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沸騰水型原子力発電所の耐震性研究

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Academic year: 2021

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(1)

特集・原

子 力

沸騰水

∪.nC.る21.039.524.44.034.44-752:る24.042.7

原子力発電所の耐辰性研究

Some

Studies

for

Aseismic

Design

of

BWR

Power

沸騰水型原子力発電所は,万全の耐震設計が施されているが,よr)合理的な設計 手法の開発と,耐震性の実証を目的として強力に研究が進められている。この論文 では,最近日立製作所で実施した試験及び研究から,設計地震条件についての人工 地震波作成技術及び解析精度の向上を目的とする建物一地盤系の振動解析手法,_並 びに燃料集合体振動試験及び地震時の原子炉停止能力を実規模の試験装置により実 証した制御棒挿入実証試験について,それぞれの概要を紹介する。以上のような, 基礎的な研究から実機試験に至る広範囲な研究成果の積み重ねによって,沸騰水型 原子力発電所の耐震設計が,より信束副生の高いものとなることを期待している。 t】

言 原子力発電所は,安全性の確保を最重視して建設されてい るが,我が国のような地震国では、特に耐震性に留意されね ばならない。沸騰水型原子力発電設備(以下,BWRと略す)は, 多年にわたる建設経験と,試験・研究に裏付けされた設計技 術とによって,高度の耐震性をもつように万全の配慮が払わ れているが,耐震性に対する社会の強い要求に応ずるため, 構造的な改良・開発及び試験・研究が強力に進められている。 拒l

耐無性研究の動向

耐震性に関する試験・研究は,合理的な設計条件の確立に 関するもの,地震応答解析手法の精度向上に関するもの及び 地震応答値の評価,特に機能維持の実証に関するものに大別 される。図=に代表的な研究例を示すが,設計条件の合理化 は,地震学の進歩に伴う設計指針の見直しに関連して,人工 地震波の作成,設計用減衰定数の設定などが対象となってい る。解析技術については,一般的な手法は既に信頼性の十分 高いものとなっているため,特殊な構造物のより精度の高い 解析手法の開発とその立証に,研究の重点がおかれている。 近年,耐震性の実証に関する試験・研究は,設計用地震動が 大きくなり,また地震災害をより厳密に評価しようとする要 求から積極的に実施され,電気計装品の振動試験1)制御棒の挿 入実証試験2),機器・配管の振動測定3)などに成果を挙げてお り.その他の社外の計画,例えば原子力工学試験センターの 超大形模型による実証試験などにも参画している。 上述のように,日立製作所での耐震性研究は,原子力機器 の総合メーカーとして,プラントの基本仕様に関するものか ら,現地での振動測定に至るまで広範囲にわたっているが, ここでは,それらの代表例について最近の成果を概説する。 同 人工地震波の作成 耐震設計の基本条件である設計用の地震動は,発電所敷地 の過去の地震被害歴,地震地体構造などをもとに設定されて いるが,地震動の周波数特性については,強地震記録又は敷 地で観測された地震の波形を用いる方法と,人為的に応答ス ペクトルを定める方法とがある。地震応答解析の手法として, 単純なモーダルアナリシスを用いる場合には応答スペクトル だけで十分であるが,非線形応答解析,振動台加振入力、建 設計条件の合理化 (地震入力) (解析条件き } 減衰定数の算定

