在宅医療推進のための多職種連携研修会1.第3回「退院支援を考える会」研究会2.地域包括ケアシステム構築のための多職種連携研修会
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(2) Ⅰ.事業報告 事業 1 第 3 回「退院支援を考える会」研究会 1.開催日時:平成 27 年 9 月 5 日(土曜日)13:30~16:00 2.開催場所:高崎健康福祉大学保健医療学部 5 号館 702 講義室 3.参加者:病院看護師、訪問看護師、医師、医療ソーシャルワーカー、薬剤師等. 145 名. 4.内容: シンポジウム 「家族の決断と多職種チームの支援により自宅で旅立った肺がん男性」 特別演題. 「渋川圏域における医療介護連携調整実証事業~退院調整ルール策定 をめざして~」 講師 神山智子氏 (群馬県健康福祉部医療介護局地域包括ケア推進室). 演題発表. ①在宅医療における薬剤師の現況と役割に関する検討 ②MSW の退院援助について ③切れ目のないサービスを提供し自宅退院につなげられたケース ④医療処置が多い患者の退院支援を経験して ~地域と連携し自宅退院に向けられた一症例~ ⑤50 代の息子を 80 代の母親が在宅で看取った症例. シンポジウムでは、1 事例を通して病院看護師、訪問看護師、在宅診療医の立場から支 援内容、多職種連携について発表していただき、各職種の役割や連携について考えること ができました。特別演題では、県内の一地域における地域包括ケアシステムを構築するた めの医療介護連携に関する内容であり、県内の他の地域でも活用できるのではないかと思 います。演題発表では、5題の発表があり、薬剤師、訪問看護師、病院看護師、医療ソー シャルワーカー等の各職種の立場から日頃の実践活動の振り返りや課題提起がありまし た。研究会を通して、改めて各職種の役割や連携について再確認することができました。.
(3) 事業 2 地域包括ケアシステム構築のための多職種連携研修会 1. 開催日時:平成 28 年 2 月 6 日(土曜日)14:00~16:30 2. 開催場所:高崎健康福祉大学保健医療学部. 5 号館 302 講義室. 3. 参加者:病院看護師、訪問看護師、ケアマネジャー、医療ソーシャルワーカー、医師、 薬剤師、理学療法士等. 75 名. 4. 内容: ミニレクチャー「地域包括ケアシステムの構築に向けて」 講師 神山智子氏 (群馬県健康福祉部医療介護局地域包括ケア推進室) グループワーク 検討課題① 地域包括ケアシステムを構築していくための課題について 検討課題② 課題の解決方法と課題解決のために各職種に求められる役割について ミニ講義では、神山先生から県内の実情をデータで示していただき、県内各地域におけ る課題を考える機会となりました。 グループワークでは、1 グループ 5~6 人の多職種からなるグループ編成を行い、 「検討課 題 1:地域包括ケアシステムを構築していくための課題について」と「検討課題 2:課題の 解決方法と課題解決のために各職種に求められる役割について」の 2 点について検討しま した。検討課題 1 では、各職種の課題、家族に関する課題、入院中の課題、退院後の課題、 情報共有・連携に関する課題等について、社会資源や制度上の課題等、幅広く視点での意 見がありました。検討課題 2 では、連携方法、多職種連携会議、支援体制の整備、住民・ 患者への情報提供、家族支援、社会資源の活用等に関する意見がありました。時間の都合 上、すべてのグループの発表はできませんでしたが、発表後のコメンテーターのまとめが 良かったというご意見や、意見交換することで各職種の悩みや活動内容を聞き、他職種の 理解ができたとのご意見があり、有意義なグループワークができました。.
(4) Ⅱ.研修会を終えて(感想) 事業1の「退院支援を考える会」研究会は、今年で 3 回目の開催となりました。毎年、 シンポジウムと演題発表を軸に開催しておりますが、発表を聞いていると実践現場では 様々な課題を抱えた患者さんの支援をしている現状が伝わってきます。今後も、実践現場 に還元できるような参加者のニーズを捉えた研究会になるよう企画していきたいと思いま す。 事業 2 の地域包括ケアシステム構築のための多職種連携研修会では、皆様の関心が高く、 たくさんのお申込みがありました。病院看護師、訪問看護師、ケアマネジャー、医療ソー シャルワーカー、医師、薬剤師、理学療法士等の職種が参加しました。今回は、看護師、 ケアマネジャーが多かったのですが、今後は、医師、介護職、薬剤師等の他職種の参加を 増やすことで、支援チームの理解が深まり、連携の輪が広がるのではないかと思いました。 また、地域包括ケアシステム構築のためには、専門職だけではなく地域住民の理解と協力 も不可欠です。今後は、地域住民への地域包括ケアシステム構築のための啓蒙活動や、連 携促進のために地域住民も一緒に意見交換する研修会も必要なのではないかと考えます。 今年度は 2 つの研修会を行い、退院支援、在宅療養支援をしていくうえでの各職種の役 割、連携の重要性を再確認する研修会となりました。グループワークでは、支援チームの 他職種についての理解を深めること、顔の見える連携、お互いのコミュニケーションを通 した連携の大切さについて改めて気づくことができました。 今後も、多職種で活発な意見交換をしながら、情報共有と臨床現場の課題解決につなが るような研修会を企画していきたいと思います。 本研修会は、公益財団法人 在宅医療助成. 勇美記念財団の助成により行いました。. 今回、勇美記念財団の助成により研修会を開催できたことを深く感謝申し上げます。.
(5) 第3回「退院支援を考える会」研究会 日時. 平成27年9月5日(土)13:30~16:00 (受付開始13:00~). 会場. 高崎健康福祉大学保健医療学部 5号館 7階 702講義室 (住所:高崎市中大類町501). 定員. 参加費. 250名. 無料. ■シンポジウム■13:35~14:35 「家族の決断と多職種チームの支援により自宅で旅立った肺がん男性-」 新島かおり(太田記念病院 7西病棟看護師) 細掘節子 (太田記念病院 入退院センター看護師長) 那須文枝 (太田記念病院 訪問看護ステーション看護師長) 野末睦 (あい太田クリニック 院長). ■特別演題■14:45~15:00 「渋川圏域における医療介護連携調整実証事業 ~退院調整ルール策定をめざして~」 神山智子 (群馬県健康福祉部医療介護局 地域包括ケア推進室地域包括ケア推進係 補佐). ■演題発表■15:00~16:00 1. 在宅医療における薬剤師の現況と役割に関する検討 土井信幸(高崎健康福祉大学) 2. MSWの退院援助について 津田至(太田記念病院) 3. 切れ目のないサービスを提供し自宅退院へつなげられたケース 中野早織(角田病院). 4. 医療処置の多い患者の退院支援を経験して ~地域と連携し自宅退院に向けられた一症例~ 5. 50代の息子を80代の母親が自宅で看取った症例. 山口早月 (前橋赤十字病院). 当日参加も可能ですが、資料準備の 都合上、裏面のFAX用紙またはメール にて事前申し込みをお願いします。 (締切:8月31日). 高崎IC方面. 会場はこちら の建物です 駐車場はこちらを ご利用ください. 田村直美 (館林厚生病院). 倉賀野方面. ◇参加申込・お問い合わせ先◇ 高崎健康福祉大学保健医療学部看護学科 「退院支援を考える会」事務局 新井・田村 E-mail [email protected] FAX 027-352-1445 お問い合わせは、メール又はFAXでお願いします。 この研究会は公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団 の助成を受けています。.
