• 検索結果がありません。

XML RFID, RFID, RFID IP,, RFID EPC Global, RFID IP, RFID, RFID, IP, RFID, IP, RFID, RFID XML(Extensible Markup Language), RFID XML, RFID XML, RFID,, R

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "XML RFID, RFID, RFID IP,, RFID EPC Global, RFID IP, RFID, RFID, IP, RFID, IP, RFID, RFID XML(Extensible Markup Language), RFID XML, RFID XML, RFID,, R"

Copied!
74
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

平成

18

年度

学士学位論文

XML

記述による

RFID

ネットワーク

統合規格に関する研究

A solution of RFID network standards by an XML

description

1070436

野崎 辰海

指導教員

島村 和典

2007

3

9

(2)

要 旨

XML

記述による

RFID

ネットワーク統合規格に関する研究

野崎 辰海

近年, RFIDタグセンサーネットワークは, 次世代のユビキタスネットワーク社会を構築 する重要な基盤技術として発展している. このRFIDネットワークと既存のIPネットワー クの相互通信技術の活性化は, ユビキタスコンピューティング環境構築のために最も重要 視される要素である. 業界団体の近年の動きとして, RFIDタグの標準化団体であるEPC Global では, 独自の規格と RFIDネットワークを展開してIPネットワークとの相互通信 の実現を目指している. しかし, RFIDタグの規格には他の団体による標準規格やローカル ネットワーク内のみでの利用を前提としたものも存在する. これらの非統一的な規格が原因 で, RFID, IPのネットワーク間の相互通信は実現が極めて困難な現状がある. そこで本研 究では, RFID, IPネットワーク間の相互通信を実現するための環境を構築するために,多種 の規格を含有させるRFIDタグの統合規格を提案する. この規格方式によって, RFIDタグ の利用時のユーザの意識を規格の違いではなく使用するアプリケーションやモノに向けさせ る. 提案した統合規格は XML(Extensible Markup Language)で記述され, 単一のRFID タグに複数のデータを保持させる. XMLの持つ構文解釈技術を利用し, RFIDタグの認識 時にメタデータを含むXMLファイルを生成することで, そのRFIDタグに対応した様々な アプリケーションを起動できる. 本研究ではこの統合規格の定義を行い, これを機能させる ためのバックグラウンドシステムとして統合規格ネットワークを提案し, このシステムの実 装例として入退室管理システムへの応用例を示した. キーワード RFIDタグ, 統合規格, XML, 構文解釈

(3)

Abstract

A solution of RFID network standards by an XML

description

Tatsumi NOZAKI

At the present time, the RFID tag sensor network develops as a basic technology which being the next generation’s ubiquitous network. The development of the inter-communication of this RFID network and an existing IP network is necessary for the ubiquitous computing environment. EPC Global that is the standardization organiza-tion of the RFID tag aims at the collaboraorganiza-tion scheme between with the IP network and the RFID network. However, the other standards are also used for the RFID tag with different data structures. Therefore, the effective collaboration of RFID and IP networks has not been completely by the differences among the standards. This study proposes the integration standard of the RFID tag specifications various standards and also achievement of effective intercommunication between the IP network and the RFID networks. This standard allow the user’s towards their own considerations to the ob-jects and the applications. The proposed integration is due to the description by XML is one of generalized markup languages, and maintains more data formats in a single RFID tag. The RFID tag can correspond to various applications by the syntax of in-terpretation of the XML file. This integration standard was defined, so that integration works as the background system to activate the interwork between IP network and the sensers. An application is constructed based on the person’s going in and out. The mechanism by this syntax interpretation is utilized in this applications.

(4)
(5)

目次

第1章 序論 1 1.1 研究背景 . . . 1 1.1.1 EPC Global . . . 2 1.1.2 ユビキタスIDセンター . . . 4 1.1.3 現在のRFIDネットワークの問題点 . . . 6 1.2 研究目的 . . . 7 1.3 本論文の構成 . . . 7 第2章 RFIDネットワーク統合規格の定義 8 2.1 概要. . . 8 2.1.1 特長 . . . 8 2.2 統合規格の実現方法 . . . 9 2.2.1 データの記述方法の定義 . . . 9 2.2.2 マークアップ言語によるデータ領域の記述 . . . 10 2.2.3 XMLの利点 . . . 11 2.3 統合規格の構成 . . . 12 2.3.1 RFIDネットワーク統合規格のカテゴリ . . . 12 2.3.2 カテゴリ別の記述方法 . . . 12 カテゴリ0の記述方法. . . 12 カテゴリ1の記述方法. . . 13 2.4 データ領域の記述方法 . . . 13 2.4.1 データ領域の構成 . . . 13 書き込み不可領域 . . . 14 XMLタグ領域 . . . 14

(6)

目次 XMLデータ領域 . . . 15 XML識別ID . . . 15 XML宣言 . . . 15 XML開始タグ . . . 16 XML終了タグ . . . 16 データコード . . . 16 XMLデータ . . . 16 2.4.2 XMLファイルの生成 . . . 17 レベル0 XMLファイルの生成手順. . . 17 レベル1 XMLファイルの生成手順. . . 18 2.4.3 XMLタグコード . . . 19 2.5 XMLファイル . . . 20 レベル0 XMLファイル. . . 22 レベル1 XMLファイル. . . 23 2.6 まとめ . . . 24 第3章 統合規格監理ネットワーク 25 3.1 概要. . . 25 3.2 構成. . . 27 3.2.1 ネットワークの流れ . . . 27 3.2.2 RFIDタグ読み取り環境の構成 . . . 27 RFIDタグ . . . 28 ユーザ . . . 28 アンテナ . . . 28 RFID R/W . . . 28 管理サーバ. . . 28

(7)

目次 アクチュエータ . . . 28 動作手順 . . . 28 3.2.3 統合規格監理システムの構成 . . . 29 動作手順 . . . 29 レベル0 統合規格監理システム . . . 30 レベル1 統合規格監理システム . . . 30 3.2.4 監理データベースの構成 . . . 30 3.2.5 RFIDアプリケーション環境の構成 . . . 31 3.3 まとめ . . . 31 第4章 入退室管理システム 32 4.1 システムの概要 . . . 32 4.2 システムの仕様と構成 . . . 34 4.2.1 開発環境 . . . 34 4.2.2 使用するRFIDタグ . . . 34 4.2.3 使用するアンテナ . . . 36 4.2.4 使用するRFID R/W . . . 38 4.2.5 アプリケーションサーバ . . . 40 4.2.6 監理データベース . . . 40 4.2.7 認証タグ . . . 40 4.2.8 オブジェクトタグ . . . 40 4.2.9 プログラム. . . 41 4.3 動作. . . 42 4.3.1 基本動作 . . . 42 入退室判断アプリケーション . . . 42 入退室状況確認アプリケーション . . . 43

(8)

目次 4.3.2 RFIDタグの認識条件 . . . 43 4.3.3 機能の詳細. . . 44 パスワード認証法 . . . 45 オーダー認証法 . . . 51 4.4 まとめ . . . 55 第5章 考察 57 5.1 RFIDネットワーク統合規格の考察 . . . 57 5.2 統合規格監理システムの考察 . . . 57 5.2.1 階層化監理アーキテクチャ . . . 58 5.3 入退室管理システムの考察 . . . 59 5.4 まとめ . . . 59 第6章 まとめ 60 6.1 今後の課題 . . . 60 謝辞 62 参考文献 63

(9)

図目次

1.1 パッシブ型RFIDタグ . . . 2 1.2 EPCコード(SGTIN-96)書式 . . . 4 1.3 JANコードを割り当てたucode . . . 6 2.1 レベル0 RFIDタグデータ領域 . . . 14 2.2 レベル1 RFIDタグデータ領域 . . . 15 2.3 レベル0 XMLファイル例 . . . 22 2.4 レベル1 XMLファイル例 . . . 23 3.1 統合規格監理ネットワーク . . . 26 4.1 入退室管理システム . . . 33 4.2 薄型モールドタグ 正面 . . . 34 4.3 薄型モールドタグ 横 . . . 35 4.4 2素子直線偏波アンテナ(表) . . . 36 4.5 2素子直線偏波アンテナ(裏) . . . 36 4.6 4ポートロングレンジ・リーダライタ(表) . . . 38 4.7 4ポートロングレンジ・リーダライタ(裏) . . . 38 4.8 入退室判断アプリケーションの構成 . . . 43 4.9 入退室状況確認アプリケーションの構成 . . . 44 4.10 入退室判断アプリケーション 表示画面 . . . 45 4.11 パスワード認証 表示画面1 . . . 46 4.12 パスワード認証 表示画面2 . . . 47 4.13 パスワード認証 表示画面3 . . . 47 4.14 入退室状況確認画面 . . . 48

