著者
野村 順一
著者別名
Nomura Jun-ichi
雑誌名
経営論集
巻
43
ページ
77-95
発行年
1996-03-15
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005663/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja光め不 思議
野 村 順 一 1. はじ めに2. 光の正 体3. 光速は ど の ように測定 した か4. 光は媒 質に よっ てた めら う 一屈 折5. むす び 1. は じ め に 電 磁 波(electromagneticwave )は宇 宙 を通 過 して すべ て の方 向にヽエ ネル ギ ーを 伝 え る。す べ ての 物 体は こ れら電 磁波 を 受け て吸 収 し放 射す る。 電 磁 波は 波長 が 伝 わる方 向に互 に 正し い 角度 (90つ で振 動 す る電 界 と磁 界 とし て後述 の第2 図 の ように 描 くこ とが で きる。 す べ て の電 磁波 は光 速 と同じ ス ピ ード で宇宙 を 伝 わ る。 電 磁 波 の1 秒 間の振 動 は1 か ら10'^(1 抒 )に 及 ぶ。 光は 電 磁波 の1 種で、 そ の振動 は1 秒 間400 兆(4 ×10") から800 兆 (8 ×10" ) に わ た ってい る。後 述 の 第10図 の通 りで あ る。 振 動数 に 波長 を掛 け る と波 が伝 わ る速 さ が得 ら れる。 振 動 数 が多 くな る と波 長 は少 なく な る。 振動 数 に波 長を 掛け ると、 つ ねに 真 空中 の電 磁波 の伝 播速 度 が秒30万 キロ メ ート ル とな り、 光 速C と等 しい。 これ を 自然 の定 数(constant ;常 数 ・tl数 と 同義 語 で 、変 数 の値 の変 化 に 無 関係に 、 一 定 の値 を示 す) とい う。 本論 の テ ーマ であ る [光 の不 思議 ] は こ の自然 の定 数 が起 点 となっ て、 光 の正 体、 そ し て光 速は ど の よ うに 測 定 し た か 、 光 は媒 質 に よ って ため ら う 一屈 折 に つ いて考 察 す る も のであ る。 2 . 光 の 正 体 光 の 正体 は昔 か らい ろ い ろ論争 さ れ て きた が、17 世紀 頃 まで は光 は真 空 中 も伝 わ るこ と から 真空 中 に 目に 見 え ない し手 に も感じ ら れない 弾 性 体 の媒 質エ ーテル (ether; 電 気 ・ 磁 気 ・ 光 な ど を 伝 え る媒質 と 考え ら れた 仮 想 的物質 ) が あっ て 光 がこ の中 を伝 わ ってし く と考 えて いた。18 世紀 に な って ニ ュ ート ン(Newton,SirIsaac ;1643∼1727、 イ ギ リス の物 理 学者 、天 文学 者 、 数 学 者) は 粒子 説を 唱 え 、 光は光 源 か ら次 つ ぎに と び 出し てく る小 さ な粒 子 であ る と考 え長 い 間 こ の考 え方 が 支持 さ れた が、 シ ャボ ン玉 や水 に 浮 んだ 油 の薄 膜 の 色を 説 明す るこ と がで き な かっ た。 前 世 紀 ホイ ヘ ンス (Huygens,Christiaan ;1629∼1695、 オ ラン ダ の物 理 学 者)ぱ エ ーテ ル概 念 を導入し 、光 の反 射 屈折 、 複屈 折 等 の諸 現 象を 解 明し 波動 説 の基 礎を 確 立 し た。光 は 水 め波 の よ うに光 源 から 伝わ る振 動波 が 目を刺 激 し て、 色感 覚を 与 え る と提唱 し た。19 世紀 に は ヤン グ(Young,Thomas ;1773∼1829、イ ギ リ スの 医者 、物 理学 者 、考 古学 者)は光 の干 渉を 研 究し 光 の波 動 説を 復 活。 第1 図 の干渉 縞 の実 験 で波 動説 を 証 明し た 。そ して エ ネ ルギ ー (energy; ギ リシ ア語energeia“活 動 し てい る こど に 由 来)と い う語を 初 め て用 い た の も彼 で ある。 第1 図 ヤ ン グ の 干 渉 縞 の 実 験 ス ク リ ー ン ( 注)1 つ の光 源か ら発 せら れた 単色 光を2 つ の細隙を 通 しス ク リーンに 投 影す ると 、そ れぞ れの細 隙か ら出た 光波 は波 長、 振 幅 が完 全に 等し い ので、 位相 が一致 す れば 明 とな り、 位 相 が反対に な れぼそ の場所 は 暗 となっ て ス クV ーンに 投影 さ れる。 この 明と 暗の 縞を干 渉 縞といい 、こ の現 象を 光の干 渉 とい う。 当時 フ レネ ル(Fresnel,AugustinJean ;1788∼1827、フ ラ ン スの物 理学 者) は光 の干 渉に よって 光 の回 折 現象 を 説 明し 、 ヤン グと は独立 に 波動 説を 立 て た。1864 年、 マ クス ウ ェル (Maxwell,JamesClerk ;1831∼1879、 イ ギ リ ス( ス コット ラ ンド) の物 理 学 者) は光 速 が電 磁 波 (電 波) の速 度 と同 じで あ る と証 明し た。 ラジ オ の電 波、 赤 外 線、 紫外 線、X 線、カ ンマ線 、宇 宙線 な ど もみな電 磁波 と 呼ば れ る横 波で 、真 空中 を 光速 で伝 わ り、た だ波 長だけ が異 な るこ と が分 かっ た。 波 長 が 短か くな れ ば、 そ れに 応 じ て振 動数 が増 大す る。 そ の振動 数に 波 長 を 掛け れ ば波 の伝 わる 速 さで あ って 、電 磁 波 のい ず れ の波長 で も振 動 数 と の積 は光 速 秒約30 万 キ ロ メ ートルに な る。 光 は 電 界、 磁 界 の振動 を 持つ 電 磁波 の一 形 態 で あ る。380 ミリ ミ クロ ンから780 ミリ ミクロ ン の範 囲を 可 視 光線 と い う が、 両 極 の波 長 は放 射 エ ネル ギ ーの 強さ に よる から 必ず し も 一 定 で はな い。 可 視 光線 も電 磁波 で あ り、 そ の振動 方 向は 伝 播方 向 に対 し 垂直 な横 波 であ る。 可視
