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d (K + U) = v [ma F(r)] = (2.4.4) t = t r(t ) = r t 1 r(t 1 ) = r 1 U(r 1 ) U(r ) = t1 t du t1 = t F(r(t)) dr(t) r1 = F dr (2.4.5) r F 2 F ( F) r A r

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(1)

2.4

仕事とエネルギー

力学的エネルギーとその保存 (運動の恒量) これまで物体の運動を記述するための運動学についてまず説明し、その後で力の影響下にある物 体の運動についてのニュートンの法則について説明した。物体の運動の時間変化が常微分方程式に よって記述されることも示した。 運動方程式の性質から、時間変化せずに常に一定の値に保たれる物理量の存在することが知られ ている。これを保存則と呼び、一定に保たれる物理量のことを運動の恒量、または保存量と呼ぶ。 よく知られた保存量としては、エネルギー、運動量、角運動量などがある。これ以外にも電荷の保 存や、パリティの保存、質量の保存などもある。状況によっては保存則が破れる場合もある。力学 の場合、保存則が成り立つことは運動方程式を用いて示すことができる。保存則は一般に、対象と なる系に内在する対称性と密接に関係することが知られている。対称性と関係がある物理量が保存 すると言うこともできる。 力学系において、ある物体が位置のエネルギーによる力を受けて運動する場合、その運動エネル ギーと位置のエネルギーの和は一定に保たれる。この位置のエネルギーによる力のことを、保存力 と呼ぶこともある。そこでまず、保存力を以下に定義する。 位置のエネルギーによる力 – 保存力 位置座標についてのあるスカラー関数 U (r) を用い、力が その勾配∇ (偏微分についての配布資料を参照) を用いて次のように表される場合、その力を保存 力と呼ぶ。 F(r) = ( ∂U ∂x, ∂U ∂y, ∂U ∂z ) =−∇U(r) (2.4.1) スカラー関数に勾配が作用すると、上の例からもわかるようにその結果としてベクトルが得られ る。保存力を与えるスカラー関数のことを、位置のエネルギーをより一般化したものとしてポテン シャルエネルギーと呼ぶことが多い。 運動方程式を用い、まずエネルギーについて考えて見よう。そのために、以下のようにニュート ンの運動方程式と速度の内積を考えて見よう。 運動エネルギーの時間変化 上の第 2 式に示されているように、第 1 項は運動エネルギーとして 知られる K = mv2/2の時間微分の形に表すことができる。 dK dt = d dt ( 1 2mv 2 ) = mv·dv dt = v· (ma) (2.4.2) 位置の (ポテンシャル) エネルギーの時間変化 力が保存力の場合で、そのポテンシャルが関数 U (r(t))で与えられるとする。物体の運動によってその座標が r(t) から r(t) + dr(t) に変化したと すれば、ポテンシャルの変化 dU は次のように表される。 dU = U (r(t) + dr(t))− U(r(t)) = ∂U ∂xdx(t) + ∂U ∂ydy(t) + ∂U ∂zdz(t) =∇U(r(t)) · dr(t) この両辺を dt で割れば、ポテンシャル U (r(t)) についての時間微分が以下のように求まる。 dU dt = ∂U ∂x dx(t) dt + ∂U ∂x dy(t) dt + ∂U ∂x dz(t) dt =∇U · dr(t) dt =−F(r) · v(t) (2.4.3)

(2)

