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30年代アメリカにおける 小売配給の諸問題(2)

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(1)

347   −J−   

30年代アメリカにおける  

小売配給の諸問題(2)  

中  野   安  

序  

独占段階における商業の理論的研究にかんしては,森下二次也教授の画期的   労作『現代商業経済論』(1960年)があるが,その実証的研究ほきわめて立ち遅   れている。もちろん,たとえば,帯川祐音数授の『小売商業構造論』(1962年)  

などの労作もあるこ.とほあるが,しかし,同書の分析は,こ.とアメリカにかん   するかぎり,まったく不充分であり,疑問が多い。そのいくつかの点を指摘し  

ておくことは後論のためにぜひとも必要である。   

小売商業の構造的変化は 

わけ生産面の動向との閑適のもと軋分析する視角をもたずして解明しえないこ   とはわれわれに.とって自明のことであり,教授もそ・の点を力説されている。そ   して,欝1編欝4章節4節「独占段階紅おける中小小売商菜の構造と問題−  

アメリカ合衆国の中小小売商業−」はかかる基本視角から,「具体的」かつ  

「詳細」な実証分析がなされる,ものとされてノいる(同書65ぺ一−ジ)。しかる   に,そこでの分析ほ,商業構造の純粋に内部的分析(それも不充分だが)紅終   始し,その方法論は完全に歎棄されているのである。だが問題はそれにとどま l  

らない。こ.のことは教授が同番の理論編で提示されたいくつかの・独占段階の   小売商美紀かんする・基本テーゼーその若干にかんしてほ疑問があるが,そ   れはともかく−がまったく実証されていないことをいみする。たとえば,第  

1に,「産業(生産)における独占の形成・…・・・叱対応する商業における独占の形  

成」(85ぺ一一汐)というが,両者はいかに対応していたのか。また商業独占はい  

つ形成されはじめ,いつ確立したのか云またそのメルクマ−ルはなにか。欝2  

に,産業資本と銀行資本の癒着紅よる金融資本の成立紅さいし,「こ.の癒着過程   

(2)

第39巻 第4号  

− 2 −   348  

において独占的商業資本もまたこれに蔵極的に参加する」(86ぺ−汐)という   が,その参加の仕方様式はいかなるものか。またそもそもかかる「層極的 

参加」がいつおこなわれたのか。これらの偲要点は教授によって,同節では完  

全に忘却されている。これをあきらかに.せずして,独占的商業資本の独立性喪   失や「金融資本の一・部.」(36ぺ−汐)に.転化したとのきわめて重要なテ∵−ゼは.,  

理論編における空念仏と化すのではないか。第4節の分析は.まずこれらの重要  

論点をあきらかにするこ.とを基本目的としつつ,その過程で,小売業紅おける   集中,独立店の零細性等々の諸点をあきらかに.すべきであった。そうでなけ   れば,一教授自身いわれるごとく−小売構造変化の真にダイナ・ミックな過   程ほけっして把えうるものではない。   

このように,教授のアメリカ小売商業の実証分析ほけっして充分なものとは  いえない。だが,このことは教授のみならず一腰的に.も指摘できることであ   る。そしておそらく,そ・のことは,独占段階に.おける商業の分析に.さいし,き   わめて重要ないみをもつロビンソン・パットマン法へのマーケテイング研究者   の無関心と関係があろう。   

本稿は,ロビシソン・バットマン法のもつ客観的意義を解明することを通じ   て,30年代アメリカに・おけ早産米独占と商業資本との全体としての関係を把え   ようとするものである(もちろんそれは両者の関係を解明する重要でほあるが   ひとつの方法にすぎない)。  

Ⅰ社会的・経済的背景  

(1)  

(i) すで紅のぺたごとく,20世紀把・はいってからの,チェ.L−ンを中心とす   る大規模小売商の急速な発展は,伝統的・独立卸=小売商との間紅深刻な対立・  

抗争をよび起こした。そして,20年代に・ほいると,全国的チェ−ン(national   Cbains)の成立に伴ない,従来の地域的性格をこえ,全国的規模の抗争へと転化  

(1)中野安「30年代アメリカに.おける小売配給の諸問題(1)」『香川大学経済論叢』第38巻   

欝4号,46ぺ−汐以下。   

(3)

349   30年代アメリカ紅おける小売配給の諸問題(2)   ∴β−  

(2) するととも紅,いっそ・う尖鋭化し,社会的緊張を激化させた。それゆえ,問題  

はたんなる経済部面のそれに局限されず,重大な政治問題化の様相を呈しは.じ   めるのである。   

このように.,「繁栄」と「安定」を謳歌した20年代アメリカ経済ではあるが,  

こと配給業にかんするかぎり,再編成の急テムポの進展と,それをめぐる激し  

嗜 い経済的・政治的抗争が展開するレ.ユ.トゥルム・クン†・ドランクの時代を迎  

えていたのである。さて,こ.の抗争は.,28年5月,S′′W.BIOOkbaI・t上院議員  

(アイオワ州選出)提出の,連邦取引委員会による「チェーン・ストア調査」  

決議案が採択される紅いたって,ひとつのクライマックス紅達したといってよ  

($)  

