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新株発行無効の原因について 利用統計を見る

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(1)

新株発行無効の原因について

著者

小関 健二

著者別名

K. Koseki

雑誌名

東洋法学

25

1

ページ

p73-117

発行年

1981-11

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00006013/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

新株発行無効の原因について

一 二 三 四 五 新株発行無効の訴の実態と分析 新株発行無効の原因 有効な取締役会決議に基づかない新株発行 取引の安全と裁量棄却 おわりに  ㎜ 新株発行無効の訴の実態と分析  昭和二五年の商法の一部改正により設けられた新株発行無効の訴 されたものを拾い上げて要約してみると、次のとおりである。 4・

︵商二八○条ノ一五︶について、判例集等に登載

東洋法学

七三

(3)

新株発行無効の原因について 七四

新株発行無効裁判例一覧表

番号 ①一畷 会 社 帝興光学工業㈱ ズノ!光学工業㈱に商 ・号受更 資本金二〇〇〇万円  一株蕊○円 .発行済株式総数 四〇万株 事 件 の 概 要  原告青柳健、瓢外一嶺は株主。  被告会祉は昭和二九年蕊月一臓 を払込期疑とする懸○万株の新株 発行をした。  被.留会社には昭和二九年四月二 一騰付右新株発行の取締役李試畢 録︵発行価額一株五〇円︶があり 取締役四名が繊席し.全員一致で 決議した旨の記載があるが、右取 締役会が開かれた事実はない。仮 りに開かれたとしても、その招集 手続はなされておらず.また.当 時の取締役は八名︵被告は七名と 主張︶で定足数に達せず.決議は 無効である。従って.本件新株発 行は無効であると主張した。 莚 葬、二 決 の 要 旨  取締役会の決議は会祉内部の意 思決疋に過ぎないから、いやしく も対外的に会社を代表する旋限あ る代表取締役が新株を発行した以 .上.この点につき有効た取締役会 の決議のないことを理由に右新株 発行を無効とすることは許されな  いものといわなければならない。 けだし、株式申込人としては.通 常新株発行が取締役会の有効な決 議に基くものかどうかはこれを知 る由もないから.右のような内部 的なかしの故に新株が無効となる とすれば著しく取引の安全を害す ることとなるからである。 掲結判裁   決

  判

載年

  所

  月 誌果β名 東京地裁 昭和黛一年二月二〇隣 蝕翼頃諏く講く響 鞍講霧.畔聾去 下民集七二一ニニ八九

(4)

①一2

①一3

 改正法にあっては、新株発行 は、株式会社の組織に関すること とはいえ、むしろこれを会祉の業 務執行に準ずるものとして取扱っ ているものと解するのが相当であ り、従っていやしくも対外的に会 社を代表する権限のある取締役が 新株を発行した以上、右発行につ き有効な取締役会の決議がないに しても、右決議の有無は会社内部 の意思決定の問題にすぎず、新株 の発行自体の効力には影響はな く、右新株の発行は有効なものと 解する。  対外的に会社を代表する権限の ある取締役が新株を発行した以 上、たとえ右新株の発行について 有効な取締役会の決議がなくと も、右新株の発行は有効なものと 解すべぎである。改正法にあって は、新株発行は株式会社の組織に 関することとはいえ、むしろこれ 東京高裁 昭和三一年一 控訴棄却 高民集九・一 一月一六臼 四・六三七 最高裁二小 昭和一二山ハ年一二月一二一R[ 上告棄却 最民集一五・三・六四五

東洋法学

七五

(5)

新株発行無効の原因について を会社の業務執行に準ずるものと して取扱っているものと解するの が棚当である。また.取締役会の 決議は会社内部の意思決定であっ .て.株式申込人には右決醸の存否 は容易菰舞輪誉べからざるもので .ある⇔ 七六 ② ㈱茅雇毎夕新聞社 貸本’害一〇〇万門 ︸株五〇〇揖 購○○○株  原一、.“,、試京タイムズ印刷社は二 〇〇〇株.ド..ー掃し一〇〇株の  原、㌧曲は被告会社の経営嘱幻遍 位を被告毒助〃加人栗醸英男に議 渡し株式議設の契約をしたが.株 式譲渡についての取締役会の承認 決議がなされていなかった。その ため補功一、ノ加人側で開いた会社の 発行する株式絶裁を増加する定款 変更の株主総会の決議は不存姦で あ摯.会祉の発行する株式総数は 依然四〇〇〇株である。従って、 被告が昭和三〇年四月二欝、同月 五欝及び同月一一臓を各払込期貰  会礼の発行する株式の鯨被を変 更するビ.、.、.、      驚煮が ・不存在であ鯵.響蘇式六〇〇〇株 は.すべで、被禽会祉の発行する株 式総数を超えて発行したものであ るから.右新株発行は無効という べきである。 昭“ぞ 和雇 三地 一一裁 年 六 月 麟 下レ鋤七・六・㎝五五〇

発行株主総数

株主 新株発行無効

(6)

③ ㈱新宮テレビ販売 発行済株式総数 二〇〇〇株 とする各二〇〇〇株合計六〇〇〇 株の新株発行は会社の発行する株 式総数を超えて発行されたことに なり無効であると主張したo  原告山城増盛は六五〇株の株 主。被告会社は昭和三三年一〇月 二β株主総会を開き第三者割当に よる九〇〇株の新株発行を決議し たが、賛成一〇五〇株反対九五〇 株で特別決議の要件を満さなかっ たのに決議が成立したとして新株 発行手続を進め、取引先の丸一電 雛販売㈱︵五〇株の株主︶に新株 九〇〇株の全部を割当て︵発行価 額一株一〇〇〇円︶新株を発行し たQ  株主総会の特別決議を経ること なく、又は決議の方法が法令又は 定款に違反した澱疵ある株主総会 の決議に基き取締役会が新株を株 主以外の第三者に引ぎ受けさせる ことを決議し、株主以外の第三老 に対し新株が発行された場合、そ の新株が無効とされるならば、株 式を取得しようとする老は、株主 以外の第三者に発行された新株と 株主に発行された新株とを区別す ることが函難であるから、その会 社に照会しなくてはならぬことと なり、取引の安全が著しく害され ることとなる。以上のことを考え 併せると、株主総会の特別決議が なく、又は特別決議に決議の方法 が法令又は定款に違反する違法が

大阪高裁 昭和三五年七月二九臼 原判決取消 請求棄却 下民集工・七・一六〇 六

東洋法学

七七

(7)

新株発行無効の原因について あっても.決議の内容が、会社の 発行し得る株式総数を超えた株式 の発行.定款で認めていない種類 の株式の発行、定款で額面株式の みに限っている場合における無額 爾株式の発行等新株発行嶽体の無 涛嵐鷹があるのでは叛い限り.経 に右決議に基く取締役の浄談によ む株主以外の.掃三嚢に対し発行さ          鑑ならないと 醒すべきであるQ 七八 ④ 丸桝賑乱鱒 蓑本金一八○万門 一株五〇〇縛 発行済株式総数 三六〇〇株  原告神谷新吉は二二八○株の株 主で取締役。  被告会社は昭和三二年三月二二 鷺取締役会を招集したが.その決 議がないのに一万八○○株の新株 を発行し.うち三六〇〇株につい ては株主に割当て、七二〇〇株に ついては第三者に割当てたQ被告 会社の定款には株主は新株引受権 を有する旨規定されているのに、 商法二八○条ノ五第一項の通知を せずに第三老に割当てた。  新発行株式のうち三分の二に及 .ぶ株.弐を株主に対する失権予告付 の通知を経ないでなした新株の発 行は.引受権のない第三者の新株 引受のみならず旧株主の新株引受 も無効である。 長野地裁飯田支部 昭和三轟ハ庶畢閃一月︸○購 新株発行無効 下民集一二・四・七四四