つまり、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和の温度微分について次の式が成り立つ。 d dt(K + U ) = v· [ma − F(r)] = 0 (2.4.4) 運動方程式が成り立つことから、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和は時間変化せず、 保存量であることが導かれる。運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和を、力学的エネル ギーと呼ぶ。力学的エネルギーが保存するのは、力が保存力であることや、ポテンシャルに時間変 化がないことが必要である。 ある時刻 t = t0における物体の位置座標が r(t0) = r0、その後の運動により時刻 t1に r(t1) = r1 に到達したと考えた場合、運動の前後におけるポテンシャルの変化は次式で求められる。 U (r1)− U(r0) = ∫ t1 t0 dU dtdt =−t1 t0 F(r(t))· dr(t) dt dt =−r1 r0 F· dr (2.4.5) 力 F がポテンシャルによって生じた物体に作用する力であると考えたとき、上の式は、ある 2 点 間のポテンシャルの変化を物体に作用する力で表したものと考えられる。物体の運動の経路に沿っ た上の式の最後の積分を線積分と呼ぶ。保存力の場合、この積分の値は経路によらず始点と終点に おけるポテンシャルの差で決まる。 仕事 物体にある力 F が作用しているとき、それに抗して反対向きの力 (−F) をかけ、物体の位置座 標を rA から rB まで変化させたとき、次の積分として物体になされた仕事 W が定義される。 W =−rB rA F· dr ≡ −i F(ri)· ∆ri, ∆ri= ri+1− ri ここでは rAから rB までの物体の運動の軌道上の座標を距離が n 等分されるように途中の座標を r1, r2,· · · , rn= rB と定義した。変位ベクトルと力の内積で仕事が定義されていることに注意が必 要である。つまり、力の大きさと距離を、Fi=|Fi|, si=|∆ri| と定義すると、∆Wi= Fisicos θi が成り立つ。θi は力と変位ベクトルの成す角度である。物体になされた仕事とポテンシャルエネ ルギーの変化との間に次の関係が成り立つ。 ∆U = W 物体になされた仕事は、同じ量だけエネルギーが増加する。逆に、物体が仕事をすると同じ量だ けのエネルギーが減少する。したがって、仕事とエネルギーは同じ単位を持ち、力とエネルギーと の単位の間には次の関係が成り立つ。 [力] = [エネルギー] [長さ] エネルギーはスカラー量であり、相対的な値でもある。即ち、原点を決めることによってその値が 決まる。積分定数の不定性があると考えることもできる。 重力による位置エネルギーと仕事 物体に力を加え高さが変化すると重力による位置エネルギーが変化する。この位置エネルギーの 変化は、重力に抗するように外部から物体に加えられた力による仕事に等しい。質量 m の物体に

(3)

作用する重力が (0, 0,−mg) で与えられるとき、重力と逆向きの力 F = (0, 0, mg) を作用させて物 体を垂直上向きに z = 0 から z = h まで移動させるに要する仕事は次のように求められる。 W =F· dr = Fh 0 dz = mgh F = (0, 0, mg) と、垂直方向の移動であるので dr = (0, 0, dz) が成り立つことを用いた。これは、 ポテンシャルエネルギー (位置エネルギー) の差に等しい。 一般に重力を受けながら任意の軌跡にしたがって物体を 点 O = (0, 0, 0) から、点 P = (x, y, z) まで移動するに要する仕事は、以下のように求められる。 W = ∫ P O F· dr =z 0 Fzdz′= mgz 0 dz′ = mgz 参考 空間座標の変化によるポテンシャルエネルギーへの影響 (関数の全微分) 位置座標の変化によるポテンシャルエネルギーの変化は、全微分を用いて次のように表される。 dU (x, y, z) = U (x + dx, y + dy, z + dz)− U(x, y, z) = ∂U

