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評論・社会科学 98号(P)☆/1.鰺坂

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要約:本稿では,私立大学における教員と職員の関係を考察するために,まず両者の法令 上の位置づけと両者の関係についての先行理論を,次いで昨今,大学関係者の間で肯定的 に多用される「教職協働」という言葉とその現状を概観した。その上で,私立大学におけ る教員と職員の関係について,「教職協働」という言葉を手がかりに,両者の対等性を確保 するための雇用管理上の形式的要件である労働条件に焦点を当て考察を行った。 考察の結果,労働条件において教員・職員間の対等性を欠く取扱いがなされているとは 言えず,「教職協働」を進めるための雇用管理上の形式的要件は,ほぼ整っていることを確 認した。しかしながら,上記形式的要件の整備にもかかわらず,教員・職員の関係が対等 であるとは言い切れず,また「教職協働」が実現されていない現実から,形式的要件以外 の要因が存在することを指摘した。そして,この要因について考察することが,教員・職 員の関係をより深く考察するために必要であることを指摘した。 キーワード:私立大学,職員,教員,教職協働,対等性 目次 1 はじめに 1−1 本稿の目的・問題意識 1−2 本稿の構成 2 教員と職員の関係 2−1 法令上の位置づけと実際の取扱い 2−2 教員と職員の関係についての先行理論−「車の両輪」論− 3 「教職協働」 3−1 「教職協働」という言葉の定義 3−2 「教職協働」という言葉が登場した背景 3−3 「教職協働」の現状 4 私立大学における教員・職員の関係と「教職協働」の考察 4−1 賃金 4−2 雇用保障 4−3 定年年齢 5 おわりに ──────────── † 同志社大学大学院社会学研究科・博士後期課程 *2011年 5 月 17 日受付,2011 年 10 月 19 日掲載決定

研究ノート

私立大学における職員と教員との関係に関する

一考察

──「教職協働」という言葉を手がかりに──

小室昌志

† 125

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はじめに

1−1 本稿の目的・問題意識 筆者の研究テーマは,「職場としての私立大学の考察−事務職員を中心として−」で ある。 先に小室(2011)で,いわゆる「ステークホルダー」が増えていると指摘したとお り,私立大学には様々な人が関わりを持ち,かつ,それらは増加している。すぐに思い 浮かぶだけでも,学生・教員・事務職員(以下,原則として「職員」という)・学生の 保護者(主として親)・取引業者・近隣住民・近隣で私大に関わる人達を主たる顧客と して飲食店などを営む人,そして卒業生等々が挙げられる。 しかし,研究対象である私立大学を,職員を中心に「職場」として捉えた場合,その 主たる構成員は上記関係者のうち,職員と教員ということになろう。 事実,小室(2010)で取り上げた 2008 年におけるα 地区の主な私大の職員と教員 の人数比率は,前者(職員)を 100 とすると,後者(教員)は 125∼230 と教員が多数 となっている。このことをもってしても,また第三者の感覚としても,教員との関係を 抜きに,職員にとっての職場としての私立大学の研究は不可能であろう。 そこで本稿では,冒頭に記した研究をさらに進めるため,その主たる構成員である教 員と職員の関係について,両者の対等性に重きを置き,職員の視点から,「教職協働」 という言葉を手がかりに考察する。 なお,本稿で言う教員・職員とは,原則として正規雇用労働者である教員・職員を指 している。 1−2 本稿の構成 本稿は,上記の目的・問題意識に基づき,以下の構成により考察を行う。 まず,教員と職員の関係を考察するために,両者の法令上の位置づけと両者の関係に ついての先行理論を概観する。次いで,昨今,大学関係者の間で肯定的に多用される 「教職協働」という言葉とその現状について概観する。そして,私立大学における教員 と職員の関係について,「教職協働」という言葉を手がかりに,両者の対等性を確保す るための雇用管理上の形式的要件である労働条件に焦点を当て考察を行う。 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 126

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教員と職員の関係

2−1 法令上の位置づけと実際の取扱い まず日本の大学における教員・職員の法令上の位置づけと実際の取扱いについて,舘 (2008)に依りながら概観してみる。 法令上,大学における教職員の構成については,学校教育法 92 条 1 項に,次のとお り規定されている。「大学には,学長,教授,准教授,助教,助手及び事務職員を置か なければならない。ただし,教育研究上の組織編制として適切と認められる場合には, 准教授,助教又は助手を置かないことができる。」 この規定を現状に則して記述しなおすと,教員(学長,教授,准教授,助教,助手) と事務職員から構成されているとなる。 しかしながら,同条 2 項では,「大学には,前項のほか,副学長,学部長,講師,技 術職員その他必要な職員を置くことができる」として,前項が指す「学長,教授,准教 授,助教,助手及び事務職員」も「副学長,学部長,講師,技術職員その他」も職員で あるとしている。また,同条 3 項では「学長は,校務をつかさどり,所属職員を統督す る」と明記されている。ここでの「所属職員」に教授・准教授等の教員が入らないはず はない。 さらに,同法 93 条 1 項では「大学には,重要な事項を審議するため,教授会を置か なければならない」とした上で,同条 2 項で「教授会の組織には,准教授その他の職員 を加えることができる」と明記され,教員である准教授が職員の一種であるとしてい る。もし准教授が職員でないとするならば,その表記を「准教授及びその他の職員」と しなければならない。 つまり日本の大学では,法令上の位置づけ・法律の次元においては,教員・事務職員 の両者とも職員なのである。ところが,実際の取扱い・行政の次元になると,文部科学 省の「学校基本調査報告書」における区分に見られるように,「職員」という語は「教 員」の対語として記載されるのである1。なお,行政の次元たる「学校基本調査報告書」 では,学生部長等に教員が就任している場合,当該教員は本務が教員でありつつ,職員 を兼ねている「兼務者」となり,職員としても人数にカウントされる2 また,職員が各種就職説明会や履修説明会で説明者として,学生の前で話をすること は日常的な業務である。しかし,正課授業の中で 1 回程度ゲストスピーカーとして教壇 に立つことは,昨今の業務の多様化・高度化への対応の中であり得ないことではない が,職員が単位認定を伴う正課授業の担当者として,教壇に立つことは現実には考えに くい。さらに,もしそのようなことが行われたとすれば,その職員は「学校基本調査報 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 127

