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GIS GIS GIS Wiki GIS 2. 福 岡 県 西 方 沖 地 震 と GIS プロジェクトの 概 要 km M M GIS 13

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GIS−理論と応用

Theory and Applications of GIS, 2009, Vol. 17, No.1, pp.93-99

【原著論文】

WikiおよびGIS技術による持続可能な災害情報の共有化手法の検討

池見洋明・江崎哲郎・三谷泰浩

Sustainable Data-sharing for Disasters Based on the Wiki and GIS Technologies

Hiro Ikemi, Tetsuro Esaki, and Yasuhiro Mitani

Abstract: Intelligence sharing using the GIS technology provides an indispensable capability

to assist in the pre-event preparation and post-event conduct of emergency operations. Experiences and discussions on the recent earthquake disasters of Niigata and Fukuoka in Japan have let us propose a data-sharing system to support development of a universal and sustainable data model for disaster response. The proposed system, which consists of Data-Storage, GIS Node and GIS Portal servers with Wiki and GIS technologies, transforms from autonomous distributed systems to a virtual integrated system according to the emergency response cycle. In a case study of Kyushu University, the developed system has made it possible to develop the data model to support not only the facility management but also the disaster response.

Keywords: 災害情報共有(data-sharing for disaster),Wiki,地理情報システム(GIS),危機管理サイク ル(emergency response cycle)

1.はじめに  情報共有が,災害に対する備えや災害時における 緊急対応や復旧・復興活動を行うための基礎である という認識は深まりつつある.迅速で的確な情報 の収集・伝達が行政,防災関係機関,ボランティア および地域住民の災害活動への支援となり,災害に よる被害の軽減へとつながると考えられる.一方, 近年の情報技術の発達は,社会の情報の収集・伝達 といった仕組みを大きく変化させるとともに,様々 な情報の共有化に有効な Web やインターネット GIS(地理情報システム)といった技術を生みだし た.このような中で2001年3月には「防災情報シス テム整備の基本方針」が中央防災会議により決定さ れ,防災関係機関による GIS を活用した防災情報シ ステムの構築が進められている.また2004年10月 に起きた新潟県中越地震から産官学のボランタリー による災害復旧・復興支援のための GIS プロジェ クトが立ち上がり,災害情報の一元集約と Web GIS および PDF 形式地図での情報共有といった試みが なされている.  緊急性,即時性を第一とした災害対応や,その後 の計画性のある効率的かつ合理的な復旧・復興対策 を行うためには,いつ,どこで,どのような事態が 発生しているのかといった多様な情報を集約し,俯 瞰的な可視化と共有化を可能にする仕組みを災害発 生後速やかに構築することが必要であり,これは阪 神淡路大震災以降,国内で共通した認識となってい る.これまで国内で提案されてきた災害情報共有の 情報システムは,IT の発達を背景に GIS 等による定 形のデータベースから,非定形なブログによるデー 池見:〒819-0387 福岡県福岡市西区元岡744 九州大学大学院工学研究院建設デザイン部門 Faculty of Engineering, Kyushu University 744 Motooka, Nishi-ku, Fukuoka, 819-0387 Japan E-mail:ikemi@doc.kyushu-u.ac.jp