(8)

⑤ 阿寒バス㈱ 資本金一五〇〇万円 一株五〇〇円 発行済株式総数 三万株  原告北見バス㈱︵東急系︶は二 万二七九株、他の原告五名は各 五〇〇株の株主。  被告会社は、昭和三六年一〇月 一六β一九六〇株、同月一九日一 九八○株、一一月二五β一万六〇 〇〇株、二一月一八日一万株、同 三七年二月一〇日一万四〇〇〇株 と五回にわたる新株発行を原告側 不知の間に行い、原告側の持株比 率を七九パーセントから三ニパー セントにしてしまったQ原告等は 第四回目と第五回目の新株発行を 著しく不公正な方法によるもので あり、また、特定の第三者に新株 引受権を付与して行われたもので あるのに株主総会の特別決議を欠 くので無効であると争った。  王 被告会社の代表取締役らが 株主総会における多数者の地位を 維持もしくは獲得するため、その 権限を濫用して自己に味方する者 のみに新株を割りあて、引ぎ受け させたとしても、株主において、 右新株の発行前その差止を講求す る権利等を有することがあるのは 格別、一たん発行された以上、取 引の安全の重要性にかんがみる と、右理由をもってしては新株の 発行を無効とすべぎいわれはな い。  2 新株発行の権限は取締役会 に属し、株主総会の特別決議によ る授権は、右新株発行の権限の濫 用を防止すべぎ対内的な制約とし ての意義を有するに過ぎないもの というべぎである。そうしてみる と右決議の欠敏は新株発行の効力 に影響を及ぽすものということは できない。 釧路地裁 昭和三八年二月二六日 請求棄却 商事法務二七三二〇

東洋法学

七九

(9)

新株発行無効の原因について 八○ ⑥ ⑦ 大黒商産㈱ 一株五〇〇円 八 ○○隷  原告等四名は九〇〇株の株主。  被告会社は昭和四三年五月三欝 六〇〇〇株の新株を発行したが、 商法二八○条ノ三ノニによる公告 も遜知もしていないから隔この新 株発行は無効であると煮張した。  原告梅撃ル疑は二六〇〇株の株 主と土蜜し、罠舛盛、菰は株主権を ,争ウたが 二〇〇株のふ窯と謙ゆ むれた。  被告会社は昭和露五年五樽五欝 二九〇〇株の新株を発行したが. その取締役会決購をなした取締役 を選任した株主総会の決議が無効 であ参.従って.新株発行の取締 役会決議も無効であるから.その 新株発行も無効であると主張し た。捜冨は取締役会決議が無効で も権限のある代表取締役梅野朋子  ︵原告の妹︶のなした新株発行は 有効であると主張した。  商法二八○条ノ三ノニ所定の新 株発行事項の公告または株主に対 する通知の欠鋏は、新株発行無効 の原因となるQ  葺芦を代紅塚締費が、毒.膏した愚 合.それが有効な取締役会決議に もとづかないこ之はじ、、梅幅数瀬 株発行無灘の訴の理爵しはなぢな いが.例外的に蕪行新株教が少な く、引受人が右代表取締役と特殊 の関係にある少数者に限られ.そ の新株が特に発行後六月以内に譲 渡されておらず、会社が小資本で 少数の株主により構成されている 等、新株発行を無効としても棟式 取引の安全を鍔さない特別の車舗 のある場合は.有効な取締役会の 新株発行決議のないことは新株発 行無効の訴の理由となるものと解 すべぎである。 東京地裁 昭和四五年三月一七欝 新株発行無効 下民集 二二一丁繊二四

輝新昭大

時株和分

六発欝雛

六行七

菰無年

  効鷺 プ/話 月 〇  三     〇      罠 東タクシー㈱, 発行済株主総数

(10)

⑧ 日本ビル管理㈱ 一株五〇〇円  原告寺門達次は株主で、被告会 社が昭和四四年四月三〇日を払込 期臼とする一〇〇〇株の新株を発 行したが、その当時代表取締役で あった。右新株発行は、原告の病 気中に経理担当の取締役西村照 ︵株主︶が代表取締役である原告 名義を冒用し、取締役会の決議も 経ずに行ったものであり、新株発 行事項の公告も株主に対する通知 もしていないので無効であると主 張した。  王 取締役会の決議なるものは 会社の内部意思決定に止るから取 引安全の見地を考慮すれば、その 決議の欠鋏という違法の故をもっ て新株発行を直ちに無効ならしめ ることは相当でないQ但し、この ことはあくまでも外部的には会社 を代表する正当な権限を有する者 によってその新株発行の手続が会 縫の行為として適法に履践された ことを前提とする。代表取締役に 無断で同人の名義を蟹用した平取 締役によって履践された本件は、 外部に対する関係で有効な新株発 行手続が履まれているとはいえな いので、本件新株発行は無効であ る。  2 新株発行事項の公告または 通知を欠くとぎは株主の新株発行 差止請求を不当に奪うことになる ので、新株発行は無効である。 東京高裁 昭和四七年四月一八疑 控訴棄却︵新株発行無効︶ 高民集二五・二二八二

東洋法学

八一

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新株発行無効の原因について 八二 ⑨一亙

⑨一2

第一紡績㈱ 上場 資本金八億円 一株五〇円 発行済株式総数 ニハ○○万株  原告㈱嶋崎経済研究所は一二二 万九五〇株.原告安田茂晴は一〇 万株の株主。  被告会祉は昭和顯八年二月一五 騰第三者割当により新株四〇〇万 株︵発行価額一株一八○円︶を発 行し九が..戯法二八○条ノ三ノニ の公轡および通知をしていないか も新株、嘘擁は無効であると主張レ た登被欝は新株発行前臨時株主総 会の特別決議な経ているのでその 必要はないと主張したが.総会決 議の成否については争いがある。  商法二八○条ノニノ三の公告ま たは通知を全く欠いた新株発行は 無効となると解すべぎであるが. 右公告窟たは通知の存否は.前記 のように.株主に対し発行会祉の 不公正な抜打的新株発行による弊 害を未然に防止する機会を与える という立法趣旨に則って.実質的 に判断するのが相当である。被告 会祉は臨時株主総..お招集通知霧 等を株主に送付することにょり. 商法二八○条ノニノ三所定の通知 をしたものと解せられる。  置 商法二八○条ノニ第二項所 定の株主総会の特別決議の欠餓の 殺疵は.新株発行無効の原因とは ならない。  2 商法二八○条ノ三ノニ所定 の公告又は通知の欠歓の暇疵は. 株主が新株発行差止の講求をして もそれが認められない場合を除 き.新株発行無効の原因となる。 大阪地裁 昭和四八年二月二一揖 講求棄却 判時七三六・九二 大阪高裁 昭和四九年二月二七日 控訴棄却 判時七七〇・九六

