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本学学生の体力と生活習慣 : 新体力テストとアンケート調査から

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Academic year: 2021

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緒   言 多くの大学において身体計測,体力測定,運動能力テ ストがなされてきている1) 。本学においてもこれらを実 施し報告してきたが2–4) ,本学におけるカリキュラムの変 更および運動施設の縮小等により,こうした測定を一時 中断せざるをえない状況となっている。しかしながら, 近年,授業を通じて学生の体力低下を痛感し,その実態 の把握と要因を探る必要性を感じてきている。体育・ス ポーツ実技を担当する者にとっても学生の身体的特徴お よび体力レベルを把握することは大変重要であり,授業 計画等の立案や授業を実施するうえで非常に重要な役割 を担うこととなる。さらに,多くの学生にとって自己の 身体的特徴,体力レベル,運動能力レベルを客観的に知 ることは,学生自身の健康や体力の維持増進を図るため に大変意義深いことである。 本報の目的は,本学学生の身体的特徴および体力レベ ルを把握することである。そこで,今後,他校との比較 検討も視野に入れ,本学スポーツ実技受講生を対象に身 体計測,文部科学省「新・体力テスト」を実施し,「体 力測定結果調査報告書」1) の同一年代の全国平均値(以 下全国平均とする)と比較・検討した。さらに,普段の 生活の中での運動実施状況や,体力と関連の深い食事と 睡眠の現状を把握することも本学学生の現状に即した適 切な指導を実現していくためには必要な情報であると判 断し,本学学生の生活習慣関連調査も併せて実施した。 方   法 平成 16 年度の本学前期「健康とスポーツ」を受講し た学生 735 名中 96 名を対象に,授業開始第 1 週から 2 週を利用し,授業時間中に身体計測および体力テストを 実施した。身体計測の項目は身長,体重,BMI,体脂肪 率であり,体脂肪率の測定には自動体脂肪率測定器(タ ニタ TBF305)を使用した。体力テストの項目は,文部 科学省スポーツ・青年局規定の「新・体力テスト実施要

本学学生の体力と生活習慣

——新体力テストとアンケート調査から——

芦 原 正 紀 * ・秋 田 昌 彦 ** ・千 葉 義 信 ** ・渡 邊 文 雄 ** ・

若 杉 亮 介 ** ・茂 泉 圭 治 **

Physical Fitness and Habitual Daily Life of Shonan Institute of Technology’s Students

——The investigation from the new version of physical fitness test and the questionnaire——

Masanori ASHIHARA*, Masahiko AKITA**, Yoshinobu CHIBA**, Fumio WATANABE**,

Ryosuke WAKASUGI** and Keiji MOIZUMI**

The aim of this study was to investigate the physical fitness of our university’s students as to understand the present state of the students’ physical fitness at educational facilities is extremely essential point for their teachers to keep their students healthy and proper physical condition. Therefore, the new version of physical fitness test provided by the Min-istry of Education, Culture, Sports, Science and Technology was carried out to the subject of our university’s students who took part in the class of physical education. In addition, the questionnaire of habitual daily life was carried out as well.

As a result, it was find out that the students who took part in this test have got remarkably lower physical fitness than the national average of university students in the same age. And also, it was cleared that the about twenty peasants students of the subjects do not have the habit to take breakfast everyday.

