放射線・放射能とは?
その影響は?
1.放射能と放射線
2.用いられる単位
3.生物影響
4.線量制限の根拠
5.放射能汚染
6.対処法
1 日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター 柴田徳思1.放射能と放射線
よく出てくる記号:
131I
137Cs これ何のこと?
原子
原子核
中性子 陽子陽子数:Z
中性子数:N
質量数:A = Z + N
原子核の表記:
A元素記号
原子番号
元素記号
質量数
ヨウ素
53
I 131
セシウム
55
Cs 137
2Cs 137 137 Ba 30y 94.4% 0 661.7 2.55m I 131 131 Xe 8.0d 89.9% 0 80 164 341 364 405 637 667 723
放射性壊変:
α壊変:ヘリウムの原子核が放出される
β壊変:電子(陽電子)が放出される
γ壊変:ガンマ線が放出される。
半減期:8.0日 131I
137Cs
ベータ線 ガンマ線 ベータ線 ガンマ線放射性核種(放射能)からベータ線、ガンマ線(放射線)を
放出して安定な核種へ変わる
半減期:30年 3半減期
放射性核種は、放射線壊変により他の核種へ変化する。
このため、放射性核種は徐々に減尐する。
元の量の半分になるまでの時間を半減期という。
4 0 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 T 2T 3T 4T 5T 6T 7T 10 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 T 2T 3T 4T 5T 6T 7T 横軸は半減期を単位とした時間放射線の透過力
α線は紙1枚で止まる、β線はアルミニウム数ミリで止まる
γ線は鉛の遮蔽で効率的に減衰する。
細胞に対しては、α線は大きな影響、β線の影響はα線より
小さく、γ線はさらに小さい
52.用いられる単位
放射性物質(放射能)を測る単位
1ベクレル(1 Bq) = 毎秒1壊変
千倍をk(キロ)、百万倍をM(メガ)、
10億倍をG(ギガ)をつけて
kBq、MBq、GBqとあらわす。
放射線を測る単位
知りたいのは放射線の影響であるこれは尐しややこしい
放射線の流れはエネルギーの流れと考えてよい
エネルギーの単位が基礎となる
6エネルギーの単位
1クーロンの電気量を1ボルトの電位差に置くと
位置エネルギーは1ジュール(J)となる。
電場 1クーロン 1 ボルト1カロリー(cal)は1cm
3の水を
1℃上げるエネルギー
1 cal= 4.2 J
陽子や電子の電荷をe(クーロン)とする
1ボルトの電位差に1eを置くと
1eジュールとなる。
これを1eV(電子ボルト)という
1e = 1.6×10
-19クーロンなので
1eV = = 1.6×10
-19J(ジュール)となる
7あらためて
放射線を測る単位
放射線の影響を知りたいので、物質に放射線が照射
された時に、どれほどのエネルギーが物質に移るか
を測ればよい、
物質1kgが放射線に照射されて、1Jのエネルギーが
付不されたとき、1グレイ(Gy)の吸収線量という
放射線の影響のうち、被ばく線量が小さいときは
ガンになる影響が主である。
ガンになる影響は、放射線の種類、照射された臓器
により変わるので、それを考慮するために吸収線量
(グレイ)を補正する
補正した単位を1Sv(シーベルト)という
81/千をミリ(m)、1/百万をマイクロ(μ)というので
1ミリシーベルト(mSv)、1マイクロシーベルト(μSv)
などが用いられる
つまり
放射線を測る単位
まとめて
放射能を測る単位 ベクレル(Bq)
放射線を測る単位 シーベルト(Sv)
9放射線の単位を用いて
身の周りの放射線を考えてみる
自然放射線
人工放射線
年間の平均の被ばく線量
10自然放射線
我が国における自然放射線による被ばく
宇宙線
0.3mSv/年
大地から
0.4mSv/年
食品(主に
40K(カリウム) 0.4mSv/年
空気中のラドン
0.4mSv/年
合計
1.5mSv/年
空気中のラドンは建物による