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告書」において,上記とは逆に,本務が職員でありつつ,教員を兼ねている「兼務者」 となり,教員としても人数にカウントされることになる。また実際にも,職員を本務と しつつ,いわゆる「非常勤講師」という名の教員としても取り扱われることになる。 以上要するに,法令上の位置づけ・法律の次元においては,教員も事務職員も同じ職 員である。言い換えれば,法的には両者の関係に対等性が確保されていると言えよう。 しかしながら,実際の取扱い・行政の次元において,両者は異なる区分に属する者とさ れているのである。ここに,後に見る「教職協働の現状」の一端があるとも考えられよ う。 2−2 教員と職員の関係についての先行理論−「車の両輪」論− 教員と職員の関係について触れる際,両者を「車の両輪」に例えることが多々ある。 松下(1992, p.40)によれば,この「車の両輪」という言葉は,慶應義塾大学の小泉信 三氏が 1960 年に刊行された同大学『塾監局小史』の巻頭言で「教授職員と行政職員と は車の両輪である」と述べたことが始まりとされる。そして,この言葉は当時の職員を 励まし,モラールの向上に寄与したことは想像に難くないと指摘する。現在でも,この 言葉を不愉快に思う職員は殆どいないのではないだろうか。 以下,この「車の両輪」論について概観する。上記,松下(1992, p.40)は,この言 葉を賞賛しつつ,「職員の職務の根本的な認識のうえで誤りがある」と指摘する。つま り,車の両輪とは,それぞれが同じ役割・機能を担うものであるが,教員と職員は大学 組織に対して同じ役割・機能を持つものではなく,違った役割・機能をそれぞれに担う ものであるから,例えとして誤りがあるというのである3 逆に,今田(2008, p.32)は,教員と職員を「車の両輪」として考える際には,「教員 と職員の仕事は共同で行われるものとしてではなく,別々のもの,それぞれに固有のも のとして認識されて」おり,「「両輪」と表現されるのは,役割が分かれていることに因 ると考えてよいであろう」と,教員と職員の仕事や役割が異なることを指摘しつつ,両 者を「車の両輪」に例えることに,なんら疑義を呈していない。 教員と職員の関係を「車の両輪」に例えることには,上記のとおり,その是非を巡っ て両論あるが,両者が異なる役割や機能を担っているという点については,一致してい ると考えてよかろう。また,「車の両輪」論が,教員・職員の両者とも大学にとって重 要かつ不可欠な構成要素であり,対等な関係にあることを指摘していると考えてよかろ う。 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 128

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「教職協働」

前章で見た法令上の位置づけでは,教員・職員の関係に対等性が確保されていること が確認された。そして「車の両輪」論においても,両者が異なる役割や機能を担いつ つ,対等な関係にあると指摘されていることが確認された。このような両者が昨今, 「協働」することの必要性が説かれるようになっている。本章では,この「教職協働」 という言葉を手がかりに,教員と職員の関係について概観する。 3−1 「教職協働」という言葉の定義 まず,「教職協働」という言葉の定義を行うこととする。この言葉に対する公式な定 義は存在しない上に,このような抽象的な言葉には,各人各様の理解や表現があること は否めない。例えば,元大学行政管理学会長の横田利久氏は,様々な表現が存在すると 前置きした上で,「異なる主体」・「対等平等」・「目的意識と目標の共有」・「相乗効果」 の 4 点が含まれる必要があると指摘している4 上記のとおり,「教職協働」という言葉に対し,多様な理解や表現が存在することを 認識した上で,筆者なりの定義を記せば,「教員と職員がイコール・パートナーとして, 同じ目的のために,対等の立場で協力して共に働くこと」となろう。 横田利久氏も指摘しているように,筆者は「教職協働」(さらには,教員と職員の関 係)について,特に「対等性」に重きを置き考察を行うこととする。 3−2 「教職協働」という言葉が登場した背景 「教職協働」という言葉が,新聞という大学関係者以外も目にするポピュラーなメデ ィアに初出したのは,『日本経済新聞』2007 年 10 月 29 日朝刊であり,ごく最近であ る5。この初出記事は,「二十一世紀の大学運営を担うにふさわしい意識と能力を兼ね備 えたプロフェッショナルとしての大学行政管理職員(アドミニストレーター)の確立を 目指して,大学行政管理学会が発足して満十年を迎えた」ことをトピックとして,同学 会長(当時)の横田利久氏が,同新聞社の依頼を受け寄稿したものである。 なお,「大学改革が本格化する以前から,職員の,とくに学内的な地位向上を求めて のさまざまな勉強会や運動体が,自然発生的に生まれていた」6との指摘がある。その 具体的な勉強会や運動体の最大のものが,上記の「大学行政・管理の多様な領域を実践 的・理論的に研究することを通して,全国の大学横断的な『職員』相互の啓発と研鑽を 深めるための専門組織」(学会設立趣旨文)として,1997 年に発足した大学職員を会員 とする行政管理学会であること,そして上記,横田利久氏の寄稿記事に,同学会発足時 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 129

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の会員が 134 の私立大学の管理職 340 人だったとあるとおり,こうした勉強会や運動体 を推進していたのは,主として私立大学の職員であったことを付言しておきたい。 以下,上記,横田利久氏の寄稿記事に依りながら,「教職協働」という言葉が登場し た背景について概観する。 そこではまず,「「補助」脱し教員と協働を」との見出しのもとに始まり,同学会を設 立した背景として,「十八歳人口の減少と社会経済のグローバル化が,同時にしかも急 速に進展するという,大学を取り巻く環境の激変があった」ことを挙げ,「こうした中 で,大学改革を推進し国際的にも通用する大学づくりを行うには,まず従来の教員,学 生,職員の役割と関係を変え,教員中心の大学運営スタイルを近代化する必要がある」 と指摘している。 その上で,「職員に活躍の場」との見出しのもと,「こうした環境の変化は,学内の危 機感も手伝って,組織やシステムの担い手であり,ともすれば縁の下の力持ち的存在で あった職員に,表立った活躍の場を与えることとなった。(中略)教育や研究の分野で も,職員はそれまでの補助的立場から一歩踏み込んで,教員との教職協働が求められ, そのありようが具体的な成果の違いとなって表れるようになった」とし,「改革先進校 といわれた大学は,多くの場合,職員力の高い教職協働の先進校でもあったのだ」とい う。 さらに,「高等教育の大衆化時代の到来で,学生の意識やレベルは多様化し」,「きめ 細かな教育支援・学修支援機能の充実は必須課題にな」り,また「研究の学際化・共同 化・国際化に伴う推進機能・支援機能の強化もますます重要性を増している」ことを挙 げ,「こうした業務の複雑化・多様化の結果,教員と職員のどちらの範疇にも属さない 業務領域は増える一方で,職員が積極的に対応することがますます求められるようにな った」と「教職協働」の必要性・さらなる可能性を説いている。なお,このことは,小 室(2011)で指摘した,私大職員の仕事が「定型・受動型」から「非定型・積極的参画 型」へ変化したことと符合する内容でもある。 「教職協働」という言葉が登場した背景は概ね,この寄稿記事の指摘どおりと考えて 間違いはなかろう。しかしさらに筆者なりの見解を加えると,各種審議会答申等に見ら れる文教政策の流れも無視できないと考える。例えば,1998 年の大学審議会答申「21 世紀の大学像と今後の改革方策について−競争的環境の中で個性が輝く大学−」(いわ ゆる「21 世紀答申」)において,「大学の事務組織と教員組織の連携の在り方等を明確 化する必要」が謳われ,2009 年の中央教育審議会大学分科会「中長期的な大学教育の 在り方に関する第二次報告」において,「大学教員の教育研究活動に対する事務職員等 による支援体制の充実が必要」であり,そのための具体的な対応が必要な事項の検討課 題(例)として,「大学事務職員の能力開発,教育研究関連業務の支援者やその組織体 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 130