光 線 のすべ て の波長 につ い て真 空 では 等 し く秒 約30万 キ ロメ ート ルで あ る。 この よ うに マ クス ウェ ルは す べて の電 磁波 の 伝播 速度 が 光速 と等 しい こ とを 証 明し た。 電 磁波 (electromagneticwave ) は宇 宙 か らす べ て の方向 に エネ ルギ ーを 伝 播 す る。 そ し て す べ て の物 体は こ れら の波 長を 吸 収し て放 射 す る。1988年 ヘ ル ツ(Hertz,HeinrichRudolf ;1857 ∼1894 、ドイ ツ の物理 学 者)は電 気振 動 に よって 発す る電 磁波 の存 在を 実証 し、また こ れ が光 波 と 同一 性 質を 有 す るこ とを 確め 、 マ クス ウ ェル の電 磁理 論に 実験的 証 明を 与え た。 そ の後 の 無線 電 信 電話 の 出 発点 たら し めた。 また 時間、 空 間、 質 量 の3 基 礎 概念 から 出発 して 、力 の概念 を 含 まぬ 形 式的 ・ 数学 的 な“ ヘ ル ツの力 学 ”を建 設 し た。 振 動数 の 単 位〈 ヘル ツ〉 は彼 に ちな む。 う ル ツ の実験 は誘 導 コイルに 放 電 球を つ な ぎ、2 つ の球 め間に 火花 放電 を 起 こ す。 こ の際 、 小さ な隙 間 のあ る針 金 の輪 を放 電 球に 対 して 平 らに 平 行に お く と隙 間に 小さ な火 花 が と ぶ。 しか しそ れ を 垂直に お く と火 花は と ばない 。 放電 球 の間 で火 花 が とぶ とき、 輪 の隙 間 で火花 が と ぶ のは 、放 電 球 から 何か が でて、 針 金 の輪に は た らい た と考 え ら れ、 放電 球 から発 生 し た もの を 電 磁波 と い う。 垂 直にお い た 針金 の輪 で 火花 が とば ない のは電 磁 波 の性 質で あ る。 火花 放電 の と き1 秒 間に 激し く 向 きを かえ る電 流 (振 動電 流 また は 高 周波 電流 とい う) が針 金を 流 れる。 こ れに ょ っ て 周囲 に電 界 と 磁界 の波 が で きてそ の大 きさを た えず 変 化 さ せな がら 、電 界 と磁 界が一 緒 に 空 間 を 伝 わっ て ゆく。 ラ ジ オや テ レ ビで は 高周 波 の振動 電 流を 使 い、 電 磁 波を 効率 よく発 射さ せ る のに ア ンテ ナを 用い る。 電 磁波 は遠 くに 伝 わ るにつ れて次 第 に 弱 くな る。 電 磁 波は 横波 で 波長 が3 万 メ ー し レの長 い も のか ら1 ミリの100億 分 の1 とい う 短 か い も の に 及 び、 波 長 の長 い ものを 電 波 とい う。 波長 が長 い もの から 短 かい方 向に た どる と、 電 波 、赤 外 線、 普 通 の光 線、 紫外 線 、X 線 、 カン マ線 け 線 )、 宇宙 線 とな る。 電 磁 波 が空 間を 伝 わ る速 さは決 し て無 限 で はな い。 これ は実 験で も理 論に よっ て も求 めら れ る。 マ ッ クス ウ ェル の理論 に よって電 磁 波 の存 在 が 可能 で ある と明 ら かに な っ た が、 も う一 つ 重 要 な結 果を この理 論 から 導 き 出す こと がで き る。 そ れは 真 空中 にお け る 電 磁波 の 伝 播 速 度 が 自 然 の 定 数 ( 自然 界に は こ れ より速 く伝 わ る ものは な い とい う) であ り、 光速C (1 秒 間に 約30 万 キ ロメ ート ル) に 等し い とい うこ とで ある。 この こ とは かな り強力 に、 光 も電 磁波 の一 種 で あ るこ とを 示し て い る。 第2 図 は電 磁波 の伝 わり方 を 表 す。 光 のすべ て の性 質は マ ッタス ウ ェル の理 論 に よっ て説 明 でき る。そ れか ら、電 磁 波 を 使っ た実 験 で 、そ れ が光 と似 た振 る舞 いを す るこ とを 示 し てい る。 電 磁波 の速 さ、 波 長、振 動 数 (電 磁 波 の場 合に は、 周 波数 と よば れる) の 間に は。 速 さ= 波 長× 振動 数 ( 周波数 ) と い う関 係が あ る。
真空 中を 伝 わ る電 磁波 の速 さ は、 光速C と等し く1 秒 間に30万 キ ロ メ ートル で、 どん な波 長 の電 磁波 で も同 じであ る。 し た が っ て、 波長 が分 か れば 、周波 数 が 分か る ので あ る。 電 磁波 の種 類 が赤 外 線で 長 波長 で も振 動数 は 少 な く、X 線 で短 波長 な ら振 動数 が多 く 、波 長 と振 動 数 の積 は光 速C に 帰結 する 。 これ は宇 宙 の 自然 の定 数 で あ り、 自 然 の秩序 が 秘 められ てい る。 第2 図 電 磁 波 の 伝 わ り 方 ブ ノ 磁界の向 き 波長E
ず サド ル匹 \r
( 注) マ ックス ウェル に よる とH で示 す磁 界を 生ず る。E の電 界 と磁界 の間 の相 互作 用 は対 称的 で、 この 磁界 は輪 とな って電 界 と組 み合 わさ り、 鎖 の一 部を つ くっ ている。 そし て今 度 は こ の新し い磁 界が も う一 つ の電 界E を 引 き起 こす とい うよ うに し て波 が広 が ってい くの であ る。 こ の波 には 電 界E と 磁 界H の2 つ の量 が登 場し 、そ れら の 向 きは 互い に直交 し、2 つ とも波 の 進行 方 向に 垂直 な 横波を 示 し てい る。 20世 紀に な って 原 子 の研 究 が 進 み、再 び光 は粒 子 説に よって説 明 で き るこ と がい ろ い ろ 出て きた。 た とえ ば、 光電 効 果 では 金 属 面 に光 を 照射 す る と、電 子 が飛 び 出す。 光を 当 て ると 同時 に、 金 属表 面 と、 遠 く離 れ た も う一 つ の金 属片 に 正 の電 極を かけ ると、 この金 属片 に 電 子 を 引 き寄 せ るこ と が で き る。実 験 から 放 出 さ れる電 子 の数 は 光 の波 長 が増 え ると ともに減 っ てい く 。 波 長 があ る所 に ま で長 くな る と、当 て る光 子 の量 をい くら増 し て も電 子 は出 なく な って し ま う。 こ。