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高齢者スポーツの持つ可能性-グラウンド・ゴルフの「楽しさ」を規定する社会学的要因と効果-: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

高齢者スポーツの持つ可能性−グラウンド・ゴルフの「楽

しさ」を規定する社会学的要因と効果−

Author(s)

宮本, 晋一

Citation

沖縄大学人文学部紀要 = Journal of the Faculty of

Humanities and Social Sciences(10): 97-107

Issue Date

2007-12-31

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/6225

(2)

沖縄 大学 人文学部紀 要 第1()TU,- 2007

高齢者スポーツの持つ可能性

-グラウ ン ド ・ゴル フの 「楽 しさ」 を規定す る社会学 的要 因 と効果 一

-要 約 本研究では、負の要素が強いとされる高齢期のスポーツにおいて幅広 く受けいれ られているグ ラウン ド・ゴル フの魅力 「楽 しさ」 に着 目した社会学的要因分析 (外質的 ・結果要因、社会的要 因、本質的 ・過程要因) を通 して検討 した ものであるO また、片足立ち保持時間 と活動実態 との 相関分析か ら身体的 ・精神的効果 について も詳細 に検討 した ものである。 さらにこれ らの結果 を 踏 まえ加齢 とともに狭窄 していく高齢者スポーツの個別性や特殊性 の理解 と体系的整理 を行 い、 高齢者スポーツの開発 ・普及 について考察 した。 キーワー ド :高齢者スポーツ、グラウン ド ・ゴル フ、片足立ちの保持 Ⅰ.は じめに 近年の 日本において、高齢化の急速な進展や生活の利便性 の向上によ りカラダを動かす機会の 減少が予想 され る社会の中で、介護保険改定 (2006)では、高齢者ができる限 り要介護状態 に 陥ることな く、健康で生き生き した生活 を送れるよ うに支援す るための介護サー ビス、 いわば こ れまでの 「結果」 に対す るアプローチではな く、 「原 因」 に対す るアプローチに焦点 をあてた介 護予防サービスが導入されているO このサー ビスによって身体の機能そのものを維持 ・向上させ るという視点 も強化 され、ダンベ ルなどを用いた筋力向上 トレーニ ングや、転倒防止のための身体バ ランスを図る レクリエーシ ョ ン的 トレーニ ング、あるいは身体機能の衰えを防 ぐ効果がある口腔ケア、精神的ス トレスの解消、 閉 じこもり予防な ど運動に関連 した様 々なメニ ューが計画 されるな ど、早期の段階か ら運動 に親 しむ ことの意義を取 り上げているo このように高齢者の介護予防を目的 としたスポーツ ・レクリエーシ ョンへの期待が高まる中で 生涯スポーツ推進事業の一環 として1982年 にグラウン ド ・ゴル フが考案 され、ルール もごく簡 単な ことか ら初心者で もす ぐに取 り組む ことがで きるスポーツ として脚光 を浴 びるよ うにな っ た。要因として先に述べたような諸行政の政策努力もさることなが らグラウン ド ・ゴル フ競技の 特性に高齢者を引き付けるほどの魅力が含 まれていたか らだ と考え られる。 沖縄県では1990年に元県保健体育課の金城幸信氏 を中心 に活動が始 ま り、その後 1996年頃ま では那覇市において年2- 3回の県大会が開催 される程度で競技者人 口の低迷状態が続 いた。 し か し、全国的傾向 として 「生涯 スポー ツ ・高齢者スポー ツ」 へ の期待 が高 ま りをみせ る中で、 1998年の保健体育審議会答 申 「21世紀 に向けたスポーツ振興方策」 に焦点が当て られ、1999年 には全国スポーツレク リエー シ ョン大会を具志川市で開催す るな ど、全国規模のイベ ン トをきっ かけに、各年齢や社会階層にとらわれる ことな く子 どもか ら高齢者 まで幅広 い人たちへの普及 に 拍車がかかった。その結果、停滞気味であったグラウン ド ・ゴル フ会員登録者数は2000年度 の 597人か ら2003年度で1452人、約2.5倍 に急増 し現在はゆるやかな増加傾向にある。

(3)