(10)

図目次 4.15 パスワード認証法の処理の流れ . . . 50 4.16 オーダー認証 表示画面1 . . . 52 4.17 オーダー認証 表示画面2 . . . 52 4.18 オーダー認証 表示画面3 . . . 53 4.19 オーダー認証 表示画面4 . . . 53 4.20 オーダー認証法の処理の流れ . . . 56 5.1 階層化監理アーキテクチャとの対応 . . . 58

(11)

表目次

1.1 EPC GlobalのRFIDタグClass . . . 3

1.2 EPCコード体系 . . . 3 1.3 インタフェースカテゴリ . . . 5 1.4 セキュリティクラス . . . 5 2.1 マークアップ言語 . . . 10 2.2 統合規格のカテゴリ . . . 12 2.3 XMLタグ コード表 . . . 20 2.4 XMLファイルの記述内容 . . . 21 2.5 XMLファイルに記述されるデータ . . . 21 4.1 開発環境 . . . 34 4.2 薄型モールドタグ仕様 . . . 35 4.3 2素子直線偏波アンテナ 仕様 . . . 37 4.4 4ポートロングレンジ・リーダライタ 仕様 . . . 39 4.5 データベースフィールドの構造 . . . 41

(12)

1

序論

本章では, 本研究の目的と背景について解説する.

1.1

研究背景

RFID(Radio Frequency IDentification)タグはIC タグに無線通信用アンテナを組み合 わせた半永久的に利用できる小型装置であり, 無線ICタグとも呼ばれている. RFIDタグ は来るべき次世代のユビキタスネットワーク社会が実現されるための基盤技術として最も期 待されているデバイスであり, 今後, バーコードなどの既存のコードデバイスに代替可能な ネットワークデバイスとして注目が高まってきている. 特長として無線による情報の送受信 や同時複数読み取りがあり, 現在も流通業界において商品の管理と識別のために実用が開始 されている. RFIDタグには, 電波の送受信を行うアンテナから電力を供給されることで動作するパッ シブ型と電池を内蔵していてパッシブ型と比べて通信距離が長く, 簡単な演算も行うことが できるアクティブ型がある. RFIDタグの記憶容量は技術の発展に従い増加する傾向にある が, 現在のRFIDタグの標準規格で利用されている記憶容量は64bit∼128bitが主流である. 本研究は使用するRFIDタグは記憶容量が最大128byteの日本アールエフソリューション 株式会社製のパッシブ型(以下, インテリタグ)を使用する.

(13)

1.1 研究背景

図1.1 パッシブ型RFIDタグ

1.1.1

EPC Global

EPC と は 、管 理 対 象 と な る 全 て の 商 品, 場 所, 資 産, 軍 事 に 個 別 に 割 り 当 て ら れ る 「Electronic Product Code(=電子製品コード)」の頭文字を取ったものである. EPC Global は流通コードの国際的な標準化機関である国際 EAN協会と米国の流通コード機関である

Uniformed Code Council(UCC)によって, このEPCを世界レベルで実用化するためのシ ステムを構築する目的で2003年9月に設立された非営利法人団体である. EPC Globalの 前身として, 米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)と各国の大学, および米国各企業に よって1999年に設立されたオートIDセンターが存在する. EPC Globalの基本的な役割に は以下のものがある. 1. EPC技術標準開発の指導 2. EPC manager番号を収容した中央データベースの管理 3. EPC Globalネットワークシステムのグローバルな市場開発及び情報伝達に関するテン プレートの設計

EPC Globalは5つのクラスに分けてRFIDタグの標準規格を作成している. ここでい

う標準規格とはRFIDタグの種類と利用する周波数帯域, 製造メーカーを規定するものであ

り, RFIDタグのデータの記述方法を指す規格ではない. このクラス全体の概要を表1.1に

示す. また, このクラスのうちのひとつ, クラス1に該当するGen 2規格は2006年5月に

(14)

1.1 研究背景

表1.1 EPC GlobalのRFIDタグClass

Class 方式 周波数 メーカー 0 パッシブ型 (読み取り専用) UHF帯 シンボル・テクノロジ 1 Gen 2 UHF帯 インピンジ, フィリップス, TI 2 パッシブ型 (読み書き可) 規定なし 規定なし 3 セミパッシブ型 (読み書き可) 電池, センサー内臓 4 アクティブ型 (読み書き可) 電池内臓, タグから電波を出す

さらに, RFIDタグに書き込まれるコード体系を示すEPC(Electoronic Product Code) には, 現在7種類のコードが規定されていて, それぞれのビット長が64bit, または96bitの 2種類のものに分けられる. EPCコード体系を表1.2に示す. EPCの書式は一般にコード の種別を識別するヘッダ, コードの種別をカテゴリに分類しドメイン識別子の桁数を決定 するフィルタ, EPC Global加盟企業の会社コードと商品に個別に割り振られる商品コード で構成されるドメイン識別子の 3つの領域に分けられる. この書式を EPCコード体系の SGTINを使った例として図1.2に示す. 表1.2 EPCコード体系 コード種別 用途 96bit長のヘッダ GID 既存コード体系と関連しない場合に使用 0011 0101 SGTIN 商品などの消費財に付けるコード 0011 0000 SSCC パレットなど物流単位に付けるコード 0011 0001 SGLN 事務所など場所に付けるコード 0011 0010 GRAI 流用する資産に付けるコード 0011 0011 GIAI 固定的な資産に付けるコード 0011 0100 DOD 米国防総省の用途向けのコード 0010 1111

(15)

1.1 研究背景 図1.2 EPCコード(SGTIN-96)書式

1.1.2

ユビキタス

ID

センター

ユビキタスIDセンターとは, 場所やモノの自動識別を実現するユビキタスコンピューティ ング環境の実現を目標として, その技術基盤の確立と普及を推進する団体の名称である. ユ ビキタスIDセンターは東京大学大学院情報学環教授の坂村健氏によって運営されている組 み込み機器のプラットフォーム「T-Engine」の標準化を行なう業界団体「T-Engineフォー ラム」内に設置されている. 仮に, ユビキタスコンピューティング環境の実現により我々が生活するあらゆる場所にコ ンピュータが存在し, コンピュータ同士が自律的に連携して動作すれば, 現実社会に存在す るあらゆるモノをコンピュータは認識することが必要となる. ユビキタスIDセンターでは, そのための自動識別を実現するIDコード体系であるucodeの構築を行っている. また, そ の他の活動の内容には以下のものがある. 1. ucodeを利用するための基盤技術の確立 2. ucodeとそれに結びつけられた情報を流通させるセキュアな広域分散システムの基盤技 術の確立 3. ユビキタスID空間の割り当て 4. ucode解決データベースの運用 5. eTRON認証局の運用 ユビキタスID 技術の中でモノを識別するために利用するユニークな固有識別子である

(16)

1.1 研究背景 ucodeを付与するデバイスとして, バーコード, RFID,スマートカード, アクティブチップな どを包括的に扱うとしている. ユビキタスIDセンターでは, これらのタグをインターフェー スカテゴリとセキュリティクラスの観点から区分し, 標準のID タグとしての認定基準を各 区分毎に設定,その基準を満たすタグをユビキタスIDセンターの標準IDタグとして認定し ている. インタフェースカテゴリを表1.3, セキュリティクラスを表1.4に示す. 表1.3 インタフェースカテゴリ カテゴリ 内容 カテゴリ0 印刷タグ(バーコード, 2次元バーコード) カテゴリ1 RFIDタグ(非接触インターフェースを備えたタグ, ICカード) カテゴリ2 アクティブRFIDタグ(電池を内蔵し, 無線で通信することのできるタグ) カテゴリ3 アクティブ赤外線タグ(電池を内蔵し, 赤外線で通信するタグ) 表1.4 セキュリティクラス クラス 提供するセキュリティ機能 クラス0 データ欠損検出機能 クラス1 耐物理的複製/耐物理的偽造 クラス2 同定防止機能 クラス3 耐タンパー性資源別アクセス制御管理機能 クラス4 未知ノードとの安全な通信 クラス5 時刻に依存した資源管理機能 クラス6 内部プログラム/セキュリティ情報の更新機能

ucodeは128bit長のコードであり, また 128bit単位で必要に応じて拡張可能である. 更 に以下のような特長がある.

