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一般政府における財政赤字の持続可能性と非対称的調整について-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

一般政府における財政赤字の持続可能性と

非対称的調整について

*)

!.は じ め に わが国政府の財政は巨額の赤字を抱えて厳しい状況にあり,それにより累積 する政府の債務残高は増大する傾向にある。例えば,OECD(一般政府ベース) のデータを用いて他の主要先進国と対 GDP 比率で比較すると,わが国の政府 債務残高は突出して高い水準にあることがわかる。このような状況で,毎年の 財政赤字の累積による政府債務を今後も長期的に維持できるかどうかが問題と されており,わが国政府の財政をめぐっては,近年,財政赤字の持続可能性の 研究に多くの関心が寄せられている。 この財政赤字の持続可能性に関する実証研究はこれまで諸外国において多数 存在し,異時点間での政府の予算制約を現在価値で評価してその制約が満たさ れるかどうかを検定している。1)そこでは,主として2つの分析方法により財政 赤字の持続可能性の検定が行われている。その1つは,Hamilton and Flavin (1986)をはじめ,Trehan and Walsh(1988,1991),Wilcox(1989)や Payne and Mohammadi(2006)等による研究で,単位根検定を適用して財政赤字の定常 性について検討するものである。そしてもう1つは,Hakkio and Rush(1991) をはじめとして,Haug(1995),Quintos(1995),Payne(1997),Wu(1998), Martin(2000),Bravo and Silvestre(2002),Kalyoncu(2005),Baharumshah and

*) 本稿の作成に際して,野村益夫教授(名古屋学院大学)より有益なコメントを頂いた。 ここに記して感謝いたします。

1) 諸外国における財政赤字の持続可能性に関する研究の動向については,Afonso(2005)

を参照されたい。

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Lau(2007),及び Payne, Mohammadi and Cak(2008)等のように,政府収入 と政府支出の2変数間における共和分検定に基づく研究である。もし財政赤字 が持続可能でないとすれば,政府は収入や支出の決定のあり方を軌道修正する 必要がある。 ところで,もし財政赤字が持続可能であるとしても,政府の政策立案者は支 出の水準や租税政策を決定する際には,財政が赤字であるか黒字であるか,あ るいは財政赤字(または財政余剰)が悪化する状態であるか改善する状態であ るか等を考慮に入れているかもしれない。この点について,財政政策の効果に 関する近年の実証研究によると,財政政策がマクロ経済変数に対して正の影 響,または負の影響を及ぼすかは,政府の財政状況等に依存して異なる可能性 があることが明らかにされている(Giavazzi, Jappelli and Pagano, 2000)。この ような財政政策の非線形(非対称)な政策効果についての理論的説明として, 例えば,Bertola and Drazen(1993)は,その理論モデルにおいて,政府の財政 規模(政府支出の対 GDP 比率)がある閾値に到達すると政府支出の大幅な削 減が実施されるというように,財政規模の削減の過程には何らかのトリガーが あるとしている。これより,財政赤字の調整過程においても,政府の政策立案 者は財政赤字(または,財政余剰)の長期のトレンドからの乖離に対して異な る反応を示すことが考えられ,財政赤字の調整においては非対称性が存在する 可能性がある。

そのため,Payne and Mohammadi(2006)は,アメリカ合衆国の連邦政府を 分析対象として,財政赤字の時系列データに関する単位根検定に基づき,財政 赤字の持続可能性を検証するとともに,財政赤字の調整に非対称性が存在する かどうかの分析を行っている。その結果,第1に,標準的な単位根検定(ADF 検定)では財政赤字は持続可能とはいえないが,構造変化を考慮する単位根検 定(Perron 検定)では持続可能と判断された。そして第2に,調整の非対称性 を考慮に入れた単位根検定の方法を適用し,財政赤字が長期トレンドからの乖 離に対して対称的に調整されるという結果を示している。すなわち,アメリカ 合衆国に関する実証分析からは,財政赤字の調整過程に非対称性は存在しない という結果が得られている。 ―2― 香川大学経済学部 研究年報 50 2010

(3)