(6) 第3回. 「退院支援を考える会」研究会 プログラム集. 日時:2015年9月5日(土曜日)13:30~16:00 場所:高崎健康福祉大学5号館. 702講義室.
(7) 「連携」がキーワード! 「退院支援を考える会」代表. 高崎健康福祉大学 棚橋さつき. 地域包括ケアシステムに向けて、日本中が現在動いているといっても過言ではないほど、急速に その活動は活発化しています。地域はもちろんの事、病院においても同じ状況と感じます。 20 世紀は病院医療でしたが、今後は病院中心のケアの時代から在宅を中心とした生活モデル化 の時代になっていくと予想されます。この流れに対応していくには個々の力ではなく、関わる職種の 方々が「連携」することによって乗り越えていけるのではないでしょうか。 平成 27 年度「退院支援を考える会」の活動の中で、昨年好評であった事例検討会を 6 月、7 月に 開催致しました。今回は 2 回開催した事例検討会のうち、1 回は桐生地区にて初めて地区開催とい う形式をとることができました。「退院支援を考える会」を立ち上げた時、二次医療圏のそれぞれの 地区で活動する事を目標に掲げておりましたので、一歩近づけたことを感謝申し上げます。 今後、それぞれの地域で活動できるような「退院支援を考える会」を構築していきたいと思います。 「わが地区でも」と声をかけていただければ嬉しいことはありません。 そこで、今年の第 3 回「退院支援を考える会」研究会では、「連携」をキーワードに、多職種連携の 実際や医療介護連携等に関する発表を計画しました。特別演題として群馬県健康福祉部の方に行 政として、群馬県における医療介護連携のお話しをしていただくことになりました。 皆様の活発な意見をお待ちしています。. 2015 年 9 月吉日.
(8) 13:30. 13:35~14:35. 開 会のあいさつ. シンポジウム. テーマ『家 族の決 断と多 職 種 チームの支 援 により自 宅で旅 立 った肺がん男 性』 演 者 1 「退 院 後 に必 要な技 術の指 導と支 援 」 川島 佳美. (太 田 記 念 病 院 7 西 病 棟). 演 者 2 「本 人 ・家 族の意 思を尊 重した退 院 調 整 」 細 堀 節 子 (太 田 記 念 病 院 入 退 院 センター) 演 者 3 「患 者 、家 族 に寄り添う在 宅での看 取 り支 援 」 那 須 文 枝 (太 田 記 念 病 院 訪 問 看 護ステーション) 演 者 4 「訪 問 診 療 医の役 割 」 野 末 睦 (あい太 田 クリニック). 座 長 :粕 川 由 貴 子 (桐 生 厚 生 総 合 病 院 ) 清水 弘子. 14:35~14:45. 休憩. (高 崎 総 合 医 療 センター).
(9) 14:45~15:00. 特別演題. 渋 川 圏 域 における医 療 介 護 連 携 調 整 実 証 事 業 ~退 院 調 整ルール策 定 をめざして~ 神 山 智 子 (群 馬 県 健 康 福 祉 部 医 療 介 護 局 地 域 包 括ケア推 進 室 ). 15:00~16:00. 演題発表 (発表 8 分 質 疑 応 答 3 分 ). ① 在 宅 医 療 における薬 剤 師 の現 況と役 割 に関する検 討 赤 岩 沙 樹 、土 井 信 幸、高 橋 恵 美 利 、小 見 暁 子 (高 崎 健 康 福 祉 大 学 地 域 医 療 薬 学 研 究 室 ) ② MSW の退 院 援 助 について 津 田 至 (太 田 記 念 病 院 地 域 医 療 連 携 課 ) ③ 切れ目 のないサービスを提 供 し自 宅 退 院へつなげられたケース 中 野 早 織 (角 田 病 院 地 域 連 携 課 ・相 談 課 ) ④ 医 療 処 置が多い患 者 の退 院 支 援を経 験して ~地 域 と連 携し自 宅 退 院に向 けられた一 症 例~ 田 村 直 美 、井 上 暁 美 、田 沼 恵 子 、大 澤 政 子 (館 林 厚 生 病 院 回 復 期 リハビリ病 棟 ) ⑤ 50 代 の息 子を 80 代 の母 親が在 宅で看 取 った症 例 山 口 早 月 、笹 原 啓 子 、関 栄 江 、井 田 加 奈 子 、吉 本 京 子、林 修 巳 、大 舘 由 美 子 、 宮 前 芳 江 、柏 谷 あき代、川 田 忠 嘉 (前 橋 赤 十 字 病 院 ). 座 長:小 川 葉 子 (群 馬 県 済 生 会 前 橋 病 院 ) 友 松 幸 子 (高 崎 健 康 福 祉 大 学 訪 問 看 護ステーション). 16:00. 閉会.
(10) シンポジウム 『家族の決断と多職種チームの支援により自宅で旅立った肺癌男性』. 演者1 「退院後に必要な技術の指導と支援」 川島佳美、平井かおり、新島かおり(太田記念病院 7 西病棟) 患者は 90 代、男性。要介護 1 で ADL は自立し、要介護 2 の妻と 2 人暮らし。10 か月前 に原発性肺癌と告知され、癌性胸膜炎に伴う胸水貯留で来院した。「胸水を抜いたら自宅で 看る。」と長女の希望があり、胸腔ドレナージ目的で入院となった。喀痰が多量で気管吸引 を要し、昼夜逆転等のせん妄症状を認めた。 入院時の退院支援スクリーニングでは、終末期のため医療・介護度が増すと予測し、高 齢者世帯ゆえのマンパワー不足をはじめとする療養環境の整備が問題点として抽出された。 在宅での看取りを可能にする療養環境の整備を目標に退院支援計画書を作成し、入退院セ ンターの介入を依頼した。毎日のケアカンファレンスに加え、週 1 回のチームカンファレ ンスで入退院センター看護師、医師、PT、ST、OT、MSW と治療方針やケア計画の情報共 有を図った。 4 病日目に癒着療法を実施後、SpO2 低下により酸素療法を開始し、7 病日目に胸腔ドレ ーンを抜去した。10 病日目に食事を誤嚥し、喉頭腫瘍により経口摂取は困難と判断された が、長女は「早く食事を再開して帰らせてあげたい。」と希望した。食事は誤嚥や窒息のリ スクを理解してもらった上で、楽しみとして可能な範囲で継続とし、CV ポート造設に至っ た。チームカンファレンスで気管吸引、在宅酸素療法の導入を決定し、受持ち看護師や慢 性呼吸器疾患看護認定看護師を中心に、長女への療養指導を開始した。 15 病日目から気管吸引の必要性、合併症、気道の解剖、カテーテルの選択や挿入の深さ、 吸引圧・時間等を説明した。はじめは看護師の手技を見学し、「できるかな。怖いな。」と 恐れていたが、一つずつ処置の根拠を説明すると「取ってあげないと本人が苦しいですも んね。少しずつやってみたいと思います。」と話した。チェックリストを用いて練習を繰り 返し、在宅用吸引器が届くと積極的に使用方法を質問し、一人で実施できるようになった。 17 病日目から酸素濃縮装置や携帯用酸素ボンベを準備し、パンフレットを用いて機器の 操作や管理方法、緊急時の対応等を説明した。機器の操作やアラーム対応は一人ででき、 火気厳禁等の日常生活の注意点も述べられた。また、食事介助方法を確認し、栄養士がミ キサー食の調理方法を説明した。退院前カンファレンスで退院後の準備やサポート体制を 最終確認し、30 病日目に退院した。 病棟看護師は在宅療養に対する理解が乏しいが、多職種連携により入院中に在宅用機器 の指導を開始できた。長女の疑問や不安にタイムリーに対応した事が、不安の軽減、セル フケア能力の獲得に繋がった。入院時から在宅療養を希望していたため、もっと早期から 指導を開始するべきだった。また、介護の負担を考慮すると、他の家族員の生活調整、終 末期の状態変化に対するモニタリング指導や精神的ケアも必要だった。今後も多職種連携 により互いの専門性を活かし、患者・家族が充実した療養生活を継続できるよう支援した い。.