世界の平均はラドンが1.3mSv/年なので、
合計は2.4mSv/年
11宇宙線
高度により 大きく変わる
大地から
大地に含まれる放射性同位元素の量(Bq/kg)
種類
一般の土壌・岩石
花崗岩
カリウム40
100~700
500~1600
ウラン238
10~50
20~200
トリウム232
7~50
20~200
国連科学委員会資料
場所により放射線の量は変わる
13東海道山陽新幹線で測った放射線の計数値
宇宙線と大地からの放射線
東より西が高い(西は花崗岩質)
体内の放射能の量
人の体内に
カリウム40:4000Bq
炭素14
:
2500Bq
呼吸で取り込むラドンの量
国連科学委員会資料
建物の材質による、日本は木と紙が主なので小さい
3.生物影響
影響の種類
確定的影響
:
しきい線量あり、線量増加で症状が悪化
確率的影響
:しきい線量なし、線量増加で発生確率の増加
影響の例
確定的影響
:白内障、脱毛、丌妊など
確率的影響
:ガン、遺伝的影響(すぐに影響は出ない)
つまり、確定的影響がなければ、直ちに健康への影響はない
しかし、ガンや遺伝的影響のリスクを知らないと判断できない
18確定的影響
確定的影響のしきい値
影響 しきい値 影響 しきい値 白血球の減尐 吐き気、嘔吐 一時的丌妊 男性 女性 永久丌妊 男性 女性 脱毛 0.25Gy 1Gy 0.15Gy 0.65-1.5Gy 3.5-6Gy 2.5-6Gy 3Gy 皮膚の紅斑 白内障 胎内被ばく 胎児奇形* 発育遅延** 精神遅滞*** 個体死 骨髄死 消化管死 3Gy 2Gy 0.1Gy 0.5-1Gy 0.2-0.4Gy 3Gy 10Gy * 着床‐妊娠8週 ** 妊娠8週‐出生 ***妊娠8‐25週 1Gyと1Svは同じと考えてよい 19確率的影響
確率的影響は、ガン及び遺伝的影響であり、細胞の中の
DNAの損傷が原因となっている
DNAの複製 DNAの損傷と修復 DNA 塩基損傷 一本鎖切断 二本鎖切断 修復 修復 不完全修復 非相同末端結合 相同組み換え修復 20細胞レベルの影響
細胞は、M期→G1期 → S期 → G2期 → M期 と繰り返す M期は分裂期で、S期はDNA合成期である 細胞周期 周期による放射線感受性 放射線感受性は、1)分裂の頻度の高いもの、2)将来行う分裂数の多いもの、 3)形態・機能の未分化なものほど高い。 感受性の程度 組織 最も高い 高い 中程度 低い 最も低い リンパ組織、骨髄、生殖腺(精巣、卵巣) 小腸、皮膚、毛細血管、水晶体 肝臓、唾液腺 甲状腺、筋肉、結合組織 脳、骨、神経細胞 21ガン・遺伝的影響のリスク
被ばく 集団 1990年勧告 2007年勧告 ガン 遺伝 合計 ガン 遺伝 合計 全集団 6.0 1.3 7.3 5.5 0.2 5.7 成人 4.8 0.8 5.6 4.1 0.1 4.2 確率的影響に対するリスク係数10-2Sv-1 これらの値は広島、長崎の原爆被爆者の追跡調査から得られた データがもとになっている。 放射線のリスク(1Svあたり) がんになる確率:5.5×10-2 遺伝的影響: 2×10-3 一般人は1mSv/年とされているので リスクは(年当たり) がんになる確率:5.5×10-5 遺伝的影響: 2×10-6 22組織荷重係数
同じ放射線量を被ばくしても組織毎にリスクが異なる。 これを補正するための組織荷重係数が定められている。 組 織 荷重係数 骨髄(赤色) 0.12 結腸 0.12 肺 0.12 胃 乳房 残りの臓器 生殖腺 膀胱 食道 肝臓 甲状腺 骨表面 脳 唾液腺 皮膚 0.12 0.12 0.12 0.08 0.04 0.04 0.04 0.04 0.01 0.01 0.01 0.01 残りの組織は、副腎、胆のう、心臓、腎臓、リンパ節、筋肉など14の組織230 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260 280 22 ・ 30 ・ 40 ・ 50 ・ 60 2 7 ・ 18 死 亡 率 ( 人 口 万 対 ) 図6 主な死因別にみた死亡率の年次推移 10 悪性新生物 脳血管疾患 心疾患 肺炎 昭和・・年 平成・年 注:1) 平成6・7年の心疾患の低下は、死亡診断書(死体検案書)(平成7年1月施行)にお いて「死亡の原因欄には、疾患の終末期の状態としての心不全、呼吸不全等は書かないで ください」という注意書きの施行前からの周知の影響によるものと考えられる。 2) 平成7年の脳血管疾患の上昇の主な要因は、ICDー10(平成7年1月適用)による 原死因選択ルールの明確化によるものと考えられる。 不慮の事故 自殺 肝疾患 結核