ここで,最近において,平井(2009b)は,わが国における一般政府の財政 赤字を分析対象として,政府の収入と支出に関する共和分検定の方法に基づき 財政赤字の持続可能性を検討し,政府の財政赤字について持続可能と結論づけ ている。2)しかしそこでは,この一般政府の財政赤字の調整過程が対称的である か,非対称的であるかは実証的に検討されていない。そこで,本稿の目的は, わが国の一般政府の財政赤字を分析対象とし,財政赤字の時系列データを使用 して,次の2点について分析を行うことである。まず第1は,政府の財政赤字 の調整に非対称性が存在するかどうかを,調整の非対称性を考慮に入れた単位 根検定に基づき分析することである。さらに第2は,そのために政府の財政赤 字が持続可能であるかどうかを,いくつかの単位根検定の方法に基づき改めて 検討することである。本稿では,とりわけ調整の非対称性を考慮に入れた単位 根検定の方法として,Payne and Mohammadi(2006)に従い,Enders and Granger (1998)により提案された TAR(Threshold Autoregressive)モデルと M-TAR (Momentum Threshold Autoregressive)モデルを適用する。

本稿の構成は,以下の通りである。まず第!節では,わが国における一般政 府の財政赤字に関するデータを説明するとともに,財政赤字の調整における非 対称性を考慮に入れた検定を含めて,財政赤字の定常性を検定するための方法 を解説する。そして第"節では,財政赤字について定常性の検定と調整の対称 性の検定に基づき,その分析結果を示すことにする。最後に,第#節において 結論を述べる。 !.データと実証分析の方法 1.データ 本稿では,わが国の一般政府の財政赤字を分析対象とするため,まず,財政 2) 平井・野村(2004)と平井(2009a)は,諸外国での実証分析の方法を踏襲し,共和 分検定を適用する分析方法で政府(国)の一般会計における財政赤字の持続可能性を検 討した。その結果,財政赤字の持続可能性は疑わしいという分析結果が示されている。 ところがこれに対して,平井(2009b)は,政府の範囲を一般政府まで拡張して同様の 分析方法で検討すると,政府の財政赤字が持続可能であるという分析結果を導いてい る。 一般政府における財政赤字の持続可能性と非対称的調整について ―3―

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赤字のデータ(名目値)は,『国民経済計算年報』(内閣府経済社会総合研究所) より,貯蓄投資差額(または,純貸出/純借入)の符号を正負逆転した値とし て求められる。さらに,この財政赤字のデータは実質値で表示されるため,変 数の実質化には GDP デフレーターを使用する。この GDP デフレーターも『国 民経済計算年報』より得られる。 ここで,これらのデータについて,最近時点までのデータは1993年改訂の 国民経済計算体系(93SNA)より求められる。ところが,この93SNA のデー タは遡及して1980年度までしか公表されていない。一方,国民経済計算にお ける68SNA では,1955年度よりいずれのデータも入手することが可能である が,データの終期は1998年度となっている。そこで,1955年度から1998年 度までの期間については68SNA のデータを使用し,1999年度以降は93SNA のデータを用いることにする。93SNA では68SNA の内容が変更されている ため,データの一貫性に問題が生じるものの,長期にわたるデータを確保する ために,財政赤字について68SNA のデータと93SNA のデータをそのまま接 続することにした。また,GDP デフレーターについては,68SNA より1990 暦年基準のデータに基づき,68SNA における1998年度のデータを93SNA の 当該データの伸び率により延長して推計することとした。 これにより,本稿の実証分析で使用されるデータは,1955年度から2007年 度までの年度データである。図1には,上記のように求められた財政赤字 !!"#"の推移が描かれている。図1より,とりわけ1990年代のバブル崩壊以 降,財政赤字は急速に拡大しており,近年において徐々に縮小する傾向にあ る。さらに,表1は,財政赤字の変数!"#の時系列データに関する記述統計量 を表示している。ここで,Jarque-Bera の統計量より,財政赤字!!"#"が正規分 布に従うという帰無仮説は棄却されるという結果が示されている。 2.定常性の検定 実証分析では,一般政府における財政赤字の持続可能性を検討するととも に,その調整過程を分析するために,まず,Dickey and Fuller(1979,1981)に よる ADF(Augmented Dickey-Fuller)検定,Elliott, Rothenberg and Stock(1996)