(17)

1.1 研究背景 1. 既存の各種IDコードを吸収可能なメタコード 2. 割り当て不要のコード体系 既存の各種IDコードとはRFIDタグやバーコードといったIDコード体系を持つデバイ スを指すものである. バーコードであればJANコードというIDコードが記述されている が, そのコードをucodeのコード体系の中に割り当てて別のデバイスで利用することができ る. JANコードを割り当てたucodeの例を図1.3に示す. 図1.3 JANコードを割り当てたucode また, ucodeに発行場所と時間の時空間的記述を行うことによってローカルにユニーク性 を確保することができ, さらに一度発行したIDは再利用しないため局所的な利用も可能で ある.

1.1.3

現在の

RFID

ネットワークの問題点

RFIDタグを利用したネットワークにはEPC GlobalやユビキタスIDセンターのように 全く違う方法で, あらゆるモノが自動識別され通信を行う環境の実現を目指す団体が存在し ている. これは, RFIDタグが現在のように商品管理の分野のみで利用されその活躍が期待 されているのであれば問題ないが, 両者の最終的な目標にあるユビキタスネットワーク社会 が実現されるのであれば, その存在は我々の生活の一部として社会に組み込まれていくと予 想される. そうなれば我々一般ユーザがRFIDタグを個々に管理し, そのRFIDタグは独立 してあらゆる社会システムと相互に通信を行われるべきである. だが現状は, 標準化団体が 構築するネットワークでの利用を前提として規格を定められたものとこれらの標準規格に準

(18)

1.2 研究目的 拠していない環境で利用されている規格を持つRFIDタグが社会に混在している. また, 現 在標準化団体が提供しているネットワークはデバイスとなるRFID タグによるモノの個体 識別を前提としてRFIDネットワークからIPネットワークへの一方的な通信を実現するも のであり, ユーザの存在を前提としたRFIDタグの利用は実現できていない. これはRFID タグが社会システム, またはそのシステム同士を繋げるネットワークとの相互通信によるユ ビキタスネットワーク社会の実現のための大きな障害になると考えられる.

1.2

研究目的

本研究の目的は, 現代社会に遍在する様々な規格で記述されたRFIDタグを統合して利用 できる規格と,その運営システムを提案することにある. これにより, 一般ユーザに規格では なくアプリケーション, またはモノの違いだけを意識させることができ, RFIDタグをヒト が利用しやすいネットワークデバイスとして社会に組み込むことが可能になる. また, 提案 規格に一意なユニークIDを与えることで, 自動識別技術を提供し, RFIDタグが一般社会に 組み込まれた場合におけるRFIDネットワーク全体の管理とIPネットワークとの相互通信 を実現させる.

1.3

本論文の構成

本章はでは, 本研究の背景と目的, 現在のRFIDネットワークが抱える問題について述べ た. 以降, 第2章ではRFIDタグ全体の規格データと利用環境を統合するRFIDネットワー ク統合規格について提案し, 第3章では第2章で提案したRFIDネットワーク統合規格に準 拠したRFIDタグを利用するためのネットワーク構成について解説を行い, 第4章では応用 例として入退室管理アプリケーションについて解説する. 第5章では, 本提案規格とネット ワーク, アプリケーションについて考察を行い, 第6章で全体のまとめを述べる.

(19)

2

RFID

ネットワーク統合規格の定義

本章では, 本研究で提案するRFIDネットワーク統合規格について解説する.

2.1

概要

RFIDネットワーク統合規格は, 様々な規格で記述されたRFIDタグを統合して利用する ための規格である. ユーザは自分自身や身に付けている衣服といったオブジェクトに対し, ユーザ自身や製品を製造するメーカーが管理するRFIDタグを所有, または取り付ける. こ の技術の目的は, オブジェクトが同じであってもRFIDタグを提供するサービスや製造メー カーによって中身のデータを記述する規格が異なる可能性に対し, ユーザにこの規格の違い を意識させずに RFIDタグを利用させ, ユーザの RFIDタグへの利用意識を規格ではなく モノに対して向けさせることである. 提案するRFIDネットワーク統合規格を通常のRFID 規格と比較した場合の特長を以下に述べる.

2.1.1

特長

RFIDネットワーク統合規格はそのデータ領域をマークアップ言語によって記述され, 複 数の規格情報を保持することが可能である. また, RFIDタグに与えられるユニークIDの 他に, RFIDネットワーク統合規格による生成物に対して一意なIDを与える.以下, これら の特長を持つ統合規格の実現方法について解説していく.

(20)

2.2 統合規格の実現方法

2.2

統合規格の実現方法

2.2.1

データの記述方法の定義

単一のRFIDタグを規格の違いを意識せずに利用するための方法論の一つとして, RFID タグに複数の規格の情報を記述することを提案する. これを実現することで単一のRFIDタ グを複数のアプリケーション間で利用することができ, また一つのアプリケーション内にお いても複数の情報を保持できるため RFIDタグの利用方法の幅を現在より広げることが可 能であると考える. この方法を実現するために以下に示す問題を解決する必要がある. RFIDタグはバーコードなどのコードデバイスに代わることのできる新しい技術であり, 現在は流通業界で商品の自動識別のために多く利用されている背景がある. これらで利用さ れているRFIDタグには一個のモノを一意に特定できるだけの情報のみが記述されてる. し かし, RFIDタグの特長として無線によるデータ通信, 複数同時読み取り機能, 大容量という 3点からモノの識別以外にも利用することは可能であると考えられ, そのための研究は現在 も進められている. 現状としてRFID タグの標準化団体が用意している規格の記述に最低 限必要で最も大容量なものは128bitである. しかし, 本研究で使用するインテリタグの最 大容量は128byteでありこの最大容量を上回るRFIDタグも既に存在するという事実から, RFIDタグには利用されていない領域が多く存在していることが確認できる. これは, モノ を識別するためだけならば情報量が128bitあれば充分であるということ, さらに重要なの はRFIDタグがバーコードなどのコードデバイスに代わることのできる技術である以上, 現 在の RFIDタグのデータ領域の記述法では複数のデータは記述できないということが考え られる. バーコードに複数の情報が記述されていてはモノの識別は不可能である. そのため, モノの識別だけに利用される現在の RFIDタグには複数の情報が記述されている必要が無 く, 128bitより多い情報量を必要としていないということが考えられる. また, RFIDタグ の読み取りに必要なRFID R/Wの制御はハードウェアではなくソフトウェアに依存してい るため, 利用するソフトウェアが異なれば同じハードウェアであってもRFIDタグの読み取 り方法が異なる. 読み取るRFIDタグに記述されている情報の規格が異なれば, R/Wが認

(21)

2.2 統合規格の実現方法 識できないRFIDタグが存在してしまうということである. しかし, 本提案の統合規格を実 現するためにRFID タグに複数の情報を記述してどのような環境で読み取られても同じ処 理を行うことができるようにする必要がある. そこで, これを実現するために新しい RFID タグのデータ領域の記述方法としてマークアップ言語を利用したデータ領域の記述方法を提 案する.