(11) シンポジウム 『家族の決断と多職種チームの支援により自宅で旅立った肺癌男性』. 演者 2 「本人・家族の意思を尊重した退院調整」 細堀 節子(太田記念病院 入退院センター) 当院の入退院センターでは、入院予約時にデータベースを聴取し問題を抱えている患者 に対し早期に介入している。当事例もデータベース聴取時に肺がん終末期、高齢世帯(妻 は要介護2) 、自宅退院希望等の情報から介護保険・ケアマネジャーの確認をした。要介護 1の認定を受けていたが期限が切れていたため妻のケアマネジャーに再申請を依頼した。 自宅退院に向けて院内の多職種カンファレンスを週1回実施した。内容は余命2ヶ月位、 痰が多く喀出困難なため吸引が必要、咽頭腫瘍により嚥下機能が低下しており栄養管理を どうするか、胃瘻かCVポートか、ADLについて話し合った。また、医師から長女に対 してのICに同席した。説明に対し質問も聞かれ、栄養については兄弟で相談することと なった。IC後長女と面談、内容を確認すると理解されていた。高齢世帯については退院 後は娘が単身で両親と同居予定。吸引については慢性呼吸器疾患認定看護師と長女で吸引 器を選択し、手技習得は病棟看護師に依頼し指導・練習を繰り返した。福祉用具、訪問看 護、在宅医についても説明し相談した。最期の時は当院に戻りたいという希望があり「い つでも大丈夫です、受け入れ可能です。 」と答えた。 栄養については誤嚥が起きた時の補液ルートを担保する目的でポートが挿入されたが、言 語療法士の介入後ミキサー食を開始、看護師、家族の見守りのもと全粥が摂取できるよう になった。 院外の多職種カンファレンスは2回実施した。1回目はケアマネジャーと生活指導員が来 院し情報提供し問題点を共有した。ケアマネジャーには途中経過を報告し準備を始めてい ただいた。2回目は退院に向けて更に具体的なカンファレンスを行った。まず、病棟看護 師から入院中の経過、継続する医療処置、看護について説明。患者家族から在宅での希望、 訪問看護師からは医療・看護ついての確認と提供内容の説明、リハビリからは日常生活動 作の注意点、ケアマネジャーからは福祉用具やケアプランについての説明と確認、通所介 護の説明、入退院センター看護師も加わり自宅退院に向けて調整した。 家族の希望した在宅医は往診に対応していなく、訪問看護師と相談し家族が某医院に呼 吸器内科と循環器内科の情報提供書をもって相談に行ったが、高カロリー輸液を理由に断 られた。長女、あい太田クリニック医師、地域連携課課長、訪問看護師、入退院センター 看護師と面談し家族の納得のもと往診医があい太田クリニックに決定した。 長女の吸引に対する不安、相談相手は兄弟がいるが1人で看護・介護をする不安、父親の 死を受け入れる準備の不安等あるが在宅チームに託し自宅退院となった。.
(12) シンポジウム 『家族の決断と多職種チームの支援により自宅で旅立った肺癌男性』. 演者 3 「患者、家族に寄り添う在宅での看取り支援」 那須 文枝(太田記念病院 訪問看護ステーション) 当ステーションは病院と併設されているため、入退院センターや病棟の退院調整看護師 と、入院中から在宅を視野に入れた情報交換をすることができる。当事例では、入院中か ら在宅での生活をイメージしたケアの方法を患者や家族が実施できるように、病棟で介護 に必要な吸引、おむつ交換の方法を指導してもらうよう、訪問看護師から病棟看護師に関 わりを持った。 自宅退院後、長女の泊まり込みによる介護となった。入院中より吸引を指導され実施し ていたため、経口からの吸引はスムーズであった。食事も、軟菜きざみ食を中心に本人が 食べたいものを摂取されていた。とろみをつけて飲酒もされており、「芋焼酎にとろみをつ けて飲んだ。おいしかった」という言葉が度々聞かれた。退院 5 日目以降デイサービスの 利用を検討していたが、病状の悪化により実施に至らなかった。この頃より、夜間の吸引 回数も増え、長女の疲労感がみえるようになったが、「助かります、訪問さんがいてくれて 良かった。大変だけどがんばります。」など、努力している様子であった。 退院 7 日目「朝食時にムセ込みがみられ、痰が取りきれない」と連絡があり、緊急訪問 をした。体位ドレナージやスクイージングを施行し吸引しても酸素化が図れず、主治医へ 報告し酸素流量の指示や、経口摂取は希望時のみとの指示を受け様子観察となった。酸素 マスクを使用しても圧迫感があるため、鼻カニューレへ戻したが酸素化が図れないため、 本人の意思を尊重し鼻カニューレを使用していた。食事と吸引を繰り返しながらベッド上 で過ごされて居る中、訪問時、長女に今後の看取りについて確認すると、娘が本人に確認 し、本人は「最高の家族のところに居ます。病院には戻りたくない。」と話された。翌日以 降、痛み刺激には反応があるが傾眠傾向が続いた。そのため訪問看護師から娘に、 「亡くな る前後の患者さんの状態とその対処法」という紙を渡し、今後起こりうる状態について説 明した。その翌日、不穏行動・呼吸状態の悪化が観られ、永眠された。長女からは「本当 に紙のような状態になるんですね。おかげで準備ができました。ありがとうございました」 と言われた。 当事例は、入院中から多職種で連携を図り、退院後の生活を視野に入れ、指導・準備し、 患者、家族の意思を尊重した看取り支援に繋がったと考える。娘1人が介護を担う形であ ったが、亡くなった後の娘の満足が得られた言葉があった。今後、在宅サービスが不足と なる 2025 年を前にして、このような家族の意向に沿った在宅支援が訪問看護の課題である。.