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bd 兆円 60 50 40 30 20 10 −20 −10 0 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 年度 記述統計量 平 均(兆円) 8.069300 中央値(兆円) 1.125184 最 大(兆円) 52.88436 最 小(兆円) −15.30659 標準偏差 14.99882 歪 度 1.123815 尖 度 3.742807 Jarque-Bera 統計量 12.37463 (0.002055) 図1 一般政府の財政赤字(実質値)の推移,1955−2007年度 出所:『国民経済計算年報』(内閣府経済社会総合研究所)より作成。 表1 一般政府の財政赤字(実質値)に関する記述統計量, 1955−2007年度 注:Jarque-Bera 統計量における括弧内の数値は,!値である。記 述統計量の値は,EViews7.0を使用して計算された。 一般政府における財政赤字の持続可能性と非対称的調整について ―5―

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による DF-GLS(Dickey-Fuller GLS)検定,Phillips and Perron(1988)による PP検定,そして Kwiatkowski, Phillips, Schmidt and Shin(1992)の KPSS 検定 の4つの検定方法を適用して財政赤字の定常性の検定を実行する。さらにこれ らに加えて,財政赤字の非対称的な調整を考慮に入れ,Enders and Granger (1998)によって提案された TAR モデルと M-TAR モデルによる単位根の検定 方法も適用する。 そこで,ADF 検定は,次の回帰式に基づき財政赤字の変数!"%についての 単位根検定を行う。 $!"%#&"$%"#!"%!""! ##" $ %#$!"%!#"&%! ! ここで,$は1階の階差演算子であり,%はタイムトレンド,&%は誤差項であ る。変数!"%が定常である%#"!&という対立仮説に対して,帰無仮説は変数 !"%が非定常であること,すなわち,##!である。この検定統計量の臨界値 は,MacKinnon(1996)に基づいて求められる。

上記の ADF 検定において,Elliott, Rothenberg and Stock(1996)は,回帰式 に定数項やトレンド項を含めずに,事前にデータから定数項,トレンドを除去 するという方法で,ADF 検定の修正版を提案した。この DF-GLS 検定は,!"% を GLS トレンド除去データ!"%"で置き換えて標準的な ADF 回帰式を推定す る。ここで,DF-GLS 検定における検定統計量は定数項のみを含むモデルでは Dickey-Fuller分布に従うが,定数項とトレンド項を含むモデルでの漸近分布は それとは異なっている。そこで,定数項とトレンド項がある場合には,Elliott, Rothenberg and Stock(1996)で提示された臨界値が使用される。また,ADF 検定では,誤差項の系列相関の問題を,検定の回帰式において階差のラグ付き 変数を加えることで対処している。Phillips and Perron(1988)は,単位根検定 において検定統計量の漸近分布が誤差項の系列相関に影響を受けないように% 統計量を修正した PP 検定を提案している。この PP 検定における臨界値も, ADF検定と同様に MacKinnon(1996)より求められる。

さらに,これらの3つの検定方法と異なり,Kwiatkowski, Phillips, Schmidt and Shin(1992)による検定は,帰無仮説において変数!"%が(トレンド)定

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常であるとしている。この KPSS 検定は,検定統計量を次の LM 統計量として 実行する。 !" !! *!" $ #*##"$#'!#"#*!! (!" * +$(! ! ここで,+$(は変数%&*を定数項,トレンド項で回帰したモデルの残差から求 められる。'!は周波数ゼロの残差スペクトルの推定量,$ はサンプルサイズ

を表している。この LM 統計量の臨界値は,Kwiatkowski, Phillips, Schmidt and Shin(1992)より得られる。

ところで,以上の4つの標準的な単位根検定は,財政赤字の調整が対称的で あることを暗黙に仮定している。Payne and Mohammadi(2006)が指摘するよ うに,財政赤字の持続可能性に関する従来の研究は,財政収支の規模,さらに それが赤字であるか黒字であるかは問題ではないことを暗黙の前提としている 一方で,実際には,政府の政策立案者は支出の水準や租税政策を決定する際に それらの要素を考慮に入れている可能性がある。すなわち,財政赤字(または, 財政余剰)の長期のトレンドからの乖離に対して,政策立案者は異なる反応を 示しているかもしれない。3)このように,もし財政赤字の真の調整過程が非対称 的であるとすれば,標準的な単位根検定における調整の対称性という仮定は現 実的ではないことを意味している。 そのため,財政赤字の長期トレンドに向けた調整における非対称性の検定を 行うために,Payne and Mohammadi(2006)に従って,Enders and Granger(1998) により提案された TAR モデルと M-TAR モデルを適用する。Enders and Granger (1998)は,非対称な調整を考慮に入れて,Dickey-Fuller の単位根検定の方法

