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IRUCAA@TDC : X線VTRによる低位舌を有する成人不正咬合者の嚥下時の舌運動に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)Title. X線VTRによる低位舌を有する成人不正咬合者の嚥下 時の舌運動に関する研究. Author(s). 斉藤, 千秋; 野島, 邦彦. Journal. 歯科学報, 99(1): 33-55. URL. http://hdl.handle.net/10130/2044. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) 33. 原    著Ⅹ線V T Rによる低位舌を有する成人不正唆合者の 嘆下時の舌運動に関する研究 斉 藤 千 秋  野 嶋 邦 彦 東京歯科大学大学院歯学研究科歯科矯正学講座 (指導:一色泰成教授) 年10月29日受付) 年11月25日受理) 抄 録:本研究は,成人不正唆合者を低位舌を有する者とこれを認めない者に分楽し,唖下時の舌 運動機能について, Ⅹ線VTR撮影側面画像より定室的解析を行い比較検討した。 その結果,低位舌群では, 1)前嘆下時期はバリウムを舌背前方部に保持し,舌尖の移動距離は 対照群の半分であった。 2)嘆下時の舌運動は,対照群の圧接型に対して波動型が多くみられ,下 顎切歯を押す動作を認めた。 3)舌背が口蓋に接する曲面の重大曲線距離は,平均   で対照 群の約半分であった。 4)上部舌断面積は,舌口蓋接触期が鼻大値の平均    であり,対照 群の約半分であった. 5)総顧下経過時間は対照群の平均3. 2秒に対して平均4. 3秒であり,延長が みられた0 6)本システムにより嘆下時の舌運動を定量的に評価できた。 以上より,舌の低位状態は嘆下においても確認され,これが骨格性反対唆合と関連して顎顔面形 態に影響を及ぼす可能性が示された。 キーワード:低位舌,舌運動,嘆下, Ⅹ線VTR. 緒     責. 顎顔面の成長発育過程における口腔諸器官の機 能異常は,形態形成に少なからず影響を与えるも のと考えられている。とくに舌は,唄噴,嘆下, 発音などの機能的役割に大きく関与し,その強 さ,強度,方向,範囲と関連しあって顎骨,歯列 の成長発育や唆合の保全に重要であり,その影響 は大きいものと考える1)。. を伴う前歯部不正唆合患者では, 構音運動時や嘆下時における舌の運動は,不塊別 で複雑であると報害しているo この複雑に変化する嘆下機能時の舌の状態を客 観的に診査,診断することは,従来の頭部Ⅹ線塊 格写真や歯列模型などの形態分析による方法では 困難である。そこで   年に     ら4)が. 榎ら2)は,舌の形態異常として無舌症,大吉. Ⅹ線写真による嘆下時の舌運動について報害し, それ以来多くの動的画像による診断のための研究. 症,小舌症,先天性舌小帯過短症,舌破裂を挙 げ,機能的異常として舌沈降,位置異常,弄 舌癖,異常噛下癖に分類している。このうち舌の. が行われている   年に西村5)は正常嘆下時の 舌運動について定量的に検討を行い,詳細な報吾 をしている。また,不正唆合と嘆下時の舌の運動. 機能異常は多くの不正唆合者にみられ,尾関3)は. 様式との関連性については開唆症例を滝本ら6), 唇顎口蓋裂症例を谷本7),反対唆合症例を石 川8),柄9)が報害している.柄9)は,嘆下時の舌尖 の位置について正常唆合者に比較して反対唆合者. 別刷請求先: 〒    千葉市美浜区裏砂 東貢歯科大学歯科矯正学講座 斉藤千秋 -33.

(3) 斉藤,他:低位舌を有する不正唆合者の顧下時の舌運動. 34. では低位で,その運動範囲は大きいと報害してい る。しかし,これは主に舌尖部の運動様式につい. 態異常や機能異常を認めない。 2)顔貌の形態に 異常が認められず,かっ正貌において非対称が認. て検討したものであり,舌全体の嘆下運動として 捉えているとは言い葉い。また,低位舌そのもの. められない。これらの要件を満たす10名(男性8 名,女性2名,平均年献  歳)を対照群とし. の位置関係や,機能時における異常な運動につい ての報吾はみられない。. た。また,両群とも, 1)第三大臼歯以外に喪失 歯がなく,インレーより広範な補綴処置を施され. そこで,本研究では低位舌を有する成人不正唆 合者の嘆下時における舌の運動様式を,正中矢状. ていない者, 2)臨床的に大吉症,舌強直症,舌 下神経麻庫のみられない者, 3)知能,聴力,構 音機能などが正常な者とした。. 断方向からⅩ線VTRを用いて撮影し,これにつ いて定室的に運動解析を行うことにより,舌運動 の顎顔面-の影響を解明することを目的とした。 被験者および研究方法. 2.撮影装置および振影方法 撮影装置は支持装着であるCアームの両噺こⅩ 線発生装置と受像装置が取り付けられた本学放射 線科所有の頭頚部用CアームⅩ線TV撮影装置 (東芝メディカル社製)を使用した。被験者を付属. 1.被験者 被験者は唆合および顎関係の異常を主訴として 東京歯科大学千葉病院矯正歯科に来院した永久歯 列不正唆合患者のうち, 1)口腔診査にて開口し た際に,舌尖が下顎前歯舌面で歯頚部粘膜面と接 する位置で安定する. 2)側面頭部Ⅹ線規格写貢 から舌背の形態が平坦で,沈下状態をとってい るO以上の要件を満たす者10名(男性2名,女性 8名,平均年麻  歳)を低位舌と診断し,これ を低位舌薪とした(表1)。また,対照としては同 様に当科に来院した全身的に健常な成人患者のう ち, 1)アングル分幾I級の唆合関係で,水平被 蓋,垂直被蓋が正常範囲であり,顕著な顎顔面形. の歯科用治療椅子に座らせ,セファロスタット 社製    を用いてフランクフル ト平面を可及的に水平にして,また,嘆下時に生 理的な運動ができる程度に頭部を固定した(図 1)O なお,計測時にキャリブレーションを行う ために左側外耳孔前方都皮膚上に1 cmの長さに 切った鉛リボンをセロハンテープを用いて貼付し た。 撮影条件は管電圧が      管電流が0. 4 の範囲で,自動的に最適条件が設定さ れる0線影準備として被験者に嘩下運動時の舌の 位置を明確にするためにマーカーを後述する計測. 表1低位舌群における被験者リスト 年齢. SN A. S N t0 M P. 6. 0. 20.9. 84. 0. 91.0. l 7.0. 24.0. 】7.0. 19.4. 77.5. 83.0. l 5.5. 36.0. 一 一 4.0. 22.0. 79`5. 83.0. 3.5. 37.0. 5.0. 16.4. 8 1.5. 83.0. l 1.5. 40.0. 3.0. ll.0. 8 1.0. 82.0. - 上0. 30.0. 4.0. 21.7. 80.0. 79.5. 0.5. 28.0. 3.0. lo.6. 8 1.0. 77.0. 4.0. 29.0. 1.0. 13.0. 88.5. 83.5. 5.0. 39.0. 5.0. 32.1. 78.5. 7工 0. 7. 5. 43.0. 5.0. over Jet. over bite. 一          . I.   一. 0. 24.0. n U. 7.5. 一. 92.0. 一. 0. 0. l   1   4   6   1   1   9   5. A N B. 84. 5. 1. SN B. 3 1.2. 0. 1 2 3 4 5 6 -8 9 1. I. (mm).

(4) 歯科学報. 35. 3.分析方法 記録した画像は,ビデオ画像処理装置 および画像処理ソフト ウェア         を使用してコンピュー ターに取り込んで,これを画面上に表示させた。 そして,解剖学的諸構造物が明鹿に認識できるよ うに画像処理を行い,濃淡および鮮鋭性を調整し. 図1被験者の設定および撮影装置. 点(舌尖点,舌背点の計2ヶ所)に瞬間接着剤(外 科用アロンアルファ)で貼付した(図2)。これは 接着面にメッシュを有するダイレクトボンディン グ用ボタンの突起部分に半田付けを行って置径 上下径   の小半球状にしたものであ るOそして,空嘆下を数回繰り返し行わせて,自 然な嘩下が行えることを確認し,プラスティック 製の小カップにバリウム(バリトゲンHD,伏見 製薬製)を計量スプーンを用いて5ml入れ,冒 腔話構造物を明瞭に観察するために,撮影前に被 験者自身にこれを1回嘆下させたoその後, Ⅹ線 管球に対して右側から,正中矢状断方向の嘆下に おける舌の運動を撮影した。そして,撮影によっ て得られた画像は-イエイトビデオテープレコー ダ             社製)にて記録し た。. た。これを以下の蓋準に従って,嘆下過程を10期 に分歎して,各画像を透明なセロ-ン紙にトレー スした。 1 )嘆下過程の時期分業貢 撮影後,録画された嘆下時の舌運動における動 態変化を数回再生して充分な観察を行った。その 結果,いずれの被験者においてもみられ,かっ明 瞭な変化が認められた舌と口腔諸器官との位置関 係を選択したOそして,これを基準に用いた時間 的な経過によって,嘩下過程を表2に示すように 10期に分類を行ったO 瑚. 舌および口腔諸器官が静止した安静な状態で, 舌の安静位の時期を示す。 期 嘆下物を口腔内に流入するため開口すると,舌 は安静な時期の位置から変化するが,この開口の 時期を示す。 (31 3期 嘆下物の口腔内-の流入によって舌の位置が変 化し,流入が終了して舌の移動の変化が最大にな り静止した状態で,嘆下の準備の時期を示す。 表2 嘆下過程の時期分業貢. 前嘆下時期. ヽ1. 日. 目ロユ大作-. I木腔. 第泊. )               ヽ ︼ ノ. 日日    冒 冒 まつ RH 未つ. ㌦ ∴. ▲千  ⊥▼ ▲    ︰     ▲■⊥▼ ▲■-⊥▼. 0. 35 -. 1 2 3 4 5 6 - 8 9 1. 図2 舌のマーカー貼付図. 斯期斯親期斯期新報期. 舌安静位期 開口親 嘆下準備期 閉口報 舌口蓋前方部接触親 舌口蓋接触期 舌骨挙上直前斯 喉頭蓋反転直前斯 喉頭蓋復位斯 嘩下後舌安静位期.