-97-沖縄大学人文学部紀要 第10号 20()7 そ こで、本研究では、負の要素が強いとされる高齢期のスポーツにおいて幅広 く受けいれ られ て いるグラウン ド ・ゴル フの魅力 「楽 しさ」 に着 目した社会学的要因分析 (外質的 ・結果要因、 社会的要因、本質的 ・過程要因) を通 して検討 した ものである。 また、片足立ち保持時間 と活動 実態 との相関分析か ら身体的 ・精神的効果 について も詳細 に検討 した ものである。そ して、 これ らの結果 を踏 まえ加齢 とともに狭窄 していく高齢者スポーツの個別性や特殊性の理解 と体系的整 理 を行 い、高齢者スポーツの開発 ・普及 に効果的な身体的 ・心理的効果について考察 したo Ⅱ.研究方法 (1)調査方法 本研究 による調査対象は、2007年 7月15日に沖縄県浦添市陸上競技場にお いて行われた、沖 縄県 グラウン ド ・ゴル フ大会参加者

495

名 を対象 とした。調査方法 については、所定の質問用紙 を用 いて現地 にて調査員による直接配布後、10人程度の小グループに分けて質問項 目を読み上げ その場で回収をした。質問用紙配布数

1

83

部、回収数は

1

67

部で、回収率は

91

.

3%

であった。 (読 技 は大会運営上無作為 の3グルー プ体制で実施 されてお り、 は じめに競技が終 7したグルー プ

1

83

名に対 して調査 を実施 した)有効標本数は

1

61

(

87

.

9%)

である。 (2)調査内容 調査内容 については、 グラウン ド ・ゴル フの実施状況、 「楽 しさ」スケール、個 人的属性の合 計32項 目を設定 した。 グラウン ド ・ゴル フプレイでの楽 しさに影響す る因子 については

、Wa

nke

l

,

(

1

985)

の外質 的 ・結果要因3項 目、社会的要因2項 目、本質的 ・過程要因5項 目の3要因か ら構成 され る、7 段階 リカー トタイ プ尺度 を5段階に変更 して用 いた。 グラウン ド ・ゴル フプレイでの楽 しさについての主観的意識は、10項 目なるスケールにて測定 した。 表1 調査内容 要因群 調査項 目 個人的属性 1.年齢 2.性別 3.家族構成 4.生活習慣について グラウンド・ゴルフの実施状況 1.継続年数 2.実施頻度 3.活動動機 4∴ 舌動目的 5∴ 舌動で重視していること 6.グラウンド・ゴルフのプレイ場面で楽しさに影響する要因 7.グラウンド・ゴルフの魅力と不満を感じる要因 8.残存歯数 9.片足立ち保持時間 表2 グラウン ド・ゴルフのプレイ場面で楽しさに影響する要因 1.他人から誉められたとき 外質的 ・結果要因 2.大会などで勝ったとき 3.表彰などの賞 ・報酬をもらうとき 4.友人と十緒にいるとき 5.グループで一緒にいるとき 肌 【mw 6.グランド・ゴルフで自分の能力を試しているとき 7.グランド・ゴルフの技術が改善 ・向上するとき 8.個人的目標が達成されるとき (成果) 9.グランド・ゴルフそのもの興奮を味わうとき 10.他人と争うとき 社会的要因 本質的 ・過程的要因

ー98一

(4)

宮 本:高齢者スポーツの持つ可能性 表 3 グラウン ド ・ゴル フの 「楽 しさ」スケール グラウン ド・ゴルフは楽 しくな い イート グラウン ド ・ゴル フは楽 しい 2.疲れるだけ 3.落胆 してくる 4,身体的に悪 いと感 じる 5.非常に欲求不満 になる 6.全 く刺激的でない 7.全 く達成感が得 られない 8.出きればグラウン ド・ゴルフ 以外のスホd-ツをや りたい 9.全 く体調はよくな らな い 10.全 く満足できない ■-ト 魅力的である イート 幸福にな って くる 4-ト 身体的に良いと感 じる ■-ト 全 く欲求不満 にな らな い ■-ト 非常に刺激的である イート 非常 に達成感を得 られる ⊂E グラウン ド・ゴル フ以外のスIV-ツを や ってみたいとは思わない 4-ト 非常 に体調が良くな った イート 非常に満足 している (3)分析方法 グラウン ド.ゴル フの実践 における活動意識については、対極か らなる

5

段階 リカー トタイ プ 尺度を構成す るものとして数値化 し,10項 目の合計得点を算 出した。 これ を 「楽 しさ」スコアと した。 次に得点化 した 「楽 しさ」スケールを従属変数 とし、独立変数 を、年齢、性別、実施頻度、合 成得点化 したグラウン ド ・ゴル フプレイでの楽 しさに影響す る要因 (外質的 ・結果要因、社会的 要因、本質的 ・過程要因) として重回帰分析による要因の検討 をしたO また、片足立ち保持時間 と活動実態 との相関分析か ら身体的 ・精神的効果 について も詳細 に検 討をした。

Ⅲ.

