サイパン島周辺における鰹釣の活餌料の研究
著者
田ノ上 豊隆, 岩切 成郎
雑誌名
鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of
Fisheries Kagoshima University
巻
19
ページ
1-6
別言語のタイトル
Studies on the Bonito Angling Live-Baits in
the Water around Saipan Island
Mem,Fac・Fish.,KagoshimaUniv、 Vol,19,pp、1∼6(1970)
サイパン島周辺における鰹釣の活餌料の研究
田 ノ 上 豊 隆 * ・ 岩 切 成 郎 * *StudiesontheBonitoAnglingLive-BaitsintheWater
aroundSaipanlsland、
ToyotakaTANouE*andShiger51wAKIRI** Abstract Inordertofindthebonitoanglinglive-baits,ecologicalinvestigationsontheiishes caughtbyiishingnetsintheseaaroundSaipanIslandwerecarriedoutfromAugust21to Sept、2,1968.Theresultsobtainedareasfollows: 1)Theiishescaughtbypoundnet,beachseine,castnetandstickhelddipnetwere classinedinto24species,Amongthesefishes,itisthoughtthatC”α"x版ejα"Qpyg“and T〃・姉αノ刀αα・”omaarefittedforbonitoanglinglivebaits、 2)C”α"x碗eja7”Jノg",sisabletoluredbythefishlump,anditispossibletocatchby thestickhelddipnet・ ItwasconfirmedthatCarα"X〃e/αノ”Jノg"Jcouldberearedinthebamboocontainer withintherangeof29−33・Cwatertemperature. 熱帯海域における鯉釣漁業の発展対策として,最近擬餌料の‘使用,片口鯛以外の餌料魚の活用お よび漁場に近い南洋群島で餌料を補給すること等が考究されている.南洋群島のマリアナ諸島やカロリン諸島等においては,大正年間の末期に島民によって貝殻製擬
餌針による曳縄釣漁法が行なわれており,昭和初期には沖縄県人によって,鰹釣漁法が試承られた.
昭和5年に南興水産企業組.合が設立されてから鰹釣の餌料は専ら追込網や小型敷網等によって漁獲
されるようになった.しかしながら,山本(1938)')によると当時の餌料魚は沖縄名による記録があ
るだけで,魚種名や魚群量等については明らかにされていない.現在では小型モーターボートによ る曳縄釣漁法が小規模に営まれているにすぎず,餌料魚については殆んど資料はない.筆者等は1968年8月,サイパン市長SABLAN氏の招きを受けて,、サイパン島沿海の鯉の活餌料
についての調査と漁獲試験を実施したので,それらの結果について報告する. 方 法サイパン島は北側から東岸一帯は断崖が多く,漁業は行なわれていない.西‘側はFig.1に示す
通り,Reefが突き出て南北に長く延び,その内側では深いところで10m位に達するが,全般的
に浅い.網凧(道網は岸仙側,沖側共にそれぞれ100m位,魚溜り場は直径3m位の円形,道網お
本報告の大要は昭和44年4月3日,日本水産学会年会で発表した. 蕊鹿児島大学水産学部漁具漁法学研究室(LaboratoryofFishingGearandTechnology,Facultyof Fisheries,KagoshimaUniversity) 聯*鹿児島大学水産学部漁業経済学研究室(LaboratoryofFisheryEconomics,FacultyofFisheries, KagoshimaUniversity)Agi 鹿児島大学水産学部紀要第19巻(1970) 15.−51 エ450−4 Fig.1.Mapshowingthefishinggroundsofpoundnet(*) andstickhelddipnet(●). 01 451 50 151 101 2
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Fig.2.Netstripplanofthestickhelddip−net.1
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田ノ上・岩切:サイパン島周辺における鯉釣の活餌料の研究56617
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よび身網は木杭を建てて金網を張ってある),地引網(浮子方打廻し60m,網丈3m,目合16節,いせ3割,袋網を欠く)および投網はReef内の浅い場所で操業されている.これらの網漁具の漁
獲物調査と小型棒受網の漁獲試験は1968年8月21日から9月2日までの間に実施された. 小型棒受網の構造はFig.2とTablelに示す通りのものを作製し,現地のモーターボートに 張出棒(長さ6m)を取り付けて網船とし,集魚灯の電源には6Vのバッテリーを用いて,水上1 mの高さで40Wの白色電球を点灯するように装置した. Table1.Specificationofthenetfablicstothestick-helddipnet.諜蝋Jα…言
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3 50 60 20 15 15 結 果 と 考 察 棒受網は築港近くの水深5mのところで数回にわたって操業した.薄暮集魚灯点灯後,間もなく アジ類が集まり旋回遊泳をはじめた.集魚開始後40分に第1回の操業を行なったが,集った魚群は 網を入れても驚く様子はなく,旋回遊泳していた.網が広がった後,集魚灯を移動して魚群を網中 に誘導した.魚群は容易に網の中にはいり旋回遊泳しており,網の外側にも魚群が集っているのが 見られた.揚網を開始すると魚群は急に沈下し,横や浮子方から逃げようとする魚は1尾も認めら れなかった.1回の操業で30kg程度を漁獲できた.漁獲物は大多数がcarα"xmeノa7wg"s(C・ etV.)であり,其の他数種の魚類が少数ずつ混獲された. 投網では築港近くの入江の水深2m位の場所で現地でファーザウと称するシマヒシコ,Thrjssa mac叩oma(KIsHINouE)が漁獲された.この魚種は濃密な群をなして静かな入江や湾内に集る習 性を持っているようである. 網臥,地引網,投網および棒受網で漁獲された魚種はTable2に示す通りである. これらの魚種の内でどの種類が活餌料として適しているかは簡単に決め難いが,T〃r伽amacro‐ pomα’はFig.3に示す通り,形態が日本産の片口鯛に似ており,聞き取り調査によるとテニアン島や其の他の島の周辺にも群棲していて,量的にも多いようである.8月30日に投網で漁獲された