(5) 斉藤,他:低位舌を有する不正唆倉者の嘆下時の舌運動. 36. 明. 輝下物の口腔内への流入は終了して,舌は静止 し,口唇が閉鎖する閉口の時期を示すO (5) 5m 最初に舌の前方部が口蓋に接触して,嘆下物が 舌背上を咽頭部へ向かい始める時期を示す。 期 舌背のほとんど全域が口蓋に接触して,舌背上 の嘆下物が咽頭部に位置する状態であり,舌と口 蓋の接触が最大の時期を示す。 親. 嘆下物が咽頭郭まで達し,舌根部の挙上に伴っ て舌骨は前方-移動し,その後に挙上を認める が,この産前の時期を示す0 期 嘆下物が咽頭腔まで達してから舌根部および舌 骨は挙上し,噛FI物が喉頭蓋谷に貯留した後喉頭 蓋が反転する由前の時期を示す。 (91 9期 喉頭蓋が反転して,嘆下物は咽頭部から食道 に移行し,喉頭蓋が反転して復位する時期を示す0 期 嘩トが終了して舌および口腔諸器官が静止した 状態で,安静な位置となる時期を示す。 2)計測点と基準線 嘩下過程における各時期について,舌の外形線 を含む解剖学的諸構造物のトレースを行い,図3 に示すように計測点と計測線を設定した。 (1)舌尖点 開口して舌を前方に突出させた際に,舌の最先 端の部分にマーカーを貼付した点を示す。. (2)舌背点. Ll :下顎中切歯 A:舌尖点 B:舌背点 01:下顎唆合線 ml: 下顎下縁線 図3 計測点および基準線. 後縁への接線と下顎下縁平面とが交わる点の角の 二等分線が,下顎骨縁と交わる下顎角部を表す点 を示す。 (5) Me(Menton) 正中矢状断面上における,下顎骨体結合部の鼻 下方点を示す。 (6)下顎下縁線 GoとMeを通る直線を示す。 (7)下顎唆金線 下顎第-大臼歯近心頑側唆頭預と下顎中切歯切 端を通る直線を示す。 3)計測項目および計測方法 (1)舌尖点および舌背点の位置移動方向に関す る分析 舌尖点と舌背点の位置移動方向を解析するた. 開口して舌を安静にさせて静止した状態におい て,左右の下顎第一大臼歯舌面溝を結んだ舌背の 直線上で,その中央部分にマーカーを貼付した点 を示す。 (3) Ll(Lowerl). め,図4のように下顎下縁線とLlを通り下顎 下縁線に直行する線によって上下,前後の四角の 二等分線で360度を45度ずっの八方向に分割し, 位置移動方向を評価した。 また,対照群と低位舌群の嘆下過程の1期から 10期における舌尖点および舌背点の散布を. 下顎の中切歯の切塊を示す。 (4) Go(Gonion). 下顎枝後縁と側頭骨下縁との交点から,下顎枝 - 36. 信顧楕円を用いて表し,各時期の平均値点の移動 軌跡やばらつきの相違について比較した。.

(6) 歯科学報. 37. 舌 Oo (MandibuLar hne). Ut :上部舌断面積 01:下顎唆舎線 図6 上部舌断面積の計測方法. 90`. 図4 舌尖点および舌背点の位置移動方向. これらの計測項目のうち,各点の位置移動軌跡 はNEC社製        システムを使用し てグラフテック社製デジタイザー    にて入. (2)舌尖点および舌背点の位置移動量と舌の嘆 下過程に伴う変化に関する分析 以下の5項目について計測した。 ① 舌尖点と舌背点の各時期区間の移動距離 ② 1期から各時期までの累積移動距離 ③ 舌背が硬口蓋部粘膜に接する曲面の曲線距 離(図5) ④ 上部舌断面積(図6) ⑤ 1其掴、ら10期までの各嘆下過程の経過時間 経過時間は, Ⅹ線VTRの録画の際に画面表示 されるタイムレコードの記録を用いて,各時期区 間についてそれぞれ秒に換算する。. 力し,ローランド社製プロッター    にて 措写した。また,距離計測および面積計測は多目 的画像処理装置 を使用した。以上の研究方法のブロック ダイヤグラムを図7に示す。また,舌尖点および 舌背点の位 移動量と舌の嘆下過程に伴う変化に ついて,嘆下過程の時期ごとに平均値と標準偏差 を求めた。そして,対照群と低位舌群の計測結果 における差の検定は        のU検定 を行った。 結     果 1.舌尖点および舌背点の位置移動方向に関する 分析 1 )舌尖点および舌背点の位置移動方向について 舌尖点および舌背点の位置移動方向について, 各時期の区間における結果を対照群は図8,低位 舌群は図9に表した。各図には位置移動軌跡をそ れぞれ,舌尖点を右側に,舌背点を左側に示し,. L :曲線距離 図5 硬口蓋部粘膜と舌背における接触面の曲線 距離の計測方法. 各被験者の各時期分類における位置移動方向を表 3に矢印にて示した。そして,嘆下過程における 舌運動の概要のシェ-マを描記したものを対照群 は図10に,低位舌群は図11に示した。 - 37 一.

(7) 斉藤,他:低位舌を有する禾正唆倉者の嘆下時の舌運動. 38. (1)舌尖点の位置移動 対照群では安静時から開口する2期の舌尖点は. 下方に対し,低位舌群では下降は4例,後上方は 3例,前下方は2例でありばらっきが多かった。. 後下方に移動するが,低位舌群はばらっきは大き いが上方に移動した。開口してバリウムをすべて 口腔に流入し終わる3期では,対照群がすべて後. その後,閉口する4期では対照群の舌尖点は前上 方に移動するが,低位舌群は半数が下降した。そ して,口蓋に舌の前方部が付着する5期では,対. f. 照群も低位舌群も過半数が前上方に移動した。次 に,舌背のほとんど全域が口蓋に接触する6期の 録 記. 舌尖点は,対照群では下方に移動したが,低位舌 群では後上方に移動した。これより,バリウムは 咽頭部に流入するが,その直前に舌骨は上方する. l. ] 理 処 像 画. 前に-嬬前進するo この7期の舌尖点は対照群で は上方に移動したが,低位舌群では下方に移動し た。続いて,喉頭蓋谷にバリウムが貯留して喉頭 蓋が反転する直前の8期の舌尖点は,対照群では 前下方へ移動したが,低位舌群は下降するが半数. 析 解. 「             -. は後方に移動した。その後,喉頭蓋が反転し, 9 期の舌尖点は,対照群では後上方に移動し,低位 舌群では下方に移動した。唖下が終子して舌背中 央部が下降し,安静な状態に達する10期の舌尖点 は,対照群では上方に3例が移動したが,低位舌 群は9例が後方に移動した。 (2)舌背点の位置移動 安静時から開口する2期では,対照群の舌背点 は半数が後方に移動するが,低位舌群は半数が上. 図7 研究方法のブロックダイヤグラム. 三二一 Case 5     Case 7     Case 8     Case g Case 10. 「: ㍗-∵三. Case 1 Case 2     Case 3     Case 4     Case 5 図8 対照群の舌尖点と舌背点の軌跡 -38-.

