電力・エネルギー分野の最新開発技術 〉ol-86No.2
㌣
電源開発株式会社竹
火力発電所第3号機の
引通風機モータに適用した高圧ダイレクトインバータ装
High一仙tageDirecttnve什erAppliedtothelnducedDraflFanMotor
atlもkeharaThermalPowerStationhlo.30tElectricPowerDevelopmentCo..ud.
山田宏彰 〟血∂〟/拍m∂由 岡松茂俊 ざ的eわざ伽伽∂m∂ね〃 荒山 清 桁yoざ伽月「∂y∂m∂ 永田浩一郎 焔/c仙-∂〃∂押∂ 耕 セルインバータ (ダイオードコンバータ+】GBTインバータ) …も i司罵;監済ミ… 〉糊粗 喜怒表 き雲窪霧、 ;邪宗霊 毎 茅 地心--=-【汝恥 あ 言遠 ティー怨′′ ニノ瀕′汚・′、≡ :÷′〉ざ′ミ 高圧ダイレクトインバータ盤 多重変圧器ー弓∨-く
絡〔
wノW.:W....:.,..:州:..∬ノ仏初心ル岬..:....,W野 lM 尚更 周波敦(去)
】▲ ̄■ ̄ ̄∧”m懲迩転義豪簸〆でタ♪〆ノ′一′ン ぷ′洲 ′㌫ 咋竺慧、、′ 町、こ濾-′∧一減速∧′ミ m ∪㊥・ち∼・
商用 v 電源 66k〉 ∼∼∼、∼∼∼ 電源 W6.6kV 夢.麦.、た,∨二′㈱ 滅海覿蔽. (c) 、、、、鎗kく塩感L州〃Ⅷ で芝遜椰 _野
熟成 ̄ ̄_.棚 ̄ ̄ ぷ漂琵 ●〟奨r嚢滋 (b) 注:略語説明IGBT(lnsulatedGateBipolarTransistor),lM‥nductionMotor),∪(第1相),V(第2相),W(第3相) 高圧ダイレクトインバータ盤(a)と多重変圧器の外観(b),および回路構成(c) 高圧ダイレクトインバータ盤はIGBT素子を含んだ多数のセルインバータで構成し.多相電源から可変周波数電源に変換して出力する。多重変圧器では.商用電源を入力し,多相 電源に変換する。 電力分野では,省エネルギーヘの取り組みが急務 となっている。その省エネルギー策の一つとして,発電 所の大型補横モlタの駆動電力を低減させることが求 められている。これまではインバータで補横モータを可 変速制御してきたが,従来のインバータでは出力電圧 や容量が小さいので,事業用火力発電所の大型補磯 への適用は進んでいなかった。 このため,電源開発株式会社と日立製作所は共同 で,高圧・大容量の大型補機にも適用できる 8,250kVA、高圧ダイレクトインバータを開発し,電源 開発株式会社竹原火力発電所第3号礫の7,000kW 誘引通風機モータに適用し、実機試験を実施した。 実機適用にあたっては,電源系統からの外乱があっ てもプラントが安定して運転できるシステム構成と制 御方式を構築し,高いシステム信頼性を実現した。ま た,発電出力50%運転時で,従来に比べて約70%の モータ消費電力の低減が認められるなど,大きな省エ ネルギー効果も得ることができた。Lは評論2004■2L2¶
■ウ
Vo卜86ND.2J
はじめに
火力発電所では,電力需要の変動に応じて,大型フアン・ ポンプの調整用ダンパや弁を絞ることで発電出力を調整して いる。これを行う駆動モータは,発電出力に関係なく一定の 速度で運転されている。このため,発電出力が低いときには, ダンパや弁絞りによるエネルギー損失が大きかった。 モータの消費電力は回転数の三乗に比例することから, この駆動モータをインバータで可変速制御すれば,消費電力 の低減を図ることができる(図1参照)。しかし,従来のインバー タでは,出力電圧や容量が小さく,昇庄変圧器を別に設置 する必要があり,しかもその効率が低いため,大型補機への 導入は進んでいなかった。 そのため,電源開発株式会社と日立製作所は,大型補機 にも適用できる高圧・大容量の高圧ダイレクトインバータを開発 した。これを電源開発株式会社竹原火力発電所第3号機の 誘引通風機モータに適用し,試運転で良好な結果を得た。 ここでは,この高圧ダイレクトインバータについて述べる。2高圧ダイレクトインバータの特徴と
