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労働市場法に関する覚書 (東洋大学法学部創設50周年記念号 第50巻第1・2合併号) 利用統計を見る

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労働市場法に関する覚書 (東洋大学法学部創設50周

年記念号 第50巻第1・2合併号)

著者名(日)

鎌田 耕一

雑誌名

東洋法学

50

1・2

ページ

127-155

発行年

2007-03-10

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000611/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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労働市場法に関する覚書

労働法における第三の領域  手元にあるいくつかの労働関係法規集をみると、雇用対策法、職業安定法、雇用保険法、労働者派遣法などの 法律は労働市場法と呼ばれ、雇用関係法︵個別的労働関係法︶・労使関係法︵集団的労働関係法︶と並ぶ第三の労        ︵−︶ 働法領域に分類されている。労働法学においても、日本労働法学会編集の講座二一世紀労働法第二巻は﹁労働市 場の機構とルール﹂というタイトルの下で労働市場法を独自の法領域として扱っている。  したがって、労働市場法は雇用関係法・労使関係法と異なるものと一般に理解されているといってよい。しか し、その独自性がどこにあるかは、必ずしも明らかではない。  雇用対策法、職業安定法、労働者派遣法、雇用保険法は、広い意味で、労働力の需給調整や雇用創出に関わる ルールや政策を対象とする法律である。しかし、その対象は、有料職業紹介事業者などが行う雇用サービス︵﹁労

    東洋法学      

一二七

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    労働市場法に関する覚書      一二八 働力の需給調整﹂という︶、国が行う職業能力開発や様々な雇用対策、あるいは失業者に対する雇用保険であり、 共通するものがないようにみえる。  違いは対象にとどまらない。その法的性格からみれば、職業安定法や労働者派遣法は、雇用サービス事業を規 制する事業法の性格をもつのに対して、雇用対策法は国の雇用政策を策定・実施するための体制と組織を定める 行政法であり、雇用保険法は社会保険制度を基礎づける法律である。総じて言えば、労働市場法とは、求人・求 職の結合に向けた﹁労働力需給調整﹂のルールを定め、雇用機会を拡大するための諸施策︵雇用創出や職業能力 開発など︶を企画・実現し、さらには失業時の所得補償を基礎づける法制をいう。       ︵2︶      ︵3︶  雇用保障法学のように、労働市場法を体系的に把握しようとする試みがないわけではなかったが、必ずしも労 働法学の興味を引きつけてこなかった。解釈論に重きをおく伝統法学からすると、この領域は労働市場をめぐる 行政組織や民間事業のあり方とその運用を規制する法令が大部分であり、ほとんど訴訟の対象とならないことも あり、いわば腕のふるいようがないことが大きかったうえに、多くの議論が立法論の世界に関係しており、これ        ︵4︶ も正面切って論じるには、伝統法学の側に準備の足りないところがあったからである。  また、大学法学部での労働法教育においても、労働市場法は、権利義務関係をめぐる紛争処理を扱う雇用関係 法・労使関係法と比較し、公的政策の設計・実現が基軸となるがゆえにそのなかに確固とした地位を得られなか  ︵5︶ った。  しかし、一九九〇年代のバブル崩壊後、失業率が顕著に上昇し、労働市場法における規制原理が、これまでの

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       ︵6︶ 国主導から民間主導に転換したことから、労働市場法への関心が高まり、労働法学のなかにも、労働市場機能を        ︵7︶ 積極的に活用しようとする立場が出現し、労働市場に関する制度設計および法政策に積極的に発言しようとする       ︵8V 姿勢が強まった。  こうした変化は、労働市場の役割をこれまで以上に重視し、規制の在り方において雇用サービスの国家独占か ら民間雇用サービスとの協働へと基本構想を転換させ、さらに、労働市場における国の役割の見直しを促すもの であった。また、理論面でいえば、個別紛争処理を主要な任務とする伝統法学と違って、労働市場の制度設計の 是非が主要な課題となり、これを適正になしうるための独自の法学方法の導入が求められるに至った。すなわち、 労働市場法は、既存の法律を体系的整合的に解釈・適用するだけでなく、特定の目的の達成のためにいかなる法 制度が選択されるべきかを、効率性や正義性の基準から測定する手法の導入が求められる。これは伝統的な法解       ︵9︶ 釈学に対して﹁法政策学﹂と呼ばれている。  本稿は、以上のような観点から、労働市場における国の役割を再定義し︵二参照︶、労働市場法の目的を明確に し︵三参照︶、その体系を示そうとするもの︵四参照︶である。 ︵1︶ 独立行政法人 労働政策研究・研修機構﹃二〇〇六年版 労働関係法規集﹄、旬報社﹃労働六法二〇〇六﹄。 ︵2︶ 一九七〇年代から八○年代にかけて、労働市場に関わる法を雇用保障法として体系化する学説を雇用保障法学と   いう。これは、積極的雇用政策の台頭と軌を一にして、労働市場に対する国の積極的な介入による雇用の安定を理念 東 洋 法 学 一二九

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︵3︶

パパパ

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))))

︵8︶ ︵9︶  労働市場法に関する覚書      二二〇 としていた。一九八四年に公刊された日本労働法学会編﹃現代労働法講座﹄第一三巻は﹁雇用保障﹂をテーマにして いる。雇用保障法の概念および課題については片岡舜﹁﹃雇用保障法﹄の概念について﹂および荒木誠之﹁雇用保障 の法的課題﹂︵ともに、﹃有泉先生古稀記念 労働法の解釈理論﹄︵一九七六︶四七七ー五二二頁︶、清正寛﹃雇用保障 法の研究﹄︵一九八七︶六頁以下参照。  労働市場法をめぐる労働法学の展開は、鎌田耕一﹁外部労働市場と労働法の課題﹂労働法学会誌九七号︵二〇〇一︶ 八四∼九〇頁、荒木尚志﹁労働市場と労働法﹂労働法学会誌九七号︵二〇〇一︶五五頁以下参照。  諏訪康雄﹁労働市場と法−新しい流れ﹂季刊労働法一二一号︵二〇〇五︶一三頁。  菊地高志﹁学部レベルにおける労働法教育﹂労働法学会誌一〇七号一八四頁。  諏訪・前掲注︵4︶四頁。  菅野和夫・諏訪康雄﹁労働市場の変化と労働法の課題﹂日本労働研究雑誌四一八号︵一九九四︶二頁以下、小罵典 明﹁労働市場をめぐる法政策の現状と課題﹂労働法学会誌八七号︵一九九六︶五頁以下。  二〇〇〇年の労働法学会創立五〇周年記念シンポジウムのテーマの一つに﹁労働市場と労働法﹂が選ばれたり、二 〇〇三年のシンポジウムのテーマが﹁雇用政策法の基本原理﹂であった。  近年、伝統的な法学に対して、法政策学の意義を強調する学説が増加している。例えば、平井宜雄﹃法政策学[第 二版]﹄︵一九九五︶は、法律学において制度設計の理論と技法が必要だと主張している。制度設計に対する関心は、 ﹁法と経済学﹂学派が法制度の設計およびその適用における効率性の間題を提起して高まった。労働市場法において も、効率性の要請は重視されている。しかし、市場メカニズムが効率性を高める制度であることは否定できないとし ても、それは正義の要請にも応えるものではなければならない。そこに労働市場における﹁法的なもの﹂を語る意義 もあるし、労働市場法の存在理由もあるといわなければならない。では、その正義の基準とは何かが間われる。効率 性については法と経済学の協働が不可欠である。諏訪康雄﹁労働における﹃法と経済学﹄﹂日本労働研究雑誌五〇〇 号︵二〇〇二︶一五頁以下。