の ように 光量 子 が 小さ すぎ る、 す なわ ち、 そ の振 動数 が小 さす ぎ る( 波 長が 大 きすぎ る) 光を 使 うと 、 金属 表面 から 電 子放 出を 起 こ すこ と がで きな い。 アイ ンシ ュ タイ ソくEinstein,Albert;1879∼1955、 ア メ リカ( ド イ ツ生 ま れ) の理 論 物 理学 者) は 放 出 さ れ た 電 子 の エ ネ ル ギ ¬を 測 定 す る こ と に よ っ て プ ラ ン ク(Plank,MaxKarlErnestLudwig ;1858∼1947、ド イ ツ の理 論物 理学 者) の定数を 決 め るこ と がで き た。こ の値 は 黒体幅 射 の エ ネル ギこ 分布 から 決 定 さ れた 値 と 正確 に一 致 し た ので あ る。 アイ ン シ ュタイ ンは プ ラン クの量 子 仮説 を拡 張 して 光量 子 概 念を 初 め て 導入 し 、 光電 効果 を 解明 し た。箔 検電 器 の金 属円 板に 、 よく磨い た 亜 鉛や アル ミニ ウ ムな ど金 属板を お き、 − の電 気 を与 え て お く。 こ の箔 検電 器 の上 の方 から、 紫 外 線を多 く 出 す殺菌 ラ ンプ の光を 当 て ると 、箔 が 閉 じ る が、 箔 検電 器に 十 の電気 を与 え てお くと 、殺 菌 ラ ンプ の 光を 当 て て も箔 は 閉 じな い。 こ れ は 殺 菌 ラ ン プ の光、 つ ま り紫 外 線を 当 てる と、箔 検電 器 の上 にお い た金 属板 から電 子 が飛 び 出 すた め と 考 えら れる。 犬 こ の よ うに 光 が金 属 な どに当 ってそ の表面 か ら 出 る電 子を 光電 子とい い 、 こ の現 象を 光 電 効果 と 呼ぶ。 金 属板 を ー に して お くと箔 が閉 じ る のは 、飛 び 出 し た光電 子 が金 属板 の ー の電 気 に退け ら れなが ら 、 − の電気 を 持ち 去るか ら で あ る 。 金 属 板 を 十 に し て お く と 、 箔 が 動 か な い の ぱ マ イ ナ ス ー の電 気 を 帯 びた 光電 子 が 出ても、 す ぐ に金 属 板 の 十 の電 気に 引 か れても と に も ど る た め 、 箔 の電 気 の量 が 変 わら ない か らであ る。 ト アイ ン シ ュ タイ ンは 光を 電 磁波 と決 める こ とに 疑 問を 持 ち、 光 ぱ、 こ れを 吸収 し た物 体 内で熱 に 変 換 す る エ ネル ギ ーを 持 った 粒子から な り、そ れぞ れ の振 動数 を 持つ 各単 色 光は お のお の が一定 量 のエ ネル ギ ーを 持つ 粒 子 とし て真空中 を 光 速C (1 秒間 に 約30万 キ ロ メ ート ル) で 伝播 す る と提 唱。 ホ ース (Bose,Devendramohan ;生 年 不 明、 現 代イ ン ド の物 理学 者) の光量 子 統 計を ア イン シ・ ダイ ン ぱ物 質 粒 子群 に も適 用し、 “ ホ ー ス・ アイ ン シ ュタ イ ン の統計 ”を 確立 し た。 アイ ンシ ュ タ イ ンは こ の粒 子を 光 子 (光 量子) と 呼 んだ。 現 在 で は、 光 の正 体 は波 動説( 電 磁波 説) と粒 子 説 の両 者 の性質 を 持つ ものと みな さ れて い る。 3. 光 速 は ど の よ う に 測 定 し た か 光 速 は1 秒 間に 約30万 キ ロメ ートル(18万6,282 マ イル )で あ る。現在 、通説 と な っ てい る 値 は秒29 万9,792.5 キ ロ メ ート ル で、誤 差は 秒0.1 キ ロ メ ート ル と みな さ れて い る。 こ の途方 もな い 光 の速 さを ど の よ うに して 測 るこ とが でき る のか。 昔 の 人 は光 が 瞬 間的に 伝 わ る ものと 考 え てい た。 第3 図 ガ リレ イ の光 速測 定の 実験
最 初 に 光 速 を 測 定 し た の は 、 ガ リ レ イ (Galilei,Galileo;1564 ∼1642 、 イ タV ア の 物 理 学 者 、天 文 学 者 ) で あ る 。 第3 図 の よ う に 彼 は フ ィ レ ン ツ ェ(Florence ) の 町 の2 つ の 丘 の 上 に 立 つ 人 と 人 が 互 に1 マ イ ル の 距 離 で 、 ラ ン プ で 合 図 し 合 い 、 信 号 の や り と り に か か る 時 間 を 測 定 し よ う と 試 み た 。 こ の 単 純 な 時 間 と 距 離 の 実 験 は 失 敗 し た 。 光 速 が 余 り に も 速 い た め 、 こ の 方 法 で は 測 定 で き な い と 分 か っ た だ け で あ る 。 こ の 場 合 、 光 が 伝 わ る 時 間 は 僅 か0.000011 (11 ×10-')秒 で 、そ の う え1 マ イ ル の 距 離 で は 人 間 の 反 応 時 間 (0.4 秒 ) に 足 ら な い か ら で あ る1)。 光 速C を 推 定 し た 最 初 の 人 は 、17 世 紀 の レ ーマ ー (Roemer,OlaforOle ;1644 ∼1710 、 デ ソ ヤ ー ク の 天 文 学 者 ) で あ る 。 光 速(lightvelocity)はC ニ2.99777 ×10'"cm/s で あ っ て 、約3 ×10'°cm/s で あ る 。 光 速 は 一 般 にC で 表 す 。1676 年 、 木 星 の4 個 の 衛 星 が 発 見 さ れ 、 こ れ ら が 木 星 の ま わ り を ま わ る の に 要 す る 時 間 が 分 か っ て い た 。 衛 星 は 光 を 発 し な い か ら 、 木 星 の か げ に 入 る と す ぐ 見 え な く な る 。 