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2 譲渡禁止特約の効力改正前は 譲渡禁止特約を付した場合は債権の譲渡はできない ( ただし 特約の存在を知らない第三者等には対抗できない ) とされていましたが 改正法では このような特約があっても債権の譲渡は効力を妨げられないことを明記しました ( 466Ⅱ 1) ただし 3に記載するとおり 債務

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LM ニュースレター Vol.29

平成30年2月 改正債権法の要点解説第7回では、「債権譲渡」「債務引受」の改正点について説明しま す。債権譲渡については債権の担保化・流動化による企業の資金調達を円滑化する観点か ら大幅な改正がなされており、実務への影響もありますので、特に留意が必要です。 第1 債権譲渡 1 改正の経緯 貸付金、売掛金などの債権は、第三者に譲渡できるのが原則とされています(自由 譲渡性)。しかし、支払をする債務者からすれば、債権者が変更すれば対応が煩雑とな ったり、取引関係を持つことを望まない相手方との対応を強いられたり、あるいは相 互に取引をしている場合には相手方に対する債権(反対債権)との相殺処理を期待し ている場合もあります。これらの理由から、契約時にあらかじめ債権の譲渡を禁止す る特約(譲渡禁止特約・譲渡制限特約)を付することがあります。 譲渡制限特約を付することは民法上許容されていますが、近時、特約に違反して譲 渡された場合の効力について、譲渡人が無効主張することはできないとする判例(最 高裁平成21年3月27日判決)が出るなど、判例の解釈を巡り疑義が生じていまし た。また、近時、債権譲渡は企業活動における資金調達の手法として頻繁に利用され ていますが、譲渡制限特約の存在が円滑な資金調達を阻害しているとの指摘もありま した。そこで、改正法では、債権譲渡による資金調達を円滑化することを目的として、 譲渡制限特約が付された場合の規律について、大幅な見直しが行われました。 【債権譲渡に関する改正のポイント】 ① 債権譲渡禁止特約の効力 ② 債権譲渡禁止特約を付した債権の債務者の抗弁権 ③ 債権の譲受人による履行催告権 ④ 供託原因の新設/破産時の供託請求権 ⑤ 異議なき承諾による抗弁権切断の制度の廃止等

改正債権法の要点解説(7)

―債権譲渡・債務引受―

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2 譲渡禁止特約の効力 改正前は、譲渡禁止特約を付した場合は債権の譲渡はできない(ただし、特約の存 在を知らない第三者等には対抗できない)とされていましたが、改正法では、このよ うな特約があっても債権の譲渡は効力を妨げられないことを明記しました(§466Ⅱ 1)。ただし、3に記載するとおり、債務者の利益にも一定の配慮をしています。 3 債務者の抗弁 特約を付した債務者を保護する観点から、債務者は、譲渡制限特約に悪意又は重過 失の譲受人等(質権者等を含む)に対しては債務の履行を拒むことができ、かつ、債 権の譲渡人に対して弁済等を行った場合には、債務消滅の効果を譲受人等にも主張す ることができるとされています(§466Ⅲ)。つまり、債務者は、譲渡制限特約につい て悪意・重過失の譲受人等には支払わずに、譲渡人を選択して支払うことができます。 他方、譲渡人は、既に債権を譲渡した以上、債務者に対して履行を請求することは できません。譲渡人は、債務者が譲渡人への支払を選択した場合のみ、弁済を受けら れるという立場となります。実務上、債権の譲渡人が債権譲渡後も引き続き債務者に 対する取り立てをサービサーとして行うためには、譲受人等から債権の取立権限の設 定を受けるなどの対応が必要となります。 4 履行催告権 2,3の制度の下では、債務者は、債権の譲受人等に対しては譲渡制限特約の存在 を主張して支払を拒み、譲渡人に対しても既に債権を譲渡したことを理由に支払を拒 むという可能性があります。このような「デッドロック状態」を解消するために、債 権の譲受人等は、債務者に対し、相当期間内に譲渡人に履行するように催告し、期間 内に履行がされないときは、債務者は3の抗弁を主張できなくなる(すなわち、債権 の譲受人等に支払わなければならなくなる)とされました(§466Ⅳ)。 5 供託原因の新設 改正前は、譲渡制限特約のある債権が譲渡された場合には、債務者は譲渡人・譲受 人のいずれかが債権者であるか確定しない(債権者不確知)を理由に法務局に供託を して債務を消滅させることができました(改正前民法§494 後段)。 1 ただし、預貯金債権については、金融実務への影響が大きいことから、従来どおりの扱 いとされています(§466Ⅴ) 2