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二 労働市場と国家の役割  1 労働市場の特徴  労働市場とは、多義的で不明確な概念だが、経済学においては通常、求人・求職の媒介など労働力の需給調整        ︵−o︶ が行われる場所や労働資源の配分機能をいう。これは、労働力の需給調整そのものやそれを支える仕組みをいう 場合と、より広く、採用と解雇、賃金などの労働条件の決定の仕組みや求職・求人の媒介をとりまく公的・私的        ︵n︶ 活動および制度を含める場合がある。  後者の広義の労働市場観にたてば、労働に関わるあらゆる事項が労働市場で決せられることになるが、経済学        ︵12︶ では、企業内部の正規労働者を対象とした労働条件の決定に関与する場所・機能を﹁内部労働市場﹂といい、企       ︵13V 業外の、組織されない需給調整に関係する労働市場を﹁外部労働市場﹂︵あるいは単に﹁労働市場﹂︶と呼んで、        ︵14︶ 労働市場を区別している。並目通、労働市場法とは﹁外部労働市場﹂を対象とする法領域を指す。  経済学︵とりわけ﹁新古典派経済学﹂︶は、希少な資源が市場メカニズムによって最も効率的に配分されると主       ︵15︶ 張する︵いわゆる﹁パレート最適﹂︶。しかし、このような主張は、いくつかの前提に立っているのであり、この 前提が満たされない場合、市場は必ずしも有効に機能しない︵いわゆる﹁市場の失敗﹂︶。とりわけ、労働市場は、 ①情報の不完全性、②人的資本蓄積可能性、③求職者・求人企業間の交渉上の地位の格差という点で他の財市場        ︵16︶ と異なるとされる。

    東洋法学      

二二一

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    労働市場法に関する覚書       二二二  情報の不完全性とは、労働者にとって自分に適した職場がどこにあるかという情報が不足していること、そし て、企業にとってその労働者が二ーズにふさわしい能力を備えているかという情報に不足していることを指して いる。また、労働者は職場での就業経験を通じて能力を開発し、人的資本を形成するわけだが、労働者が就業機 会を得られないとき人的資本を蓄積することができず、その結果、かれが取り扱う商品の価値が低下することに なる。そこで、労働者は人的資本蓄積の可能性について情報を得ようとすることになる。  さらに、労働力商品は売り惜しみがきかないために︵企業は労働者を雇用しなくてもすぐに困るということは ないが、労働者は労働力が売れなければすぐに生活に支障が出る︶、求人企業と求職者との間の交渉上の地位の格 差が存在する。  以上のような特性から、外部労働市場の機能強化のためには、雇用創出の措置および効果的なジョブサーチや       ︵17︶ 能力開発投資を促すような制度的・政策的介入が必要となり、そこに、国や雇用サービス事業が大きな役割を果 たすことになる。  2 労働市場における国の役割  古くから、営利を目的とした職業紹介事業者が労働力の需給調整を担ってきた。職業紹介が商売として始めら        ︵18︶ れたのは江戸時代に入ってからだとされているが、明治維新後、関所が廃止され、人の移動が活発となると、様々 な雇用サービス事業者︵有料および無料の職業紹介事業者、労働者募集人など︶が登場した。

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 これらは明治初期から中期にかけて、全国の農村の労働力を、勃興しつつある繊維産業に移動させる役割を果 たした。しかし、労働者保護の機構とルールを欠いた労働市場においては、女工哀史や監獄部屋にみられるよう       ︵19︶ な重大な弊害がみられた。       ︵20︶  こうした弊害を除去するため、国は、早い時期から、ILO条約に示された周際基準にならって、無料の公共        ︵21︶ 職業安定所の導入と強化に力を注ぐ一方で、営利職業紹介事業・労働者募集の活動を厳しく規制した。  この政策は戦後においても受け継がれ、雇用サービス事業を国に担わせるため、一九四七年に成立した職業安       ︵22︶ 定法は、民間雇用サービス事業者を原則禁止した︵これを﹁職業紹介の国家独占﹂という︶。  同時に、国は、戦争直後の大量の失業者に対する救済策として、失業保険法︵一九四七年︶、緊急失業対策法︵一 九四九年︶を制定し、失業対策事業の実施、失業保険制度の整備などを行い、文字通り労働者の生存権を保障す       ︵23︶ る政策に精力を傾注していた。  こうした失業者の事後的救済を中心とした政策︵これは後年﹁受動的労働市場政策﹂と呼ばれるが︶は、労働 力不足が顕著となる一九六〇年代に、とくにOECDが一九六四年に発した﹁経済成長を促進する手段としての 労働力政策に関する理事会勧告﹂を機縁として﹁積極的雇用政策﹂に転ずる。政府は、一九六六年﹁雇用対策法﹂ を制定し、はじめて、﹁完全雇用の達成﹂を国の政策目標にかかげることになる。  ﹁積極的雇用政策﹂の意味は必ずしも明確ではないが、失業に対する事後的ないし補完的政策の範囲を超えて、 経済成長政策との関連において雇用機会の創出に努めながら、雇用量自体の調整と安定を図るという積極的形態

