の製品が存 在し、製法や味付けなども多様である。しか し、このあとの実験で用いる際には、自分自 身用、誕生日プレゼント用を問わず不自然で はないタイプの製品でなければならないた め、本研究では、クランベリー風味の箱入り チョコレートを実験用製品として用いるこ とに決定した。  次に、刺激の制作方法について検討を行 う。刺激の制作においては 2 つの方法が一般 的である。1 つ目は、市場に実在するパッケー ジをパソコン等にデータとして取り込み、レ タッチ・ソフトを用いて画像の有無を変更す る方法である。しかし、既存のパッケージを 用いてしまうと、被験者の事前知識が製品評 価に影響を及ぼし、正確な知見を得られない 恐れがある。既にレビューでも示した通り、 パッケージ上の画像には消費者のポジティ ブな記憶を連想させる効果がある(Kisielius and Sternthal 1986; Underwood and Klein 2002)。とするならば、仮に本研究の実験に おいて市場に実在するブランドのパッケー ジを用いると、消費者のなかで当該ブランド を消費した際のポジティブな記憶が引き起 こされ、刺激と解釈レベルの適合性以外の要 因が交絡することになる。したがって、本研 究において既存のパッケージを加工し、実験 用刺激として用いる方法は適切とは言えな いだろう。  2 つ目の方法として、被験者の事前知識に よる影響を回避するために、研究者が架空の パッケージを制作するという方法も挙げら れる。しかしこの方法では、一般に市場で流 通しているパッケージと、デザイン面におい て同等のクオリティを確保することが困難 である。  そこで本研究では、豊富な経験を有する パッケージ・デザイン会社に 2 つのパッケー ジのイラストを制作してもらった。刺激の制 作においては、サイズ、形状、カラー、言語 情報の内容といった画像の有無以外の要素 については極力統一すること、およびデザイ ンの専門家から見て市販製品のパッケージ と同等のクオリティを維持することを、パッ

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ケージ・デザイン会社に依頼した。  完成した刺激は付録に示されている。いず れもクランベリー風味の箱入りチョコレー トであり、茶色のベースにクランベリーを意 味するフランス語「de canneberge」が掲載 されている。既に述べた通り、本研究はパッ ケージ上に掲載された画像の中でも、特に 製品内容物の属性を描き出した画像に注目 し、その効果について実験で明らかにするこ とを目的としている。したがって、クランベ リーのイラストが掲載されたパッケージ(画 像掲載刺激)と、掲載されていないパッケー ジ(画像非掲載刺激)の 2 種類を用意した。な お、後述する通り、予備調査、実験 1、実験 2 においては、すべての被験者に対し、クラ ンベリー風味のチョコレートであることを 文章で示したため、被験者はパッケージの中 身に関する基本的な情報を知らされたうえ で、実験に参加している。 4-2 予備調査の目的と手続き  制作されたパッケージ・デザインを実験用 刺激として用いることが適切であることを 確認するため、2011 年 3 月、全国の 20 ~ 69 歳の男女 208 名を対象として、インター ネットによる予備調査を行った。調査の目的 は第 1 に、本研究が想定している通り、画 像非掲載刺激より画像掲載刺激のほうが製 品内容物に対する具体的なイメージをもた らすことを確認するため、第 2 に、画像の 有無以外、両刺激の好ましさや高級感に大き な違いが存在しないことを確認するためで ある。  まず、被験者には「下の画像は、ある企業 が発売を検討しているチョコレートのパッ ケージです。クランベリー風味が特徴で、一 口サイズのチョコレートが 6 個入っていま す」というリード文を示したのち、画像掲載 刺激と画像非掲載刺激のいずれかを提示し た。続いて、刺激についての「具体性」「パッ ケージ評価」「高級感」を被験者に質問した。 これら 3 つの質問は、前述した予備調査の目 的と対応している。「具体性」は、本研究の 仮説設定時に前提とした通り、画像掲載刺激 が画像非掲載刺激に比べ、製品内容物に関す る具体的なイメージを消費者にもたらすこ とを確認するための尺度である。