平成24年度地球環境国際連携事業
(CCS国際連携事業
(CCS市場開拓のための調査)
)
報告書
平成
25 年 3 月
株式会社NTTデータ経営研究所
目 次
第1章
CCS に関する国際動向調査 ... 4
1-1. 各国等における CCS 関連動向 ... 5
1-1-1. EU ... 5
1-1-2. ノルウェー ... 13
1-1-3. 英国 ... 23
1-1-4. オランダ... 32
1-1-5. 米国 ... 40
1-1-6. カナダ ... 47
1-1-7. オーストラリア ... 53
1-2. 国別 CCS プロジェクト ... 61
1-2-1. ノルウェー ... 61
1-2-2. 英国 ... 87
1-2-3. オランダ... 121
1-2-4. 米国 ... 140
1-2-5. カナダ ... 268
1-2-6. オーストラリア ... 303
第2章 2020年頃のCCS市場に関する調査 ... 330
2-1. 2020年頃の CCS 市場 ... 331
2-1-1. 温室効果ガス削減に寄与する各要素技術... 331
2-2. CCS のマーケットの整理 ... 332
2-2-1. CCS のマーケットタイプ ... 332
2-2-2. CCS のマーケットの主たる参入企業... 333
2-2-3. ビジネススキームの概観... 334
2-2-4. CCS のコスト構成 ... 336
2-2-5. 分離・回収プロセスのマーケット動向 ... 336
2-3. 2020年頃の CCS 市場へのアプローチ方法 ... 340
2-3-1. CCS プロジェクトの現状と見込み ... 340
2-3-2. シェールガス開発の影響... 342
2-3-3. 排出権購入価格 ... 345
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1-1. 各国等における CCS 関連動向
1-1-1. EU
1-1-1-1.CCS 関連制度 EU は、安全な CO2 地中貯留のための法的枠組みとして、CO2 地中貯留に関する指令(CCS 指令)を発行している。これは、2008 年に EU 議会が決定した気候変動・エネルギー政策 パッケージにおいて示されたものである。CO2 地中貯留に関する指令( CCS 指令:Directive 2009/31/EC of the European Parliament and of the Council of 23 April 2009 on the geological storage of carbon dioxide)は気候変動対策のための CO2 地中貯留を環境面で安全に実施するための法的枠組 みを示すものである。2009 年 6 月に施行され、EU 各国における国内法化の期限は 2011 年6 月 25 日となっている。この指令は EU 内における全ての CO2 地中貯留に対して適用 されるものであり、貯留サイトにおける全ての活動期間中における要求事項を規定するも のである。CCS の回収及び輸送に関する規制については、既存の法的枠組みを用いている。 主な内容は、以下のとおりとなっている。 ・リーケージの重大なリスク健康及び環境への重大な影響がないことの明確化 CCS 指令はプロジェクトの完全性を確かなものとするために極めて重要な段階であるサ イト選定について、幅広い要求事項を規定している。事前の分析により、使用状況下でリ ーケージに関する重大なリスクがなく、人々の健康又は環境面への影響がないことが明ら かなことが示された場合にのみ、そのサイトを選定することが可能となる。また、貯留許 可なしに、CO2 の地中貯留を行うことはできない。 ・輸送ネットワーク又は貯留サイトへのあらゆる悪影響の防止 輸送ネットワーク又は貯留サイトの安全性へのあらゆる悪影響を防止するため、CO2 流の 構成は大部分がCO2 でなければならない。サイトのオペレーションは厳密にモニタリング し、リーケージが生じた場合には是正処置を行わなければならない。 また、本指令では閉鎖及び閉鎖後の義務に関する条項、及びオペレーターから加盟各国へ の法的責任の移管に関する基準についても規定している。 さらに、圧入開始前に財政的保証能力の確認を行うこと等も規定している。 ・既存の法的枠組みの利用及び改正等 あらゆるリーケージに対する法的責任の観点から、排出権取引システムではリーケージに
6 よるあらゆる排出量について、アローワンスを返却することを規定している。環境に対す る局所的な損傷に対する法的責任については、既存の環境に関する法的責任に関する指令 を引用している。また、健康及び財産への損傷に対する法的責任については、各国レベル で規制することとなっている。 さらに、大規模燃焼プラントに関する指令(2001/80/EC)の改正が行われ、大規模プラ ントに対してキャプチャーレディネスのアセスメントを行うことが規定された。 ETS 指令の AnnexⅠにおいて CCS を含むことが明文化され、CCS 指令により回収・輸 送・貯留された温室効果ガスは排出されていないとみなされることとなった。 ・CCS 指令の国内法化支援 EU 加盟各国における CCS 指令の国内法化を支援するため、2011 年 3 月 11 日に欧州委 員会は以下の4 つのガイダンス文書を発行している。 ガイダンス文書1:CO2 貯留のライフサイクルリスクマネジメントの枠組み ガイダンス文書2:貯留コンプレックスの特性評価、CO2 流の構成、モニタリング及び是 正処置 ガイダンス文書3:規制当局への法的責任の移管に関する基準 ガイダンス文書4:財政的保証能力及び資金メカニズム 1-1-1-2.CCS 関連政策等の動向 (1)概要 京都議定書において、2004 年以前から EU の加盟国であった 15 カ国は、第一約束期間 (2008~2012 年)中に、それぞれの国における温室効果ガス排出量の合計を 1990 年比 8% 削減することを制約している。温室効果ガス排出量モニタリング及び予測では、これらの 15 カ国は目標の達成に向けて順調に進んでいる。2004 年以降に EU に加盟した国の大半も、 京都議定書の削減目標として6%又は 8%の達成に参加しており、達成に向けて順調に進ん でいる。 2020 年に向けて、EU は温室効果ガス排出量を 1990 年比 20%削減とする目標を公表し ている。この誓約は、欧州2020 年経済成長戦略における重要な目標の 1 つであり、政策パ ッケージに伴う法令によって実施されている。また、EU はもし他の先進国及び途上国で温 室効果ガス排出量の多い主要な国々が温室効果ガス排出削減において、公平な負担を担う ことを誓約する場合には、2020 年までに 30%まで削減する提案をしている。 2050 年に向け、EU の主要各国は、途上国における温室効果ガス排出量を同程度削減する ことにより、欧州の温室効果ガス排出量を1990 年比 80~95%まで削減する目標を支持し ており、EU はそのために必要な内容について、2011 年 3 月 8 日にロードマップ“A Roadmap
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for moving to a competitive low carbon economy in 2050”を発表している。
(2)EU の温室効果ガス排出削減の取組み
EU は、温室効果ガスの排出量を削減するため、主に以下の取組みを行っている。 -欧州気候変動プログラム(The European Climate Change Programme (ECCP)):多
数の新たな政策及び手段を実施するためのプログラム -EU 排出量取引システム -再生可能エネルギー(風力、太陽光及びバイオマス等)のシェアを2020 年までに 20% まで上昇させるための法令の施行 -建築物及び多様な設備、家電のエネルギー効率の改善によって、欧州のエネルギー効 率を2020 年までに 20%まで改善するための目標の設定 -新車及びトラックから排出されるCO2 を削減するための拘束力を持つ目標の設定 -発電所及びその他の主要な工業施設から排出される CO2 を回収し貯留するための CCS 技術の開発支援
(3)欧州気候変動プログラムEuropean Climate Change Programme (ECCP)