    東洋法学      

二壬二

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    労働市場法に関する覚書      二二四       ︵24︶ をとるところにその特徴があった。具体的には、企業における雇用安定のための支援策や、高校進学率の向上に よる若年労働力不足対策、炭坑閉山に伴う離職者の広域移動、職業訓練制度の整備など産業に必要な労働力を配        ︵25︶      ︵26︶ 置・育成する政策や、労働力需要が減退する不況期には、公共事業の拡大など総需要を喚起する景気対策などが とられた。  七〇年代から八○年代にかけて、概ね失業率は一∼二・五%の低位で推移したが、九〇年代に入り、バブル景 気の崩壊の結果、中高年労働者のリストラが行われ、他面で、国家財政の悪化によりこれまでのような公共事業 などの景気対策を講ずる余裕を政府から奪ったために、大量の失業者が生まれることになる。ここにおいて、労       ︵27︶ 働市場における国の役割に関して活発な議論が戦わされることになった。﹁官から民へ﹂または﹁小さな政府﹂を 求める主張がなされた。        ︵28︶  こうした議論に大きな影響を与えたのは、一九九四年にOECDが発表した﹁一〇房ωε身﹂と、一九九八年に採 択されたILO一八一号条約であった。  二〇富ω9身﹂は、失業間題の解決には労働市場機能の活用が不可避であり、とくに﹁労働市場の柔軟化﹂の       ︵29V 必要性を説き、労働市場政策として﹁積極的労働市場政策﹂を提唱し、公共職業安定所を含めた雇用サービス事 業者の機能の高度化および政策ターゲットの絞り込みなど財政抑制を基調とした政策を勧告している。  ILO一八一号条約は、有料職業紹介事業の原則禁止を定める九六号条約を改訂し、民間雇用サービス事業者        ︵3 0︶ の活動を原則自由とし、同時に求職者・労働者の保護を図ることを目的としている。日本は、一九九九年、IL

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〇一八一号条約を批准するとともに、職業安定法・労働者派遣法を改正し、これまでの職業紹介の国家独占から       ︵3 1︶ 民間雇用サービス事業の原則自由化へとその基本構想を転換させることになる。       ︵3 2︶  こうした転換の意義は現在においてなお評価が分かれるところであるが、法政策的観点から、すなわち、効率        ︵33︶ 性と正義性の二つの観点から評価しなければならない。筆者は、国による労働力需給調整の独占は膨大な管理コ       ︵3 4︶ ストを強いること、民間雇用サービスの活用はミスマッチの防止に役立つこと、さらに、労働市場における自由        ︵3 5︶ は制度設計において優先的価値をもつことから、労働市場重視の基本構想は妥当と考えている。  しかし、すでに見たように、求職者・求人企業間には交渉上の地位の格差が存在し、また、資本主義経済にお いては景気循環により非自発的な失業は避けられない。矢業は往々にして個々の労働者の生活を破壊し、そのキ ャリア形成を困難にする。これは個々の労働者の間題にとどまらず、労働市場の効率的な働きを阻害し、社会全 体を不安に陥れるおそれがある。そこで、労働市場機能の活用とともに労働者の生活の質を向上させ、職業生活 を安定させる措置が不可欠である。そして、市場メカニズムの重視と労働者・求職者の職業の安定の確保は相互        ︵訪︶      ︵訂︶ に排斥しあうものではなく、これをバランスよく発展させる制度設計が求められる。  この意味において、国は労働市場における﹁セーフティネット﹂としての役割を果たすことが期待される。セ        ︵38︶ ーフティネットという用語は多義的であるが、最近の議論では、セーフティネットの存在が効率性を減退させる のではなく、むしろ、市場メカニズムが高度に機能するためにそれを補完する制度ととらえるものが多くみられ ︵39︶ る。例えば、国の雇用サービス事業は民間事業と相互に排他的競争的関係に立つよりも﹁棲み分け﹂の関係に立

    東洋法学      二二五

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ち、   労働市場法に関する覚書       ︵40︶ 相互に相手の不得意な分野を補完する機能を果たすと考えられている。 一三六 ︵10︶ パ  パ 1211 )  ) ︵13︶ ︵M︶ ︵15︶ パ  パ  パ  パ  パ  パ 21 20 19 18 17 16 )  )  )  )  )  ) 一九二五年︵大正一四年︶制定された﹁営利職業紹介事業取締規則﹂。  鎌田耕一﹁国際機関における職業紹介制度見直しの動向﹂日本労働研究雑誌四三七号︵一九九六︶二五頁以下。  中島・前掲注︵18︶五四∼五五頁。  中島寧綱﹃職業安定行政史﹄︵一九八八︶一八頁  樋口・児玉・阿部・前掲注︵13︶四一〇頁、辻村江太郎﹃経済政策論﹄︵第二版︶︵一九七七︶一六二頁。  樋口・児玉・阿部・前掲注︵13︶四〇七頁。 セン︵徳永他訳︶﹃経済学の再生﹄︵二〇〇二︶六二頁参照。 てのパレート最適な社会状態は、同時に、価格のある組合せに関して完全競争的均衡であるという。アマルティア・ の条件の下では、すべての完全競争的均衡はパレート最適であり、さらに、他に幾つかの条件が満たされれば、すべ  ﹁パレート最適﹂とは、他人の効用を減らさずには誰の効用も増やせない社会的状態を言う。厚生経済学は、特定 かなめをなすとする主張も展開されてきた︵荒木・前掲注︵2︶五一九頁︶。  労働市場法の対象として、外部労働市場だけを扱うことには批判もある。解雇︵失業防止︶の問題は雇用保障法の の外部における労働資源配分機能﹂と定義している。  樋口美雄・児玉俊洋・阿部正浩編著﹃労働市場設計の経済分析﹄︵二〇〇四︶三頁は、外部労働市場を﹁企業組織 〇〇一一︶ 一六〇百ハ。  ﹁内部労働市場﹂とは、﹁いわゆる内部昇進の仕組みを基本とする企業組織のことである。﹂清家篤﹃労働経済﹄︵二  菅野和夫﹃労働法[第七版]﹄︵二〇〇五︶二九頁。 が行われる場を﹃労働市場﹄として位置づけ﹂ている︵一頁︶。  厚生労働省・雇用法制研究会報告書﹁今後の労働市場法制の在り方について﹂︵一九九八︶は、﹁労働力需給調整