第4 図a の よ う に 地 球 と 木 星 の 間 の 距 離 が 最 大 に な る 位 置 で は 、 衛 星 の 食(eclipse: 星 の 掩 蔽 ) は 衛 星 の 木 星 の 京わ り の 運 動 か ら 予 測 さ れ る 時 間 で 起 こ る の に 対 し て 、 第2 図b の 地 球 、 木 星 間 の 距 離 が よ り 短 く な る と 、 食 ぱ 計 算 よ り 早 す ぎ る 時 期 に 起 こ る こ と が 明 ら か に な り、 こ の 時 間 の 差 を 測 定 し 、 そ の 理 由 が 初 め の 場 合 に は 、 第 二 の 場 合 に 比 べ て 光 の 走 行 す る 距 離 が よ り 長 い た め で あ る と 考 え 、 そ の 周 期 が 半 年 間 は 遅 く な り 、 あ と の 半 年 間 は 早 く な る こ と か ら 、 光 速 は 秒22 万 キ ロ メ ー ト ル と い う 推 定 値 を 得 た。 太 陽 の ま わ り め ぐ る 地 球 の 軌 道 の 直 径 を 走 行 す る 光 は 約22 分 か か る と レ ー マ ー は 算 定 し た が、 精 度 に 欠 け て い た 。 現 在 、 必 要 な 時 間 は 約16.67 分 な い し1,000 秒 と み な さ れ て い る 。 地 球 軌 道 の 直 径 は 約186,000,000 マ イ ル で 、 光 速 は 大 体 秒186,000 マ イ ル と 算 定 さ れ て い る 。 a 第4 図 レ ー マーの 光 速測定 ( 注 ) 木 星 の 衛 星 の 食 は 追 加 距 離 ( 地 球 軌 道 の 直 径 ) で 約16 分遅 れ で あ っ た 。
ブ ラ ッド リ ー(Bradley,James;1692 ∼1762、イ ギ リ スの 位置 天 文学 者 )は 自転 車に 乗 っ た 人 が傘 を さ す と き、 雨 が垂 直 に 降 っていて も傘 は 斜め 前方 に さす こと に気 づ き、 傘 の傾 き の角 度 と 自転 車 の速 さ から 、雨 の 落下 速度 が計算で き ると考 え た。こ れを 基 とし て、地 球 の公 転 の速 さ と恒 星 の位 置 の見 かけ の変 化 ( 光行 差 ) から光速 を もと め、 光速 は秒31万 キ ロメ ート ル とい う値 を得 た の であ る。 フ ィゾ ー(Fizeau',ArmandHippolyteLouis ;1819∼1896 、フ ラ ン スの物 理学 者) は 地上 の実 験 で光 速 測 定に 成 功し た。 第4 図 の半年 間 は早 くな る こ とか ら、 光速 秒22万 キ ロメ ートル とい う推定 値を 得 た 。 第5 図 フ ィゾ ー の歯車 に よる光 速 測定 法 歯 車 −一 一一一 − 一一一 一一 一一一一一 約8.6km 半 透 鏡( ハー フ ミラ ー) ( 注) 光線a は 鏡に 進み 、反 射されてb とな る。そ れから隙 間を 通 るか 、そ うでない かに より、c の よう に 見え た り見 えな か ったりす る。 フ ィゾ ー(Fizeau',ArmandHippolyteLouis:1819 ∼1896 、フ ラ ンス の物 理学 者) はや は り地 上 の実 験で 光速 測 定 に 成 功し た。第5 図 の よ うに、光 を鏡 に 向け 、そ の反 射光 を 観察 す る。そ の 光路 に歯 車 を 回す。光に 直 角に 鏡 を おい て光を 往復 さ せ る と、歯 車 の回 転 が遅 い 間 は光 が戻 っ て きて 、同 じ歯 の
隙 間を 通 り抜 け る。 回 転を 速 くし て 光が往 復 す る まで に、 隙 間 と ころに 次 の歯 が く る ように す ると 、 そ の と きの ように、光を 鏡 に向け そ の 反射 光を 観 察。そ の光 路 に 歯車 を 回す。光 に直 角 に鏡 を おい て 光 を往 復 さ せ ると、歯 車 の回転 が遅 い 間は 光 が戻 って きて 、同 じ歯 の隙 間を 通 り抜げ る。回転 を速 く し て光 が往復 す る まで に、隙 間の と ころに 次 の歯 が く る よ うに す る と、そ のと き の回 転 数 と歯 の数 か ら 光 の往 復す る時 間 がも とめ ら れ光速 が計 算 で き る。 フ ィ ゾ ーは歯 車 と鏡 との 間を8.6 キ ロ メ ート ル ほ ど離 し 、歯数 を720 の歯 車 で成 功し た。1849年 、光速 、秒31万3,000 キ ロ メー し レとい う値 を得 た 。 第6 図 フ ー コ ー の 回 転 鏡 に よ る 光 速 測 定 法 (注 ) 立方 体は 光 が動 く間に は、 ほん の少し 回 るのでA か ら 出た 光はB の よ うに 帰っ て くる。 フ ー コ ー(Foucault',JeanBernardLeon ;1819∼1868、 フ ラ ン ス の物 理 学者 ) は 第6 図 の よ う に 、 歯 車に か わ って 回 転 する 鏡を 使い 、 光 が往復 する 間 に、 鏡 はあ る角度 だけ 回転 す るた め、 そ の 反 射 光 は鏡 が 静 止し て い た ところ とち が う とこ ろに 像 をつ くる。 こ の像 の間 隔を 顕 微鏡 で 測 り、鏡 の回 転 数か ら そ れだけ 回 るのに 要 す る時 間 で光速 を も とめた 。 こ の方 法は 回 転鏡 から 鏡 まで の距離
を20 メ ート ル まで 縮 め る こと がで きた ので 、水 槽 の水を 通 し て水 中 の光 速 も 測定 し た。 マ イ ケル ソ ン(Michelson,AlbertAbertAbraham ;1852∼1931、ア メリ カ( ドイ ツ生 まれ)の実験 物 理 学者 )は 、第7 図 の よ うに20世 紀 初頭 、平 面 の 回転 鏡 の かわ りに多 面 体の 回転 鏡 を 使い 、1926年、 真空 中 の光 速C を 測 定 し た。 すな わ ち、 いろ いろ な 測定 結 果か ら 真空 中 の 光速C は秒29 万9,792.5 キ ロ メ ートル に 到 達し た のであ る。 、 第7 図 マ イケ ルソン の光 速測 定法 光 源lightsource8 角 形 の 鏡 (注)1878 年 、 マイ ケル ソ ンは遠く に固定 した 鏡に対し て急 速に 回 転す る鏡 で反 射光を とらえ 測定 した。 反 射光 が も どって く るまで、 光 がいろいろ な 角度 で反 射さ れる よ う回転 鏡を動 か し て、光速 を計 算 し た のであ る。 つ いに 、 マ イ ケル ソ ンは鏡 を16個 も使 っ て、 他 の点 の精 度 も高 め、 測 定 位置 と 鏡 の距離 は35キロ メ ート ル と り、 こ の長 さ の管 の巾 を 光 が通 過す るし くみ( 管 の中 は 空気 の 流 れや 乱 れを 抑 え るた め、 ホッ プで20 分 の1 気 圧 まで 下げ ら れて い る)で あ った。