∂xdx + ∂U ∂ydy + ∂U ∂zdz 複数の変数についてのある関数 F (x, y, z) のそれぞれの変数 x, y, z の値がそれぞれ dx, dy, dz だ け変化したとき、関数 F の変化量が全微分 dF である。 合成関数、例えば関数 F (r) があるひとつの変数 r2 = x2+ y2+ z2 を通して変数 x, y, z に依 存するとき、この関数の x に関する偏微分を次のように求めることができる。 dF (r) =dF (r) dr dr, ∴ d(r 2 ) = 2rdr 同様にそれぞれの座標変数毎に、dx2= 2xdx, dy2= 2ydy, dz2= 2zdz が成り立つので、次の関 係も成り立つ。 2rdr = 2xdx + 2ydy + 2zdz, ∂r ∂x = x r, · · · この両辺を 2r で割った式を上の式に代入し、関数 F (r) の全微分と、x に関する偏微分が以下の ように表される。 dF (r) =dF (r) dr 1 r(xdx + ydy + zdz), ∂F ∂x = ∂F ∂r ∂r ∂x = x r ∂F ∂r (2.4.6) 2.4.1 復習 多変数関数の全微分について 偏微分に関する配布資料を用いて説明を行う。 2変数関数 f (x, y) の 2 つの変数が同時に変化したときの関数の増分 ∆f は、点 (x, y) の近傍で 以下のように近似できる。 ∆f (x, y) = f (x + dx, y + dy)− f(x, y) ≃ df(x, y), df(x, y) = ∂f ∂xdx + ∂f ∂ydy 偏微分係数を用いて定義された df のことを全微分と呼ぶ。1 変数関数の df (x) = f′(x)dx が、 座標 x の近傍の関数の変化を接線で近似するのと同様に、上の全微分 df (x, y) は、3 次元空間の z = f (x, y)で定義される曲面で、点 P= (x, y) 近傍の曲面上の点を接平面で近似するものである。 空間座標の変化に伴うポテンシャル U (r) の変化は、全微分を用いて表される。

U (r + dr)− U(r) ≃ dU(r) = ∂U ∂xdx +

∂U ∂ydy +

∂U

(4)

したがって、空間座標の変化がその時間依存性によるものであれば、ポテンシャルの時間変化を、 dU =∇U · dr(t) = ∇U · v(t)dt, dr(t) = dr(t) dt dt = v(t)dt と表すこともできる。つまり、ポテンシャルの変化は時間変化と空間変化のどちらを利用しても求 めることができ、同じ値が得られる。 U (r1)− U(r0) = ∫ t1 t0 dU dtdt =t1 t0 ∇U · v(t)dt = −t1 t0 F· v(t)dt = ∫ r1 r0 ∇U · dr = −r1 r0 F· dr ここで、力とポテンシャルの間に成り立つ重要な関係式を用いた。 F =−∇U 弾力によるポテンシャルエネルギー 原点でポテンシャルが U (x) = 0 としたとき、正および負の 座標位置 x におけるポテンシャルエネルギーは、定義より次のように求めることができる。まず、 −F · dr を求めてみるとよい。 • x > 0 の場合: 正の方向に移動したとき (dx > 0)、負の向きのの力 (F = −kx < 0) を受け るので、−F · dr = kxdx > 0 が成り立つ。 U =−F· dr =x 0 (kx′)dx′= 1 2kx 2 • x < 0 の場合: 負の向きの移動 (dx < 0) に対し、正の向きのの力 (F = −kx > 0) を受ける ので、−F · dr = kxdx > 0 が成り立つ。 U =−F· dr =x 0 (kx′)dx′= 1 2kx 2 単振り子のポテンシャルエネルギー 振り子のひもの長さ方向の力のつりあいの条件から、重りに

作用する力は F =−mg sin θ(cos θ, sin θ) である。一方、座標 (x, y) = (L sin θ, L(1 − cos θ)) の変 化について、dx = L cos θdθ, dy = L sin θdθ が成り立つ。 −F · dr = mgL sin θdθ 角度について力を積分することにより、ポテンシャルエネルギーを求めることができる。 U (θ)− U(0) = mgLθ 0

sin θ′dθ′ =−mgL[cos θ]θ0= mgL(1− cos θ) = mgy

距離の 2 乗に反比例する力によるポテンシャル 1次元の運動で、原点からの距離の 2 乗に反比 例する引力は、F =−k/x2 と表される。x > 0 の場合で、この物体を x = x 0から x1 まで移動す るに要する仕事 W は次のように求められる。 W =−x1 x0 F dx = kx1 x0 1 x2dx = k [ 1 x ]x1 x0 =−k x1 + k x0 無限遠のポテンシャルを 0 としたとき、ある位置 x でのポテンシャルエネルギーは U (x) =−k/x と表すことができる。