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タベースまで,そのシステムの形態は多岐にわた る.しかしながら,災害時のリアルタイムな情報共 有にのみクローズアップされ,収集された情報から データを作成するプロセスを広く共有し,次の災害 に備えた実用的なデータモデル,つまり収集すべき 情報,収集方法そして適切なアウトプットまでの仕 組みを最適化し,今後の同様な災害において生じる 問題を予知・予測して,効果的に災害対応を支援す る手法は確立されていない.災害発生,復旧・復興 というサイクルにおいて,それに関わる人々や情報 の多様性,集約された情報の蓄積とその後のデータ モデルの最適化も検討されなければ,情報システム の構築だけが先行し,持続的な情報共有は難しいと 考えられる.  本研究では,2005年3月の福岡県西方沖地震にお いて,九州大学環境システム科学研究センター,京 都大学防災研究所等によって取り組んだ GIS 技術 による災害情報の共有化プロジェクト「福岡県西 方沖地震復旧・復興 GIS プロジェクト」(以下,福 岡 GIS プロジェクト)の実現場において,災害情報 の共有化に必要な性能に関して検討し,効果的な災 害活動支援へと展開できる情報基盤を Wiki および GIS技術を用いて構築を試みた. 2.福岡県西方沖地震と GIS プロジェクトの 概要  2005年3月20日,午前10時53分頃,福岡県西方 沖の深さ約9km を震源とするマグニチュード(M) 7.0(気象庁発表)の地震が発生した.福岡市中央 区で震度6弱,九州∼関東地方の一部で震度1∼5強 を記録した.その後も余震がつづき,本震から一ケ 月経過した4月20日には,福岡市東区志賀島の沖を 震源とした最大余震 M 5.8の地震が発生した.1890 年以降の福岡県内の最大震度は4であり,震度6弱 は福岡県における観測史上最大値である. 本震後, 直ちに諸機関による救護活動,被災状況の調査が行 われた.福岡市の被害状況は死者1人,重傷者50人, 軽症者875人であり,物的被害状況は,家屋約 4000 箇所,建物約550箇所,崖崩れ47箇所であった.避 難者は福岡県全体で最大3380人であった.  このような中で,福岡 GIS プロジェクトが災害情 報発信ポータルの運営を開始したのは 震災の13日 後であり,これは新潟中越地震の際の GIS プロジェ クトに比べ10日間の短縮であった(浦川他,2005). このプロジェクトは,オンラインの地図情報をもと に,GIS 技術者のボランティアによって作成された 災害情報を一か所には集約せずに,九州大学(ポー タル),東京の ESRI ジャパン㈱および国際航業㈱ のサイトから,それぞれ分散して,災害関連情報 を Web GIS アプリケーションや Open Geographic Consortium(OGC)の Web サービス(WMS,WFS) および PDF 形式マップにて提供したものである(図 1).この事例から,(1)2 万 5 千分の 1 精度の地理 空間データベースを即座にオンラインで共有できる 環境であったこと,(2)新潟中越地震での経験に基 づくデータモデルが存在したことが災害情報の共有 化に重要であることが示唆された. また,収集した 情報には,文書など地理空間データに変換できない もの,あるいは地理空間データへの変換に際して議 論が必要なものなどが含まれていた.さらに災害後 に災害対応機関や被害調査を行った民間企業にてヒ アリング調査を行った結果,電子情報よりも紙地図 による情報の集約が依然として主流であることがわ かった. 図 1 福岡西方沖地震復旧・復興GISプロジェクト1)の構成

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3.災害情報の共有化に必要な性能の検討  故障・障害等に対して耐性のある情報技術として, 広く実用化されている例に,インターネット技術や RAID技術(Patterson et al., 1988)があげられるが, いずれもシステムの自律性,データの分散性という 性質で耐障害性を向上させている.また自律・分散 性能が危機に対して有効であることはデータベー ス管理システム(DBMS)の分野においても論じら れており(例えば Ozsu and Valduriez, 1999),加え て GIS は他の DBMS に比べて,様々な情報を統合 するのに優位であり,かつ地理空間情報は災害対応 に直結する重要な情報であるという認識も定着しつ つある(Goodchild, 2003).また畑山ら(1999)は, 自律分散型のリスク対応型地域空間情報システムを 提案し,その有用性について議論している.さらに OGCや ISO/TC211 の地理空間情報の標準化等に より,これまで困難であった相互運用性つまり異種 ソフトウェアやプラットフォーム間での地理空間情 報の共有化を実現するための技術的な問題は解決し つつある(Peng & Tsou, 2003).一方,2008年2月に は,国内および周辺アジア諸国において衛星回線に よるユビキタスな TCP/IP ネットワークの利用を実 現する超高速インターネット衛星「きずな」の打ち 上げが成功し,その利用実験が開始されており,地 上回線に依存せずに,被災直後の現場においてもイ ンターネットが利用可能となることが現実的となっ てきている.このように今後の災害情報の共有化の 取り組みにおいては,インターネットに分散し,自 律的に管理されている既往あるいは今後,整備され る地理空間情報を,被災現場および災害対応機関に て,迅速かつ系統的に収集・利活用できる仕組みが 重要になると考えられる.  これまでの災害情報の共有化では,収集した情報 からのアウトプット,例えばハザードマップなどだ けが共有されることが多く,そのプロセスの途中で 作成された地形,地質,土地利用などとの相関を示 す地域固有の情報,精度といった問題は共有されな いため,普遍的な危機対応のデータモデルへと展開 するのが困難となっている.過去の事例で使用した データの作成プロセスおよびそのデータセットが アーカイブ化され,その妥当性について,GIS 技術 者だけではなく,多様な人々と検討を重ねることで 最適なデータモデルが構築できるものと考えられ る.  以上の検討結果および福岡 GIS プロジェクトか ら得た知見により,インターネットに自律・分散し たシステム間でのシームレスな情報共有,作成プロ セスも含めたデータのアーカイブ化,紙地図など 様々な媒体の非定形なデータの共有化,災害時にそ れら情報を集約する仕組みが災害情報の共有化に必 要な性能であると考え,それら性能を満足させるた め Wiki および GIS 技術による災害情報共有システ ムの構築を試みた. 4.WikiおよびGIS技術によるシステムの試作 4.1.システムの設計  災害情報共有化システムの構成として,「データ ストレージ」,「GIS ノード」,「GIS ポータル」の3 層からなるシステムを設計した.GIS ノードは,プ ロジェクトに参画する複数の組織が各々自律的に管 理し,情報の入口と出口であるデータストレージと GISポータルはそれぞれ1つのサーバからなる(図 2).また GIS ノードは Web GIS およびデータベー ス管理システム(DBMS)より構成され,定型的な GISデータや背景となる地図情報を管理・共有し, GISポータルおよびデータストレージでは文書など の非定形な情報を管理・共有する.次に各層の機能 について説明する. (1)データストレージ層  情報端末のプラットフォームに依存せず,非定形 図 2 災害情報共有システムの構成イメージ GISノード1 データストレージ GISポータル RDBMS WebGIS G IS ・・・・・ 収集・共有・蓄積 G IS