(8) 歯科学報. 39. 表3 経時的な各被験者の舌尖点および舌背点の位置変化 舌背点 \噛下時期区間 舌尖点 被験者\ l l 2 2 - 3 3 - 4 4 - 5 5 - 6 6 I 7 7l 8 8- 9 9 l l 0 1 - 2 2 - 3 3 - 4 4 . 5 5 - 6 6 - 7 7 - 8 8 - 9 g I l O て ∠ 〉 き ( ∴ ∴ ㍉ ㍉ ㍉ ∵ ㍉ ∴ + l Z 〆 \ ノ \ \ ゝ \ \lji ゝ \ 了 十 一 \ 、 「 3 宴 =ラ ラ ま H H { ∵ ∴ ∵ ㍉ ㍉ ∴ ∴ ∴ ∵ 4 対照群 5 F J { ノ 、 ′ \ F 〆 6 ∴ 了 、 \ √ 「 7 \ ゝ ノ \ \ ゝ \ ゝ 8 ∴ ∴ ∵ ∵ ∴ ∴ ∵ ㍉ ∴ ゝ JE/ ノ \ 〆 \ ノ F ゝ 9 ∴ \ ∴ ∵ \ \ \ゝ \ ゝ 10 \ ゝ 7l 〆 ゝ \ 7l \ ゝ 子 \ \ 「 ゝ 了 ゝ \ 了 1 P 〆 jl ゝ \ 〆 \ T i /矛 F . /J F . グ \ ち 羊 \ / 矛 /斉 下 \ 〆 2 二 ∴ ∴ + ∴ ∵ ∵ ∵ ∵ 一 ∴ 「 了 ∴ 「 \ 3 4 \ヰ 4/ ノ \ 71 ゝ /斉 〆 ∴ \ \ √ 「 ゝ 了 ゝ ∴ ∴ ∴ ㍉ ∵ ㍉ ㍉ ∵ ∴ 低政吉群 5 ゝ \ 、 「 \ ∵ 「 ∴ \ 6 「 了 \ 「 ∴ 子 ゝ ゝ \ き き き i テ 責 立 ま す 7 8 \ \、 子. 子. 了 \Å \ \ ゝ 9 \ \i 「 了 \ ノ ∴ ぐ了 √ \ ∠ \ /メ /耳 \t> ゝ ゝ \ Vl\ \ 也 受/ ∼ / 矛 羊\ \ \ ヰ 下\ 10 点 前下; ∼,下勘\ ,下後;メ,後下:〆,後士 -,上後; 午 ,上勘 P ,前上:メ. に流入する直前に舌骨が前進する7期の舌背点. 方に移動した。開口してバリウムをすべて口腔に 流入し終わる3期では,対照群の舌背点は後下方. は,対照群では後上方に移動したが,低位舌群は 上昇した。続いて,バリウムが喉頭蓋谷に貯留し. に移動したが,対照群は6例が前方に移動した。 その後,閉口する4期では,対照群も低位舌群も. て喉頭蓋が反転する直前の8期の舌背点は,対照 群では前下方へ移動したが,低位舌群は前進した。 そして,喉頭蓋が反転した後に復位する9期の舌. 舌背点は前上方または上前方に移動した。そし て,舌の前方部が口蓋に接触する5期の舌背点 は,対照群では上昇したが,低位舌群はばらつき が大きいが後退した。舌背のほとんど全域が口蓋 に接触する6期の舌背点は,対照群も低位舌群も 後上方に移動した。これより,バリウムは咽頭部. 背点は,対照群では後上方に移動し,低位舌群は 前上方に移動した。顧下が終了して舌背中央部が 下降し,安静な状態に達する10期の舌背点は,対照 群では前進したが,低位舌群は下後方に移動した。. 二二= : =. case 7     Case 8     Case g Case 10. Case. 1. ∴二  ニ_. Case 2. 図9 低位舌群の舌尖点と舌背点の軌跡 -39-.

(9) 40. 斉藤,他:低位舌を有する不正唆合者の嘆下時の舌運動. 図10 対照群における舌尖点と舌背点の90%伝藤橋rT]. 図11低位舌群における舌尖点と舌背点の90%信頼楕円. 2)舌尖点と舌背点の散布について. て,対照群の90%信顧楕円は, 2期と3期以外は. 嘩下の1期から10期までの過程において,各被. 縦長であり高さにばらつきがみられたが,低位舌 群は横長であり前後的なばらつきを認めた。. 験者の舌尖点と舌背点の分布の状態を  信頼 楕円を用いて対照群を図10に,また低位舌群を図 11に示した。. 2 ,舌尖点および舌背点の位置移動量と舌の嘆下 過程に伴う変化について. 対照群は舌尖点,舌背点ともに3期に後下方へ 移動したが,低位舌群は後下方への移動をほとん. 1 )各嘆下過程における位置移動距離 舌尖点および舌背点の嘆下過程について,各時 期の区間における平均移動距離の計測結果を表4 に示した。. ど認めなかった。また,低位舌群は対照群に比較 して噛下の全過程において低位であった。そし. 表4 舌尖点および舌背点の各時期区間における移動距離. 舌尖点. 唖下時新. 対 照 群. 低 位 舌 君羊. 対 照 君羊. 区   間. S ig ∴ 平 均. 1期∼2期 2期∼3期 3期∼4期 4期∼5期 5劾∼6期 6期∼7期 7期∼8期 8期∼9期 9期∼10期. 標 準 偏 差. 平 均. 痩 準 偏 差. 平 均. 標 準 偏 差. 平 均. 標 準 偏 差. 7.7. 4.6. 6. 3. 4.2. 6`8. 3. 7. 6.9. 4.9. 15.3. 7.0. 7. 5. 3.2. **. 12.9. 9. 4. 9. 2. 4.2. 18.2. 9.5. 6. 0. 3.0. **. 15.0. 9. 7. 6. 5. 3.3. 7.5. 3.4. 4.0. 2.9. *. 7.1. 2.6. 4.8. 1.9. 4. 1. 1.6. 4.2. 2.3. 6.9. 2.3. 7.5. 5. 4. 4. 4. 2.4. 2.5. 1. 9. 6.1. 3.8. 4.5. 3. 0. 4. 9. 2 .2. 2.8. 2.7. 5. 6. 4.4. 4.7. 3. 1. 4.2. 1. 8. 2.9. 2.1. 5. 8. 3.5. 5.7. 5. 1. 4. 1. 2. 1. 4.3. 3.3. 5.2. 3.2. 7.9. 5.4. *. (単位 出       ♯: Pく -40一.

(10) 41. 歯科学事. (1)舌尖点の移動距離 対照群はバリウムを口腔に流入し終わる2期か. 低位舌群は平均   であり有意     に 小さかった。 6期から9期までは対照群に比べて. ら3期の平均    と,それから閉口する3期 から4期の平均    の移動距離が鼻も大き かった0 -万,低位舌群は開口する1期から2期. 低位舌群の移動距離が小さかったが,有意差を認 めなかった。 9期から10期の対照群は平均5.2 mmで,低位舌群は平均   であり,低位舌. の平均    バリウムを口腔に流入し終わる 2期から3親の平均    閉口する3期から. 群が大きい傾向を示し,また両群とも舌尖点より 大きい傾向であった。 1期および4期から10期までは約6mmで,舌. 4期の平均   の移動距離が大きかった。こ の前嘆下時期では,低位舌群は対照群のおよそ 1/2の移動距離で有意     に小さかった。. 尖点の移動距離より大きい傾向がみられた。一 方,低位舌群における舌背点の移動距離は2期か ら3期が最も大きく約9mmであったが, 1期お よび3期から10期では4mmから8mmの移動距. 口蓋に舌の前方部が接触する4期から5期の対照 群は平均   で,低位舌群は平均   で有 意     に小さかった。低位舌群では, 6期 から9期までの移動は極めて小さかった。そし. 離であり,舌尖点より大きく移動する傾向がみら れた。 2) 1期から各時期までの累積移動距離. て, 7期から8期の対照群は平均   であっ たが,低位舌群は平均   であり有意(P<. 舌尖点および舌背点の1期からの累積移動距離 の,対照群と低位舌群における計測結果を表5に. に小さかった。 (2)舌背点の移動距離 1期から2期の舌背点の移動距離は,対照群も. 示した。 舌尖点の2期までの累積移動距離は,低位舌群 と対照群においてはば同距離であったが, 3期以 降は低位舌群が対照群に比べて有意     に 小さかった。. 低位舌群もほぼ同距離であった。対照群における 舌背点の移動距離は, 2期から4期が最も大きく 約  から   であった。 3期から4期の対 照群は平均    であったが,低位舌群は平均 であり有意     に小さかった。 4. また,舌背点は5期の対照群は平均 で,低位舌群は平均    であり,低位舌群が 有意     に小さく, 3期から10期までにつ. 期から5期の対照群は平均   であったが,. 表5 舌尖点および舌背点の累積移動距離. 舌尖点 低位 舌 群. 対照群 平均. = 〕 晦. 標準偏差. 平均. 日. 低位舌群. 対 照群. 標準偏差. 平均. 標準偏差. 平均. 標準偏差. 2 3 4 5 6 - 8 9 1. 瑚瑚瑚周期期瑚瑚期. 0. 7. 7. 4.6. 6.3. 4.2. 6.8. 3.7. 6.9. 4`8. 22. 9. 7. 1. 13 ` 8. 6.0. **. 19 . 7. l l. 4. 16 . 1. 5.3. 4 1. 2. 1 5. 4. 1 9. 8. 7.8. **. 34.7. 20.7. 22`5. 5.9. 4 8. 6. 1 5. 6. 2 3. 8. 10 . 1. **. 4工 8. 2 1. 9. 2 7. 3. 6. 1. 5 2. 7. 1 4. 9. 2 8.0. 10 . 8. **. 48. 7. 22.3. 34.8. 8.6. 57.2. 15.4. 30.6. 12 . 1. **. 54. 7. 25. 1. 3 9. 4. 10 . 4. 62.0. 15.5. 33.3. 12 . 0. **. 60.3. 26.8. 44. 1. l l. 5. 66.2. 15.7. 3 6 ー2. 1 2. 6. **. 66 . 2. 28. 5. 4 9. 8. 1 5. 6. 70.4. 16.8. 40.6. 15.3. **. 7 1. 4. 2 9. 6. 5 7. 7. 1 9 .7. (単位 棉:P<0.01, *: P<0.05. -41. -.