結果及び考察 1.基本属性 (1) 年齢、性別、世帯状況 年齢は、平均年齢は70.5歳、変動係数は0.078でば らつきは小さく前期高齢者が中心であった。 性別は男性、女性の割合はほぼ同 じであった。世帯形態は、独居率が5.6%と全国平均か ら見て 1ポイ ン ト程度高めで、同居率全体で見ると前期高齢者が42.6%、後期高齢者が40.0%と一般的 には加齢 とともに同居率が増加の傾向を示すが、 グラウン ド ・ゴル フの実践者においては生活 ・ 健康が安定 しているためか後期高齢者の構成比のほうが減少傾向を示す という逆の結果が示 され た。 また、子 どもと同居率 も35.9%と全国平均値 と比較 して若干低めであった。以上の ことか ら 高齢者取 り巻 く家族形態の変容は、グラウン ド ・ゴル フ実践者 にも一般的傾向 と同様 に同居率低 下が進行 している。 表 4 基本属性 年 齢 50歳∼64歳65歳∼69歳70歳∼74歳75歳∼79歳80歳以上 計 平均 S.D. n 13 49 62 26 9 2 161 70.54 5.533 (%) 8.2% 30.4% 38.3% 16.2% 5.6% 1,2% 99.9% 性 別 男性 女性 ∩ 83 76 2 161 (%) 51.6% 47.2% 1.2% 100.0% 世 帯 一人暮らし夫婦のみ 親と同居 子どもと同居 その他 計 平均 S.D. ∩ 25 59 4 58 4 11 161 2.71 1.213 (%) 5.6% 19.0% 19.0% 35.9% 19.0% 1.4% 100.0%

(5)

-99-沖縄大学 人文学部紀要 第10号 2007 (2) グラウン ド ・ゴル フの活動状況 表5 グラウン ド ・ゴル フの活動状況 活動暦 1年未満 1年∼3年 3年∼5年 5年∼10年 10年以上 計 平均 S.D. n l3 23 37 48 37 3 161 3.4620 l.225 % 8.0% 14.2% 22.9% 29.8% 22.9% 1.8% 99.6% 実施頻度 週1回 週2回 週3回 週4回 週5回 週6回 計 平均 S.D. ∩ 25 51 38 9 4 2 161 2.43 2.543 % 15.5% 31.7% 23.6% 5.6% 2.5% 1.2% 100.0% 週7回 月1回 月2回 そ の 他

9

9

5

5

4

5.6% 5.6% 3.1% 3.1% 2.5% 表6 グラウン ド ・ゴル フの動機 と活動後の 目的 活動 をは じめた動機 健康・体力づく 趣味としてス (3つまで複数 回答可)n lO2 63 26 43 35 5 367 % 27.8% 17.2% 7.1% 11.7% 9.3% 1.4% 99.9% ∩ 3 3 1 23 17 17 % 0.8% 0.8% 0.3% 6.3% 4.6% 4.6% 役割遂行 医師の勧め そ の 他 n 12 9 7 0 1 % 3.3% 2.5% 1.9% 0.0% 0.3% 活動の 目的 健康 体力づく収入からの誘い趣味としてス (3つ まで複数 回答可)n l13 106 10 40 49 3 399 % 28.3% 26.6% 2.5% 10.0% 12.3% 0.8% 100.3% から 老 化 防 止 ∩ 7 2 3 24 14 3 % 1.8% 0.5% 0.8% 6.0% 3.5% 0.8% 地域活動の拡大役割遂行 出会と変化井架されたいそ の 他 n 11 7 3 0 2 2 % 2.8% 1.8% 0.8% 0.0% 0.5% 0.5% 大会参加で最 も重視 試合 に勝つことへス トをつくすこafレイを楽しむこく史′兄し触れ合うこと手土会性 の維持 して いること ∩ 25 31 73 61 12 0 210 (3つ まで複数 回答可)% 11.9% 14.8% 34.8% 29.0% 5.70% 0.0% 100.0% 役割遂行 そ の 他 ∩ 4 1 3 % 1.9% 0.5% 1,4% 2.グラウン ド ・ゴル フの精神的側面 と効果 (1) グラウン ド ・ゴル フの実践 にお ける活動意識 グラウン ド ・ゴル フの実践 にお ける活動意識10項 目において平均値 を高 い値 を示 した順 にみて み る と、 4.「グラウン ド ・ゴル フは非常 に身体的 に良い と感 じる」 の項 目が4.61と最 も高 い値 を示 した。次 いでゲーム性が あるためか 「非常 に魅 力的で ある」が4.57、 「グラウン ド ・ゴル フ が楽 しい」 が4.49と高 い値 を示 して いたO逆 に最 も低 い値 を示 した項 目は、 6.「非常 に刺激的 である」 が3.22とゲーム 自体 は淡 々 として いる ことが伺 えるo続 いて8.「グラウン ド ・ゴル フ