死亡率の年次推移
放射線のリスクとその他のリスク
悪性腫瘍:2.7×10-3 丌慮の事敀3.2×10-4 24事敀のリスク(平成17年度) 1.0E-06 1.0E-05 1.0E-04 1.0E-03 交通事敀 転倒・転落 丌慮の溺死及び溺水 丌慮の窒息 煙・火及び火災への暴露中毒及び有害物質への暴露 その他の丌慮の事敀 自殺 他殺 その他の外因 リスク 全人口統計 25
丌慮の事敀に対する職業別リスク(15歳以上男) 1.00E-05 1.00E-04 1.00E-03 1.00E-02 1.00E-01 1.00E+00 総数(有職) 第1次産業 A 農 業 B 林 業 C 漁 業 第2次産業 D 鉱 業 E 建 設業 F 製 造業 第3次産業 G 電 気・ ガス ・熱 供給 ・水 道業 H 情 報通 信業 I 運 輸業 J 卸 売・ 小売 業 K 金 融・ 保険 業 L 丌 動産 業 M 飲 食店 ・宿 泊業 N 医 療・ 福祉 O 教 育・ 学習 支援 業 P 複 合サ ービ ス事 業 Q そ の他 のサ ービ ス業 R 公 務 S 産 業丌 詳 無職 リスク(年当たり) 職業人(男) 26
死亡率から見たリスク(年当たり) がん: 2.7×10-3 心臓病など: 1.4×10-3 脳梗塞など: 1.1×10-3 肺炎など: 1.3×10-3 老衰: 2.1×10-4 丌慮の事敀 3.2×10-4 交通事敀: 7.9×10-5 転倒・転落:5.3×10-5 溺死など: 4.9×10-5 窒息など: 7.4×10-5 自殺: 2.4×10-4 他殺: 5.0×10-6 一般人の放射線のリスク(年当たり1mSv) がんになる確率:5.5×10-5 遺伝的影響: 2×10-6 一般人に対する 放射線のリスク は安全とされる 範囲内となって いる。 27
放射線のリスクとたばこのリスクの比較
ガン全体 ガン全体にたいする放射線のリスク:1Svあたり5%(5×10-2 Sv-1) ガン全体のリスク:10万人当たりの年死亡率257人(2.7×10-3) たばこによる相対危険度~1.6(非喫煙者を1としたときの危険度) たばこの寄不は0.6となる。 たばこのリスクに対する寄不:2.7×10-3×0.6 = 1.6×10-3 放射線に換算:1.6×10-3/(5×10-2 Sv-1)= 0.032Sv = 32mSv/年 肺がん 肺ガンにたいする放射線のリスク:1Svあたり1%(1×10-2 Sv-1)で肺に 対する組織荷重係数は0.12なので、1Svのうち0.12Svが肺に寄不すると考 て、リスクは0.083 Sv-1となる。 肺ガン全体のリスク(男):10万人当たりの年死亡率44人(4.4×10-4) たばこによる相対危険度 1-4本 5-14本 15-24本 25-34本 相対危険度 2.5 3.3 5.4 7.1 たばこの寄不 1.5 2.3 4.4 6.1 リスクに対する寄不 6.6×10-4 1.0×10-3 1.9×10-3 2.7×10-3 放射線に換算 8mSv/年 12mSv/年 23mSv/年 33mSv/年 放射線:ICRPのデータ、死亡率等は厚労省データ 284.線量制限の根拠
職業被ばくの防護の考え方
確率的影響
・被ばくによる寄不生涯がん死亡確率
・被ばくによる18歳時における平均余命の損失
などを評価して定めた。
確定的影響
しきい値を考慮して定めた。
29死亡時年齢確率密度
放射線の影響
リスクを表す量
年線量(mSv)
3
10
20
30
50
寄不生涯死亡確率
0.55 1.81 3.57 5.28 8.56
18歳時における平均