鏡 の回転 速 度 の測 定 は100万 分 の2 、3 程 度 の精 度 で、 測定 位 置 と 鏡 の距 離は10 セン チ の程度 ま で正 確に 測 定 さ れた。 さらに 、 透明 な液 体 の二 硫化 炭 素を つ め た管 に 光を 通過 させ た ところ 、そ の通 過時 間 は速 度を言とし た場 合 と矛 盾し ない こ と が分 か っ た。n は二 硫 化炭 素 の屈 折率 で 事前 に確 定し て い た。 真空 な ら す べて の波 長 は等 し く、 真 空 では 分 散 が起 こ ら ない が、 二 硫化炭 素 の よ うな 透明 な媒 質 では 分 散 が起 こ る。 そ こで 白 色光を 使い290 ナ ノ メ ート ルか ら760 ナ ノ メ ート ルを 補正 し てc を 実 証し たの であ る。 宇 宙(真 空 )で の 光速 は1 秒 間 に約30万 キロ ノ ート ル(18 万6,282 マイ ル)であ る。こ れは 宇宙 で は スピ ード の限 界 で、 こ れ以上速 く伝 わる も のは 何一つ とし て あ り得 ない とい う根 拠に な って い る。
光 は三 次 元 の横波 (水 の波 と同 様に 振動 が 伝わ る方 向に対 し て 垂直 な波 ) であ り、 音は 縦波 (振 動 の方 向が波 が伝 わ っ て行 く方 向 と同 じ) であ る 。 水 の波や 音 波 な ど は弾 性 波 と い い 、 振 動 が伝 わっ て行 く媒 質 ( 水 、空 気 、気 体) を 必要 とする 。 しか し、 光は 星空 か ら真 空を 通 っ て 私た ちの地 球へ到 達 す る。 真 空 で は光 の すべ て の波 長 の光速 が 等し く、1 秒 間に 約30万 キ ロ メ ート ルで 、そ れ ぞ れの波 長 の速度 が 等し い の で、 真空 で は分 散は 起 こ らない が、 地 球上 の 透明 な媒 質 で はそ の分散 が起 こ る。 第8 図 横 波 と第9 図 縦 波を 参 照さ れ たい 。 時 間w 時 間1 第8 図 横 波 ( 光 の 波 ・ 水 の 波 ) 第9 図 縦 波 ( 音 の 波 ) 波 の 進 行 方 向 一 一 一* A.C.S.vanHeel,C.H.F.Velzel,"WhatisLight",1968, 和 田 昭 允 , 計 良 辰 彦 訳 , 講 談 社 ,P.27.
第10 図 可 視 ス ペ ク ト ル の 波 長 と 振 動 数 (注 ) 左 に 太陽 スペ クト ル中の400の 黒線 の うちい くつ かを示 す。右には 各 スペ クトルに 対 応す る光 感覚 を ひ きお こす光 の 個々の粒 子( 光子) の相 対的 エ ネル ギ ー(実用 単位 で)を 示す 。 *cps (cyclespersecond) 毎秒1 サ イ クル、 またはHz (Hertz)毎 秒1 振動 数 (資 料) 稲 村 耕雄 、中原 勝銀 共訳『 色彩 の秘密 』 白水社 、1955、p.26MarcelBolletJeanDourgnon; “LESECRETDESCOULEURS"PressUniversitairesdeFrance. 光 の 振動 は どれ くら い か。1 秒間 にloo万 、500 万 倍回 (5 ×10" ) の振 動 であ る。 紫 は秒750 兆 の 振 動 数 で、 赤 は 秒429 兆 の振動数 に 及ぶ。 し た が っ て 、 光 の 波 長 は ご く 短 か く、1 ミ リ ミ クロ ン (muornm ナノ メ ータ ー、0.000000001メ ータ ーす なわ ち10-'メ ータ ー) の1,000倍 の1000ミ リ ミク ロ ン よ り小 さ く、380 ミリ ミクロ ンから780 ミリ ミ クロ ン の範 囲で 可 視 スペ クトル とい う。 短 波 長 は振 動 数 が多 く、 長波 長は 振動 数 が 少な い。 こ の よ うに 波 長 と振動 数 と 色 は密接 に 結 びつ い て い る。 そ こで、 振 動 数に波 長 を掛け たも のは 波 が 伝わ る 速 さで あ る。 たとえ ば、 第10図 を み る と、 紫 の振 動 数 は秒750 兆 で、 波長 は400 ミ リ ミク ロン で掛げ る と 、 真 空 で は 紫 の 光 速 秒30 万 キ ロ
メ ート ル と な る 。 シ ア ン 青 、 澄 黄 を そ れ ぞ れ 掛 け て も 同 じ 値 に な る 。 振 動 数 に 乗 じ た 波 長 の そ れ ぞ れ の ミ リ ミ ク ロ ン は 不 思 議 な く ら い に 同 じ 値 に な る 。
周 波 数 (Frequency ) と い っ て も こ の 振 動 数 (Hertz) と 同 義 語 で 、CDS (cyclespersecondorHertz: 毎 秒1 サ イ タ ル で 、 周 波 数 な い し 振 動 数 の 単 位 ) で あ る 。換 言 す れ ば 、 波 の 進 行 の 速 さV は 均 質 な 物 質 中 で は 、 波 長 と 周 波 数 の 積 で あ る。1 秒 当 り の 振 動 の 回 数 は 周 波 数(v ) で あ り 、 波 長 (A ) と す れ ば 式 で 表 す と 次 の 通 り で あ る 。V = ノλ 他 方 、光 速(lightvelocity)はc =2.997925 ×10"cni/s で 、約3 ×10'"cm/s で あ る 。光 速 は ふ つ うC で 表 さ れ る 。C の 由 来 は ア イ ン シ ュ タ イ ン(Einstein,Albert;1879 ∼1955 、ア メ リ カ( ド イ ツ 生 ま れ ) の 理 論 物 理 学 者 )の 相 対 性 理 論 で あ る 。 原 子 核 の 反 応 で は 、質 量 が 減 少 し 、エ ネ ル ギ ー が 増 加 す る と い う 不 思 議 な 現 象 に 対 し て1905 年 ア イ ン シ ュ タ イ ン は 相 対 性 理 論 で 説 明 し た。 つ ま り 、 相 対 性 理 論 に よ る と 、質 量 は エ ネ ル ギ ーに か わ り 、反 対 に 、エ ネ ル ギ ー が 質 量 に か わ る こ と が あ る 。