(5)

万有引力のポテンシャル 距離 r だけ隔たった質量が M と m の物体に働く重力による引力ポテ ンシャル U (r) は、次のように与えられる。 U =−GMm1 r, r = (x 2+ y2+ z2)1/2 これを確かめるために、このポテンシャルから導かれる力を求めてみる。距離 r の変化によるポ テンシャルの変化について、(2.4.6) が成り立つことを利用すれば次の式が成り立つ。 dU = dU dr 1 r(xdx + ydy + zdz) = GM m 1 r3(xdx + ydy + zdz) したがって、ポテンシャル U から万有引力として次の式が導かれる。 F =−∇U = −GM m r3 (x, y, z) =− GM m r3 r 参考: エネルギー保存則を利用した運動方程式の解 エネルギーの保存則が成り立つことを利用す ることによって、運動方程式が少し容易に解けることがある。この簡単な例として、エネルギー保 存則を用いた放物運動を取り上げてみる。 以前の例のように鉛直上向きの座標軸を y 軸とすれば、エネルギーの保存則が次の式で表される。 1 2mv 2+ mgy = E, v =dy dt =±2gE mg − y 物体が最高の高さにあるときの位置のエネルギーを、ここでは E と定義した。つまり、dy と dt の間に次の関係が成り立つ。 dyE mg − y =−2 ( d √ E mg− y ) =±2gdt ただし、2d√x = dx/√xの関係が成り立つことを用いた。上の式の両辺の積分から y を時間の関 数として表す次の結果が得られる。積分定数 t0は、最高点に達する時刻を表す。 √ E mg − y = ±g/2(t− t0), y = E mg g 2(t− t0) 2 本来、時間に関して 2 階の微分方程式を、1 階の微分方程式として解くことが可能となる。最高点 の座標 y0 において、E = mgy0 が成り立つ。

2.5

運動量

運動量もエネルギーと同様に、運動によらず一定に保たれる保存量、または恒量として重要な物 理量であり、質量と速度の積として p = mv と定義される。速度と比較したとき、運動量が特別 な意味をもつのは以下の理由による。 • どんな物体についても、同じ力に対して全く同じ量の運動量が変化する。つまり、運動方程 式が質量によらず同じ形に表される。 dp dt = F (2.5.1) どんな物体でも、同じ力に対して同じ量だけの運動量が変化することが重要である。

(6)