(6)

-100-宮本 :高齢者スポーツの持つ可能性 以外の他 のスポー ツをや ってみたい と思わな い」 が3.58と選択肢が非常 に少ない ことも伺われ、 7.「非常 に達成感が得 られ る」 が4.14であった。 この ことか らグラウン ド ・ゴル フの精神的効果 について、決 して刺激的で達成感が得 られ るスポーツではな いが、 グラウン ド ・ゴル フを実践す ることで主観的に身体 によい と感 じ精神的効果 をもた らしている ことが明 らか になった。 (表 7) 表7 グラウン ドゴルフの活動意識別平均値 評価値 4.61 4.57 4.49 4.47 4.28 4.26 4.20 4.14 4.非常に身体的に良いと感じる 2.非常に魅力的である 1.グラウンド・ゴルフが

しい 3.非常に気持ちが良くなってくる 10.非常に満足させてくれる 5.全くストレスがかからない 9.非常に体調が良くなった 7.非常に達成感が得られる 8.グラウンド・コルフ以外のスポ ーツをやってみた いと思わな いと思わない 3.58 6.非常に刺激的である 3.22 (2) グラウン ド ・ゴル フの実践者の楽 しさに影響す る要 因 グラウン ド ・ゴル フの実践者 の楽 しさに影響す る要 因 に関す る項 目にお いて、 「大会で勝 った とき」が4.68で最 も高い値 を示 したO しか し、 ここにおける意識は、決 して競技スポーツのよ う な勝利至上主義的意識か らくるものではな い ことは予備調査 の段階か ら聞き取 りによって明 らか にされている。 続 いて社会的要因に整理できる 「友 人 といる とき」 が4.66、 「グルー プでいるとき」4.65とな っていた。逆 に本質的 ・経過要因である 「他人 と争 うとき」、 「グラウ ン ド ・ゴル フそ の ものの興 奮 を味わ うとき」が ともに3.88と低 く、次いで 「自分の能力を試 しているとき」が4.15と低 い値 を示 していた。 また、活動意識10項 目の相関分析 を行 った結果、有意な相関が見 られなかった項 目は、 「他 人 と争 うとき」、 「大会で勝 った とき」 で、他 の項 目にお いてはすべて有意 な相 関が見 られ た。 (義 8) 表8 グラウン ドゴルフの実践においてプレイ時の魅力に影響する要因 o ・ -。 o ・ -。 o ・ -5 一〇 ・ -2

o ・ -。 o ・ 69 は M l ・ 外質的 ・結 果要因 1.他人から誉められたとき 2.大会で勝ったとき 3.表彰など賞 ・報酬をもらうとき 社会的要 4.友人と一緒にいるとき 国 5.グループで一緒にいるとき 4 ・ -6 些 4 ・ 15 4 ・ -。 4 ・ 42 3 ・ 48 3 本質的 ・過 程要因 6.自分の能力を試しているとき 7.技術が改善 ・向上するとき 8.個人的 目標が達成されるとき 9 グラウンド・ゴルフそのものの興奮を味わうとき 10,他人と争うとき -

(7)