Thrjssamacropomaの体長組成はFig.4に示す通り,日本の鰹船で使用している片口鯛に較べて やや大きかった.しかし,時期的な制約は受けても適当な体長群の漁獲は可能と思われるので,生 態調査結果の如何によっては活餌料として有望視される魚種である. 次に棒受網の漁獲の主体となったメアジ,Carα"xmekz77Wg"s(C・etV.)は現地で一般にヒラ アジと呼ばれており,Fig.5に示す通り,体高が高く,躯幹は篇平である.体長組成はFig.6に 示す通り8∼12cmでT〃r伽amacrQpomaよりやや大きかった.かって沖縄の鰹漁船に乗船して いた現地のDEvIT氏によると,この魚種は鰹釣の餌料として使用されていたとのことである.山本(1938),')南洋庁水産試験場事業報告(1936)2)等のサイパン島における鰹餌料調査記録の中にも
Fig.3.T肺加amacノ.o"o"7α、 鹿児貼大学水産学部紀要第19巻(1970) 4 Table2.Fishescaughtbypoundnet(P),castnet(C)』beachseine(B),and stickhelddipnet(S),inthecoastalwatersofSaipanlsland. S、B・P・ Poundnet,S, Poundnet,B・ 〃 パノ ノノ ノγ 〃 〃 SticlKheldDipnet 〃 必ノ バノ Z/ Poundllet 〃 〃 ノソ ノゾ 〃 /γ 〃 〃 ⑥ L "
§蕊蕊鎚聖媛蕊翠驚議露蕊蕊溌蕊勇垂子亭蕊寧
Fork-1ength(c、) Fig.4.Histogramshowingthefork-length compositionoftheiish,Tル7.”α加α− α・opo"7acaughtbythecastnet. Specles Rangeo[ fork-length (c、) KmdofFishing−nets 7 8 9 1 0355
1115899715789057402
111211111
一一一一一一一一一一一一一一一一一一
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879033597678936588362278
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Scientiiicname Standardjap・name罰
C”α"X耐e/α/7ゅjノg"S(C・etV.) TraC伽ノ・”S/Oハ'“(JENYNS) M""o蛾c〃Z〃Jノ3sα"7“”s〔GuN.) M""o域c〃〃J'saw"βαノ7”a(FoRsKAL) pαノ・"”e"e“6αノ.b〃/"“(LAcEPEDE〕 L"〃α”Svaigie"血(Q・etG.) Gerr“の'e"a(FoRsKAL) p7iacα"j/i“cノ・"e"rar“(LAcEPEDE) Cymo血r“〃ノ・aaexrar“(Q,etG.〕 "cルα"7iα/"carα〔CANToR) My"ノ・加応ノ77"m(/α〃(FoRsKAL) PO4ノJααJノj““X/“ααZ"8(C、etV.) Sノフノbノノ.αe"α6αノ・ノ.αc“a(WALBAuM) Lαルノ./α"βノze/刀α/αCa"r伽,S(BLEEKER) ACα"/力""“〃/“reg",y(LINNE) Zα"cj“COノ・"Z"“(LINNE〕 CaeSiOcaeノ・"jeノ".e"8(LACEPEDE) jVmo雌"rα"s(B・&S、) Ca"”gasreノ‘,SOIα"drノ(RIcHARDsoN) Cルノ。Oノ77jSCaeノWje“(C・etV.) He"7"・〃αノ7砂〃"sノ刀αノ.g伽“"』(FoRsKAL) SJノ"g"αZA“αノ・gW“"α“(KAuP) Tノi(”α〃7αcノ罰叩o/77a(KIsHINouE) Cノ.e"i"7"g〃cノ.e""α姉(FoRsKAL) シイワ
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ヒジジロリョオ
ジカメィイランサシキグヨシーラ
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メキメジエギキマキッコマエギシロテクズウンシイ
ガジッヒスフサトヤヒマメカフハダムコマスョテヒラ
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,門同。ご制伊HごpH n=50 ′/ CE1stnet 〃Fig.5.Caノ。αノ1xノ77eJaノ77脚ノg“. 5 ヒラアジ(沖縄名)が記栽されている点からみて,餌料として活用できる可能性はあるように思わ れる. 今回漁獲したcarα"x〃7e/αノ7'pJノg"sは幼魚期のもので,Reef内に群泳している量も多いが,Reef 外の方が遥かに多く,漁法については更に検討を加える必要がある.また,季節的にどの程度の体 長群が来遊するのか明らかでないが,山本は8∼'0月頃に小型魚が多いことを報告している. 其の他の魚種は漁獲職が極めて少なく,餌料としての適否を検討できるような資料は得られなか った. 棒受網で漁獲した約500尾のC”α"x〃zejα"Opyg"sを竹枠に網を張った生管(1辺が1.8mの 立方体)内に入れて,遊泳状態や弊死魚の有無等を観察して蓄養の可能性を検討した. この実験は台風接近の為,4日目の朝で中止したが,生賛内の水温(1m居)を転倒温度計を用 n=74 Aug宗25 30 ■ ■ 一
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︵。⑦︶・口白①砦1脚①や可垂 7 1 2 l 7 7 ユ 2 l 7 7 1 2 l 7 mme Fig、7.Fluctuationofthewater-temperatureinthebamboocontainor. / 28 毎鹿児島大学水産学部紀要第19巻(1970)