上の式を時間について積分することによって次の式が得られる。 p(t2)− p(t1) = ∫ t2 t1 F(t) dt つまり、ある時間間隔 t1から t2 の間に物体に対して及ぼされた力の積分が、その間に生じ た物体の運動量変化に等しい。 • 作用反作用の法則により、2 つの物体 1 と 2 が互いに力を及ぼし合う場合、それぞれが他方 のよって受ける力を F1, F2 としたとき、F1+ F2 = 0が成り立つ。つまり、互いに作用し 合う力は、同じ大きさがで、向きが逆である。したがって、次の方程式が成り立つ。 dp1 dt = F1, dp2 dt = F2, dp1 dt + dp2 dt = F1+ F2= 0 (2.5.2) したがって、この系の全運動量を P = p1+ p2を定義すれば、全運動量は作用反作用の力に よって変化せず、一定の値に保たれる。 このような2つの物体の間に働く力のことを、内力と呼ぶこともある。 相互作用による力とポテンシャル 2つの物体 1, 2 の間に働く内力に対し、保存力の場合と同様 にポテンシャルエネルギーを考えることができる。これを、相互作用エネルギー、または省略して 相互作用と呼ぶこともある。これらの物体の座標ベクトルを r1, r2 としたとき、内力に対応する 相互作用は、一般にこれら 2 つのベクトルについての関数 V (r1, r2)であると考えられる。また、 それぞれの物体に作用する力は、V (r1, r2)の座標ベクトルに関する勾配として、それぞれ次のよ うに表されると考えられる。 F1= ( ∂V ∂x1 , ∂V ∂y1 , ∂V ∂z1 ) =−∇1V (r1, r2), F2=−∇2V (r1, r2) ただし、∇i (i = 1, 2) はそれぞれの物体の座標に関する勾配を意味する。 多くの場合、相互作用ポテンシャルは 2 つの物体の距離だけの関数として表される。つまり、 V (r1, r2) = v(r1− r2)。このとき、次の関係が成り立つ。 1v(r1− r2) +2v(r1− r2) = 0 上の式が成り立つことを、各物体に働く x 成分についての力を求めることによって示すことがで きる。 F1x= ∂x1 v(∆x, ∆y, ∆z) =−∂v(∆x, ∆y, ∆z) ∂∆x d∂x ∂x1 =−∂v(∆x, ∆y, ∆z) ∂∆x F2x= ∂x2 v(∆x, ∆y, ∆z) =−∂v(∆x, ∆y, ∆z) ∂∆x ∂∆x ∂x2 =∂v(∆x, ∆y, ∆z) ∂∆x ただし、∆r = r1− r2= (∆x, ∆y, ∆z)を定義し、∂∆x/∂x1= 1, ∂∆x/∂x2=−1 が成り立つこと を用いた。つまり、F1x+ F2x= 0が成り立つことから作用反作用の力であることがわかる。した がって (2.5.2) が成り立ち、これらの力の下で運動する物体の全運動量が保存する。 参考 1: 対称性と保存則 この相互作用ポテンシャルは、両方の物体の座標を共通にある距離 d だけ平行移動しても (r1→ r1+ d, r2→ r2+ d)、両者の相対座標ベクトル ∆r には変化がない。 したがって、ポテンシャルの値にも変化がない。この空間的な平行移動を並進移動とも呼ぶことが ある。ある操作の前後において対象が不変であるとき、対称性があると言う。今の場合、系が並進

(7)