(13) シンポジウム 『家族の決断と多職種チームの支援により自宅で旅立った肺癌男性』. 演者 4 「訪問診療医の役割」 野末 睦(あい太田クリニック 院長) がんの末期状態になり、病院での原疾患に対する治療は終了し、いわゆる最期の場所を 選択する段階になった患者さん、あるいはご家族に対して、いわゆる訪問診療医はどんな 役割を果たすことができるでしょうか?まずはこの患者さんの経過を追いながら、その果 たすべき役割、および改善点について考えていきたいと思います。 まずは病院側の努力とご家族、御本人の希望で在宅での療養を希望されたが、在宅主治 医の選択に困難を伴いました。すなわち家族が最初に希望した医師は往診に対応しておら ず、次に情報提供書をもっていった先では、在宅高カロリー輸液を行っていないという理 由で断られました。この後、初めて当クリニックに話が来て、当院としては即座に受け入 れを決定いたしました。退院調整会議は行われませんでした。当クリニックは、がん末期 患者さんへの訪問診療については即断即決を旨としており、そのために、在宅での考えう る治療法に対して対応できる体制を常時とっています。 退院前日には、娘さんと太田記念病院のスタッフが当院まで来て面談となりました。そ こでは、予想される在宅療養の様子などを具体的に思い描けるように説明しましたが、患 者さんやご家族にとっては、まだ会ったことのない医師に、在宅で急に診てもらうように なる不安が大きいと思います。ですから、面談では、家族に安心してもらうように、私自 身の人柄などを理解していただくことに主眼を置きます。実際、娘さんも、面談の後安心 した表情をされていました。またこのような面談の際には、在宅での看取りをある程度前 提としながらも、病院に最後は戻るという選択肢も、残しておくようにしています。 退院日には、必ず訪問するようにしています。なぜなら、このような患者さんは一般に、 重症であることに加えて、移動に伴う負担があり、また療養環境が大きく変化するために、 急変することが十分あり得るからです。また退院前に家族が吸引などのトレーニングをし てきているとはいえ、医療従事者が見ていないところでの各種処置がうまく行われるかど うかを見極めなければいけません。幸い、退院時は本人の状態も良く、自宅に戻れたこと に対して満足している様子でした。 その後は、週二回の訪問診療を行い、訪問看護ステーションと協力しながら、痰の吸引 などを実施したり、指導したりしました。疼痛はありませんでしたが、呼吸困難感が早期 に出現してくることが予想され、フェントステープをすぐに開始しました。塩モヒの皮下 注が理想だと思いますが、準備に時間がかかったり、家族の負担が増えたりするので、フ ェントスを代用することもあります。状態がさらに悪化してきた時には、御本人の口から 「先生が私に引導渡してくれるんでしょ?」との発言もあり、 「はい。」とお答えすると、 「安 心した」とおっしゃいました。お亡くなりになる 5 日前のことでした。.
(14) 特別演題. 渋川圏域における医療介護連携調整実証事業~退院調整ルール策定をめざして~ 神山 智子(群馬県 地域包括ケア推進室) 群馬県では、地域における医療と介護の連携の推進を図るため、関係機関・関係団体等. と協力し、地域における退院調整ルール策定をめざす国モデル事業(医療介護連携調整実 証事業)を実施することとした。 以下、その内容を紹介し、今後の県内展開を推進するための一助とする。 1. 実施の背景. 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、「重度な要介護状態となっても 住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる」よう、医 療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム) の構築を実現する必要がある。 地域包括ケアシステム構築の一環として、市町村は平成 27 年 4 月から地域支援事業 (包括的支援事業)の充実を図るため、以下 4 項目の事業に取り組むこととされている。 ①. 地域包括支援センターの運営. ②. 在宅医療・介護連携の推進. ③. 認知症施策の推進. ④. 生活支援サービスの体制整備. このうち、本事業は、②在宅医療・介護連携推進に該当する。 2. 事業の目的 都道府県の調整のもとで、市町村と介護支援専門員と病院とが協議しながら、地域の実. 情に応じて、病院から介護支援専門員(ケアマネ)への着実な引継ぎを実現するための情 報提供手法等のルールを作り、それを実証的に運用し、具体的なノウハウを蓄積すること を目的として行う。 3. 目標 退院調整ルールを策定する。 ◇◆退院調整ルールとは◆◇ 要介護状態の患者の居宅への退院準備の際に病院からケアマネに引き継ぐこと. 4. 5. 方法 ①. 病院への事業説明. ② 介護支援専門員への事業説明. ③. 介護支援専門員の協議. ④ 病院と介護支援専門員等の協議. ⑤. 圏域での退院調整ルールを策定. ⑥. 退院支援ルール運用とその運用状況の確認(半年毎). 取組において重要なこと ① 病院と、ケアマネが対等な立場で検討することができるように配慮すること ② 話合いにより、地域のルールを策定すること.
(15) 演題 1. 在宅医療における薬剤師の現況と役割に関する検討 ◯赤岩 沙樹、土井信幸、高橋恵美利、小見暁子(高崎健康福祉大学 地域医療薬学研究室) 【目的】 在宅医療における医療・介護・福祉の連携強化が図られているが、病院から在宅への移 行がシームレスであるとは言い難い状況である。その原因の1つに、在宅医療における薬 剤師の役割についての認知度の低さが挙げられる。医療介入度の高い入院患者を在宅へ移 行する際には、病院同様の医薬品や医療材料の供給が求められるケースが多い。しかし、 入院患者の退院支援を行っている地域連携室の職員やケアマネジャー、訪問看護師など在 宅医療に関わる職種の保険薬局薬剤師の在宅医療への関与についての認知度は低いものと 思われる。その結果、全国に約 6 万軒ある保険薬局が在宅医療において有効活用されず、 在宅医療推進の妨げになっていると考えた。そこで、在宅医療における薬剤師の役割につ いての認知度と重要性の理解について調査することを目的とし、 「退院支援を考える会」に 参加した多職種に対し「在宅医療における薬剤師の役割」の講演前後にアンケート調査を 行った。 【方法】 2015 年 5 月に行われた「退院支援を考える会:在宅医療における薬剤師の役割」の参加 者 60 人(看護師 28 人、MSW5 人、薬剤師 22 人、ケアマネジャー1 人、事務職 4 人)に 対し講演前後に自記式アンケートを行った。 【結果】 アンケートの有効回答率は 90 % (54/60)であった。本調査では、在宅医療の他職種に 対する認知度が調査目的の為、総回答数 54 のうち薬剤師の回答を除く 38 の回答を解析す るものとした。回答者の内訳は看護師 71%、社会福祉士 13 %、その他 16 %であった。回 答者の勤務先の内訳は病院が 87 %、訪問看護ステーションが 10 %であった。アンケート結 果より「保険薬局の薬剤師が在宅医療に関わっていることを知っていましたか?」の設問 では「知らない」が 34 %、 「知っている」が 66 %であった。 【考察】 本検討においてアンケート調査を行った対象者は、病院の地域医療連携室や訪問看護ス テーションに勤務している割合が高いにもかかわらず、約 4 割の参加者が在宅医療におけ る保険薬局の役割について認知していない結果であった。アンケートの自由記載より「薬 剤師に在宅訪問や退院時カンファレンスへの参加を依頼したいが、窓口がわからない」と いう意見もあり、薬局や薬剤師の情報発信の低さが推察される結果であった。「地域レベル での多職種での意見交換」や「医師への情報発信をしてほしい」 「輸液、輸液ポンプの貸出、 輸液ルートの提供を薬局がおこなっていることを初めて知った」との意見もあり、保険薬 局や薬剤師の在宅医療へのより積極的な関わりが期待されている。全国には約 6 万軒の薬 局があり、その医療機関としての役割について情報発信することが重要と考える。.