Station

笠井洋昭*

田中基八郎*

高柳政明* 盛山武夫** 樫村義貞*** 地震応答解析の 精度向上 (解析法一般) ○上下動応答解析 0 多入力応答解析 (特殊構造物) 。液体揺動解析 0穀体糎動解析 埋設物応答解析 〟αざα言〟Jr()αん才 m乃αんα 打fんα亡ムJγ∂ 几んαダα氾αg才凡才α5ααふJ 〟0γ∫yαγ柁α几んeo ∬α5ん∠m比rα y()5ん∼5〟dα 機能維持の実証と 評価方法の改善 (静的境能) 限界強度試琶夷 (動的機能) 電気・計装品振動試験 その他弁,ポンプなど試験 0 戟器・配管振動測定 図l 耐震研究の目的別分類とその例 耐震研究の目的は3種に大別 される 内について本文に概要を述べている。 屋J末応答スペクトル算出及びモ【ドf成衰によるモーダルアナ リシスを行なう場合には時間履歴の地震波形が必要である。 従来は記≦緑波形を数波使用し,特性の不均一を補ってきたが, このたびJ芯答スペクトルから地震波形を作成する手法を開発 し,より合理的な耐震設計を可能とした。 基準となる応答スペクトルから地震波を作成する手ぎ去には, 記録波形をもとに,周波数成分ごとの応答倍率を修正する方 法(記録波修正法)と,全く新たに正弦波を合成する方法(正弦 波合成法)とがある。前者は,各周波数成分の位相角,主要動 の継続時間を記録波形に依存するが,後者は任意に設定でき ることに特徴をもっている。これらの2種の手法について, 計算プログラムを開発しているが,記録波修正法の作成例を 図2に,正弦波合成法の作成例を図3に示す。正弦波合成法 では,各周波数成分の位相角の関係(現状では乱数を用い,不

規則としている),波形の包終曲線などについて実際の地震波

* 日立製作所機械研究所 ** 日立 ̄製作所電力事業本部 *** 日立製作所日立工場 19

(2)

100 日立評論 VOL.60 No.2(1978-2) 注:一席波形(EL.CENTRO N-S1940) ・---一 修正波形 ly l ▲j人 ぎ

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諾300

200 100 注:一原波形の応答スペクトル(EL,CENTRO NIS柑40) --一視準応答スペクトル(US NRC --…修正法形の応答スペクトル (減衰定数:2%) 札Gl.60) 時 間(s) (a)加速度波形 図2 地震波修正法による作成例 原波形とLてエルセントロ地震波を用い.米国NRC Regulatory Guide l.60による応答スペクトルに合致するように修正を行なった。 20 80 咄 0 40 80 一 一 (一月U)軸確局 1 10 周波数(Hz) (り)応答スペクトル 10 時 間(s) (a)加速度波形 000 0 40 30 20 10 (忘ロ)鵬増兵純増 15 2 3 458789100 の特性に対する考慮が必要であり,人工地震i皮を設計用に使 用する場合の今後の課.題となっている。 口

達物一地盤系の解析

建物の振動特性は,建物が設置される地盤の影響を強く受 けるため,建物一地盤系のモテリレ化に特に留意している。現 在は,図4(a)に示すように,支持地盤の弾性を理論的に等価 なばねに置換する手法が一般に用いられているが,敷地の制 約などにより建物の基礎形状が複雑となる場合には,新たな 解析手法が必要となる。このため,有限要素法を用いたモデ ル化の手法について検討を加えている。 原子炉建屋の解析モデルの例を同図(b)に示す。この例では 地盤を2次元の三角形要素でモデル化しているが,建物自体 には従釆の梁要素を,また建物の基礎には剛体要素を用い, 従来の解析モデルとの適合に留意していることに特色がある。 振動モードの解析結果は同図(c)に示すようであり,比較的軟 らかい地盤についての解析例であるため,一次,二次の振動 モードは建物のロッキング振動が現われている。また,固有 振動数は一次元解析モテリレとよく一致している。更に,この 解析例にも毒覇者に現われているが,有限要素法を用いると, 20 2 3 458789101 2 3 456789柑2 周波数(Hz) (b)応答スペクトル 図3 正弦三度合成法によ る人工地J襲三度例 正弦波 の合成によって,基準応答ス ペクトルに合った人工地震;皮 を作成した。 建物の振動によって誘起される地盤の壬辰動性状を知ることが でき,地中埋設物の解析,建物同士の相互干渉の評価にも有 効な手法であることが分かる。 有限要素法の適用には,地盤のJ尭界条件などに多少の検討 の余地が残されているが,この種の新たな手法を導入するこ とによって,建物一地盤系のより詳細な地震応答解析が可能 となっている。 田

炉心機器の耐震性研究

原子力発電所の心臓部を構成する炉心は,耐震設計上,最 重要機器の一つであり,安全性に対し万全の対策がなされて いる。特に,発電所で感知された地震が一定加速度を超える と,スクラム信号発生により制御棒が自動的に炉心に挿入さ れ,原子炉が停止される。したがって,炉心の耐震性を正確 に評価するためには,振動試験によって解析手法,解析モデ ルの妥当性を確認するとともに,制御棒については地震時の 挿入機能を実証する必要がある。これらの要求に対し,従来 から種々の試験,研究,を行ない設計に反映させているが1)・2), 最近,炉心構造が改良され耐震性が改善されたことに伴い, 一連の試験,研究を行なった。それらの主なものを,次に紹