101-沖縄大学人文学部紀要 第10号 2C107

(

3

) グラウン ド ・ゴル フの楽 しさを規定す る要 因ついての考察 これ まで高齢者スポーツの代 名詞 とされて きたゲー トボールは減少傾向を示 し、それ に変わる スポー ツ としてグ ラウ ン ド ・ゴル フの普及がすすむよ うにな ったO要因 として諸行政の政策努力 も考 え られ るが、一度 は じめ る と5年以上 の継続率が59.0%を占めるグラウ ン ド ・ゴル フの魅力 と普及 してきた過程、本質 を解 明す る事が本研究のテーマである。 そ こで、表8の結果か ら 「楽 しさ」 へ影 響 をあたえて いる要因 と して、友人や グルー プで プレ イや時間 を共有す るな ど他者交流 を示す社会的要因が最 も強 く影響 をあたえていた ことが明 らか になった。 また,競技 スポー ツのよ うに到達度評価 を得 るための手段 としての本質 ・過程要因を 重視す る という結果 は得 られず、逆 に外質的 ・結果要 因に関 しての要因が影響 していることも明 らか となったQ さ らに、活動 の動機 ・継続 の 目的か らは、家族 とのふれ あ い等 による理 由は

3%

程度 で非常 に 低 く、健康維持が

30%

、次 に友人か らの誘 いが

20%

程度 とな ってお り、個 人的な興味関心が重 要な条件である ことも示 されて いたO 以上の ことか ら、 グラウ ン ド ・ゴル フの活動条件は年齢や世帯、地域での役割 な どに左右 され る ことな く、 自由 ・自主的な活動である こと。 そ して記録 を追求す る ことや相手 と競 って勝敗が つ くものが含 まれていた として も、 自分 自身に過度 の プレッシャー を掛けた りするよ うな修練の 場で もな く、他者か らの賞賛 を期待す る もので もな く、ただ時間 をゆった りと使 いなが ら偶発的 可能性 の高い 自然環境 の中、仲間 による時間の共有 「高齢者 の居場所」 が担保 さえる ことが重要 な要素である ことが分か った。 3, グラウン ド ・ゴル フの身体 的効果 高齢者スポー ツ活動 の多 くは、 身体面で制約 を受 ける リス クが高 まる ことを仮定 して、運動量 や身体 的稼 動領域 を小 さめに抑 え、調整 力において競技 を楽 しめ るよ うに工夫 ・考案 されている ことが多 い。 グラウ ン ド ・ゴル フも同様である。 そ こであえてグラウン ド ・ゴル フの実践におけ る身体的な効果 の有無 と程度 につ いて具体的検 討を行 った。 項 目は (体調 の変化、病院への受診回数、片足立 ちの維持時間, グラウ ン ド・ゴル フがない場 合の過 ごし方) としたO (1)体調 の変化か ら見た効果 グラウン ド ・ゴル フを行 うことで体調の変化が 「非常 によ くな った と感 じる」が52.1%で最 も 高 く、次 いで 「やや よ くなった と感 じる」 が25.4%、 「普通」 が18.6%の順 とな ってお り、体調 が悪 くな った と感 じて いる ものは

1

.

2%

と少な く、 グラウン ド ・ゴル フ活動は身体的 にも精神的 にも効果が高 い ことが分か った。 (2)病院の受診回数か らみた効果 高齢者 にとって病院への通院は2つの意味がある。一つには当然 「診療」が 目的であるが、二 つ 目は社交の場 「高齢者の居場所」 として定着 していることは言 うまで もな い。 そ こで 「2.グ ラウ ン ド ・ゴル フの精神的側面 と効果」 にお いて、すでに述べて いる通 りであ り、 ここでは受診 回数 と練習頻度 との相関 につ いてのみ検証 を行 った。 ①病院への通院状況 病院の通 院の状況 については、 「月に1-3回程度」が4

1

.