信頼性の確立
2.1特 徴 開発した高圧ダイレクトインバータは,大型補機の電圧 6,600Vまでの適用が可能であり,高効率・大容量などのほか, 以下の特徴を持つ。 (1)既設モータの利用可 単相インバータの多段接続により,正弦波に近い電圧を出 力する。また,高調波を抑制できるため,モータの絶縁劣化 の心配がなく,既設モータをそのまま駆動することができる。 6,000 5,000 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 3 2 1 (≧さ只裔軟禁 ダンパ開度20% 回転数1PO%週
ダンパ開度60% 回転数100% 省エネルギー効果分 省エネルギー効果分 ダンパ開度100% 回転数86% ダンパ開度100% 回転数49% 0 10,000 20,000 30,000 40,000 風量(m3/min) 図1インバータ制御による消費電力低減効果 インバータ制御では,回転数を低下させることで,ダンパ制御よりも消費電力を低 く抑えることができる。22i■ニー欄2004■2
(2)電源系統への影響を極力抑制 多重変圧器を採用することにより,入力電流に含まれる高 調波成分を抑制している。このため,電源系統への影響が 少ない。 (3)インバータ効率の向上 出力側の昇圧変圧器が不要であることから,インバータ効 率は98%と高効率である。 2.2 火力発電所大型捕機への適用にあたっての信頼性 の確立 火力発電所では,設備に異常があった場合の影響が大き いため,高い信頼性が求められる。したがって,以下の条件 を考慮し,信頼性のあるシステムとした。 (1)プラントの制御性と安定した運転 起動・停止時や通常負荷運転時,異常時でも,安定して インバータ運転を可能とする制御方式の適用 (2)外乱に対応する運転継続性 電源系統で停電などの外乱やインバータ故障があっても, 瞬時にプラントの運転が継続できるインタロックと制御方式の 適用3システム構成とプラント制御方式,
およぴシステム信頼性
3.1システム構成 (1)発電所補機の中でも最大級の容量であり,最も大きな 省エネルギー効果が期待できるIDF(誘引通風機)に,高圧 ダイレクトインバータを適用した(表1参照)。 (2)発電設備とIDF(モータ定格:7,000kWX2台,電圧: 6,600V)は既設のものを流用し,多重変圧器と高圧ダイレク トインバータ盤で構成するインバータシステムを,IDFの近くに 迫設した。 (3)インバータ故障時でも,インバータをバイパスしてIDF運 転が継続できるように,商用凹路を残した(図2参照)。 3.2 プラント制御方式 従来のIDFでは,一定回転数で運転し,APC(プラント自 動制御装置)からの指令で人口ダンパを操作し,ボイラ負荷に 変化があっても火炉ドラフトが安定するように制御していた。 表1適用した高圧ダイレクトインバータの主な仕様 高電圧,大容量仕様で,発電所大型補機への速度制御に適用できる。 型式 HlVECTOL-HVl 制御方式 ロバスト速度センサレスベクトル制御 定格容量 8,250kVA 定格電圧 6,600V,60Hz 速度制御範囲 20∼100% インバータ効率 98% 入力側変圧器 24相(8段×3相)変圧器,別置電源開発株式会社竹原火力発電所第3胃樅の誘引通風機モータに適用した高圧ダイレクトイン/トタ装置 Vol.86No.2 インバータ運転中 インバータ商用切換中 商用運転中
Fl
三相 商用電源 蒸気 蒸気 タービン 給水ポンプ ポイラ父
lDF入口ダンパ プラント自動制御装置軍互