「パッケー ジ評価」と「高級感」は、画像掲載刺激と画 像非掲載刺激との間で、パッケージに対する 好ましさや高級感といった画像の有無以外 の要因に大きな違いが存在しないかを確認 するための尺度である。  これら 3 つの構成概念に対する測定項目 は図表 3 の通りである。「具体性」について は、2 - 3 で述べた解釈レベル理論における 具体性の捉え方をもとに、製品を消費する場 面を想定する際、製品内容物の特徴につい てどれくらい豊富な情報をもたらしている かという観点で測定項目を設定した。すなわ ち、チョコレートが有する特徴についてど れくらい具体的なイメージをもたらすかと いう点から具体性を捉え、「チョコレートの 風味や品質を想像しやすいパッケージであ る」「チョコレートを食べたときの風味が伝 わってくるパッケージである」の 2 項目を 「具体性」の測定項目として設定した。その 他、「パッケージ評価」については、パッ ケージへの評価を測定した Schoormans and Robben(1997)お よ び Underwood and Klein (2002)の尺度を用い、「高級感」について は、パッケージに対する高級感知覚を測定 した Hagtvedt and Patrick(2008)を参考とし ている。いずれの項目も、7 ポイントのリッ カート尺度(「1: まったくそう思わない」~ 「7: 非常にそう思う」)を用いて測定した。

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価」「高級感」について、各構成概念の測定 尺度の信頼性と妥当性を検討した(図表 3)。 尺度の信頼性を表す Cronbach の α を確認 したところ、いずれも .70 以上の値が得ら れた。同じく尺度の信頼性を検討するため、 Composite Reliability(CR)を求めたところ、 いずれも Bagozzi and Yi(1988)が示した .60 の基準を上回っていた。以上より、3 つの構 成概念は内的一貫性を備えていることが確 認された。次に、収束妥当性を検討するため、 Average Variance Extracted(AVE)を 算 出 したところ、いずれも Fornell and Larcker (1981)や Bagozzi and Yi(1988)が示した .50 の基準を上回っていた。したがって、すべて の構成概念は収束妥当性を備えていること が確認された。 4-3 分析結果  画像掲載刺激が画像非掲載刺激に比べ、製 品内容物に関する具体的なイメージをもた らすとともに、2 つの刺激のクオリティや高 級感に有意差が無いことを確認するため、各 測定項目への回答を構成概念ごとに合計し たうえで分析を行った。したがって、「具体 性」は 2 ~ 14、「パッケージ評価」は 5 ~ 35、「高級感」は 3 ~ 21 の値をとる。  「具体性」について両刺激に対する値を t検定により比較したところ、本研究が想定 していた通り、画像掲載刺激(M = 9.14, SD = 2.06)のほうが、画像非掲載刺激(M = 8.28, SD = 2.49)に比べ、消費者に製品内容物の具 体的なイメージをもたらしていることが確 認できた(t(206) = -2.73, p = .01; d = .38)。  次に、「パッケージ評価」と「高級感」に 対する値の比較を行った。t 検定の結果、画 像掲載刺激(M = 24.30, SD = 5.82)と画像非 掲載刺激(M = 23.95, SD = 5.80)との間で、 「パッケージ評価」に有意差が生じていな いことが確認された(t (206) = -.43, p = .67; d = .06)。同様に、画像掲載刺激(M = 14.91, SD = 3.84)と 画 像 非 掲 載 刺 激(M = 15.10, SD = 3.75)との間で、「高級感」にも有意差 は生じていなかった(t(206)= .35, p = .73; d = .05)。 図表3 構成概念と測定尺度 構成概念 測定尺度 α CR AVE 具体性 チョコレートの風味や品質を想像しやすいパッケージ である .81 .75 .60 チョコレートを食べたときの風味が伝わってくるパッ ケージである パ ッ ケ ー ジ 評価 美しいパッケージである .89 .89 .62 洗練されたパッケージである 品質の良さを感じさせるパッケージである 好ましいパッケージである 魅力的なパッケージである 高級感 豪華さを感じるパッケージである .78 .80 .58 高級感を感じるパッケージである 安っぽさを感じるパッケージである(R)