0%

と最 も高 く、 「定期健診 のみ」 が 31.7%、 「ほ とん ど行かな い」 が16.8%の順 とな ってお りグラウ ン ド ・ゴル フ実践者 にとっての 「病院」 は、社交の場 「高齢者の居場所」 でない ことが身体的な側面か らも明 らか となったO (診グラウ ン ド ・ゴル フの活動頻度 と病院受診回数の関係

(8)

-102-官本 :高齢 者スボ- ツの持つ可能性 次 に、 グラウン ド ・ゴル フをは じめてか らの受診 回数は、 「変化 な し」 が59.6%と最 も高 く、 次 いで 「非常 に受診回数が減 った」 が18.6%、 「非常 に増えた」 が8.1%とい う結果が得 られ たO この結果か ら活動頻度 と病院受診回数の関係 につ いて分析 した。 その結果、 グラウン ド ・ゴル フの活動 にお いて、週2回が2.72回 ともっとも受診回数が少な く、 受診回数の増減 について も大半が 「変化 がな い」 と回答 して いる。 また、週5回の実施群 におい ては受診回数が3回 とポイ ン トが高 くなる ことが分か った。 また、変動係数は週2回 と比べ ると若 干大 きい。 この項 目か らは、高齢者 にや さ しく開かれたスポーツ として考案 された グラウン ド ・ゴル フに お いて も、個 人差はあるものの平均で週6回が一つの身体的分岐点 となっていることがみて とれ る。 (グラフ 1) (グラフ 1)受診 回数 と片足立ち保持 時間 (回数) 3.053 2.2.2.2.958589 2.2.2.2.756576 2.55

′\

こー

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ー 2.8

/

2.76 .lLI (3)片足立ち測定か らみた効果 高齢者は、バ ランス能力を維持す る ことが 日常生活動作 の幅 を保つ ことだけでな く転倒 の防止 として も重要であるoそ こでグラウン ド ・ゴル フ活動 を行 うことによる深部感覚やバ ランス能 力 の指標 となる片足立ち測定か らの評価 を試みた。 ① グラウン ド ・ゴル フ実践群 と非実践群比較 グラウン ド ・ゴル フ実践群の平均値 を非実践群 と比較 してみる と、 グラウン ド ・ゴル フ実践群 のほ うが平均で9.3秒、長 く保て る ことが明 らか になった。 また、 この低下傾 向の格差は、62歳 か ら始 ま り65歳 の約3年間で 「実践群」 が36.5秒、 「非実践群」 が26.9秒 ライ ンまで低下 して い ることがわかった。 さ らにその後 は加齢 による低下の傾 向は83歳 までみ られず平行線 をた どる こ とも明 らか となった。 この ことか ら、片足立測定は高齢者の現役 引退後 の体 力低下 をよ り早 く察 知 し対応策 (転倒予防事業等) を検討す るための指針 として必要性が高 まる と思われ るD 尚、非 実践群のデーターは、筆者 らの研究 の一環 として2005年愛媛県宇和 島市 にお いて 「高齢者 の生 活安定度評価 と健康維持 に関す る調査」 として高齢者200名 に対 して実施 したデータを使用 したo ② グラウン ド ・ゴル フの活動頻度 と片足立ちの関係 活動頻度 を比較 してみ る と週1回か ら週4回 までは36秒台で大 きな変化 はな く、活動頻度 と身 体バ ランスの維持 の観点か らは大差がな い。 しか し、週

5

回の実践群か ら徐 々に保持時間が向上

-

10 3

(9)

-沖縄大学人文学部紀要 第10号 2007 してお り、週

5

回で

37

.

5

秒、週

6

回で

39

秒、週

7

回で

39

.

5

秒 と

3

ポイ ン ト以上向上 しているO この ことか ら健康の増進 ・バ ランス能力の向上を視野 にいれた場合は、 グラウン ド ・ゴル フの実践が 週

5

回以上必要な ことが明 らか になった。 また、活動暦 と片足立ち保持時間にお いては、保持時 間の延長 につながる傾向は見 られず、過去 の活動 による貯筋 (筋力 ・調整力)ができないことも わかった。 しか しなが ら増進はないものの加齢 によるバ ランス能力の低下 を抑え維持 しているこ とが示唆 された。 (グラフ2)(グラフ3) ヰI (グラフ 2)運動群 と非運動群の保持時間比較 lー 運動群 ー 非運動群 l (秒) 50 40 30 210600 で \ 5 \ \ \ 」メ (グラフ 3)活動頻度 と片足立ち保持時間 (秒) 39.395 383.85 3737.5 3636.5 3535.5 ーJ d ′-′▼)J■