(16) 演題 2. MSW の退院援助について ◯津田 至(太田記念病院 地域医療連携課) 【はじめに】 私は約 7 年間、医療・福祉とは無関係の仕事をしていたが、今年 6 月から MSW として 働きはじめた。未経験で入職して約 3 ヶ月が経ち、院内だけでなく、院外の様々な社会資 源に働きかけて患者様の援助を行い、ケースによっては留置所の面会にまで行っている先 輩 MSW をみて “患者様のための退院援助”を行う MSW の重要性を強く感じた。 MSW=医療ソーシャルワーカーは、世間的にもまだまだ知名度は低く「何をしているのか わからない」と思っている方も多いと思う。今回は少しでも MSW のことを知っていただ ければと思い、当院での MSW の業務内容と、私が考える MSW の退院援助について発表 する。 【MSW の業務内容】 当院において MSW は、患者様やその家族に対して、①転院や施設入所の退院援助、② 心配事や悩み相談などの心理的援助、③社会資源の情報提供等を行っている。相談・援助 依頼の経路としては、①院内スタッフ、②院外関係者、③患者様やご家族様から直接、④ MSW 自ら課題に気付き介入するという経路がある。業務の流れとしては、①相談・援助依 頼、②面談前準備(情報収集)、③面談、④援助、⑤終結となる。全ての援助過程において ケース記録を記入し、医師や看護師、リハビリスタッフ等と情報の共有をしながらチーム として連携し、援助を進めている。 【MSW の退院援助】 援助をする際は、患者様の立場から、患者様が不利にならないよう活用できる社会保障 制度を提案し、他病院や施設、市役所や福祉事務所などの行政機関、時には警察署や裁判 所などとも連携を取り、社会資源と患者様との架け橋になる。また、第三次救急病院とし ての立場から、退院・転院可能な状態になったら速やかに対応ができるよう調整する。 患者様それぞれの話をしっかりと聞き、患者様それぞれの QOL に合った援助をすること、 それが、私たち MSW が行う“患者様のための退院援助”だと考える。.
(17) 演題 3. 切れ目のないサービスを提供し自宅退院へつなげられたケース ◯中野 早織(角田病院 地域連携課・相談課 相談員) 【はじめに】当院では院内外における連携強化を目標とし、多職種による退院支援を行っ ている。クリプトコッカス髄膜炎という難治な疾患を抱えながら本人の努力と、ご家族の 協力に医療従事者が寄り添い、ご自宅退院へつなげられた症例をここに報告する。 【患者基本情報】夫、長男と 3 人暮らし。専業主婦として家庭を支えてきた。夫婦ともに 山歩きが趣味で年に一度は富士山に登っていた。町内の役員を務めるなど、地域活動にも 積極的に取り組まれていた。県外に住む長女との関係性も良好で家族で支えあって生活し ていた。平成 25 年 1 月から原因不明の食欲・意欲の減退が見られ 2 月から長期に渡り入院 治療を実施。その際、視力低下が見られ失明と診断される。同年 11 月に疾患治療時の安静 による廃用症候群のリハビリ目的で当院へ転院紹介を受ける。認知機能は比較的維持され ていたが難聴もあり、視力・聴力からの刺激が少なく活動性が低い状態。また、左半身不 全麻痺が残存していた。ADLは車椅子移動が中心で排泄はオムツ対応。食事、入浴は視 力障害のため全介助にて行っている。入院前面談では夫、長女より『自力で歩行が出来る ようになってご自宅への退院』という目標でリハビリへ取り組む事を希望された。 【経過】平成 26 年 2 月入院。入院当初から夫より介護に対する不安が強く聞かれ、その分 リハビリへの希望も高かった。早期の段階で家屋調査を実施。病棟と自宅環境の差を減ら すように努め、スタッフ全員が統一したケアを提供できるように検討した。また、環境設 定や介助の際の言葉掛け、食事のセッティング等日常生活上の動作に関しては夫の意見を 積極的に取り入れた。これによって入院中より自宅生活のイメージに沿ったケアやリハビ リを行うことができた。しかし、退院間近になり本人の持ち込み疾患であった巻爪が悪化 し、4 月末に関連施設の老健へ入所の運びとなった。老健入所時のADLは一部介助。入所 に際しては入院担当者から老健の担当者への申し送りを実施。入院中のケアやリハビリが なるべく同じ対応で行えるように常時連携を図っていった。夫の退職に伴い 8 月に自宅へ 退所が決定となる。 【退所時支援の実際】退所準備として系列のケアマネージャーを紹介しサービスの調整を 依頼。身体状況の変化に伴い、再度家屋調査を実施。ケアマネージャーより自宅生活での 目標設定を促し『夫と二人で出掛けられる』という目標を掲げケアプラン作成に本人、家 族、スタッフで意見を出し合い、8/11 自宅へ退所となった。 【おわりに】今回の症例を通し学んだことは最終目標に対する過程でのスモールステップ の重要性。そして、支援場所が変わっても統一した支援方法の伝達(連携)が重要である と感じた。.