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︵2 2︶ ︵23︶ パ  パ  パ

262524

)  V  ) ︵27︶ ︵28︶ ハ  パ

3029

)  ) ︵3 1︶ ︵3 2︶ ︵33︶  一九九九年改正以前の旧職業安定法三二条一項は﹁何人も、有料の職業紹介事業を行ってはならない。﹂と規定し、 有料職業紹介事業を原則禁止していた。  戦後の雇用政策の展開はいくつかの局面に分けられる。詳細は、松淵厚樹﹃戦後雇用政策の概観と一九九〇年代以 降の政策の転換﹄︵旨い℃↓資料シリーズ 恥5︶︵二〇〇五︶参照。  片岡舜﹁労働権の保障と雇用保障法の理論体系﹂﹃現代労働法講座第一三巻 雇用保障﹄︵一九八四︶二頁。  青木宗也﹁雇用対策法ーその統制的機能﹂法律時報三八巻一一号︵一九六六︶八一頁。  樋口美雄﹃雇用と失業の経済学﹄︵二〇〇一︶は、日本の公共事業費割合が他の国と比べ一貫して高く、その結果、 わが国の雇用対策のうち、景気対策に多額の政府資金が投入されてきたことが特徴であると指摘する︵四〇八頁、四 一六頁︶。  諏訪康雄﹁労働市場法の理念と体系﹂日本労働法学会編﹃講座二一世紀の労働法 労働市場の機構とルール﹄︵二 〇〇一V五頁は、労働市場政策をめぐる消極主義と積極主義を詳しく紹介している。  一〇訂ω9身はOECDが、高失業状態の原因とその解決策の調査を目的に組織したプロジェクトの研究成果をま とめたもので、一九九四年に.、甘房ωε身国く箆窪8きα国巻一き讐δ拐、、︵これは勺巽け一と悶巽けNの二巻からな る︶を発表し、翌年の一九九五年にその補完である、.冒房ω9身H日箪Φヨ9江轟爵Φωq曽富讐..を発表している。  ∪。︾ω訂讐oお↓ぽ田﹃8①き国ヨ亘畠BΦ暮ω霞簿。讐る。。㎝もミ・  ILO一八一号条約については、馬渡淳一郎﹁労働市場の法的機構﹂日本労働法学会編・前掲注︵27︶四三頁以 下、鎌田耕一﹁I﹂〇一八一号条約の意義﹂労働法学会誌九一号︵一九九八︶一〇八頁以下参照。  職安法等の基本構想を転換するうえで、一九九八年の雇用法制研究会報告書﹁今後の労働市場法制の在り方につい て﹂は大きな役割を果たした。  萬井隆令・脇田滋・伍賀一道編﹃規制緩和と労働者・労働法制﹄︵二〇〇一︶一六五頁、二二六頁以下は、労働市 場の自由化および九九年の職安法、労働者派遣法改正を批判している。  平井・前掲注︵9︶によれば、ある目的を達成する法制度設計の手法として、一般に、﹁市場的決定﹂と﹁権威的 東 洋 法 学 一三七

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︵36︶ ︵37︶ ︵3 8︶ ︵39︶  労働市場法に関する覚書      二二八 決定﹂の二つがある。平井は、両者のいずれを選択すべきかについて、権威的決定より市場的決定が望ましいと述べ ている。理由は同書二天頁以下参照。筆者は、この一般論は労働市場法にも妥当すると考えている。  諏訪・前掲注︵4︶四頁、鎌田・前掲注︵20︶。  職業選択の自由は労働市場法の基本原理の一つであるが、それは雇用サービス選択の自由を含むものだと思う。ア マルティア・セン︵石塚雅彦訳︶﹃自由と経済開発﹄︵二〇〇〇︶五頁は、市場メカニズムの否定的作用を指摘しなが ら、労働市場の自由の意義を強調している。  労働市場における柔軟性と個人の職業の安定性の共存の可能性を示すものとして、︾ω后一9劇亀○且国B巳oく− ヨΦ導 O富轟Φぎ名○詩蝉且跨Φ男q9Φ9いぎ○霞い四零ぎ国彗8ρ8βP一8以下参照。例えば、労基法は妊 婦の解雇を禁止しているが、企業にとっては解雇したほうが効率的であることは疑いない。しかし、妊婦の解雇を許 すことはこうした労働者を市場から排除し、労働力の拡大に否定的に作用することは明らかである。  樋口・児玉・阿部・前掲注︵13︶六∼七頁は、﹁高質な労働市場﹂構築のために、①良好な雇用機会がたくさん用 意され、②求人企業や求職者についての正確な情報が伝達され、③再就職に必要な能力開発を支援する機能が必要だ としている。  セーフティネットとは、広義には、﹁なんらかのリスクが存在する場合に最悪の事態を回避する目的で事前に準備 された仕組み﹂とされ、これに対して、狭義には、﹁市場参加者の相当部分が再び市場に参加し得ないほどの被害を 被る蓋然性が高く、そのまま放置しておけば市場機能自体が麻痺してしまうような状態が発生した場合に、市場参加 者を一時的に救済し市場の秩序を維持する仕組み﹂とされている。近年は、セーフティネットの概念を﹁個人のリス クを公的な制度によって軽減し、著しいリスクによる経済活動へのディスインセンティブを回避する仕組み﹂と解す るものもある。一柳良雄・細谷裕二﹁多様な選択を可能とする市場機能拡張的な政策メニュー﹂青木昌彦他編著﹃市 場の役割、国家の役割﹄︵一九九九︶二九九頁。  市場と政府の補完的関係の必要性は、労働市場に限ったことではない。一柳良雄・細谷裕二﹁市場と政府の補完関 係−市場機能拡張的政策の必要性﹂青木・前掲注︵3 8︶一〇五頁。アマルティア・センはその﹁潜在能力アプロー

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  チ﹂に立って、﹁市場メカニズムの広範な力は、社会的平等と正義のための基本的な社会的機会の創出によって補完   されなければならない﹂と主張する。セン・前掲注︵35︶一六二頁。 ︵40︶ 官民の役割分担について、近年は、国と民間雇用サービス事業との関係を、これまでのように相互に代替的なもの、   すなわち、いずれか一方が主で他方が従と考えるのではなく、それぞれの組織の特性に合わせて相互に補完するもの   であり、必ずしも両者は全面的な競争関係に入るのではなく、労働市場において﹁棲み分け﹂が生ずると主張する見   解が有力である。こうした観点から、公共職業安定機関を労働市場から生ずる弊害をできるだけ軽減するセーフティ   ネットとして位置づける見解が提示されている。鎌田耕一﹁公共職業安定機関﹂日本労働法学会編・前掲注︵27︶   七三頁。 三 労働市場法の目的  1 労働市場法の理念  憲法二七条一項は﹁すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う﹂と規定し、いわゆる﹁労働権﹂を保障し ている。労働権が法律的にみていかなる内容と性質をもつかは見解が分かれているが、一般に、﹁労働の意思と能 力とをもつものが、私企業等のもとでは就業し得ないときに、国に対して労働の機会の提供を要求し、それが不       ︵40a︶ 可能なときには、相当の生活費の支払を請求する権利﹂と解されている︵いわゆる﹁限定的労働権﹂︶。そして、        ︵40b︶ この権利は法律的には、国民の具体的な権利ではなく、国家の﹁政治上の責務﹂を宣言したものと解されている ︵いわゆる﹁プログラム規定﹂︶。労働権は、資本主義経済においては、その力点を労働の機会の獲得そのものでは なく、失業時の所得補償に置くことになり、その意味で、労働権は﹁生存権の一種﹂ととらえることができる。