い。こ.の結果,以後7カ年払わたり,チ∴ェーンに.たいする広範かつ徹底的調査   がおこなわれることに.なる。こ.の調査こそほ,のちに.ロビンソソ・バットマン   法案上程の直接的契機となったものである。   

資本主義の独占段階においてほ,経済過程に.おける対立・抗争が,国家の干   渉を誘発することなく,いわば純粋に進展することほ,重大な経済問題にかん   するかぎり,ありえない。なぜなら,かかる抗争をその自然的過程紅ゆだねる   ならば,それは心然的に.−・定の政治的危機を生みだすのであって,それゆえ   に,国家はかかる自然的過程への何らかの介入によって,抗争を調整せざるを   えないからである。このように.,重要な経済問題がただち紅政治問題に転化せ   ざるをえず,ばあい紅よってはまた体制的危機をも招来する点こそは,−・般紅   独占段階とりわけいわゆる国家独占資本主義の時期のひとつの重要な特徴をな   すものであろう。   

さて二,配給業における抗争も,圧倒的に数が多く,国民生活に重大な影響を   あたえ.る中小規模商が関係しているだけに,とうぜん国家の政治的ないし政策  

(2)American EconomicAssociationが1927年度大会で,その歴史においてはじゃて卸    売菜の問題を取り上げたことにも,その反映を見出すことができる(Cf・A脚絆h用   

Economic&vieu),Supple皿ent,Vol.XV‡ⅠⅠ,N0.1,March1928,pP.17−18,24−46)。  

(3)100万ドル以上の費用をかけ,33冊,2694ぺ・−ジにおよぶ問題別調査報告書が作成さ    れ,34年12月14日には『最終報告書.』が議会紅提出された(FederalTrade Commission,   

FinalRebort on the Chain SioreZnvestigation,74th Cong.,lst Sess・,SenりDoc.   

No..4,1934)。   

(4)

第39巻 欝4号   350  

ー 4 −  

的介入を誘発した。したがって,抗争も,政策面からする一・定の修正をへつつ   展開することに.なる。しかし,こ.のこ.とは独占段階に・おける配給巣の分析を狭   義の政策論に解消してよいということをけっしていみしない。われわれの課題  

は,政策面からの修正と,それに・もかかわらず頑強紅展開する配給業内外の基   本的諸関係を分析することでなければならないであろう。だがさらに,政策策   定そのものほけっして純粋に小わば中立的立場からなされるものではない。政   策策定過程への諸利害集団の影響力行使の様相,また,かれら甲インタレスト   が政策策定にし、かに反映しているかをあきらかにせねばならぬ。以下,ロビン  

ソン・バットマン法の制定過程をたどることによって−,これらの点を照射しよ   う。だがその前に.,大規模商(主としてチJ∴−ン)発展の諸原因を,後述に必   要なかぎりに‥おいて.,まずみて.おく必要がある。  

(ii) 大規模チ.ェ.−ンめ急速な出現とその地位保持の基礎は,いうまでもな   く,低価販売=高回転による強蓄積にあったが,これを可能にした原因は,大   きくわけて3点紅もとめることができる。第1は,とく紅発展の初期に.おいて   重要ないみを有したのであるが,チェ−ンが販売面に・おいて採用した経営革新   によ 

system)があげられる。つぎに,チ・.ェーン方式そのものから生ずる組織的利点   および大規模性にもとづく利点が指摘できよう。卸部門の統合=兼営等もこ.れ   に含めてよい。   

さて,第3は,大規模チェーンの利点をそ・の仕入面からとらえたもので,連   邦取引委員会の「チェーン・ストア調査」がチェ−ン発展の「重要な原因(out−  

standing reasons)」のひとつとみなしたところの低価仕入である。大規模チ   ェーンは,巨大な仕入力を背景とした強力な交渉力のゆえに.,供給先から各種   の割引・控除(allowance),仲買料(brokerage fee)等を獲得でき,したが  

(4)  

って実質的価格優遇(price concessions)を享受できる。  

(4)もっとも,この点を否定ないし軽視する論者は多い。たとえば,Cllar lesF・Phillips  

(りThe FederalTrade Commission s Chain StoreInvestigation:,A Note, .JouYmal   

ofMarkeiing,Vol.ⅠⅠ,No.・3,Jan.1938,pp.190−92;The Robinson−PatmanAnti−   

(5)

30年代アメリカにおける小売配給の諸問題(2)   −∂ −    351  

以上の諸原因中,とくに第2。3は,規模拡大の原因となり,かつ結果とも   なり,ますます相乗的に・その威力を発揮するが,ここで問題に・なるのは第3で   ある。なぜなら,第1・2は,それ自身,純粋に経済的観点から,低価販売の   いわば合理的根拠をなすものといってよいが,第3は,かかる合理的側面と同   時に,強力な交渉力を背景とする,供給源からの経済外的収奪の側面を有する   からである。割引・控除を,大恩仕入による製造業老のコスト節減分や配給業者   の提供サーるサーヴィスに照応するとみなす論者ほ多いが,かれらほ.事態をあま   りに.も単純に.把握して−おり,誤りである。じっさいには,割引・控除は,配給業   者のかかる節減分への要求やかれらの提供する広告等のサーヴィスへの対価要   求と,製造業者による販売促進政策との,共通の産物ではあるが,大規模商の   発展につれ,割引。控除ほかかる合理的範囲をこえ,脅迫(threatsand coer−  