(18) 演題 4. 医療処置が多い患者の退院支援を経験して~地域と連携し自宅退院に向けられた一症例~ ◯田村直美、井上暁美、田沼圭子、大澤政子(館林厚生病院 回復期リハビリ病棟) 【はじめに】当回復期リハビリ病棟は、脳血管障害後遺症の患者が半数以上を占め、日々自宅 退院を目指してリハビリに励んでいる。今回この事例を通して地域との連携の大切さを感じ、 現在の退院支援に活かす事が出来ているので報告する。 【患者紹介】A さん 日常生活は自立. 82 歳 男性 病名:右被殻出血. 既往症:狭心症・糖尿病・発症前まで. 同居家族:長男(キーパーソン46歳 会社員)・嫁(保育士)・孫(学生). 近所に長女・A さんの実弟が在住. 急性期よりリハビリ開始。自宅への退院調整と介助量の軽. 減目的にて回復期転科する。回復期転科時の状態;発声は乏しく頷きや簡単な単語、ジェスチ ャーで意思疎通. ADL 全介助 胃瘻 心機能低下 緑膿菌感染 自力喀痰困難のため2時間毎. に気管内吸引が必要 スキンテアのためドレッシング材を多数使用 【看護の実際】A さんの状態と家族背景から自宅退院での介護は家族の負担がとても大きい事、 退院後すぐにでも生命の危険が予測されることを長男に伝えた。しかし、長男は状況を十分理 解したうえで「一度は家に連れて帰るつもりで何でもやります。姉にも協力してもらいます。 教えてください。」と意志は固く自宅への退院を希望した。その為、清潔の援助やおむつ交換、 胃瘻の管理指導を行った。痰が多く気管に入りにくいため何度も指導して手技を取得できるよ うにした。夜間の様子や体位交換・吸引の頻度も知ってもらうために夜間の介護を体験しても らった。また、患者の状況を知ってもらうため、ケアマネージャーに面会に来ていただき、家 族の生活背景と患者の状態を踏まえて、退院後の介護サービスを何度も検討した。これらの準 備を行い、無事に自宅に退院することができた。退院1か月後、当院に胃瘻の交換で来院し笑 顔を見る事が出来た。その数日後、床屋に行っている最中に急変し、当院に搬送されたがその まま永眠した。 【おわりに】私達看護師は、患者・家族との関係が深まるにつれ、患者・家族の希望する生活 が送れるようにとの想いが強くなる。その希望を実現する為に、ケアマネージャーや施設スタ ッフと直接連携を図り、すぐ実践出来る情報を提供していく必要がある。また、退院後の生活 についても情報を得ることで次の退院支援に役立てられるのではないかと考える。.
(19) 演題 5. 50 代の息子を80代の母親が在宅で看取った症例 〇山口 早月、笹原 啓子、関 栄江、井田 加奈子、吉本 京子、林 修巳、大舘 由美子、 宮前 芳江、柏谷 あき代、川田 忠嘉(前橋赤十字病院 ) 【はじめに】余命告知を受け在宅療養を望んだ息子の希望を受け入れたものの、看取りまでは できないと考えていた80歳の母親が、在宅看取りを受容した症例を報告する。 【基本情報】A氏. 51 歳. 男性 両親と兄の4人家族。キーパーソンは 80 歳の母親。母親は社会. 活動優先であり、息子の治療への付き添いはほとんどなかった。疾患名:悪性心膜中皮腫。 2011 年 12 月発症から化学療法を受けていたが 3 月で治療中止。浮腫や呼吸苦に対して、 対症療法が行われた。終末期をどのように過ごしたいのか気持ちが定まらない A 氏であっ たが、最終的に、自宅退院の希望が表出された。病棟看護師は病状の不安定さと 80 歳の母 親が介護を引き受けなければならない現実に不安があり、MSWと退院支援室と協同した 退院支援が開始された。 <退院~再入院まで> 病状から急変の可能性も懸念され、主治医より本人と母親に余命一 か月と告知された。A氏の反応は、「一年生き延びられればいいな。やりたいことがある。 家に帰りたい」であった。母親は「病院に居た方が安心」と不安を抱きつつも本人が望む 自宅退院を受け入れたが、「何かあればすぐに病院に来る」事を強調し、在宅療養はあくま で一時的なものと考えていた。退院後は、介護保険を利用した環境整備を行い、訪問看護 と往診医によるサポートを導入したが、母親は社会活動優先で不在がちなため、生活の状況把 握もままならず、さらに内服薬を自己中断するなどのA氏の行動もみられ、結局在宅期間 が 1 週間程度で再入院となった。 <最後の入院〜在宅での看取りまで>再入院したものの、治療としては在宅でのものと変わ りはなく、A氏は次第に入院生活を窮屈に感じるようになった。母親もそのようなA氏を みながら、気持ちが揺れているようであった。そこでもう一度関係者で集まり、今後の療 養先について検討を行った結果、看取りも含めた在宅療養を行うことで一致した。母親に 対して、内服薬の必要性や緊急時の対応方法を再度確認した。母親の不安を最小限に抑え るよう、訪問看護の介入も頻回に行われた。A氏は次第に衰弱されていったが、母親は「入 院しても変わらない。本人は家に居たがっているのだから病院にはもういかない」と、在 宅療養を継続され、一か月後に在宅で看取りとなった。A氏は、亡くなる数日前に「紙と ペンを寄こせ」と言い、俺の物は全部母ちゃんにやると書き残し、通帳と印鑑を渡してい た。 【まとめ】高齢の母親が息子を在宅で看取る事ができたのは、「A氏自身が在宅で過ごす事に 強い希望があった」 「医師からの予後告知によりA氏と母親に残された時間の覚悟が出来た」 「在宅での療養の方が、息子が落ち着いていられることを母親が理解し、看取りについて 心の準備ができた」ことであった。 【事例を通して学んだこと】今回の症例を通し、母親が息子を見送る悲しみや辛さを知ると共 に終焉の時を迎えるという事に心を固めていく過程を学んだ。口頭での説明では在宅療養 をイメージすることが難しかった母親が実際に体験した事で気持ちに変化が見られた。高 齢の方にとっての決断には、より時間をかけた対応が必要であることを学んだ。さらに病 院から訪問看護・往診医・介護へ繋げる信頼関係の構築とチームワークのとれた迅速な退院支援 の重要性を学んだ。.
(20) 第3回「退院支援を考える会」研究会 アンケート結果 参加者145名 アンケート回収106名(回収率73.1%) 有効回答103名(97.2%) 1.参加者の職種. n=103 人. %. 看護師. 68. (66.0). MSW. 14. (13.6). 訪問看護師. 7. 薬剤師. 2.参加者の所属施設・機関. n=103 人. %. 病棟. 54. (65.9). (6.8). 退院調整・地域連携部門. 22. (26.8). 3. (2.9). その他. 2. (2.4). 医師. 2. (1.9). 無記入. 4. (4.9). リハビリ職種. 2. (1.9). 訪問看護ステーション. 8. (7.8). ケアマネジャー. 1. (1.0). その他(薬局、教育機関等). 13. (12.6). その他 (事務、保健師、学生等). 6. (5.8). 病院. 人. %. 82. (79.6). 3.「退院支援を考える会」の参加状況 n=103 人. %. 今回が初めての参加. 38. (36.9). 2回目以上. 65. (63.1). 4.本日の研究会について 1)研究会全体の内容. n=103 人. %. 大変満足. 31. (30.1). 満足. 67. どちらともいえない 不満足. 2)研究会全体の時間配分. n=103 人. %. 大変満足. 20. (19.4). (65.0). 満足. 61. (59.2). 3. (2.9). どちらともいえない. 12. (11.7). 4. (3.9). 不満足. 5. (4.9). 無回答. 5. (4.9). 5.シンポジウムについて. n=103 人. %. 大変満足. 35. (34.0). 満足. 61. どちらともいえない. 6.特別演題について. n=103 人. %. 大変満足. 31. (30.1). (59.2). 満足. 61. (59.2). 4. (3.9). どちらともいえない. 8. (7.8). 不満足. 0. (0.0). 不満足. 1. (1.0). 無回答. 3. (2.9). 無回答. 2. (1.9). 7.演題発表ついて. n=103 人. %. 大変満足. 31. (30.1). 満足. 68. (66.0). どちらともいえない. 2. (1.9). 不満足. 1. (1.0). 無回答. 1. (1.0).