FDF 給水 lDF モータ ダンパ開度 制御信号 煙突 発電機 追設範囲 ____⊥ 多重 変圧器 0ロ 層源 多市電 ・-・一排ガス高圧 ダイレクト インバータ lD悶転数 制御信号 商用 運転側 三相可変周波数電源注:略語説明 FDF(Forced DraftFan;押込通風機),旧F(lnduced Draft Fan;
誘引通風磯),52(交流遮断器) 図2システム構成 多重変圧器と高圧ダイレクトインバータを,商用電源と既設モータの間に設置した。 プラント自動制御装置からの制御信号でIDF回転数を可変速制御する。 しかし,インバータ適用後は,火炉ドラフトの変動をIDF入 l_「げンパによって吸収し,IDF回転数をボイラ負荷に応じたプ ログラム制御方式とした。 また,IDF回転数のプログラムでは,省エネルギー効果を 最大限に発揮できるように,インバータ運転時にはIDF回転 数を【Fげるようにくふうした。 3.3 高いシステム信頼性 インバータ装置には,各種の故障検出回路と保護インタロッ ク回路を組み込むことにより,電源系統からの外乱があって も(Strikethrough:不要動作がなく),安定したプラント運 転ができる高信頼性のシステムとした。 (1)運転監視と故障検出 発電所の中央操作室でも現場のインバータ装置の運転状 態を監視できるように,表示や警報を考慮した。また,イン バータ装置内部に各種の故障検出回路〔瞬時停電検出,過 電流,ヒューズ断,過負荷,冷却フアン異常,停電検出, CPU(CentralProcessing Unit)異常など〕を組み込み,異 常の早期検出を可能とした。 (2)インバータ信頼性機能 電圧変動や地絡,部品に故障があった場合でもプラントの 運転を継続できるように,保護インタロックと制御機能の強化 を図り,高信頼性を実現した。このために適用した主な機能 に,電源電圧変動補償機能,過負荷抑制機能,速度変化 率制限機能,モータ故障判別機能などがある。 (諾)痢凝回山口丁雌匪く八一軌□く+ロー 00 旧F入口ダンパ開度 lDF回転数自然 降速中の旧F入口 ダンパ開バイアス lDF回転数 lDF回転数 火炉ドラフト変動大時の 入口ダンパ開度プログラム 切換動作一時停止 lDF入口ダンパ閑度 一時間 図3インバータ・商用切換制御の概要 切換制御時には,lDFの回転数の上昇とは逆に旧F入口ダンパ開度を閉じること により,火炉ドラフトの変動を抑制する。 (3)瞬時停電時での再始動 電源系統に瞬時停電があった場合には,フリーラン中の モータの回転速度を推定する手法により,短時間に,スムー ズなモータの再始動ができるようにした。 (4)インバータ・南川切換制御 商用切換時には,回転数が急上昇し,大きな火炉ドラフト の変動がある。このため,火炉ドラフトの変動を最小限に抑 制できるような制御方式を確立した(図3参照)。
〃
試験結果と適用効果
4.1試験結果 2001年5月にインバータ装置を発電所に設置し,IDFモー タと組み合わせてインバータ実機試験を行い,良好な結果を 得た。主な実機試験の項目は以下のとおりである。 (1)性能確認試験(電源電圧変動,温度上昇) (2)運用性・制御性確認試験(起動・停止,負荷変化,瞬時 停電再始動,高調波測定) (3)異常時動作試験(インバータ・商用切換,損一系運転) (4)その他の効果を確認(騒音確認,回転数低減効果) 0 0 5 (諾)慣印南摺仏-肘 100 (590A) (2,966A) ………… ̄ ̄ ̄ ̄…… ̄■ ̄ ̄ ̄…■- ̄一-、、ヽ 約90$/
商用時の起動電流 インバータ起動時の 電流(2002年6月実測) †起動 図4インバータによるIDF起動電流試験結果 インバータでは,商用暗に比べてモータ起動電流が少ない。 経過時間 口在評論2004.2123lllウ