2.2.2

マークアップ言語によるデータ領域の記述

マークアップ言語とは, テキストデータをタグと呼ばれる特別な文字列で囲うことにより, 文章の構造や修飾情報に関する付加情報を併せて記述するための人工言語でデータ記述言語 の一種とされている. 主なマークアップ言語の種類と概要を表2.1に示す. 表2.1 マークアップ言語 マークアップ言語 概要 SGML HTMLやTexの元になる. 構造が他の言語に比べ複雑 HTML 現在のWebを構成する基本的な言語. 最も利用されている XML アプリケーション間のデータのやり取りに広く利用されている Tex 学術分野で利用され, 主に出版物や論文の執筆に利用される 統 合 規 格 を 記 述 す る た め の マ ー ク アップ 言 語 と し て, 本 提 案 で は XML(eXtensible Markup Language)を導入する. XMLはタグと呼ばれる構造化タグ記述言語であり, タグに囲まれた要素情報とタグ自身 の情報を表す属性情報で成り立っている. また, XMLを導入した理由を以下に示す. XMLは構造化されたタグ記述により多様なデータを内包できるメタ言語である. また, 構文解釈の技術によりアプリケーションごとにデータの出力形式を変換し, 利用する情報を 選別することが可能である. そのため, XMLによって記述されたファイルは利用環境に依

(22)

2.2 統合規格の実現方法 存しないという特長を持つ. さらに,タグの内容でデータの種類を判断しやすいため, アプリ ケーションの開発者にとって非常に利用しやすい言語である.これらの特長の有用性につい て詳しく解説していく.

2.2.3

XML

の利点

RFIDタグのデータを XMLで記述されたメタデータファイルとして扱うことの利点と して, XMLで生成されたファイルがその関連技術を利用することでXML内の要素情報を 様々なデータ形式に出力することが可能であるため, アプリケーション間のデータのやり取 りに非常に有用であるという特長がある. これは現在XMLが非常に広く普及している理由 の大きな一因となっている点でもある. 本研究では,この特長を「構文解釈によるXMLファ イルデータの出力形式の変換」と称し記述する. この特長によりXMLによって記述された RFIDタグのデータはメタデータを同時に記述することで RFIDタグを認識した瞬間から 利用できる一意性の高いデータファイルを生成することができ, 様々なアプリケーション間 での利用も可能となる. また,「構文解釈によるXMLファイルデータの出力形式の変換」に よりアプリケーションごとにXMLファイルに記述されたデータを選別して利用することも 可能なため, 特定の利用環境に限定されず複数の環境で利用することが可能である. さらに, XML のもう一つの特長としてタグによるファイルの可読性の高さがある. HTML やTex といったマークアップ言語はあらかじめデータを囲むタグの名前が決められているが, XML はタグの名前を自由に決めることができる. つまり, タグの名前を見ることでデータの種類 や中身を容易に判断することができる. これはアプリケーションの開発者にとって非常に利 便性の高い特長であると言える. ただし, むやみにタグの名前を記述してもそのデータを利 用する側が理解できなければ意味が無いため, タグの意味を決定し文書構造を定義すること ができるスキーマ言語がある. 本研究では, 生成するXMLファイルに使用するタグの名前 をいくつか提示するが, 今回生成されるXMLファイルはXMLタグの定義をする必要が無 いほど単純な構造のため, スキーマ言語による定義は行わない.

(23)

2.3 統合規格の構成

2.3

統合規格の構成

2.3.1

RFID

ネットワーク統合規格のカテゴリ

本研究では, RFIDネットワーク統合規格で記述される RFIDタグをレベル0, レベル 1 というカテゴリに分類する. この二つのレベルのRFIDタグは環境によって, 使い分けられ る. 表2.2にその概要を示す. 表2.2 統合規格のカテゴリ カテゴリ名 最大XMLデータ数 概要 レベル0 13個 限定された環境のみで利用可能. 書き換え不可 レベル1 14個 複数の環境で利用可能. 書き換え不可 以下にその特長について詳しく解説する

2.3.2

カテゴリ別の記述方法

RFIDネットワーク統合規格のデータ領域はカテゴリごとにXMLを利用して記述する方 法が異なる. 以下にその方法を示す. カテゴリ0の記述方法 この記述方法では, RFIDタグ自体が一つのXMLデータファイルとして扱われる. これ は利用する XMLファイルの文書構成をアプリケーション側が決定できないためRFIDタ グが持つ汎用性は著しく低下する. ただし, 局所的な環境で利用される情報がRFIDタグに 記述される場合, XMLの文書構成を他の環境で読み取ることのできない記述にすることで 利用範囲を制限できるという利点がある.

(24)

2.4 データ領域の記述方法 カテゴリ1の記述方法 この記述方法では, RFIDタグにはXMLに割り当てられるID とメインとなる要素情報 のみが格納される. メタデータを含むXMLファイルは後述する監理システムによって生成 され, RFIDタグのデータはその中に組み込まれる. 監理システムに繋がるアプリケーショ ンによってRFIDタグに記述されたデータを基本に様々な文書構成のXMLファイルが生成 可能なため, 記述されているデータの用途がかけ離れていない限りあらゆるアプリケーショ ンとの互換性が実現可能である.

2.4

データ領域の記述方法

XMLファイルをRFIDタグに記述する場合, 一文字に最低1バイトの容量を必要とする 文字列の直接入力ではRFIDタグの容量に不足が生じてしまう. そこで記述するXMLタグ のコード化を図り, XML記述によるデータ領域の圧迫を防ぐためのRFIDネットワーク統 合規格の記述法を提案する.

2.4.1

データ領域の構成

インテリタグを使用して記述されるレベル0とレベル1のRFIDタグのデータ領域の構 成を図2.1,図2.2に示す. 構成されるデータの解説を以下に示す.

(25)

2.4 データ領域の記述方法

図2.1 レベル0 RFIDタグデータ領域

書き込み不可領域

RFIDタグの工場出荷時に割り振られるユニークID, RFIDタグの製造メーカーを示す

コード, RFIDタグのハードウェアの種類を示すコード, RFIDタグの製造メーカーが管理 するコードが記述される18 byteのXMLデータ領域である. 読み取りは可能とする. XMLタグ領域 XMLタグを示す1 byteのバイナリコードで表現する領域である. RFIDネットワーク統 合規格で記述されたRFID タグが認識されると最初にこの領域を読み取りXMLファイル の構成を把握する.

(26)

2.4 データ領域の記述方法 図2.2 レベル1 RFIDタグデータ領域 XMLデータ領域 XMLの要素情報を表現する領域である. 4 byte長のXMLデータによって構成され, 記 述されたデータを4 byte単位に分割して格納する. XML識別ID 本提案の統合規格で記述される RFID タグが生成する XML ファイルに割り振られる ID で, 書き込み不可領域に記述されているRFIDタグのユニークIDと関連付けることで

XMLファイルを生成したRFIDタグを特定する. ビット長は8 byteで, RFIDタグに与え られているユニークIDと同じ長さである.

XML宣言

XMLファイルの冒頭でXMLファイルとして認識させるために宣言されるタグ. バイナ リコードで表現され,ビット長は1 byte. 割り当てるコードは2.4.3節にて解説する.

(27)

2.4 データ領域の記述方法 XML開始タグ XMLの要素情報の開始を示す. 表記の方法は <(タグの名前)>. ビット長は1 byteで, 割り当てるコードは2.4.3節にて解説する. XML終了タグ XMLの要素情報の終了を示す. 表記の方法は </(タグの名前)>. バイナリコードで表現 され,ビット長は1 byte. 割り当てるコードは2.4.3節にて解説する. データコード XMLデータを書き込む場所を表すコード. XMLデータ領域のXMLデータに対応して いてデータコードが連続して記述されることでXMLの要素情報を最大52 byteまで表現可 能である. ビット長は1 byte. XMLデータ 記述されるXMLの要素情報を分割して格納している. 既存の標準規格であるEPCやユ ビキタスIDのデータ長は8 byte, 12 byte, 16 byteで表現されるため, ビット長は4 byte である.このデータ長は 8 byte長のデータであれば二つに, 12 byte長のデータであれば三 つに分割して記述する. これはXMLタグ領域のデータコードの位置に対応していて, デー タコードが連続して記述されることで分割されていたデータを一つのデータとして認識させ る. また, レベル0のXMLファイルは最大13個のXMLデータを, レベル1のXMLファ イルは最大14個のXMLデータを格納することができる.