(11) 斉藤,他:低位舌を有する不正唆合者の嘩下時の舌運動. 42. いては,有意差はみられなかったが低位舌群が小 さい傾向を認めた。. 表7 各嘆下時期における上部舌断面積. 対照群. 顧下過程における総移動距離は,対照群の舌尖 点が平均    で,舌背点が平均    であ りほぼ同距離であった。しかし,低位舌群の舌尖 点が平均    であったのに対して,舌背点は 平均    であり,その差は約   と舌背点 の方が大きかった。また,これらは舌尖点,舌背 点とも対照群に比べて距離が小さかった。 3 )舌背が硬口蓋部粘膜に接する曲面の曲線距離. I. 曲線距離の計測結果を表6に示した。 対照群は1期では平均    の接触を認め, 2期と3期は接触をみとめず, 4期から10期まで 接触して侍に8期と9期に最大接触を認めた。 -方,低位舌群は1期から3湖まで接触を認め ず, 4期から8期まで接触して, 5期から7期で 最大接触し, 9期と10期では接触を認めなかっ た。対照群と比較すると, 1朗における対照群の 接触曲線距離は平均    であったが低位舌群 は接触せず,両群間に有意な差(Pく  を認め た。 4期における低位舌群は平均    であり 有意     に短かった。しかし, 7期では低 位舌群は平均    より有意     に長 かったo また, 8期において低位舌群は平均8.6 mmで有意     に短く, 9期, 10期では, 表6 硬口蓋部粘膜と舌背の接触面における曲線距離 対 照 帯. 唖 下. 低 位 舌 群 S i首.. 時 期. 平 均. 標 準 偏 差. 1 期. 4 2. 3. 16.1. 0.0. 0.0. 2 期. 0. 0. 0.0. 0.0. 0`0. 平 均. 標 準 偏 差 * *. 3 期. 0. 0. 0-0. 0.0. 0.0. 4 期. 23.6. 1 4. 0. ll.0. 10.2. 辛. 5 期. 28.4. 1 9. 7. 20.3. 10.8. *. 6 期. 33.3. 16 ` 8. 1 9. 7. 17.0. 7 期. 37.7. 16 . 3. 2 0. 2. 1 8. 5. *. 8 期. 46.4. 13 . 3. 8. 6. 13 . 7. **. 9 期. 46.3. 13 . 9. 0. 0. 0. 0. **. 10期. 32.1. 18 . 7. 0. 0. 0. 0. **. (単位: mm) **: Pく. 低位舌群. 平均. 標準偏差. 6 94 . 7. 205.0. 平均. 標準偏差 12 0. 9. 5 0 1. 8. 14 3 . 0. 10工 0. 2 3 7. 2. 11 3 . 0. 1 12 . 5. 828.2. 248.2. 13 8 . 6. 832.0. 266.7. 12 4 . 8. 8 18 . 8. 269.5. 83. 0. 941.3. 315.5. 15 3 . 5. 913.9. 248.4. 13 4 . 5. 913.9. 221.7. 14 5 . 5. 7 8 8 . 1.. 178.0. 83. 1. (単位 招: P<0.01, ∼:P<0.05. 低位舌群は接触せず有意差    を認めた。 4)上部舌断面積 上部舌断面積の計測結果を表7に示した。 対照群の上部舌断面積は, 1期の平均 mm2から減少して3期が平均    で最も 小さく, 4期の平均    から9親の平均 まで上部舌断面積は増加するが7期の 平均94上   が最大であり, 10期は平均 mm2で1期より大きい傾向を認めた。 一方,低位舌群の上部舌断面積は, 1期の平均 から上部舌断面積が増加して5期の平 均    が増大するが, 6期は減少して平均 となり,その後9期の平均 まで増加して, 10期では平均    で1期よ り大きい傾向を認めた。対照群と比較すると, 3 期では有意差を認めなかったが,それ以外はすべ て有意     に小さかった。 5) 1期から10期までの各嘆下過程の経過時間 経過時間の計測結果を表8に示した。 対照群の経過時間は, 1期から2期が平均 secであり,その後2期から7期まで短くなる が, 6期から7期の平均   が最も短時間で あり, 7期から8期が平均     期から9 期が平均    と長く, 9期から10期では平 均   経過して,総嘆下経過時間は平均. 一 42 -.

(12) 歯科学報. 43. の判定基準にはサ行,夕行発音時 と水   の嘆下時に舌が上下前歯部を圧迫ま. 表8 各唖下過程の時親分東による経過時間 低 位 舌群. 対照群 嘆 下 時 期 区. 間. 平. 均. 標. 準. 偏. 差. 平. 均. 標. 準. 偏. 差. 1期∼ 2期. 0.45. 0 . 14. 0. 52. 0.21. 2 期∼ 3期. 0.29. 0. 0 9. 0. 4 0. 0.13. 3 期∼ 4期. 0.24. 0. 0 7. 0. 2 2. 0.19. 4 期∼ 5期. 0.23. 0.13. 0. 1 4. 0.07. 5 期∼ 6 期. 0. ll. 0.05. 0. 2 0. 0.24. 6 期∼ 7 期. 0. 0 7. 0.05. 0.06. 0.04. 7 期∼ 8 期. 0. 1 4. 0.09. 0.17. 0.17. 8 親∼ 9 期. 0.24. 0.09. 0.34. 0.14. 9 期 ∼ 10期. 1.39. 0.75. 2.26. 1. 3 3. 総経過時 間. 3.15. 0.74. 4.30. 1. 4 1. たは前歯間より港出する事と定義している。しか し,低位舌の判定について述べた研究は少なく,. S i首.. 石川8)は下顎安静時の舌尖の位置は下顎前実にの み下顎切歯の舌側歯頚部粘膜面と接する者を9 %. 辛. 認め,正常唆合および上顎前実では認めなかった と報害している。また,秋吉ら10)は舌中背癒着症 を有する不正唆合患者について,噛下時の舌運動 をⅩ線テレビとエレクトロパラトグラフイーの同 時記録を行ったところ,舌背後方部に波状運動が みられ,舌背の位置が対照群にくらべ低位であっ たと報害している。そこで本研究では,口腔診査 と側面頭部Ⅹ線塊格写真の所見を低位舌の判定の 基準として用いた。そして, Ⅹ線VTRによる精 査が矯正歯科診断および矯正歯科治療に十分に生. (単位 棉: P<0.01, *: P<0.05. secであった。 -方,低位舌群の経過時間は, 1期から2期が 平均   であり,その後2期から5期まで短 くなり, 5某掴、ら6期が平均   で長くなる が, 6某掴、ら7期の平均   で鼻も短時間と なり, 7期から8期が平均     期から9 期が平均    と長く, 9期から10期では平 均   経過して,総嘆下経過時間は平均 secであった。対照群と比較すると,低位舌群は 2期から3期の経過時間が有意     に長 く,前嘆下時期と嘩下後に安静位に復位するまで の経過時間を含む総嘆下経過時間はおよそ1秒間 長かった。 考     察. かされることを説明し,本人および保護者の合意 を待て行った。 低位舌を有する者10名のうち,側面頭部Ⅹ線塊 格写真の分析から, 7名がアングル分類Ⅲ級の前 歯部反対唆合者で,残る3名は前歯部開唆者で あった。また, 8名については下顎下縁平面と sN平面のなす角度が大きく,下顎が開大して長 顔型の傾向が認められた。この被験者10名の嘆下 時の舌運動に関して,前歯部反対唆合を示す被験 者     の4名についてみると,舌尖点も 舌背点も前後的位置移動が,上下的位置移動より 大きい傾向がみられた。また,前歯部の垂直被蓋 が負で開嘆を示す被験者   の3名は,舌尖 点も舌背点も上下的位置移動が前後的位置移動に 比べて大きい傾向がみられた。一方,対照群の位. 1.研究方法について. 置移動変化では,前嘩下時期に舌尖と舌背が後下. 1)被験者について 不正唆合者の舌の運動機構についてのこれま での研究では,尾関3)は       を有する. 方へ大きく移動する特徴がみられた。このような 舌運動のパターンの相違は,顎顔面骨格形態の相 違による影響がもたらしたと考えられる。 次に被験者の年麻や性別の相違が研究結果に及. 前歯部が開嘆か空隙歯列の不正唆合者と正常唆合 者について比較を行い,嘆下第Ⅱ相では正常者 の舌尖は下顎中切歯より舌側で切端より下方で あるのに対して,前歯部不正唆合者はすべて上下 顎中切歯問に位置すると述べている。その際, -43. ぼす影響について     は舌の成長発育過 程では脳と眼膏を除く他の顎顔面頭蓋の成長に比 べ,舌は早期にその成熟した大きさに達すると述 べている。林12)の報菖によると,ヒト屍体舌のホ.