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(

4

) グラウン ド ・ゴル フがない場合の過 ごし方か らの効果 グラウン ド ・ゴル フ活動 を通 じて、仲間 との交流や役割が維持 されるな ど身体面 ・精神面の効 果 について明 らか にす る事が出来た。そ こでグラウン ド ・ゴル フの二次的効果 について 「活動が な い場合 の過 ごし方」か ら検証 してみた。そ の結果、休みの過 ごし方 で最 も高 い過 ごし方は、

(10)

-104-宮本■高齢者スポーツの持つ可能件 「趣味で過 ごす」が20.0%とグラウン ド ・ゴル フ以外 に楽 しみを持 って いる高齢者が多 い ことが わかった。次 に高かったのは、 グラウン ド ・ゴル フのために足腰 を鍛 えるな どの理 由か ら 「運動 や散歩をして過 ごす」が16.8%と多 いことも分かった。 この ことか らもグラウン ド ・ゴル フ実践 群は活動を通 じて意識的に外出 してお り、閉 じこもり予防 として も効果があることが示唆された。 また、逆に最 も低 い過 ごし方は 「介護サー ビス を受ける」が0.4%、次 いで 「病院に行 く」が 0.8%、 「外出をしない」が1.2%とな っていることか らも身体的効果があるといえる。

(

5

)活動頻度か らみた身体的効果についての考察 グラウン ド・ゴルフの実践 において、活動頻度が病院の受診回数及び身体バ ランスの保持 に影 響をあたえていることがわかったo まず、受診回数の平均が もっとも低 い状態 を示す活動頻度は、週2回の2.72回であったo また、 活動を開始 してか らの受診回数の増減 について も最 も少な く、通院の状況 について も 「変化がな い」が最 も多 く安定 していることがわかった。逆 に週

5

回になると受診回数平均が

3

回 と高 くな り、 通院の状況についても週2回群のよ りも 「通院が増えた」群の割合が増す ことが明 らかになったO また、片足立ちの保持時間か ら、身体バ ランス能力をみた場合、週1回か ら週4回 までは36秒 台で変化は見 られないが、週5回で37.5秒、週6回で39秒、週7回で39.5秒 と徐々に向上す ること が明 らか となったO これ らのことか らグラウン ド ・ゴル フの実践 において、身体的効果 を生み出す分岐点は週4回 ∼ 5回が最適であること。そ して安定 した生活状態を維持 ・向上させるための必要条件 といえる。 Ⅳ.おわ Uに 調査結果を総合 し、高齢者スポーツの一環 として普及 されてきたグラウン ド ・ゴル フの楽 しさ や魅力について身体的 ・精神的側面か ら規定する社会学的要因の分析 を活用 し、ある程度の有用 性を明 らかにする事ができた点において今回の調査は有効であった といえる。 ①介護保険の改正後 さ らに介護予防サー ビスに注 目が集 まって いるが多 くの事業における男性 参加率は2

弱である。 しか しなが らグラウン ド ・ゴル フの51.6%と半数強 を占めてお り男性の 高齢者をスポーツや他の事業参加へ向かわせる心理的動機づけ効果が高 いことが分かる。 この心 理的効果を介護予防事業へ活用することが今後の課題である。 ② グウン ド ・ゴル フの実践 にお いて 「楽 しさ」 に影響 をあたえて いる要因についての結果は、 「友人や グル- プで プレイや時間を共有す る」 という他者 との交流 をしめす社会的要因が最 も強 く 「楽 しさ」 に対 して影響をあたえていた ことが明 らか になったo また、高い楽 しさを得 るため の手段 としての本質 ・過程要因に関 して、競技スポーツのよ うな 「他人 と争 うこと」 「個 人の 目 標達成」な どに喜びを見出 しているのではな く、友人を誘ってグラウン ド ・ゴル フに出かけ時間 を共有する過程そのものに喜び を見出 してお り、グラウン ド ・ゴル フは最終の 目的ではな く、あ くまで 日常を楽 しむための レクリエー ション材であることも明 らか となった。 ③ グラウン ド・ゴル フ実践群 と非実践群 における片足立ち保持時間の平均値 を比較 してみた結 果、実践群のほうが非実践者 と比較 して平均で9.3秒長 く保てる ことが明 らか にな った。 また、 この格差は、62歳か ら65歳の3年間で広が り、その後は実践群が36.5秒、非実践群が26.9秒 ライ ンまで収束 し、その後は加齢 による低下の傾向は83歳 までみ られず平行線 をた どることも明 らか となったo ④ グラウン ド ・ゴル フ実践群の活動頻度 と片足立 ちの保持時間のとの相関において、週1回か ら週4回までは36秒台で大 きな変化はな く、活動頻度 と身体バ ランスの維持 にお いては優位 さは

-1

(11)

05-沖縄大学 人文学部紀要 第10号 2007 見 られなかった。 しか し、週

5

回を分岐点 に保持時間に優位 さがみ られ、週

5

回で

37

.