を一般化した。

いま,財政赤字の変数%&*を定数項とトレンド項で回帰させ,その残差を%&*)

とする。この残差を用いて,まず,TAR モデルは次の"式と#式で示される。

3) 財政赤字の非対称的な調整の根拠として,Payne and Mohammadi(2006)は,政府の

政策立案者の反応の相違の他に,さらに,財政赤字が財政の自動安定化装置等を通じて 景気循環の影響を受けることから,景気循環における非対称性が財政赤字の調整に非対 称性をもたらすことを挙げている。

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%#$)(#")%"#$)!"( "&"!")'%##$)!"("" &#" ' $&%#$)!&( "#)! ! ここで,#)は誤差項であり,誤差項に系列相関が存在する場合には,%#$)(の ラグ付き変数が検定式に加えられる。また,!式において,")は次の関数で与 えられる。 ")# " &% #$)!"( $& ! &% #$)!"( "& ! " このTAR モデルでは,"式より,")は財政赤字の1期前の不均衡&#$)!"('に依 存する。これより,もし#$)!"( が閾値 &を上回るならば,その調整は%"#$)!"( で 捉えられ,逆に#$)!"( が閾値 &を下回れば,その調整は%##$)!"( で捉えられる。 したがって,TAR モデルは,#$)!"( が閾値 &を上回るか下回るかにより,財政 赤字の長期トレンドへの調整が異なるかどうかを検討する。 一方,M-TAR モデルは,関数 ")について上の"式を次の#式に代えて,! 式と#式で示される。 ")# " &% %#$)!"( $& ! &% %#$)!"( "& ! # このM-TAR モデルでは,その調整は #$)!"( の1期前の変化に依存するとして いる。そのため,財政赤字が増加しているか(すなわち,財政が悪化している か),あるいは財政赤字が減少しているか(すなわち,財政が改善しているか) に依存して,財政赤字の長期トレンドへの調整が異なるかどうかを検討でき る。 上記の2つのモデル(TAR モデルと M-TAR モデル)における検定の手続き として,単位根検定は,単位根の帰無仮説,%"#%##!を検定することによ り行われる。さらに,もしこの帰無仮説が棄却されると,通常の!統計量を 使用して,対称的な調整の帰無仮説,%"#%#の検定を実行できる。 ―8― 香川大学経済学部 研究年報 50 2010

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!.実証分析の結果 まず,財政赤字の変数!"#について,4つの単位根検定(ADF, DF-GLS, PP, KPSS検定)の結果が表2に示されている。はじめに,表2の ADF 検定の結 果をみると,レベル変数において,変数!"#が単位根をもつという帰無仮説 は,トレンド項を含まないケースと含むケースのいずれのモデルにおいても 10%の有意水準で棄却されることがわかる。ここでさらに,DF-GLS 検定に基 づき,事前にデータから定数項,トレンドを除去する方法で ADF 検定を行う と,表2の検定結果から,レベル変数について単位根の帰無仮説はいずれも 5%の有意水準で棄却されることになる。 ところが,PP 検定では,いずれもレベル変数において単位根の帰無仮説を 棄却できないという結果が得られている。一方,1階の階差変数については単 ADF検定 DF-GLS検定 変 数 トレンド項なし トレンド項あり トレンド項なし トレンド項あり !"# −2.86783(5)* −3.45319(5)* −2.87539(5)*** −3.45994(5)** !!"# −8.93315(0)*** −8.83706(0)*** −9.02487(0)*** −8.75823(0)*** PP検定 KPSS検定 変 数 トレンド項なし トレンド項あり トレンド項なし トレンド項あり !"# −1.86766(3) −2.56294(3) 0.48403(5)** 0.09680(5) !!"# −8.88468(2)*** −8.79078(2)*** 0.04796(0) 0.04699(0) 表2 一般政府の財政赤字に関する単位根検定 注:変数における!は1階の階差演算子である。単位根検定において,トレンド項なしは定 数項のみを含むモデル,トレンド項ありは定数項とトレンド項を含むモデルによる検定で ある。検定統計量における括弧内の値は,検定におけるラグ数またはバンド幅を示してい