(13) 44. 斉藤,他:低位舌を有する禾正唆合者の嘩下時の舌運動. ルマリン固定標本を水洗し全長(舌背上で舌尖か ら舌盲孔までの長さ)の計測を行ったところ, 10. 研究は, Ⅹ線テレビ    線映画による方 法3用),ダイナミックパラトグラムによる方法. 歳までには全長は   から   に増大する がそれ以降における成長量は僅かであると述べて. 筋電図による方法  空気力学的研究による方 法17)など多くの報吾がある。川島8)はⅩ線テレ ビ,超音波および圧力センサーによる同時測定シ. いるので,本研究においても10歳以降は舌の大き さの変化がほとんどないとみなした。. ステムの開発を行った結果, 3つの観測機器には 舌運動時間と最大筋圧に相関を認めたので,各々. また,性別の相違によって嘩下時の舌運動の位 置移動については,被験者1は女性で被験者2は. の有効性を考慮した選択が望ましいと報害してい る。形態学的で詳細な舌運動の分析を行う場合は. 男性であったが,二人とも骨格的要素の強い反対 唆合であった。被験者1における舌尖点の位置移 動変化は上下的であったが,舌背点では前後的な. Ⅹ線テレビによる観察が鼻も優れているが,舌の 機能訓練を行なったり,その経過を追う場合,繰 り返しのⅩ線テレビによる被爆は避けるべきであ. 位置移動変化が大きかった。被験者2は舌尖点も 舌背点も前後的な位置移動変化が大きい傾向がみ. り,その際には超音波の利用等が適当であると考 えられる。安藤ら19'はTV系映像システムによる. られたが,この舌の位置移動変化が性別による相 違とは考えられず,むしろ顎顔面形態の違いによ るものと考えられる。 I--万,尾関3)は,成人を対象にすることで顎顔 面頭蓋の成長発育,嘆ド行動の発達過程. 歯科Ⅹ線診断法の開発を行った結果, Ⅹ線写真法 に比較して線量を上顎前歯郭で      下 顎大臼歯部で     に低減して診断ができ ると報害している。また     によるとⅩ. の発塊強度の消長など年齢的因子を除去 しうると述べた。そこで,同様の理由から本研究. 線VTRの被爆皮膚線量はⅩ線映画 コマ/秒)の     であり小さかったと述べ. の被験者は,口腔診査の際に永久歯列を有し,舌 および顎口腔の大きさ等が極端に異なる者は除外 し,主に成人を対象として選択したOまた,被験. た。また,岩本ら15)は管電圧が     管電. 者8は年齢 歳の女性で垂直被蓋   水平 被蓋1 mmで,骨格的不正要素の小さい者である が,舌尖点の位置移動変化は前後的で低位であ り,舌背点は対照群と異なる不塊則な位置移動変 化がみられた。これに対して,被験者2は年齢 歳の男性で垂直被蓋1 mmであったが,水平 被蓋は   で,骨格的不正唆合の要素が大き い者であったが,舌尖点は前後的で舌背点は不塊. 流が     で1回の照射時間が約30秒間の Ⅹ線VTR撮影を行い,このときの被曝線室は頭 部x線塊格写真を1枚撮影する時の被曝線量とほ ぼ等しいと報菖しているが,本研究においては管 電圧が     管電流が     の範囲 で,およそ5秒間の撮影であったが,禾当に尉寺 間に及ぶ撮影を避けることを十分に考慮して使 用した。そして,被爆軽減のために, ①鉛エプロ ンを使用する。 ②蛍光増輝度増悟管を使用して 線量を軽減する。 ③コリメークによって照射野. 則な位置移動変化であり,被験者8と性別や年麻 に相違がみられたにも関わらず,舌運動の形態は. を絞り必要最小限の撮影とする。 ④事前に手技の 練習を行って要領を得た撮影を行うと共に,行. 類似していた。このように,本研究の被験者は男 性2名,女性8名で 歳から 歳まで平均年. 為の正当化       放射線防護の最適化 個人の線量制限. 麻 歳と,対照群は 歳から 歳まで平均 年齢 歳であったが,年麻および性別が研究結 果に与える影響は少ないと考えられる. 2 )舌の動的観察方法について. の三点からなる   の勧吾する線量制限 大系            を遵守して撮 影を行った。. 舌の運動機構の解明を目的とするこれまでの. Ⅹ線画像をより明確に捉えるため,様々な造影. 一 44 -. 3) Ⅹ線VTRの解析方法について.

(14) 歯科学報. 45. 手段が用いられた。その際に用いる造影手段が 舌に与える影響について,石川8)は造影性物質. る。大凧ら22)は硬固物と流動物あるいは粘禍な物 嚢等で嘆下動態に変化が生じると述べ,水と同様. を応用する場合は舌や口腔周囲組織の貢の姿を 正確に捉えることは禾可能であると述べたが,尾. の嘆下が行える禍度で一定濃度の流動物に塊走す ることが望ましく,バリウムの濃度は嘆下のパ ターンに影響を与えると報害した。そこで本研究. 関3)は上下径が2 mmを越すと舌運動の阻害が危 慎されると述べ,上下径が   の鉛箔を用 い      は非生理的状態でも同一条件下 で比較して差が生ずるならその方法の採用も許容 されるべきと述べ,上下径が   の鉛箔を用 いた。画村5)は舌背正中線上に①舌盲孔点, ②舌 体上後鼻麻相当部, ③舌尖点, ④②と③の中間 点, ⑤舌下点の5箇所に設定し,半田を横切断し. では硝酸バリウム溶液5mlを撮影の前に1回嘆 下させ口腔諸構造および舌の形態を造影し,次に 1回嘆下させてその流れる様式を観察した。バリ ウムの嘆下の際に用いた容器は,撮影時に撮影装 置や頭部固定装置に衝突したり,形態が大きすぎ る等の理由で自然な嘆下運動の妨げにならないよ うに考慮して市販のプラスティック製の小型の カップを用いた。 Ⅹ線VTRの解析を行うため,丹治ら13)はⅩ線. た厚さ    副径2 mmの鉛片を接着剤で添付 し,バリウムを各5点間の正中線上に塗布して動 きを観察したが,本研究では, ①維持が良好なこ と, ②Ⅹ線不透過なこと, ③素材そのものに毒性 がないこと, ④大きさや形態的に危険性がないこ. TVにて撮影したVTRを再生し,これをポラ ロイドカメラにて撮影し分析を行っており,深井 ら14)はⅩ線VTRによって得られたVTRの再生. と, ⑤製作が単調で再現性を有すること等を考慮 して接着面にメッシュを有するダイレクトボン ディング用ボタンの突起部分に半田付けを行って. 画像を静止させて,透明なセルロイドフイルムを 使用してトレースを行い計測を行った。本研究で は, -イエイト式ビデオレコーダーを用いてカウ. マーカーを自作し,舌尖点,舌背点の2箇所に貼 付した。舌尖点の位置は安静状態における舌尖は. ント数(1秒間30カウント)を記録し,再生してプ リントした後,それぞれの画像において解剖学的. 丸いため区別し難いので,被験者には舌を十分に 突出させた状態で尖端部にマーカーを貼付し,こ の位置とした。また,第一大臼歯舌面溝に近接す. 諸構造物のトレースを行った。 計測方法について西村5)は,水平蓋準における. る左右舌縁部分の中間点を舌背点と決定した。 嘆下運動を観察する方法には唾夜 水   ジュース5),バリウム     を用い るなどの報吾があるが,本研究では口腔内構造を より明確にとらえるため造影性を有するバリウム を用いた。バリウムを用いた口腔および咽頭部の 透視検査を            検査また は                 と称し,. 舌の嘆下運動について解析を行った。蓋準線とし ては,前鼻麻と後鼻麻の結合線(口蓋平面)と下顎 中切歯切縁と第一大臼歯遠心頑側唆頭預結合線 (下顎唆合平面)を用いて,口蓋を基準にした舌背 の高さや口蓋平面と下顎唆合平面の問の計測点の 相対的位置の計測を行っている。これに対して本 研究では    と    を通る置線をⅩ軸 として,これと垂直で下顎中切歯切塊を通る直線. 脳卒中など神経学的要因や口腔領域の腫症等の手 術による後遺症によって生じる嘆下障害で,最も. をY軸とした蓋準座標を用いた。口蓋平面やフラ ンクフルト平面を基準にした場合の移動方向は下 顎運動を考慮する必要が生じるが,下顎を基準に. 重要な徴候である誤嘆の動態の把握に最適な検査 法として医療で広く用いられている。谷本7)は成. することによって舌の単独の動きを把握すること が可能であると考えられた。また,上顎と低位舌. 人が1回に飲食物を噛下できる室は  程度で あり,これより多いと口腔容積とのバランスの不 均衡が庄じて不自然な動きを招くと報曹してい. の関連性については,舌背と口蓋粘膜との接触の 関係によって表した。. - 45 -.