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 以上の結果から、制作されたパッケージ・ デザインを実験用刺激として用いることは 適切であると判断した。 5. 実験 1 5-1 設計と手続き  H1、H2 を検証するため、2(社会的距離: 遠/近)×2(パッケージ上の画像:掲載/非 掲載)の実験を実施した。いずれの要因につ いても被験者間計画法を採用している。被験 者は、関東 1 都 6 県と関西 2 府 5 県に居住 する 20 ~ 69 歳の男女 400 名であり、2012 年 2 月にインターネット調査を用いて実験 を行った。なお、分析を行う際には、400 名 の回答者のうち、不適切と考えられる 18 名 の回答(1)を除いた 382 名のデータを用いてい る。  まず回答者には、社会的距離の操作を行う ためシナリオを提示した。シナリオの作成に おいては、既にレビューした Hamilton and Thompson(2007)が用いたシナリオを参考と した。彼らは、社会的距離を「他者へのギフ トとして MP3 プレイヤーを評価してくださ い」(遠い条件)と「自分自身が使用するこ とを想定し MP3 プレイヤーを評価してくだ さい」(近い条件)で操作している。本研究も このシナリオをベースとし、社会的距離が遠 い条件群には、「あなたは友人の誕生日パー ティーに出席することになりました。その折 に持っていく簡単なプレゼントを選んでい る状況を想定して下さい。プレゼントを選ん でいる際、一つのチョコレートが目に留まっ たとします。クランベリー風味が特徴で、一 口サイズのチョコレートが 6 つ入っており、 価格は¥1,000 です」というシナリオを用い た。一方、社会的距離が近い条件群には、「ご 自身で食べるチョコレートを選んでいる状 況を想定して下さい。その際、一つのチョ コレートが目に留まったとします。クランベ リー風味が特徴で、一口サイズのチョコレー トが 6 つ入っており、価格は¥1,000 です」 というシナリオを用いた。  シナリオを提示した後、画像掲載刺激と画 像非掲載刺激のいずれかを提示した。その 際、調査画面上には、一般的に店頭で目にす るチョコレートに近いサイズで刺激を提示 し、実際のパッケージが有するイメージや視 認性が損なわれぬよう配慮している。刺激を 提示した後、「製品評価」について被験者に 質問した。  従属変数となる「製品評価」は、Hamilton and Thompson(2007)で 製 品 評 価 を 測 定 す る際に用いられた尺度を参考とし、「おい しそうな商品だ」「魅力的な商品だ」「好ま しい商品だ」の 3 項目(α = .86, CR = .88, AVE = .71)を 7 ポイントのリッカート尺度 (「1: まったくそう思わない」~「7: 非常に そう思う」)で測定し、合計値を求めた。した がって、「製品評価」は 3 ~ 21 の値をとる。  また、画像掲載刺激のほうが画像非掲載 刺激に比べ製品内容物に関する具体的なイ メージをもたらすこと、画像掲載刺激と画像 非掲載刺激との間でクオリティや好ましさ が異ならないことを、本実験対象者でも確 認するため、「具体性」(α = .87, CR = .85, AVE = .73)、「パッケージ評価」(α = .95, CR = .95, AVE = .80)、「高級感」(α = .87, CR = .88, AVE = .71)について予備調査と同 じ項目、方法を用いて測定した。予備調査と 同様、いずれの構成概念も Cronbach の α、 CR、AVE の値から、内的一貫性および収束 妥当性を備えていることが確認されている (Fornell and Larcker 1981; Bagozzi and Yi