欧州委員会は2000 年 6 月に欧州における温室効果ガス排出削減のための政策手段を立案 するための総合的な基盤として、欧州気候変動プログラム European Climate Change Programme (ECCP)を組織した。ECCP は、京都議定書における削減約束を実施するため の EU の戦略において必要な要素を特定し、発展させることを目的としており、欧州委員 会、加盟各国の代表、産業界及び環境団体等がメンバーとなっている。 2000~2004 年に実施された第 1 フェーズでは、最も環境面で有効でかつ最もコスト効果 の高い政策及び手段を特定するため、11 のワーキンググループが設立され、関連団体や利 害関係者等が検討を行った。 2005 年 10 月から始まった第 2 フェーズでは、EU の経済成長と雇用のためのリスボン戦 略とのシナジーを図り、温室効果ガス排出削減においてさらにコスト効率の良い選択肢に ついて検討を行った。そこで、新たなワーキンググループとして、CCS、軽自動車からの CO2 排出等のグループが創設された。 CCS に関するワーキンググループでは、CCS を気候変動の緩和オプションとするために、 以下の内容について検討した。 -CCS のポテンシャル、経済性及びリスクのレビュー -環境面で健全なCCS を行うための法的枠組みを構築するために必要な構成要素の検討 -環境面で健全なCCS を実現させるために必要な政策及び障壁の特定 等 利害関係者のコンサルテーションは2006 年前半に 4 回開催され、同年 6 月にレポートが まとめられた。また、政策及び規制枠組みについて、リスク及び環境影響評価、CCS 活動 の許可、短期及び長期的な信頼性、EU ETS を含む CCS のインセンティブ等について検討
8 が行われた。 (4)気候変動・エネルギー政策パッケージ 気候変動・エネルギー政策パッケージはEU が 2020 年における野心的な気候及びエネル ギー目標を達成するための拘束力を持つ規制であり、2008 年 1 月 23 日に欧州委員会が提 案し、同年12 月 17 日に欧州議会に承認され、2009 年 4 月 6 日に EU 閣僚理事会で採択さ れた。この目標とは、2020 年までの 3 つの主要な目標であり、"20-20-20"目標と呼ばれて いる。その内容は、以下のとおりとなっている。 ・EU の温室効果ガス排出量を 1990 年比で 20%削減する。 ・EU のエネルギー生産の 20%を再生可能エネルギーにする。 ・EU のエネルギー効率を 20%改善する 気候変動・エネルギー政策パッケージは、“20-20-20”目標を達成するための以下 4 つの 相補的な法律によって構成されている。 EU 排出量取引システム(EU ETS)の改正 EU ETS は工業的な温室効果ガス排出を最もコスト効率よく削減するための主要な手段 である。気候・政策パッケージでは、EU ETS のベースとなる排出量取引指令を総合的に 改正し強化する内容となっている。この改正は、2013 年から始まる EU ETS 第 3 フェーズ から適用される。主な変更点は、既存の国別のキャップシステムから、欧州全体での排出 枠に上限を設定する形へと変えるものである。この上限を毎年引き下げることにより、2020 年には2005 年レベルを 21%下回ることとなる計画である。 排出枠の割り当てはこれまで原則無償であったが、発電部門から、オークション式に切り 替える。このシステムの対象となる部門及びガスは次第に拡大する。 EU ETS 対象外の部門からの温室効果ガス排出に対する国別目標 加盟各国は民生、農業、廃棄物及び輸送(航空業界除く)等の、EU ETS の対象外の分野 からの温室効果ガス排出量に対して拘束力を持つ年間削減目標を設定する。EU における温 室効果ガス排出量のおよそ60%が、EU ETS の対象外となっている。2013~2020 年にお ける国家目標は各国の財力によって異なり、最も財力のある国々は 2005 年比 20%の削減 となる一方、最も財力が弱い国々は20%増となる。加盟各国は EU モニタリングメカニズ ムに基づいて、毎年の温室効果ガス排出量を報告しなければならない。 国別再生可能エネルギー目標 再生可能エネルギー指令に基づき、加盟各国は2020 年までに、自国のエネルギー消費に おける再生可能エネルギーのシェア向上に関する拘束力のある国別目標を導入する。これ らの目標は各国におけるスタート地点の違いや再生可能エネルギーのポテンシャル等を考
9 慮し、マルタの10%~スウェーデンの 49%までの幅がある。国別目標の達成により、EU の2020 年までに再生可能エネルギー目標である 20%導入を達成することが可能となる。 炭素回収・貯留 気候変動・政策パッケージの4 つ目の構成要素は炭素回収・貯留(CCS)技術を環境面で 安全に活用するための法的枠組みを構築するものである。この指令は EU における全ての CO2 地下貯留をカバーするとともに貯留サイトにおける全ての CCS 実施期間中に適用さ れる要求事項を規定するものである。 1-1-1-3.CCS 関連研究開発・助成等制度 EU は将来的な持続可能なエネルギーシステムにおいて CCS は重要な構成要素であると 考えており、およそ20 年間に及ぶ研究・開発実績から、当該分野のグローバルリーダーと なっている。 CCS に関する最初の研究イニシアティブは、科学領域の研究開発活動を支援するための EU における主要な資金支援制度である枠組みプログラムにおける、1990~1994 年に実施 された第3 次枠組みプログラム(Third Framework Programme (FP3))である。その後の 枠組みプログラムにおいて、CCS に関連するプロジェクトは年々増えており、現在第 7 次 枠組みプログラム(2007~2013 年)が行われている。 2007 年 3 月に欧州委員会において、2015 年までに 12 の CCS 実証プロジェクトの建設・ オペレーションを促進させる提言がなされた。これらの実証プロジェクトの成功が、商業 規模のCCS を広範に展開していくためには極めて重要であるとされている。 これに対応して、EU は欧州 CCS 実証プロジェクトネットワーク(European CCS Demonstration Project Network)及び欧州 CCS 産業イニシアティブ(European Industrial Initiative on CCS)を設立し、CO2 貯留における法的枠組みの構築及び最大 12 の実証プロ ジェクトに対するEU からの資金支援を行うこととしている。 EU における CCS に関連する主な研究開発・助成制度等は以下のとおりとなっている。 枠組みプログラム(Framework Programme) 枠組みプログラムは、EU における科学分野の研究開発を支援する制度であり、1984 年に 開始された。1 期は通常 5 年間となっており、現在第 7 次枠組みプログラム(FP7)(2007 ~2013 年)が実施されている。(第 7 次枠組みプログラムは 7 年間のプログラムとなって いる。)制度開始時点から、予算は年々増加しており、FP7 の予算総額は 532 億ユーロとな っている。以下に主なCCS 関連プロジェクト等を示す。
10 ・第5 次/第 6 次枠組みプログラム(第 5 次:1998~2002 年、第 6 次:2002~2006 年) -CCS 関連プロジェクトの予算総額は FP5 が 3,200 万ユーロ(うち、EU からの拠出は 1600 万ユーロ)、FP6 が 1.4 億ユーロ(うち、EU からの拠出は 7,000 万ユーロ)とな っている。 -DYNAMIS プログラムの第 1 フェーズとして Hypogen を実施。 -加盟各国による共同事業として、ERA-NET (FENCO)を実施。 -2005 年 4 月、第 1 回欧州 CO2 回収貯留ハイレベル会合を開催。。 -2006 年 12 月にゼロエミッション化石燃料発電プラントに関する欧州技術プラットフォ ーム(European Technology Platform on Zero Emission Fossil Fuel Power Plants (ZEFFPP))を設立。 → 電力企業、エネルギー企業、設備関連企業、研究機関、規制当局、EGO 等 25 の会 員が参加しており、回収、貯留、インフラ、マーケット及び規制、コミュニケーショ ン及び住民受容の5 つのワーキンググループが活動している。第 7 次枠組みプログラ ムにおいて、一次提案を受け付けている。 -EU-中国パートナーシップを支援するため、COACH プロジェクトを実施。 ・第7 次枠組みプログラム(2007~2013 年) CCS/CCT に関連するプロジェクトに対して、およそ 5400 万ユーロの予算が計上されて いる。ゼロエミッション発電のためのCO2 回収・貯留技術に関するプロジェクト及びクリ ーンコール技術開発の支援を展開しており、主な対象分野は以下の通りとなっている。 ・先進的回収技術 ・輸送インフラ ・深部塩性帯水層の検証 ・貯留の安全性 ・住民受容 ・IGCC 発電プラントにおけるガスタービン、酸素燃焼、流動床燃焼 ・CCS 実証プラントにおける実現可能性/エンジニアリング研究 ・微粉炭発電プラントの効率改善 ・CCS に係る法規制の支援 ・CO2 及び他の温室効果ガスのバリューチェーンの開発