る。ADF 検定と DF-GLS 検定のラグ数は,Ng and Perron(1995)に従い,拡張項の回帰係

数の推定値に関する#統計量の値の有意性に基づき選択されている。また,PP 検定と

KPSS検定のバンド幅は,Bartlett kernel を用いて Newey-West 推定量に基づいている。ADF

検定と PP 検定における臨界値は,MacKinnon(1996)より得られる。DF-GLS 検定の臨界

値は,トレンド項なしのケースでは MacKinnon(1996)より,トレンド項ありのケースで

は Elliott, Rothenberg and Stock(1996, Table1, p.825)より求められる。そして,KPSS 検 定における臨界値は,Kwiatkowski, Phillips, Schmidt and Shin(1992, Table1, p.166)より 得られる。

***は1%水準で有意,**は5%水準で有意,*は10%水準で有意であることを示す。

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位根の帰無仮説はすべて1%の有意水準で棄却されている。そのため,PP 検 定の結果からは,財政赤字"#$%#は !""#変数であると判断される。最後に, KPSS 検定では,レベル変数において,財政赤字 "#$%#が(トレンド)定常で あるとする帰無仮説は,トレンドを含まない場合には5%の有意水準で棄却さ れるものの,トレンドを含む場合には10%の有意水準でも棄却されないこと がわかる。以上の表2の検定結果は,PP 検定では財政赤字 "#$%#が定常であ ると判断することはできないものの,他の3つの検定方法(ADF,DF-GLS, KPSS 検定)では,一般政府の財政赤字の変数 #$%がおおむね定常であること を示している。4) ここで,財政赤字"#$%#に関するこのような単位根検定の結果について,図 1からも推測できるように,検定においては構造変化を考慮すべきであるかも しれない。そのため,Payne and Mohammadi(2006)と同様に,構造変化を考 慮して Perron(1997)の単位根検定も実行した。その結果,Perron(1997)が 提示したモデル1の検定結果においてのみ,構造変化時点を1996年度として 単位根の帰無仮説が棄却されるという検定結果が導かれた。5)ただし,本稿で使 用したデータは年度データであるため,データ数が少ないという問題がある。 Perron(1997)では,"!#!に対して検定における臨界値が与えられているた め,より正確な臨界値を用いた検定が必要である。そこで本稿では,表2の検 定結果より,変数#$%がおおむね定常であると判断されることから,それらの 結果に基づいて分析を進めることにする。6)したがって,一般政府の財政赤字 "#$%#は,おおむね持続可能と判断される。 しかし,上記のこれまでの検定方法は既述のように,財政赤字の調整が対称 4) 表2の検定結果について,ADF 検定と PP 検定を適用した一般政府における財政赤字 の定常性の検定は,近著の畑農(2009)による持続可能性の研究ですでに行われている ことを,野村益夫教授(名古屋学院大学)の指摘により本稿の執筆後に知ることができ た。畑農(2009, 第2章)の検定結果では,財政赤字はおおむね !""#過程に従っており 定常ではないと結論づけられている。表2より,財政赤字が定常であるかどうかを確定 することは難しいものの,ADF 検定と PP 検定以外の検定による結果をも考慮して,本 稿では財政赤字はおおむね定常であると判断した。 5) Perron(1997)の単位根検定の結果については,付録を参照されたい。 ―10― 香川大学経済学部 研究年報 50 2010

(11)

的であることを暗黙に仮定している。もし財政赤字の調整が非対称的であると すれば,調整の対称性を暗黙に仮定する単位根検定では,モデルの定式化に誤 りをもたらすかもしれない。そのため,次に,非対称的な調整を考慮に入れた TARモデルと M-TAR モデルを推定する。TAR モデルと M-TAR モデルに基づ く検定結果は,表3に示されている。