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5-2 分析結果  まず、刺激の「具体性」「パッケージ評 価」「高級感」について確認を行った。そ の 結 果、 予 備 調 査 と 同 様、 画 像 掲 載 刺 激 (M = 8.15, SD = 2.34)のほうが、画像非掲載 刺激(M = 7.60, SD = 2.72)に比べ、消費者 に製品内容物の具体的なイメージを与えて いることが示された(t(380)= 2.10, p = .04; d = .22)。また、画像掲載刺激(M = 18.01, SD = 5.34)と 画 像 非 掲 載 刺 激(M = 18.66, SD = 5.27)との間で「パッケージ評価」に有 意差が生じておらず((380)= -1.22, t p = .23; d = .12)、「高級感」においても、画像掲載 刺激(M = 13.61, SD = 3.64)と画像非掲載刺 激(M = 14.05, SD = 3.71)との間で、有意差 は生じていなかった(t(380)= 1.17, p = .24; d = .12)。したがって、2 つのパッケージ・ デザインが実験用刺激として適切であるこ とが実験 1 の回答者においても確認できた。  次に、「製品評価」を従属変数とする 2 (社会的距離:遠/近)×2(パッケージ上の 画像:掲載/非掲載)の 2 元配置分散分析 を実施した。その結果、社会的距離の主効 果 が 有 意 と な り(F(1, 378)= 4.74, p = .03; η2 p = .01)、パッケージ上の画像の主効果 は 有 意 と な ら な か っ た(F(1, 378)= .10, p = .76; η2 p < .01)。加えて、社会的距離とパッ ケージ上の画像の交互作用が有意となった (F(1, 378)= 7.49, p = .01; η2 p = .02; 図表 4)。  さらに、H1 の検証を行うため、全分析 データを対象とし Bonferroni 法による単純 主効果の検定を行ったところ、社会的距離 が遠い条件において画像非掲載刺激が提示 された群(n = 96, M = 13.39, SD = 2.69)で は、画像掲載刺激が提示された群(n = 97, M = 12.61, SD = 3.23)に 比 べ 製 品 評 価 が 高 く、 そ の 差 は 10% 水 準 で 有 意 と な っ た (F(1, 378)= 2.97, p = .09; η2 p = .01)。これ により、H1 が支持された。続いて、H2 の 検証を行うため、H1 と同様の方法で単純 主効果の検定を行ったところ、社会的距離 が近い条件において画像掲載刺激が提示さ れ た 群(n = 94, M = 12.79, SD = 3.03)で は、画像非掲載刺激が提示された群(n = 95, M = 11.81, SD = 3.52)に比べ製品評価が高 く、その差は有意であった(F(1,378)= 4.60, p = .03; η2 p = .01)。したがって、H2 が支持 された。 図表4 製品評価の平均値 (a)「製品評価」は「おいしそうな商品だ」「魅力的な商品だ」「好ましい商品だ」 について 7 ポイントのリッカート尺度で測定し、これら 3 項目の回答を合計 した値である。なお、図中のエラーバーは標準誤差(±1SE )を表す。 遠(友人) 近(自分) 製 品 評 価 社会的距離 画像掲載 画像非掲載

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5-3 結果のまとめ  実験 1 では社会的距離に注目し、パッケー ジを刺激とした実験を行った。その結果、消 費者が想定する製品消費主体までの社会的 距離により、パッケージへの画像掲載の効果 が異なることが示された。具体的には、消費 者が他者へのギフトを想定している場合、画 像を掲載していないパッケージが製品評価 を高める一方、自分自身での消費を想定して いる場合は画像を掲載したパッケージが製 品評価を高めることが確認された。以上の結 果により、本研究が提示した H1、H2 は支持 されたと結論付けられる。