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制等の整備,専門人材の育成等が必要であり,国はそのための支援方策を検討」するこ とが挙げられている。つまり,こうした答申等の記述から,国も「教職協働」を推進し ている状況にあることが確認され,「教職協働」という言葉が登場した背景に文教政策 があると考えられるのである。 3−3 「教職協働」の現状 本節では,「教職協働」の現状について概観する。結論から先に言えば,私大職員の 仕事が「定型・受動型」から「非定型・積極的参画型」へ変化したものの,国公私立を 問わず,大学運営の次元においても,日々の教育研究活動の次元においても,対等性を 要件とする「教職協働」は,実現していないと言わざるを得ない状況にある。先に見た 横田利久氏の寄稿記事でも,大学行政管理学会の研究グループが 2005 年 10 月に実施し た国公私立大学理事長・学長アンケート調査で「職員の業務活動に満足している」と答 えた理事長・学長は 37.9% にすぎず,「満足していない」が 31.7% に上ったことを挙 げ,「職員の活動に不満なトップがこれだけいることは謙虚に受け止めねばならない」 とし,職員の果たしてきた役割は到底十分とは言えないと認めている状況である。 こうした状況を踏まえ,以下,私立大学・国公立大学それぞれの現状を見てみる。 3−3−1 私立大学の現状 対等性を要件とする「教職協働」が私立大学において実現していない現状を裏付ける 事例や記述には事欠かない。ここでは,その主だったものを以下に挙げてみる。 例えば,大手私大幹部職員の論文に次の記述がある(下線は筆者)。「昨今,教員と事 務職員の関係は「対立の構造から協働の関係にあるべき」と言われている。構成員は本 当に双方がパートナーとして認識しているのだろうか。部分的には協働になっていると ころが見受けられるが。大半の構成員の意識はどうかというと,その意識はいまだに払 拭されていないと言える。(中略)教員が事務職員を真によきパートナーと認めてくれ ないかぎり,教職協働は実現できない。(中略)先生方のパワーポイントの作成を支援 し(後略)」7 もう一つだけ,具体例を挙げる。「教職協働」を大学運営の基本にしていると自負す る私立大学の幹部職員が質問に答える形で以下の記述がある(下線は筆者)。 「Q 教員と職員のかかわりについて,どのように考えますか。 A 職員と教員との力量の関係は,極めて図式的にいえば,職員が成果実績を示せ ば先生方は信頼し,職員の提起を前提として議論してくれる。そんな関係ではない でしょうか。」8 これらの事例で明らかなように,教員と職員が決して対等な関係にあるとは読めない 表現が使われている。上記のとおり,対等性を要件とする「教職協働」が実現していな 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 131

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いことを確認できよう。 3−3−2 国公立大学の現状 参考までに,国立大学・公立大学の現状を見てみよう。ここでも,上述の私立大学に おける状況と同じく,「教職協働」が実現されているとは言えない状況にある。 まず,国立大学の現状であるが,国立大学職員が「大学の自治は「教員の自治」」だ と指摘し,以下のとおり記述している。 「4 月,研究科長・研究所長・センター長が一堂に会する会議でのこと。30∼40 人の 教員がずらっと並ぶ,その後ろに職員の席は設けられている。遠くに教員席を見ながら 新任の挨拶をする。そうか,大学とは「教員」が運営する組織なのか,と象徴的に理解 した瞬間である。(中略)ある日,係長クラスの職員が良い改善案をつぶやいていたの で,それを理事に提案してみたら,と軽い気持ちで勧めてみた。すると,「そんなこと, 事務の私からは言えません。」という反応が即座に返ってきた。驚いて事情を聞けば, 事務職員は教員のことに口を出すな,と再三言われてきたという。「「教・職分業」で来 ましたから……」と評した職員もあった。職員は,教員の決めたとおり補助業務をして いればよいとされてきた長い歴史に気づき,ショックだった。」9 そして,この国立大学職員は最後にこう叫んでいる。「大学運営の根幹に携わってお られる執行部,そして教員の方々,どうか職員を,大学運営の対等なパートナーとして 認めていただきたい。職員なりの論理と,密かなプライドも理解していただきたい。時 には学生を見るようなまなざしで,職員を育てていただきたい。」10ここで書かれている 状況から,「教職協働」など到底望むべくもないように思える。 次に,公立大学の現状をみる。公立大学では,当該大学固有の職員を持たないため, 教員と職員の相互不信感が生まれる土壌があると指摘し,その具体例が次のとおり述べ られている。 「国立や私立に比較して,公立大学では(教員と事務局職員の在職経験年数の違いに よって),教員と事務局職員の間にトラブルや相互不信感が発生する確率が高い。例え ば,教員の側からみると,事務局職員に専門的なノウハウが蓄積されず,また十分な信 頼関係を築く時間もなく,必要な対応策が迅速にとられないことが多い。そして,「事 務局がしっかりしていないから仕事がすすまないし,覚えた頃には異動してしまい,そ れまでの努力も一から再スタートをせざるを得ない」ということになる。一方,事務局 職員の側からみると,教員は事務局職員を一段低い「事務補助者」として,教授会や各 種の委員会では発言を許さずに,単なる議事録作成担当者として扱っている。その割 に,「役所の予算や事務執行についての手続きを知らずに無理難題を押しつけてくる」 ということになる。 相互に不信感をもちやすい要素を内包しているのであるから,教員と職員が一体とな 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 132

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ったスムースな運営は構造的に難点をかかえていることになる。」11 その上で,公立大学が公立大学法人になることによって,固有職員を持つことになり 教員と職員の一体感が生まれる可能性と期待を寄せている12。しかし残念ながら,固有 職員を持っていても,「教職協働」が実現されていないことは私立大学の現状で見たと おりである。 以上,国公私立を問わず,「教職協働」はやはり実現していないのが現状であると言 えよう。