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なデータを蓄積し,各種データの添付・ダウンロー ド,文書・表などの作成・編集,コメント等の入力 が行えるなどグループウェア的な機能を持たせる. 添付されたデータは,原情報,GIS データ,必要な データ,収集できるデータなど様々なカテゴリーに より整理され,その相関を表示する.これにより, 原情報から GIS データへのプロセスを共有できる とともに,プロジェクトごとのデータセットを検索 できるクリアリングハウスを実現できる.また,ボ ランティア等による GIS 技術者と災害対応機関と のコミュニケーション,データモデルの最適化を図 る場としての機能も提供する. (2)GIS ノード層

 GIS 技術者間で GIS データの管理および Web に よる GIS データの共有・発信を行なう.また同時 に複数のユーザによるデータの入力・更新等の管 理を可能とする.さらに Web GIS により GIS ソフ トウェアに依存しない国際規格の Web サービスや GISソフトウェアを必要としない Web アプリケー ションにより配信する. (3)GIS ポータル層  GIS ノードからの情報を集約して発信を行う.機 能はデータストレージとほぼ同じであるが,災害対 応関連機関が広く一般に情報を公開するために用い ることを想定している. 4.2.システムの構成  前記した機能を実現させるため,試作したシステ ムのハードウェア・ソフトウェア構成を表1に示す. 比較的容易に構築でき,拡張性をもたせた構成とす るため,ハードウェアには x86 系の PC サーバを, ソフトウェアには安定性のあるオープンソースまた は市販製品による構成とした.なおオペレーショ ンシステムは,各層の利用形態,システムの安定性 およびセキュリティにおける機密性や可用性を考 慮し,それぞれ GIS ポータルおよびデータストレー ジに BSD 系 UNIX をベースとした FreeBSD6.1を, GISノードにマイクロソフト社製 Windows2003  Serverを使用した.以下にそれぞれ詳細について 説明する. (1)データストレージ  双方向の情報のやり取りを実現させるためには 通常の Web サイトの構築では限界がある.そこで 本研究では Wiki(Pukiwiki 1.4.7)を用いた Web サ イトの構築を試みた.これにより Web 空間上の仮 想的なファイルサーバの設置や Web ブラウザを用 いた文書,帳票の作成および Word,PDF,シェープ ファイル等といった様々な種類のファイルの添付 (上限:700MB /ファイル)を可能とした.また MD5および SSL 暗号技術を利用した認証およびパ ケットフィルタリング技術により特定機関・グルー プ内限定での技術資料、議事録等の共有に限定した. なお全ての操作は Web ブラウザで行なえるため, プラットフォームに関係なく利用できる. (2)GIS ノード  GIS ノ ー ド は 市 販 の DBMS お よ び WebGIS の 2つのサーバで構成される.それぞれオラクル社 製 Oracle10g および ESRI 社製 ArcIMS9.2 および ArcGIS Server 9.2を使用して構築した.GIS デー タは,DBMS による共有の他に,Microsoft .Net ベー スの Web アプリケーションおよび OGC の Web サー ビス(WFS, WMS)による配信を行う. (3)GIS ポータル  データストレージと同じ構成であるが,最低限の 認証で自由にデータのダウンロード・閲覧が可能と なっている. 4.3.システムの運用  試作するシステムの運用について,危機管理サイ クル(Thomas et al., 2002)の以下の4つのフェーズ ハードウェア ソフトウェア WebGIS IBM社製PC xSeries306 CPU: P4-3GHz Memory: 4GB HDD: 80GB (RAID 1) OS: Windows2003Server Jakarta-Apache 2 Jakarta-Tomcat 5 ESRI社製ArcIMS9.1 DBMS IBM社製PC xSeries306 CPU: P4-3GHz Memory: 4GB HDD: 80GB (RAID 1)