移動に対する不変性を持っている。系に並進対称性が存在することが、運動量保存則が成り立つ原 因であると考えることもできる。 固体の結晶内部で粒子が運動する場合には、結晶の周期性はあるものの並進対称性の破れのため に厳密な意味では運動量は保存しない。ただし、周期性を反映したそれに代わる量が保存する。ま た、より多くの物体が含まれる系で、系の外部から受ける力が存在せず、またこれらの物体間にこ のような相互作用が働く (内力だけがある) 場合には、系全体の運動量 (または、重心の運動量) が 保存する。 参考 2: 相互作用する系のエネルギー保存 相互作用によって互いに力を及ぼし合いながら運動す る物体の系について、力学的なエネルギーが保存することについても説明する。ここでは、それぞ れの物体が保存力の影響を受ける場合について、以下の全エネルギーの時間変化について調べて みる。 E =1 2m1v 2 1+ V (r1) + 1 2m2v 2 2+ V (r2) + v(r1− r2) (2.5.3) 上の式に含まれる物体の座標と速度が運動の方程式にしたがって時間変化するとしたとき、上の右 辺の各エネルギーの時間微分は下記のように表される。 dE dt = m1v1(t)· a1(t) +∇1V (r1)· v1(t) +∇1v(r1− r2) + m2v2(t)· a2(t) +∇2V (r2)· v2(t) +∇2v(r1− r2) = v1(t)· [m1a1(t)− F1− F1] + v2(t)· [m2a2(t)− F2− F2] ただしこの系の場合、全運動量の時間変化に関して次の式が成り立つ。 dp1 dt + dp2 dt = F1+ F2 相互作用による内力の和はゼロであっても、右辺の力の和はゼロになるとは限らない。保存力によ るポテンシャル V (r) の影響を受ける場合は一般に全運動量は保存しない。 2.5.1 弾性衝突 2つの物体の衝突とは、互いに遠く離れていた物体 A, B が時間と伴に互いに近づいて互いに力 を及ぼし合い、その後に再び遠く離れてしまう状況を表す。物体間の相互作用がそれらの相対座標 にだけ依存する場合には、運動量は一般的に保存する。つまり、式 (2.5.3) で外部のポテンシャル V (r)が存在しない場合に対応する。この場合、全運動量の保存と全運動エネルギーの保存則が同 時に成り立つ。したがって、相互作用ポテンシャルと運動エネルギーの次の和 E の値が保存する。 E = 1 2mAv 2 A+ 1 2mBv 2 B+ v(rA− rB) 衝突の前後で、物体が互いに十分離れていた場合に v(rA− rB)→ 0, (|rA− rB| → ∞) とすれば、 衝突の前後で運動エネルギーが保存する。このような衝突を弾性衝突と呼ぶ。 衝突に関係して散乱 (scattering) という言葉がよく用いられる。これは、粒子が相手 (ターゲッ ト target) と衝突や相互作用によって方向を変えられることである。 2.5.2 非弾性衝突 衝突によって運動エネルギーが変化する場合を非弾性衝突と呼ぶ。 物質の微視的な電子状態や種々のエネルギー励起を探る目的で、光や中性子などを用いた散乱実 験が行われ、散乱された粒子の強度の散乱角や、粒子のエネルギー変化依存性から有用な情報がも たらされている。

(8)

相互作用のエネルギーの例 2 つの同じ質量をもつ物体が互いにバネ定数 k のバネで結ばれてい る場合を考えてみよう。x 軸方向のみ運動するとすれば、これらの物体間に働く内力は、次のポテ ンシャルを用いて表される。 V (x1− x2) = 1 2k(x1− x2) 2= 1 2kx 2 ここでは、相対座標として x = x1− x2を定義した。一方、 全体の運動は、重心座標 (x1+ x2)/2 を用いて記述される。上のポテンシャルによって生ずるそれぞれの粒子に作用する力は以下のよう に求めることができる。 F1= ∂V (x) ∂x ∂x ∂x1 =−kx × (+1) = k(x2− x1) F2= ∂V (x) ∂x ∂x ∂x2 =−kx × (−1) = k(x1− x2) つまり、F1+ F2 が成り立ち、内力は作用反作用の力であることがわかる。

2.6

慣性力 (見かけの力)

2.6.1 非慣性系と慣性力 (見かけの力) 運動の法則はすべての座標系で成り立つわけではないことは、我々の日常生活でも実感できるこ とである。例えば、エレベータに乗って上昇し始めときに体重が重く感じたり、車でカーブを曲が るとき余分な力を感ずる。このような力は、力の原因があるわけではなく、むしろ観測者の運動状 態によるものである。そこで、先に述べた運動の法則が成り立つような座標系を慣性系と呼び、そ うでない系を非慣性系と呼ぶ。慣性系に対して加速度運動をしている系が非慣性系であるというこ ともできる。 まず、直線運動している非慣性系の例について考えみることにする。そのために 2 つの座標系

S, S’を考え、それぞれの原点を O, O’ とする。O から O’ までのベクトルを R0 とし、ある物体

のそれぞれの原点からの位置ベクトルをそれぞれ r, r としたとき、

r(t) = R0(t) + r′(t) (2.6.1)