6) 第!節で述べたように,Payne and Mohammadi(2006)では,アメリカ合衆国におけ る政府の財政赤字について,ADF 検定では単位根の帰無仮説は棄却されないものの,構

造変化を考慮に入れた Perron(1997)の単位根検定では棄却されるという結果が得られ

ている。この結果は,わが国の一般政府の財政赤字に関する表2の検定結果とは異なっ

ているといえる。また,Payne and Mohammadi(2006)が使用したデータは四半期デー

タである。そのため,Perron(1997)の単位根検定では,本稿の分析と異なり十分なデ

ータ数が確保されている。

TARモデル M-TARモデル M-TARモデル

!" −0.344245(−2.62647) −0.483327(−3.10355) −0.472778(−3.70276) !# −0.135222(−1.11596) −0.113288(−1.05993) −0.031896(−0.27431) " 0 0 −0.79171 $ 0 0 0 !"!!#!! 8.07118** 10.6956*** 13.7228*** !"!!# 1.37129[0.247] 3.83805[0.056]* 6.51750[0.014]** AIC 179.599 175.445 174.184 " 統計量 1.85835[0.395] 0.76232[0.683] 1.01635[0.602] 表3 一般政府の財政赤字に関する単位根検定と対称的調整の検定 注:TAR モデルは"式と#式を用いて推定され,M-TAR モデルは"式と$式を用いて推定 される。括弧( )内には,!"と !#の推定値に関する%統計量が示されている。ラグ数 $は,"式における拡張項の次数である.この次数は,Ng and Perron(1995)に従い,拡 張項の回帰係数の推定値に関する%統計量の値の有意性に基づき選択されている。!"! !#!!には,単位根の帰無仮説,!"!!#!!に関する !統計量が示されている。この単位

根の帰無仮説の検定では,Enders and Granger(1998, Table1, p.306)で与えられた臨界値

"#!$!#が使用される。また,!"!!#には,対称的調整の帰無仮説,!"!!#に関する! 統計量が示されている。この対称的調整の帰無仮説の検定では,標準的な!分布からの臨 界値が使用される。" 統計量は,2次までの自己相関が存在しないという帰無仮説につい ての Ljung-Box 統計量である。なお,括弧[ ]内の数値は$値である。 ***は1%水準で有意,**は5%水準で有意,*は10%水準で有意であることを示す。 一般政府における財政赤字の持続可能性と非対称的調整について ―11―

(12)

表3の1列目には,TAR モデル("!!の場合)における回帰係数,!"と !#

の推定値が報告されている。これより,単位根の帰無仮説,!"!!#!!に関

する!統計量の値8.07118を,Enders and Granger(1998)で与えられている 5%(1%)の臨界値6.52(9.14)と比較すると,単位根の帰無仮説は5% の有意水準で棄却されることがわかる。したがって,財政赤字は定常であると 判断できる。そこでさらに,標準的な!統計量に基づいて,対称的な調整, すなわち !"!!#の帰無仮説の検定を実行すると,!統計量の値1.37129は, 10%の有意水準を用いても帰無仮説を棄却することができない。そのため, TARモデルでは,財政赤字について調整の非対称性は確認されない。 次に,表3の2列目には,M-TAR モデル("!!の場合)における回帰係数, !"と !#の推定値が報告されている。上記の TAR モデルと同様に,帰無仮説,

!"!!#!!に関する !統計量の値10.6956を,Enders and Granger(1998)で

与えられている1%の臨界値9.77と比較すると,単位根の帰無仮説は1%の 有意水準で棄却されることになる。ここでも,財政赤字は定常であるといえ る。さらに,対称的調整の帰無仮説,!"!!#の検定を行うと,今度は,!統 計量の値3.83805は10%の有意水準で帰無仮説を棄却するという検定結果が 得られる。このように,TAR モデルと M-TAR モデルによる2つの検定結果か ら,いずれも財政赤字は定常であることが示されるものの,対称的調整の帰無 仮説は TAR モデルでは棄却されないが,M-TAR モデルでは棄却されることが わかる。そこで,これら2つのモデルの選択を AIC の基準で判断すると,表 3の結果より,TAR モデルよりも M-TAR モデルが選択されることになる。M-TARモデルによる検定結果は,財政赤字について非対称的な調整の可能性を 示している。 ここで,上記のモデルでは閾値 "の推定にバイアスが生 じ る た め,Chan (1993)の方法を適用して閾値 "を推定し,改めて M-TAR モデルによる検定 を行うことにする(Enders and Granger, 1998)。すなわち,M-TAR モデルにお ける閾値 "は,""#%$#を小さい方から大きい方へ並べ替え,その中から大小