復興に向けた欧州エネルギープログラム(EU Energy Programme for Recovery (EEPR))
2009 年 7 月、欧州委員会は欧州経済復興計画(European Economic Recovery Plan)の 一環として、欧州の経済復興を加速させるとともに、エネルギー供給の信頼性をより強化 し、温室効果ガス排出量削減に貢献するようなプロジェクトを支援するため、復興に向け
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た欧州エネルギープログラム(EU Energy Programme for Recovery (EEPR))を採択した。 このプログラムの予算は39.8 億ユーロであり、共同出資型のプロジェクトとして 59 のプ ロジェクトが採択されている。 プロジェクトの対象分野は天然ガス及び電力インフラ事業、洋上風力発電事業、CCS 事 業の3 分野であり、で天然ガス及びインフラ事業:44 プロジェクト、洋上風力発電事業:9 プロジェクト、CCS 事業:6 プロジェクトが採択されている。CCS 事業の予算は合計 10.5 億ユーロとなっている。 採択されたCCS プロジェクトは次の通りである。 ① Belchatow(ポーランド):新設される出力 858MW の褐炭超臨界発電プラントから 排出されるCO2 の約 33%を燃焼後回収する。回収した CO2 は圧縮した後パイプライン 輸送され、地下の塩性帯水層に貯留される。年間180 万トンの CO2 を貯留予定。事業 予算総額はおよそ3.67 億ユーロであり、EEPR からの資金は 1.8 憶ユーロ、プロジェク トパートナー(PGE Górnictwo i Energetyka Konwencjonalna)からの資金は 1.87 億ユ ーロとなっている。
② Compostilla(スペイン):初期段階では 30MW の石炭火力パイロットプラントにお いて試験を行い、その後グロス出力323 MWe にスケールアップし、関連技術の実証を 行う。排出されるCO2 の 91%を回収し、近郊の塩性帯水層に貯留する。オペレーショ ン開始後5 年間で 500 万トンの CO2 を貯留予定。事業予算総額はおよそ 2.25 億ユーロ であり、EEPR からの資金は 1.8 憶ユーロ、プロジェクトパートナー(Endesa Generacion 等)からの資金は 4500 万ユーロとなっている。
③ Don Valley(イギリス):出力900MW(ネット 650MW)の IGCC プラントを新設し、 CO2 を燃焼前回収する。CO2 は圧縮した後パイプラインで北海のイギリス側まで輸送さ れ、EOR に用いられるか、深部塩性帯水層に永久貯留される。年間最大 500 万トンの CO2 を貯留予定となっている。事業予算総額はおよそ 2.45 億ユーロであり、EEPR か らの資金は1.8 憶ユーロ、プロジェクトパートナー(2Co Energy 等)からの資金は 6500 万ユーロとなっている。 ④ Jaenschwalde(ドイツ):300MW の酸素燃焼実証プラントから CO2 を燃焼後回収 し、回収技術の試験を行う。回収したCO2 は塩性帯水層又は枯渇天然ガス田に永久貯留 される。年間120 万トンの CO2 を回収予定となっている。2012 年 9 月時点で CCS 指 令の国内法化が遅れているため、プロジェクトも遅延している。現在回収プラント、輸 送ルートにおけるFEED が行われている。事業予算総額はおよそ 3.05 億ユーロであり、 EEPR からの資金は 1.8 憶ユーロ、プロジェクトパートナー(Vattenfall)からの資金は 1.25 億ユーロとなっている。
⑤ Porto Tolle(イタリア):250MW のプラントから CO2 を燃焼後回収する。石炭とバ イオマス(熱量の最大5%まで混入)を混焼した燃焼排ガスの処理技術の実証事業。CO2 回収率は90%超となる見込みである。回収された CO2 は沖合の海底下塩性帯水層まで
12 輸送され、圧入される。年間 100 万トンの CO2 を回収・貯留予定。事業予算総額はお よそ1.43 億ユーロであり、EEPR からの資金は 1 憶ユーロ、プロジェクトパートナー (ENEL)からの資金は 4300 万ユーロとなっている。 ⑥ ROAD(オランダ):1070MW の石炭火力発電施設から 250MW の燃焼後回収技術に よりCO2 を回収し、圧縮した後輸送し、塩性帯水層又は枯渇油田・枯渇ガス田に永久貯 留する。排出されるCO2 の 90%を回収する。年間 110 万トンの CO2 を回収・貯留予定。 事業予算総額はおよそ3.89 億ユーロであり、EEPR からの資金は 1 憶ユーロ、プロジェ クトパートナー(Maasvlakte CCS Project C.V.)及び他の補助金から 2.09 億ユーロが 拠出される予定となっている。 全てのプロジェクトにおいて、EEPR からの支援は 2015~2018 年の間に終了する予定 となっている。なお、EEPR 規則により、プロジェクトから得られた知見は全て、CCS project network (http://www.ccsnetwork.eu)において共有されることとなっている。 NER300
EU の排出権取引指令において、新規参入施設枠(NER: new entrance reserve)から 3 億 の排出枠(EUAs)を取り置き、革新的な再生可能エネルギー技術及び CCS の導入に対す る助成金とすることが規定されている。排出枠は炭素市場において売却され、その売却収 入の一部がNER300 の財源となる。欧州委員会、欧州投資銀行(EIB)及び加盟国がその 資金を共同管理している。NER300 では、プロジェクト費用の最大 50%までを拠出するこ ととなっている。 NER300 は 2 回の提案募集を行う予定であり、第 1 期では 3 億の排出枠のうち 2 億相当 を、第2 期では 1 億相当を充当する予定となっている。資金総額は排出枠の売却価格によ り変動し、第1 期の排出枠は 2012 年 10 月に売却された結果、12 億ユーロが拠出されるこ ととなった。 第1 期の提案募集では、3 件の CCS 実証プロジェクト及び最大 16 件の革新的再生可能エ ネルギー実証プロジェクトに対して共同出資を行う計画であり、2010 年 11 月に提案募集 が開始された。2012 年 12 月 18 日の発表では、今回補助の対象となる CCS プロジェクト はなく、革新的な再生可能エネルギー技術実証プロジェクトが選定された。このため、今 回のCCS プロジェクトへの割り当てである 2.75 億ユーロは、第 2 期の提案募集へと持ち 越されることとなっている。第2 期の提案募集は 2013 年に開始予定となっている。
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1-1-2. ノルウェー
1-1-2-1.CCS 関連政策・制度
ノルウェーでは、現時点で CCS に特化した法規制は導入されておらず、関連する他の規 制によって規制されている。
なお、Sliepner、Snøhvit プロジェクトは Norwegian Act Pertaining to Petroleum Activities 及び the Pollution Control Act によって規制されている。
CCS に関連する法規制として以下がある。
The Pollution Control Act
The Pollution Control Act によって、許認可の申請及び取り消し、主務省庁の責任権限、 監視、情報提供義務、サイトの閉鎖、オペレーションの停止及び法的責任に関する内容が カバーされている。 工業施設から排出されるCO2 は汚染物質とみなされ、CO2 を大量に排出する企業は排出 許可を得る必要がある。汚染管理当局は Mongstad において新設される天然ガス火力発電 プラントに対してCO2 排出を回避する条件を課しており、2014 年までに CCS を行うよう 要請している。 現時点では化石燃料企業におけるCO2 排出許可において、CO2 の回収及び貯留は義務付 けられていない。