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私立大学における教員・職員の関係と「教職協働」の考察

前章では,国公私立を問わず,対等性を要件とする「教職協働」が実現していない現 状を確認した。本章では,私立大学における教員・職員の関係と「教職協働」につい て,両者の対等性を確保するための雇用管理上の形式的要件として,労働条件に焦点を 当て考察を行う。 職業人にとって,労働条件は極めて大きな意味を持つ事項である。この労働条件に, 教員と職員間であまりにも大きな差異があれば,上記のとおりその関係において対等性 を欠くことになろうこと,また協働しようという意識が生じ得ないことは自明である。 本稿では,小室(2010)で取り上げたα 地区にキャンパスを置く私立大学の労働組合 の連合団体が取りまとめた 2008 年度を対象とした調査資料をもとに,労働条件のうち, ①賃金,②雇用保障,③定年年齢を挙げ,それぞれについて考察する。 4−1 賃金 賃金の主たる構成要素である本俸月額(以下,本俸という)について,職員の対教員 比率を見てみる。α 地区の代表的な 4 校の本俸を取り上げ,その数値をまとめたもの が,表 4−1 である。なお賃金制度であるが,資料を見る限り,教員・職員とも年齢以 外に同一資格内における本俸に,レンジは殆どの私立大学で見られない。つまり,本俸 を決めるのは年齢と資格であると言えよう。小池(1993)の言う「給与表型」の賃金13 と考えてよかろう。 これら 4 校の数値に,際立った差異は見られない14。部長クラスの職員本俸の対教授 本俸比など,各資格に応じて,教員の約 90% の本俸が職員に支給されていると言えよ う。 注目に値するのは次の事項である。イ大学・ウ大学における課長クラスの職員と准教 授との比率は,ほぼ 100% であり,ウ大学における課長補佐クラス・一般職員 A と講 師との比率では,職員たる前者の本俸の方が高くなっている。 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 133