し た が っ て 、 核 反 応 で 消 え て な く な っ た 質 量 が 、 エ ネ ル ギ ー に か わ っ て で き た と考 え る と、 ち ょ う ど よ く な る 。 消 え た 質 量 を 匹 で て く る エ ネ ル ギ ーを £、 光 の 速 度 を ごと す る と、 ア イ ン シ ュ タ イ ン の 式 は £ = 撰c' で 表 さ れ る 。 こ れを 、 質 量 ・ エ ネ ル ギ ー関 係 と い う 。 光 源 が 何 で あ っ て も 、 光 源 が ど れ く ら い 速 く て も 、 互 い に 運 動 七 て い る観 測 者 か ら 見 て も 、 真 空 中 の 光 速 は い つ も 同 一 で あ る 。 こ れ は 光 速 不 変 の 原 理 (principleofinvarianceoflightvelocity ) と い う。 つ ま り、 真 空 中 の 光 速 は 、 ど ん な 運 動 を し て い る 座 標 系 ( 観 測 者 ) か ら 見 て も 常 に 同 一 で あ る と い う 原 理 で あ る 。 こ れ が ア イ ン シ ュ タ イ ン の 相 対 性 理 論 の 出 発 点 と な っ て い る 。 注 目 す べ き 事 実 は 光 だ け に 限 っ て 真 理 と な っ て い る。 た と え ば 、 弾 丸 の ス ピ ー ド は 銃 の ス ピ ード` に よ る が 、 そ れ が 発 射 さ れ る 観 察 者 の ス ピ ー ド で も あ る 。 音 の ス ピ ード は 音 源 か ら の ス ピ ード で は な く、 測 定 者 の ス ピ ー ド で 変 わ っ て く る 。 し か し 、 光 速 は 光 源 と 観 測 者 か ら 独 立 し た も の で 、 光 速 不 変 の 原 理 で 、 す べ て の 科 学 の 最 重 要 な 定 数 に な っ て い る 。 い ろ い ろ な 基 本 定 数 の 間 に は 、 理 論 的 に あ る 関 係 が 成 り 立 っ て い る 。 電 気 、 磁 気 、 エ ネ ル ギ ー の 単 位 は 、 物 理 学 に よ れ ば 、 光 速C が は い っ て い る 公 式 に よ っ て 互 い に 結 び つ け ら れ て い る 。C の 精 度 が あ が れ ば そ れ だ け 、 公 式 に 出 て く る 他 の 定 数 も 、 く わ し く き め ら れ る し 、 現 代 の 世 界 像 に 必 要 な 理 論 を そ れ だ け よ く 吟 味 で き る こ と に な るノ 光 速 不 変 の 原 理 は ア イ ン シ ュ タ イ ン の 相 対 性 理 論 の 基 本 原 理 と な っ て い る2)。 1)ClarenceRainwater; “LightandColor,"1971,pp.37ff.2 )A.C.S.vanHeel,C.H 、F.Velzel,"WhatisLight,"1968, 和 田昭允, 計良辰 彦訳 , 講談 社,p.33.
4. 光 は 媒 質 に よ っ て た め ら う 一屈 折 光 の屈 折 (refractionoflight) とは光 が違 う媒 質中 に 入 る と き、そ の媒質 の密 度に た めら い、そ の境 界面 で光 の進 路 が変 わ ることを い う。 た とえ ば、 水が 入 っ てい る コ ップに 箸 を 入 れる と箸 が 曲 がっ て見 え る。 これ は 水面 を境 に して 光 が曲 がる と考 えら れ る。 同 じ物 質 の中 で は 光は 直 進す るが、 光が 空気 か ら 水へ 、 ま た 空気 から ガ ラスに 入 ると き、そ の境 界面 で 光 の進 路 は 曲 が り、 こ れを 光の 屈 折 とい う。 第11図 の ように 、 違 う物 質 へ光 が入 る とき、 入射 点 で物 質 の境 界 面に 対 し て立 て た垂 線 (法 線) と、 入射 光 と がつ く る 角を 入射 角i といい、 また、 屈折 し て 入 った屈 折 光 がつ く る角を屈 折 角r と い う。 光 が逆 に 進 む 場 合 は入射 角 と屈折 角 と の関 係は逆 に な る。 第11 図 入 射 角 と 屈 折 角 物 質A 物 質B 法 線 I ・I ・ Z 入 射 角
/A
光
一
境界面
こ の よ うに 、 屈 折 率(refractiveindex) とは 光 が空気 中 か ら違 う物 質 中 に 入る とき の屈 折 す る割 合を い い 、第1 表 の よ うに 物質 に よっ て一定 の値 が決 まっ てい る。 第1 表 物質 の屈折 率 真空に 対す るo ℃、1 気圧 の気 体 空 気1.000292 水蒸 気1.000252 空 気 に 対 す る20 ℃ の 液 体 ・ 固 体 水1.33 エ チ ル ア ル コ ―ル1.36 石 油1.39 パ ラ フ ィ ン1.42 グ リ セ リ ン1.47 ベ ン ゼ ン1.50 ガ ラ ス1.40 ∼2.00 水 晶1.55 ル ビ ー1.76,1.77 ( 複 屈 折 ) サ フ ア イ ヤ1.76,1.77 ( 複 屈 折 ) ダ イ ヤ モ ン ド2.42光 速C の値 は秒29 万9,792.5 キロ メ ートル で真 空 中で は正 し い が、 透 明 の媒質 で は ど の よ うに 影 響 さ れる のか 。 (1) 真空 か ら空 気 へ 空 気中 の個 々の 分子 は 小 さく 光 の伝達 に影 響を 及ぼ さな い が、 数多 く集 まる と光速 を わ ずかに お とす。空 気 中 の 光速 は真 空中 より小 さ く、空 気 は 真空 中 の光 速 と空 気 中 の光速 の比に 等 しい 屈 折率n を 持つ 。 第1 表 の よ うに真 空に 対 す るo ℃、1 気 圧 の気 体 で、1.000292 に等 しい 。 し か し波長 に よって 少 し変 化 す る。 一 般 に 、 真空 中か ら 空 気中 に 光 が入 る ときは 、 光 の進路 は 妨げ ら れ る ことな く、 ほ とん ど 曲がら ず直 進 す る とい わ れ、空 気 の屈 折 率は 真空 のそ れ と ほぼ 等 し く1 と みな し、c 、真空 で はV =C よ って 真空 で はn =1 と なる。 