〉0】.86No.2 0 0 5 0 0 0 0 0 0 0 ∧U 4 3 2 一Ⅰ (苫)櫛仲伽・墳霜怖 0.00 注:Eヨ(商用運転時) [コ(インバータ運転時) 昏(高調波抑制ガイドライン) 帝 砂 甘 血 _刀¶
∩ 亀 辱 瀞∩
せ 争 「1 ● 魯 書 [ 車 亜 着 嘩 m 尊 砂 ● 療 1 3 5 7 91113151719 212325 27 29 3133 35 37394143 454749 51 高調波次数 インバータ起動時の電流測定も行った。その結果,モータ 起動時と商用時には定格電流の約5倍という大きな起動電流 が流れたが,インバータでは起動電流は少なく,スムーズに起 動することを確認した(図4参照)。 また,出力に含まれる電源高調波の含有量を実測した結 果,経済産業省の高調波抑制ガイドライン以下に抑制されて いることを確認した(図5参照)。 4.2 省エネルギー効果 インバータ運転では商用運転に比べて,50%発電出力運 転時に約70%,100%発電出力運転時に約20%それぞれ消 費電力を低減できたことを確認した。 また,季節や炭種によっては,IDFガス量やIDF人口のダ ンパ開度も変化することから,できるだけIDFの回転数を下 げて運転する制御方式を採用したことにより,省エネルギー 効果を向上させることができた。 4.3 インバータ適用によるその他の効果 上記の省エネルギー効果以外にも,以下のような波及効果 を確認した。 (1)動力低減によるCO消り減と環境規制への効果 (2)モータ回転数の低下による騒音低減の効果 (3)モータ起動電流が小さいことによる, 抑制とモータへのストレス低減の効果吉
おわりに
電源系統への外乱 ここでは,電源開発株式会社竹原火力発電所第3号機の 大型補機である誘引通風機モータに高圧ダイレクトインバータ を適用した結果,省エネルギー効果が大きく,起動や停止の ほか,各種性能も良好であることについて述べた。 電源開発株式会社と日立製作所の共同研究によって開 発したこの装置は,2003年10月に実機の長期信頼性試験を24L口媚諭2004-2
図5高調波成分の試験結果 インバータによる高調波成分は、 高調波抑制ガイドライン以下である。 完了し,現在順調に稼動中である。 今後も電力プラントへの高圧ダイレクトインバータの適用拡 大を図り,省エネルギー化と環境対策に貢献していく考えで ある。 参考文蕪犬1)清水,外:Energy Saving by Application of High-Voltage DirectInverter to the TbermalPower Plant,14th Conference
OftheElectricPowerSupplyIndustry大会資料(2002.11) 2)椙Ill,外:省エネルギー追求型の可変速ドライブシステム,日立評論, 82,4,273∼278(2000.4) 執筆者紹介 山田宏彰 感賢 倉 留 急 1992年電源開発株式会社入社,火力事業部技術グループ 所属 現在,火力発電技術の調査・研究開発に従事 E-mail:甘iroakiⅥ[email protected] 荒山 清 1978年口立製作所入社,情報・通信グループ情報制御シス テム事業部発電制御システム設計部所属 現在,火力制御システム設計の取りまとめに従事 E【mail:[email protected] 岡松茂俊 1974年日立製作所入社,情報・通信グループ情報制御シス テム事業部電機制御システム設計部所属 現在,ドライブシステムの設計・開発に従事 電気学会会員 E-mail:[email protected],CO.jp 永田浩一郎 1995年日立製作所入社,日立研究所情報制御第五研究部 所属 現在,ドライブシステムの研究に従事 電気学会会員 E-mail:[email protected]