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改正後は、譲渡制限特約の付いた債権の譲渡も有効であるため、債権者は譲受人に 確定していますが、2の履行拒絶権を行使できるかどうかは、譲受人が特約について 悪意・重過失であったか否かで左右されるため、債務者が支払先に迷うという事態に 変わりはありません。そこで、改正法は新たな供託原因を定め、この場合も供託でき ることを明記しました(§466 の 2)。 6 譲受人の供託請求権 譲渡制限特約が付された債権の譲渡人が破産した場合、譲受人による履行催告権を 行使(前記4参照)に対して、債務者が譲渡人(の破産管財人)への支払いを選択し た場合には、譲受人は、譲渡人の破産管財人に対して不当利得等を理由に受領した金 銭の引き渡しを請求することとなります。この破産管財人に対する請求権は破産手続 上財団債権としての保護を受けますが、破産財団の状況によっては全額の回収ができ ない可能性もあります。 そこで、譲受人は、このような不利益を回避するために、債権の譲渡人が破産手続 開始決定を受けたときは、債務者に対し、(譲渡人の破産管財人に支払わずに)法務局 に供託するように請求することができるとされました(§466 の 3)。 7 その他 (1) 異議なき承諾による抗弁権切断制度の廃止 改正前民法は、債権譲渡がなされた場合に債務者が異議をとどめないで譲渡を承 諾したときは、以後、債務者はその債権に関して主張できた抗弁(例えば、弁済に よる消滅など)を主張できなくなると規定していました(改正前民法§468Ⅰ)。こ の規定は債務者に酷であるとの批判があり、判例(最高裁昭和 42 年 10 月 27 日判 決)も適用を制限していましたが、今回の改正によってこのような抗弁権切断の制 度自体が廃止されました。改正後に行われる債権譲渡において、従来と同様の効果 を期待する場合には、別途、債務者から抗弁権を放棄する旨の意思表示を受けるこ とが必要となります。 (2) 将来債権の譲渡の明文化 将来発生する債権の譲渡については、改正前民法下では明文規定がなく、譲渡を 有効と認める判例が集積されていましたが、今回の改正で譲渡が有効であることが 明文化されました(§466 の 6)。もっとも、これを無限定に認めると濫用のおそれ があることから、制約するルールの規定も検討されましたが、この点については、 引き続き、解釈に委ねられることとなりました。 3

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8 実務への影響 以上のとおり、今回の改正においては、譲渡制限特約に関連する規律を中心に、大 幅な改正がなされました。譲渡制限特約に違反して悪意者に対して債権譲渡がされた 場合の扱い、譲渡人について破産手続開始決定があった場合の扱いなどについては、 十分な理解と適切な対応が求められます。 また、異議なき承諾による抗弁権切断制度の廃止(7(1))についても、実務上の影 響が大きいと予想されます。債務者が抗弁権を放棄したとの効果を求める場合には、 後に争いが生じないよう、書面を作成し、放棄の対象となる抗弁の内容を特定した上 で放棄の意思表示を明確にしておくことが必要となります。 第2 債務引受 1 改正の経緯 他人の債務を第三者が引き受ける債務引受は、改正前民法に明文の規定がないもの の、実務上頻繁に利用されており、債務引受の要件・効果等の解釈が判例・学説にお いて集積されている状況にありました。 今回の改正においては、債務引受を併存的債務引受と免責的債務引受に区別し、そ の要件・効果等を従来の一般的な見解をベースとする規定が設けられました。 2 併存的債務引受について 併存的債務引受は、引受人による引受後も、債務者が引き続き(引受人と併存して) 債務を負担する形式の債務引受です。この場合の要件効果等について、次のとおり定 められました。 【併存的債務引受の改正のポイント】 ① 債務者の債務と引受人の債務は連帯保証債務と同様の関係となる(§470Ⅰ) ② 債権者と引受人の2 者間の契約で効力を生じる(§470Ⅱ) ③ 債務者と引受人の2 者間の契約ですることも可能(第三者のためにする契約)。 この場合、債権者が承諾したときに効力が発生する(§470ⅢⅣ) ④ 引受人は、債務引受時に債務者が有する抗弁を対抗(=主張)できる(§471Ⅰ) ⑤ 債務者が取消権・解除権を有する場合、引受人が権利行使はできないが、債務者 がこれを行使すれば負担を免れる限度で、債務の履行を拒絶できる(§471Ⅱ) 4

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3 免責的債務引受について 免責的債務引受は、引受人による引受により、従来の債務者は免責される形式の債 務引受であり(§472Ⅰ)、実質的には債務者の変更(引受人への承継)を行うもので す。この場合の要件効果等について、次のとおり定められました。 【免責的債務引受の改正のポイント】 ① 債権者と引受人の2 者間の契約で行えるが、債権者が債務者に通知したときに効 力が発生する(§472Ⅱ) ② 債務者と引受人の2 者間の契約で行えるが、債権者が承諾をしたときに効力が発 生する(§472Ⅲ) ③ 引受人は、引受時に債務者が有する抗弁を対抗(主張)できる(§472 の 2Ⅰ) ④ 債務者が取消権・解除権を有する場合、引受人が権利行使はできないが、債務者 がこれを行使すれば負担を免れる限度で、債務の履行を拒絶できる(§472 の 2Ⅱ) ⑤ 従前の債務のために設定されていた担保・保証は、債権者の単独の意思表示によ って、免責的債務引受の引受人が負担する債務の担保として移すことができる(§ 472 の 4Ⅰ)。ただし、引受人以外の者が担保設定者・保証人である場合は、その 承諾が必要(§472 の 4Ⅲ)。 4 実務への影響 今回の改正により債務引受の要件・効果が明文で規定されたため、従来よりも債務 引受の利用が促進される可能性があります。 特に、債務者が有していた抗弁等を引受人が対抗(主張)できる範囲等が明確にさ れたこと(2の④⑤、3③④)、免責的債務引受において債務に設定された担保等につ いての移転に関するルールが明確化されたこと(3⑤)は、引受人の予測可能性の確 保という点から意義があると考えられます。 他方、債務引受の要件が明文化されたことにより、実務上、債務引受を行うにあた っては、それらの要件を遵守するための十分な準備・対応が求められることは言うま でもありません。 (執筆者 弁護士 島田 敏雄) 本ニュースレターは法的助言を目的とするものではありませんので、個別の案件については、当該案件の個別の状況 に応じた弁護士の助言を受けて下さい。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、当事務所又は当 事務所のクライアントの見解ではありません。 東京都千代田区永田町2-11-1 山王パークタワー21階 TEL 03-6206-1310 5

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