(21) 8.自由記載 研究会についてのご意見・ご感想 ・シンポジウムでは、入院から退院後について色々な部門から発表があり興味深いもので あった。 ・同じ患者さんについて、それぞれの立場、経過で支援内容を知ることができ、大変勉強 になった。 ・各発表の中で併設施設、関連施設での連携でスムーズな支援を行えた報告が多く聞かれ た。その他の施設同士でもスムーズな連携が図れるよう自分自身目指していきたいと思っ た。 ・他の病院のチームアプローチや多職種との連携というお話をたくさん聞くことができ、 勉強になった。看取りの話にはこちらも涙を浮かべるような状態だった。誰に関わっても らえるかで患者さんの旅立ちも家族の思いもかわるのだろうなと思った。何かの役に立て る MSW になりたいと改めて思った。 ・MSW として業務を行っているが、今回の研究会に参加し、本人・家族の意向にきちんと 添えているか、意向を確認できているか改めて自問自答する機会になった。また、関係機 関との連携(質の内容)がきちんとできていないのではないかと感じた。自分の支援を見 直すとても良い時間となった。 ・退院支援は、患者家族の意向をくみとる援助が必要であることを今回の演題それぞれか ら学ぶことができた。 ・事例を聞くことができ、この研究会での支援方法を参考にしていきたい。 ・病棟看護師として働いている中で、在宅へ帰れるのに・・・と思ったり、退院支援計画書の 方向性でいやいや在宅は無理だと思うよ・・・と思うことが多くあり、退院支援について興味 を持った。多職種やケアマネ、在宅主治医など多くの関わりをもち、患者家族の立場に立 った援助が大切だと、とても勉強になった。 ・1つの部署だけでなく、必要とされる部署で担っていく事の大切さが理解できた。今か ら 20 年後を考えると早いうち今からやっていかなくては駄目だと改めて感じた。 ・時間オーバーはよくない。 ・特別演題の時間が短くて残念だった。今後、県などの行政がどのように動いていくのか を知りたかった。 ・質問できる時間が短い。質問が出るような工夫が必要である。 ・テーマが多い ・専門分野の人の話をもっと聞きたかった。 ・目新しい情報はなかった。 ・人数の割合で仕方がないが、看護師に偏っているのが残念。.
(22) 今後の要望 ・早期退院支援に向けて病棟看護師の教育がとても重要になっている。各病院での教育へ の取り組みなどを学ぶ機会があると嬉しい。 ・グループワーク形式をお願いしたい。 ・地域包括ケア病床の利用、効果的な活用方法、連携の取り方など具体的な内容が知りた い。 ・「在宅ターミナル」をテーマに行って戴きたい。 ・色々な角度から退院支援について考えられたらと思う。. 【アンケート結果 総括】 ・参加者は、看護師約 66%、MSW 約 13%であった。昨年と同様の比率であるが、今年は ケアマネジャーの参加が少なかった。アンケート結果にもあったが、看護職中心なので、 MSW、ケアマネジャー等、多職種の参加割合が増えるような広報活動が必要である。演題 発表は、多職種からの発表となったが、座長が全員看護職であったため、次回は、看護職 に偏らないように調整が必要である。 ・参加者の所属機関は、病院が約 8 割で、そのうち病棟勤務が約 66%は病棟勤務、約 27% は退院調整・地域連携部門であった。昨年のアンケート結果と比較すると、昨年は、病棟 勤務の参加者が約 40%であり、病棟看護師が退院支援についての関心が高くなっているの ではないかと考える。 ・参加者の 6 割以上は 2 回以上参加しており、初めて参加した人は 37%であった。 ・研究会の満足度については、時間配分については約 8 割の人が「大変満足」 「満足」と回 答していたが、それ以外の項目においてはどの項目についても「大変満足」「満足」を合わ せると 9 割以上の人が満足していた。時間配分に関する評価が若干低かった原因として、 全体と通して予定時間を 15 分オーバーしたこと、シンポジウムの質疑応答の時間が少なか ったこと、特別演題の時間配分が少なかったことが考えられる。「大変満足」「満足」を合 わせた割合は、昨年と同様であるが、今年は「不満足」と回答した方も数名いたので、研 究会の内容、運営方法について改善が必要と考える。 ・自由記載の意見には、時間配分に関すること、シンポジウムでの意見交換が少ないこと に関する意見があった。感想では、自身の職務の振り返りの機会となった、勉強になった という肯定的な意見もあった。.
(23) 「退院支援を考える会」主催. 地域包括ケアシステム構築に向けた 多職種連携研修会 2025年問題を見据えて、全国各地で「地域包括ケアシステムの構築」を目指した動 きが活発化しています。しかし、「地域包括ケアシステム」という言葉だけが独り歩 きして、「地域包括ケアシステムを構築するために、自分達の役割は何だろう?どう したらよいのだろう?」というお悩みを抱えていませんか。地域包括ケアシステムを 構築するためには、多職種連携が必須です。 本研修では、地域包括ケアシステムについて理解すること、多職種でのグループ ワークを通して、地域包括ケアシステム構築のための課題と各職種の役割について考 えることを目的として企画しました。皆様のご参加をお待ちしております。 日. 時. 平成28年2月6日(土)14:00~16:30(受付開始13:30~). 会. 場. 高崎健康福祉大学保健医療学部 (住所:高崎市中大類町 501). 定. 員. 14:00 14:05~14:35. 302教室. 駐車場は裏面をご覧ください. 60名(定員になり次第、申し込みを締め切ります). 申込み方法 参加費. 5号館. メールまたは別紙にてお申込みください(事前申し込み制). 無料. 申込期限:平成28年1月16日(金). 開会の挨拶 ミニレクチャー「地域包括ケアとは何か」 講師:神山智子 氏. 14:35~16:30. 群馬県健康福祉部 医療介護局 地域包括ケア推進室 地域包括ケア推進係 補佐. グループワーク&意見交換 (途中coffee breakあります) コメンテーター. 神山 智子氏 (群馬県健康福祉部医療介護局) 林. 昌子氏 (前橋赤十字病院 副看護部長). ◇参加申し込み・お問い合わせ先◇ 高崎健康福祉大学保健医療学部看護学科 「退院支援を考える会」事務局 新井明子 E-mail [email protected] FAX027-352-1445 *お問い合わせは、新井宛てにメールまたはFAXでお願いします。. 本研修は、公益財団法人在宅医療助成 勇美記念財団の助成を受けて、実施し ます。.