こ の ようにヽ 真空 中 、と空気 中 の 光速 はほ と んど変 ら ない が 、 水中 七 は{ 遅 くな り、 ガ ラ ス の 中 で はj一遅 く な る。 媒 質 中 の屈 折 率 は媒 質中 の 光速 に対 す る真 空 中( 空 気中 ) の 光速 と の比 七あ り、 媒 質 中 の屈 折 率は つ ね に1 よ り大 きい 。 以下 に述 べ る よ うに 水や ガ ラ スは 光が屈 折 す る。 そ の よ うな 媒質 中 の 光速 はC で はな く、 もっ と小 さい 値に な る。C と媒 質 中 の速 度V との 比を 屈折 率n とい うCn= ▽(2 ) 空 気 から 水 へ 空気 か ら 水に 入 る 光は 、 水面 に 垂直 に当 て た光 はそ のま ま直 進 し、 水面 に 斜 めに 当 てた 光 は一 部 反 射 する が 、 大部 分 の光 は 水面 で 曲 がっ て水 中に 直 進す る。 空 気 と水 との境 界面 で の光 の 曲が りぐ あ い は、 光 の 入射 点 に立 て た 垂線 に対 し て、 空気 中 の 進路 より垂 線に 近 づ く よ うに 曲が る。 こ のよ うに 光が 空気 中 か ら 水中 に 入 る ときに 水面 で 屈折 す る のは、 空気 中 と水 中 とで は、 ほ ん のわ ずか だ け 光 の速 さ が違 うた め であ る。 水 の屈 折 率 は真空( 空気 )に対 す る 比を い うが、真空(空 気 )に 対 す る水 の屈 折 率は 対 す る空 気 の屈 折 率 は約1 となる。そのため水中の物体は実際の深 さ きて 見え る の であ る。 空 気 に対 す る 永の 屈折 率 は約1 も大 き く、 水 は光 学 的に 密 度 が 高い。Cn= ▽
曙
吋
で 、 水 に の 深さ の と こ ろ に 像 が で とい うこ とは、 水 の屈 折 率 が1.33で 空 気 よ り から屈 折 率n は光 速C (1 秒 間に30万 キロ メ ート ル )を 媒 質 中 の速 度V との比 で 得 た。 とこ ろ で、 今度 は媒 質 中 の速 度V を 求 め る と V −  ̄ とい うこ とに な り、 水 の中 で の 光速を 推 定 す るこ とが で きる 。 光 速C(1 秒 間 に30 万 キ ロ メ ¬ト ル) で水 の屈 折 率 の比を 求 め`る と、 光速c / = 秒30万 キ ロ タ ―ト ル×3^= 秒22万5,000 キ ロノ ートル( 水 の中 の 光速) とい うこ とにな る。 (3レガ ラ スの屈 折 率 は1.40∼2.00 の間に あ るが 、 概し て、 前 述 の よ うに ガ ラ ス の中 で は 光 速 が{ 遅 くな る とい うこと か ら、真空( 空気 )に 対 す るガ ラ スの屈 折 率 は約1 で 、1.50と な る。ガ ラ スの中 で 光速 が│ 遅 くな る という 媒質 中 の速 度V を求 め る と、v= ⊇n か ら ガ ラス の中 の光速 は 、 光速<^/t = 秒30万 キ ロ^ ―ト ル×3"二秒20万 キ ロ^ − ト ル ( ガ ラ ス の 中 の 光速 ) とい うこ とに な る。 と ころ で、 空 気中 か ら ガ ラスに 光 が 入る と きと、 ガ ラ スか ら空 気 中に 光 が 入る とき と では、 入射 角 と 屈折 角 と の関 係 が逆 に な る。 し た が って、 空 気に 対 する ガ ラ スの屈 折 率 と、 ガ ラ スに対 す る空 気 の屈折 率 と は逆 数 の 関 係に なる。1in2 ――2niin2 ―空気 に 対 す る ガラ スの屈 折 率2n ユ= ガ ラ スに 対 す る空気 の屈 折 率 第12図 の よ うに1 枚 の ガ ラス の境 界面 に光 が 入 ると き、 光は 減 速し 、 ガ ラ スの 中 の波 長 は同 じ 割 合 で短 か くな る。 周波 数 は変 わら ない 。 光 が ガラ スか ら 出て くる と再び 加 速す る 。 波長 も前 の大 き さに 戻 る の であ る。 第12図 ガ ラ スの屈 折率 ( 注)均 質な 媒質 中 の光速V = ノλ で 波 長lノと 周波数 λ の積であ る。 空 気 中 の 光 速 空 気 中 の波 長 ガ ラ ス の 屈 折 率 = = ガ ラ ス の 光 速 ガ ラ ス の波 長
他の 入射角 で光 が ガ ラスに 入 る と、 光 が減 速す る よ うに 光 の進路 も変 わって し ま う。 ガ ラ スの中 では 垂線 ( 法線 ) に対 し て 光は 曲が る。 第13図 のとお り、 力`ラス の両 面 が平行 なら 、 た とえ 光の進 路 が移 行し て もガ ラ スを 通 過す ると、 も と の方 向に戻 る こ とが 分 か る。 ガ ラス の両 面 がプ リ ズ ムや レ ンズ の よ うに 平 行 で ない と、 光 は新 しい 方 向に 現 れる。 第13 図 平 行 ガ ラ ス と 平 行 で な い ガ ラ ス の 光 の 進 路 surfacesparall 秘 surfacesnotparallel (4) ダ イ ヤ モン ド の屈 折率 は2.42であ る。 ダイ ヤ モン ドは 最 高 の硬 度 で10と さ れてい る。 これは モ ース(Mohs,Friedrich:1773 ∼1839 、ドイ ツの鉱物 学 者) の 硬度 計に よる。 そ れは 純粋 の炭 素C で あ るが、 プ リズ ムを 通 し て見 る と青 藍 色を帯 び てい る。 ダイ ヤモ ンド の きら め き は148 面 カ ット さ れ た切 子面 内の 全反 射 であ る。 こ の反 射 は ダイ ヤモン ド の中 の 数多 く の面 に よっ てきら め き、そ の反 射は 第14図 の 光 の入 射角 がic よ り小さ な角 とな ってい る面 に 入射 す る まで 起 こ るの であ る。 第14 図 臨 界 角 ( 注 )ic は 臨 界 角 、d 光 は 全 反 射 さ れ る 。