(15) 46. 斉藤,他:低位舌を有する禾正唆合者の嘆下時の舌運動. 2.研究結果について. 2)嘆下時の舌運動について. 1 )安静時の舌尖と舌背の位置について 下顎安静位について河村23)は個人ではほぼ一 定かつ固有のものであり安定性も高いと述べ,尾 関3)は同一個体での舌位置の再現性は高いと報害 しており,本研究では下顎安静位における舌の状 態を安静時の舌位とした。 安静時の舌尖の位置について,対照群では下顎 中切歯切席より舌側   で上方   に位置す るものが多かった。これは,尾関3)の述べた下顎 中切歯切端より舌側で切端と歯頚部の中間にある という報吾より若干上方であったが 24'は下顎中切歯切端より僅かに上方に位置すると 報害し,西村5)はド顎中切歯歯冠の高さの中央よ り上方   で犬歯尖頭の前方   にあるもの が多かったとする報害とほぼ一致する。一方,低 位舌群ではf顎中切歯より舌側   で下方(90 %)に位置するものが多かった。これは石川8)の ド顎前突者の舌尖は卜蘭中切歯切端より下方にあ り   ド顎中 歯舌側歯頚部粘月莫面と接する という報害や,柄9)の唖『下時の舌尖の位置 が低位状態の者が反対唆合者に多くみられた報吾 と一致した。 安静時における舌背の位置について,西村5)は 中間点と後鼻麻点は唆合平面と口蓋平面の間の下 2/5の所にあり,口蓋粘膜と唆合平面の問2/3の 高さで接触していなかったと述べ,本研究の対照 群では硬口蓋粘膜と舌背はおよそ4 mm接触して いた結果と異なり,低位舌群において接触を認め なかった結果と-致した。これらについては,対 照群の舌は口腔内において前後,左右,上トの位 置的なバランスが良好であり,舌尖は上下歯牙の 接する口腔内における鼻前右位に,舌背は口蓋の 形態に服応して肢隆した状態で存在していると考 えられる。一方,低位舌群の舌尖が下顎中切歯切 端より下方に位置していたのは,下顎が前方位を とり,これに伴い舌は前進し,まるで前方に突出 した時のように前後的に伸張して舌背は后平とな り,左右的に広い形態を皇することによるものと 考えられた。. 噛下時の正常唆合者の舌運動について,詳純な 報吾を行っている西村5)によると,口腔内に流動 物が入るとすべての計測点は後下方か下後方-移 動し,嘆下開始で舌尖点は上前方へそれ以外は前 方で上方か下方に移動し,舌体前部が口蓋に接し 始めると舌尖点は変化せず(これ以降変化なし)中 間および舌下点は上前方へ移動した。次いで舌背 の前部から後部までが口蓋に付着する時は後鼻麻 点と中間点は上後方へ移動し,後舌部が後上方へ 膨出するとき後鼻棟点および舌下点は上前方で中 間点は前下方へ移動する。後古郡が前方へ移動す る時は後鼻蘇点と中間点は後方で上方か下方へ移 動し,これより噛下終了までは舌盲孔点のみ下降 方へ移動して他は変化がなかったと報害してい る。このうち舌尖点の移動方向について,口腔内 への流動物の流入によって下方で後方に,嘆下開 始で上前方-移動して古体前部が口蓋に接し始め るとこれ以降は変化しなくなったと述べている。 本研究において, 2期では関rl+ると対照群の 舌位は僅かに下がるが,低位舌群は反対に僅かに Lがる。これは安静時の舌位が,対照群は舌尖が 最も前方にあり,舌背が口蓋形態に順応する形で 位置して,この位置から開口すると舌尖は下顎切 歯に,舌背は下顎歯列形態にそれぞれ噸じてその 位置を変えると考えられる。一方,低位舌群は安 静時において舌尖は最も前方で舌背は最も低位に あり,この位置から舌背が僅かに前進するのに 伴って舌尖も僅かな上昇がみられたと考えられ る。しかし,対照群も低位舌群も開口して舌位が 変化した時の,舌尖と舌背の口腔内における位置 関係は幾似していた0 3期では,バリウムをすべ て口腔に流入して,対照群では舌全体を大きく後 退して口腔底にバリウムを保留する。これに対し て,低位舌群は舌背上を窪み状にしてバリウムを 保持して,舌尖は僅かに後退するが舌背は僅かに 前進したと考えられる。 4期では,閉口してバリ ウムを一時的に口腔に溜めるとき,対照群はバリ ウムの下方が口腔底,上方が口蓋前方部,前方が 上下顎切歯,後方が舌尖点と舌背点は前進して保. ∼ 46 -.

(16) 歯科学報. 47. きはほとんどなく固定されている。そして,舌背 点の移動距離は対照群はいずれの時期問も5 - 6. 持していた。しかし,低位舌群はバリウムを舌背 上に保持するため,下顎前歯に接して舌尖は下 がって,そして舌背の前方部にバリウムを集束す. mmの平均的な動きであったが,低位舌群は舌が 口蓋に接触する時期と安静位に復位する時期の移. るため舌背は上昇したと考えられる。 5期では, バリウムの嘆下が始まると,舌尖は対照群も低位 舌群も安静時に戻るようなの位置の変化であった. 動距離は約8mmであるのに対して,その間は5 の動きがみられた。これは,舌尖がその. が,舌背は対照群では口蓋にバリウムを擦り付け るように上がり,低位舌群では窪みが後方に向. 運動を制限する園子によって固定されたため,舌 背の動きに変化が生じたと考えられる。続いて舌. かって波動する様に後退した。これは,舌尖部の. 骨が挙上して,舌板部も上昇し,咽頭部-バリウ ムが流し込まれるとき,対照群では舌背は最も膨 隆状態であり,舌尖は前後的な綿動がみられ,画. 上方に上顎切歯が存在することから,舌尖の上方 への移動が容易ではなく,そのために舌背部を大 きく上下動させて,嘆下の効率化を計ったと考え. 村5)の約  秒で鼻も早く経過して接触距離は最 も増加した報吾と一致した。だが,低位舌群は舌. られる。 本研究の対照群の舌尖の移動方向は西村5)の報. 背は半数に沈下がみられ,舌尖は上昇するものが 多く約  秒で最も早い運動ではあったが,接触 はおよそ2mmにとどまっており,嘆下過程にお. 吾と幾似の結果を示すが,低位舌群の舌尖の移動 方向はいずれとも異なっていた。また,舌背の移. いては最大の接触であった。これは,柄のの述べ た舌尖は低位であったという報吾と相反していた. 動方向については,舌尖が口蓋に付着し始める時 期には舌背の前方部分は前進し,高さの変化はわ ずかである。舌背の後方部分は上前方へ移動して 位置も高くなり,本研究の対照群においてこの時. が,彼が嘆下全般について述べていたのに対し て,本研究では嘆下物が咽頭部に移行する時の位 置について述べており,嘆下過程の全般における. 期に認められた舌背点は上前方に移動した結果と 一致した。また     はこの時親の舌背は下. 舌は低位であった。本研究の7期では,咽頭部に バリウムが流入する直前では,舌骨挙上に伴い舌. 降すると述べて,本研究の低位舌群では後退する 者がみられたのと異なる結果を示した。これは, 本研究において定義した舌背点と西村5)の観察し. 背は特に後方部の挙上が最大になり,対照群の舌 尖は舌背と同様に上がるが,低位舌群の舌尖は僅 かに下がる。これは,対照群の舌尖が舌の後退に. た舌背の位置が近いものであったことから同様の 見解が得られたが    は舌背全体をバリウ ム単独で観察したため舌背の前後的区別が不十分. 伴って挙上したのと異なり,低位舌群の舌尖は下 顎切歯に接する位置に向かい,上下顎骨の不調和. であり本研究の結果と異なったと考えられた。 次に,舌背が膨降して口蓋に接すると対照群で は,舌尖は前後的に細かく振れたのに対して,低 位舌群における舌背は半数に沈下がみられ,舌尖 は上昇するものが多くみられた。秋吉ら10)は舌小 帯癒着症患者の嘆下では,最初に舌が挙上して口 蓋に接する時,対照群に比べて舌背は低位であっ たと述べており,本研究の結果と-致した。本研 究における6期では,対照群も低位舌群も舌背中 央が口蓋に接してバリウムが後方に送られ,舌尖 も舌背も上昇した。その後の舌尖点の移動距離は 対照群にくらべ低位舌群は極めて小さく,その動. や歯列不正によって正常な機能が営めないため生 じた動作であると考えられる。本研究の8期で は,喉頭蓋が反転する直前は,対照群も低位舌群 も舌が前進した。この時親も6期のように嘆下の 過程において不可欠な動作であり,低位舌群の舌 尖は対照群に比べて下がる傾向が強く, 7期に続 き不正唆合の代償的動きであると考えられる。次 に本研究の9期では喉頭蓋が反転すると,対照群 の舌は僅かに後退し,低位舌群の舌は前進した。 これは,対照群の嘆下が圧接型であり,口蓋に舌 を前後的に押し当てることによって嘆下が行われ ている。しかし,低位舌群の嘆下は波動型であ. -47 -.

