• 検索結果がありません。

アルツハイマー病の老人斑形成機序に関する研究 (I) 急性期蛋白を中心とした免疫組織化学的検討 (II) lnterleukin-6, Interleukin-1の老人斑形成における役割の検討

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "アルツハイマー病の老人斑形成機序に関する研究 (I) 急性期蛋白を中心とした免疫組織化学的検討 (II) lnterleukin-6, Interleukin-1の老人斑形成における役割の検討"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Title

アルツハイマー病の老人斑形成機序に関する研究 (I) 急性

期蛋白を中心とした免疫組織化学的検討 (II) lnterleukin-6,

Interleukin-1の老人斑形成における役割の検討( 内容の要旨

(Summary) )

Author(s)

中山, 崇

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)甲 第330号

Issue Date

1997-03-25

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/14799

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 中 山

崇(埼玉県)

博 士(医学) 甲第 330

平成

9 年 3

25 日

学位規則第4条第1項該当

アルツハイマー病の老人斑形成機序に関する研究

(り急性期蛋白を中心とレた免疫組織化学的検討

(Jl)lnterJeukin-6,lnterleukin-1の老人斑形成における役割の検討

(主査)教授

見 剛 (副査)教授

教授 佐 治 重 豊 論 文 内

の 要 旨 高齢化が進んだ今日,老人性痴呆症は社会的問題となっている。その原因の中で脳血管性痴呆性に次いで多い アルツハイマー病(AD)・アルツハイマー型老年期痴呆症(SDAT)は.未だその病因が解明されていない。 しかしながら.AD脳では老人斑形成が痴呆に関連していることが示され,老人斑は生理的にも加齢に伴って出 現するものであるが,AD脳ではこれが異常に加速されているものと考えられている。従って.老人斑の形成機 序を解明することがAD/SDATの病因解明に結びっくとの考えから,本研究では以下の2つの検討をSDAT脳を 中心に行った:(Ⅰ)老人斑構成成分の免疫組織化学的検討.(Ⅱ)インターロイキンー6(Ⅰし6),インターロイ キン・1β(IL-1β)の老人斑形成における役割の検討。研究(Ⅰ)では急性期蛋白を中心とした多数の物質を免 疫組織化学的に検討し,老人斑形成に重要な物質を明らかにすることを試みた。研究(Ⅱ)では研究(りの結 果を受けて,急性期蛋白の誘導物質であるIL・1やⅠし6が老人斑形成において果たす役割について検討を行った。 研究方法 臨床的にSDATと診断された症例4例(65∼72歳),血管性痴呆症(VD)例1例(86歳).非痴呆患者(対照) 群5例(20∼90歳)から,剖検時に脳組織を採取し,ホルマリン固定パラフィン包埋標本および来園定凍結標本 を作製した。これらの症例について,HE染色およびPAM染色で老人斑を観察し,老人斑に沈着している物質を 免疫組織化学的に検討した。次いで・IL-1,IL・6●IL-6受容体(Ⅰし6R)について免疫組織化学ならびにf鱒血 hybridization(ISH)法により検討した。免疫組織化学的検討は凍結切片を用い.研究(Ⅰ)では,アミロ イド関連蛋白5種類,急性期蛋白9種類,補体関連蛋白12種類を中心に47種類の一次抗体を用い.研究(Ⅱ)で はIL-1a.IL・1β,IL・6に対する各抗体を用いて,ABC法(ストレプトアピジン・ビオチン・ペルオキシダーゼ 複合体法)で検討した。また,研究(Ⅱ)のISH法では,IL・lβ,IL-6,IL・6RのcDNAをクローニングし,そ れぞれのプラスミドからジゴキシゲニン標識されたRNAブロープを作製し.これらのサイトカインおよび受容 体のmRNA発現を4%パラホルムアルデヒド固定凍結切片を用いて検討した。 研究結果 (1)組織化学:HE染色ならびにPAM染色では,SDAT4例とVDl例および高齢(90歳)の対照l例で老人斑 が観察され,残る対照4例(20∼63歳)でははとんど老人斑は認められなかった。 (2)免疫組織化学的検討:老人斑を認めたSDAT4例とVDl例,対照l例の間では,検討した抗原物質の染色 態度に差は認められなかった。染色結果を分類すると,①βアミロイド(Aβ)に比べてより多数の老人斑に陽 性となったもの:補体C3d,al-アンチキモトリプシン(ACT).アポリボ蛋白E(apoE),血清アミロイドP (SAP),ラクトフェリン(LF),a2-マクログロブリン(a2M),a2M受容休(CD91),②Aβと同等かある いはより少数の老人斑に陽性のもの:補体Clq,C3c,C5b-9,C5,アミロイドA,ビトロネクチン.ラミニン, テネイシン,アンチトロンビンーⅢ,トロンボスポンジン,ユビキチン,③老人斑を含め陽性反応を認めなかっ たもの‥B因子,プロパージン,Ⅰ因子.補体受容体1(CD35).リンパ球マーカー,免疫グロブリン,酸性糖