(28)

2.4 データ領域の記述方法

2.4.2

XML

ファイルの生成

分類されているカテゴリによってRFIDタグの XMLタグ領域とXMLデータ領域の容 量は異なる. これはレベル0とレベル1のカテゴリの性質上の違いによるものであること, さらにRFID R/Wは決められたバイト長の長さのフィールドしか読み取ることができない ため, 別のカテゴリのRFID タグの利用を不可能にするための一因にすることが可能であ る. レベル0, レベル1のRFIDタグ認識時のXMLファイルの生成手順についてそれぞれ 解説する. レベル0 XMLファイルの生成手順 レベル0のカテゴリに分類されているRFIDタグには, XMLファイルを構成する要素が すべて記述されている. そのため, XMLタグが占める容量が多い分レベル1のRFIDタグ に比べ保持することが可能なデータ領域の数が少ない. 以下に動作手順を示す. 1. RFID タグを認識すると書き込み不可領域を除いた先頭の XML タグ領域である 58

byteを1 byte毎に読み取り,読み取った8 bitコードに対応するXMLタグを順々に生 成する 2. 生成される XMLファイルのIDを示す「XMLID」タグはすべてのXMLファイル内 での読み取られる場所が決定しているため, 「XMLID」タグ内のみ8 byteのデータを 一度に読み取る. 3. XMLタグに囲まれたデータコードを読み取ると, XMLデータ領域のXMLデータを格 納するための変数を生成する. 変数はデータコードを読み取った順番で生成され, デー タコード 1で生成された変数は XMLデータ1, データコード2 で生成された変数は XMLデータ2に対応する.

4. 1.と2.を読み取った合計byte数が58 byteになるまで繰り返す. 58 byteまでにXML タグを示すコードが無くなる場合, 何もない領域を示すために残りの領域はすべて空領 域を示す1 byteのオール0で記述される.

(29)

2.4 データ領域の記述方法

5. 後半のXMLデータ領域である52 byteを4 byte毎に読み取る. 一つの4 byteのデー タは一つのXMLデータにあたる.

6. 一つの XMLデータを読み取る毎に, データコードが生成した最初の変数から順番に

XMLデータを格納していく.

7. 3.を読み取った合計 byte数が52 byte になるまで繰り返す. 52 byte までにデータ領 域が無くなる場合, 何もない領域を示すために残りの領域はすべて空領域を示す1 byte のオール0で記述される.

XML 開始タグと XML 終了タグの間に複数の XML データを囲むことで, 8 byte, 12

byte, 16 byteの標準化団体による規格データも表現可能である. また, 16 byte以上のデー タも表現可能である. ただし, 表現したデータの容量が合計52 byteを超えてはならない. レベル1 XMLファイルの生成手順 レベル1のカテゴリに分類されているRFIDタグには, XMLファイルを構成する要素の うちアプリケーションで利用できるXMLの要素情報とそれを表現するためのXMLタグの みが記述されている. これは, 後述の統合規格監理システム内でXMLファイルが生成され るためである. そのため, XMLタグが占める容量が少ない分,レベル0のRFIDタグに比べ 保持することが可能なXMLデータの数が多い. 以下に動作手順を示す. 1. RFID タグを認識すると書き込み不可領域を除いた先頭の XML タグ領域である 54

byteを1 byte毎に読み取り, 読み取った1 byteコードに対応するXMLタグを順々に 生成する

2. 生成される XMLファイルのIDを示す「XMLID」タグはすべてのXMLファイル内 での読み取られる場所が決定しているため, 「XMLID」タグ内のみ8 byteのデータを 一度に読み取る.

(30)

2.4 データ領域の記述方法

1で生成された変数は XMLデータ1, データコード2で生成された変数はXMLデー タ2に対応する.

4. 1.と2.を読み取った合計byte数が54 byteになるまで繰り返す. 54 byteまでにXML タグを示すコードが無くなる場合, 何もない領域を示すために残りの領域はすべて空領 域を示す1 byteのオール0で記述される.

5. 後半のXMLデータ領域である56 byteを4 byte毎に読み取る. 一つの4 byteのデー タは一つのXMLデータにあたる.

6. 一つの XMLデータを読み取る毎に, データコードが生成した最初の変数から順番に

XMLデータを格納していく.

7. 3.を読み取った合計byte数が56 byteになるまで繰り返す. 56 byteまでにデータ領域 が無くなる場合, 何もない領域を示すために残りの領域はすべて空領域を示す8 bitの オール0で記述される.

レベル0のXMLファイルの生成と同様, XML開始タグとXML終了タグの間に複数の データ領域を囲むことで, 8 byte, 12 byte, 16 byteの標準化団体による規格データ, および

16 byte以上のデータも表現可能である. ただし, 表現したデータの容量が合計56 byteを超 えてはならない.

2.4.3

XML

タグコード

RFIDタグのデータ内でXMLタグを表現するコードは1 byteのバイナリコードで表現 される. RFIDタグの最大容量によって表現できる数は変わるが, 本研究では最大容量 16 byteのインテリタグを利用した場合を前提として, 表2.3にてコード表を示す. 空間名は利用する団体, 組織の名前, アプリケーション名はアプリケーションの種類を示 し, 要素情報名はアプリケーションごとに利用できるデータの名前, または形式などが記述 される.未割り当ての空間名, アプリケーション名, 要素情報名はカテゴリ1に属するRFID ネットワーク統合規格を利用する団体, 組織に与えられる. カテゴリ0のRFIDネットワー

(31)

2.5 XMLファイル 表2.3 XMLタグ コード表 XMLタグ名 開始タグコード 終了タグコード XML宣言 0000 0001∼ 0000 0100 <level0> 0000 0101 1000 0101 <level1> 0000 0110 1000 0110 空間名(未割り当て) 0000 0111 ∼0001 1111 1000 0111 ∼ 1001 1111 アプリケーション名(未割り当て) 0010 0000 ∼0011 1111 1010 0000 ∼ 1011 1111 <XMLID> 0111 1110 1111 1110 要素情報名(未割り当て) 0100 0000 ∼0101 1111 1100 0000 ∼ 1101 1111 データコード1 ∼ データコード14 0111 0000 ∼0111 1101 1111 0000 ∼ 1111 1101 空領域 0000 0000 ク統合規格は特定の団体, 組織のみで利用されるため, 空間名, アプリケーション名, 要素情 報名を自由に決定することができる.

2.5

XML

ファイル

RFID タグを認識して生成されるXML ファイルは XML タグとメイン要素情報, メタ データ要素情報で構成される. 認識したRFIDタグのカテゴリによってXMLファイルのカ テゴリも決定されるが, その内容はXMLファイルごとに異なる. ただし, 全てのメタデータ はカテゴリによって利用するか否が決定されるが RFIDタグの環境には限定されずに利用 され, XMLファイル内で使用されるXMLタグ名も定義される. 表2.4に利用されるデータ の種類をメイン要素情報とメタデータ要素情報の二つに分け, それらに分類されるデータの 概要と定義されるXMLタグ名を示す.

(32)

2.5 XMLファイル 表2.4 XMLファイルの記述内容 データの種類 XMLタグ名 概要 メイン XMLID 統合規格で記述されたRFIDタグに与えられるID メイン (要素情報名) RFIDタグに記述される様々なデータ. 複数ある メタ time RFIDタグを認識した時刻 メタ location 認識したR/Wを管理するPCのIPアドレス メタ application XMLファイルを利用するアプリケーションの種類 メタ DB XMLファイルのデータを保存するDBのIPアドレス メタ manager RFIDタグの管理者を表す 表2.5に示すデータを利用してレベル0のRFIDタグの読み取りで生成されるXMLファ イルの例を図2.3, レベル1を図2.4に示す. また, XMLタグの解説も示す. 表2.5 XMLファイルに記述されるデータ データの種類 データの内容 概要

XMLID 58b4d57f2ae63419 XMLファイルに与えられる64 bitのユニークID

ユーザID 3a87110d839f7f26 後述の入退室管理システムで利用されるユーザID

(33)

2.5 XMLファイル レベル0 XMLファイル 図2.3 レベル0 XMLファイル例 (1) XML宣言を表す. 全てのXMLファイルの冒頭で宣言される (2) RFIDネットワーク統合規格のカテゴリを表す (3) RFIDタグが利用できる環境, または空間に対する固有名称を表す (4) XMLファイルが利用されるアプリケーションを表す (5) 生成されたXMLファイルに与えられるユニークIDを表す (6) アプリケーションで利用できるメインデータを表す. 今回記述しているデータは後述 の入退室監理システムで利用するもの ※XMLファイルの内容はRFIDタグに全て記述される. メタデータは記述されない.