15%を取り除き,残りの70%で残差平方和を最小化するものとして選択され る。このようにして閾値 "が選択された場合の M-TAR モデルの検定結果が,

(13)

表3の第3列目に報告されている。#!!とする M-TAR モデルと同様に,! 統計量の値13.7228は,単位根の帰無仮説,""!"#!!を1%の有意水準で 棄却することがわかる。さらに,対称的調整の帰無仮説,""!"#も,!統計 量の値6.51750に基づいて5%の有意水準で棄却される。 したがって,一般政府の財政赤字は定常であり,とりわけM-TAR モデルの 推定結果に基づき,財政赤字について非対称な調整が存在すると判断できる。 ここで,""と "#の推定値より,M-TAR モデルではいずれも "" ""!"" "である# ことから,財政赤字が増加している局面の方が,減少する局面よりもより速く 長期のトレンドに調整される傾向にあることがわかる。言い換えれば,長期の トレンドへの調整は,財政が改善しているときの方が悪化しているときよりも より長く持続するといえよう。7) !.む す び 本稿では,わが国の一般政府を分析対象として,財政赤字の持続可能性を検 討するために財政赤字の定常性の検定を実行するとともに,長期トレンドから の乖離に対する財政赤字の調整が対称的であるか,あるいは非対称的であるか を実証的に分析した。財政赤字の時系列データに関するいくつかの単位根の検 定結果からは,財政赤字は定常である可能性が高いと判断された。そのため, 一般政府の財政赤字は,おおむね持続可能であると結論づけることができる。 しかし,従来の標準的な単位根検定では,財政赤字の調整が対称的であること を暗黙に仮定している。これに対して,財政赤字は正と負のショックに対して 非対称に反応するかもしれない。もし財政赤字の真の調整過程が非対称的であ るとすれば,そのような暗黙の仮定は現実的ではないといえよう。 そこでさらに,長期トレンドに向けた財政赤字の調整において非対称性が存 7) 本稿では,わが国の一般政府における財政赤字の持続可能性という観点から,財政赤 字の調整において非対称性が存在するかどうかを分析している。これに対して,平井 (2010)はさらに,一般政府の収入と支出の関係に焦点を当て共和分検定と誤差修正モ デルを適用し,財政の不均衡に対して収入や支出の水準が非対称的に反応するかどうか を分析している。 一般政府における財政赤字の持続可能性と非対称的調整について ―13―

(14)

在するかどうかを分析するために,Enders and Granger(1998)によって提案 された TAR モデルと M-TAR モデルを適用した。これら2つのモデルにおい て,財政赤字に関する単位根の帰無仮説は棄却されるとともに,とりわけ M-TARモデルでは,調整の対称性の帰無仮説も棄却されるという検定結果が示 された。したがって,この結果から,財政赤字の調整のパターンは,それが悪 化する状態であるか,改善する状態であるかに依存することがわかる。しか も,M-TAR モデルの係数の推定値は,財政が悪化する場合の方が改善する場 合よりもより速く長期のトレンドに調整される傾向にあることを提示してい る。わが国に関するこのような分析結果は,アメリカ合衆国について,政府の 財政赤字の調整が閾値の周りで対称性を有するとする Payne and Mohammadi (2006)のそれとは異なっている。 最後に,財政赤字がおおむね持続可能とする上記の結果は,一般政府に関す る今後の財政運営に問題がないという意味ではない。財政赤字の調整過程で は,それに伴い何らかの調整費用が発生する。例えば,政府支出の減少や増税 による財政赤字の削減には,それに反対する政治的な制約が存在するであろ う。本稿での分析結果を考慮すると,財政の悪化が進行する状態においては, そのような政治的制約は緩和される傾向にあるのかもしれない。これまで一般 政府では,中央政府(国)と地方政府の財政収支は赤字で推移する一方,社会 保障基金の財政収支は黒字で推移してきたという構図がある。ところが,近年 は高齢化の進展を反映して,社会保障基金の収支は赤字の状態になりつつあ る。今後の更なる高齢化の進展を考慮すると,社会保障関係を中心に大幅な支 出の増加が見込まれており,財政赤字の削減に伴う調整費用は増大する可能性 も考えられる。 付 録 付録では,第!節で示された単位根検定の結果に加えて,構造変化を考慮に 入れた Perron(1997)の単位根検定の結果も報告する。Perron(1997)は,構 造変化の時点を未知として,それを内生的に特定できる検定方法を提示してい る。 ―14― 香川大学経済学部 研究年報 50 2010

