ユ38 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(8) モリ タ ユウ コ森田祐・子(昭和
博士(医学) 甲第217号平成5年1月22日
学位規則第4条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程修了者)
ラットにおける妊娠時1,5・anhydroglucitol(1,5・AG)の変動 (主査)教授 大森 安恵 (副査)教授 重田 帝子,門間 和夫論文 内 容 の 要 旨
目的 ヒトにおいて,血中1,5-anhydroglucitol(以下1,5・ AG)は糖尿病の短期間のコントロールを示す指標と して日本で開発された.しかし,妊娠時には血糖値と 関係なく低値を示すことが明らかにされている.妊娠 時になぜ血中1,5-AGが低下するか,その原因を明らか にするため,ラットを用いて妊娠経過に伴う血中1,5- AGの推移と,妊娠時の1,5・AGの母体内分布および母 上相関を調べた. 対象および方法 雌性Sprague-Dawleyラットの,妊娠5日目(n= 14),10日目(n;7),15日目(n=12),20日目(n=15) より採血し,1,5-AG値と血糖値を測定した.1,5・AGの 測定はガスクロマトグラフィ/マススペクトロメト リー/セレクテッドイオソモニタリング法(GC/MS- SIM法)にて行った. また,妊娠10日目(n=7),妊娠20日目(n=6)のラッ トに,14C標識1,5-AG 6μCiを内頸静脈より投与,48時 間,代謝ケージで飼育し,尿と糞を別々に採取した後, 採血,脱血死させ,各組織および臓器の放射活性を測 定した. 結果 1.母体ラット血中1,5-AGは,非妊娠ラット12.02± 2.96(mean±SD),妊娠5日目9.70±2.31,10日目 6.05±222,15日目6.19±1.84,20日目8.79±1.30μg/ mlであった.妊娠10日目,15日目,20日目の血中 1,5・AGは,非妊娠および妊娠5日目のそれと比較して 有意に低値を示した(p<0.01). 2、非妊娠ラットにおいては,血糖値が高い程,血中 1,5-AGは低値を示し,両者には相関関係が認められた (r=一〇.630,p<0.05).しかし,妊娠ラットにおいて は,血糖値と血中1,5-AGの間には相関は認められな かった. 3.14C標識1,5-AGの各組織および臓器での回収率 は,妊娠20日目で妊娠10日目のラットと比較して,有 意に高値を示した(p<0.01). 考察 ヒトと同様にダラットにおいても妊娠時血中1,5・AG は妊娠経過とともに低下し,妊娠時には血糖値と母体 血中1,5-AGに相関関係はなく,血糖コントロールの指 標にならないこどを認めた.14C標識1,5-AGを用い ラット妊娠時の1,5-AGは妊娠20日目の子宮および胎 仔で最も強い放射活性を有し,母体から胎仔への移行 が確認された. 結論 母体から胎仔への1,5-AGの移行は,妊娠時の血中 1,5-AG低下の一因と考えられた. 一772一139