(24) 地域包括ケアシステム構築のための 多職種連携研修会. 日時:平成 28 年 2 月 6 日(土)14:00~16:30 会場:高崎健康福祉大学保健医療学部 5 号館 302 教室 主催:退院支援を考える会. 本研修は、公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団の助成を受けて実施します。.
(25) 研修スケジュール. 14:00. 開会のあいさつ. 「退院支援を考える会」代表 棚橋さつき. 14:05~14:35 ミニレクチャー「地域包括ケアシステムの構築に向けて」 講師:神山 智子 氏 群馬県 健康福祉部 医療介護局 地域包括ケア推進室 地域包括ケア推進係. 補佐. 14:40~16:25 グループワーク. コメンテーター. 神山. 智子 氏. 林. 昌子 氏(前橋赤十字病院. 副看護部長). <グループワークのタイムスケジュール> 14:40~. 各グループで自己紹介を行い、司会、書記、発表者を決めてグル ープワークを開始してください。. 16:30. 15:40~. 休憩(15 分). 15:55~. グループワークの発表&意見交換. 終了.
(26) ≪グループワーク≫. 検討内容①. 地域包括ケアシステムを構築していくためには、どんな課題がありますか。. 地域の社会資源、多職種連携、情報共有、施設・事業所等の提供するサービスの充実・強化等、 病気や障がいのある子どもから高齢者、認知症高齢者、在宅看取りを希望する人が、地域で住み 続けるためのサービス提供等の課題について、ご検討ください。. 検討内容②. ①で検討した課題の解決方法には、どんなことが考えられますか。 また、課題解決のために各職種に求められる役割はどんなことだと思いますか。. 解決方法と、ご自身の職種の役割あるいは連携する職種に期待する役割についてご検討くださ い。.
(27) 地域包括ケアシステムの構築に向けた多職種連携研修会 アンケート結果 1.参加者の所属機関において主としている業務に関する職種 職種. 人数(%). 看護師. 28(39.4). ケアマネジャー. 16(22.5). リハビリ(PT,OT,ST). 5( 7.0). 薬剤師. 5( 7.0). 事務職. 5( 7.0). 医師. 3( 4.2). 訪問看護師. 3( 4.2). MSW/PSW. 2( 2.8). 介護職. 1( 1.4). その他. 3( 4.2). n=71 2.研修会に参加した動機(複数回答あり) 項目. 人数(%). 地域包括ケアに関する内容だったから. 61(85.9). 多職種が参加する研修だったから. 49(69.0). ミニレクチャーに興味をもったから. 8(11.3). グループワークに興味をもったから. 3(4.2). その他. 1(1.4). n=71 3.本研修会の満足度 項目. 人数(%). 大変満足. 30(42.3). おおむね満足. 49(56.3). 不満足. 0(0.0). いずれにもあてはまらない. 1(1.4). n=71.
(28) 4.ミニレクチャーについて. 5. グループワークのテーマについて. 項目. 人数(%). よく理解できた. 31(43.7). 適切. だいたい理解できた. 36(50.7). 難しい、分かりにくい. 6(8.5). 項目. 人数(%) 62(87.3). あまり理解できなかった. 0(0.0). 他のテーマがよい. 2(2.8). 既知の内容であった. 2(2.8). 無回答. 1(1.4). 無回答. 2(2.8). n=71 6.本日の研修会で、参考になったことや気付いたこと ・他職種の仕事内容をよく知る必要があると思った。職種間によって、色々な課題がある ことがよくわかった。 ・在宅での生活は多職種で支えていかなければと再確認した ・地域包括ケアシステムについての勉強会は数多く開かれていて出席もしているが、いま ひとつシステムについて理解できない。 ・もう少し地域包括ケアシステムについて勉強したかった ・今は退院支援調整だけではなく、在宅で生活できるためのコーディネートをしていく必 要がある ・地域によってサービス量が不足している。地域差がかなりある。県としての方向性がき けてよかった ・これからの情報を発信していく役割が自分達にあると気づいた ・病棟スタッフが在宅支援について情報が少ないことに気付いた ・多職種と話すことが出来、在宅と病院をつなぐことが重要だと思った。 ・他職種が抱える課題を聞くことができたことで、在宅療養の現状を改めて知るとこがで きた。病棟から退院していったあとのことをなかなか病棟看護師が把握するのは難しい。 ・このような研修会ではどうしてもサービス(公的有料サービス)ありきで考えてしまい がちで、なかなか解決策が出来ないのではないかと思う ・多職種(専門職)の生の声や今抱えている事例などまた、地域によって取り組んでいる 働きや特徴が聞けて参考になった。 ・在宅での薬剤師の重要性。若い方や小児の在宅支援の制度が整っていないこと。 ・ミニレクチャーがよかった。 ・グループワーク後のまとめがよかった。 ・グループワークの時間がもっとあるといいと思った。もっとせまい内容にしてほしい。 ・生活支援コーディネーターをつくるなどして地域コミュニティーをどうするか課題だと 思った。.
(29) ・働いている現場や地域により、地域包括ケアシステムに向けての(地域での)到達度が 色々なのだと改めて認識。すでに超高齢化社会 2025 年に間に合うのか、大いに疑問を感じ た。特に医療と介護の役割分担と連携をどうすすめるのか ・地域包括支援ケアシステム作りに向け、市町村の動きがまだしっかりできていない、面 倒なことを押し付けられている印象を受けた。地域包括ケアを行う人も、受ける人もまだ まだ認知されていない事が多く、理解を深めることが必要だと感じた 7.今後希望する研修会 ・Dr からの意見、在宅医や病院医師も交流できるといい ・退院コーディネートについて、生活コーディネートについて ・他の地域の情報が知りたい ・ポイントに絞った研修(地域連携パス等) ・地域包括ケアシステムに関係するすべての職種が参加した交流会、 ・多職種の方と話がしたい、グループワーク、多職種での交流 ・緩和ケア、看取りの方法や考え方 ・退院支援を行って成功した例、失敗した例が知りたい ・地域包括ケア具体的事例 8.その他 ・各市町村の話も聞けるとよかった。 ・県の取り組み、例えば新聞配達の会社と協定を結んでいるなどの情報をもっと発信して 欲しい。 【アンケート結果 総括】 ・本研修会について、参加者からは大変満足、概ね満足という評価であった ・研修会参加の動機として、「地域包括ケアに関する内容だったから」「多職種が参加する 研修会だったから」という理由が多く、関心が高いことが伺えた。 ・自由記載欄には「多職種の意見を聞くことができてよかった」という意見が多く、グル ープワークで多職種との意見交換をすることにより、「多職種の考えや悩みを知る機会にな った」など多職種の相互理解につながったのではないかと考える。しかし、今回は参加者 が看護師、ケアマネジャーが中心であり、参加職種の割合にばらつきがあったので、ヘル パー等の介護職や医師などの参加が増えるような広報活動をしていく必要がある。.
(30)
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