Vol. 39, No. 1, 2005

* 総合文化教育センター 助教授

** 総合文化教育センター 非常勤講師

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項」の項目表 1 に沿って筋力の測定として「握力」,筋 持久力の測定として「上体起こし」,柔軟性の測定とし て「長座位体前屈」,瞬発力の測定として「立ち幅跳 び」,敏捷性の測定として「反復横跳び」,全身持久力の 測定として「20 m シャトルラン」を行った。各項目の結 果を実施要項に従い評価した。生活習慣関連調査は上述 した 735 名中 198 名を対象に,前期授業終盤に実施した。 有効回答数は 176 であった。本調査は,運動実施状況, 栄養調査としての朝食摂取状況,休養調査としての睡眠 時間状況であり,その内容は表 2 に示した。 結果および考察 (I) 体力測定および身体活動状況 本学の身体的特徴は,表 3 に示す。平均年齢は 19.01 歳1.24 歳であった。身長・体重は同年齢の全国平均1) と比較するとほぼ同じであったことから,標準的な対象 者であった。さらに BMI,体脂肪率 (%) ともほぼ標準的 であった。 「新・体力テスト」の結果を表 4 に示した。全国の平 均( 19 歳) は, 握力( 44.24 kg), 上体起こし( 27.94 回 ), 長 座 位 体 前 屈 ( 4 6 . 0 3 c m ), 立 ち 幅 跳 び (232.32 cm),反復横跳び(54.12 回),20 m シャトルラン (80.29 回)であった。実施要綱に従い測定値を得点に換 算し,全国平均と比較したものが図 1 である。本学学生 の値は著しく低いものであった。今回は,文部科学省ス ポーツ・青年局規定の「新体力テスト実施要項」に沿っ て筋力,筋持久力,柔軟性,瞬発力,敏捷性,全身持久 力の把握に努めた。 総合得点分布表を図 2 に示した。全国平均と本学学生 の値を示しているが,測定結果が大変低いのもであった ために,本学学生のヒストグラムは,全国平均のヒスト グラムと比較すると右に大きくシフトしていることがわ かる。 今回の測定結果を「新・体力テスト」の項目別得点表 (資料 1)に照らし合わせ,その合計得点から体力年齢判 定基準表(資料 1)により,本学学生の体力年齢を算出 すると「4549 歳」であった。体力年齢レベルが実年齢 の倍以上となり,本来最も体力があるべき年齢にもかか わらずこのような結果になった。これらの結果を踏まえ, 今後はさらに体育・スポーツ活動の充実を図っていくこ とが重要な課題であると考えられる。 体力測定の結果が大変低いものとなった要因として, 日常生活の中での運動不足が考えられる。生活習慣関連 調査によると,運動部または地域のスポーツクラブには 所属し,普段から運動を行っている「積極的運動派」は 全体の 16% に止まった。それに対し所属していない学生 は 84% と大多数を占めた(図 3)。さらに,日常生活の 中で体育の授業以外での運動状況を調べたところ「とき たま(週 12 日)」と答えた学生が 30%,「全くしてい ない」が 48% と全体の約 80% を占めたことから,学生 の大部分が体育の授業以外での運動習慣が少ないことが 明らかとなった(図 4)。しかし,平素から体育の授業以 外全く運動をしない学生 (48%) の中で,「運動やスポーツ をしたくないから」と答えた学生は全体の 8% に止まり, その他は「運動を行う十分な場所や施設がない (30%) 」 「時間がない (35%) 」「仲間が集まらない (13%) 」等の本 人の意思とは無関係な間接的理由によるものであった。 このような生活習慣の中で,調査対象学生の 81% が日 常生活の中で運動やスポーツ活動を「必要 (43%) 」また は「ある程度必要 (38%) 」と答えている(図 5)。運動の 習慣の少ない現状の中で,その半面,運動の必要性や重 要性の認識は高いようである。運動は必要,重要と感じ ていながらも,実施していない,実施できない生活現状 が明らかとなった。 (II) 睡眠時間および食事の摂取状況 調査学生の平均睡眠時間は平均で 5.8 時間1.09 時間 であった。日本の成人の平均睡眠時間は 6.8 時間という 報告5) と比較するとやや少ない結果となった。一般的に は 7 時間くらいの睡眠時間が確保できれば十分である。 しかし 6 時間に満たない場合は何らかの健康障害や寝不 足による集中力欠如に陥る可能性が高くなるとの報告も なされている。本学学生の睡眠時間を 1 時間ごとに分け そのパーセンテージを示したものが図 6 である。これを 見ると,十分な睡眠時間が確保できていないと思われる 表 1 新・体力テスト実施項目 テスト項目 体力項目 握力 筋力 上体起こし 筋持久力 長座体前屈 柔軟性 反復横とび 敏捷性 急歩 全身持久力 20 mシャトルラン 全身持久力 立ち幅とび 瞬発力 ※急歩か 20 m シャトルランのどちらかを選択