Sleipner プロジェクトは the Norwegian Pollution Control Act によって許認可を受けて いるが、これはリーケージのリスクやCO2 貯留は“汚染”とみなされ、それに基づいて許 可が必要であるとされたためである。 Sleipner のケースでは、許可の申請に先立ち、沖合 の塩性帯水層におけるCO2 貯留に関する環境影響評価を行う必要があった。今後ノルウェ ーでは、CO2 貯留に特化した規制が必要であり、そこで規制当局による条件を付した許認 可システムやリーケージの調査、監視に関する責任等を規定する必要がある。パイプライ ンの建設及びオペレーション、永久貯留のための沖合の貯留層の探査、環境影響評価、モ ニタリング、パイプラインおよび貯留サイトへの第三者アクセスに係る内容は、現在検討 されているCCS に関する新たな規制である The Norwegian Continental Shelf Act によっ て規制される予定である。
The Petroleum Act
ノルウェー国家は全ての地下資源を所有しており、ノルウェーの領海における油層もノル ウェー国家の所有となっている。大陸棚における CCS は、EOR 目的及び永久貯留目的の いずれの場合でも石油事業の一部であるとみなされており、Petroleum Act の許認可制度に
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より規制される。このため、CCS が沖合における天然ガス精製事業又は EOR 事業におい て導入された場合には、Petroleum Act が適用される。しかし、陸域における CCS 活動に は適用されない。
The Norwegian Greenhouse Gas Emission Trading Act
ノルウェーはEU の排出権取引システム(ETS)に参加しており、EU-ETS 制度に基づく 規制である Norwegian Greenhouse Gas Emission Trading Act は発電施設、CO2 回収、 輸送及び貯留も対象としている。CCS を伴う発電施設において回収・貯留された CO2 は“排 出量”にはカウントされないこととなっているが、残りの排出量に相当する割当分を提示 する必要がある。また、回収、輸送及び貯留の際に生じるリーケージは排出量とみなされ る。
The Norwegian Continental Shelf Act
海底下の貯留層への CO2 輸送及び貯留に関する規制である Norwegian Continental Shelf Act の草案が検討されているが、2012 年 7 月時点で未だパブリックコンサルテーショ ンは行われていない。ノルウェー政府は今後半年~1 年の間に、資源管理、健康及び安全性、 及び労働環境に関する草案とCO2 貯留の環境面での安全性に関する草案の 2 つの草案につ いてパブリックコンサルテーションを行うことを計画している。
2005 年に英国とノルウェーは North Sea Basin Task Force (NSBTF)を設立しており、こ こでは北海の海底下におけるCO2 の輸送、圧入及び永久貯留を管理、規制するための共通 原則について検討を行っている。現在このタスクフォースには、英国、ノルウェー、オラ ンダ、ドイツの政府及び産業界が参加している。 ノルウェーはEU 加盟国ではないが、欧州経済領域協定(EEA Agreement)に参加して おり、EU の CCS 指令を国内法に導入することを表明した。これにより、2011 年に CCS 指令は国内法化されている。 1-1-2-2.CCS 関連政策等の動向 ノルウェーの気候政策は世界の平均気温の上昇を産業革命以前のレベルから2℃以内に抑 えるという目標をベースとしている。 京都議定書の第一約束期間中(2008~2012 年)は、以下の目標を示している。 京都議定書における温室効果ガス排出削減目標(1990 年比+1%)に 10%上乗せし、 1990 年比-9%とする。 ノルウェーの排出削減の大部分は国内の活動によって達成する。
15 さらに、政府は以下の長期目標を設定している。 温室効果ガス排出量を2020 年までに 1990 年比 30%削減する。 2050 年までにカーボンニュートラルを達成する。もし国際的に意欲的な気候に関す る合意が行われた場合には、2030 年までに達成することとする。 政府は現実的な目標として、森林吸収を含めて 1500~1700 万トン CO2 の排出削減を行 うことになると考えており、これは2020 年までにノルウェーにおける温室効果ガス排出量 をおよそ2/3 まで削減することを意味する。 ノルウェーの温室効果ガス排出量のうち、およそ 70%が排出権取引及び炭素税によって カバーされている(2009 年)。また、排出量取引システムの中に、硝酸の製造に伴う N2O 排出も含んでいる。ある種の温室効果ガス排出源については、排出量取引スキーム又は炭 素税によって捕捉することができないが、それらにちいては、政府は他の政策及び手段を 用いることとなる。 そのような政策及び手段の一例として、政府は新たな再生可能エネルギー開発及びエネル ギー効率改善プロジェクトへの支援を行っており、次のセクターについては、アクション プランを策定している:石油及びエネルギー、輸送、製造業、第一次産業、廃棄物管理、 民間部門。 また、地球温暖化の緩和手段として、ノルウェー政府は CCS の開発及び展開に注力して いる。既に北海のスライプナー油田及びバレンツ海のSnøhvit ガス田における CO2 貯留事 業から貴重な経験を得ているが、政府はさらに、産業界と協力してMongstad における CCS 事業を展開しており、これらの事業に対して資金支援を行っている。 ノルウェーでは持続可能性が全ての開発における基本原則となっている。2008 年予算に おいて発表された政府の持続可能な開発に関する戦略では、持続可能な開発は、均等配分、 国際的な連携、予防原則及び汚染者負担の原則及び共通のコミットメント原則に基づくも のでなければならないことを明らかにした。これらの主要な原則は「自然多様性法(Nature Diversity Act)」、「汚染防止法(Pollution Control Act)」にも示されている。
汚染者負担原則は気候変動に対する政策枠組みにおける要となっている。この政策によっ て大幅な排出削減の取組みを実現することにより、ノルウェー及び外国において温室効果 ガスの排出量を減少させることができる。 これらの目標を実現するため、石油セクターに対しては、次のような政策が示されている。 石油セクターは税金とアローワンスの両面から経済政策手段を強化させることが可能であ る。現在、ノルウェーが産出する天然ガスの40%近くが陸域から調達されるものであるが、 政府は沖合からの供給量を増加したいと考えている。このため、以下の政策を実施する。 -石油精製に伴って排出される温室効果ガスに対する炭素税の値上げ。(200NOK/ト ン:約27 ユーロ/トン)
16 -国内産業における技術開発の活性化 -新たな技術ファンドの創設:2016 年までに最大 33 億ユーロを拠出 2012 年 10 月には、政府は気候に関する合意事項をフォローアップするための 2012 年予 算について、以下の内容を発表している。 ノルウェー大陸棚沖合におけるオペレーションに対する炭素税を2013 年 1 月 1 日より増 加することにより100 億 NOK(約 13.5 億ユーロ)が追加的に新たな気候・エネルギーフ ァンドとして預託され、ノルウェー気候森林イニシアティブの割り当ては30 億 NOK に増 加される。 政府はノルウェー大陸棚における石油セクターへの炭素税を200NOK/tCO2(約 27 ユー ロ/約 36USD)まで引き上げる。これは CO2 に対する排出課徴金 およそ 410NOK/tCO2 とほぼ同等である。あわせて、水産業に対しても50NOK/tCO2 の炭素税の導入を検討して いる。 気候・エネルギーファンド 気候緩和、再生可能エネルギー及びエネルギー転換に対する新たなファンドを創設する。 これは再生可能エネルギー及びエネルギー効率ファンドを基にしたファンドである。政府 は2013 年にこのファンドに対して 100 億 NOK を投入することを予定している。 技術に焦点を当てる目的は、新たな技術を開発・実現することにより、温室効果ガス排出 量を削減し、継続的に省エネを行うためである。 気候研究 政府は気候に関連した研究を促進するために、2013 年に 4700 万 NOK を投入する予定 である。これらの資金は教育研究省(1300 万 NOK)、環境省(1000 万 NOK)、漁業沿岸 問題省(350 万 NOK)、農業食糧省(350 万 NOK)へと配分される。さらに、教育研究省 では現在の気候関連研究予算を1700 万 NOK に修正した。 国際的な気候に関する取組み 政府は外務省の2013 年予算をおよそ 30 億 NOK とすることにより、途上国における森林 破壊防止に対して出資を行う。ノルウェーは当該分野での取組みにより、ブラジルにおけ る大幅な排出量削減を達成しているほか、インドネシア、エチオピア、タンザニア等にお いて森林管理の改善を行っている。 ノルウェーはまた、途上国において化石燃料利用の代替として、水力、太陽光発電、風力 発電等の再生可能エネルギー資源の開発に重点を置いている。ノルウェーのクリーンエネ ルギー開発イニシアティブ及び国際的なエネルギー及び気候変動イニシアティブである Energy+は、気候変動及びエネルギー分野におけるノルウェーの政策の主要な構成要素とな