 一方、本研究では Bornemann and Homburg (2011)などの指摘に基づき、時間的距離に注 目した仮説(H3 と H4)も提示している。実験 2 では、製品消費までの時間的距離を変化させ るシナリオを用い、パッケージを刺激とする 実験を行うことにより、H3 と H4 を検証する。 6. 実験 2 6-1 設計と手続き  時間的距離に注目した H3、H4 を検証する ため、2(時間的距離:遠/近)×2(パッケー ジ上の画像:掲載/非掲載)の実験を実施し た。いずれの要因についても被験者間計画法 を用いている。被験者は、関東 1 都 6 県と 関西 2 府 5 県に居住する 20 ~ 69 歳の男女 208 名であり、2011 年 5 月にインターネッ ト調査を用いて実験を行った。なお、分析を 行う際には、208 名の回答者のうち、不適切 と考えられる 7 名の回答(2)を除いた 201 名 のデータを用いている。  回答者にはまず、時間的距離の操作を行う ため「〈3 か月後/明日〉、誕生日を迎えるあ なたのご友人へのプレゼントとして、いま人 気のチョコレートを購入(予約)する状況を 想定して下さい。その際、一つのチョコレー トが目にとまったとします。クランベリー風 味が特徴で、一口サイズのチョコレートが 6 つ入っており、価格は¥1,000 です」とい うシナリオを提示した。シナリオの状況は、 実験 1 で用いたギフト製品の購入場面と同 じであるが、製品消費のタイミングまで遠い 条件群には「3 か月後」と示し、近い条件群 には「明日」と示すことで、時間的距離が操 作されている。いずれも購買時点は「現在」 であるが、製品を相手に渡すまでの時間的距 離は異なる。このように製品の購買時点は 「現在」としつつ、使用や消費までの時間を 変化させることで心理的距離を操作する方 法は、解釈レベル理論を援用した消費者行動 研究において既に用いられている。例えば、 Khan, Zhu, and Kalra(2011)の Study 3 にお いても、オンライン・ショッピングにおける 配送までの時間を変化させたシナリオを被 験者に読ませることにより、時間的距離を操 作している。  シナリオ提示後、画像掲載刺激と画像非掲 載刺激のいずれかを提示し、「製品評価」に ついて被験者に質問した。従属変数となる 「製品評価」については、実験 1 と同じ 3 項 目(α = .86, CR = .75, AVE = .53)を 7 ポイ ントのリッカート尺度(「1: まったくそう思 わない」~「7: 非常にそう思う」)で測定し、 合計値を求めた。したがって、「製品評価」 は 3 ~ 21 の値をとる。  また、実験 1 と同様、「具体性」(α = .72, CR = .71, AVE = .56)、「パッケージ評価」 (α = .91, CR = .90, AVE = .65)、「高級感」 (α = .75, CR = .75, AVE = .53)についても、 予備調査や実験 1 と同じ項目、方法で質問し た。なお、予備調査や実験 1 と同様、各測 定項目を構成概念ごとに合計したため、「具 体性」は 2 ~ 14、「パッケージ評価」は 5 ~ 35、「高級感」は 3 ~ 21 の値をとる。いず

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れの構成概念も Cronbach の α、CR、AVE の値から、内的一貫性および収束妥当性を備 えていることが確認されている(Fornell and Larcker 1981; Bagozzi and Yi 1988)。 6-2 分析結果  刺激の「具体性」「パッケージ評価」「高 級感」について確認を行ったところ、予備 調査や実験 1 の結果と同様、画像掲載刺激 (M = 9.09, SD = 2.25)のほうが、画像非掲 載 刺 激(M = 8.44, SD = 2.21)に 比 べ、 消 費者に製品内容物の具体的なイメージを 与えていることが示された((199)= -2.06, t p = .04; d = .29)。また、画像掲載刺激(M = 22.78, SD = 5.69)と画像非掲載刺激(M = 23.47, SD = 5.15)との間で「パッケージ評 価」に有意差が生じておらず((199)= .90, t p = .37; d = .13)、「高級感」においても、画 像掲載刺激(M = 13.57, SD = 3.47)と画像非 掲載刺激(M = 14.22, SD = 3.18)との間で、 有意差は生じていなかった(t(199)= 1.38, p = .17; d = .20)。したがって、2 つのパッケー ジ・デザインが実験用刺激として適切である ことが実験 2 においても確認できた。   次 に H3、H4 を 検 証 す る た め、「 製 品 評 価」を従属変数とする 2(時間的距離:遠/ 近)×2(パッケージ上の画像:掲載/非掲 載)の 2 元配置分散分析を実施した。