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⑩ 妙高企業㈱ 資本金三五〇〇万円 一株五〇円 発行済株式総数 七〇万株  原告藤林貞治は六七万七一七〇 株の株主︵所有株式数について争 あり︶で代表取締役。共同経営老 である代表取締役中野和雄との経 営権の争奪で、中野側が昭和四七 年七月二八日の取締役会決議︵原 告は不存在又は無効と主張︶にょ り七〇万株︵発行価額一株一〇〇 円︶の新株発行をせんとしたの で、原告は新株発行差止の仮処分 命令を得たが、中野側はこれを無 視し、割当払込を了し、変更登記 もしたものである。  3 本件において、商法二八○ 条ノニ第二項所定の株主総会の招 集通知及びその添付書類をもっ て、同法二八O条ノ三ノニ所定の 通知をしたものと解する。  1 株式会社の新株発行につい ては、いやしくも対外的に会社を 代表する権限のある取締役が新株 を発行した以上、たとえ右新株発 行について有効な取締役会決議が なくとも、右新株発行は有効なも のと解すべきであるから︵最高裁 昭和三六・三二三判決参照︶、 その無効を主張することは許され ない。  2 差止の仮処分が発せられ、 もしくは判決が言渡され︵その確 定の前後を問わない︶たにもかか わらず、これを無視して新株が発 行されたものであるときは、違法 な新株の発行として無効原因とな ると解するのが相当である。けだ し、株主にょる差止の仮処分申請

東洋法 学

横浜地裁 昭和五〇年三月二五日 新株発行無効 判時七九〇・一〇六 八三

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新株発行無効の原因について または訴に対して.その差止理由 にっいての裁判所の公権的判断が 示されているのに.敢てかかる裁 判を度外視してなされた新株の発 行を有効とするとぎは.差止請求 ⋮権を聾に権利として謡めた立法の㎜ 灘的にそわない結果滋な静塊株主 の利益保護をはからんとする趣旨 が実質上無意味に帰するからであ る.してみれぱ.本件新株の発行 は無効よ蓉ければなら在.︸ 八四 @ ㈱藤川苑 資本金三〇〇万円 一株五〇〇円 発行済株式総数 六〇〇〇株  被告会社は原告鶴照一郎と被告 会社代表取締役今井巌が折半で株 式を引受けて設立したものである が払込は見せ金であった。今井は 原告の株主権を無視して総会を開 いて取締役選任決議をし.新取締 役会で昭和四八年六月八講一万二 〇〇〇株の新株発行を決議して今 井側に新株が発行された。そこで 原告は、総会決議の取消と新株発 行の無効を訴えた。  i 有効な取締役会の決議なく してなされた新株発行も、代ア取 締役がこれをなした以上、新株発 行は会社の業務執行に準ずるもの と考えられ.かつ.取締役会の決 議は会社機関内部の意思決定であ り.有効な新株発行がなされたも のと信じてこれを引受けた懐鍛二者 の保護を考愁すると.右新株引受 人を保護すべき必要のない場合は 駅として原則として右新株発行も 名古屋地裁 昭和五〇年六月一〇欝 新株発行無効 判時七九二・八四

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⑭ 東 洋 法 学 有効と解するのが相当である。そ して、以上の見地から、本件を検 討するに、本件新株発行はその発 行株式数も少なく、引受人もすべ て被告会社代表者とその親族に限 られている⋮⋮以上の認定、判断 に照らせば、本件新株発行はその 法律関係の安定を保護する必要の ない場合ということがでぎ、・⋮ 結局、本件新株発行は有効な取締 役会決議によらないものであっ て、無効といわなければならな いQ  2 新株発行につき、商法二八 ○条の三の二の公告又は通知の欠 飲があった場合においても⋮⋮株 主が新株発行差止請求をしても、 それが認められないことを会社が 立証した場合には無効原因となら ないものと解するのが相当であ るQそして、右見地に立って本件 を検討するに⋮⋮本件新株発行の 新株割当は、従来の株主である原 八五

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新株発行無効の原因について 告及びその親族を除外して.すべ て被告会社代表者及びその親族に なされたことを認めることがでぎ るQこの事実に照らせば.原告に おいて必ずしも.本件新株発行差 止講求を認容きれなかったとは断 圃定できない⇔してみると.本件新 株発行は、公告.遷知を欠いた点 においても.無効原賑があるとい うべきである縣 八六 ⑫ 東京芝浦電気㈱ 上場 一株五〇門  原告申鳥徹は一〇〇株の株主 で.被告会社の証券会社の買取引 受にょってなされた新株発行︵発 行価額一株一四五円︶は株主総会 の特別決議を経ていないから無効 であると主張した。  置 証券会祉による買取引魁 は.株主以外の者に新株引受権を 与えることになるので株主総会の 特別決議を要する。  2 新株の発行は株式会社の組 織に関することとはいえ.むしろ これを会社の業務執行に準ずるも のとして取扱っているものと解せ られるから.いやしくも右発行に つぎ取締役会の決議を経た上対外 的に会社を代表する権限のある取 締役が新株を発行した以上新株の 発行蔭体の効ヵには影響がなく右 昭和三七年一二月一七欝 詣求棄却 下民集二一∵ご丁二四 七三 判時三二陽・四 横浜地裁

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⑬1

⑬2

大成建設㈱ 上場 一株五〇円  原告中島徹は一〇〇株の株主 で、被告会社の買取引受にょって なされた新株発行︵発行価額一株 四〇〇円︶は株主総会の特別決議 を経ていないから無効であると主 張した。 新株の発行は有効なものと解す るo

東洋法 学

 商法二八○条ノニ第二項に規定 するようなたんなる手続上の澱疵 をもってその無効原因と解するこ とは取引行為に準ずべぎ新株発行 の効力を否定する契機を多くし、 取引の安全を害することとなって 妥当ではない。  1 買取引受は商法二八○条ノ ニ第二項にいわゆる﹁株主以外の 者に新株引受権を与える場合﹂に 該当する。  2 商法二八○条ノニ第二項の 手続を履践することなくして、新 株の引受権が付与されたとして も、すでに新株が発行されてしま ったならば、その新株の発行自体 は無効とはならないと解すべぎで ある。  新株引受権を株主以外の者に付 与することについては株主総会の 東京地裁 昭和三八年二月八日 請求棄却 判時三二四・六 東京高裁 昭和三九年五月六日 控訴棄却 高民集一七・三・二〇一 最高裁二小 昭和四〇年一〇月八目 八七

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⑬3

新株発行無効0原因について 特別決議を要するのであるが、既 に取締役会の決定に基づき対外的 に会社の代表権限を有する取締役 が当該新株を発行したものである かぎ勢.右第三藩引受についての 株主総会の特別決議がなされなか ㎜ウた鵜とは.藷抹発行無効の原悶 となるものではない。 八八 ⑭

⑯1

一. 、ヒ 株圭』、 五 〇 円 汽車製造㈱ 上場 一株五〇円  頁張串島徹は三六株の株主で. 被告会社の翼取引受による新株発 行︵発行価額一株一六五円︶は株 主総会の特別決議を経て霊らず. また.発行価額を決定した昭和三 六年一月一七欝当時の株価は二〇 二円であり著しく不公正な方法ま たは価額によるもので無効である と主張した。  原奮中島徹は一〇〇株の株主 で.被告会社の買取引受にょる新 株発行︵発行価額一株一二一〇円︶ は株主総会の特別決議を経ていな いから無効であると主張した。  商法第二八○条ノニ第二項に規 定するようなたんなる手続上の蝦 疵蒙たは発行方法もしくは価額の 不公正をもってその無効原菌と解 することは.取引行為に準ずべぎ 新株発行の効力を否定する契機を 多くし.取引の安全を害すること になって妥当ではない。  商法第二八○条ノニ第工項に規 定するようなたんなる手続上の毅 疵をもってその無効原園と解する ことは.取引行為に準ずべぎ新株 発行の効力を否定する契機を多く 上告棄却 判時四二五・四一