    東洋法学      一三九

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    労働市場法に関する覚書       一四〇  憲法二二条は職業選択の自由を定めているが、それとの関連でみると、労働権は、国が単に労働の機会を提供 するにとどまらず、求職者の自発性を尊重し、その意思と能力に適した職業に付く機会を提供するものというこ とができる。ここから、学説は、労働権は、求職者が国の制度︵職業紹介、雇用保険等︶を利用して自発的に自 己の好む適職を選び、あるいはよりよい労働条件の仕事へと上向移動する権利、すなわち、適職選択権を含むも         ︵40c︶ のと解することになる。  さらに、憲法二六条は国民の教育を受ける権利を規定している。この教育とは直接には、教育基本法に定める 公教育を指すが、労働者は生涯にわたってその職業能力を形成発展させる必要があることから考えると、労働権        ︵40d︶ は、公教育終了後も労働者が自己の職業能力を発展させる教育機会を得る権利を含むものと解することができる。  市場経済体制においては、労働権は私企業または国に対して労働者が直接に雇い入れを請求しうる根拠となる ものではない。しかし、国は、労働者が自分に適した職業に就くことを容易にし、就業機会を得られない時にそ の生活を安定させる政策を企画・実現する政策的責務を負う。そのため、労働市場法は、労働市場における労使 の交渉上の地位の格差などを考慮しつつ、効率的で公正なルールと機構を構築しなければならない。具体的には、 労働市場法は、労働者の職業能力開発、失業時の所得補償など就業機会の確保のために、これに要する費用を労 働者・使用者・国が適正に分担する社会保険等の制度を構築したり、職業選択を適正・円滑に行うことができる ように雇用サービス事業の活動を規制し、国が直接間接に政策的責務の主体となって、税や社会保険に基づく財        ︵40e︶ 政的基盤をもって事業主や労働者に対して財政的な助成措置等の方法をとることになる。

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 2 労働市場法の目的   ① 職業の安定  ﹁職業﹂とは、個人が報酬を得て、それによって自らの生計を維持し、家族を扶養するために自由意思に基づ いてその個人の性能に応ずる個性を共同生活において発揮し社会連帯を実現する継続的生活活動をいい、﹁職業の       ︵41︶ 安定﹂とは、適材が適職を得て、各人が安んじてその職業に従事することをいう。同時に、それは、労働者の経 済的社会的地位の向上を図り︵雇用対策法一条︶、職業選択の自由を保障するものでなければならない︵職安法二       ︵42V 条、雇用対策法一条二項︶。  ﹁職業の安定﹂は、本来は企業横断的に適職を得ることを意味するのであるが、日本的雇用慣行が定着するに つれて次第に特定の企業内での﹁雇用保障﹂または﹁雇用の安定﹂の意味にとらえられることになる。学説にお いても、労働市場法の目的を﹁なによりも失業を防止すること、そして万一失業したときは十分な生活の保障と        ︵43︶ 早急な雇用を確保すること﹂に求める見解が有力に主張された。  これに対して、近年、職業の安定を、労働者が企業間を円滑に移動することができるようにすることととらえ、       ︵44︶ 職業能力開発の目的を個人のキャリア形成におくべきだとする説が展開されている。そして、この見解は、労働        ︵45︶ 者個人がこうしたキャリア形成支援を求める権利を﹁キャリア権﹂と呼び、その法的根拠を憲法二八条の﹁労働 権﹂に求めている。        ︵46︶  こうした近年の議論状況をふまえると、職業の安定は、失業による所得喪失に対する補償や雇用の安定だけで     東洋 法学       一四一

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    労働市場法に関する覚書      一四二 はなく、根本的には、個人が職業に関しその能力を生涯にわたって発揮しうることととらえることができる。こ        ︵47︶ の意昧で、﹁職業に必要な労働者の能力﹂または﹁職業能力﹂は、特定の業務の遂行に必要な労働者のスキルを意        ︵娼︶ 昧するだけではなく、﹁労働市場価値を含んだ就業能力﹂︵エンプロイアビリティ︶ととらえるべきであろう。  個人の目的は個人の生涯において様々に変化し、その中で失業や転職などマイナスの出来事を経験することも 少なくない。そうすると、個人が生涯にわたってその能力を発揮するためには、ある人が実際に置かれている状        ︵49︶ 態ではなく、別の可能性にアクセスしうる社会的制度の整備が不可欠である。失業は所得の喪失や職業能力開発 の機会の喪失をもたらすが、それが間題となるのは、新たな職業に就くための職業能力開発機会の喪失や失業中 の生活補償がない場合である。すなわち、失業それ自体が間題ではなく、矢業のマイナスを緩和しうる広範な代        ︵50︶ 替的選択肢が存在しないことに本質的な問題があるとみられるのである。  してみると、職業の安定とは、個人が職業に関し目的達成のために利用できる社会的選択肢の総和ととらえる ことができる。社会的選択肢は様々な社会的制度・仕組みへのアクセス可能性であり、①個人の能力の育成と向 上に関するもの、すなわち、教育・職業訓練の一般的制度や失業時に能力を維持・発展させる制度、②適職選択 を可能にする制度、すなわち、雇用サービス事業の機構、③雇用機会の拡大のための措置ヘアクセスしうる権利 の総和をいう。職業の安定とは、前記の社会的制度・仕組みへとアクセスする権利︵そのなかの一つが﹁キャリ        ︵瓢︶ ア権﹂である︶を含むことになろう。

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  ⑭ 労働力需給の適正・円滑な調整  労働市場法の第二の目的は、労働力の需給を適正かつ円滑に調整することにある︵職業安定法一条、雇用対策 法一条︶。労働力の需給調整とは、産業界において常に存在している労働力の需要と供給について、求職者・求人 企業の結合に向けた活動や労働者の第三者への割り当てに向けた活動をいう。  労働力の需給調整の形態は、職業安定法四条によれば、職業紹介、職業指導、労働者の委託募集、労働者供給、 労働者派遣に分類される。また、労働力の需給調整に向けた行為は、あっせんや派遣それ自体にとどまらずこれ に向けた活動、例えば雇用に関連する情報の提供を行うサービスやスカウトなども含まれる。したがって、労働 力の需給調整に向けた活動は、職業紹介、労働者派遣、雇用情報提供サービスその他広く求職・求人の結合に向 けた活動や労働者の第三者への割り当てに向けた活動を意昧する。これを以下では﹁雇用サービス﹂という。  しかし、職業紹介は求職者・求人者問の雇用関係の成立を伸介するのにとどまるのに対し、労働者派遣は派遣 元が雇用主となる点で、両者は性質を異にし、また、雇用情報提供サービスにおいては、そもそも雇用関係に直 接影響を与えるものではない。そこで、労働力の需給調整に向けた行為は、その特性から、①求職者・求人企業 との間の労働契約の成立をあっせんするために求人企業・求職者の間を伸介する役務︵これを﹁紹介サービス﹂ という︶、②他人の労務を第三者に供給する役務︵これを﹁労務供給サービス﹂という︶、③求人・求職情報など        ︵52︶ 雇用関連情報を求人企業・求職者に提供する役務︵これを﹁雇用情報サービス﹂という︶に分類できる。  前記①②に対しては詳細なルールが定められているが、前記③の雇用情報サービスについては、個人情報保護