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表 2 生活習慣関連調査 I 運動実施状況について 1. 現在,運動部や地域のスポーツクラブに所属していますか? 1) 所属している    2) 所属していない 2. 体育の授業以外にどの程度運動していますか? 1) 毎日    2) ほぼ毎日(週 5 日程度) 3) ときどき(週 34 日) 4) ときたま(週 12 日) 5) 全くしていない 3. にお聞きします。 現在,運動やスポーツを行っていない理由についてお聞きします。 該当する番号 1)4)に○をつけてください。また 3)と回答した場合は該当する番号①⑥に○(複数回答可) をつけてください。 1) 運動やスポーツをしたくないから 2) 運動やスポーツが苦手だから 3) 運動やスポーツをしたいが,(①場所や施設・設備の問題 ②時間がない ③仲間が集まらない ⑤ ケガや病気のため ⑥指導者やリーダーがいない)の理由から 4) その他( 4. 運動やスポーツはあなたの生活に必要ですか? 1) 必要    2) ある程度必要    3) どちらともいえない 4) あまり必要でない    5) 全く必要でない II 睡眠時間および朝食の摂取状況について 1. 毎日の睡眠時間はおよそどのくらいですか? (約    )時間 2. 朝食,昼食,夕食を摂っていますか? 1) 毎日    2) ほぼ毎日(週 5 日程度) 3) ときどき(週 34 日) 4) ときたま(週 12 日) 5) 全く食べていない 3. にお聞きします。 朝食を摂らない理由は何ですか? 1) 食べたくない    2) 食べられない・受け付けない(体調の関係) 3) 時間に余裕がない    4) 食べる習慣がない 5) その他(

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学生が全体の約 30% を超えており,こうした学生に対 しては十分な指導が必要であろう。 食事に関しては,朝食,昼食,夕食の摂取状況につい て調査した。朝食については,その摂取状況が「ときど き」から「全く食べない」学生は約半数の 48% という 結果となった。食べない理由としては「時間に余裕がな い」が 54% と最も多かった。現代人の生活は就寝時刻 が遅くなりそれに伴い起床時刻も遅くなり,十分に朝食 を食べる時間を確保することが困難な状況のようである。 本学学生も同様な傾向ではないかと推察される。一方, 昼食,夕食については,「ときどき」から「全く食べな い」学生はそれぞれ 14%,4% と少なく,朝食に比べて その摂取状況は格段に高い結果となった。 つまり,起床時間が遅く朝食を摂る時間的な余裕はな いが,昼食と夕食はしっかり摂っているというのが,本 学学生の特徴であるといえよう。他大学との比較におい ても,本学学生の朝食の欠食傾向は高く,睡眠時間もや や不十分であることから,十分な睡眠時間を確保したう えで起床時間を早め,朝食を摂る時間を確保するよう, 指導していくことが不可欠であろう。 健康の三大要素である運動・栄養・休養について述べ てきたが,それぞれの重要性の認識をさらに高め規則正 しい生活の中でこれらを「三位一体」として改善してい くことが重要であろう。 ま と め ・調査学生の身体的特徴は全国平均と比較して大きな 表 3 体格および身体組成測定結果 年齢 性別 身長 (cm) 体重 (kg) 体脂肪率 (%) BMI 本学平均値 19.01 男子 170.64 62.78 18.87 21.51 標準偏差 1.24 5.28 10.98 5.54 3.21 全国平均値 19 男子 171.73 62.21 21.09 標準偏差 5.54 7.1 表 4 新体力テスト結果 握力 上体起こし 長座位体前屈 反復横跳び 立ち幅跳び 20 m (kg) (回) (cm) (回) (cm) シャトルラン 本学平均値 40.47 24.81 39.97 46.31 200.95 58.97 標準偏差 7.27 4.49 8.85 6.90 21.73 17.90 全国平均値 44.24 27.94 46.03 54.12 232.32 80.29 標準偏差 6.58 5.37 10.81 6.39 21.00 20.61 図 1 新体力テスト項目別得点 図 2 新体力テスト総合判定結果