判下講昭東

時民求和京

三集棄三地

二一却八裁

四四 年

九二 欝

 ・  八  一  鷺  七  八 “載臨翼逗幾 葉/筆ノ重表、 昭和三八年二月八霞 請求棄却 判時三二四・七 信越化学工業㈱

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⑮一2

東 洋法 学 し、取引の安全を害することとな って妥当でない。  現行商法においては、元来、新 株の発行は定款に特別の定めがな いかぎり、取締役会が決定し得べ ぎ事項であって、右株主総会の決 議は、取締役会が権限を濫用する ことを防止するための対内的な要 件にすぎないし、又、株主は当然 に新株の引受権を有するものでは なく、右規定に違反して第三者に 新株引受権が与えられたとして も、間接にその利益を侵害せられ ることあるは格別株主の新株引受 権を侵害するものとはなし得ない のである。しかも、一旦発行され た新株の発行を無効とすること は、取引の安全を害することが非 常に大ぎい。新株が発行され会社 が拡大された規模で活動を開始す ればこれと取引する者はその規模 を信用して取引するのであるか ら、もし、その後において、新株 東京高裁 昭和三九年五月六日 控訴棄却 下民集一五・五二〇二 九 八九

(19)

新株発行無効の原因について の発行が無効とせられるならば実 質において資本の減少がなされた と同じ結果となって.会社債権者 の利益を害するおそれがあり、ま た発行された株式が軽転流通した 後において無効とされることは株 式の瞬滑な流通を阻審する鉱と大 なるものがあ鋒取引の安全を侵害 すること顕著である。 九〇

⑯三

久保鑓鉄工㈱ 上場 一株五〇円  原、ドー島徹は五〇株の株主で. 被告会社の買取引受による新株発 行︵発行価額一株二五〇円︶は株 主総会の特別決議を経ないでなさ れたから無効であると主張した。  新株発行が無効とされることに より取引の安全が鯉されること と.商法二八○条ノニ第二項違反 により株主の利益が害されること とを彼此較量してみると.たとえ 商法二八○条ノニ第二項の特別決 議なしに第三老に新株引受権が付 与された場合でも.取引の安全を 重視して.すでに発行された新株 は無効にならないと解するのが相 当である。  買取引受は株主以外の者に新株 引受権を与えるものであるから株 昭和三八年四薄∼○欝 講求棄却 商事法務二七八二四 大阪高裁 昭和三九年六月一 一日 大阪地裁

(20)

⑯一2

東 洋法 学 主総会の特別決議を要する。新株 の発行は、株式会社の組織に関す ることとはいいながら、これを会 社の業務執行に準ずるものとして 取扱っているものと解すべきであ るから、いやしくも対外的に会社 の代表権限を有する取締役が新株 を発行した以上、右第三者引受に ついての株主総会の特別決議がな されず、或は右発行についての取 締役会の決議がなされていなかっ たとしても、右各決議はいずれも 会社内部の意思決定の間題に過ぎ ず、新株の発行自体を無効とする ものではないと解すべきである。 けだし、既に新株が発行され、会 社がこれにょり拡大された資本金 によって活動を開始し、発行され た新株が転々流通しているのにか かわらず新株の発行が無効とされ ると、商法第二八O条の一七、及 ぴ同条の一八の規定にょって、既 に流通におかれた新株券の回収及 控訴棄却 高民集一七・四二一四八 九一

(21)

⑯3

新株発行無効の原因について び新株主に対する払戻の措置がと られるとしても裕これにょり取引 の安全が著しく酸,せられるに至る からである。 九二 積水化学工業㈱ 上場 原告中島徹は株主で、被告会社 の簑取引受による新株発行︵発行  株式会祉の代表取締役が新株を 発行した彗惑には、右新株発行 が.新株引♂仁を株窯以外の嚢に 付与する轍とについての株主総会       魁⇔ことなく右株主 以外の考に引受権を付与して発行 されたものであっても.その畷疵“ は新株発行無効の原因とならな い。右株主総会の特別決議の要件 も.取締役会の権限行使について の内部的要件であって.会社内部 の手続の欠鹸を理由にその効力を 否定するよりは右新株の取得者お よび会社痘艦者の保護等の外部取 引の安全に重点を置いてこれを決 するのが妥当である。  すでに新株が発行され、会社が 拡大された規模で活動を開始し. 最高裁二小 昭和四〇年一〇層八韓 転   、購   糠凄幽 ・堪難集一九・七二七四 五 大阪地裁 昭和三八年圏月︸○β

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⑰ 一株五〇円

東洋法学

価額一株二六〇円︶は株主総会の 特別決議を経ていないから無効で あると主張したQ 発行された新株が転々流通してい る際に、新株発行が無効とされる と、たとえ商法第二八○条の一 七、一八の規定によってすでに流 通におかれた新株券の回収措置及 び新株に対する払戻措置等が講ぜ られるとしても、これによって取 引の安全が害されること多大なも のがある・他方同法第二八○条の 二第二項が要求する株主総会の特 別決議の性格を検討すると、元来 新株発行は定款に特別の定めがな い限り取締役会が決定しうべき事 柄であって、右特別決議は取締役 会がする決定に対する授権の意味 をもつにすぎないということがで きる。又株主以外の第三老に対す る新株引受権の付与は現存株主の 会社支配及びその財産関係に重大 な影響を与えるとはいうものの、 現行法上株主は当然には新株引受 権を有せず、従って議決権等の比 率を保持しうる保障があるわけで 請求棄却 商事法務二七八・ 九三 五

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⑰ 新株発行無効の原霞にっいて ないから、同法第二八○条の二第 二項違反の新株発行にょって株主 の利益が審される場合としては、 新株引受権老に対して許される有 利発行︵同法第二八○条の三傑 書︶の結果株主の財産的利益が岬・ 寒流る場金か.支配権鱗馨の五め .議決権の比率の変更を撚的とする. .新株引受権の付与にょって株主の㎜ 皿会社支配上の利益が害される芦合. 等が考えられるにすぎない。そし てこれらの場合は結局新株発行の“ 価額又は方法の不公正の場合とな るが.これらの不公正発行がそれ のみでは新株発行の無効原因とな旧 らないことは蝋般に認められてい るところである。しかも前認規定 の違反に対する救済措置として は.新株発行前は同法第二八○寒 の︸○や第こ七こ条にもとづく差 止請求が、新株発行後は同法第二 六六条第二六七条による取締役に 対する責任追求又は同法第二八○ 九四

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⑱ ㈱横河電機製作所 上場 一株五〇円  原告中島徹は一〇〇株の株主 で、被告会社の買取引受による新 株発行︵発行価額一株三二〇円︶ は株主総会の特別決議を経ていな いから無効であると主張した。 条の二による引受人に対する差 額支払講求が認められ、もって会 挫及び株主の利益保護に遺漏なか らしめるよう配慮がなされてい る。以上のように彼此較量してみ るとたとえ同法第二八○条の二第 二項の特別決議なしに第三者に新 株引受権が付与された場合でも取 引の安全を重視してすでに発行せ られた新株は無効にならないと解 するのが相当である。 東 洋 法 学  一たん新株の発行が効力を生 じ、いわゆる対第三者関係が生じ た後においては、右の各法益を守 るため、これを無効とすべき違法 を強度のものに限るのが相当であ る。ところで商法は授権資本制を 採用し、新株の発行を定款変更の 一場合とせず、その発行権限を取 締役会に委ねるというのを基本構 造とし、この基礎の上に、新株発 行にあたり新株引受権を第三者に 与えることに関連しての株主の利 東京地裁八王子支部 昭和三八年八月三〇日 講求棄却 下民集一四・八二六七 六 判時三五〇・三五 九五