17 っている。 さらに、政府はカーボンオフセットのための排出権の購入予算として6.3 億 NOK を割り 当てている。(前年比1.5 億 NOK 増)。 1-1-2-3.CCS 関連研究開発・助成等制度 ノルウェーでは、ノルウェー研究評議会及びGassnova を通じて CCS に関連する研究開 発及び助成等を実施している。ノルウェーのCCS 関連研究開発の概要は下図のとおりとな っている。 図 1 ノルウェーにお C ける CS 関連研究開発の体系 (主な資金拠出省庁:石油エネルギー省/教育研究省)
ノルウェー研究評議会(The Research Council of Norway)
ノルウェー研究評議会はノルウェーの研究活動における国家的な戦略及び資金提供機関 であり、ノルウェー政府、中央行政、研究団体に対して研究政策の提言や提供を行ってい る。2011 年の予算総額は 72.5 億 NOK となっている。
Gassnova
Gassnova は 2007 年に設立された国営企業であり、CO2 マネジメント(CO2 回収、輸 送、圧入及び貯留)分野における政府所轄のものを管理するとともに、技術開発を支援す ることを主務としている。Gassnova は実証規模及びフルスケールでの技術革新、技術開発 及び実証事業を通じて、ノルウェーにおける環境にやさしいCCS を伴う天然ガス発電技術 を促進することを目的としている。
18 また、これらの機関を通じて、以下に示す各種のCCS 関連プロジェクトを展開し、ノル ウェーにおけるCCS 関連研究・開発の助成を行っている。 CLIMT CLIMT は CCS を伴う発電事業に関するプログラムであり、2005 年 1 月に設立された。 このプログラムはノルウェー研究評議会とGassnova によって共同管理されており、ノルウ ェー研究会議は研究プロジェクトを所轄し、Gassnova はプロトタイプ及び実証プロジェク トを所轄している。 このプログラムの目的は、研究、開発及び実証事業に対して資金支援をすることにより、 CCS の商業化を加速することである。CCS の商業化は 2020 年頃と計画されており、本プ ログラムではこの目標の達成を念頭に置いている。本プログラムの目標は以下の通りであ る。 -プログラムの優先分野における研究開発に対して長期的かつ広範な支援を行う。 -今後5 年以内における既知の技術のパイロット事業及び実証事業に貢献する。2015~ 2020 年に建設予定の初のフルスケール実証プラントはこの技術に基づくものとなる 計画である。 -2015 年以降にパイロット及び実証規模で支援される新たな先駆的技術の開発を促進 する。 -2015 年~2020 年以降に、新たな先駆的技術の商業化に貢献する。 2005 年の設立以来、およそ 200 のプロジェクトが実施されており、9 億 NOK(1.25 億ユ ーロ)が拠出されている。 Climit-R&D(研究開発事業)はノルウェー研究評議会が所轄しており、2012 年予算は 9000 万 NOK(1200 万ユーロ)となっている。一方、Climit-Demo は Gassnova が所轄し ており、毎年8200 万 NOK(1100 万ユーロ)が公的資金から拠出されている。
CLIMT における主なプログラムとして、以下がある。
燃焼後回収研究開発:Aker Clean Carbon と SINTEF が実施する研究開発プロジェク トであり、Tiller にパイロット施設を建設して実施された。アミンを用いた回収技術に おいて大幅なコスト削減が実現された。
CO2 回収テスト施設(Brevik の Norcem セメントプラント):セメント製造プロセス からCO2 を燃焼後回収するためのテスト施設の設計に関する予備的プロジェクトが実 施されている。事業はNorcem A/S、HeidelbergCement og ECRA (European Cement & Research Academy)が実施しており、2010~2011 年にかけて 1350 万 NOK が投入 された(CLIMT からの補助金は 50%)。CO2 回収技術には、Aker Clean Carbon のア ミン法及びAlstom の炭酸塩ルーピング、冷却アンモニア法等が検討されている。現在 第1 フェーズが終了し、CLIMNT に対して第 2 フェーズ(2012~2016 年)の申請を
19 行っている。 BIGCO2:SINTEF(ノルウェー産業科学技術研究所)が主導する国際的な研究プロジ ェクトであり、2007~2011 年に実施された。多数の研究機関と民間企業が共同で研究 を行っている。事業総額は1,600 万ユーロであり、およそ 75%がノルウェー研究評議 会及び CLIMT プログラムから拠出され、残りの 25%は民間企業が拠出している。 BIGCO2 研究開発プラットフォームでは、工業規模で CCS を伴う発電の実証を行うこ とにより、知識及び技術の実証を行っており、CO2 回収及び貯留を伴う天然ガス発電 の土台を築くことを目的としている。 主に、膜技術、ケミカルルーピング燃焼、加圧燃焼、燃焼後CO2 回収技術改善、発電 サイクルの統合・分析等の分野で研究・開発等を行っており、主な目標として、以下 の3 項目が示されている。 -CO2 回収率:90% -コスト削減:50% -最先端の天然ガス発電と比較した際の発電ロス:7%未満 CO2 貯留リスクアセスメント:CO2 地中貯留の数学的モデル化及びリスクマネジメン トを行うプロジェクトであり、CO2 貯留におけるリスクアセスメントに用いる分析・ 数値化ツールの開発を行った。プロジェクト期間は2007~2011 年であり、SINTEF、 シュトゥットガルト大学、プリンストン大学、Hydro、Statoil、Shell が共同で実施し た。予算総額は270 万ユーロ。 大規模 CCS 事業 ノルウェー政府は複数の大規模CCS 事業を支援している。
・大規模回収パイロット事業:Technology Center Mongstad(TCM) 本事業はGassnova と Statoil、Shell、Sasol により実施されている。
CO2 回収技術の実証を行うため、Mongstad に CO2 回収プラントを建設し、パイロット 実証事業を行っている。CO2 回収技術として、アミン法と冷却アンモニア法が採用されて おり、天然ガスによる熱電併給発電プラントと石油精製施設の熱分解装置の 2 つの燃焼排 ガスからCO2 回収を行う。CO2 回収は 2012 年 5 月に開始しており、年間最大 10 万トン のCO2 を回収する。
・フルスケールCCS プロジェクト
Mongstad においてフルスケール CCS 事業を行う計画であり、Gassnova と Statoil によ って実施される予定となっている。年間120 万トンの CO2 を回収する予定である。本事業 における CO2 輸送・貯留コスト及びオペレーションコストは政府が拠出する予定であり、 Statoil は CO2 に係るコストを拠出することとなっている。現在採用技術の検討等が行われ ており、最終的な投資判断は2016 年までに行われる予定となっている。最終的な投資判断 は2016 年までに行われる予定となっている。
20 ・沖合におけるCCS プロジェクト ノルウェー政府は次の2 件の沖合における CCS プロジェクトを支援している。いずれの プロジェクトも採掘した天然ガスに含まれるCO2 を分離・回収して貯留している。 -Sleipner:CCS は 1996 年から開始されており、年間 100 万トンの CO2 が貯留されて いる。 -Snøhvit:CCS は 2008 年から開始されており、年間およそ 70 万トンの CO2 が貯留さ れている。 なお、Mongstad で実施されているプロジェクトに対して 2012 年は 29 億 NOK が拠出さ れている。 CCS に関連する国際協力事業 ノルウェーは、以下の目的で、CCS に関する国際協力事業を展開している。 -関連技術を商業的に実現可能なものとする -法規制枠組みを構築する -国民の理解と支援を助長する 主な国際協力事業として以下が挙げられる。 欧州経済地域:ノルウェーは EU 諸国に対して CCS に関して 2.5 億 USD を提供し ている。