(34)

2.5 XMLファイル レベル1 XMLファイル 図2.4 レベル1 XMLファイル例 (1) XML宣言を表す. 全てのXMLファイルの冒頭で宣言される (2) RFIDネットワーク統合規格のカテゴリを表す (3) RFIDタグが利用できる環境, または空間に対する固有名称を表す (4) XMLファイルが利用されるアプリケーションを表す (5) 生成されたXMLファイルに与えられるユニークIDを表す

(35)

2.6 まとめ (6) アプリケーションで利用できるメインデータを表す. 今回記述しているデータは後述 の入退室監理システムで利用するもの (7) 統合規格監理システムで記述されるメタデータを表す (8) アプリケーションで利用されるメタデータを表す ※(6)以外は, XMLファイルの生成時に記述される. レベル0のXMLファイルはRFIDタグに記述されている時点で一つのXMLファイル として成立して, 利用できる環境も決定されているためメタデータは記述されない. レベル 1のXMLファイルは利用できるアプリケーションが複数存在していることが前提であるた め, 認識される度にメタデータを含むXMLファイルを生成することで一意性を保つ. XML ファイルは一つのRFIDタグが認識される度に一つ生成され, 一つのアプリケーション内で 生成されたXMLファイルは原則として生成したアプリケーション内でのみ利用できる.

2.6

まとめ

本章では, 様々な規定でデータを記述されて遍在するRFIDタグを統合して利用するため のRFIDネットワーク統合規格を提案した. この RFIDネットワーク統合規格を利用する ことで, 複数の規格情報を保持し, 既存のRFIDタグの規格の違いをユーザに意識させずに 利用させ, RFIDタグへの利用意識を規格ではなくモノに対して向けさせることを可能とし た. 3章ではこのRFIDネットワーク統合規格によって記述されたRFIDタグを運営する バックグラウンドシステムについて解説する.

(36)

3

統合規格監理ネットワーク

本章では, 第2章で提案したRFIDネットワーク統合規格に準拠したRFIDタグを処理 し, RFIDアプリケーションへデータを送信するための統合規格監理ネットワークについて 解説する.

3.1

概要

RFIDネットワークはIPネットワークと違い未だにそのネットワーク構成の詳細が明確 に決定していないため, RFIDタグを利用したアプリケーションや環境を構築する開発者の 主観的によって定義されてしまう. そこで, 本研究ではあらゆるRFIDアプリケーションに おいて最低限必要であると考えられる構成要素を決定して以下に示す. • RFIDタグ アンテナ • RFID R/W 制御ソフトウェア • RFIDアプリケーション アンテナ, RFID R/W, 制御ソフトウェアは一つの機器にまとめられる場合もあるが, 厳 密にはこの三つと同じ機能を果たすものに分類できるため今回は完全に別のものとして決定 する. また, データベースはRFIDアプリケーション側に属するものとする.

(37)

3.1 概要 本章で提案する統合規格監理ネットワークは上記で定義したRFIDネットワークを基本 として, RFIDタグの読み取り環境とRFIDアプリケーション環境, 監理データベースとそ れらの中間に設置される統合規格監理システムの4つの環境とシステムで構成されるネット ワークであり, RFIDネットワーク統合規格で記述されたRFIDタグを処理するためのネッ トワーク環境として提案した. RFIDアプリケーション環境は統合規格監理ネットワークに 準拠したものだけでなく既存のアプリケーションも対象としている. ユーザはこのネット ワーク内におけるRFIDシステムの利用についてRFIDタグの規格を意識する必要は無い. 提案する統合規格監理ネットワークを図3.1に示す. 図3.1 統合規格監理ネットワーク

(38)

3.2 構成

3.2

構成

統合規格ネットワークを構成するRFIDタグ読み取り環境, 統合規格監理システム, 監理 データベース, RFIDアプリケーション環境について解説する.

3.2.1

ネットワークの流れ

統合規格監理ネットワーク全体の流れを以下に示す. 1. RFIDタグ読み取り環境にてユーザはRFIDタグを認識させる 2. アンテナは読み取ったRFIDタグのデータをRFID R/Wへ送信する 3. RFID R/Wは管理サーバへデータを送信する 4. 管理サーバは統合規格監理システムへデータを送信する 5. 統合規格監理システムはXMLファイルを生成, または破棄する 6. 統合規格監理システムは生成したXML ファイルを構文解釈によりデータ形式を変換 する 7. 統合規格監理システムは変換されたデータをRFIDタグアプリケーション環境へ送信. 同時に監理データベースに対してもXMLファイルに記述されている情報を履歴情報と して送信, 蓄積させる 8. RFIDアプリケーション環境は結果をアクチュエータで表示, または処理する. 必要で あれば監理データベースからも情報を取得する 9. RFID アプリケーションでの操作終了後, 統合規格監理システムで生成された XML ファイルは消去される. これは統合規格監理システムのシステムリソースの消費を防ぐ ためである.

3.2.2

RFID

タグ読み取り環境の構成

RFIDタグ読み取り環境は, RFID タグを読み取り統合規格監理システムにデータを送信 する環境である. この構成要素を以下に示す.

(39)

3.2 構成 RFIDタグ RFIDネットワーク統合規格で記述されたRFIDタグ ユーザ RFIDネットワーク統合規格で記述されたRFIDタグを所持するユーザ アンテナ RFID R/Wに接続され, 制御されるアンテナ RFID R/W 管理サーバに接続し, RFIDタグの読み取りと書き込みを制御するRFID R/W 管理サーバ RFID R/Wを制御する管理サーバ. 統合規格監理システムのカテゴリに従ってRFIDタ グの読み取りと書き込みを制御する. また, 読み取ったデータをインターネット網を介し, 統 合規格監理システムに送信する アクチュエータ 本研究では, R/Wとアンテナを制御する管理サーバを設置し, 情報を表示するためのアク チュエータは管理サーバに付属するディスプレイを利用する 動作手順

(40)

3.2 構成

2. RFID R/WはRFIDタグがパッシブ型であればアンテナからRFIDタグに電力を供

給し, データの送信を要求する 3. RFIDタグから送信されたデータをR/Wが確認する 4. R/Wは管理サーバにデータを送信する 5. 管理サーバは統合規格監理システムにデータを送信する このRFID タグ読み取り環境は最も基本的な構成であり環境によっていくつかの要素が まとめられる可能性もある. そのため, 基本的な構成要素の機能を満たすことができるので あれば構成機器の限定はしない.

3.2.3

統合規格監理システムの構成

RFIDネットワーク統合規格で記述されたRFID タグのデータを処理するシステムであ る. このシステムはXMLファイルの生成, 構文解釈によるデータ形式の変換, およびXML ファイルの消去を行う. 管理はRFIDアプリケーション環境の管理者が行う. このシステム の機能と動作手順を以下に示す. 動作手順 1. RFID タグ読み取り環境の管理サーバから送信された RFIDタグのデータから XML ファイルを生成する 2. 生成された XMLファイルが接続されているRFIDアプリケーション環境で利用でき るかを判断. 利用できるのならばXMLファイルをふさわしいデータ形式に変換, 利用 できないのならば生成したファイルを破棄する 3. 変換したたデータをRFIDアプリケーション環境に送信する RFIDタグをカテゴリ別に分類すると同様に統合規格監理システムもカテゴリ別に分けら れる. 原則としてRFIDタグは同じカテゴリに分類された統合規格監理システムで処理され

(41)

3.2 構成 ることになる. カテゴリ別の統合規格監理システムの機能について以下に解説する. レベル0 統合規格監理システム 送信されてきたRFIDタグのデータから決められた XMLタグのコード表に従い XML ファイルを生成する. システム内で XMLファイルにXMLタグを追加しない. 生成する過 程でRFIDタグのデータに定義されたコード表で変換できないコードを確認した時点でファ イルを破棄する. そのため, 接続されたアプリケーションで利用できるXMLファイルを限 定することが可能である. レベル1 統合規格監理システム 送信されてきたRFIDタグのデータから XMLタグのコード表に従いXMLファイルの 内容の一部を生成する. 生成されたXMLファイルの一部にXML宣言, XMLタグを追加し てアプリケーションごとに定義されたXMLファイルを生成する. 生成されたXMLファイ ルの中にアプリケーションで利用できるものが無い場合ファイルを破棄するが, 一つ以上利 用できるものがあれば破棄されない. そのため, 共通して利用できる情報を持つアプリケー ション間でのRFIDタグの利用を可能とする.