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新株発行無効の原因について 益保護のためには.前記の如く総 会の特別決議にょる右の取締役会 の発行権限の制約という措置を講 じているにすぎないのであるか ら.前記法益保護の必要と右の法 の構成からすれば.新株発行にあ 而たっての右の株主の利益秣護が絶 .対的なもの.換欝すれば右の手続 の淫背が新株発行の無効を来す意 味における違法性を有するとする、 のは相当でなく.右の特別決畿は いわゆる対内的悪思決定の要件た るにすぎないで.その欠鉄は新株 の発行そのものを無効ならしめる 意味における違法性を麿するもの ではないとするのが相当であるQ 九六

⑲エ

東急不動産㈱ 上場 一株五〇円  原告中島徹は一〇〇〇株の株主 で、被告会社の璽取引受による新 株発行︵発行価額一株二五円︶ は発行価額の決定された昭和四二 年九月八日の前臼の株価が二一⋮ 円であるから特別有利発行で株主 総会の特別決議が必要であるのに  株主総会の決議の欠歓は.新株 発行前にあたっては商法第二八O 条ノ一〇の規定にょる発行の差 止、新株発行後にあたっては同法 第二六六条第一項第五号または同 法第二八○条ノニの規定にょる 取締役窟たは新株を引受けた者の 東京地裁 昭和四三年一二月二二資 講求棄却 商事法務四七〇二五

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⑲一2

⑲一3

これをしていないから無効である と主張した。 責任の間題が生じることがあるの は格別、これをもって新株発行無 効の事由とすべきものではない。  商法二八○条ノニ第二項にいう 特に有利な発行価額とは公正な発 行価額と比較して特に低い価額を いい、しかして公正な発行価額と いうのは、新株の発行にょり企図 される資金調達の目的が達せられ る限度で旧株主にとり最も麿利な 価額と解せられるところ、本件は 少なくとも著しく不公正な価額、 すなわち特に有利な発行価額であ るとはいえないo  株式会社の代表取締役が新株を 発行した場合には、右新株が、株 主総会の特別決議を経ることな く、株主以外の者に対して特に有 利な発行価額をもって発行された ものであっても、その澱疵は、新 株発行無効の原因とはならないも のと解すぺぎである。 東京高裁 昭和四六年一月二八霞 控訴棄却 判時六二二二〇三 最高裁二小 昭和四六年七月一六目 上告棄却 判時六四一・九七

東洋法学

九七

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新株発行無効の原因について 九八 ⑳ ⑳ 大木建設㈱ 上場 一株五〇円 アイワ㈱ 上場 一株五〇円  原告中島徹は株主で、被告会祉 の証券会社に対して嘱当てた四万 株の新株発行は特別有利発行で株 主総会の特別決議を経ていないか ら無効であると主張した。  株主以外の者に有利な発行価額 で新株を発行する場合において. 株主総会の特別決議の欠陥があっ ても.新株発行前においては.商 法第二八○条ノ一〇の規定による 発行の差止.新株発行後において㎜ “は塊隔δ法第二論ハ六ボ譲︸項鍵馴蕊ー写 ㎜または蘇法第二八○条ノニの規 ㎜定による取締役または新株を引乏・ 一けた者Ω貢任の問題が生じること圃 があるのは転瀦.これをもって新 株発行無効の事由とすぺきではな い。  原禽申鳥徹は五〇〇株の株主 で.被告会社が昭和四四年二月二 鷺ソニー㈱に対して発行した二一 〇〇万株の新株発行︵発行価額一 株七〇円︶は.発行緬額の決定さ れた昭和魍四年︸月︸○鷺の前段 の株緬が一四五円であり、特別有 利発行であるのに株主総会の特別 決議を経ないでなされたものであ  株主総会の決議および理爵開示 の欠娘は.新株発行の前にあって は.商法二八○条ノ一〇の規定に よる発行の差止、新株発行後にあ っては.同法二六六条一項五号ま たは同法二八○条ノニの規定に よる取締役または新株を引受けた 者の責任が生じることがあるのは 格別.これをもって新株発行無効 東京地裁 昭和四四年三月∼八霞 請求棄却 商事法務四七九・二四 東京地裁 昭和四五年一月二九欝 請求棄却 商事法務五二一丁二〇

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下舞である皇張髭.

万藷与べ婁繁い.

 ①の事件は、昭和二九年当時資本金二〇〇〇万円の会社が倍額増資をしたもので、株主構成等は明らかでないが、 取締役間に対立関係があったものである。  ②および⑩の事件は、過半数を有する株主の経営権譲渡にからむものであり、③ないし⑧および⑩⑪も経営権争奪 の事件である。  ⑨の事件は、上場会社の筆頭大株主から提起されたもので、急に現れたその大株主に対する会社側の対抗策として とられた新株発行だといわれたものである。  ⑫ないし⑳の事件は、何れも同一の株主から上場各社を相手にして、証券会社の質取引受による新株発行を無効で あると争ったものであり、このうち⑲⑳は昭和四一年の商法二八○条ノニ第二項改正後のものである。⑳の事件も、 右と同一の株主から提起されたもので、特別有利発行か否かを争ったものである。しかも、この株主は、当該会社の 新株発行後に、僅かの株式を取得して株主となり、これらの訴を提起したものであり、①ないし⑪の事件とは、本質 的にその訴提起の目的を異にしている・  従って、同一の原告から特別の意図をもって提起された⑫ないし⑳の事件を除くと、何れも、原告側と現経営陣と の間の深刻な経営権の争い、すなわち、原告側の経済的な持株価格の低下ではなく、持株比率の低下が問題となって いるのである。しかも、その新株発行が無効とされたからといって、判決にいう取引の安全が害されるようなことは     東洋法 学       九九

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    新株発行無効の原因について      一〇〇 ない事件である。これに対し、⑫ないし⑳の署件は.正に.新株発行が無効とされれば.株式の取引の安全が害され る事案であった。  次に・前ぬのとお吟⑫撫いし⑳の事件は.その内容からいって同一璽.訊浮とみられるのでこれを一俘とし、辞ニニ 件について.その無碧か塚告﹄蕪の無糞爆四撫卜、纏の≒架別に分︸.、でヅ、苓ると次のよう・なる、  ω     三件  ω 抹主添会の特別決職の欠餓    有効 三件 ⑨.⑫∼⑳.⑳   @ 誘株発行事頂の公示の欠餓    有効︵遜知あ輪と認定︶ 一件 ⑨  ω 非上場会祉 一〇件   ω 新株発行の取締役会決議の理疵    有効 二件 ①.⑩    無効 三件 ⑦.⑧.⑪   @株主総会の特別決議の欠鉄    有効 二件 ③.⑤

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  の 新株発行事項の公示の欠歓     無効 三件⑥、⑧、⑪   ◎株主の新株引受権無視    無効 一件 ④   ㈱ 著しく不公正な方法

   有効 一件⑤

  @ 新株発行差止仮処分命令違反     無効 一件 ⑩   ㊦ 超過発行︵定款変更の総会決議の理疵︶     無効 一件②  二 新株発行無効の原因  新株の発行は、定款にそれが株主総会の決議事項とされていない限り、取締役会の決議によって決定され︵商二八 ○条ノニ第一項︶、株式の申込、割当、払込と法令に定める一連の手続を履践して始めて、その効力が発生するもの である。  従って、新株発行に関する一連の手続に、法令又は定款に違反するものがあれば、外形上新株発行の効力が生じた     東 洋法 学       一〇一