(17) 48. 斉藤,他:低位舌を有する不正唆合者の嘩下時の舌運動. り,主に舌背の波動運動によって噛下を行うこと. た。第Ⅱ相の対照群はおよそ0.4秒であったが低 位舌群はおよそ0.5秒であった。第射目の対照群 はおよそ1. 4秒であったが低位舌群はおよそ2. 3秒 であった。そして,前嘆下時期の対照群はおよそ. による相違と考えられる。また10期では嘆下が終 了して安静な状態に達すると,対照群の舌尖や舌 背は口蓋前方部に接する方向に移動し,この時舌 背の中央と後方部は下がり,低位舌群は舌全体が. 1秒であったが,低位舌群はおよそ1.1秒であっ. 低下した。これらは対照群も低位舌群も,安静暗 の位置に安定したと考えられる。 対照群と低位舌群の嘆下の全過程を比較したと. た。嘆下の第I相および第Ⅱ相には,大きな相違 がみられなかったが,第Ⅲ相および前噛下時期で は,低位舌群のほうが経過時間の延長が認められ. き,低位舌群は安静時だけではなく嘆下の全過程 において舌全体が低位であり,これは安静時の舌. たo この様な随意運動である嘆下時期の経過時間 に差がみられたのは,舌を安静時の低位状態から. の位置が低いことと関連するものと考えられる。 また,各個体は対照群と低位舌群とでは異なった. 嘆下機能を営むために挙上することにより,最初 の安静時には舌背が膨隆している対照群に比べる と,余計に時間が経過したと考えられる。また,. 散布を示したが,これは対照群の個体差が高さの 差に表れたのに比べて,低位舌群の個体差は前後 的な差として表れ,嘆下の過程においても同様の 傾向がみられたと考えられる。. 喉頭蓋が反転して嘩下反射運動が起こり舌が安静 位に戻る時間が低位舌群が長かったのは,対照帯 では舌板都が下降したのに比べて,低位舌群では 舌全体が下降したためと考えられる。 は,安静時に観られた舌と口蓋. 以上 本研究では唖下時の舌尖と舌背の動きを より詳細こ解析するために,舌および口腔諸器官 の放妙な変化を10期に分幾し観察した。 年に は嘆下を3相 に分致し,金塊が目映を過ぎるまで の随意運動を第I相(口腔相), □峡から上食遺口 を通過するまでの不随意運動を第銅冒(咽頭相), 上倉遺口より噴門に至る不随意運動を第Ⅲ相(食 遺相)と定義した。この嘆下の第I相は本研究で は4期から6期に相当し,バリウムが口腔から上 咽頭部に移行する第II相は7期から8期を示し, 第Ⅱ相は9期から10期を示すものと考えられた。 また,本研究の1期から4期は,嘆下の前準備の 時期と考えられる。前噛下時期から安静位に復位 するまでの総顧下経過時間は西村5)の報吾では 1.7秒であったが,本研究では低位舌群はおよそ 4.3秒,対照群はおよそ3.2秒であった。しかし, 嘩下終了時期は本研究では9期に相当するので, 対照群はおよそ1.8秒でありほぼ-致したが,低 位舌群はおよそ2秒であった。本研究では,一回 の嘆下に要する時間は低位舌群がおよそ1秒間長 かった0 本研究の平均経過時間を の3相および前嘆下時期に区分した。その結果, 第I相は対照群も低位舌群もおよそ0.4秒であっ. が離れた状態とは異なり,嘩下が終了した後の舌 は口蓋には接触せず,また安静な状態に至るのに 約2分かかると述べているが,これについて本研 究(10期に相当)で観測したところ対照群では約 工4秒,低位舌群では約2. 3秒後に口蓋から舌背が 離れる現象がみられた。 次に,低位舌群は対照群より全壊下時間は約1 秒間長かったが,酎寸5)の報吾よりはるかに短時 間であり,口蓋に対して舌背全体が離れたときの 経過時間を示したが,本研究では舌背の中央より 後方が口蓋から離れた経過時間を示した。しかし, 本研究の対照群は,舌全体が挙上して1期の安静 時の状態と接触距離は同じであったが,西村5)の 嘆下終了時の舌が口蓋に付着して元の安静時の状 態とは異なったOこの相違は,嘆下終了時期の違 いにより,最初の安静時が本研究の1期および10 期に相当し,嘆下終了時に相当する9期ではない ので,以上のことより見解は一致したと考えられ た。 本研究において硬口蓋部粘膜と舌背は,対照帯 は安静時においても嘆下の過程においても十分に 接していたが,低位舌群では安静時も第銅目終了. - 48 一.

(18) 歯科学報. 49. 時は接せず,第I相で最大に接触した。これにつ いて秋吉ら10)は舌中背癒着症を有する不正唆合患 者とこれを認めない患者の舌と口蓋との接触様相 をエレクトロパラトグラムとⅩ線テレビとの同時. するとその上方には上顎切歯があるため動きが制 約されたものと考えられる。下顎唆合線より上方. 記録法によって検査を行い,対照者は嘆下の開始. の舌の面積は舌全体の挙上の程度を示している が,対照群にくらべ低位舌群が安静時も嘆下時も 小さかった。これは対照群の舌が口腔内に均等に. 時において舌全体が高位にあったが,舌中背癒着 症を有する者は舌背後方部分の挙上が少ないか下. 広がって,嘆下の過程も同様であるのに対して, 低位舌群は安静時も嘆下の過程においても,下顎. 降すると延べた。本研究の結果における低位舌群 と,小者癒着症を有する者にみられた舌の低位状. 歯列内に充満していて,口蓋まで挙上することは 少なく,また,最も挙上するときも対照群の半分 程度の大きさしかないのは,舌が全体的に挙上す. 態は類似しており,前歯が逆被蓋であるため舌尖 の運動範囲が制約されるのに伴い,舌背の挙上が 困難となり,口蓋への接触も少なくなったと考え られる。 柄9)は反対嘆合者の嘆下時の舌尖の運動につい て正常唆合者より広範囲であったと述べたが,本 研究が示す反対唆舎者の嘆下時における舌尖の運 動範囲が小さかった結果と相反した。これは柄9'. ることはないためと考えられる。 正常な形態を有する者の嘆下の動態を蓋本的に 正常な嘆下の機能と定義すると,上下顎骨形態や 上下歯列関係の不調和が生じると,嘆下運動を効 率よく機能するために,舌や口唇等の軟組織の機 能を変化させて,この不調和から生じる嘆下の動. の被験者の平均年麻は9歳7ケ月で     の に相当する者であり,また構 成唆合が可能な機能的反対唆合者で早期接触によ. 作の不都合を補い,いわゆる順応するものと考え られる。しかし,臨床における訓練によって正常 な機能を習得したり,悪習癖を修正することによ り,特に前歯部の不正唆合に対する矯正歯科治療. り異常な下寛運動や岨噛筋活動が生じ,舌の位置 が不安定で運動範囲が広くなったと考えられる。. に大きな効果が認められることから,幼児型嘆下 の残留や家族性の習癖の存在が,正常な形態発達. それに対して本研究では永久歯列の者をを対象と し,唆合が安定することで舌の位置も安定化して. を妨げて,結果的に上下顎骨格の不調和や歯列不 正を誘発することが示唆される。. 舌尖の動きは僅かで,その運動範囲はむしろ小さ かったと考えられる。また,本研究では対照群は 舌尖点と舌背点の移動距離については,対照群で. 3.舌の機能と顎顔面形態の関係について 舌は唄噛,噛下(特に第II相),発音(破裂音や 歯擦音)を担い前歯部唆合と密接な関係を有する. は舌尖と舌背が同様の変化室であったが,低位舌 群では舌尖と舌背が異なる変化様相であった。こ れは,対照群では舌が口蓋に接して嘆下する圧接 型であるのに対して,低位舌群では嘆下が始まる. が,不良充壊物や補綴物,后桃肥大や咽頭炎,舌 痩,上下顎骨の発育禾全,家族性素因などにより. ときは舌尖の運動が主であるが,嘆下物の咽頭へ の送り込みは舌背の上下動が主である波動型の嘆 下型による相違であるため,舌背は嘆下の後半に おいて移動距離が大きくなったと考えられる。ま た, -回の嘆下における移動距離は,対照群は舌 尖点も舌背点もおよそ  であったが,低位舌 群の舌尖点はおよそ   であり,舌背点にくら べておよそ   小さかった。これは,低位舌群 の者の前歯が逆被蓋であり,舌尖が下顎切歯に接. 正常な機能を営むことが困難になりと唇(顛)舌的 均衡が崩壊した結果,顎骨や歯列(歯牙)に対して 過度の成長刺激として作用することが危慎され る。滝本ら6)によると開嘆の異常嘆下運動は嘆下 第Ⅱ相では舌が下顎切歯前上方に位置して,上下 歯牙が接触しない状態で嘆下を行い下蔓貢が不安定 になり,その結果,唄噛筋や顎顔面筋の緊張及び 禾調和を誘発すると述べている。 ヒトの嘆下は一日平均数千回行われるが,成長 期の異常な嘆下運動は顎顔面の成長発育に影響を 及ぼすと考えられる    は頭蓋顔面複合体. -49-.