cion)kより取得される部分を含むように.なったのである。製造業に‥おける競   争と過剰設備の存在は,かかる事態発生の基礎をなす。   

大規模チ.ェ−ンへの集中的非難がなされ,また仕入面を規制するロビンソン  

・バットマン法制定のもっとも有力な根拠とされたのはまさに.こ.の点である。  

もちろん,ある取引に.おける価格優遇にかんし,両側面を畠的に確定すること   ほきわめて困難である。だがぎゃくに,それがかえってチェーン牒こた.いする非   難を容易に.し,たんなるチェーン・独立店間における割引・控除率格差の存在   それ自体が問題視されるような状況を生みだした。  

(5)  そこで,つぎに,これらの割引・控除の実態をみておこう。   

Price Discrimination Law and the Chain Store, Harvard Business Review,Vol 

ⅩⅤ,No.1,Autumn1936,Pp.63−67),Lebhar,Pala皿Ountain等であるが,一・般に・,   

これらの論者にはチェ−ンのイデオロ」−プ臭が漉い。もしかれらの主張が正しいとすれ    ば,ロビンソン・バットマン法にたいするチェ・−・ンの猛烈な反対はじつに・奇妙な行為と    いうことになる。  

(5)以下は主として,FederalTradeCommission,AnnualRebori,1933・pp47−50,   

およびWいH。S.Stevens, A Comparison of SpecialDiscounts and Allowancesin    the Grocery,Drug,andTobacco Trades.Ⅰ, ,JournalofBusineSS,Volけ ⅤⅠⅠ,   

No..2,ApIil1934,を参照。なお,本筋ではとくに関説しないが,割引・披除の種類別    大きさについては,W。H S Stevens, A CompaIison of SpecialDiscounts and   

Allowancesin the Grocery,Drug,and Tobacco Trades,ⅠⅠ, JourlOfBusい,Vol 

ⅤⅠⅠ,No.3,mly1934,pp.224−52をみよ。   

(6)

352   第39巻 欝4号  

− 6 一  

ⅠⅠ割引・控除の実態  

(i) まずタバコ産業についてほ第1表のごとくである。回答製造企業134社   のうち,29年に偲89社,80年に.は94社が何らかの割引・控除をあたえ・て−いた   が,その取引先としてほ,卸商に比しチェーソがはるかに少数であるにもかか   わらず,割引・控除をあたえていた製造企業数ほざゃくにチェーソのはうが多  

く,またその比率も29年58・5%,30年62・3%とチェ.−ンが高い(コラム〔2〕,  

〔4〕)。これはチューンのなかに相対的に大規模のものが含まれていたことに 

第1表:タバコ部門の割引・控除  

(注)WいHS…Stevens,loc‖Cii・,TablesI,ⅠⅠ;ⅠⅠⅠ,Ⅴ,より作成oカツコ内推すぺて眉分  

比。*カツコ内はコラム(1)に.たいする比。**カツコ内はコラム(3)にたいする  

比。   

(7)

30年代アメリカに.おける小売配給の諸問題(2)   −7−−  

353  

よるものであろう。だがいっそう重要なことほ,割引・控除をみとめた製造企   業売上げ総額のうち,チ.=−ソのシェアは88・2%に・すぎないに・もかかわらヂ,  

割引・控除総額の82.02%を占めている点に・ある(〔6〕,〔7り。このことは(〔8〕,  

〔9〕)にみられるように.,卸商とチ。。、−ンとの間の大きい割引・控除率格差と   なって現われている。  

(ii)食品(第2表),ドラッグ(欝3表)の両産業部門においても,タバコ   部門に.かんして指摘したことがそ・のまま妥当するが,なおこれら3部門につい   て総括的に,若干の特徴をみておこう。まず欝1に,チ・エ∴−ンと取引している   製造企業の50%以上が割引・控除をみとめており,こ・れほ他の小売機関に比し  

欝2表:食品部門の割引・抵除  

(注)第1表に・おなじ。   

(8)

算39巻 界4号    第3表:ドラッグ部門の割引・控除  

ー ∂ −   354   

(注)算1表に.おなじ。  

高率である(〔4〕〕。ところが,ドラッグだけはわずか80・2%紅すぎない。こ申   低率の原因としては,ドラッグ小売業における,大規模チ.ェ−ソを中心とする  

(6)  

再編成の相対的挙れがまず指摘できよう。チ.ェ−ンの多くはいまだ小規模なた   め,チェーンと取引関係のある663社のうち,割引・控除をみとめない468社   ほ,チェー・ンを,割引・控除をみとめている卸商以下に取り扱ったわけである。  

(6)29年に.おけるドラッグ売上げ総額中チ.ェ−ンのシェアは18、5%で,一・般食料品部門で    の39.1%軋比してはもとより,全部門平均223%に比しても低い(GodfⅠ・ey MりLebIlaI・,   

Chain storesinAmerical:}859−1962,3rd ed〃,1963,pp.74−75,倉本初夫訳『チ.ェ−   

ンストアー米国百年史』1964年,83−84ぺ・一汐)。のちに.巨大ドラッグ・チ・ェ−ンに発   

展したものの多くは30年代に√−一合併を通じて−出現したのである。   

(9)