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    新株発行無効の原因について       一〇二 ものとされていても.その新株発行は無効であると一応は考えられる。しかし.一般原鋼に従い、何貯でも何人でも その無効を主張し得るとすると、外形上新株発行により拡大された組織を信用して取引をした第三者あるいは、その 無効の新株式を取得した者等に対して、不測の損害を与え.去的安定を害することになる。  そこで法は.新教発行無訪の訴の制度を設け.新株発行後六月内に限り.新株発行無効の訴の提起を認め.その判 決にト鯵画一的に処理することとした︵商二八○条ノニ九第一項︶。しかも.ーζ護羅譜,、を株主および取締役又は 監査役︵資本金が一億円以下の会社の監査役を除く︶に限り︵商二八○条ノ一五第二項.特例法二五条︶、新株羅行 の無効は遡及しない瀧ととされた︵商二八○条ノ一七鵡一項︶。  従って.新株発行後六月内にこの訴の義起なぎ以上.手続上の蝦疵を争うことはでぎなくなり.澱疵ある新株発行 も有効なものとして確定する一方.訴の提起がなされると、形式上有効になされた新株発行も.将来判決により無効 を宣書される可能性を負うことになる。なお.この訴の提起されたことは公告される︵商二八○条ノ一六.一〇五条 四項︶。  しかして.新株発行が無効とされる原因については、法律上は何も規定されていないので.一応新株発行の諸手続 中に法令又は定款に違反するものがあれば.その新株発行はすべて無効であるということも考えられる。しかし.新 株発行無効の判決がなされると.前述の如く、法的安定を害すること大であるので、無効原因については、これをな るべく狭く解するよう試みられている。  さて.新株発行に関する理疵を分類してみると、株主総会の決議の殺疵と同様に.ω 新株発行の内容が法令又は

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定款に違反する場合と、鋤 新株発行の手続又はその方法が法令若くは定款に違反し又は著しく不公正な場合および ⑥ 新株発行が不存在の場合とがあろう。  ㈲については、株主総会決議不存在確認の訴が、総会の決議がないにもかかわらず、あたかも決議がなされた如き 議事録が作成され、これによって変更登記等がなされた場合などに提起され、これが学説・判例︵最高裁昭和三八年 八月八日判決・最民集一七巻六号八二三頁︶によって認められている︵昭和五六年改正商法二五二条で明文化され た︶のと同様に、新株発行の実体がないのに、単に新株発行があったが如き変更登記がなされたような場合には、誰 でも何時でも新株発行不存在確認の訴を提起しうるであろうから、これは法に定める新株発行無効の訴の対象外であ る。  ωの場合としては、④ 額面株式を額面未満で発行し︵抱合せ増資の場合に例外あり︶、@ 一株の額面金額が新 株と旧株とで異ったり、の 会社が発行する株式の総数を超えて新株を発行し、◎ 定款で額面株式のみを発行する こととされているのに無額面株式を発行し、あるいはその逆であったり、㈹ 定款に定めのない種類の株式を発行し たりすることが考えられる。これらが新株発行の無効原因となることについては、学説上の争はないが、このうち、 新株発行の内容が法令に違反するω@のような場合は別として、定款に違反する場合において、判決前に定款が変更 され、その堰疵が治癒されたならば、新株発行無効の請求は棄却すべきであるという︵鈴木忠・新株発行をめぐる訴 訟とその法律問題・商事法務二三二号六〇頁他︶。この点については後述する。  問題となるのはωの場合である。主な事例を次に列記する。

    東洋法学      

一〇三

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    新株発行無効の原因にっいて  ω 定款で新株発行が総会の決議事項とされている 株発行が行われた場合 ︵商二八○条ノニ第一項但書︶      繭〇四 のに取締役会の決議によって新 @ 有効な取縮役会決議に基づかないで新株発行手続が進められた場合 の 株主の新株引受権を無視した場合 ◎       ♂ なくして株主以外の者に対し特別有利発行をした憾合 爾 株主に対する通知・公告をしなかった場合 の 新抹.北行差止の職決又はぜ処分を無視して新株発行が行われた場合 ㊦ 第三者の新株引受絶を無視した場含 紛 検査役の調査をうけることなく現物出資により新株発行をした場合 ④ 新株割当の方法が著しく不公正な場合 ㈱ 新株の発行価額が著しく不公正な場合  ωの場合においては.取締役会に新株発行の権限はないのであるから、権限のない取締役会決議により新株発行の 手続がなされても.その新株発行は無効である。従って.また.新株発行の株主総会の決議に毅疵があり.これが取 消されあるいは無効である場合における新株発行も無効といわなければならない︵同旨.山崎・注釈会社法⑥二三六 頁、鈴木患・新棟発行をめぐる訴訟とその法律間題・商事法務二三二号六三頁︶。  @の場合は、新株発行に関する取締役会の決償に暇疵があり.これが無効である場合および取締役会の決議がない

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にもかかわらず︵有効な取締役会決議の内容を無視した場合を含む︶代表取締役が勝手に新株発行手続をなした場合 であるが、かかる新株発行に対して、学説においては有効説、無効説の対立があるが、判例︵①ー1、①i2、①1 3、⑩、なお、⑦⑧⑳は原則論として︶は一貫して有効説の立場をとっている。私は無効説を妥当と考えるが、この 論点が、本稿の主たる目的とするところであり、項を改めて詳述する。  のの場合は、株主の新株引受絶が定款の定めにより認められている場合と、取締役会の決議で与えられた場合とが あるが、何れの場合であろうと、株主の新株引受権を無視して新株発行を行った場合については、無効説、有効説、 折衷説と分れるが、折衷説すなわち新株引受権の全部又はその大部分が無視された場合は無効原因となるが、引受権 の一部が無視されたに過ぎない場合には、無効原因とならないと解するのが妥当である︵山崎・注釈会社法⑥二二八 頁︶。  ◎の場合について、通説、判例は新株発行無効の原因にならないとするが、その殺疵は重大であり、後述する。  ㈹については、i商法二八○条ノ三ノニの公告又は株主に対する通知を欠く場合と、銭商法二八○条ノ四第二項の 公告をしなかった場合および、灘商法二八○条ノ五第一項の通知又は第二項の公告をしなかった場合︵各所定の期間 を遵守しなかった場合を含む︶がある。  iの場合については.有効説、無効説、折衷説と分れるが︵山崎・注釈会社法⑥二一二〇頁︶、株主の新株発行差止 請求権を行使する機会を奪うことになり、その手続は重要であり、新株発行無効の原因となると解する︵同旨判例⑥ ⑧◎︶。     東洋法 学      一〇五

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    新株発行無効の原因について      一〇六  叢および鐵の場合は.株主は新株引受権を行使する機会を失う結果となるので.のと同様に解される。  @の場合に対しては、取締役の鼠任を生ずるに過ぎず、新株発行無効の原因とはならないとする説もあるが、裁判 外の差止請求を無視した場合と共り.裁判所の公権的判断にもとづく命令に違反してなされた新株発行を有効と解す るのは妥当でない。判例︵⑩.ゴ件︶もこれを無効原因としている。なお、株主の理由ある差止請求を無視した新株発 行は.乱韓外でなされた、ーでみても無端ー囚となるとの説もあるが.差止講求無視の事実のみをもって無毒浄因 とするのは行ぎ過ぎであろう︵挙説の詳細は山崎・注釈会社法㈲二三二頁参照︶蒔  ㊦の株主以外の者に訴抹引受権が与えられる場合は.定款の規定又は取締役会の淡議によるのであるが.特甥有利 発行の鳩合は.定款に定めがあっても株主総会の特別決議を要する︵商二八○条ノニ第二項︶。このようにして与え られた第三者の新株引受権を無視して新株発行が行われても.不利益を受ける第三考には.新株発行無効の訴の提起 権はなく.無効原因とはならない。  ㈱の現物出資による新株発行は.発行済株式総数の二十分の一を超えるときは検査役の調査を受けなければならな いが︵商二八○条ノ八第一項︶.これは出資財産の価格の公正を担保する翻度であ参.この手続きを怠った場合に. 取締役の損害賠鎖、、鼠任および現物出資者の差額支払義務が生ずることはあっても.新株発行自体は無効とはならない と解せられる。また.現物出資し名をかりて、不公正な新株発行が行われる場合もあるが、これは次の①の問題であ るG  ㊥および㈱の場合は.新株発行差止の対象とはなるが︵商二八○条ノ一〇︶.新株発行後は無効原因とはならない