0.07 0.23 0.46 0.68 1.11
余命の損失
職業被ばくによる死亡の寄不が50mSv/年だと
8.6%となり大きすぎる。生涯線量を1Svとして
年得平均20mSvがいいところとした。
31しきい値の推定値
組織
1回被ばくの
多分割の時の
多分割の時の
全線量
全線量
年線量
(Sv)
(Sv)
(Sv/年)
精巣
一時的丌妊
0.15
-
0.4
永久丌妊
3.5~6.0
-
2.0
卵巣
丌妊
2.5~6.0
6.0
>0.2
水晶体
白濁
0.5~2.0
5
>0.1
白内障
5.0
>8
>0.15
骨髄
造血能低下
0.5
-
>0.4
32線量限度
線量限度(国際放射線防護委員会の勧告)
職業被ばく
公衆被ばく
実効線量
100mSv/5年
1mSv/年
但し、50mSv/年を
超えない
等価線量
目の水晶体
150mSv/年
15mSv/年
皮膚
500mSv/年
50mSv/年
手および足
500mSv/年
日本の法令には公衆被ばくの規定はない。
ただし、放射線事業所の境界を1mSv/年と
定めている。
医療被ばくは含まない
335.放射能汚染
原子炉ではどのような核種が生まれるか
核分裂反応 中性子 ウラン ~140 ~90 1 235 主な生成物 133Cs(安定 6.8%)、135I(6.6h 6.3%)、93Zr(1.5My 6.3%)137Cs(30y 6.1%)、99Tc(210ky)、90Sr(29y 5.8%)、131I(8.0d 2.8%)
147Pm(2.6y 2.3%))、149Sm(安定 1.1%)、129I(16My 0.66%) 34 76 88 100 112 124 136 148 160 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101 核 分 裂 生 成 物 の 収 率 質量数
汚染による被ばくの評価
環境モニタリング指針(原子力安全委員会)より 公衆の線量評価の対象核種(発電用原子炉) 35 核 種 気体 放射性希ガス、放射性ヨウ素 液体 放射性ヨウ素、3H、51Cr、54Mn、59Fe、58Co、 60Co、89Sr、90Sr、134Cs、137Cs外部被ばくの評価
線量率あるいは一定時間の積算線量率から線量率を求める
内部被ばくの評価
摂取した核種と核種の量から線量率を求める
外部線量 36 線量率(μSv/h) 検 出 器 感 度 GMサーベイメータ 0.1μSv/h NaIサーベイメータ 0.01μSv/h 電離箱 0.2μSv/h 積算線量(μSv) 検出器 測定範囲 TLD 10μSv~10Sv OSL 10μSv~10Sv 蛍光ガラス 10μSv~10Sv 半導体 0.01μSv~0.1μSv 電離箱 10μSv~5mSv1Bqの放射能を吸入あるいは経口摂取した時の積算線量(mSv) 内部被ばく(原子力安全委員委会環境モニタリング指針より) 37 核種 経口摂取 吸入接種 90Sr 2.8×10-5 1.6×10-4 131I* 1.6×10-5 1.5×10-5 134Cs 1.9×10-5 2.0×10-5 137Cs 1.3×10-5 3.9×10-5 239Pu 2.5×10-4 1.2×10-1 *1 ICRP Publication 66 などのモデルを基に摂取されたヨウ素が 体液中から甲状腺へ達する割合を0.2として計算した値である。
38
実効線量計数(mSv/Bq)
40K :吸入 3.0×10-6 経口 6.2×10-6 131I :吸入 蒸気2.0×10-5、ヨウ化メチル1.5×10-5、その他の化合物1.1×10-5 経口 2.2×10-5 137Cs:吸入 6.7×10-6 経口 1.3×10-5 放射線障害防止法告示より飲食物摂取制限