30年代アメリカにおける小売配給の諸問題(2)   −9−  

355  

小規模分散型配給業では,製造業老との相対的関係のバロメーターをなす割引  

・控除の獲得が困難なことはとうぜんである。   

だが,他方では,上述の条件に加え.て,さらに,ドラッグ製造業に・おける寡   占体制の未確立=中小企業の広範な存在が,比較的大規模なドラッグ・チ.ェ.−  

ソが交渉力を集中的に・発揮して,割引・控除を攣得するのを困難にした面があ   る。ぎゃくにいえば,多くの中小製造企業にとって,大幅の割引・控除をあた  

え.て.Lまでチェーンの販路を獲得しなければならないほど,大規模チ.ェ.−ンの意   義は大きくなかったのである。したがって,かれらは不利な割引・控除を拒否  

して,伝統的チャンネルないし割引・控除を強要しない小規模チェ−・ンに依存   できたのであって,このことが,ぎゃくにかれらの大規模チェ.−ンに.たいする   交渉力を強化したといえ.よう。しかしさらに,大規模チ.ェ−ンにとっても,こ   れらの中小企業製品をすべて取り扱う必要がなく,それゆえに,かれらとの間   に,割引・控除を強要しうるほど重要な取引関係が存在しない状態に自らをお   いたとかんがえられる。   

以上の諸点を考慮するとき,ドラッグ製造業の463社ほ,主軋中小企業であ   り,その取引先も主として交渉力の弱い中小規模チ∴ェーンであったとみなして  

(7)  

さしつかえあるまい。−・般に,小規模分散型配給業と小規模高度競争型製造業   との関係に.あってほ,割引・控除の獲得ほもっとも困難であるといってよい。   

上述から,割引・控除獲得は生産・流通の両面における競争=編成状態(産  

(8)  

業構造)に大きく依存していることがわかる。そして,一腰に・,割引・控除獲   得に.もっとも有利な状態は,生産面に・おける競争的寡占撃ないしそれに近い編   成と,流通面におけろ大規模商の支配の確立である。  

(iii) 第2に.,しかし,ドラッグに・おけるような生産・流通の編成状態にあ  

(7)食品,タバコ部門についても基本的に.は同様のことが指摘できる。ただ後者では,割    引・控除をあたえなかった製造企業のなかに巨大企業が含まれているかもしれない○  

(8)もっとも,かかる関係から,直線的に・部門別割引・控除格差を説明できるわけではな   

く,部門別の価格設定方式の差異その他の要因が考慮されねばならない◇たとえば,ド   

ラッグにおける高割引・控除率ほ,ドラッグ品の高利潤マ・−・汐ソをも反映しているので   

ある。   

(10)

欝39巻 第4号   356  

−∴拍・−  

っても,個々の大規模チ.ェーンほ高率の割引・控除を獲得できた。ドラッグ部   門でほ.相対的紅未尭展とほ.いえ,巨大な売上げを保証サーる大規模チ∴ェ−ソほ   最良の顧客であり,それゆえにかれらの要求把・寛大とならざるをえない。−・般   にかかるディレマに陥るのほ.,主として−伝統的チャンネルのみに依存しうる小  

規模製造企業よりも,チェー・ンをも販路とせざるをえ.ないような生産能力を有  

す・る比較的大規模の企業に.ちがいない。高度競争型の産業でほ,規模=生産能   力の拡大そのものが,配給業者にたいする相対的地位を低下せしめる。かくし   て,大規模ドラッグ・チェーンほ欝4表のごとき高率の割引・控除をえていた   のである。  

第4表:大規模ドラッグ・チ.貰.−・ンの割引・控除率   

(注)AlbertHar・ing,ReiailPriPce CutiirngandIts Controlb.y Mdnu.fdciurcrs,  

1935,p.46,その他より作成。  

* 30年に100店強。  ** 仕入額に.たいする割合。   

こ.のこ.とは程度の差ほ.あれ,食品チ・ふ−ンに.かんしても妥当する。たとえ.ば,  

A&Pは,約300社から割引・控除を受けとっていたが,注目の的にな 

の「優先得意先名簿(preferredlist)」把.は,食品産業のトップ会社がたとえばっ   ぎのごとく記されていた。「AImOuI・&Co.常得意筋。肉かん詰の広告控除とし   て3〜5%,精肉ほ買付総額が1,000万ドルに達すれば0.5%の大豊仕入割引」。  

「GeneralFoods Corp.得意筋。広告控除として一・樺3万ドル,Baker s choc・  

(9) 01atel箱につき大豆仕入割引として0.066ドル」。そして,84年に.A&Pは  

GeneraトFoodsから約800万ドル仕入れ,5%(約40万ドル)の特別広告控除  

(9)∫∂g♂.,p.223,訳,247ぺ」−ジ。   

(11)

30年代アメリカにおける小売配給の諸問題(2)   −ヱノー   357  

(10)  