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と一般に解されている︵判例⑤事件︶。しかし、㊥については、場合により無効原因となり得るとしてもよいのでは なかろうか︵後述︶。  以上新株発行無効の原因について概観したのであるが、無効原因が法定されていないのであるから、どの違反とど の違反は無効原因になると一律に断定することはできない。同じ違反でも無効と認めた方がよいケースと無効でない と認めた方がよいケースとがある筈である︵⑦⑧⑪事件参照︶。そのように考えると、私は無効原因をあまりにも狭 く解し、新株発行無効の訴の制度を実質上ほとんど無意味なものにすることには反対である。かといって、軽微な濃 疵をも無効原因と解するのも妥当ではないと思う。いわば折衷的な判断をもって、発行された新株自体の法令定款違        の   ゆ   ゆ   の   の   ゆ   ゆ 反はもちろん、新株発行における主要な手続違反も無効原因になると考えるのである。 三 有効な取締役会決議に基づかない新株発行  新株発行における主要な手続違反は無効原因になると述べたが、では、具体的には、新株発行無効の原因となる主 要な手続とは何かということになる。最初に取上げるのは、取締役会決議の媛疵の問題である、有効な取締役会の決 議に基づかないでなされた新株発行は無効になるかということである。この点に関するりーディングケースともいえ る①事件においては、第一、二、三審ともこの新株発行を有効とし、学説の多数もこれに賛成している。その理由と するところは、﹁改正法は、新株発行は株式会社の組織に関することとはいえ、むしろ業務執行に準ずるものとして 取扱っているので、取締役会の決議は会社内部の意思決定に過ぎない。﹂というにある。

    東洋法学      一〇七

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    新株発行無効の原因について      繭○八  そこでまず.法改正の前後の事癒について検討してみると.昭和二五年改正法施行前においては.資本の総額が定 款の絶対約記載事項であったから.資本増加は株主総会の特別決議によって行われ.これに蝦疵があるとぎは.資本 増加無効の訴︵旧商二七一条︶の翻度があった。ところが.改正法施行後は.授権資本制度が取入れられたため.資        桜或.宇項からはずされ.﹁資本増加﹂は﹁新株発行﹂ということになり.﹁株主総会の決議﹂ 扁小︾って、、.      蝋㌫よる、ーフメ黛﹂簸い限り﹁取締セ会のず ”“によ︶行われることになった薙そ ﹂て、﹁ ↑,、加熱ηのごは一イ璽㌧行無鷲の訴﹂と懸ったのである。すなわち.改正法によって.轡摯の決定震 よび躊、、     、    、、       、,,醗されたのであるΦ  このように見てくると・訴株発韓に関する取締役会の決.醸は・株主総会の決議に匹敵する工曇な手続であ勢・業務 敏行に準ずる会社内嶺の意思決定に過ぎないと断ずることがでぎるのであろうか。新株発行が業務執行としての資金 講達の一手段として行われるものであることは明らかであるが.これにより.株主の増加.株主構成の変化等会社の 組織法上の叢天な目題を伴う点な餐視してはならないのであって.同じく資金調達方法の一種である社債の発行とは 根本的に芸る︵社債の発行も改正法によって株主総会から取締役会に権限が委譲された︶。されば.新株発行無効の 訴の制度はちっても.社債発行無効の訴の弼皮はないのである。旧法当痔.増眞の株主総会の決議に毅疵があれぽ. 増資は無効となったのであるから.新法のもとでも新株発行の取締役会決議に毅疵があれば、新株発行は無効となる のは当然といえるQ  有効説は.取引の安全ということを重視し.対外的に会社を代表する権限を有する代表取締役が新株を発行したり、

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上.その前提たる取締役会の決議に暇疵があっても、それは内部的なものであり、株式申込人としては通常新株発行 が有効な取締役会決議に基づくものかどうか知り得ないといい︵①ー1、①ー3︶、新株発行の効力が生じ会社が拡 大された規模で活動を開始したのにそれを無効とすることは、新株発行の事実を信頼した新株主および会社ならびに 新株主と取引関係に入った第三者の利益を害するともいう︵山崎・注釈会社法㈲壬二五頁︶。  そこでまず.わが国における株式会社の実態を分析してみる必要がある。現行株式会社法は、監査役の権限等を除 いて、大会社も小会社も、公開会社も閉鎖会社も一律に適用されるのであるが、現存するわが国の株式会社は約一〇 〇万社といわれ、そのうち株式の上場されている大会社は僅かに一七〇〇社に過ぎない。非上場の株式公開会社の数 がどれ程存在するかは明らかでないが.それ程多いとは思われない。根拠の明確でない推定で恐縮であるが、全株式 会社の九九・五パーセソトは株式非公開の閉鎖的中小会社であると思われる。このような閉鎖的中小会社の株式は、 通常ほとんど取引されることはなく、たとえあっても、会社と特別利害関係を有する特定の者の間でなされるに過ぎ ない。このような会社の株式について、取引の安全を考慮する必要があるのであろうか。  翼行法は、株式公開の大会社に適合するよう制定されているとはいえ.株式の護渡制限を認める︵商二〇四条一項 但書︶など、株式非公開の閉鎖会社の存在をも公認しているのであり、株式譲渡制限の規定のある会社の株式につい ては.取引の安全をさほど考慮する必要がないことは明らかである。昭和二五年の改正法によって取入れられた授権 資本制度も.株主数の多い上場大会社にとっては意義があり、威力を発揮するのであるが、株主数の少ない閉鎖的小 会社においては意味のない、むしろ弊害を伴う割度である。もちろん、これは定款の規定によって排除することがで     東 洋 法 学      一〇九

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    新株発行無効の原因について      二〇 ぎ.法に不備はないのであるが、一般にはそこまでは考えず、一部の者にこれが悪用されて事件になる場合があるの である。  されば.法の解釈にあたっては、基本的には株式公開会社、閉鎖会社の何れにも共通してあてはまるような解釈を すべきであることは当然郊、.︶るが.この両者はその態様を異にするため.必ずしも同一に論じヂれない場合も生ずる。 例えば.回葛株券でも.義演kの大ぎい上易会社の昏、、と.縁とんど流通する煮と藷.ど考えられない閉鎖酔会社の株 券を.取引の安全という流逓面からこれを解釈しようとするときは.別個に検討することが必要であろう、新株発行 無効の訴において、既に発行された響脈の取引の安全を考えるとき.絶対多数を占める閉鎖的会社をある醗度ゑ噴し 観いた解釈をなし.めったに闘葉ヂ騨Gなることもない公開会社については.例外的にこれに妥当する解釈を試みるべぎ ではなかろうか。⑦⑧@事件においては.有効説の前提に立ったため.事案に妥当する判決をするために苦心の解釈 がなされているが、無効説によれば簡明である。私はこれらの判決とは考え方を逆にして.無効説を前提とし.取引 の安全を考慮して新株発行を無効とすべきでない場合︵主として上場公開会社の場舎︶だけを例外扱いにすればよい と考える。 懸 取引の安全と裁量棄却  取引の安全という言葉で思い出されるのは、昭和四六年一〇月ニエヨの最高裁大法廷の判決︵最民集二五巻七号九 〇〇頁︶である。取締役が取締役会の承認を受けないで会社から約束手形の振出を受け、これを第三者に裏書譲渡し.