OS: Windows2000 Server オラクル社製Oracle10g ESRI社製ArcSDE9.1 IBM社製PC System x3250 CPU: Xeon 3040 Memory: 4GB HDD: 120GB (RAID1) OS: FreeBSD 6.1 Jakarta-Apache 2.2 OpenSSL 0.98 pukiwiki1.4.7 PHP 5.1, Perl 5.8 サーバ データストレージ /GISポータル GISノード 表 1 ハードウェア・ソフトフェア構成

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をベースに説明する(図3). (1)Preparedness(準備;データモデルの構築)  災害の種類・地域に応じた災害情報の選定,利用 可能な既設のデータリソース(自律 ・ 分散した GIS ノード)の選定,災害情報からの空間データの作成, 分析および公開等の各方法を含めたデータモデルの 最適化を行なう. (2)Response(危機対応;データの収集 ・ 作成)  災害発生後,各種機関から発信される災害情報を デジタル化し,データストレージ内に格納する.こ の原情報から,準備段階で検討したデータモデルに 基づき,必要な GIS ノードを仮想的に統合して,か ら被災地区に関連した背景地図等の空間データを集 約して,GIS データの作成を行なう. (3)Recovery(復旧・復興;データの共有・蓄積)  作成した GIS データは関連機関の GIS ノード の DBMS サーバに格納し,被災地区に関連した 空間データとオンラインで統合させ,PDF 形式や WebGISサーバを利用して,災害情報デジタルマッ プを共有・蓄積する. (4)Mitigation (防災・減災;データモデルの検証)  災害で作成した GIS データセットおよびその原 情報をデータストレージに格納し,データモデルを 検証し,不足している情報の整備や被害等のデータ の分析からハザードマップ等の作成を行う. 5.試作システムの検証  現在,福岡 GIS プロジェクトで収集した情報は データストレージに設置した「EQWFUKU」に分 類・蓄積し,さらに GIS ポータルに設置した「福岡 西方沖地震」からデータをシェープファイル形式で 入手できる.このプロジェクトで構築したデータ モデルは,今後,様々な災害で検証され,最適化が 行われるものと考える.しかし,畑山ら(1999)が 指摘しているように,災害情報の共有化では,平常 時でも連続的にシステムが運用されなければ,緊急 時に期待通り機能しない可能性が大きい.また,災 害対応のように様々な問題を包括する GIS アプリ ケーションは,多種多様な地物やその属性を取り込 んだものでなくてはならない.建物,道路,地下の ライフライン等の小縮尺レベルのものから,災害の 規模によっては被害箇所に対する救助・復旧活動 のために,建物の内側や働いている人の位置も表現 しなければならない場合も予想され,より大縮尺の データを平常時に持続的に整備する手法を検討しな ければならない.そこで危機対応サイクルの,特に 「Preparedness」,「Mitigation」のフェーズにおける 有用性について,大学キャンパスを事例として,同 システムを適用させ,検証を試みた.  大学キャンパスは道路,電気,ガス,上下水道な ど基盤設備やその利用者である学生・教職員の多様 な情報が,比較的狭い空間に集約しており,社会基 盤の維持管理や危機対応を支援する情報システムを 検討する上で重要な事例として考えられる.そのよ うな見地から,2001年度より九州大学において GIS 技術による大学施設・環境情報の共有化を試みてい る(Ikemi et al., 2005).2007年度からは本研究の試 作システムによる GIS ポータル「キャンパス GIS」 およびデータストレージ「大学施設関連」を設置し, ネットワークを介した情報収集・提供,データモデ ルの構築を行っている.図4には大学内の基本的な データの流れを示すが,施設 CAD データをベース に,各部局の既存情報システムの管理番号を位置情 報に変換する GIS データを整備し,既存情報システ ムとの連携を図っている.図 5A は CAD 等の原情 報と GIS データの相関表である.この相関表は,原 図 3 危機管理サイクルと災害情報共有システムの運用 災害A発生 データモデルAの 検討 危機管理サイクルとシステム形態 データモデルに基づくプロセス 自律・分散化 統合化 Mitigation GISポータルの閉鎖 Recovery GISポータル[災害A] の設置 Response データストレージ [災害A]の設置 Preparedness データストレージのフ リーズとアーカイブ化 災害情報収集 GISデータ作成 GISデータ 共有化 データの集約・蓄積 GISノードの集約 GISノード1 データの整備 GISノード2 データの整備 GISノード3 データの整備