EU Zero Emission Platform(ZEP) North Sea Basin Task Force (NSBTF)
キャパシティビルディングイニシアティブ:世界銀行の CCS トラストファンドから 資金拠出されている。ノルウェーはこの資金について最大の資金提供国であり、お よそ1000 万ドルを提供している。
The Global CCS Institute (GCCSI)
EU-China Near Zero Emission Coal (NZEC)
2-4.CCS 関連社会的動向 ノルウェーでは発電所を新設する際にCCS を義務付ける法律が1997年に施行されている。 しかし、2000 年には天然ガス発電プラントには CCS は必要ないとの議論が起こった。2005 年に、CCS を伴わない天然ガス発電プラントの建設を禁じる旨が Stoltenberg 政府より公 表され、Kårstø 及び Mongstad にフルスケールの炭素回収プラントが設置されることとな った。 また、世界に先駆け、1991 年から炭素税が導入されている。この炭素税は国内における CO2 排出量の約 65%をカバーしており、沖合における石油及び天然ガス採掘に伴うエネル
21 ギー消費やガソリンに対して税率が高く設定されている。この炭素税の導入は石油・天然 ガス産業に大きな影響を与え、結果としてSleipner ガス田では 1996 年から CCS が行われ るようになった。 ノルウェーでは1980 年代から CCS に関する研究や議論が行われており、1987 年には天 然ガス発電プラントにおけるCCS に関する報告書がまとめられている。ノルウェー政府も CCS に対する研究開発に力を入れており、CCS に関する研究開発費用は米国に次ぎ世界第 2 位となっている。これらの研究開発費は、ノルウェー研究評議会を通じて CCS 関連のプ ロジェクトへの助成が行われているほか、Sleipner ガス田における官民共同研究の CO2 貯 留研究事業として、1998 年~1999 年にかけて SACS(Saline Aquifer CO2 Storage Project) を実施する等、多岐にわたっている。 ノルウェーの環境 NGO は CCS を積極的に支持しているものが大半である。その背景に は、1990 年代からおよそ 20 年間展開された天然ガス発電プラントの反対運動がある。1990 年初めに、電力不足を補うために天然ガス発電プラント建設する構想が示された。しかし、 ノルウェーの主要な電力源は水力発電であり、CO2 排出がほとんどないため、水力発電と 比較してCO2 排出が多い天然ガス発電プラントの建設に反対し、ノルウェーの複数の環境 NGO は当時の政権に対して大々的なネガティブキャンペーンを行った。その結果、発電事 業に伴うCO2 排出を相殺する手段として CCS 技術が大きく注目され、国民にも広く認知 されることとなった。国民の幅広い認知及び大半の環境NGO の支持により、ノルウェーで はCCS 事業は概ね肯定的に捉えられている。 ノルウェーにおける代表的な環境NGO としては、次が挙げられる。 ・Bellona:1986 年に設立されたオスロに拠点を置く環境 NGO であり、エンジニア、学識 者、弁護士等が主体となって活動している。活動費はノルウェー政府や企業等から拠出さ れているが、活動には独立性を保っている。Bellona は CCS を、エネルギー効率改善、再 生可能エネルギーと共に、温室効果ガス排出削減対策の主要な手段であると考えており、 公衆、政策決定者及び産業界に対してCCS が気候変動対策において重要な技術であること を周知することを重要な活動の1つと位置付け、積極的に啓蒙活動を展開している。CCS を推進する環境NGO の草分け的な存在となっている。
・ZERO (the Zero Emissions Resource Organisation )オスロに拠点をおく環境 NGO であり、技術者、科学者、学識者等から構成されている。地球温暖化に対してゼロエミッ ションのソリューションを提案する活動を展開しており、企業から活動費を得ている。CCS の普及啓発にも注力しており、HP 等を通じて積極的に情報提供をおこなっている。 ・Natur og Ungdom(Nature and Youth):25 歳未満の若者による環境 NGO。環境に関 する問題について政治家や行政と積極的に折衝を行っている。天然ガス火力発電所建設問 題の際には大々的に反対活動を展開し、CCS を積極的に支持し、そのコンセプトを広く社 会に発信した。
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・Framtiden i våre hender(The Future in our hands - FIOH) :ノルウェーにおける最大 の環境団体であり、自然と気候の持続可能性は豊かな国における経済成長や資源消費より も重要であると主張している。CO2 排出削減の主要な手段として CCS 技術を用いることに は懐疑的であり、気候変動対策においては、エネルギー効率改善及び再生可能エネルギー こそが重要な手段であると主張している。また、CO2EOR も、石油を増進回収することで、 さ ら に 石 油 の 使 用 に 伴 う 温 室 効 果 ガ ス の 排 出 を 助 長 す る と し て 問 題 視 し て い る 。 Greenpeace も同様の観点から、CCS について疑問を呈している。
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1-1-3. 英国
1-1-3-1.CCS 関連政策・制度
英国では、2008 年 11 月 26 日に発効した 2008 年エネルギー法(Energy Act 2008)及 び2010 年 10 月 1 日に施行された Storage of Carbon Dioxide (Licensing etc.) Regulations 2010 によって、EU の CCS 指令の国内法化に対応している。貯留サイトにおける許可に関 する条項に加え、CCS 指令では新たに建設される出力 300MW 以上の全ての発電所は、カ ーボンキャプチャーレディー(CCR)としなければならない旨の条項及び既存・新たに提 案されるCCS パイプラインと貯留サイトへの第三者アクセスを促進するための条項が導入 されている。 CCR に関する条項は、プランニングガイダンスを通じて英国に導入されており、また、容 量が300MW 以上の石炭火力発電所を新設する場合には CCS を導入することを義務付ける と共に、排出基準を設定することにより、CO2 排出量を直接的に制限する提言により建設 を制限している。 また、英国では EU の排出権取引スキームの改良版を導入しており、これにより永久貯留 されたCO2 は“排出されていない”とカウントすることになっている。この排出権取引の 改良版と炭素価格に下限値を設定する取り決めにより、CCS に対して重要な経済的なイン センティブをもたらすこととなり、低炭素電力への投資を刺激することが期待される。 CCS に関連する法規制としては、以下がある。 ・Energy Act 2008 2008 年エネルギー法(Energy Act 2008 )は EU の CCS 指令の国内法化のための枠組 みを定めたもので、沿岸部におけるCO2 の貯留に関する許認可制度について規定している。 この法律は2008 年 11 月 26 日、王の裁可により発効している。また、2010 年 10 月 1 日 に施行されたThe Carbon Dioxide (Licensing etc) Regulations 2010 において、CCS 指令 によるその他の要求事項の多くが規定されている。
・Energy Act 2011
2011 年 10 月 18 日に王の裁可により発効した Energy Act 2011 では、CO2 パイプライ ンのための土地の強制収用(Pipe-line Act 1962 の改正)及び、CCS 実証プロジェクトに用 いられた沿岸部のインフラの廃止措置(Energy Act 200 の改正)について規定している。
