3げ
〔学
会〕
東京女子医科大学々会周回66例会
日時 昭和29年4月23日午後2時
場所 東京女子医科大学臨床講堂
1.ツベルクリン稀釈度の研究
一2,000倍ツ液及び同倍対照液による反応について一
(主として女生徒を対象とせる)
(衛生) 山口たか子
さきに2,000倍,1,000倍ツ液及び同憂対照液による
反応を,主として幼児に対して行い,そのうち対照液
による発赤の最大は:2,000倍では4mm,1,000倍で
は7mmを示した。 aれはツ反応の≧ドU定規準の19mm
15mm,に比しかなりの差異である。 tれは従来はグ
リセリンブイヨンに依るものを使用したのに対し,ソ
ー1・ン培地のものを使用したためと唄われた。
一一方年令的にツ反応が異るのではないかと思われた
ので,先ず同じ1,000倍ツ液及び同系対照液による反
応を縞入女子に行った結果,対照液による発赤の最大
は16mmを示した。依て今日は女子生徒90名に対して
2,000倍ツ液及び同倍対照液による反応を行った。そ
のうちBCG接種者49名,未接種者41名である。
その結果対照液による発赤の最大は,BCG接種者群
14mm,未接種者群15mm迄を示した。これはさきの
2,000倍にて幼児に用いた4mmに比し11mmの差を認
め,ツ反応の判定には年令的考慮が必要かと患われ
た。
2.子宮筋層内に発生し血腫を形成した悪性
絨毛上皮腫例
(婦入科)梁 民 玉
患者は128才,1回経産婦,初潮14才以来,月経
不順,現在肺結核で療養中。21才結婚,25才で正常産
26才2月妊娠4ケ月で入工妊娠中絶,itれが胞状:奇胎
であった。
莫後2年5ケ月経た昭和28年7月頃から下腹部に腫
瘤を触れる様になり漸次大きく成った。其他子宮出血
もなく他に何等定型的症状を示して居らず唯妊娠反応
のみ陽性。
昭和29年2月2日に悪性絨毛上皮腫の診断のもと
に子宮全刎除術を施行,其後は妊娠反応陰性となる。
3.心疾患患者の手術ストレスに対する
反応電解質の尿申排泄
フ突
(生化学)松村 義寛,藤野 冷子
心臓に対する手術とその他の疾患に対する手術を比
較すると,前者には種々の困難が横わっている。itの
問題こ対する基礎酌の資料を与え御こめに’手術前後
の挑尿にっき,イオン交換樹脂法及び焔光分光光度計
を用いて電解質特にNa及Kの三三状況を調べた。
尿中100meqのC1に伴う総塩基量の手術前後の
比をとると心疾患では略3以上となりその他の手術で
は2以下となる。叉K/Naは心疾患の場合何れも上
昇し,その他の場合は不定である。これ等は心疾患患者
は手術前,町田食を給与されるたあにもよるであろう
が,又下垂体,副腎皮質ホルモン系の異常反応にも由
来すると患われる。
4.c.P.c.(臨床病理懇談会)
患者:43才女青果商昭和28年8月27日死亡。
家族歴:特記すべきことなし。’
既往歴:約10年前坐骨神経痛・ 昭和22年 産褥熱,
腹膜炎,腎臓炎?,昭和27年1月始風邪の後から心
且蔵が悪くなったと。
現症歴:1年前心臓病と喘息があるといわれた。
昭和28年7月10日頃より,心悸二進,呼吸促迫激
し。浮腫を認めたが,漢方薬の内服に二より浮腫がと
れ,全身状態好転す。
同7月20日頃より再び浮腫増し,呼吸困難甚しく,
Orthopnoischとなる。手足冷感あり・咳蝋・門下あ
り,発熱なし,食慾不振。
同7月27日浮腫と呼吸困難を主訴として入院。
入院時主要所見:休格中等大,全身に浮腫あり,皮膚
はsubikterisch発汗あり。半坐位をとる。顔貌や
や苦悶状,脈搏不整,緊張良好,血圧140・vO.瞳孔
は正円,対光反射異常なし。喉頭部やや充血。
肺肝境界 VI肋骨。
心臓:右縁は右胸骨縁より2横指外,上縁二第巫肋
骨,心尖搏動:第V肋間にて左乳線より3横指外,
心音:心尖部 大動脈辮口にて,収縮期性及び拡張
期i生雑音をきく。特に拡張期性雑音強し。第二肺動
脈音充進 心音は何れもunrein。
一!59 一