(15)

このPerron 検定では,構造変化時点(ブレーク点)の候補を "$として,

##"を検定するために次の2つの回帰式(モデル1とモデル2)を考える。 モデル1:

$&*#'"(!#*"$*"%!&"$'*"#$&*!""! (#"

)

%(%$&*!("'*! !

モデル2:

$&*#'"(!#*"$*"&!"*"%!&"$'*"#$&*!""! (#"

)

%(%$&*!("'*! "

ここで,'*は誤差項であ る。ダ ミ ー 変 数 と し て,!#*#"&*""$',!&"$'*

#"&*#"$""',そして !"*#"&*""$'*であり,"&$'はインディケーター

関数である。!式と"式において,ブレーク点の候補 "$は,回帰係数の制 約,##"の *統計量を最小化するように選択される。なお,Perron(1997)で は,!式と"式に関する臨界値の表が,それぞれ "#%!と "#&!に対して与 えられている。そのため,単位根の検定統計量が有意であるかどうかを,これ らの指定された臨界値で判断する。 そこで,表4は,構造変化を考慮に入 れ たPerron 検定の結果を示してい る。まず,モデル1による検定では,*&##"'の値−5.34073を5%の臨界値 −5.23と比較すると,##"という帰無仮説は5%の有意水準で棄却されるこ とになる。ここで,構造変化時点(ブレーク点)は1996年度である。一方, これに対して,モデル2による検定では,*&##"'の値−4.32010に基づ き 10%の臨界値−5.29で判断しても,##"の帰無仮説は棄却されない。した がって,表4より,モデル1による検定結果は,財政赤字&$&*'の持続可能性 を支持するかもしれない。ただし,この検定における臨界値は,上述のよう に,"#%!に対して計算されているが,本稿のデータ数は "#$#である。構 造変化を考慮したPerron 検定の結果は,"#%!に対する臨界値で判断する限 りでは財政赤字&$&*'が定常である可能性を示しているものの,今後,より正 確な臨界値を用いた分析が必要である。 一般政府における財政赤字の持続可能性と非対称的調整について ―15―

(16)

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(#! ) %($$&*!("'* % & " $ # ! −0.57514 17.9063 0.14293 − −28.4862 0.10062 (−0.25776) (3.12310)*** (1.33582) (−3.45213)*** (0.59752) 拡張項の次数) 5 構造変化時点"$ 1996 *%!#!& −5.34073**

モデル 2:$&*#%"&!#*""*"$!"*"#!%"$&*"!$&*!!"! (#! ) %($$&*!("'* % & " $ # ! −0.96474 77.0516 0.15959 −1.46341 −31.9620 0.21368 (−0.43652) (1.93223)* (1.50799) (−1.49825) (−3.78633)*** (1.17396) 拡張項の次数) 5 構造変化時点"$ 1996 *%!#!& −4.32010 表4 一般政府の財政赤字に関する Perron の単位根検定 注:括弧内の数値は*統計量である。Perron 検定における拡張項の次数は,Perron(1997)と Ng and Perron(1995)に従って,拡張項の回帰係数の推定値に関する*統計量の値の有意 性に基づき選択されている。拡張項の次数)は,選択された次数を示している。なお,拡 張項の係数は示されていない。*%!#!&は,単位根の検定統計量である。この検定におけ る臨界値は,Perron(1997, Table1, p.362)より求められる。 ***は1%水準で有意,**は5%水準で有意,*は10%水準で有意であることを示す。 ―16― 香川大学経済学部 研究年報 50 2010

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