・The Storage of Carbon Dioxide (Licensing etc.) (Scotland) Regulations 2011
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禁じる規定について、スコットランドの陸上及び内水(0~12 海里)に範囲を拡大するため のものである。(2011 年 4 月 1 日施行)
・The Storage of Carbon Dioxide (Termination of Licences ) Regulations 2011
この規制は、Energy Act 2008(第 1 部第 3 章 31 セクション)に基づいて施行されたも のであり、EU の CCS 指令第 18 項、第 20 項を国内法化するために規定されている。第 18 項はオペレーターから規制当局にモニタリング、是正措置に関する義務の移転及び排出枠 の引き渡しに先立って適合すべき要求事項に関する条項である。第20 項は移転後のモニタ リング費用をカバーするために、オペレーターが規制当局に対して支払うべき負担金に関 する条項である。(2011 年 7 月 11 日施行)
・Storage of Carbon Dioxide (Amendment of the Energy Act 2008 etc.) Regulations 2011 この規則は、EU のCCS 指令の一部を英国の国内法化するために制定されたものであり、 地下におけるCO2 貯留活動を許可なしに行うことを禁じている(Energy Act 2008 の拡張)。 この規則により、イングランド、ウェールズ及びアイルランド北部の沿岸部にまで対象範 囲が拡大された。また、Pipeline Works (Environmental Impact Assessment) Regulations 2000 において規定されているパイプラインに対する環境影響評価に関する要求事項が CO2 輸送用パイプラインにも拡大適用されることが規定された。(2011 年 10 月 11 日施行)
・Storage of Carbon Dioxide (Access to Infrastructure) Regulations 2011
この規則はEU の CCS 指令における CO2 貯留サイト及び輸送ネットワークへの第三者 アクセス(第21 条、第 22 条)の実施に関して規定しており、規制当局に対して関連イン フラに関する許可を認可するための機能等を付与するものである。この規則により関連す るパイプライン及び貯留サイトへの第三者のアクセスを確保するとともに、インフラの所 有者に対して一定の情報提供を行うことを規定している。併せて、規制の要求事項に従わ なかった場合の罰則も規定している。(未施行)
・The Storage of Carbon Dioxide (Inspections etc.) Regulations 2012
The Storage of Carbon Dioxide (Licensing etc.) Regulations 2010 の改正法として、英 国沿岸部におけるCO2 貯留コンプレックスの検査について規定する規制である。(未施行)
1-1-3-2.CCS 関連政策等の動向
英国は長期間かけて安全、手頃な価格、低炭素なエネルギーの生産・利用へと移行するこ とにより、2050 年までに温室効果ガスの排出量を 80%削減することを目標としている。
25 その中で、CCS は英国の電力及び産業部門にとって、最も費用効率の高い技術の一つで ある可能性を有しており、CCS はまた、英国にとって主要なグリーン成長の機会をもたら すものであると見られている。 発電部門において CCS は電力供給の多様性及び安全性に貢献するとともに、他の低炭素 技術では未だ実現できない方法により、引き続き化石燃料への需要をもたらす固有の役割 を有している。 もしCCS の開発が予測通りであった場合、英国を拠点とする企業にもたらされる利益は、 2020 年代後半には 30~65 億ポンドにも及ぶと見積もられている。CCS の開発はまだ初期 段階にあり、現時点で英国の業界にはアドバンテージがあることから、世界市場の開拓に おいてリーダーとなることを支援する必要があると考えている。 英国政府は英国における温室効果ガス排出削減において、CCS を実行可能な選択肢とす ると共に、他の国々においてCCS の開発可能性を促進させることを明言している。英国は コスト競争力のあるCCS を幅広く展開するビジョンを描いており、発電及び産業プラント のクラスターから回収したCO2 をそれぞれ CO2 輸送パイプラインネットワークに連結さ せ、沿岸部の適切な貯留サイトへと輸送する持続的なCCS 産業の開発を支援することを表 明している。そして初期段階にはCCS プラントを、追って CCS 活動のクラスターを提供 することにより、英国において強力で健全なサプライチェーンを開発し、地域及び全国的 に雇用と市場を創出することを支援するとしている。 これらを実現するため、2020 年代に英国において CCS が商業的に展開されることを目標 としたロードマップを設定している。
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27 英国政府は英国においてCCS の商業的な展開を実現するために克服すべき 3 つの課題と して、以下を示している。 CCS に伴うコストとリスクを低減させることにより他の低炭素技術とのコスト競争力 を持たせる。 CCS に市場の枠組みを導入することにより民間部門がコスト効率良く CCS を導入する ことができるようにする。 CCS の導入における主要な障壁を除去する。 これらの課題に対応するため、政府は次のようなプログラムを導入することとしている。 商業規模の CCS を支援するための 10 ポンドの資金援助を含む CCS 商業化プログラム: 特に「実践しながら学ぶ」、「そこから得られた知識を共有する」ことに重点を置き、こ れによりCCS のコストを削減し、2020 年代に商業的な展開を実現する。 4 年間で 1.25 億ポンドを拠出する R&D 及びイノベーション協力プログラム
電力市場改革(Electricity Market Reform (EMR))を通じた低炭素電力のための市場の 開発。CCS を伴う化石燃料発電所の需要に対応するための、低炭素電力のためのフィー ドインタリフ契約の導入及び新たな英国CCS 研究センターの構築 CCS サプライチェーンの支援、輸送及び貯留ネットワークの開発、CCS の工業的利用 の準備等を含む CCS の展開における主要な障壁に対応するための介入及び法規制枠組 みの明確化 われわれのプログラムを通じて生み出された知識及びコスト削減を促進するための他の 世界各国におけるプロジェクトにおける知識の共有に関する国際的な約束 1-1-3-3.CCS 関連研究開発・助成等制度 CCS 商業化プログラム CCS 商業化プログラムはプロジェクトに対して 10 億円の補助金を直接的に拠出するとと もに、低炭素電力の投資を刺激するために設計された、改革された電力市場において電力 販売によって得られる収益も獲得できるものである。 本プログラムの目的は、2020 年代に民間の電力企業が、政府の補助金無しに CCS を伴う 化石燃料発電所を建設するための投資決定が可能となり、また、その電力価格が他の低炭 素発電技術に対して競争力を有するものとなるようにすることである。 本プログラムにおいて商業規模の CCS の建設及びオペレーションを行うことにより、残 されている技術リスクを削減し、CCS 特有の規制枠組みについてテストし、親和性を構築 し、産業界に対して持続可能なCCS ビジネスモデルの構築及び供給部門におけるキックス タートを促し、地域のCO2 輸送・貯留インフラの開発に貢献することが見込まれる。
28 この的を絞った支援により、産業界が商業規模の CCS の設計、建設及びオペレーション において実践的な経験を獲得することを促し、商業基準でのCCS プロジェクトの投資リス クを緩和し、コストを低減し、商業的な投資判断が可能となるようにすることが見込まれ る。 2012 年 4 月 3 日に、英国政府は新たなCCS 商業化プログラムのためのコンペを開始した。 本プログラムでは、CCS の設計、建設及びオペレーションをサポートするものである。コ ンペの主な基準として、以下が示された。 ・ 将来的にフルチェーンのプロジェクトの一部となることを見込んで実証することが 可能なフルチェーン又は一部のチェーンであること。 ・ 発電プラント及び回収施設が英国内であり、貯留サイトが沿岸部であること。 ・ 2016~2020 年までに操業可能であること。より早ければなお望ましい。 ・ 全ての関連する環境面での要求事項を満たし、CO2 を商業規模で削減すること。 ・ プロジェクトの一部に発電又は工業的な排出を含むこと。 コンペは同年7 月 3 日に締め切られ、5 件のフルチェーン CCS(回収、輸送、貯留)及び 3 件の一部の CCS チェーン(回収又は輸送又は貯留の一部)を含む、8 件の申請が受理さ れた。10 月 30 日に政府は 4 件のフルチェーンの申請が次の選考フェーズに進むことを発 表した。次回の選考は2013 年に行われる。現時点で選考に残っているのは次の 4 件である。