    東洋法学      一四三

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    労働市場法に関する覚書      一四四 法に基づく規制を除けば新卒者の採用に関する就職協定などがあるだけで、法律上の規制はほとんどない。  過去において、民間雇用サービス事業者がいくたの間題を引き起こしたことから、法は労働力需給調整の 正性﹂を担保するため許可制を導入し、その許可制の下での雇用サービス事業の参入規制を行っている。 ﹁適   ㈹ 完全雇用の達成  完全雇用とはいかなる状態をいうか明確に定義することは困難であるが、ビバレッジは、﹁完全雇用は、常に失       ︵5 3︶ 業者数より多くの欠員のまま仕事があること﹂と定義し、概ね三%程度の失業率を想定していた。これに対して、 経済学では、現在、完全雇用を﹁ある所与の経済構造の下で維持可能な最低レベルの失業率﹂にあるとするもの が多い︵これは﹁インフレ非加速的失業率﹂︵Z≧即d”ZO亭︾8色R讐一轟置自讐一9園魯Φ9q器ヨ覧2ヨ①耳︶     ︵5 4︶ と呼ばれる︶。  完全雇用は、経済学的には、特定の失業率を目標とするものであるが、法的には、より政策的にとらえ、国︵政        ︵55︶ 府︶の積極的雇用政策︵労働市場政策︶を基礎づける理念として位置づけられる。  積極的雇用政策︵労働市場政策︶は、一般的には、失業者に対する事後的補償などの措置との対比において、 失業の予防、個人の職業能力開発、採用・再就職へのインセンティブ、労働力需給調整機能の強化、就職困難者       ︵56︶ への就職促進、他の領域︵例えば景気対策︶の政策との連動などを指している。  これまで、積極的雇用政策においては﹁企業経営の基盤の改善、国土の均衡ある開発等の諸施策と相まって﹂

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︵雇用対策法四条二項︶なされる諸施策、すなわち、公共事業への財政支出による雇用創出や、雇用調整助成金に        ︵57︶ よる企業の雇用維持などが中心的役割を果たしていた。しかし、近年では、こうした政策の雇用拡大に対する効        ︵58︶ 果に疑間が提起されている。  これに対して、OECDは一九九〇年代に入り、政府による財政支出を抑制し、職業能力開発、雇用サービス ︵マッチング・カウンセリング︶などの対策を重視して、労働市場機能の改善をはかるための政策を﹁積極的労働       ︵59V 市場政策﹂と呼んで、各国にその導入を促すことになる。  積極的労働市場政策の効果を測定することは困難であり、失業率の減少効果を実証した研究はみあたらないが、 それがそれぞれの政策手法が妥当する求職者・矢業者層にターゲットを絞るとともに、各層の二ーズに合わせた       ︵60︶ 制度設計を行う場合、効果を発揮するとされている︵とくに長期失業者の減少︶。すなわち、公共職業安定所によ る雇用サービスの効率化︵あっせんやカウンセリングの強化︶、雇用サービスと失業給付・職業能力開発との連 携の強化、障害者・高年齢者・長期失業者・若年者に対する雇用促進ときめの細かい施策︵高年齢者および若年 者への個々人に着目したカウンセリング︶において有効性をもつと思われる。  ︵40a︶ 石井照久﹃労働法総論[増補版]﹄︵一九七九︶二八八頁。労働権をめぐる学説の動向については、野村晃﹁労働    権論﹂籾井常喜編﹃戦後労働法学説史﹄︵一九九六︶五九四頁以下参照。  ︵40b︶ 石井・前掲注︵40a︶三〇一頁。  ︵40c︶ 松林和夫﹁雇用保障法制の理論的課題﹂労働法学会誌四五号︵一九七五︶九一頁。  ︵40d︶ 松林・前掲注︵40c︶九三頁。

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   労働市場法に関する覚書      一四六 ︵40e︶ 横井芳弘・角田邦重・脇田滋﹃新現代労働法入門﹄︵二〇〇〇︶四〇九頁︵毛塚勝利︶。 ︵41︶ 労働省職業安定局﹃改訂版 雇用対策法・職業安定法・緊急失業対策法︵労働法コンメンタール︶﹄一七八∼一七   九頁。 ︵4 2︶ その意義は、第一に、近代市民社会において何人も封建的な身分によって職業が決定されないこと、第二に、戦時   下において国家が強制的に労働者を軍需産業に割り当てたことを反省し、求職活動に当たって労働者の自発的意思   が尊重されるべきことを意味する。 パ     パ  パ  パ  パ  パ  パ  パ  パ  52    51 50 49 48 47 46 45 44 43 )     )  )  )  )  )  )  )  ) )          パ 54  53

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︵55︶ パ  パ  パ  ハ  パ 60 59 58 57 56 )  )  )  )  ) ○国OUざびωω9身H目巳Φ3Φ旨ぎひq些①ωけ声富閃ざ一8μ℃マ曽幽O’山川・前掲注︵5  鎌田・前掲注︵20︶二二頁。  樋口・前掲注︵26︶四三九頁。  樋口・前掲注︵26︶四〇八頁、四一六頁。  山川隆一﹁諸外国における労働市場政策﹂日本労働法学会編・前掲注︵27︶一二〇∼一二二頁。 緊急事であるとされるようになる。有馬元治﹃雇用対策法の解説﹄︵一九六六︶二七頁参照。 上させ、産業界が必要とする有為な労働力を確保する体制・環境条件の整備こそが﹁完全雇用の達成﹂を図るために 台で推移するようになると、完全雇用に向けた政策は失業対策という側面から、労働者がその社会的経済的地位を向 は量ではなく不完全就業︵潜在失業︶の間題を含めた質の間題だとしている。そして、一九六〇年代に失業率が一%  ﹁完全雇用﹂の用語がはじめて政府目標として表現された一九五七年の雇用審議会答申第二号において、完全雇用 6︶一三六頁。 三 労働市場法の体系  1 労働市場法の体系  労働市場法は、大きくは、個人の職業能力開発および失業時の所得補償を確保する法領域︵職業能力開発・雇 用保険法︶、求職者・求人企業のマッチングに関与する雇用サービス事業に関する法領域︵雇用サービス法︶と、 完全雇用を達成するために国が労働市場に政策的に関与する場合の財政的・組織的裏付けとなる法領域︵雇用政 策法︶に分かれる。  具体的にいえば、労働市場法の法領域は、①求職者・求人企業相互のマッチング︵職業紹介、労働者派遣など︶