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情報と GIS データを関係部局と共有すると同時に, 原情報の収集状況,GIS データの整備状況と活用事 例といった情報を一覧的に可視化している.また, Wikiによりグループ内でリアルタイムに表の編集, データの追加・変更等を可能とし,データモデルの 最適化が図られている.図5B は,大学内の講義室・ 居室利用データと GIS ノードからの部屋ポリゴン をオンラインで統合し,建物内の人の時空的な配置 を表示した例である.この図は,効果的な施設の配 置・利用など大学運営を支援することを目的として 作成されたものであるが,危機対応においても極め て重要な情報になることは間違いない.このように, 本システムが,データモデルの最適化および平常時 から緊急時への連続的なデータの利活用を実現でき ることを確認した. 6.まとめ  本研究では,福岡 GIS プロジェクトで得られた知 見および災害情報の共有化システムの検討を行い, その性能として,自律・分散したシステム間での シームレスな情報共有,プロセスも含めたデータの アーカイブ化,非定形なデータの共有化が必要な要 件として認識を得た.そこで,データストレージ, GISノードおよび GIS ポータルの3層から構成させ たシステムのプロトタイプを試作し,その持続的な 運用性能の検討として,九州大学キャンパスの情報 共有システム構築を事例として行った.その結果, 危機管理サイクルの中で利活用できるデータモデル を実現でき,その有用性が確認できた. 注 1) 福岡西方沖地震復旧・復興プロジェクトサイト アドレス http://wikigis.doc.kyushu-u.ac.jp/~eqwfuku/ 2) キャンパスGIS 等 GIS ポータルサイトアドレス http://wikigis.doc.kyushu-u.ac.jp/gisportal/ 参考文献

Goodchild, M.F.(2003):Geophysical Data in Emergencies, in The Geographical Dimensions of Terrorism (eds. S. L. Cutter et al.), 99-104

畑山満則・松野文俊・角本繁・亀田弘行(1999):時空間 地理情報システムDiMSISの開発, GIS−理論と応用, 7(2),25-33

Ikemi, H., Esaki, T., Mitani Y., and Fujiwara, H.(2005): Establishment of the Spatial Information Infrastructure in Kyushu University, Japan, Proceedings of the 2005 ESRI International User Conference, CD-ROM

Ozsu, M.T. and Valduriez, P.(1999):Principles of Distributed Database Systems, Prentice-Hall, USA

Peng, Z.H. and Tsou, M.H.(2003):Internet GIS, John Wiley & Sons, USA

Patterson, D., Gibson, G., and Katz, R.(1988):A case for redundant arrays of inexpensive disks (RAID). In Proc. of the ACM SIGMOD International Conference 図 4 九州大学における試作システムの運用プロセス 図 5 GIS ポータル「九州大学キャンパス GIS」2)    A:GIS データマトリックス    B: フロアの人口分布の例 (図中数値は,7階フロアの部屋 の管理番号,色の濃淡は任意の時間での人口を示す) 施 設 その他 電子調達, 文書管理, 財務会計 など 環 境 エネルギ-研 究 者 学 務 エネルギー利用 各種情報の GISレイヤ 大学運用の効率化に利活用 データストレージ [大学施設関連]設置 データモデルの構築 GISノード GISデータ整備 管理番号抽出 属性データ作成 施設CADから 空間データ作成 GISポータル [キャンパスGIS] 講義室・居室等 利用 公 開 各種時空分布レイヤ 危機対応に利活用 抽出 収集 統合 A B

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on Management of Data

Thomas, D.S.K., Cutter, S.L., Hodgson, M., Gutekunst, M. and Jones, S.(2002):Use of Spatial Data and Geographic Technologies in Response to the September 11 Terrorist Attack, Quick Response Report #153, University of Colorado.,

http://www.colorado.edu/hazerds/research/qr/ qr153/qr153.html 浦川豪,吉富望,林春男,池見洋明,三谷泰浩,江崎哲郎 (2005):福岡県西方沖地震復旧 ・ 復興 GIS プロジェ クトにおける GIS ポータルサイト構築 , 地域安全学 会梗概集,16,61-64 (2007 年 11 月 22 日原稿受理,2009 年 4 月 28 日採用決定, 2009年6月8日デジタルライブラリ掲載)

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参照

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