その 結果、時間的距離(F(1, 197)= .53, p = .47; η2 p < .01)とパッケージ上の画像(F(1, 197)= .01, p = .93; η2 p < .01)の主効果はいずれも 有意とならず、時間的距離とパッケージ上の 画像の交互作用が有意となった(F(1, 197)= 8.45, p < .01; η2 p = .04; 図表 5)。  H3 の検証を行うため、全分析データを 対象とし Bonferroni 法による単純主効果の 検定を行ったところ、時間的距離が遠い条 件において、画像非掲載刺激を提示した群 (n = 48, M = 13.52, SD = 2.65)では、画像 掲載刺激を提示した群(n = 51, M = 12.20, SD = 3.09)に比べ製品評価が高く、その差 は有意であった(F (1, 197)= 4.43, p = .04; η2 p = .02)。これにより、H3 が支持された。 続いて、H4 の検証を行うため、H3 と同様の 方法で単純主効果の検定を行ったところ、時 間的距離が近い条件において、画像掲載刺激 を提示した群(n = 50, M = 13.80, SD = 3.51) では、画像非掲載刺激を提示した群(n = 52, M = 12.56, SD = 3.19)に比べ製品評価が高 く、その差は有意であった(F(1, 197)= 4.02, p = .05; η2 p = .02)。したがって、H4 が支持 された。 (a)「製品評価」は「おいしそうな商品だ」「魅力的な商品だ」「好ましい商品だ」 について 7 ポイントのリッカート尺度で測定し、これら 3 項目の回答を合計した 値である。なお、図中のエラーバーは標準誤差(±1SE)を表す。 遠( か月後) 近(明日) 製 品 評 価 時間的距離 画像掲載 画像非掲載 図表5 製品評価の平均値

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7. 議論 7-1 全体のまとめ  本研究においては、製品内容物に関連し た画像に注目し、どのような状況において、 パッケージへの画像掲載が製品評価を高め るのかについて、解釈レベル理論に基づき検 討を進めてきた。実験 1 では、心理的距離 のなかでも特に社会的距離に注目し、上記の 課題の解明を試みた。その結果、他者へのギ フトを想定することにより、消費に対する解 釈レベルが高次になった場合、画像が掲載さ れていないパッケージは製品評価を高める ことが見出された。これに対し、自分自身で の消費を想定することにより、消費に対する 解釈レベルが低次になった場合、製品内容物 について具体的なイメージをもたらす画像 が掲載されたパッケージは製品評価を高め ることが示された。  実験 2 では、ギフトを購入する条件にお いて、購入までの時間的距離を操作した。そ の結果、消費者が遠い将来の消費を想定した 場合、画像が掲載されていないパッケージが 製品評価を高める一方、消費者が近い将来の 消費を想定した場合、画像が掲載されたパッ ケージが製品評価を高めることが示された。  2 つの実験結果を総合すると、製品消費の 主体や時期に対して心理的距離が遠い場合、 画像が掲載されていないパッケージが製品 評価を高め、製品消費の主体や時期に対する 心理的距離が近い場合、画像が掲載された パッケージが製品評価を高めると結論付け られる。  なお、上述した通り、時間的距離に注目し た実験 2 では被験者に想定してもらう製品 消費時点を変化させるシナリオを用いた。こ れは、被験者にギフト製品の購買場面を想定 させるという点で、実験 1 の社会的距離が 遠いシナリオを用いた条件と共通している。 その結果、たとえ実験 1 の社会的距離が遠い シナリオを用いた条件と同様、他者へのギフ トを想定した場合であっても、近い将来の製 品消費を想定した場合(時間的距離:近)、画 像が掲載されたパッケージが製品評価を高 めることも明らかになった。製品消費主体ま での社会的距離が遠いとき、画像が掲載され ていないパッケージが製品評価を高めると いう結果に加え、製品消費に対する時間的距 離の操作により、前述の結果が変化する可能 性も示されたことになる。 7-2 本研究の意義  本研究の理論的意義として、主に 3 つの 点を挙げることができる。1 つ目は、パッ ケージ・デザイン研究における意義である。 既にレビューを行った通り、従来の研究で は、総じて画像を掲載することにより、消 費者のブランド信念を好ましくしたり、製 品評価を高めたりすることが示されてきた (Underwood and Klein 2002; Hagtvedt and