が成り立つ。ある物体の座標をそれぞれの座標系で定義すると、座標ベクトルと座標の間には次の 関係がある。

r(t) = x(t)u1+ y(t)u2+ z(t)u3, r′(t) = x(t)′u1+ y′(t)u2+ z′(t)u3

ただし、ui, u′i (i = 1, 2, 3)はそれぞれの系の座標軸の単位ベクトルである。     x y z x′ y′ z′ O O’ R0(t)   >

(9)

座標系 O’ が O の xy 面に対して垂直方向に運動しているとした場合、ベクトル R0(t)の時間 変化は、(0, 0, Z(t)) と表わすことができる。したがって、(2.6.1) よりそれぞれの座標の間に次の 関係が成り立つ。 x(t) = x′(t), y(t) = y′(t), z(t) = z′(t) + Z(t) ただし、O’ は O に対して回転運動をしないと考え u′i= ui (i = 1, 2, 3)とした。z 軸の正の向き の等加速度運動の場合には、 Z(t) = z0+ V0t + at2/2と表される。 座標系 O における垂直方向の落下運動は次のように表される。 z(t) = v0t− 1 2gt 2 この結果を、z′(t) = z(t)− Z(t) の関係を用いて座標系 O’ での運動として表わすと、次のように なる。 z′(t) =−z0+ (v0− V0)t− 1 2(g + a)t 2 つまり、座標系 O’ では重力加速度度が g から g + a の増大したように感じられる。 2.6.2 ガリレオの相対性原理 慣性系に対して等速直線運動している座標系では、同じ運動の法則が成り立つ。そのような系 はすべて慣性系ということになる。式 (2.6.1) によれば、一般に 2 つの慣性系の座標ベクトルは、 R0(t) = R0(0) + v0t を用いて結ばれる。したがって R0(0) = 0 とすれば、それぞれの系の座標 の間に次の関係がある。 x(t) = v0xt + x′(t), y(t) = v0yt + y′(t), z(t) = v0zt + z′(t), t = t′ この変換則をガリレイ変換と呼ぶ。慣性系で成り立つ運動の法則は、ガリレイ変換に対して不変で あるという言い方もある。 電気や磁気現象に関わる電磁気学の法則は、このガリレイ変換に対して不変ではなく、むしろ ローレンツ変換に対して対して不変な形をしている。ただし、ローレンツ変換では、t = t′ は成り 立たない。アインシュタインの相対性理論は、力学の法則を電磁気学に近づけるように修正し、力 学の法則も電磁気学の法則と同じローレンツ変換に対して不変な形にしたものである。ローレンツ 変換は、教科書の第 9 章で簡単に触れられている。 参考: ローレンツ変換 ある相対速度で互いに運動している 2 つの慣性系の原点 O, O′が t = t′ = 0 で一致したときに原点から発生した光の波面の座標 x, x′について、座標系によらず同じ方程式が 成り立つ。 x2− (ct)2= (x′)2− (ct′)2 これらの座標の間の変換が、ローレンツ変換である。 ローレンツ変換に関する補足 2つの慣性系での光の波面を表す式が、下記のように座標系に依ら ず同じ方程式となる変換としてローレンツ変換について説明した。 x2− (ct)2= (x′)2− (ct′)2 ここで、時間 t に対して、t = iτ の関係から虚数時間 τ を導入すると、上の不変性は y = cτ の変 数変換により 2 次元平面上の回転に対する不変性と考えることもできる。 x2+ y2= x′2+ y′2

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これは、円の方程式を意味し、座標を極座標を用いて x = r cos θ, y = r sin θ と表すことができる。 一方、ローレンツ変換の場合には、次のように定義される双曲線関数を用いて x = r cosh θ,

ct = r sinh θと表すことができる。 cosh θ = cos iθ = 1

2(e

x+ e−x), sinh θ =−i sin iθ = 1

2(e x− e−x) つまり、ローレンツ変換もある種の回転と見なすこともできる。双曲線関数については、三角関数 と類似した次の関係が成り立つ。 cosh2θ− sinh2θ = 1 ベクトルの外積について 配布した資料を参考にして説明する。 2.6.3 遠心力 次に座標軸を表わす単位ベクトルの間に回転運動がある場合を考えて見よう。ただし、簡単のた めに互いの原点は一致しているものとする。系 O’ が系 O に対し z 軸の周りに角速度 ω で回転し ている場合、単位ベクトル間には次の関係が成り立つ。

u1(t) = cos(ωt)u1+ sin(ωt)u2, u2(t) =− sin(ωt)u1+ cos(ωt)u2, u3(t) = u3 (2.6.2)