Captain Clean Energy Project: スコットランドの Grangemouth において、570MW の石炭ガス化複合発電プラントを新設するプロジェクトである。回収した CO2 は沿 岸部の枯渇ガス田に貯留する。事業主体は Summit Power であり、Petrofac(CO2 貯留)、National Grid、Siemens と共同して実施予定。
Peterhead: スコットランドの Peterhead にある既存の出力 1180MW のガスタービ ン複合発電施設の一部に、340MW の燃焼後回収装置をレトロフィットするプロジェ クト。Shell と SSE が実施する。
Teesside Low Carbon Project: イングランド北西部の Teesside において、シンガス によりネット出力 330MWe の発電を行うプラントにリンクさせる燃焼前石炭ガス化 プロジェクト。90%の CO2 を回収し、枯渇油田及び塩性帯水層に貯留する。実施主 体はProgressive Energy が主導し、GDF SUEZ、Premier Oil、BOC が参加するコ ンソーシアム。
White Rose Project: ヨークシャー北部の Drax サイトにおいて、304MW の超臨界 石炭火力発電施設を新設するとともに、酸素燃焼回収により完全に排出をなくすプロ ジェクト。Alstom が主導し、Drax、BOC、National Grid が共同実施。
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図 3 CCS コンペのスケジュール
なお、EC が実施する CCS 及び革新的な再生可能エネルギープロジェクトの公募事業で あるNER300 に対して、英国政府は、Teesside CCS プロジェクト、White Rose 酸素燃 焼CCS プロジェクト及び Sound of Islay Tidal(再生可能エネルギープロジェクト)を候 補として選出している。また、Peterhead CCS プロジェクト及び Kyle Rhea Tidal Turbine Array を予備としている。 R&D 及びイノベーション協力プログラム 4 年間で 1.25 億ポンドを拠出する共同研究開発プログラムである。このプログラムには以 下が含まれている。 ・英国CCS 研究センターの設立 ・基礎研究及び理解増進の支援(4000 万ポンド) -大学が主導する天然ガスCCS 研究プロジェクトへの 400 万ポンド超の支援を含む。 -UK CO2 貯留アトラスを近日中に発行予定 ・コンポーネントの開発及び革新支援(3000 万ポンド) -CCS コンポーネント開発・実証コンペ(DECC が実施、2000 万ポンド超を拠出予定) -モニタリング・計測・ベリフィケーション(MMV)ツールの開発に焦点を当てたコ ンペを近日中に開始予定(500 万ポンド) ・パイロット規模の試験及びプロジェクト(5500 万ポンド) -Ferrybridge:石炭燃焼後回収、5MWe(2011 年 11 月~オペレーション) -IGCC のための Costain 回収技術、5~10MW(2014~15 年頃オペレーション予定) -CCGT のための回収技術、5~10MW(2014~15 年頃オペレーション予定) 1-1-3-4.CCS 関連社会的動向 英国は石炭、石油等の化石燃料資源が豊富であり、エネルギー自給率は7 割近い。一次エ ネルギー需要の内訳は石炭14%、石油 35%、天然ガス 41%(2010 年)となっているが、 北海油田・ガス田の枯渇等により今後は輸入に頼らざるを得なくなると見られている。こ
30 れらを背景に、エネルギー安全保障の観点から、原子力事業と共に、国内で豊富に産出さ れる石炭のクリーンな利用に注力しており、クリーン石炭技術やCCS 技術の開発、展開を 推進している。 また、英国はこれまで CCS 技術を国際社会に示す場面で主導的な役割を担ってきたが、 近年は経済危機等の影響によりその活動が若干停滞している。2005 年にスコットランドの グレンイーグルズで開催されたサミットにおいて、議長国であった英国が中心となってま とめたグレンイーグルズ行動計画には、CCS 技術の開発及び商業化を加速する、との合意 事項が含まれた。また、その後のEU の 2008 年気候及びエネルギーパッケージにおいても、 英国はCCS に関する内容を包括することに尽力している。しかしながら、欧州経済危機の 到来により、海外におけるCCS 技術開発支援等を含む各種予算の大幅削減を余儀なくされ た。一方で、Carbon Sequestration Leadership Forum 等の活動を通じて CCS 及びクリー ンコール技術を強力に推進していく姿勢は変わっていない。 英国のNGO は国内における CCS に関する議論において建設的な役割を担ってきた。英 国は以前から京都議定書の温室効果ガス排出削減目標を上回る削減目標を掲げてきたが、 1990 年代半ばから温室効果ガス排出削減量は横ばいとなり、目標の達成が危ぶまれるよう になっていた。また、新たな石炭火力発電所の建設計画等もあり、環境NGO が中心となっ て反対運動が展開されていた。これらの背景から、Friends of Earth(地球の友)を中心と する環境 NGO 等は法的拘束力を有する温室効果ガス排出削減目標を設定すべきであると 主張し、積極的な政策提言を行った。この結果、2008 年に公布された気候変動法において カーボンバジェット(炭素削減計画)が導入され、結果的に石炭火力発電所ではCCS を検 討する必要が生じるようになった。また、これを契機として、CCS 事業に関連するプロジ ェクト開発者、設備関連事業者、CO2 輸送及び貯留事業者等と NGO が積極的に意見交換 を行うことができるようになった。また、英国は北海の沖合にCO2 貯留対象となる大きな キャパシティを有した貯留層が存在するため、貯留に伴う住民の反対活動等は生じていな い。現在、Green Alliance 等の環境 NGO は、天然ガス発電プラントに CCS を装着するこ と等を主張しており、今後更なる検討と議論が行われると見られる。 英国における代表的な環境NGO の CCS に対する見解は次の通りとなっている。 ・Green Alliance:政策決定者等に対して環境問題に係る政策提言や政策評価等を行う環境 シンクタンクであり、ロンドンに拠点を置いている。CCS については、排出削減目標を維 持しつつ化石燃料発電プラントを使い続けることを可能とする、気候変動対策における重 要な技術の1 つであると位置付けている。また英国は北海の枯渇油田及びガス田に CO2 を 貯留することが可能であり、また専門技術者が存在することから、CCS 技術のグローバル リーダーとなれるとしている。また、最近ではCCS を備えた天然ガス発電プラントについ ても提言を行っている。
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開発に向けて政策提言等を行うとともに、市民の啓発活動等に注力している。特に気候変 動及びエネルギー安全保障や外交政策等をターゲットとして活動を展開している。CCS を 支持しており、欧州が温室効果ガス削減目標の達成において不可欠な技術であると位置付 けている。
・Friends of the Earth UK(地球の友):地球規模の環境問題に取り組む国際的な環境NGO の英国支部であり、英国の気候変動法については、「THE BIG ASK」キャンペーンを展開 し、その成立に大きく寄与した。CCS に対しては、技術面や安全面等に懸念を抱いており、 環境面でのリスクは受け入れがたいとしている。このため、技術的、環境的、法的障壁等 を解消することを前提として、低炭素社会への移行を橋渡しする役割を担うと認識してい る。また、再生可能エネルギーを積極的に支持し、石炭火力発電所の廃止を主張しており、 その場合にはCCS は必要ないと主張している。