をえている。同年A&Pは,全体として,610.5万ドルに.も達する控除と200万   ドルの仲買料をえた。その重要性ほ,同年の普通株配当1,400万ドルと比較す   れば充分あきらかとなろう。さいごに,もうひとつ,A&Pが高率の割引・控   除を獲得していたじじつを,ヨリー・般的数字でしめそう。第2表〔8〕に.表示さ   れたチ.ェ.−ンの割引・控除率のうち,A&Pだけに.ついてみれば,それぞれ   2.37%,2.42%といらじるしく高い。これに反し,A&Pを除外して計算すれ  

(11)  

ば,29年は,1.89%から1.35%へ,80年ほ,2..02%から1.59%へと底下する  

(食品チ.ェーンの29年にLおける平均売上げ純利益率ほ2.68%)。  

(iv) 欝3の特徴は,29年に比し,80年のはうが高率の割引・控除をあたえ   られていることである。その原因ほ,いうまでもなく,不況の深化に伴なう製   造企業間競争の激化,したがってまたかれらの配給業者紅たいする相対的地位   の低下紅ある。製造企業ほ,売上げ減少による間接費増加を回避するために   も,チ.ェーンの要求に寛大とならざるをえない。だが,これがかえって,製造   企業の収益改善を唱害し,それゆえにかれらの割引・控除切り下げへの内的要  

求な強化する。資本が自ら.の力のみを頼りに・,この要求を具体化し,割引・控  

除率の引き下げという思い切った政策を採用したのがタバコ部門である。   

80年に,タバコ製造業者は,割引・控除率を,チェーンにたいしては9.67%  

から4.99%へ,卸商にたいしてほ息03%からl..42%へと大幅に引き下げた(欝   1表〔9〕)。かかる政策は,配給業者との相対的関係で圧倒的優位にある高位集   中・協調的寡占型の部門紅おいてのみ可能である。じじつ,周知のごとくタバ   コ産業は,いわゆるビッグ・.スヅ岬(Reynolds,American,Liggett&Myers)  

uo)JosephCornwallPalamountain,J【」,The Politics ofDisiYibuiion,1955,pp 65   

−66,n.28 

椚)J凝d.,pp.66−67..以上の2部門と異なり,タバコのはあい,割引・控除をえていたの    はもっばら中小企菜からであろう。なぜなら,同部門ではチェ−ンの発展がもっとも遅    れていたからである。29年のタバコ製造企業売上げ総額のうち,小売商(主として.チェ   

ー・ン)への適売は4%,35年でも5り2%を占めるにすぎず,他方,卸商・汐.ヨバ」−は    それぞれ8飢6%(29年),63.9%(35年)を占めた(Cf‖ ぶ≠〃≠ど・5わcαJA∂ぶ≠γαC才〃ノ〟わ   

Uniried Staies,1942,p.953,Table928n なお,より詳しくほ,Censusof Business,   

かねわ勃知勇鍬=げ−肋〝〝ノおc′〝rβr.ざ ぶαJ♂ざ,1939,p.30ff‖をみよ)。   

(12)

358   滞39巻 第4号   

−・エ2−−  

が主製品のシガレットで90%前後のぺ/よアを有し,完全な協諷行動をとってい   たのである。おそらく,割引・控除率の引き下げも同様にしておこなわれ,い  

くつかの独立系の中小企業もその政策にフォ・ローしたため,上述のごとき結果  

(12)  

となったのであろう。   

不況という−・般に製造業老に.とって,不利な時期に.割引・控除率を引き下げ   るという政策ほ,タバコのごとき高位集中・協調的寡占製産業においてのみ可   能なのであって,−・般にほ,その内的要求がいかに.強化されようとも,不可能  

(13) なことであった。それえに,国家権力を利用しつつ,すなわちNIRA『規約』お  

よびロビンソン・バットマン法を通じて引き下げを実現していくことになる。  

そして,たとえ資本みずからのカによってそれを実現したタバコ産業の支配的   企業といえども,かかる国家権力の利用に反対する理由はまったくない。  

1ⅠⅠ ロビンソン・バットマン法の制定過程   

(i) 前節における割引・控除の実態分析に・よって明白になった点を,後述   に必要なかぎりに.おいて要約すれば,つぎのとおりである。(i)害帽巨控除   ほ,大規模商の重要な収益源をなし,強蓄積の有力な1条件をなす。(ii)割引・  

控除ほなによりもまず製造企業と配給企業との相対的関係をしめす。(iii)配   給企業の規模と割引・控除との間にほ正の相関関係が存在する。(iv)不況紅よ  

り,−・般に,製造企業はヨリ高率の割引・控除をみとめざるをえなくなった   が,それゆえに,かれらの切り下げ要求に・特別のドライグがかかった。  

は辺 タバコ産業のばあい,恐慌による需要低下は生じなかったが,それでもなお低下を予   

想してかかる政策を採用した。そればかりではない。31年6月,不況の轟只中でさら紅    卸価格を引せ上げ,′ト売価絡も1箱あたり14セントから15セントへと引き上げた。この    結果,同年の5大タバコ会社ほ史上第2位の巨利をえたのである。しかし,他方では10    セントの economy brand が大いにうけ,そのVェアをz31年8月の1%強から32年   11・12月には20%へと飛躍的に高めた。また新参入企業も続出し,そのため,ビッグ・   

スリー・のシェアは31年の90・5%から39年には68 0%へと大幅世.低下したのである(Cf.   