    東洋法学       一四七

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    労働市場法に関する覚書       一四八 が円滑・的確に行われるための一般的枠組み・ルール、②失業の抑制や労働者の円滑な労働移動を促進する雇用 対策の実施、③労働者が就職のために必要なスキルを習得できるようにする職業能力開発システムと個人のキャ リア形成支援のための措置、④労働市場において弱い立場にある特定の労働者グループ︵たとえば、高年齢者、 障害者、中高年女性など︶に対する積極的な雇用促進に関する制度、⑤失業者の所得補償のための雇用保険等に 関する法領域に分けられる。  これを、現行法の分類で示せば、前記①は職業安定法、労働者派遣法、②は雇用対策法、中小企業労働力確保 法、③は職業能力開発促進法、④は高齢者雇用安定法、障害者雇用促進法、⑤は雇用保険法などがこれに関係す る。  2 労働市場法の基本政策とルール   ① 職業能力開発・雇用保険法  職業訓練・職業能力開発の法制は、他の労働法制に比べ遅れて発展してきたもので、現在も発展途上にある法        ︵6 1︶ 制分野といわれる。そうした経緯のなかでも、一九五八年、旧職業訓練法がはじめて制定され、一九六九年の改 正︵新職業訓練法︶を経て、一九七四年に制定された雇用保険法が能力開発を同法の定める事業の一つとして位 置づけ、職業能力開発に要する財源の確保をはかったことは重要であった。初期には、職業訓練については、労 基法が企業・産業が必要とする技能・技術の養成を、職安法が失業者の再訓練︵職業補導︶を規定するというよ

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うに二系統に分かれていたが、旧職業訓練法はこれを統一し、さらに、雇用保険法が職業能力開発事業を規定し ︵雇用保険法六三条︶、使用者から徴収した財源に基づく財政支援措置をもって職業能力開発を促進することとな った。  その後、数度の改正を経て一九八五年に現行の職業能力開発促進法︵以下では能開法という︶が成立したが、 その目的は﹁職業に必要な労働者の能力を開発し、及び向上させることを促進﹂することにあり︵同法一条︶、こ れを実現する手法として﹁雇用対策法ーと相まって﹂関連する諸施策を﹁総合的かつ計画的に講ずること﹂と している。  同法三条はその理念として、労働者の﹁職業生活設計に配慮しつつ、その職業生活の全期間を通じて段階的か つ体系的に﹂能力開発を行い、労働者の﹁自発的な職業能力の開発及び向上を促進﹂するとしている。これによ       ︵62︶ って、労働者の﹁職業生活設計﹂または﹁キャリア形成﹂が重要な意義をもつようになる。  こうした目的を実現するために、能開法は、具体的に、①国による﹁職業能力開発基本計画﹂、都道府県による ﹁職業能力開発計画﹂、事業主による﹁計画的な職業能力開発﹂の策定︵五条、七条、一一条︶、②国、都道府県、 事業主による﹁多様な職業能力開発の機会の確保﹂︵八条、一五条︶、③国と都道府県による﹁職業訓練﹂︵一五条 の六、一六条︶、④国による技能検定︵四四∼五一条︶、⑤国と都道府県による事業主等に対する援助、助成︵一 五条の二、一五条の三︶、⑥事業主による﹁職場内訓練﹂︵9↓︶、﹁職場外研修﹂︵Rこ↓︶の実施、能力検定の 受検︵九条、一〇条︶、情報提供や配置上の配慮︵一〇条の二︶、﹁有給教育訓練休暇﹂︵一〇条の三︶などを規定

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一四九

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    労働市場法に関する覚書      一五〇 している。そして、職業能力開発の財源には、雇用保険があてられる︵九六条︶。  さて、個人の職業能力開発はエンプロイアビリティを高めるうえで、最も重要な課題であるが、これまで、国 は、教育訓練に関して企業のイニシアティブに多く委ねてきた。しかし、経済のグローバル化、技術革新、就業 形態の多様化により、産業の不断の再編、企業組織の再編・リストラ、非正規労働者の拡大が進行し、これまで の企業中心の職業教育訓練システムでは、転職志向者、中小零細企業の労働者、衰退産業の従事者、女性、高齢 者、非正規従業員には不十分となっている。  そこで、改正能開法は、予測のつかない不透明な時代において、個人が主体的に職業の安定をはかるため個人        ︵63︶ の﹁キャリア形成﹂を重視し、個人に対する支援の強化をうたっている。さらに、非正規労働者が正規労働者に 比べ職業能力開発の機会を不当に狭められている状態を改善するために、職業能力開発につき均衡に配慮するこ       ︵64︶ とが重要な課題となっている。  職業能力開発の財源を担保するのは雇用保険制度である。雇用保険法の目的は、第一に、労働者が失業して所 得の源泉を喪失した場合または雇用の継続が困難となる事由が生じた場合または労働者が自ら職業に関する教育 訓練を受けた場合に、失業給付を行うことによって、再就職するまでの生活の安定や雇用の安定を図るとともに、 再就職の援助を行うことであり、第二に、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正およ び雇用機会の増大、労働者の能力開発および向上その他労働者の福祉の増進を図ることである︵一条︶。  したがって、雇用保険制度は、労働者の失業時の所得補償のみならず、再就職まで援助し、失業者ができるだ

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      ︵65︶ け早く労働市場に参入することを促進する制度として捉えられる。職業能力開発の支援は広く雇用保険制度に基 づき、また、雇用保険制度は労使折半の拠出による社会保険であることから、職業能力開発の法制度は、その意 味では、労働者の職業能力開発に要する費用を労使で分担するという社会連帯原理に立脚した制度ということが できる。       ︵66︶   ③ 雇用サービス法  雇用サービス法は、求職者・労働者の保護をはかりつつ労働力の適切な需給調整を可能とするルールを定めて いる。雇用サービスに関連するルールは、大きくは、①官民の雇用サービス事業者に共通して適用されるルール、 ②民間雇用サービス事業者の類型毎の行為に関するルール、③民間雇用サービス事業者の労働市場への参入に関       ︵67︶ するルールに分けられる。  官民の雇用サービス事業者に共通して適用されるルールとしては、人種、国籍、信条、労働組合加入などを理 由として職業紹介等について差別的取扱いを行ってはならないこと︵職安法三条︶、職業紹介・労働者派遣などに 関して知り得た個人情報を漏らしてはならないこと︵職安法五条の四、労働者派遣法二四条の三︶、求職者・派遣 労働者に対し従事すべき業務内容および労働条件を明示すべきこと︵職安法五条の三、労働者派遣法三四条︶な どがある。  雇用サービス事業者の類型毎の行為のルールとしては、職業紹介については、求人・休職申込みを原則として