(19) 50. 斉藤,他:低位舌を有する不正唆合者の嘆下時の舌運動. の形態的な成長がその中に含まれる非骨性の組織 の優位な支配を受けると言う の理論を主張し,機能と形態は密接な関係を有す ることを論じた。 一方,正常でない運動をする舌の存在が不正唆 合の原因になるかと言う問いに対し    は 歯牙に対する舌圧の,歯列形態への影響に着目し てⅩ線映画の長時間撮影を行った結果,機能時の 影響より安静時の舌の位置による較合への影響 が大きかったと報害した。また     は歯. れる。 結     論 低位舌を有する成人不正唆合者の嘆下時の舌の 運動機能をⅩ線VTRを用いて撮影した。そし て,舌尖と舌背部の位置移動変化と,嘆下に伴う 変化について定室化を行い,次の知見を得た。 1.低位舌群における舌尖点および舌背点の位置 移動変化は,以下の通りであった。 1)開口期では,対照群の舌尖は下顎切歯に,舌. 列弓形態の唇舌的位置を決めるのは舌の であって          でないと. 背は下顎底に向かったが,低政吉群では舌背が前 進するのに伴い舌尖も上昇した。しかし,移動後 の口腔内での位置関係は両群とも歎似していた。. 述べ,舌の位置や大きさが歯列弓の形態形成に影 響すると唱えた。しかし    は歯列弓形態 は        にその大半が支配されて,む. 2)嘆下準備親は,バリウムを流入する場所が異 なり,対照群は舌全体を大きく後退させて口腔 底に流入し,低位舌群ば舌背を僅かに前進させ. しろn唇や舌は歯列形態に適応すると報害し, は舌の機能異常として. て窪み状態にしてこの上に流入した。 3)閉口期は,バリウムを保持する場所が異な. を挙げ,これは家族性の存在があり 乳児型嘆下が残留したものであると論じた。また. り,対照群は口腔底に保持し,低位舌群は舌背 上の窪み状に保持していた。 4 )舌口蓋前方部接触親は嘆下の動態が異なり,. 尾関3),柄9)らは,矯正歯科治症によって歯列形 態が改善されると舌の運動機能は順応することを 挙げ,正常でない状態の舌の存在と不正唆合との. 対照群は圧接型が多く,低位舌群は波動型が多 くみられた。 5)舌口蓋接触期は両群とも後退した。. 関連性について論じ,さらに,このことが矯正臨 床上遭遇する予後や保定の諸問題に対して重要で あることを示唆した。不正唆合の診査,診断およ び治疲過程において,運動機能の精査を行うこと は,形態の改善と健全な運動機能の回復に大きな 成果をもたらすものと思われる。. 6 )舌骨挙上産前期の低位舌群は,舌尖で下顎切 歯を押す様相がみられた。 7 )喉頭蓋反転置前期は両群とも舌尖は前進した。 8 )喉頭蓋復位期の対照群では舌全体がわずかに 後退したが,低位舌群はわずかに前進した。. しかし,本研究の結果が示す舌の低位状態は, 高強度で反対唆合が認められたことにより,舌の 前方位や沈下状態が反対唆合や下顎前突の原因と して単独で存在するのでなく、顎骨や軟組織の成 長発育,他の口腔周囲組織の機能,これらの運動 を制御する神経筋機構と舌の形態的異常や機能的 異常が複合して成立すると考えられた。ゆえに, 舌の低位状態が反対唆合の原因として顎顔面形態 に影響を及ぼす可能性が示唆された。そして,本 研究は低位舌の嘆下機能の解明を目的として成人 不正唆合者について検討を行ったが,臨床におい て舌位や舌癖に対する訓練が有効であると考えら. 9 )嘆下後舌安静位勘の対照群では舌の前方部が 口蓋に接するのにくらべ,低位舌群は舌全体の 沈下がみられた。 2.各被験者の舌尖点および舌背点の散布では, 低位舌群は安静時だけではなく嘆下の全過程にお いても舌全体が低位であった。また,対照群では 高さにおけるばらつきがみられたのに対して,低 位舌群では前後的なばらっきがみられた。 3.対照群における舌尖点と舌背点の位PLR移動距 離の変化は幾似していたが,低位舌群では舌尖点 より舌背点の位置移動距離が大きく,特に第二相. - 50 -.

(20) 歯科学報. 51. 22, 1973.. が大きかった。 4. -回の噛下過程で移動した距離は,対照群で. 4) Rushmen, R. F. and Hendron, J. A. : The act. は舌尖点は   で舌背点は   であった。 方,低位舌群の舌尖点は   であり,舌背点の にくらべておよそ   小さい移動距離で あった。 5.安静時の舌背点は対照群では口蓋に接触する. of deglutition. : A cinefluorographic study・ J appI Physiol. 3 ・. 622-630, 1951.. 5)西村亮介: Ⅹ線テレビ映画による嘆下時の舌背の位 置の変化に関する研究 1.正中矢状平面上の舌背粘 月莫上の各点の位置の変化.歯科学報 1977.. が,低位舌群は接触しなかった。また,嘩下運動時の 舌背の最大の接角避巨離は,対照群が  であるの に対して,低位舌群は  でおよそ半分であった。 6.上部舌断面積は,舌が大きく後退する時期の 対照群の    と,低位舌群の    との差 はみられなかった。その後,舌が口蓋に接する時 期で,対照群が最大で   であるゐに比べ, 低位舌群は最大で    と小さく,舌は全体的 に低位であることを示した。 7.前嘆下時期および安静位に復位する時期を含 む全癒下経過時間は,対照群は3秒であったが低 位舌群は4秒でおよそ1秒間延長したo しかし, 嘆下の第I相にあたる4期から6期は両群とも 0. 4秒で差がみられなかった。 謝     辞 稿を終えるに臨み,終始衝懇篤なる衝指導,御校閲 を賜りました本学歯科矯正学講座主任一色泰成教授に 深甚なる謝意を捧げます。そして,本研究にご協力戴 いた歯科矯正学教室員各位に感謝致します。また,撮 影の際にご協力戴いた本学歯科放射線学講座主任窯柳 錦也教授に感謝の意を表すとともに,本学放射線学教 室貢各位に感謝致します。 本論文の要旨の一都は,第261回東京歯科大学学会例会 年6月7日,千葉)において発表した。. 文     献 D Moss, M. L. and Salentin, L. : The primary role of functional matrices in facial growth. Am J Orthod,55 : 566-577, 1969.. 2)榎  恵,本橋康助,中村祐瓦:舌の形態と機能の 異常の矯正学的意義について.日矯歯会誌 20, 1955.. 3)尾開 暫: Ⅹ線法による前歯郭不正唆合患者の に関する研乳 冒矯歯会誌, 32: 1- 51. 6)滝本和男,中後忠男,尾関 哲,浅井保彦,和田卓 郎:開嘆を伴う不正唆合者の舌の機能,形態的考察. 冒矯歯会誌, 30 :     工 7)谷本啓二: Ⅹ線映画法による口蓋裂術後患者の嘆下 に関する研究.日口蓋裂会誌 8)石川富士郎:高電圧Ⅹ線撮影法(蓄電器放電式)によ る舌の位置に関する研究(正常唆合群における下顎 安静位時の舌について).日矯歯会誌, 17 : 1958.. 9)柄 博治:前歯反対唆合者の矯正治療に伴う舌尖の 位置及び動態の変化一        を利用して -広島大歯学誌 10)秋吉正敏,鈴木聖-,川村雅俊,寺島多実子,野口 規久男,黒田敬之:嘆下時舌運動および舌と口蓋との 接触様相に関する研究.日矯菌会誌 1995.. 1D Brodie, A. G. : Consideration of musculature in diagnosis, treatment, and retention. Am a Orthod, 38 : 823-835, 1952.. 12)林 香首:消化器,解剖学及び生理学計数 第2 版     文京書院,東京 13)丹治かはる,足立 忠,山本 昭,五島子羊太,田中 守:歯科放射線における動態撮影について その二, 嘆下運動(第1報).歯科放射線 14)深井仁子,村山紀子,上田 昇,大橋 堵:鼻咽腔 閉鎖機能のⅩ線テレビ    による計測学的研究, 第-報 正常成人について.日口蓋裂会誌 30, 1978.. 15)岩本昇士,鈴木聖一,川村雅俊,秋吉正敏,稲葉敬 隆,小野卓史,石涯靖夫,窯田敬之:外舌筋筋活動と Ⅹ線ビデオの同時記録による舌機能検査.日矯歯会 誌. 55:  上 16)大木菓孝宣:口蓋裂児の歯列弓拡大による唖下運動 の変化-エレクトロパラトグラフイ-,頑圧,筋電団 による解析一.臼口蓋裂会誌 17)丸山暢市:舌圧と口腔内気圧による嘆下時の舌運動 の解析.九州歯科学会誌 18)川島成人,新井嘉則,中島一郎,本田和也,平田服 一,篠田宏司,西達寺永康,赤坂守人:舌運動の評価 に関する蓋礎的研究-Ⅹ線テレビ,超音波および圧力 センサーによる観測-.歯科放射線, 33: 1993.. 19)安藤正一,篠田宏司,野井倉武意,稲葉公伸,大木 亨,木村一之,橋本光二,鈴木理浩,岩井-男,漆崎 盛皇: TV系映像システムによる歯科Ⅹ線診断法の開 発一線量低減化と映像応答の即時化1.歯科放射線,.

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