Simon N.Whitney,Anii−trust Policies,1958,VoLⅠⅠ,pp。22−25;ウオルタ・−・アダ    ムス編『アメリカの産巣構造」嘉治美三監修,428−29ぺ一汐)。  

仏訝 製造業者『規約』に現われた割引・控除率切り下げについては,中野安「NIRA期の小   

売業蔽っいて」『研究年報(香川大学経済学部)』第5号(1965年),公0ぺ−汐以下参照。   

(13)

30年代アメリカに.おける小売配給の諸問題(2)   −∫β −    359  

すで紅くり返し強調し,上記(iii)でも総括したようにり配給業者にあたえら   れる割引・控除は,かれらの規模と密接に関連するのであって,両者の関連を断   ち切り,割引・控除取得問題を,主として,たんに個々の配給業者の仕入技術  

(14)  

巧拙問題に還元するのほ誤りである。じじつほ,製造企業が,巨大仕入力を背   景に.した脅迫にあって,大規模チェ.−ンに特別待遇(preferentialtreatment)  

をみとめざるをえなくなったのである。それほ連邦取引委員会の調査によって  

(15)  

も証明される。かかる脅迫なるものの当否はここでの問題ではない。大規模チ   ェーンに.あっては,「取引停止」「他社購入」「自家製造」等の強硬形態から,脅   迫かどうか識別不能にちかい形態にいたるまで,種々の脅迫が渾独で有効紅な  

しうる。これにたいし,独立商由ばあいは,小規模なるがゆえに.,要求実現の   ためには共同行動をとらざるをえザ,それゆえボイコットないしそのおそれあ   る行為として,連邦取引委員会法かレヤ−マン法に.抵触するにいたる点こそが   問題である。したがって,現行法とその解釈ほ.,Palamountainも明白に指摘  

〈16) するごとく,客観的紅は大量配給方式を強力に・促進サーる役割を果したとし、っ  

てよい。   

他方クレイトン法は,独占の有力な武器となっていた価格差別の抑制をはじ   めて規定し,第2条で,品質,数量,運送費等の差異にもとづかない価格差別   で,しかもそれが実質的紅競争を減殺し,またほ売手ないし買手に独占を生ぜし  

u4)J.C‖Palamollntain,Ob‖Citl,pp.67−68.Palamountainを含め,割引・控除がもっ    ぱら仕入技術の巧拙把依存するとみる論者は,A&Pにつぐ規模を宿するⅩⅠ・OgeI・が,「′J、   

規模チ.‡.−・ンめそれ紅もおよばない」程度の割引・控除しかえていない,という「例」   

をしばしばもちだす。しかし,34年に.XI 喝eIは促進控除534,735ドル,数量割引379,693    ドル,仲買料236,209ドル,計約115万ドルをえていたのであるから,けっして「取るに    たらない額」とはいえない。だが,さらに,配給共に・おいて咋,例外現象はとく紅多   

く,それを探しだすのは容易である。それによって全体的・基本的関連を否定するなら    ば,重大な誤りに.陥ることに.なる。  

㈹ たとえば,食品製造企兼で割引・控除をあたえた76杜(第2表)のうち,43社は Ⅰ−eト    ativeユy willingユy に,10社は要求され,お社は取引停止に.よる売上げ減少ののち,そ   

れぞれみとめたといわれる(Ibid.,pp.71−72)。だが,このうち43社の relatively will−  

ingly, な割引・控除許与に.は疑問がある。ただ,と.こでは脅迫把は種々の形態があるこ    とを注意するにとどめる。  

仏領J∂よd.,p.71,nl43 

(14)

第39巻 欝4号  

ーJ4 −   360  

める傾向のあるばあい,それを禁止した。だがこれも,ロビンソン・パットマ  

(17)  

ン法に.よる修正までは「死文」同然であった。なぜなら,同法の運用自体に問   題があったし,上記規定そのものが,曖昧なうえ,他に.も抜け道が多かったか   らである。たとえばいかなる価格優遇捨置も,「誠実に競争軋対処する(in good   faith to meet competition)」ためになされるならば合法とされたし,割引と  

コストの差異との関連にかんする厳密な規定ほ欠落していた。さらに,価格面   の差別のみを禁じたために,広告控除等に.みられる実質的価格優遇を取り締ま  

i1い  

れなかった。   

連邦取引委員会の『チ.ェーン・ストア報告書』は,チェ−ンの独占化傾向を否   定し,またチ.ェ−ンへの課税に反対した。しかし,割引・控除その他による差   別価格にかんしては,クレイトン法の厳格な適用によって規制しうるとしなが  

らも,第2粂の適用は裁判所に.より阻止されていたとし,′結局,同条を,相異   なる買手間払おける不当・不正な価格差別を禁止しうるよう修正すべきだと勧   告したのである。だが,それでもなおチ・よ−ンの仕入上の利点ほ解消しないの  

であって,それをさらにべつの新立法によって抑制すべきかどうかは重要な社   会的・経済的問題である,とだけのぺて明言しなかった。  

(ii) 30年代にはいり,不況がいちだんと深化するに.つれ,ノ配給業に.おける   規模間の対立はなおいっそう激化する。そして−,中小規模商に.よる大規模商非   難の声ほさらに高まり,多面的となったが,こと割引・控除問題に.かんするか  