Patrick 2008)。しかしながら本研究により、 パッケージへの画像掲載が消費者反応に与 える影響は、製品消費の時期や主体に対する 心理的距離によって異なることが見出され た。特に、製品消費主体までの社会的距離 や、製品消費までの時間的距離が近い場合の み、画像を掲載したパッケージと解釈レベル が一致し、製品評価を高める可能性が示唆さ れている。このことから、パッケージへの画 像掲載が常に高い製品評価をもたらすとは 限らず、消費者の心理的距離によってその効 果が変化しうることを示した本研究は、従来 のパッケージ・デザイン研究を前進させるも のといえるだろう。  2 つ目は、解釈レベル理論研究における意 義である。既に本稿でレビューした通り、近 年の解釈レベル理論研究は、文脈効果(Khan,

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Zhu, and Kalra 2011)や消費者の推論(Yan and Sengupta 2011)といった既存の理論や概 念に対して、消費者の解釈レベルがどのよう な影響を及ぼすかについて明らかにしてい る。言い換えれば、これらの研究は解釈レベ ルの調整効果に注目した研究として捉える ことができる。こうしたなかで、本研究は、 パッケージへの画像掲載が製品評価を高め るか否かが、消費者の解釈レベルによって異 なることを示した。この結果は、パッケージ への画像掲載が有する効果に対し、消費者の 解釈レベルが調整効果を有することを意味 している(図表 2)。文脈効果や推論といった 既存研究での概念に続き、パッケージ・デザ インにおける画像の役割に注目し、消費者の 解釈レベルが有する調整効果を検討した本 研究の知見は、解釈レベル理論研究に新たな 視点を提供するものである。  本研究の知見を解釈レベル理論研究の視 点で捉えた場合、3 つ目の理論的意義も指摘 できる。既に述べた通り、時間的距離と社会 的距離を扱った Kim, Zhang, and Li(2008)に よると、2 つの心理的距離が近い状況におい て、消費者は低次解釈レベルに関連した製品 属性を重視する。この研究は、2 つの心理的 距離を同時に扱ったものではあるが、時間的 距離と社会的距離を並列に扱っており、両者 における影響の相違について解明を図った ものではない。こうしたなかで、本研究は、 たとえギフトの購入場面(社会的距離:遠) であっても、時間的距離が近い条件において は、低次解釈レベルと適合する画像掲載パッ ケージが製品評価を高めることを明らかに した。すなわち、解釈レベルに対して、時間 的距離は社会的距離より強い影響を及ぼす 可能性が示唆されている。時間的距離と社会 的距離において、解釈レベルに及ぼす影響の 強さが異なる可能性を示した点は、本研究の 理論的意義の 1 つである。  一方、本研究の実務的意義として、2 つの 点を挙げることができる。1 つ目は、社会的 距離に関する意義である。高級感や好ましさ といった評価が等しいパッケージを比較す ると、自分用の購入においては画像が掲載さ れたパッケージが製品評価を高める一方、ギ フト用の購入においては画像が掲載されて いないパッケージが製品評価を高めること が、本研究により見出された。この結果を踏 まえると、企業は自社製品が自分用として購 入されることが多いのか、あるいはギフト用 として購入されることが多いのかについて 調査を行い、その結果によってパッケージに 画像を掲載するか否かを検討することが可 能である。  また、同じ製品であっても、シーズンに よって主な購買目的が変化する場合も考え られる。例えば、チョコレートであればバレ ンタインのシーズン、衣料用洗剤やビールで あれば中元や歳暮のシーズンにおいて、ギフ トとして購入する消費者が増加する。その場 合、当該シーズンのみ、画像やイラストの使 用を極力避けたギフト向けパッケージを開 発し、使用することも有効だと考えられる。  2 つ目は、時間的距離に関する意義である。 本研究により、消費者が想定している製品消 費までの時間的距離によって、パッケージへ の画像掲載が製品評価に及ぼす効果が異な るという結果が示された。この結果は、企業 が製品のパッケージ・デザインを決定する際 に、示唆を提供するであろう。本研究の結果 によると、主に店頭で通常販売を行う製品に は画像を用いたパッケージ・デザインを採用 することが望ましく、数か月前から予約販 売を行う製品には画像が掲載されていない パッケージ・デザインを採用することが望ま しいものと思われる。