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4−1 職員本俸の対教員本俸比 ア大学 イ大学 ウ大学 エ大学 年 齢 部 長・課 長 クラ ス (対教授比) 係 長・主 任 クラ ス (対准教授比) 一般職員 (対講師比) 対教員比※ 年 齢 部長 ク ラ ス (対教授比) 次長 ク ラ ス (対教授比) 課長 ク ラ ス (対准教授比) 一般職員 (対講師比) 対教員比※ 年 齢 部長 ク ラ ス (対教授比) 課長 ク ラ ス (対准教授比) 課長補佐 クラス ・一 般 職員 A (対講師比) 一般職員 B (対講師比) 対教員比※ 年 齢 部長 ク ラ ス (対教授比) 課長 ク ラ ス (対准教授比) 一般職員 A (対講師比) 一般職員 B (対講師比) 対教員比※ 22 22 22 86.1 % 86.1 % 22 23 23 23 85.6 % 85.6 % 23 24 24 24 85.2 % 85.2 % 24 97.5 % 97.5 % 25 93.9 % 93.9 % 25 25 84.9 % 84.9 % 25 95.0 % 95.0 % 26 93.3 % 93.3 % 26 80.6 % 80.6 % 26 84.5 % 84.5 % 26 93.0 % 93.0 % 27 93.1 % 93.1 % 27 81.5 % 81.5 % 27 84.7 % 84.7 % 27 91.5 % 91.5 % 28 93.0 % 93.0 % 28 82.3 % 82.3 % 28 84.6 % 84.6 % 28 91.2 % 91.2 % 29 92.6 % 92.6 % 29 83.1 % 83.1 % 29 84.6 % 84.6 % 29 91.1 % 91.1 % 30 92.4 % 92.4 % 92.4 % 30 93.9 % 83.8 % 83.8 % 30 90.7 % 84.5 % 90.7 % 30 90.8 % 90.8 % 31 92.1 % 92.2 % 92.2 % 31 94.1 % 84.4 % 84.4 % 31 90.5 % 83.3 % 90.5 % 31 91.3 % 91.3 % 32 92.1 % 92.1 % 92.1 % 32 94.4 % 85.0 % 85.0 % 32 91.4 % 83.3 % 91.4 % 32 91.8 % 91.4 % 91.8 % 33 92.1 % 91.7 % 91.7 % 33 94.6 % 85.1 % 85.1 % 33 92.3 % 83.3 % 92.3 % 33 91.8 % 91.4 % 91.8 % 34 91.4 % 91.2 % 91.2 % 34 98.7 % 98.7 % 94.8 % 85.2 % 85.2 % 34 93.2 % 83.3 % 93.2 % 34 92.0 % 91.5 % 92.0 % 35 91.5 % 91.5 % 91.1 % 91.1 % 35 98.9 % 98.9 % 94.9 % 85.2 % 85.2 % 35 95.2 % 82.8 % 95.2 % 35 92.4 % 92.4 % 91.8 % 92.4 % 36 91.8 % 91.4 % 91.3 % 90.1 % 36 99.2 % 99.0 % 95.1 % 84.9 % 84.9 % 36 96.2 % 82.4 % 82.6 % 36 92.5 % 92.5 % 91.9 % 92.5 % 37 92.1 % 91.2 % 91.1 % 89.4 % 37 99.2 % 98.8 % 95.3 % 84.6 % 84.6 % 37 97.2 % 82.0 % 82.7 % 37 92.0 % 92.0 % 91.3 % 92.0 % 38 92.3 % 91.0 % 90.8 % 88.6 % 38 99.0 % 98.7 % 94.6 % 84.3 % 84.3 % 38 90.7 % 98.1 % 81.6 % 82.8 % 38 91.8 % 91.6 % 90.6 % 91.6 % 39 92.8 % 91.1 % 90.5 % 88.4 % 39 98.9 % 98.5 % 94.1 % 84.0 % 84.0 % 39 90.2 % 98.6 % 81.8 % 82.8 % 39 92.7 % 91.0 % 90.0 % 91.0 % 40 93.0 % 90.9 % 90.4 % 87.8 % 40 98.9 % 98.4 % 93.5 % 83.4 % 83.4 % 40 89.8 % 99.1 % 82.0 % 82.8 % 40 93.0 % 93.0 % 90.5 % 89.4 % 90.5 % 41 92.9 % 90.8 % 90.1 % 87.5 % 41 99.3 % 98.8 % 93.0 % 82.8 % 82.8 % 41 90.7 % 99.6 % 82.2 % 82.8 % 41 93.1 % 93.1 % 90.9 % 89.7 % 89.6 % 42 92.9 % 90.7 % 89.7 % 87.2 % 42 98.8 % 98.3 % 92.5 % 82.3 % 82.3 % 42 91.5 % 99.7 % 82.3 % 82.5 % 42 93.3 % 93.3 % 91.3 % 90.0 % 88.7 % 43 92.9 % 90.7 % 89.4 % 87.0 % 43 97.8 % 97.2 % 93.2 % 83.4 % 83.4 % 43 92.3 % 99.8 % 82.5 % 82.2 % 43 93.5 % 93.5 % 91.5 % 90.2 % 87.8 % 44 92.8 % 90.7 % 89.2 % 86.8 % 44 96.9 % 96.3 % 93.6 % 84.2 % 84.2 % 44 89.2 % 93.1 % 99.9 % 82.7 % 81.9 % 44 93.6 % 93.6 % 91.9 % 90.5 % 87.1 % 45 93.0 % 90.6 % 88.8 % 86.5 % 45 97.0 % 96.3 % 93.3 % 84.9 % 84.9 % 45 89.8 % 93.6 % 100.0 % 82.8 % 82.1 % 45 93.7 % 93.7 % 91.8 % 90.4 % 85.9 % 46 92.9 % 90.5 % 89.0 % 86.3 % 46 98.0 % 95.9 % 95.3 % 85.4 % 85.4 % 46 90.4 % 94.0 % 100.1 % 83.0 % 82.2 % 46 92.9 % 93.7 % 91.9 % 90.5 % 86.0 % 47 92.7 % 90.3 % 89.1 % 86.1 % 47 98.1 % 95.4 % 96.0 % 85.8 % 85.8 % 47 91.0 % 94.4 % 100.2 % 83.1 % 82.4 % 47 92.1 % 93.8 % 92.0 % 90.6 % 85.9 % 48 92.4 % 90.2 % 89.4 % 86.1 % 48 98.6 % 95.1 % 96.7 % 85.9 % 85.9 % 48 91.6 % 94.8 % 100.3 % 83.3 % 82.5 % 48 91.4 % 93.9 % 92.1 % 90.5 % 85.8 % 49 92.2 % 90.0 % 89.5 % 85.9 % 49 98.9 % 94.9 % 97.7 % 86.3 % 86.3 % 49 92.2 % 95.2 % 100.4 % 83.4 % 82.6 % 49 90.7 % 94.0 % 92.2 % 90.6 % 85.8 % 50 91.9 % 89.9 % 89.6 % 86.3 % 50 99.9 % 95.1 % 98.7 % 86.6 % 79.2 % 50 92.0 % 95.5 % 100.4 % 83.6 % 73.4 % 50 90.2 % 94.3 % 92.3 % 90.7 % 82.3 % 51 91.4 % 89.7 % 89.6 % 85.4 % 51 99.6 % 94.3 % 99.0 % 87.0 % 78.8 % 51 91.8 % 95.7 % 100.5 % 83.7 % 73.2 % 51 89.9 % 94.6 % 92.6 % 90.9 % 81.7 % 52 91.0 % 89.5 % 89.5 % 84.6 % 52 99.0 % 93.3 % 99.4 % 87.4 % 78.5 % 52 92.0 % 96.0 % 100.6 % 83.9 % 73.3 % 52 90.1 % 94.7 % 92.6 % 90.8 % 81.1 % 53 90.5 % 89.3 % 89.4 % 83.7 % 53 98.3 % 92.4 % 99.4 % 87.7 % 78.2 % 53 92.2 % 96.2 % 100.7 % 84.0 % 73.5 % 53 90.2 % 94.8 % 92.7 % 90.8 % 80.4 % 54 90.0 % 89.1 % 89.4 % 83.0 % 54 97.6 % 91.5 % 99.4 % 87.8 % 77.6 % 54 92.4 % 96.5 % 100.8 % 84.1 % 73.6 % 54 90.4 % 94.8 % 92.8 % 90.9 % 79.9 % 55 89.6 % 88.9 % 89.2 % 82.2 % 55 96.6 % 90.6 % 99.4 % 87.8 % 77.0 % 55 92.6 % 96.7 % 100.8 % 84.3 % 73.7 % 55 90.5 % 94.7 % 92.6 % 90.7 % 79.2 % 56 89.2 % 88.9 % 89.0 % 81.7 % 56 95.7 % 89.7 % 99.2 % 87.9 % 76.4 % 56 92.8 % 96.9 % 100.9 % 84.4 % 73.9 % 56 90.7 % 94.7 % 92.6 % 90.7 % 78.8 % 57 88.7 % 88.9 % 88.8 % 81.3 % 57 95.4 % 89.4 % 99.0 % 87.9 % 76.2 % 57 92.9 % 97.2 % 101.0 % 84.5 % 74.0 % 57 90.8 % 94.7 % 92.7 % 90.8 % 78.2 % 58 88.3 % 89.0 % 88.6 % 80.9 % 58 95.3 % 89.1 % 98.9 % 87.9 % 76.1 % 58 93.1 % 97.4 % 101.1 % 83.8 % 74.1 % 58 90.9 % 94.7 % 92.8 % 90.8 % 77.7 % 59 87.9 % 89.0 % 88.5 % 80.4 % 59 95.6 % 89.3 % 98.7 % 88.0 % 76.3 % 59 93.3 % 97.6 % 101.1 % 83.1 % 74.2 % 59 90.9 % 94.7 % 92.8 % 90.9 % 77.2 % 60 87.5 % 89.0 % 88.4 % 80.1 % 60 95.6 % 89.3 % 98.6 % 87.9 % 76.3 % 60 93.4 % 97.8 % 102.0 % 83.1 % 74.4 % 60 91.0 % 94.8 % 92.9 % 90.9 % 76.7 % 61 87.3 % 89.1 % 88.4 % 79.9 % 61 93.5 % 98.0 % 102.5 % 83.1 % 74.4 % 61 91.0 % 94.8 % 92.9 % 91.0 % 76.6 % 62 87.1 % 89.2 % 88.4 % 79.7 % 62 93.6 % 98.1 % 102.9 % 83.1 % 74.5 % 62 91.1 % 94.9 % 93.0 % 91.0 % 76.4 % 63 86.9 % 89.2 % 88.4 % 79.4 % 63 93.7 % 98.2 % 103.4 % 83.1 % 74.6 % 63 91.2 % 95.0 % 93.0 % 91.1 % 76.3 % 64 86.7 % 89.3 % 88.4 % 79.3 % 64 93.8 % 98.3 % 103.8 % 83.1 % 74.6 % 64 91.2 % 95.1 % 93.1 % 91.1 % 76.2 % 65 86.4 % 89.4 % 88.3 % 79.1 % 対教員比* 役職者クラスに昇格をしなかった職員と順調に昇格した教員との本俸比率を示した。 (ア大学においては, 50 歳以上は係長・主任クラスを,ウ大 学においては , 課長補佐クラス ・ 一般職員 A を , エ大学においては , 一 般 職員 A を対象とした。ただし,上記クラスの職員が存在しない年齢層においては,その一つ下の資格にある職員を対象とした。 順調に昇格した教員として, 22−35 歳を専任講師・ 36−49 歳を准教授・ 50 歳以上を教授とした。この比率を提示した理由は,ほとんどの教員 が最終的には教授となるのに対し , 職員の場合には , 必ずしも全員が役職者ク ラスにまで昇格する訳ではないためである。 ) 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 134