ぎり,製造企業と中小規模商との利害が丁数するこ・とほ,すでに・のべたところ   からあきらかであろう。また,じじつ,中小規模商に.よる大規模商の取得する   割引・控除への非難は,製造業者−とくに大規模のそれ−の意向を客観的   紅はもとより,主観的に.もある程度体現していたといってもよいはどであっ  

u7)Ibid小,p、189ff.およびA.Earing,0♪.c紘,p.45,を参照せよ。連邦取引委員会は,   

この22年間紅,同規定にもとづき亜件の差止命令をくだしたが,有効だったのは8件に   

すぎなかった(Corwin D.Edwards,The Price Discriminaiion Law,1959,p‖6)。  

仕掛 なお,クレイトン法とロビンソン・バットマン法との主要相違点紅ついて闇,B11Ⅰ■・   

tonA Zorn andGeorgeJ。Feldman,Business Underihe New PriceLaws,1937,   

pp.69−71,をみよ。   

(15)

30年代アメリカにおける小売配給の諸問題(2)   −お−  

361  

(ユ9)  

た。かれらは,少なくとも客観的にほ.,大規模商と割引・控除問題で対立する   大規模製造企業への従属を深めるこ.とに・よって二,そして・積極的にその先兵とな  

ることに.よって,自己の存続をほかろうとしたといってよい。   

かかる状況下に.おいて,中小規模商にとってタイミングよく,さきにみた連   邦取引委員会ゐ調査結果が公表され,割引・控除の実態があきらかにされると  

ともに,クレイトン法第2粂の修正勧告がなされたのである。これが,かれら   の反割引・控除運動にフル紅利用されたことはいうまでもない。しかしながら,  

NIRA期に.ほ,すでに.みたごとく,中小規模商の要求はかなりの程度製造業者  

『規約』に.よってみたされていたため,目立った動きはなかった。だがその末   期,NIRAの達意判決が確実視されるように.なると,卸商を中心に・,すでにつぎ   に.とるぺき立法措置が考慮されていたといわれる。これを証するかのように,  

NIRA違憲判決(85年5月27日)のわずか15日後(6月11日),Patman議員(テ  

(20)  

キサス州選出)が下院で,6月26日に,ほRobinsて)n議員(アーカンサス州選  

(21)  

出)が上院で,それぞれ同一・内容の法案を提出した。以下同法案の目的,成立  

(22) 過程をみることに.しよう。それに.よって,同時に.,独立商のチェーンに′たいす  

る基本的姿勢,諸利害グループの反応形態およびこれらの間の力関係の推移と   その帰結もあきらかに.なろう。  

(iii) ロビンソン・バットマン法零を準備したのほUnited StatesWhole−  

㈹「大規模商と小規模商との間の重要な利害対立のひとつは,大規模企兼がその供給先    から譲歩を強取する能力にある。/J\規模商は大畠仕入カの差別的有利さを減殺しようと    するさい,しばしば製造業者に.味方したほうが有利なこと貯気づく′ノノ′′ノ」(Rutb P・Ma・   

¢k,C∂〝如才Jf〝g点βタα〜Jβγざ,1936,p・8−1)。もちろん,販売価格が維持されるはあいは,   

製造企業内部で,割引・控除をめぐる規模間の対史.がきびしくなるので,事情はこれは    ど単純ではなくなる。  

御 Patmanは弁護士,退役軍人で,退役軍人や中小企業の擁護者としてしられている○  

釦 35年1月,算74議会算1会期に,Mapes下院議員その他に・よ●り,連邦取引委員会の   クレイトン法第2灸修正勧告にしたがう,クレイトン法の修正法案がいくつか提出さ    れ,また3月1引ヨ紅Robin$0王1上院議員も1法案を提出した。だが,Patmanらの法案    がもっとも注目をあぴたのである。  

位2)以下については主としてつぎを参照,B.AいZornand G.J。Feldman,Obい Cii・,pP・   

51J7;John P.NichoIs,The Chain Store$7セIIsZtsStoY・.y,194O,PP・159→61;JりC・   

Palamountain,OP。Cii.,Cb‖ⅤⅠⅠ;CいD.Edwa工ds,Ob、Cit.,p・21ff.   

(16)

−J6−   第39巻 第4号   362  

Sale Grocers Association(USWGA)の顧問弁護士 Teegarden であり,  

USWGAはその後も同法案成立に.指導的役割を果した。そのはか同法案の有   力スボンサ−としてほNationalFoods Brokers Association,NARD,ドラ  

ッグの卸商,NARG等があげられる。さて,これに.よってこあきらかなように,  

原案作成段階ほ,中小規模商およびそれと利害をともに.する卸商の完全なイニ   シアティブのもとに.あった。   

同法案はM・般に反チ.=.−ン法案と俗称されたが,Patmanはそれを否定し   て日く。「われわれは・・…・チェーン・ストアと通信販売店が営業する権利をみと   める。かれらほ,わが国で他のだれもが有するのとまさに.おなじ営業の権利が   ある。本法案ほ,かれらがもち,またはもつぺきいかなる権利ないし便益をも   破壊しようとするものではない。本法案は,わが国のすべての独立商人に.,大   規模チ.ェ∴−ンまたは大規模企業が享受するのとおなじ権利,特典,便益,機会  