(3)

沸騰水型原子力発電所の耐震性研究101 5 0 2 2 (a)原子炉建屋 及び1次元 解析モチノレ (b)2次元解析 モデル (0)振動モード 解析結果 (2次元解析 モデル) [::=]ロロ ⊂=コロ[コ

⊂]巳呂

⊂] [ニコ [:=二ニコ [=] ⊂==コ ね ね

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【地盤

固有億 振動モード 固有振動数(Hz) 1次元モデル 2次元モデル 1次 2.65 2.82 2次 4点7 5.21 図4 原子炉建屋の解析モデルと解析結果 有限要素法を用いた2 二欠元の解析モデルでは,建屋の振動によって発生する地盤の動きを知ることが できる(c)。 介する。 5.1燃料集合体の振動実験 燃料棒が8行8列に配列された新型の燃料集合体について, 振動実験を行なった。試験装置としては,容器内に燃料集合体4 体と制御棒1体を実際の炉心と同一構造に設置し,全体を振 動台で加振している。振動試験は加振方向,加振力,加振波 形,制御棒位置などをパラメータとして実施している。図5 に正弦波加振による共振特性の測定結果を示す。この実験に よって,(a)燃料集合体は,空気中では非線形惟を示すが,(b) 水中で地震時の応答に相当するような振幅で振動する場合に は線形系として扱えること,(c)制御棒が挿入された状態では 固有振動数が高くなるとともに,減衰量が増加して応答が低 下すること,(d)水中では,応答倍率が大幅に低下し,固有 振動数が低くなることなどの現象が明らかとなった。これら の事実は,現在の解析が十分安全側であることを示すもので ある。 5.2 制御棒挿入実盲旺試験

地震時にも原子炉の緊急停止(スクラム)が確実に遂行可能

なことを実証するため,動的試験装置を製作した。制御棒の 挿入性については,既に静的に燃料変位を模擬した試験を実 施しているが1),より現実的な状態でのスクラム特性と制御棒 挿入による燃料集合体の振動性月大の変化を測定することを主 5 0 餅軽油填6範《廿

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-■----hrl一l 5 0 ■h) 0 5 (○ (0 5 5 4 (N工)東森盟伸展 100200300400500800700 振動台加娠加速度(Gal) 0 =空気中,制御棒引抜き ● =水 軋 制御棒引抜き □ =空気軋 制御棒全挿入 ■ =水 中.制御棒全挿入 叫-一●

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100200300400500600700 振動台加娠加速度(Gal) 亀 図5 燃料集合体の振動特性 水中では,減衰が大きく応答倍率が低下 すること,制御棒の挿入により振動が抑制されることが分かった。

Ⅶ麒麟

図6 試験装置の全景 中央部の円筒容器内に炉心構造を模擬Lた燃料 集合体と制御棒,及び制御棒駆動機構が設置されている。 目的としている。装置の全景を図6に,構造の概略を図7に 示す。この装置では,実際の炉心と同一の振動性状をもって いるように配列された4体の燃料集/合体と制御棒,及び駆動 機構一式を,油圧加振機によって実際の地震状態とほぼ同様 21

(4)