第14図 は 密な 物質 か ら 入射 す る光 の入 射 角を し だ いに 大 きくす れば 、 屈折 角 は い つ も 入射 角 より 大 きく法 線 から 離 れる屈 折 と な る。 入 射角ic では 屈折 角 が90度に な り、 この屈 折 角 は これ 以上 大 きくな り得な い。 入 射角ic を も っと 大 きくし て も、もは や屈 折 は起 こら な い。こ の 入射 角icを 臨界角(criticalangle) とい い、臨 界角 よ り大 きい 入射 角 の光 は す べて反 射 さ れて し ま う。 第15図 のOB の入 射光 が屈 折角90 度 に な ると 、光 の すべて(100%)は反 射 光 に な る。OBA は 臨界 角 とい うが、 純 粋な 水中 で は 入射 角49度 に な り、 ガ ラス と空 気 の境 界面 では 約40 度 で あ る。 ゆえに 、45 −90−45度 のプ リズ ムは 入射 光 の100% を 反 射し 、 完全 な鏡 とし て活 用 さ れ る。 第15 図 臨 界 角49 度 90%I70% 屈 折 の法 則(lawofrefraction)とは2 つ の等方 性 媒質 の境 界面に おけ る光線 の 屈折 に 関す る幾何 学的 な法 則 をい う。 そ の特 徴は 次 のとお りで あ る。 (1)第16 図 のとお り、 入射 光 と反 射光 は 表面 に 対 す る法線 を なす角i とr は 等 し くなけ れば なら ない 。反 射 と屈 折 は入 射 光、 屈折 光 、反 射 光 がす べ て境 界面 に対 す る法 線を 含 む 同一 平面 内に まと め て起 こる。(2 )光 が密 な媒 質 に 、あ る角度 で 入 る と法 線に 対し て 曲がる。 し たが っ て第n 図 の よ うに 屈折 角r は入射 角i よ りも小 さい 。 こ れを 法線 に 向け て の屈 折 と呼 ぶ。 (3) どん な媒質 の屈 折率n も、 真空 ( 空気 中 ) の 光速C と媒質 中 の光 速V との 比で あ る。C9 ▽
屈 折 と反 射 水 WATER n=1.33 第16図 屈 折 と反射 第17図 各媒 質の屈 折率 グ ラスGLASS n =1.50 ダ イ ヤモ ンドDIAMOND n =2.42 屈 折率n は空気 と媒 質 の境 界面 を 通 過 す る際 、光 の 曲が る率 であ る。 た とえ ば 第17図 の とお り鎖 線` とy の 比は・ク・で `屈 折 率n と等 しい゜ただしト 入射 光d が 空気 中 と媒 質 中 の長 さが 同 じ場 合 に 限 る。 第11図に よれ ば光 が あ る媒 質 から 他 の媒 質 に入 る と き、 屈 折光 は 入 射面 内に あ っ て、境 界面 の 法線 に対 し 入射 光 と反 対 側に あ る。 屈 折 角r の正弦 と 入射角i の正 弦 と の比 は 入射 角に 関 係な く 一 定 であ る。 すな わ ち、 sm1 sinr 一 一 n ( 定 数 ) こ の 法 則 を ス ネ ル の 法 則 と い う1626 年 頃 ス ネ ル(SnellvanRoijen,willebrord:1591 ∼1626 、 オ ラ ン ダ の 数 学 者 、 物 理 学 者) に よ っ て 初 め て 確 立 さ れ た も の で あ る 。 こ の 定 数n を 屈 折 率 と い い 、 接 触 し て い る2 つ の 物 質 に よ っ て 定 ま る 定 数 で あ る 。n =モシ、n'=右 に よ っ て 定 義 さ れ る 屈 折 率 を 使 っ て 表 現 す る と も?i χ=こ ま た はn'sini' =nsini を 得 る 。第14 図 の 臨 界 角 の 大 き さ は ス ネ ル の 法
則n'sini' =nsini か ら 容 易 に 導 き 出 す こ と が で き る 。90 度 の サ イ ン は1 で あ る か らic はnsinic =n' と な る。 疎 な 方 の 物 質 が 空 気 な らn' を1 と す る こ と が で き る か らsini ニ土と な る 。n 5 . む す び 光 の不 思議 は 光そ の も のに と どまら ない 。 太 陽か ら は電 磁波 とそ れに 含 まれ る 光 エ ネル ギ ーが地 球に 降 り注 ぐ。 ま た他 の 天 体から も放 射 エ ネル ギ ーが到 達 す る。 全世 界 の表 層を な す 鉱物 、植 物、 動 物そ れに人 間 に至 るす べ てに光 感受 性 が あ る。 どん な金 属 で も太 陽に 晒 さ れる とそ の時 間に よっ て 変 色す る。 金 属に よ って変 色 が速い か 遅 い かはあ る 。 金は 貴金 属 で変 色 し ない とい うが、そ れで も品 質し だい で わ ずか に 変 色す る。 あ ら ゆる 生 き物 の皮 膚 は光を 吸収 す る。 ど んな に原 始 的な 神 経系 で も、 皮膚 の 表 層 で受け 止 めた 光に 対し て 生 体が反 応 す る。光 な くし ては こ の世 に生 命 は存 在 し な い 。 かつ て 原 始 民 族 は そ れ を 知 って いて 太 陽を 神 と崇 めた ので ある。 オ ット ー(Ott,JohnN 、 は 「目 が2 つ の 別 個 の機序 を 持 つ 」 とい う事 実を 発 見し た。 すな わち、 光は 視神 経 に影 響 して 私 たち に 見え る よ うに す る 機序 と、 別に 光 は正 常 な 目に 入 り、 視覚と な んら 連結 し てい ない 網 膜 の特別 な 細 胞層 に命 中 す るこ とで あ る。 そ こ で光 は電 気 イ ンパ ル スを 刺激 し て大 脳 へ伝 え、 こ れら の イン パ ル スの 若 干 を 視 床 下 部 (hypo-thalamus ) へ伝 え る。 こ の 視床下 部は 大脳 の基 底に 位置 し ゴル フ ボ ール の大 き さ であ る。 視床 下 部 は 私 たち の 体の 最 も基 本 的 なはた ら きを 調 整す る。 そ し て下垂 体 、 内分 泌 腺を 強 力 に コ ント ロ ール す る。 さ らに 血 流に 重 要 な ホル モンを 分泌 す る。 また 、 よ り小さ な 腺 であ る 副腎 、 性 腺、 甲 状腺に どん な 命令を 伝 え るべ き か 視床下 部 は下 垂 体に 知 ら せて く れる。 目を 経由し て 光を 感 じ 、 皮膚を 通 っ て光を 吸収 す ると 、 私たち は 潜 在意 識に よ って 光を 活 用す る。 私た ち の成長 と健康 のさ ま ざ まな局 面に 光 は 深遠 な影 響 力を 持つ 。 そ して 光 の不 思議 は 生命 そ の も の とさ え言い 得 る の であ る 。 (1995年11 月30 日受 理 )