5

秒,週

6

回 で

39

秒、週

7

回で

39.

5

秒 と活動頻度 の増加 によって身体バ ランスの向上が見 られ ることが分かっ た。 このよ うにグラウン ド ・ゴル フは、高齢期特有 の特徴である移動 に伴 う身体バ ランスの維持 (日常生活動作の維持) に大 き く影響 を与えてお り、要介護 となる要因 としての転倒やひきこち り、寝たき り予防な どを個人 レベルの低下 を抑えるだけでな く、先の継続率や 目的のところで明 らかにされた 「友人等 を誘 う」 という活動意識の結果か ら、グループ及び地域全体の予防介護 と して期待が もてる。 また、 これか らの超高齢社会の財政負担軽減のためにも更なるステ ップ (高い楽 しさを得るた めの手段 としての本質 ・過程要因) としてグラウン ド ・ゴル フ以外での 日常生活の積極的な過 ご し方や介護予防のためのパ ワー リハ ビリな どの運動 と連動 を強いる ことを検討す る必要性があ る。 これまでの楽 しさの 「共有」か ら活動過程や効果 を重視 した 「共有」へのシフ ト・方法を検 討 していくことを今後 の課題 としたい。 付 記 アンケー ト調査 にご協力下さったグラウン ド ・ゴル フ大会参加者 ・沖縄県 グラウン ド・ゴルフ 協会役員、学生諸君に感謝致 します。 また、 この調査は

2005

年か らの継続研究である 「高齢者の生活安定度」評価 と健康維持 に関 す る研究の一環 として 日本体育学会愛媛県支部の研究助成を得て実施 したo 引用 ・参考文献 津 島 順子 「グラウン ド ・ゴル フ愛好者の生活機能 と転倒 に関する実態調査」福山市立女子短 期大学紀要第

30

200

4

高齢者の 「生活安定度」評価 と健康維持 に関する研究 一日韓高齢者片足立 ちと健康年齢の比較調 査分析 一愛媛女子短期大学紀要

2002

ウオーキ ング大会参加者の 「楽 しさ」 を規定する社会学的要因 指宿菜の一花ツーデイマーチ参 加者について一 日本体育学会第

53

回大会発表論文集

2002

川 口 活 人 他 「生活機能質問票 によるヘルスアセスメ ン トの試み」公衆衛生雑誌

vol

1

8,

no3

2002

今井 毅 「余暇生活の楽 しみ方

ベースボールマガジン社

1

996

財団法人 余暇開発セ ンター 「レジャー 白書

'2005

」2005

経済企画庁国民生活局 「生涯 レジャー」大蔵省印刷局 「レジャー享受能力か らみた生活領域の満足度

」1

999

大達雄 他 「生涯スポーツの観点か らみた高齢者スポー ツの現状 と課題」∼グラウン ド・ゴル フ 愛好者の分析か ら∼ 日本体育学会第

53

回大会発表論文集

2002

(12)

-106-The Potential of Senior Citizen Sports

-Sociological Factors and Effect to Provide for "Enjoyment" of Ground

Golf-Shinichi MIYAMOTO

Abstract

Senior citizen sports are sometimes assumed that there are many negative elements. This study examines through the analysis of sociological factors (outside qualitative, result, social, essential, and process factors) that pays attention to charm "Enjoyment" of the ground golf which is widely accepted in sports of the aged period.

Italso examines the correlation analysis between one foot standing time and the activity realities in detail about the physical and psychological effectiveness.

Based on these results, understanding and making a systematic arrangement of individual and the distinctiveness of stricture of senior citizen sports were done, and effectiveness of the physical and psychological supports is considered to development and the spread of senior citizen sports.

Keywonds: semior citizen sports, ground golf, balancing on one leg with eyes open

参照

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