    東洋法学      一五一

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    労働市場法に関する覚書       一五二 受理すること︵求人・求職申込み受理原則、職安法五条の五、同法五条の六︶、求職者に対して能力に適合する職 業を紹介し、求人者に対しその雇用条件に適合する求職者を紹介すること︵適格紹介の原則、同法五条の七︶が ある。また、公共職業安定所のみに関するルールとしては、求職者に対し、できるだけその住居地の変更を必要 としない就職先を紹介すること︵居住地紹介の原則、同法一七条一項︶などがある。  有料職業紹介事業に関するルールとしては手数料の規制がある。有料職業紹介事業者は、原則として求職者か ら手数料を徴収してはならない︵同法三二条の三第二項︶。求人企業から手数料を徴収することができるのは、① 就職した労働者の平均賃金の一〇・五%を上限として手数料を徴収する場合か、②あらかじめ厚生労働省に届け 出た手数料表に基づいて徴収する場合に限られる︵同法三二条の三第一項︶。  労働者派遣に関するルールとしては、派遣労働者の就業条件の整備のための労働者派遣契約内容の規制︵労働 者派遣法二六条︶や、雇い入れの際の派遣労働者であることの明示︵同法三二条︶、そして派遣労働者の国籍、 信条、性別、労働組合の正当な活動をしたことなどを理由とした派遣先による労働者派遣契約の解除の禁止︵同 法二七条︶が定められている。  労働者派遣事業からの労働者の受入期間については、臨時的・一時的な労働需要に対する派遣︵テンポラリー ワーク型派遣︶と専門的な技能等を有する者の派遣︵専門職派遣︶に分けてルールが定められている。専門職派 遣においては、厚生労働省令の定める業務︵現在指定されているのは二六業務︶に限って、派遣受入期間の制限 がない。これに対して、テンポラリーワーク型派遣︵二六業務以外の労働者派遣︶については、派遣の受入期間

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が同一業務につき三年を上限と定められている︵同法四〇条の二︶。  雇用サービス事業者が過去において中間搾取や強制労働などの弊害が認められたことから、雇用サービス事業 者の市場参入を制限する許可制︵一部届出制︶を導入している。職安法は職業紹介事業者︵有料および無料︶、労 働者の委託募集を行う者に厚生労働大臣の許可取得を義務づけている︵三〇条、三三条、三六条︶。労働者派遣事 業者も、労働者派遣法に定める許可要件を満たした場合許可を取得し、その事業活動を行うことが許される︵労 働者派遣法五条︶。   ㈹ 雇用政策法  雇用政策法は、国民経済的観点から、完全雇用を達成するうえでの枠組みを提供し、﹁労働市場を一定の方向に       ︵68V 導くために国家が労働市場に介入する、その際の手段としての立法﹂を意味している。  雇用政策法は、①就業機会の創出・拡大に向けた政策的措置、②長期失業者・若年者・障害者などの就職困難 者にターゲットを絞った諸施策、③雇用されている労働者が雇用機会を失わないようにするための措置を定めて いる。  就業機会の拡大に向けては、公共職業安定所などの機能の強化︵とくにキャリア形成支援の強化やワンストッ       ︵69︶ プサービスなどの窓口の整備︶がはかられなければならない。雇用機会の創出策としては、公共事業などの景気       ︵70︶ 対策ではなく、地域の雇用創出のイニシアティブに依拠する地域雇用対策の強化が求められている。

    束洋法学      

一五三

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    労働市場法に関する覚書      一五四  第二次世界大戦から一九八○年代までに講じられた地域雇用対策は、大きくは、労働力の地域的不均衡を是正 するための積極的な労働力の流動化策と、特定地域に発生する大量の離職者への緊急雇用対策であり、一時的な 性格をもっていた。一九八○年代以降、安定成長期にはいると、地域雇用対策は、安定的な雇用創出を目指した 中長期的な性格をもつようになり、一九八八年に成立した﹁地域雇用開発等促進法﹂は、従来の指定地域を整理 統合している。現在、地方分権一括法の制定により、行政システムの分権化と、地方政府主体の産業・雇用政策        ︵7 1︶ への転換が進められている。  雇用政策のなかでとくに重要なものは、就職困難者に対する雇用促進である。すでに、障害者については﹁障       ︵72︶ 害者雇用促進法﹂に定める義務雇用制度と雇用納付金制度が導入され、かなりの効果をあげている。近年は、二       ︵73︶ ート・フリーターなどの未就業・不安定就業の若年者雇用対策が新たな政策課題とされている。  高齢者に対する雇用対策としては、﹁高年齢者雇用安定法﹂は六〇歳以下の定年年齢を禁止し、さらに六五歳ま での雇用継続を事業主に義務づけていることが注目される。また、雇用対策法七条は、企業が労働者の募集・採 用において年齢にかかわりなく均等な機会をあたえるよう努めなければならないと規定している。 パ  パ  パ

636261

)  )  ) 諏訪康雄﹁能力開発法政策の課題﹂日本労働研究雑誌五一四号︵二〇〇三︶二七頁。 両角道代コ雇用政策法と職業能力開発﹂労働法学会誌一〇三号︵二〇〇四︶二三頁。 厚生労働省﹁キャリア形成を支援する労働市場政策研究会報告書﹂︵二〇〇二︶。

(30)

︵6 4︶

6665

)  ) パ  パ  パ  パ  ハ  パ 72 71 70 69 68 67 )  )  )  )  )  ) ︵73︶  その一部は、男女雇用機会均等法六条︵事業主は労働者の職業訓練について女性を差別的に取り扱ってはならない と規定︶、または﹁派遣元が講ずべき措置に関する指針﹂の﹁派遣元事業主が講ずべき措置﹂八︵﹁教育訓練等の実施 等をはじめとする派遣労働者の福利厚生等の措置について﹂﹁当該派遣先において雇用されている労働者との均衡に 配慮して必要な措置を講ずるよう努めること﹂としている︶に明記されている。  藤原稔弘﹁雇用保険法制の再検討﹂労働法学会誌一〇三号︵二〇〇四︶五三頁。  雇用サービス法の基本ルールについては、菅野和夫﹁労働市場の契約ルール﹂日本労働法学会編・前掲注︵27︶ 三三頁以下参照。  厚生労働省・前掲注︵10︶七頁以下。  森戸英幸﹁雇用政策法﹂労働法学会誌一〇三号︵二〇〇四︶三頁。  鎌田・前掲注︵3 9︶。  樋口美雄、S・ジゲール他編﹃地域の雇用戦略﹄︵二〇〇六︶二五頁、四三頁。  樋口・ジゲール・前掲注︵70︶三三七∼三四二頁︵伊藤実・勇上和史︶  手塚直樹﹃日本の障害者雇用﹄︵二〇〇〇︶一一一頁以下は、障害者雇用法制の歴史を簡潔にまとめている。義務 雇用制度についてその意義をみとめながら限界があることを指摘する者もいる。関川芳孝﹁障害者の雇用政策﹂日本 労働法学会編・前掲注︵27︶二二一頁。  厚生労働省﹁若年者キャリア支援研究会報告書﹂︵二〇〇三︶。 束 洋 法 学 一五五

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