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所持人から会社に対し手形金の支払を求めた事件であるが、その多数意見は、相対的無効説をとり﹁手形が本来不特 定多数人の問を転々流通する性質を有するものであることにかんがみれば、取引の安全の見地より、善意の第三者を 保璽する必要があるから、会社がその取締役に宛てて約束手形を振り出した場合においては、会社は、当該取締役に 対しては、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その手形の振出の無効を主張することができるが、い ったんその手形が第三者に裏書譲渡されたときは、その第三者に対しては、その手形の振出につぎ取締役会の承認を 受けなかったことのほか、当該手形は会社からその取締役に宛てて振り出されたものであり、かつ、その振出につき 取締役会の承認がなかったことについて右の第三者が悪意であったことを主張し、立証するのでなければ、その振出 の無効を主張して手形上の責任を免れえないものと解するのを相当とする。﹂といっている。  株券は、手形と同様に軽転流通する性質を有する有価証券ではあるが、手形のように、短期閥に一定の金額が支払 われるというものと異り、特定の株式会社の株主権を表章するものであるから、一般的にはその個性が重視され、さ ほど頻繁に株券が譲渡されることはない。ただ、上場会社の株券については、換金が容易であるので、流通性は非常 に大きい。従って、株式の取引の安全を考えるとぎは、上場会社の株式︵非上場の公開会社の株式を含めてもよい︶ と閉鎖的会社の株式とを区別して検討する必要があり、これを同一に論ずるわけにはいかない。  有効な取締役会の決議に基づかないで権限のある代表取締役によって新株発行がなされた場合に、前述の如く、私 はこれを無効と解すべきであると考えるが、これが上場会社において善意の多数の者を対象として行われたものであ る場合には、前記相対的無効説的な判断のもとに、取引の安全の見地から、これを無効にすべきではないと考える。

    東洋法学      一二

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    新株発行無効の原因について       ︸二一 ここに.相対的無効説的といったのは.同じく取引の安全をヂ慮してではあるが.取締役会の決議なしに取締役に振 出された手形は無効ではあるが.個別的に、善意の第三考との関係で有効な振出とされる場合があるのに対し.有効 な取締役会の決議に基づかない新株発行は原馴として無効ではあるが.それが善意の多数の者を対象としてなされた とぎは、これを総体的に有効な新株発行と解しようとするものであるからである。  では.この渉捻轍れをどのような法的根拠に焦、づいて粥試したらよいであろうか、私は.  ー、、、   、、 、、、ー. る旧一〇七条の栽判所の弐L築却の制貰を活用したいと考える。政蕉、離の 本旨加無効の訴においては.旧三七二条 によ継難一〇ヒ の規定が準用され.﹁資†卸加の無効の避“礼る磯疵が補完せむれたるとき又は会社の現況茅壕の他 一切の事情を藷酌して擁木鈴加を無効とすることな不適当と認むるとぎは瀧覇所は請求を棄却することを得レとされ ていたので.一避欝な無効原因をある殺反広く解しても.取引の安全等から無・溺にすべぎでない場合には、畜求を棄 却すなわち新株発行を有効として.妥当な処理をすることができた。  ところが.改正法によって一〇七条が削除され.従って新株発行無効の訴にその準用規定も設けられなかったが. 同じく改正法によって削除された総会決譲華泊の訴における裁判所の裁滋,、、葉却の規定︵照二五一条︶と共に.削除さ れた現行法のもとに餐いて、裁判所に従来のような畿漁,一、蒲却の程隈があるかどうかについては.学説・判例の分れる ところである。否定説は.本条の削駄により裁判所の裁量棄却権はなくなったと解し.条件付肯定説は.合理的な範 囲で裁判所は裁評棄却権を有するといい、無条件肯定説は、削除前と同様に裁判所は裁量棄却できると解するのであ る。学説および判例︵旧二五一条に関するもの︶の多数は条件付肯定説であり.昭和五六年の商法改正においては.

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これを明確にする趣旨で、  ﹁第二五一条 次のとおり二五一条が復活した。 決議取消ノ訴ノ提起アリタル場合二於テ招集ノ手続又ハ決議ノ方法ガ法令又ハ定款二違反スルトキ ト難モ裁判所ハ其ノ違反スル事実ガ重大ナラズ且決議二影響ヲ及ボサザルモノト認ムルトキハ請求ヲ棄却スルコトヲ 得﹂︵傍線部分は漏法の字旬変更︶  今回の改正で一〇七条が復活しなかったのは、一〇七条が間題となった事件がほとんどなく、二五一条ほどその復 活の必要性がなかったからであり.旧一〇七条と旧二五一条が同趣旨の規定であったことから、二五一条の復活は、 旧一〇七条の否定ではなく、二五一条と同様に条件付肯定を意味するものと思われる。  されば、有効な取締役会の決議に基づかないで代表取締役によって新株発行がなされた場合は、主要な手続違反と して新株発行は無効であるが、それが上場会社において、善意の多数の者を新株引受人としてなされたとぎは、当該 株式は軽転流通することも予想され、取引の安全の見地から、その新株発行を無効とすることは不適当と認められる ので、裁判所は新株発行無効の請求を棄却することができると解するのである。  次に、さぎに意見の表明を保留したその他の無効原因にういて述べる。まず、定款に違反する新株発行がなされ、 新株発行無効の判決前に定款が変更され、その毅疵が治癒されたとぎは、新株発行無効の請求は棄却さるべぎである との説を紹介したが︵一〇五頁︶、私は前述のとおり、現行法のもとにおいて、旧一〇七条の規定の趣旨に従って、裁 判所は新株発行無効の講求を裁量棄却し得ると解するので、鍛疵が治癒された場合に請求棄却されるのは当然であ

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    新株発行無効の原因について      二四 る。ただ.定款に違反する新株が発行された後の株主総会において、定款変更の決議がなされる場合に.未だ新株発 行無効の判決が確定していないので.議決権行使禁止の仮処分などのない限り、当該新株も議決権を行使し得るごと になる。そして.その定款変更の総会決議が、場舎によっては.昭和五六年改正商法二四七条一項三号の特別利害関 係人の議決権行使として.取消の対濫、、となることがあるかも知れない。  次に.株主以外の者に対し特晒有利な発行価額で新株発行を行う場合は、株主にとウて特に利害関係が大であるか ら.定款にこれに関する定めがあウても.更に株主総会でその必要とする理由を開示し.総合の特別決議を要すると されている︵商二八○桑ノニ強二項▽.にもかかわらずこれを無視し.株主総会の決茂なしにあるいは凝疵ある決議 を経て.株主以外の者に特別有利な新株発行をした場舎に.通説・判例︵改正前のもの③⑤⑫⑬⑭⑮⑯⑰⑱.改正後 のもの⑨⑲⑳⑳︶はこれを無効原因にならないとする。その理由とするところは.新株発行は業務執行あるいは取引 行為に準ずるもので会社内部の意思決定に過ぎず、これを無効とすると取引の安全が害される。新株発行後において は.取締役あるいは新株引受人の責任を追及すればよいという。しかしながら.法が株主総会の特別決議を要すると 定めた事項は.取締役会の決護垂項以上に重要な事項であり.ごの手続を軽視することは許されない。私は.さきに 取締役会決議について述べたのと同一の理由によって.この違反を新株発行無効の原因となると解し.公開会社の場 合など取引の安全の見地からこれを無効とすることが不適当と認められるときは.旧一〇七条の規定の趣旨に従っ て、裁判所はこれを裁量棄却すればよいと考える。  最後に.著しく不公正なる方法による新株発行について述べると、これには.新株割当の方法が著しく不公正な場

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