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対教員比として,役職者クラスに昇格をしなかった職員と順調に昇格した教員との本 俸比率を示した。そこにおいては,高齢になれば 70% 台後半(ウ大学では 70% 台半 ば)になるが,このことも以下に示すような事情により,教員と対等性を欠くと言える ほどの差異のない額の賃金が支給されていると考えられる。 上記の事情とは,次のような事項である。まず教員の場合には,学部卒で即専任教員 になることはほぼ不可能であり,いわゆる正規雇用の労働者になるのが職員より遅いた め,単年度だけの数値をもってその多寡を語ることは不適切な面がある。つまりは,生 涯賃金で職員と比較した場合には,その差が逆転することも考えられる。また,当該大 学の教員になるまでの経歴によって,実年齢 30 歳であっても 27 歳の本俸が支払われる といった,いわゆる「前歴換算」と呼ばれる制度15が残っている私立大学もあり,表 4 −1で示したとおりの本俸が支払われているとは限らない。さらに,もちろん各私大に よって異なるが,基準講義数(いわゆる「基準コマ数」)を超えて科目を担当した場合, 職員の時間外手当に相当する増担手当が支給されることになるものの,これも余程の例 外を除き,下に述べる職員の時間外手当の額とは比較にならないほど低い。なお,学部 長や学生部長等の役職に教員が就任した際には,役職手当が支給されるが,そのような 役職に就任している教員は私立大学全体においてごく一部である。 一方の職員には,本俸に加え,役職者には役職手当が,非役職者には時間外手当が支 給される。もちろん,上述の役職者クラスに昇格をしなかった職員に対しても,時間外 手当が支給され16,かなりの金額にのぼる。「役職者になったら,給料が減る」という 言葉は,あながち誤りだとも言い切れない。 また,家族手当や住宅手当等の手当について,教員と職員は同じ取扱いがなされてい る。 次に賞与についてであるが,教員と職員で算定月数等が異なる私大は,23 校中,2 校 のみである。その 2 校では,両校とも職員の算定月数が年間で,0.15 ヵ月多くなってい るだけであり,賞与の算定月数は教員と職員との間に実質的な差異はないと考えられ る。 以上要するに,もちろん教員・職員個々人によってケースが異なるが,教員と職員の 賃金の差異は対等性を欠くとまでは言えない状況にあると考えてよかろう17 なお,資料を見る限り,調査対象としたα 地区の私立大学の労働組合は,全て「教 職員組合」であり,教員・職員とも同一の労働組合に加入している。このことは,戦後 日本の労働組合が工職混合組合が中心であることにも通じる。また,こうした労働組合 員の構成が,ここで見た対等性を欠くと言えるほどの差異のない賃金につながっている と見ることもできよう18 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 135

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4−2 雇用保障 次に,雇用保障について見てみよう。この点については,他産業に見られない,大学 に特徴的な事項を見ることができる。そのことを示す事例として,私立大学教員の雇用 保険への加入をめぐる問題,そして解雇・免職と教授会との関係が挙げられる。 4−2−1 私立大学教員の雇用保険加入を巡る問題 雇用保険法が 1975 年に施行された際,私立学校の「教職員」に対しても保険加入を 義務付けた。しかしながら,私立大学の「教員」は身分(雇用)保障が手厚かったた め,旧失業保険法では「任意適用」になっていたことや,雇用保険法の施行後,雇用保 険制度よりも充実した共済制度を私立大学間で作る動きがあり,旧労働省は 1980 年の 通達で「当面は法的強制措置は差し控える」という措置をとった19 その後紆余曲折を経て,政府は 2002 年 3 月末,「規制改革推進三か年計画」で「私立 学校教員などについては,雇用保険への加入を速やかに促進する」ことを求めると閣議 決定した。しかしながら,大半の私立大学は「雇用保険に加入せずとも実質的な失業給 付制度が整備されている」と主張し,日本私立大学連盟は「離職率の低い教員を保険に 加入させても,保険料に見合う恩恵がない」と反対の立場をとった20 厚生労働省雇用保険課は,上記閣議決定を受けて「入るべき資格のある人が入ってい ないのは違法だ」とコメントしつつも,この時点でも私立大学に制度の趣旨等を改めて 説明して,加入を働きかける考え21に留まっていた。 そして,2004 年 4 月末現在,厚生労働省の調査で,私立大学・私立短大の教員の 8 割が雇用保険に加入していないことが判明し,同省の再三にわたる加入働きかけにも反 応が鈍いことを受け,「これ以上違法状態を放置できない」として,職権による強制加 入に踏み切ることも視野に入れ,本格的な指導に乗り出した22 その結果,厚生労働省は 2004 年 12 月 4 日,2005 年度の加入手続き期限の 2005 年 5 月までに届け出や計画を提出しない場合には,職権による強制加入に踏み切ることを決 定するに至り,都道府県労働局長に同月 6 日付で通達を出し,翌 2005 年早々にも一斉 指導に入ることとなった23。こうした指導を察知してか,日本私立大学連盟は,直前の 2004年 11 月末に「各校の自主的判断に委ねる」と姿勢を改めた24 つまり,途中,通達により特例措置があったにせよ,現在では私立大学の教員がほぼ 実質的に雇用保険に加入している状態にあると言える。 なお,当然のことながら,職員は加入要件を満たす限り強制加入している。 4−2−2 私立大学教員の解雇・免職と教授会の関係 私立大学教員の解雇・免職と教授会の関係についての判例は次のとおり 2 つに大別で きる。 a)教授会の議を経ていないことを理由に私立大学教授に対する解雇を無効とした事 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 136

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例 この事例として,八代学院事件(神戸地判昭和 51 年 9 月 14 日),八代学院大学事 件(神戸地判昭和 54 年 12 月 25 日),前橋育英学園短期大学事件(前橋地判昭和 63 年 3 月 11 日)がある。 b)教授会の議決と異なったとしても,理事会の解雇の決定が有効とされた事例 この事例として,西日本短期大学事件(福岡地判平成 10 年 10 月 21 日),甲南学園 事件(大阪高判平成 10 年 11 月 26 日)がある。 詳細は割愛するが,これら判例から,私大教員の解雇・免職と教授会の関係について の法的見解は,以下のとおり解釈できると考える。 理事会が,教員の解雇を行う場合には,原則として教授会の審議を要する。ただし, 教員の解雇を含む最終的な人事権は,理事会に属するものであり,例え,理事会の結論 が教授会の議決と異なったとしても,教授会を完全に無視して理事会が一方的に決議を しようとしているような場合は別として,そのこと故に理事会の決定が直ちに違法とな るものとは解されたり,理事会の任免権限を拘束することはできない。 要するに,教員の解雇に際しては,その任免権限が理事会に属するものの,原則とし て教授会の審議が必要であり,この審議を経ていない教員の解雇は無効になると解され ることになろう。つまり,教員の解雇・免職には教授会の審議という手続が必要になる ということである25 一方,職員の解雇に際して,職員会等の審議を経ていない故に解雇が無効になること は,社会通念上考えられない。このように書くと,教員・職員の雇用保障の強弱には, 相当な差異があるように読める。しかしながら,実際に解雇に相当する行為を行った場 合,教員・職員を問わず,結果として解雇処分になるということに違いはない。したが って,教員がほぼ雇用保険に加入している現状と併せ考えると,この雇用保障の強弱は 手続上の問題であって,教員・職員間に対等性を大きく欠く取扱いがあると見るには無 理があろう。 4−3 定年年齢 α 地区で教員と職員で定年年齢に差異のある私立大学は 23 校中,14 校存在し,その 割合を算出すると,60.9% となる。また,特例により定年を延長する 3 校を差異のある 私立大学として算定すると,23 校中,17 校となり,その割合を算出すると,73.9% と なる26。なお,この差異は,すべて教員の定年年齢が職員のそれより高くなっている。 定年年齢差であるが,2 歳差が 2 校,3 歳差が 2 校,5 歳差が 10 校となっている。5 歳差の私立大学が最多となっているが,これは一般に大学教員となるために必要な年数 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 137