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資料 1 項目別得点表(男子) 得点 握力 上体起こし 長座体前屈 反復横跳び 20 mシャトルラン 立ち幅跳び 得点 10 62 kg以上 33回以上 61 cm以上 60点以上 95回以上 260 cm以上 10 9 5861 3032 5660 5759 8194 248259 9 8 5457 2729 5155 5356 6780 236247 8 7 5053 2426 4750 4952 5466 223235 7 6 4749 2123 4346 4548 4353 210222 6 5 4446 1820 3842 4144 3242 195209 5 4 4145 1517 3337 3640 2431 180194 4 3 3740 1214 2732 3135 1823 162179 3 2 3236 911 2126 2430 1217 143161 2 1 31kg以下 8回以下 20 cm以下 23点以下 11回以下 142 cm以下 1 総合評価基準表 段階 20歳24 歳 A 50以上 B 4449 C 3743 D 3036 E 29以下 体力年齢判定基準表 体力年齢 得点 体力年齢 得点 2024 歳 46以上 5054 歳 3032 2529 歳 4345 5559 歳 2729 3034 歳 4042 6064 歳 2526 3539 歳 3839 6569 歳 2224 4044 歳 3637 7074 歳 2021 4549 歳 3335 7579 歳 19以下 図 3 運動部・スポーツクラブ所属状況 図 4 体育授業以外での運動状況 図 5 運動・スポーツの必要性 図 6 1日の平均睡眠時間

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差はなかった。 ・本学学生の体力レベルは全国平均と比較して 6 測定 項目(握力,上体起こし,長座体前屈,立ち幅跳び,反 復横跳び,シャトルラン)すべてにおいて低かった。こ のことは,多くの学生に運動の習慣が少ないことがその 一要因であると思われる。しかし,身体活動の必要性・ 重要性の認識は高かった。 ・平均の睡眠時間は日本の成人の平均睡眠時間より短 く,朝食を抜く学生が多かった。 今後の課題 体力測定の結果は全国平均のそれと比べると大変低い ものであったが,運動の必要性の認識は高いようである。 「運動は必要」「運動をしたい」と感じていながらも,実 施できないのが現状のようである。こうした学生のニー ズに応えるためにも,本学においてはさらに施設,カリ キュラム等の充実を図り,体育の授業を通じてより正し い運動方法,運動習慣を身に付け「健康で実りある大学 生活」を送ってもらいたいものと切に願う。また,本研 究では,授業時間内において,全受講生に対応する十分 な測定機材が不足していること,十分な実技時間を確保 するうえで測定時間が限られていたことから,全受講生 735名中 96 名に対して体力測定を実施した。全受講生に 対するサンプル数は少ないものの,本学の「健康とス ポーツ」で開講している 6 種目中,5 種目を受講してい た学生を調査対象とした。つまり,様々な特徴をもった 学生を抽出したことで,本学学生の一定の傾向を見出せ たものと考える。今後は,受講生すべてに対して体力測 定を実施できる体制を整え,本研究で得られた結果を次 年度以降の調査・測定に反映させていきたい。 参 考 文 献 1) 社団法人 全国大学体育連合 情報部:平成 14 年 度体力測定結果調査報告書 第 12 号,2003. 2) 上野陽一,他:相模工業大学学生の体格及び体力 について, 相模工業大学紀要第 22 巻 第 1 号: 67–78, 1988. 3) 芦原正紀,他:相模工業大学学生の体格及び体力 について 第 2 報 —運動能力別に見た本学と全国 の比較及び本学に於ける体力評価基準の作成につい ての検討—,第 24 巻 第 1 号: 149–157, 1990. 4) 栗原英昭,他:本学学生の体格及び体力について 第 3 報 —最 近 10 年 間 の 推 移 —, 第 26 巻   第 11 号: 101–116, 1992. 5) 適切な睡眠時間は?「7 時間説」が有力?:中日新 聞夕刊,2002 年 2 月 18 日.

表 2 生活習慣関連調査 I 運動実施状況について 1. 現在,運動部や地域のスポーツクラブに所属していますか? 1) 所属している    2) 所属していない 2. 体育の授業以外にどの程度運動していますか? 1) 毎日    2) ほぼ毎日(週 5 日程度) 3) ときどき(週 3  4 日) 4) ときたま(週 1  2 日) 5) 全くしていない 3

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