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7-3 本研究の限界と課題  本研究は上記の通り、複数の理論的意義と 実務的意義を有しているが、一方でいくつか の課題も残している。1 つ目は、心理的距離 の操作についてである。本研究の実験 1 では、 「友人」(社会的距離:遠)、または「自分」(社 会的距離:近)向けの購買を想定し、製品評 価を行ってもらった。このように社会的距離 を操作する際、自分以外の人物や集団と自分 自身をシナリオ内で用いる手法は Hamilton and Thompson(2007)や Zhao and Xie(2011) といった既存研究においても採用され、一般 的に用いられているものである。しかし、「友 人」と示されたとき、被験者は具体的に異な る間柄の人物をイメージした可能性がある。 社会的距離が遠いシナリオの条件における 画像の単純主効果(H1 の検証結果)を改めて 見てみると、p 値は 10% 水準での有意を示 すにとどまっている。この原因も、シナリオ で「友人」と示された際に、ある被験者は幼 なじみで強い紐帯を有する友人をイメージ し、別の被験者は挨拶を交わす程度の形式 的な友人をイメージしたなど、被験者によっ て想像した人物との距離感が異なっていた 可能性が考えられる。今後、同様の実験を行 う際には、「友人」や「知人」といった言葉 に対し、具体的にどのような間柄の人物をイ メージするか調査し、その結果を踏まえたう えで、実験用シナリオを作成していく必要が ある。  心理的距離の操作については、別の課題も 指摘しなければならない。時間的距離に注目 した実験 2 では、友人へのギフトを購入(予 約)する状況を被験者に想定させた。パッ ケージ製品の予約を想像する際、自分自身 用の購入よりギフト用の購入を想定しても らったほうが自然であると考えたためであ る。したがって、実験 2 は、社会的距離が 遠いシナリオにおいて時間的距離を操作す る設計となっている。今後は、社会的距離が 近い条件で時間的距離を操作するシナリオ を用い、本研究の実験 2 と一貫した知見が 得られるかについて検討していく必要があ ると思われる。  2 つ目は、画像の種類についてである。繰 り返し述べている通り、本研究は画像の中で も特に、製品内容物に関連した画像の効果に ついて注目している。そのため、本研究の実 験で用いた画像掲載刺激には、チョコレート の風味を連想させるイラストを掲載した。し かしながら、単に画像と言っても、製品の内 容や特徴と関連した画像もあれば、一切関連 性のない画像もある。写真やイラストなど、 画像の描写方法も一様ではない。今後は、画 像がパッケージに掲載されているか否かだ けでなく、どのような画像が掲載されている かについても検討することが求められる。  3 つ目は、他の製品カテゴリーを対象とし た検討についてである。本研究では、多くの 人が消費経験を有し、様々なブランドが存 在するチョコレートを実験用の製品カテゴ リーとして用いた。今後は、チョコレートだ けでなく、他の製品カテゴリーを用いた実験 なども行っていくべきであろう。 〈謝辞〉  本研究は科学研究費基盤研究(B)(研究課題番 号:22330134、研究代表者:阿部周造先生)、科 学研究費基盤研究(B)(研究課題番号:25285135、 研究代表者:守口剛先生)、および早稲田大学重 点領域研究(09b)による成果の一部である。本稿 の掲載にあたり、アリアエディターと匿名レビュ ワーの先生方より多くの貴重なコメントを頂い た。また、本稿と関連した研究成果を日本消費者 行動研究学会第 42 回消費者行動研究コンファレ ンス(2011 年 6 月、早稲田大学)で報告した際には、

参照

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