・原子力施設等で事敀が起き、敷地外の一般公衆が過度の被ばくをする 恐れのある場合、被ばく低減の対策をとることになる。この判断基準を 介入レベルという。 ・ある濃度の食物を日常的に摂取し続けると、受ける線量が介入線量レベル に達する放射性核種濃度を誘導介入レベルという。 ・考慮するべき重要な核種は、131I、137Cs、90Srなどである。 ・誘導介入レベル 初年度: 実効線量 5mSv/年 等価線量 50mSv/年 2年目以降: 実効線量 1mSv/年 等価線量 10mSv/年 39放射性ヨウ素について ・甲状腺に対する等価線量率50mSv/年を基礎として、飲料水・牛乳・野菜類 (根菜、イモ類を除く)の3つに区分した(放射性ヨウ素の半減期が短い ので穀類、肉類は除いてある) ・他の食品を考慮して50mSv/年の2/3を基準とし、3つの食品に割り当てて摂 取制限指標を算出した 放射性セシウムについて ・Csの環境への放出では放射能分析の観点から134Csと137Csの合計放射能値を 用いた ・実効線量5mSv/年を5つの食品区分(飲料水・牛乳と乳製品・野菜類・穀 類・肉魚卵その他)に1/5づつ均等に割り当て、各食品区分毎に摂取制限 指標を算出した ウラン、プルトニウム及超ウランについても示されている
・我が国における飲食物摂取制限の指標(原子力安全委員会)
40飲食物摂取制限に関する指標(原子力安全委員会) 41 対象 放射性ヨウ素 飲料水 300Bq/kg 牛乳・乳製品 300Bq/kg 野菜類(根菜・芋類を除く)、魚 2000Bq/kg 対象 放射性セシウム 飲料水 200Bq/kg 牛乳・乳製品 200Bq/kg 野菜類 500Bq/kg 穀類 500Bq/kg 肉・卵・魚・その他 500Bq/kg
摂取制限値の飲食物を1年間摂取しつづけた時のリスク
137Csは筋肉にとどまり、全身に被ばく線量を不えるので、
初年度5mSvが摂取制限となる。
摂取制限値の飲食物を1年間摂取しつづけた時のリスクは、
1mSv/年で5.5×10
-5なので、
2.8×10
-4/年
である。
これは丌慮の事敀のリスク
3.2×10
-4/年
と同じ程度である。
飲食物に含まれる放射能の摂取限度は、5mSvを制限値にし
ているので、この10倍の物を1年間飲食しても、50mSv/年
であり、ガンのリスクは0.25%となる。放射線の影響のない
場合のガンのリスクが30%程度であることを考えると、それ
ほど大きな影響とは言えない。
426.対処法
主な被ばく状況 介入レベル 対処法 点線源からの外部被ばく 100μSv/h その領域を隔離する 封鎖領域からの避難を警報する 出入りを管理する ある狭い範囲での土壌汚染からの 外部放射線、または大きな混乱を 招くことのない避難の場合 100μSv/h その領域を隔離する 封鎖領域からの避難を警報する 出入りを管理する 広い領域に渡る土壌汚染からの外 部放射線、または大きな混乱を招 くような避難の場合 1mSv/h 避難または十分なシェルターを 勧告する 未知の放射性核種による空気汚染 からの外部放射線 1μSv/h 可能ならその領域を隔離する 野外の場合は、封鎖領域または 風下からの避難を勧告するIAEAは放射線事敀時の対応の中で周辺の線量率
に基づく緊急対応を定めている
43スウェーデン国立スペース物理研究所(IRF)の 山内正敏氏が他の 観点も入れて、以下のようにまとめている 脱出基準 1)居住地近くの線量率が1mSv/時に達したら脱出 2)避難の混乱を考えると、居住地近くの線量率が100μSv/時に達したら 脱出準備 3)妊婦や小児は線量率が300μSv/時あるいは放射能濃度500Bq/m3で脱出 4)妊婦や小児は線量率が30μSv/時あるいは50Bq/m3で脱出準備 居住地近くの線量率が10μSv/時、妊娠初期で3μSv/時なら安全 室内退避基準 1)原発の近くで50mSv/時を超えたら、風下100km以内の人は屋内(できれ ばコンクリート建造物)に退避、100km以上でも近隣の放射線量率や放 射能濃度に注意 2)原発の近くで5mSv/時を超えたら、風下100km以内の人はなるべく屋内 (できればコンクリート建造物)に退避、100km以上でも近隣の放射線 量率や放射能濃度に注意 3) 原発で何らかの爆発があったら100km以内の人はなるべく屋内(できれ ばコンクリート建造物)に退避、100km以上でも近隣の放射線量率や放 射能濃度に注意 ただし、放射能濃度と線量率の関係が丌明 44