(3)

-17-蛋白,CRP,ハブトグロビン,サブスタンスP,ガラニン,細胞増殖マpカー(Ki-67),の3群に大きく分けら れた。また,補体制御に関与する細胞膜蛋白CD46,CD55,CD59は多くの細胞に陽性となりt SDAT例と対照 例との問で差はみられなかった。HLA-DR,細胞接着分子CD54は対照例に陰性であったが,SDAT例では老人 斑周囲に陽性であった。IL-1a,Ⅰし1βはSDAT敵対照群ともに大脳CAl領域のアストロサイトに微弱陽性で, 両群問に有意の差は認められなかった。IL-6もSDAT脳ならびに対照脳でアストロサイトに陽性であったが,明 らかにSDAT脳で染色強鼠 陽性細胞数ともに増加していた。また,IL-6は老人斑自体にも雲状に陽性であった。 (3)ISH:IL-1βのmRNAは対照群では検出されなかったが,SDAT群では陽性であった0同様に,IL-6の mRNAも対照群では陰性であったが,SDAT群では陽性であった。SDAT群におけるIL-6のmRNAのシグナル は,IL-1βのシグナルより強かった。IL-6RのmRNAは対照群で強い陽性反応が得られたが,SDATの4例では シグナルが著明に減弱していた。 考察 AD/SDATにおける痴呆の発症はAβの沈着による神経細胞の破壊が主要因であると報告されているが,本 研究(Ⅰ)の免疫組織化学的検討では,Aβよりも早期から老人斑に沈着する物質が存在する可能性が示された。 補体C3dを含むそれら沈着物は急性期蛋白に属するものであり,近年に至り脳でもグリア細胞が補体や急性期蛋 白を産生することが示されたことから,AD/SDAT脳ではそれらの産生制御系に異常が生じている可能性が示 唆された。この結果を受けて,研究(Ⅱ)でほ.補体並びに急性期蛋白の産生刺激因子であるIL-1とⅠし6の発現 を検討した。その結果,SDAT脳におけるIL-6のmRNA発現の増加とIL-6RのmRNA発現の減少とが示され,IL-6の増加による急性期蛋白の産生異常のみならず,IL-6Rを介した情報伝達系の異常も老人斑形成に関与してい る可能性が示された。従来はIL-6の増加が老人斑形成を促進すると考えられており.本研究で観察されたIL-6R のmRNA発現の減少という現象は,老人斑形成機序の解明に新たな展開を与えるものと考えられる。 論文審査の結果の要旨 申請者 中山崇はt本研究の結果,従兎老人斑に検出されていた物質の中でも.急性期蛋白の多くがAβに 先行してSDAT脳では検出されることを初めて指摘した。さらに,急性期蛋白産生刺激物質の一つである1L-6は SDAT脳で増加しており,その受容休IL-6RはSDAT脳で発現が減弱している可能性を明らかにした。とくに, IL_6Rの発現滅弱はこれまで報告されたことがなく,この成果は人体病理学ならびに脳神経病理学の研究の進貌 発展に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] アルツハイマー病の老人斑形成機序に関する研究 (Ⅰ)急性期蛋白を中心とした免疫組織化学的検討 (Ⅲ)Interleukin-6.Interleukin-1の老人斑形成における役割の検討 平成9年3月発行予定 岐阜大医紀 45(2):掲載予定

参照

関連したドキュメント

BAFF およびその受容体の遺伝子改変マウスを用 いた実験により BAFF と自己免疫性疾患との関連.. 図 3 末梢トレランス破綻における BAFF の役割 A)

 TABLE I~Iv, Fig.2,3に今回検討した試料についての

の多くの場合に腺腫を認め組織学的にはエオヂ ン嗜好性細胞よりなることが多い.叉性機能減

この小論の目的は,戦間期イギリスにおける経済政策形成に及ぼしたケイ

成績 在宅高齢者の生活満足度の特徴を検討した結果,身体的健康に関する満足度において顕著

 哺乳類のヘモグロビンはアロステリック蛋白質の典

向老期に分けられる。成人看護学では第二次性徴の出現がみられる思春期を含めず 18 歳前後から

一方で、平成 24 年(2014)年 11