102 日立評論 VOL.60 No.2(1978-2) 加振方向 ピン支持点 試験容器 加操機 ・占∴.J 二○-' コンクリート

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上部格子版 ト 体 一 合 ポ 集 サ 山村 料 燃 燃 管 内 案 捧 爛 凍m叩 制一御棒駆動機構 ハウジング 図7 制御棒動的挿入試験装置概略図 試験容器を加娠Lて燃料集合 体を振動させ,その状態で制御棒を水圧によって挿入Lてし、る。 に振動させ,振動が十分に成長した状態で制御棒を挿入し, 挿入時間と制御棒位置の関係及び燃料集合体の振動性状の変 化を測定している。試験容器内は常温,常圧としたが,実際 の運転状態でのスクラム特性を推定するために,加振周波数, 水圧制御ユニット(HCU)のアキュムレータ初期圧力を種々 に変えている。図8に制御棒挿入軌跡と燃料集合体の振幅の 変化の一例を示す。この試験では,スクラム時間中,振動数, 振幅一定の正弦波で加振しているが,燃料集合体の振幅が大 きいとスクラム時間は徐々に長くなる傾向を示しており,ま た,燃料集合体の振幅は,制御棒の挿入によって減少する傾 向を示している。図9は,90%挿入に要する時間と燃料集合 体振幅との関係を加振方向,HCU圧力をパラメータとして 示している。ここで,圧力80kg/cm2Gは実機の圧力に相当し, また,圧力48kg/em2Gは非加振時の挿入時間を実機の運転状 態での挿入時間に合わせた圧力である。同図に示すように, 加振方向の違いによる挿入時間の顕著な差は見られず,また, HCU圧力48kg/cn2Gの場合でも,加振機の能力の限界であ る最大振幅(63mm)まで挿入可能であることが確認できた。こ の振幅は,現在国内BWRプラントで推定される地震時の最 大振幅をはるかに超えるものである。測定結果から得られた 動的抵抗力をもとに,制御棒挿入特性のシミュレーション解

析を行なったが,地震入力(ェル・セントロ炉内構造物応答波)

では,この試験の正弦波入力の場合より更に挿入時間が短く なることが確認された。 団 結 言 本稿では,耐震設計の合理化の一助となる人工地震波の作 成法,より厳密な建物基礎の解析を可能とする建物一地盤系 の解析及びBWRプラントの最重要機器である炉心の解析法 の妥当性と制御棒挿入を実証する試験について,それぞれ既 22 3.675 .3. 2 (∈) 仙韓Y漁暫定案 90%スクラム / ●◆ ′ JL叫 ノ′ / / 、 / 炉 庄:Okgねm2G HCU庄ニ48kg/cm2G 周波数:5.4Hz 制御棒挿入前の燃料変位 t・-・・・・・..・...・:Omm -___:27mm _._:40mm .∴…..:47Iれm .__....:57mm 一・n‖〓Vlnワll、

.、Ⅵ1〓ハ1

U 1 2 3 4 5 6.5。8.7.8.91. スクラム時間(s)

儲莞嘉漂憲篤諾

図8 制御棒挿入軌跡と燃料集合体変位変化 燃料集合体の振幅が 増加するに従い,挿入に要する時間が長くなる。一方,燃料集合体の振幅は制 御棒が挿入されることにより10∼25%三成少する。 8 (】U 4 (∽)匪鎗ぺ小へぺ訳○の 加振方向 炉 庄 圧力(kg/妙掛1()U cm2G) 加振波形 記 号 実 測 値

冒訊

00 4880 正弦波正弦波 △0 ロロ ロロ 0 80 正弦波 ▲ 0 48 正弦波 ● 解 析 偵

ロ訓

0 48 地震濾 ▲ ▲△. △ ▲ 血也 0 0 0 10 20 30 4b 50 80 70 初期燃料集合体変位(mm) 図9 90%挿入時間と燃料集合体変位 燃料集合体振幅が±63mmまで 挿入性が確認されたが,地震入力の場合には,更に挿入が容易になることが解 析により確認された。 略を述べた。特に,制御棒挿入実証試験では,国内のプラン トで推定される最大燃料振幅をはるかに超える地震時に,原

子炉の停止が確実に行なえることが実証された。このような

広範囲の耐震性研究を継続して行なって成果を蓄積し,設計 に反映させることによって,沸騰水型原子力発電設備の耐震 性をいっそう高めてゆきたいと念原戻している。最後に,試験 を実施する上で御協力をいただいた東京電力株式会社原子力 開発研究所、及び財団法人電力中央研究所地盤耐震部の各位 に対し,深謝の意を表わす次第である。 参考文献 1)鈴木ほか3名:原子力発電所用電気計装品の耐震設計,日立 評論,59,567∼572(昭52-7) 2)落合ほか2名:日立製作所における原子力機器の耐震研究, 日立評論,53,1116∼1119(昭46-11) 3)加賀ほか4名:原子力プラント主要機器および配管の振動測 定と解析,日本機械学会誌,79,377∼383(昭51-4)

参照

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