3.2.4

監理データベースの構成

統合規格監理システムによって生成されたXMLファイルに記述されている情報は, 認識 したRFIDタグの履歴情報として監理データベースに蓄積される. 蓄積する情報の種類は 統合規格監理システムのカテゴリによって異なる. レベル0はXMLIDと記述されている XMLの要素情報のうち, 監理データベースに接続されているRFIDアプリケーションで利 用できる情報をすべて蓄積する. レベル1の場合はXMLIDと監理データベースに接続され ているRFIDアプリケーションで利用できる情報, および読み取り時刻などのメタデータを すべて蓄積する.

(42)

3.3 まとめ

3.2.5

RFID

アプリケーション環境の構成

RFIDアプリケーション環境はRFIDタグをデバイスとして利用するアプリケーション群 である. 利用できるRFIDタグは統合規格で記述されていない規格も含むが, 本研究では統 合規格で記述されるRFIDタグだけを利用する. アプリケーションの出力にはRFIDタグ 読み取り環境の管理サーバに付属するアクチュエータを利用するが他のアクチュエータを利 用する.

3.3

まとめ

本章ではRFIDネットワーク統合規格で記述されたRFIDタグを利用した統合規格監理 ネットワークを提案した. このネットワークは通常のRFIDネットワークに提案するRFID ネットワーク統合規格で記述する RFIDタグのデータを処理するためのバックグラウンド システムとして統合規格監理システムを組み込んだものである. 既存のRFID規格の情報 はRFIDネットワーク統合規格で記述することで利用が可能であるため, RFIDアプリケー ションも既存の規格に対応して利用することが可能である. 次章ではRFIDネットワーク統 合規格と統合規格監理ネットワークを利用したシステムで応用を示す.

(43)

4

入退室管理システム

本章では, 提案したRFIDネットワーク統合規格と統合規格監理ネットワークを利用して 実装した入退室管理システムについて解説する.

4.1

システムの概要

本システムはRFIDタグに記述されたデータを読み取ることでユーザの部屋への入退室 を判断し, また登録されているユーザ全員の入退室状況を確認できる. この概要図を図 4.1 に示す. 本システム内において, ユーザは認証タグとオブジェクトタグの二種類のRFIDタグを持 つ. 入退室の判断は認証タグのみで行うが, 入退室状況の確認は認証タグとオブジェクトタ グの二種類が必要である. 次節からその仕様と構成について詳しく解説する.

(44)

4.1 システムの概要

(45)

4.2 システムの仕様と構成

4.2

システムの仕様と構成

本システムで使用した機器の使用と構成について解説する.

4.2.1

開発環境

本システムの実装のために利用したプログラム開発環境を表4.1に示す. 表4.1 開発環境

OS Microsoft Windows XP Professional RFID R/W ドライバ (SDK) SHARP RFID RZ-1TR4 SDK Ver1.4

プログラム言語 Microsoft Visual Basic .NET 2003

4.2.2

使用する

RFID

タグ

本システムでは, 日本アールエフソリューション株式会社の製造する RFID タグである インテリタグの中から薄型モールドタグを使用する. この外観を図4.2, 図4.3に, 仕様を表

4.2に示す.

(46)

4.2 システムの仕様と構成 図4.3 薄型モールドタグ 横 表4.2 薄型モールドタグ仕様 型番 RZ3TG1 使用周波数 2.45GHz (中心周波数) 方式 バッテリーレス, パッシブ型 メモリ容量 最大128 byte (ユーザ使用可能エリアは110 byte) 書き換え回数 10万回以上 読み取り距離 約80cm 書き込み距離 約55cm 通信速度 30-40Kbps 複数タグ読み取り 衝突防止有り 通信誤り補正 16 bit CRC サイズ 57×7.8×3.5mm 重量 約1.6グラム タグアンテナの偏波 直線偏波 防水性 JIS C0920 保護等級 7

(47)

4.2 システムの仕様と構成

4.2.3

使用するアンテナ

本システムで利用するアンテナは日本アールエフソリューション株式会社の製造する2素 子直線偏波アンテナである. このアンテナの外観を図4.4, 図4.5に, 仕様を表4.3に示す 図4.4 2素子直線偏波アンテナ(表) 図4.5 2素子直線偏波アンテナ(裏)

(48)

4.2 システムの仕様と構成 表4.3 2素子直線偏波アンテナ 仕様 アンテナタイプ マイクロストリップタイプ アンテナ素子数 2 使用周波数 2,472MHz ∼2,470MHz 適合標準規格 RCR STD-1 偏波面 直線偏波 インピーダンス 50ω CSWR 1.5以下(使用周波数帯内において) 利得 11dBi以上 インターフェース N型コネクタ (ジャックタイプ) ケーブル長 20cm 使用温度 -20℃ ∼ +60℃ 保存温度 -40℃ ∼ +70℃ 使用/保存温度 10% ∼ 95% (相対温度, 結露無きこと) 外形寸法(突起部除く) 約210×130×35 質量 約550グラム

(49)

4.2 システムの仕様と構成

4.2.4

使用する

RFID R/W

本システムで使用するRFID R/Wは日本アールエフソリューション株式会社の製造する 4ポートロングレンジ・リーダライタである. このR/Wの外観を図4.6, 図4.7に, 仕様を 表4.4に示す. 図4.6 4ポートロングレンジ・リーダライタ(表) 図4.7 4ポートロングレンジ・リーダライタ(裏)

(50)

4.2 システムの仕様と構成 表4.4 4ポートロングレンジ・リーダライタ 仕様 型番 RZ-1TR4 概要 2.4GHz帯域を使用する固定型RFID装置 使用周波数帯域 2,427MHz ∼2,470.75MHz 適合規格 RCR STD-1 インターフェイス RS-232C 動作温度 -20℃∼50℃ 保存温度 -40℃∼70℃ 動作及び保存湿度 10%∼95%(相対湿度, 結露なきこと) アンテナ端子 4ポート 読み取り速度 12 msec/8 byte 書き込み速度 25 msec/1 byte 寸法 約13.5cm ×19.5cm ×6.7cm 質量 約1.2キログラム

(51)

4.2 システムの仕様と構成

4.2.5

アプリケーションサーバ

アプリケーションサーバは R/W, アンテナを接続している PC であり, Visual Basic .NET 2003 によって記述されたプログラムによって制御される. 統合規格監理ネットワー ク内の構成では統合規格監理システムと RFIDアプリケーション, および管理サーバの機 能を併せ持っている. 入退室判断用と入退室状況確認用の二種類が設置されるが, 両者とも RFIDタグの読み取り方法は同じであり, RFID タグからデータを受け取るとXMLファイ ルを生成し, 決められた処理を行う. 結果の出力はアプリケーションサーバに接続するディ スプレイで行う.

4.2.6

監理データベース

データベースサーバは入退室判断アプリケーションサーバと入退室状況確認アプリケー ションサーバと同じローカルネットワーク内に設置され, 二つのアプリケーションのデータ を同期させて管理する. データベースには登録されているユーザの情報が格納されている.

OSはFedora Core 5を利用し,データベースはMySQL 5.0.27がインストールされている. これに格納するデータフィールド構造を表4.5に示す.

4.2.7

認証タグ

認証タグは提案するRFIDネットワーク統合規格に従って記述されたRFIDタグである. 使用するタグは薄型モールドタグである. 認証タグには登録しているユーザIDと入退室状 況確認用アプリケーションの確認画面へログインするための確認パスワードの前半部分の二 つの情報が記述されている. ユーザ一人に対して一個が割り当てられる.

4.2.8

オブジェクトタグ

オブジェクトタグはRFIDネットワーク統合規格に従って記述されたRFIDタグである. 使用するタグは薄型モールドタグである. オブジェクトタグには取り付けられたオブジェク

(52)

4.2 システムの仕様と構成 表4.5 データベースフィールドの構造 フィールド名 備考 ID 登録ユーザの識別ID OBJECT ユーザが管理するオブジェクトタグのID GARDE ユーザの学年 NAME ユーザの名前 GROUP ユーザの研究グループ TIME ユーザの入退室時間 INOUT ユーザの入退室状況 PASSWORD オーダー認証時のパスワード トの管理者を示すオブジェクトIDと入退室状況確認用アプリケーションの確認画面へログ インするための確認パスワードの後半部分の二つの情報が記述されている. ユーザは複数の オブジェクトタグを管理することが可能であり, ユーザが管理するオブジェクトに貼り付け られる.