系 O’ の単位ベクトルの時間微分について次の関係が成り立つことがわかる。  A A A AA O x y x′ y′ du1(t) dt = ωu 2(t) = ω× u1(t), du2(t) dt =−ωu 1(t) = ω× u2(t) (2.6.3) ただし、回転軸の方向を向くベクトルを ω = (0, 0, ω) = ωu3定義した。ω× u′iは、ベクトルの外 積を表す (参考資料を参照)。 ある物体の位置を、異なる座標系で観測した場合のそれぞれの系での物体の座標は、次のように 表される。

r(t) = x(t)u1+ y(t)u2+ z(t)u3= x′(t)u1(t) + y′(t)u2(t) + z(t)u3

= [x′(t) cos(ωt) + y′(t) sin(ωt)]u1+ [−x′(t) sin(ωt) + y′(t) cos(ωt)]u2+ zu3

(2.6.4)

つまり、2 つの系の x, y 座標の間には次の関係が成り立つ。

x(t) = x′(t) cos(ωt)− y′(t) sin(ωt), y(t) = x′(t) sin(ωt) + y′(t) cos(ωt) (2.6.5) 式 (2.6.3) を利用して、式 (2.6.4) の時間微分から、速度ベクトルはそれぞれの座標系で次のよう に表すことができる。 v(t) = dr(t) dt = vxu1+ vyu2+ vzu3= v xu1(t) + v′yu2(t) + vzu3+ ω× (x′u1+ y′u2) = v′u′(t) + v′u′(t) + vzu + ω× r (2.6.6)

(11)

ただし、vx′(t) = dx′(t)/dt, vy′(t) = dy′(t)/dt, vz′(t) = dz′(t)/dtと定義した。同様に式 (2.6.6) の

時間微分から加速度は 2 つの座標系で次のように表わされる。 a(t) = dv(t)

dt = ax(t)u1+ ay(t)u2+ az(t)u3

= a′xu1(t) + a′yu2(t) + a′zu3+ ω× (v′xu1(t) + vyu2(t) + vzu3) + ω× (vxu1(t) + v′yu2(t) + vzu3+ ω× r) = a′xu1(t) + a′yu2(t) + a′zu3+ 2ω× (vxu1(t) + v′yu2(t) + vzu3)− ω 2r 回転している座標系の単位ベクトル u′i (i = 1, 2, 3)で定義される座標で表した場合、加速度は次 のように表される。 a− 2(v× ω) − ω2r (2.6.7) この結果によれば、回転している系 O’ から見た物体の運動方程式が次の形に表されることを意味 する。 ma= 2m(v× ω) + mω2r+ F つまり、上の式の右辺からわかるように実際の力以外に 2 つの慣性力が存在するように観測者には 感じられる。 1. 遠心力: 静止していても感じられ、mω2r (r =x2 + y2)に比例する。 2. コリオリの力: 運動している場合にのみ、2mωv′sin θの大きさの力も存在する。角度 θ は、 ωと v との成す角度である。 これまでに述べた力学の法則にとって、慣性系は特別な意味合いをもつ。この、慣性系の特別扱 いという制約をはずし、任意の座標系でなりたつ力学、電磁気学の法則の形を求めようとしたの が、一般相対性理論である。この理論の構築に際し、慣性質量と重力質量が同じ値となることが重 要な役割を果たした。

参照

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