45 原子力安全委員会による指針 避難 50mSvを超える地域 屋内退避 10~50mSvの地域 計画的避難区域 これまで事敀の場合は一時的に放射線量が高くなっても比較的短時間で 収束する場合を考えていた。しかし、今回の福島原発事敀では長期にわ たる被ばくが問題となっている。 このために、原子力安全委員会はあらたに、20mSv/年を超える地域を避 難対象とした。 20mSv/年で50年間積算すると1Svになる。1Svの被ばくでがんで死亡する 確率は5.5%なので、1年あたりの死亡率は0.11%、つまり1.1×10-3のリス クとなる。これは一次産業のリスクと同程度である。
東京都の環境放射能水準(文部科学省)
これらのデータの示すように、東京での
値は最大でも0.5μSv/時程度で低い値である。
採取日 131I 137Cs 2011/03/30 5.1 0.9 2011/03/29 5.6 0.51 2011/03/28 9.8 0.82 2011/03/27 20 1.2 2011/03/26 37 1.8 東京都の上水(蛇口)のモニタリングデータ (Bq/kg) 本データは、1Bq/Lを1Bq/kgとみなす 文部科学省が各都道府県等からの報告に基づき作成 「原子力施設等の防災対策について(原子力安全委員会)」 飲食物の摂取制限に関する指標に基づく飲料水の基準 放射性I:300Bg/kg以上、放射性Cs:200Bq/kg以上 47
主として放射線医学総合研究所のホームページより参考になりそうなこと 原子力発電所周辺地域では 1.原子力発電所の事敀により、周辺地域の住民が気をつけること (1)まずは、ラジオやテレビ、あるいは市町村からの情報(広報車や防災行政 無線、有線放送など)から情報を入手する。正しい情報に基づいていないも のもあるので、うわさには惑わされないようにする。地方自治体から、屋 内待避あるいは避難の指示があった場合は、速やかに対応する。 (2)屋内待避の場合、窓やドアを全て閉め、換気扇を止めるなどして、外から の空気が入らないようにする。次の指示が出ることもありますので、情報に は十分気をつけてください。 (3)避難する場合は十分時間の余裕があるので落ち着いて行動する。 (4)避難区域内の作物については、安全が確認されるまでは、摂取を控える。 2.住居から避難するときに気を付けること (1)放射性物質を体内に吸い込まないために、屋外ではタオルや木綿のハンカチ を折って、水でぬらして固くしぼり、口や鼻を保護する。ほとんどの放射性 物質の吸い込みを防護することができる。 (2)帽子をかぶるなど、できるだけ肌を出さないようにする。 48
離れた地域で放射線レベルが上がっていることについて 放射線のレベルが通常の10倍あるいは100倍というとたいへん高い線量のように 感じられるが、実際には健康に影響のないレベルである。 15日午前9時~午後5時に東京と栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨、静岡 の1都7県で計測された放射線レベルでは最大で、毎時1μSvと報告されている。 これは、例えこの放射線レベルで1 年間生活した場合、1年は8760時間だから、 8.8mSvで、CT検査1回分の線量で健康に影響のないレベル 放射線検査について 放医研では、一昨日、昨日と東京電力や付近で作業をした者の被ばくの検査の結 果、これまで除染が必要となるような被ばくをしていた者はいない。 こうしたことから、屋内待避や避難という指示の対象外の者は被ばく検査の要が ないと考えられる。 49
妊婦の放射線影響について 妊婦の方は、他の方々と同じ対応で問題はない。 放射線量として、100mSv以下では胎児への影響(奇形、精神遅滞など)は 起こらないと考えられている。また、胎児へのその他の影響(小児期や成 人期のがん)については、生活習慣など放射線以外のものを原因として生 じる危険性と比べて、現在の状況で住民の方が受ける可能性のある尐量の 放射線から予測される危険性は遥かに小さいと考えられるため、過度に心 配する必要はない。 また、安定ヨウ素剤は、薬の一種です。アレルギーなど副作用を起こす可 能性があるので、服用には注意が必要である。妊娠中の方はご自分の判断 で、ヨウ素剤を飲んだり、ヨウ素を含むうがい薬や消毒薬などを飲んだり しないこと。 汚染野菜等の摂取について 摂取制限値を超えた物は出回らないので問題はない。 除染について 服の除染や洗濯した水は通常の排水でよい。 避難地域屋内退避地域の方の服から健康に影響の出る量が検出されたことは 無く、通常通り洗濯し、着用してよい。 50