4.2.9

プログラム

Microsoft Visual Basic .NET 2003で作成されたプログラムはアプリケーションサーバ で動作する. このプログラムの役割を以下に示す. アンテナ, R/Wを制御する アプリケーションの処理結果を出力する 認証タグ, オブジェクトタグを認識する データベースサーバに接続する データベースの情報を更新する データベースから情報を取り出す

(53)

4.3 動作 ユーザの確認を行う • XMLファイルの生成, 破棄 • XMlファイルの構文解釈 動作の詳細について次節より解説する.

4.3

動作

入退室管理システムの動作について, ユーザとプログラムの動作を併せて解説する.

4.3.1

基本動作

システムを構成するアプリケーションの基本動作について解説する. 入退室判断アプリケーション 入退室判断アプリケーションはユーザの部屋への入退室を判断するアプリケーショ ンである. このアプリケーションの基本構成を図 4.8 に示す. アプリケーションサー バが制 御 する ア ンテ ナ に RFID タグ を 持ったユ ー ザが 近 づく と, R/W は RFID タグ を 認 識 し 記 述 さ れ て い る デ ー タ を 取 得 す る. 取 得 さ れ た デ ー タ か ら XML ファイ ル を生成し, XML の文書構造を確認することで認識した RFID タグが認証タグである こ と を 判 断 す る. 文 書 構 造 が 認 証 タ グ を 認 識 し た と き に 生 成 さ れ る XML ファイ ル と 異 な る も の で あ れ ば 認 証 タ グ で あ る と は 判 断 さ れ な い. 生 成 さ れ た XML ファイ ル か ら 構 文 解 釈 に よ り 記 述 さ れ て い る ユ ー ザ ID を 抽 出 し デ ー タ ベ ー ス サ ー バ に 接 続, 抽 出 し た ユ ー ザ ID を 持 つ ユ ー ザ の 入 退 室 状 況 と 入 退 室 時 間 を 更 新 し, ア ク チュ エータにユーザの名前, 学年, 島村研究室での研究グループ, 現在の入退室状況を表示 する. この表示は次のユーザのRFIDタグを認識すると上書きされて新たに結果を表示する.

(54)

4.3 動作 図4.8 入退室判断アプリケーションの構成 入退室状況確認アプリケーション 入退室状況確認アプリケーションはユーザが登録されているユーザ全体の入退室状況を確 認するためのアプリケーションである. また, このアプリケーションの基本構成を図4.9に 示す. アプリケーションサーバが制御するアンテナにRFID タグを持ったユーザが近づく と, R/WはRFIDタグを認識し記述されているデータを取得する. 取得されたデータから XMLファイルを生成し, XMLの文書構造を確認することで認識したRFIDタグが認証タ グであることを判断する. 文書構造が認証タグを認識したときに生成されるXMLファイル と異なるものであれば認証タグであるとは判断されない. 生成されたXMLファイルから構 文解釈により記述されているユーザIDを抽出しデータベースサーバに接続, 抽出したユー ザIDを持つユーザの名前をアクチュエータに表示する. その後, ユーザの認証を行い, 認証 タグを持っているユーザが管理者本人であると確認されれば入退室状況を確認できる. 確認 が終了すると生成されたXMLファイルは消去される.

4.3.2

RFID

タグの認識条件

ユーザがRFIDタグを認識させるときの動作について解説する. RFIDタグは以下のユー ザの動作によって認識される.

(55)

4.3 動作 図4.9 入退室状況確認アプリケーションの構成 ユーザがRFIDタグをアンテナに向けて正面で停止する ユーザがRFIDタグをアンテナに向けて正面を通過する ユーザがRFIDタグをアンテナに接触させる このとき, RFIDタグはアンテナと同じ面積の平面空間内で, なおかつアンテナの正面か ら約80cm以内の空間に存在していなければならない. また, RFIDタグを認識した直後, こ の空間内から認識したRFIDタグが離れない限り次のRFIDタグが認識されることはない. RFIDタグの複数読み取りも拒否する.

4.3.3

機能の詳細

入退室判断アプリケーションの動作には認証タグから取得したユーザIDのみを利用して ユーザの登録情報と照合し, 入退室情報の取得と更新, および表示のみを行う. そのため入 退室判断アプリケーションのみを利用するのであれば, 認証タグにはユーザ ID情報のみが 記述されていればよい. ユーザの入退室判断時の表示画面を図4.10に示す. しかし, 複数の データを記述できる統合規格で記述されている認証タグは入退室状況確認アプリケーション にてユーザID以外の情報を利用して動作することが可能である. そこで機能の詳細につい ては入退室状況確認アプリケーションを中心に解説を行う. 入退室状況確認アプリケーショ .

(56)

4.3 動作 図4.10 入退室判断アプリケーション 表示画面 1. RFID R/WはRFIDタグを認識する 2. アプリケーションサーバはユーザの登録と認証を行う 3. 監理データベースは登録された入退室状況を確認し, アプリケーションサーバにデータ を送信する 4. アクチュエータは結果を表示する 5. アプリケーションを終了する この手順内において1.と2.の動作を複数パターン用意し, 今回のRFIDタグアプリケー ションの有用性を実証する. このアプリケーションで利用している認証タグとオブジェクト タグには管理者であるユーザを示すIDとパスワードの二種類の情報が記述されていること はすでに解説したが, これにXMLファイルを利用する統合規格監理システムの特長を組み 合わせたユーザの認証方法を二通り提案する. 以下に二つの方法の解説を行う. パスワード認証法 パスワード認証はRFIDタグによって生成されるパスワードを利用する認証方法である. パスワード認証法のユーザによる動作手順を以下に示す.

(57)

4.3 動作 1. ユーザは認証タグを認識させ, ユーザの登録を行う 2. ユーザはオブジェクトタグを認識させる 3. ユーザはパスワードを入力する 4. ユーザは入退室状況を確認する 1.の動作について, 認証タグを認識させるとユーザIDとパスワードが記述されたXML ファイルが生成される. ユーザID はユーザの登録に利用される. ユーザの登録が完了する と, アプリケーションは2.の動作であるオブジェクトタグの認識を要求する. このときの表 示画面を図4.11に示す. 図4.11 パスワード認証 表示画面1 2.の動作について, オブジェクトタグを認識させると認識させたRFIDタグがオブジェク トタグであること,オブジェクトタグの管理者が登録したユーザと同一であることを確認し, オブジェクトタグに記述されているパスワードをXMLファイルに上書きする形で認証タグ に記述されていたパスワードと結合させ一つの新たなパスワードを生成する. このときの表 示画面を図4.12に示す. 3.の動作について, ユーザにパスワードの入力を求め, 入力された文字列が生成されたパ スワードと一致すれば4.の動作の入退室状況の確認を行うことが出来る. このときの表示

図 1.1 パッシブ型 RFID タグ
表 1.1 EPC Global の RFID タグ Class
図 2.1 レベル 0 RFID タグデータ領域
図 4.1 入退室管理システム
+2

参照

関連したドキュメント

それゆえ︑規則制定手続を継続するためには︑委員会は︑今

The STOP starts the internal Write cycle, and while this operation is in progress (t WR ), the SDA output is tri−stated and the Slave does not acknowledge the Master (Figure 10)..

地域の名称 文章形式の表現 卓越もしくは変化前 断続現象 変化後 地域 風向 風向(数値) 風速 風力 起時

In this diagram, there are the following objects: myFrame of the Frame class, myVal of the Validator class, factory of the VerifierFactory class, out of the PrintStream class,

次に我々の結果を述べるために Kronheimer の ALE gravitational instanton の構成 [Kronheimer] を復習する。なお,これ以降の section では dual space に induce され

12) 邦訳は、以下の2冊を参照させていただいた。アンドレ・ブルトン『通底器』豊崎光一訳、

This is done by starting a Byte Write sequence, whereby the Master creates a START condition, then broadcasts a Slave address with the R/W bit set to ‘0’ and then sends two

(2) 交差軸(2軸が交わる)で使用する歯車 g) すぐ歯かさ歯車.