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(修士課程 2 年・博士後期課程 3 年)を考慮してのものと考えられる。なお,年齢差が 5歳となっている私立大学の職員の定年年齢は,1 校を除き 60 歳である。これらの私立 大学では,「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(いわゆる「高齢者雇用安定法」)」 の改正により,同法 9 条において,65 歳までの安定した雇用を確保するため,当該定 年の引上げや継続雇用制度の導入等が求められることになる。教員と定年年齢を同一に まで引き上げるかは別としても,何らかの対応を迫られていることであろう。 なお,こうした年齢差は教員・職員それぞれの職務の性格によっていると考えること もできる27 これら教員・職員の労働条件についてまとめると,全くのイコールでないことは事実 である。しかしながら,これらの差異には憲法で保障された学問の自由や学校教育法に 規定する教授会自治等,それぞれに理由があってのことであり,また,これらの差異が 教員と職員の関係に対等性を欠く取扱いであり,「教職協働」の実現を阻むほどの大き なものであると言い切るには無理があろう。

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おわりに

本稿では,「職場としての私立大学の考察−事務職員を中心として−」という筆者の 研究をさらに一歩前に進めるため,「教職協働」という言葉を手がかりに,私立大学と いう職場の主たる構成員である教員と職員の関係について,両者の対等性に重きを置 き,考察を行った。 考察の結果,前章でのまとめとして記述したとおり,教員・職員間で労働条件におけ る上記の事項が全てイコールでないことは確かであるが,この差異が,教員と職員の関 係に対等性を欠くものであり,「教職協働」の実現を阻むほどの大きなものであるとは 言い切れないことを確認した。戦後民主主義の流れの賜物と言ってもよいであろう。要 するに,労働条件において教員・職員間の対等性を欠く取扱いがなされているとは言え ず,「教職協働」を進めるための雇用管理上の形式的要件は,ほぼ整っていると言えよ う。また,先に見た法令上の位置づけからも,教員・職員の関係に対等性が確保されて いることが確認できること,さらには,これも先に見た各種答申の記述に見られるよう に国も「教職協働」を促している状況にあることも確認された。 しかし,こうした形式的要件の整備にもかかわらず,教員・職員の関係が対等である とは言い切れず,「教職協働」が実現されていない現実がある。もちろん,上に見た労 働条件等がすべての形式的要件だと言い切るつもりはない。他にも例えば,学長など学 内の要職を教員が占めているという現実もあろう。しかし,こうした要職に就いている 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 138

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教員は一部である。職員と異なり,教員間の関係が同僚的であることは事実である が28,要職に就いていない教員と職員の関係においても対等であるとは言い切れない事 態からは,形式的要件以外の要因が存在することが浮かび上がってこよう。本稿では, この要因について具体的に深く立ち入った考察は行わなかったが,教員と職員の関係を 考える上で,今後に課せられた大きな課題となろう29 また,本稿における考察は,日本の私立大学における教員と職員との関係に留まって いる。今後は,日本がモデルとしたドイツやアメリカの大学における教員と職員の関係 や「教職協働」がどのようなものであるのかについての比較考察が求められることにな ろう。この点についても,今後の課題としたい。 注 ⑴ 舘(2008),p.61。 ⑵ 文部科学省(2006),p.587。 ⑶ さらに,この言葉によって,教員と職員の両者とも教育・研究という同じ勤務理念を持つべきだとい う誤った認識を与え,結果,職員の業務は裏方であったり,縁の下の力持ちといった理解を生み出す 一因となったと批判する。 ⑷ 横田(2011),p.19。 ⑸ 朝日・読売・毎日・産経・日経の 5 大全国紙の新聞記事データベースで「教職協働」をキーワードと して検索した結果,2011 年 3 月 25 日時点で朝日・読売・日経が各 1 記事,毎日・産経は 0 であった。 なお,その見出しと掲載日は,朝日が「(全入時代)経営改革職員が主役 勝ち残り戦略,担い手に」 (2007 年 12 月 3 日朝刊),読売が「特集「教育力向上への取り組み」調査(下)その 4」(2008 年 7 月 21日朝刊),日経は本稿記載のとおり,「管理学会発足 10 年,大学改革,職員に重責−大学行政管理 学会長横田利久氏(教育)」(2007 年 10 月 29 日朝刊)であり,3 記事とも「教職協働」に対して肯定 的な内容となっている。一方,この言葉が,まだ社会一般に広く認識されていないことも確認できよ う。 ⑹ 山本(2008),p.12。 ⑺ 小西(2008),pp.52−53。 ⑻ 伊藤(2006),p.175。 ⑼ 里見(2008),p.41。 ⑽ 里見(2008),p.43。 ⑾ 南(2005),p.23。 ⑿ 南(2005),p.24。 ⒀ 小池(1993),p.155。 ⒁ 4 校以外の小規模私立大学 2 校にも同じ調査を行ったが,同様の結果であった。 ⒂ 日本の大企業において見られる,他社での前職経験を評価する「経歴換算」(小池(2005),p.50)に 近い制度と考えられる。 ⒃ 昨今,大学における時間外手当の不払いが新聞報道等で散見される。中には,オーナー経営の私立大 学が時間外手当を支払う上限時間を設定し,職員が同上限時間を超えて勤務しているにもかかわらず, 時間外手当を支払わなかった疑いで書類送検されるケースも見られた(『朝日新聞』2008 年 3 月 7 日 朝刊・『日本経済新聞』2008 年 3 月 7 日朝刊・『読売新聞』2008 年 3 月 7 日大阪朝刊)。しかしながら, この事件の記事で「時間外手当の不払いをめぐり,大学側が立件されるのは極めて異例」と指摘され ているように,多くの私立大学で指摘された時間外手当不払いの原因は,労働時間管理やその認識の 甘さであると考えられる(例えば,出勤簿に記録された勤務時間より業務用パソコンの使用時間が長 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 139