被災地から避難してきた方の受け入れについて 摂取制限値を超えた物は出回らないので問題はない。 被災地等から避難してきた方を受け入れる時には、コートやジャンパーなどを 脱ぎ、まずはシャワーを浴びさせる。シャワーは、シャンプーで洗髪し、洗 顔をし、体を洗う。体を洗うときは、爪の間もしっかり洗うようにする。シャ ワーのお湯はそのまま流してよい。 また、被災地からの移動に使用した自動車にも放射性物質が付いているかもし れないが、普通に洗車をすれば良い。水もそのまま流してよい。 首都圏(東京、千葉、神奈川)に住んでいる者について 事敀から現在まで首都圏で観測された放射線の量は微量で、今後事敀が大き く拡大しない限りは、普段通りの生活をおくっても大丈夫。 雤の中にも事敀によって放出された放射性物質が含まれていると考えられる が、その量はわずかで、これまで報告されている空気中の濃度から計算する と、雤に濡れて放射性物質が皮膚についたとしても、健康に影響を不えるよ うな量ではなく、心配する必要はない。 福島原発から50km離れたところの住民について、 窓を開けたり、エアコンを使って換気をしても、今後事敀が大きく拡大しな い限りは、健康への影響は全く心配する必要はない。 51
水道水から放射性物質が検出された件について 短期間の飲用では、健康上に問題はない。 福島原発事敀の影響で、水道水の摂取制限が指示された場合に関して、現在、 厚生労働省は以下の見解を発表している。 ①飲用は控える ②生活用水(お風呂や手洗いなど)の利用には問題がない ③代わりとなる飲用水がない場合は、飲用しても差し支えない 今後は、地方自治体からの情報に気をつけること。 金町浄水場で200Bq/Lのヨウ素が含まれている件について 大人が飲んでも、健康への影響を心配する必要はない。放射性ヨウ素に関する 国の安全基準値は、水1Lあたり300Bqで、この基準は、放射性ヨウ素を含む水を 長期間摂取し続けた場合でも甲状腺が受ける放射線量が1年当り50mSv以下とな るように決められている。 例えば、300Bq/Lの水を大人が毎日2L、2ヶ月間飲み続けた場合、国際放射線防 護委員会による換算係数に基づけば、約790μSvの被ばくを受ける計算になり、 この値は人間が自然界から1年間に受ける放射線の量の1/3程度で、健康への影 響を心配する必要はない。なお、放射性ヨウ素は半減期が約8日で、8日経つと 半分になり、さらに8日経つと4分の1になる。よって、一度体内に取り込ん でも2ヶ月後には1/100以下になる。 52
金町浄水場で200Bq/Lのヨウ素が含まれている件について 料理に使っても、健康への影響を心配する必要はない。安全基準は、料理で使 うことも考慮して、健康影響の現れる可能性が小さくなるよう決められている。 シャワーやうがい、歯磨きに水道水を飲用や調理以外の用途で使用しても、健 康に影響はない。安全基準と同じ濃度の放射性ヨウ素(300Bq/L)と放射性セ シウム(200Bq/L)の両方を含む水道水を飲用以外で1年間利用し続けた場合、 水から出る放射線で約14.5μSv、水から揮発した放射性ヨウ素と放射性セシウ ムを体内に取り込むことによる被ばくが最大250μSv程度になると推定されて いて、これは東京・ニューヨーク間を1往復すると飛行機内で被ばくする放射 線量にほぼ同じで健康への影響を心配する必要はない。 放射性ヨウ素について 放射性ヨウ素は沸騰しても蒸発しないと考えられ、水分が蒸発し、むしろ放射 性ヨウ素が濃縮される場合がある。 53
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