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いことが確認され,不払いが明らかになった例(『朝日新聞』2009 年 3 月 19 日朝刊(地域面)・『読売 新聞』2009 年 3 月 19 日大阪朝刊(地域面))や,課長補佐職等のいわゆる「名ばかり管理職」に時間 外手当を含め管理職手当として支給していた例(『朝日新聞』2008 年 4 月 3 日大阪夕刊等))。新聞報 道を見る限りにおいては,申告した時間外労働に対し手当が支払われないという形での違法行為が行 われているとは考えにくい。 なお,国立大学は 2004 年 4 月の独法化で,その職員が労働基準法の対象となり,時間外手当の不払 いが表面化するケースが相次いでいる(『読売新聞』2008 年 3 月 15 日大阪朝刊)と指摘されていると おり,昨今の大学職員の時間外手当不払いの多くは,国立大学で起こっている。 ⒄ 教員と職員の関係と,かつての職員と工員の関係を直截に比較することにやや無理があるが,参考ま でに,1959 年 3 月当時で工員の基準内給与(きまって支給する給与から時間外手当を除いた給与)は 職員のそれに対して,62.5% であり,大きな差異が見られる。また,賞与(年額)の支給月分は職員 3.45ヵ月分・工員 2.12 ヵ月分であり,この比率に至っては,39.2% と非常に大きな差異が見られる (人事院(1960),p.22)。 ⒅ 日本では工職一体の労働組合は工職一体の賃金体系を志向し,ある程度それを実現してきたという指 摘(久本(2002),p.167)に整合的であるとも言える。 ⒆ 『朝日新聞』2004 年 12 月 5 日朝刊。 ⒇ 『朝日新聞』2002 年 4 月 5 日朝刊。 同上。 『朝日新聞』2004 年 7 月 17 日夕刊。 『朝日新聞』2004 年 12 月 5 日朝刊。 同上。 判例で示されているところでは,教員の解雇に際して求められる教授会審議の源泉は,憲法 23 条に保 障する学問の自由や学校教育法 93 条等に定める教授会の自治といった法に規定された性格のものであ る。 なお,こうした手続は,明治 26 年の「帝国大学官制」における「高等官ノ進退ニ関シテハ(総長 が)文部大臣ニ具申」しなければならいという規定にまで遡る長い歴史を持つものであるとされる (天野(2009),p.343)。 参考までに『昭和 51 年 雇用管理調査報告』によれば,1976 年当時で定年制を定めている企業は 74 %となっている。さらに,定年制を実施している企業について定年制の決め方をみると,一律定年が 71%,男女別定年制が 24%,職業別定年制は 4% となっている(労働大臣官房統計情報部(1976), p.19)。 例えば,「高年になり技能が下がるとの見解は,しばしば体力中心の測定値にもとづく。敏捷性,視 力,聴力などの数値は高年になると当然落ちる。しかし,(中略)現代の職場で枢要な技能,知的熟練 をおもいおこしてほしい。それは体力ではなく知的能力,変化と問題への対応能力による」との指摘 がある(小池(2005),p.208)。この指摘に従えば,知的能力が求められる教員の技能は高年になって も下がることはなく,定年年齢が高いことと整合的である。ただし,その仕事が「非定型・積極的参 画型」へ変化した現在,職員にも知的能力・変化と問題への対応能力が求められている。とすれば, 職員以上に教員には従前に増して,より高度な知的能力・変化と問題への対応能力が求められている ことになる。なお,教員が現代の職場においても,職員を含む他の労働者より一層高度な知的能力を 求められるということに異論はないであろう。 カーネギー教育振興財団が 1992 年−1993 年にかけて実施した「カーネギー大学教授国際調査」の結 果によると,日本はオランダとドイツに次いで,大学の管理運営が「同僚制」の管理運営である分権 的な管理運営であるとされる(有本・江原(1996),p.72・p.106)。 ただし,2007 年に上記調査と同一質問紙を用いて,ほぼ同じ対象に実施した全国調査によれば,同 僚制から官僚制へ急速に移行している(有本(2008),p.326)。 教員が要職を占めていることと職員の関係については,私立大学のガバナンス論として,別稿を起こ したい。 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 140

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参考文献 天野郁夫(2009)『大学の誕生(下)−大学への挑戦』中公新書,p.343。 有本章編著(2008)『変貌する日本の大学教授職』玉川大学出版部,p.326。 有本章・江原武一(1996)『大学教授職の国際比較』玉川大学出版部,p.72・p.106。 伊藤昇(2006)「大学職員論−人事政策を軸として−」川本八郎・近森節子編『大学行政論Ⅰ』東信堂, p.175。 今田晶子(2008)「「コラボレーション」の前提を考える−教員・職員関係論の試み−」『大学教育学会誌』 第 30 巻第 2 号,p.32。 小池和男(1993)『アメリカのホワイトカラー−日米どちらがより『実力主義』か』東洋経済新報社, p.155。 小池和男(2005)『仕事の経済学(第 3 版)』東洋経済新報社,p.50・p.208。 小西靖洋(2008)「大学事務組織改革は誰のため」『大学時報』335 号,日本私立大学連盟,pp.52−53。 小室昌志(2010)「私立大学職員の就業形態の変遷に関する一考察−正規雇用職員と有期契約職員の分析を 中心として−」『評論・社会科学』No.93,同志社大学社会学会,pp.97−127。 小室昌志(2011)「私立大学職員の仕事とその変化等に関する一考察」『評論・社会科学』No.95,同志社大 学社会学会,pp.61−84。 里見朋香(2008)「「体験的」大学職員論」『IDE 現代の高等教育』No.499, p.41・p.43。 人事院(1960)『昭和 34 年 職種別民間給与実態調査の報告』,p.22。 舘昭(2008)「大学職員論」『IDE 現代の高等教育』No.499, p.61。 久本憲夫(2002)「重要化する苦情処理と労働組合」仁田道夫編『労使関係の新世紀』日本労働研究機構, p.167。 松下智之(1992)「なぜ管理職に期待がかかるのか」『大学時報』223 号,日本私立大学連盟,p.40。 南学(2005)「公立大学(法人)職員への期待」『IDE 現代の高等教育』No.469, p.23・p.24。 文部科学省(2006)『平成 18 年度 学校基本調査報告書:高等教育機関』国立印刷局,p.587。 山本眞一(2008)「これからの大学職員」『IDE 現代の高等教育』No.499, p.12。 横田利久(2011)「「協働」が職員力を高め大学を元気にする」『「協働」から生まれる職員の能力開発』第 8回 SD(Staff Development)フォラーム報告集,大学コンソーシアム京都,p.19。 労働大臣官房統計情報部(1976)『昭和 51 年 雇用管理調査報告』,p.19。 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 141

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This paper is a research of the actual situation and for realization of“the equal footing col-laboration between faculty and clerical staffs”in Japanese private universities. The purpose of this paper is to make clear the relation between faculty and clerical staffs in Japanese private universities through considering actual situation of the expression of“the equal footing collabora-tion between faculty and clerical staffs”.

For the purpose noted above, firstly, this study focused on the actual situation in which that expression means. Nextly, as necessary conditions for realizing that expression, the study focuses on labor conditions.

The main findings are as follows. The actual situation has not been true to that expression. It is only labor conditions that meet the requirements as necessary conditions for realization of that expression. Then what really hiders the equal footing is to be studied in the next research.

A Review on the Relation between Faculty and

Clerical Staffs in Japanese Private Universities :

An Analysis of the Expression of“the Equal Footing Collaboration between Faculty and Clerical Staffs”

Masashi Komuro

私立大学における職員と教員との関係に関する一考察 142

参照

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