(23)  

をあたえようとするものであって:,それ以上のなに.ものでもない。」(算1回聴   聞会での証言)0そして,同法案が,連邦取引委員会の立法勧告と完全に−・致   し,ただ同法案ではいっそう明確な規定がなされたため,ヨリ容易かつ有効に   勧告意図を実現しうるこ.とが強調された(Teegardenの声明)。   

ここに同法案の究極の目的が簡明にのぺられている。それはすなわち独立滴   の擁護にほかならない。これを実現するために・ほ,チェーン鱒よる「破滅的競   争」展開の基礎をなす差別的仕入価格,つまり大畠仕入カを発挿しで取得する  

ところの,大畠仕入が製造企業にもたらすじっさいのコスト節減分以上の割引   や,実質的価格優遇たる不当な控除を阻止しなければならない。同法案は,こ  

(24)  

れをクレイトン法第2条の修正によって実現しようとしたものであった。この   ことは,とりもなおさず,NIRA期に『規約』によって享受した,独立商に.相対  

的に有利な−とい。つても大規模商の割引・控除切り下げによるもので,′独立  

鋸)NH小Engle, Implications of the Robinson・Patman Act for Marketing, .Iour.   

〃ノ〃わ劇痛〝g,VolりⅠ,No.・2,Oct..1936,pp..48−49より再引用。  

銅一クレイトン法までは,主としてj/ェア拡大のための地方別価格差別(とくにlocalprice   

Cutting)が問題紅されていた。それにたいしロビンソン・バットマン法は一節3条1   

項でいちおうそれも禁止しているが一主として個人的差別を問題にしている。   

(17)

30年代アメリカに.おける小売配給の諸問題(2)   −J7−  

363  

商が製造企業からヨリ有利な割引・控除を獲得することによるそれでほないが  

(2さ)  

一割引・控除制限規定を復活せしめることをいみする。   

このような方法による伝統的卸=イ\売流通方式の擁護が,チ■エ・−ンへの真正   面からの対決=その排除,を合意しないことは明白である。Patman証言で  

も表明されているごとく,そこにはチェ∴−ンにたいする積極的・攻撃的姿勢ほ   みられず,チ.ェーンとのいわば「共存思想」ないし「平等主義」といった防禦   的姿勢がつよい。かかる特徴的基本姿勢は,配給業に.おける規模間対立の激し   さをかえりみるとき,奇異の感に打たれるかもしれない。しかし,、それは,、当   時配給業界においてすでに.支配的地位を確立していたチ,エ.−ンへの現実的対応   の仕方をしめすものである。大規模チ.ェーソ非難の激しさの背後に.あるもの   ほ,現在の配給システムの,独立南紀有利なそれへのドラスティックな変革忠   誠でほない。むしろ所与の配給システム下で存続の道をなんとか求めようとす   る保守意識の激しさなのである。独立商のかかる意識転換の背後にほ,大規模   チ.ェ−ソ・システムの,配給界における確固たる定着があった。   

さて,かかる独立商の現実的対応ほ,ニェ−−・ディ−ル展開下の状況に・おい   て,その説得カをつよめるものであった。このことほ,大規模商に.よる同法案   反対運動に一雇の困難をあたえた。さらに.,同法案支持者たち紅よってなされ   た「チL.ェ−ンによるVerCticalpowerIの濫用を阻止し,コスト節減に.もとづく   割引のみをみとめるのだから,経済効率の兵の増進に・貢献す早」と中主張は,  

製造業者(や農業生産者)のインタレストを完全把.代弁したものであり,かれ   らの支持を保証するものであった。与・れは,チ.ェ.−ン税法制定運動のばあいと   は決定的に.異なる点であってニ,同法案の成立に重要な意義をもっていたといえ   る。とは.いえ,製造業者が同法案成立のために.積極的に働いたわけでほ.ない。   

同法案にたいする製造業者の態度ほ,表面的にほ.,−・般に消極的であった。  

㈹ 「…ロビンソン・バットマン法は低仕入コストの買手に不利な価格差別を要求し,   

それを有利に利用しうるどの売手グループにたいしてもNRA塾の公開価格協定を要求   

するものだ。1同法は,まったく,これに.関係あるNRA規約の再判定以外の何物で   

もない。」(M.A′JAdelman,A&P,1959,p.177)   

(18)

第39巻 第4弓   364  

− ∫β−  

PalamountaiI】把よれば,製造業者ほ,さいしょ,同法案をまじめに.取り上げ  

(2¢)  

なかったといわれる。じじつ,35年7月に.開かれた最初の下院司法委員会の聴   聞会払出席したものははとんどいなかったし,重要な利害関係を有する AmeI…  

ican Grocery Manufacturers Associationの会長と顧問弁護士は,同法案の   目的に同意しつつも,部分的紅反対する書■面を提出し,しかも;出席はサボる  

(27)  

という奇妙な態度をとったのである。またAssociation ofIce Cream Manu−  

facturersの代表ほ修正をサey.ェストした。製造業老のかかる態度はその後も   たいして変らなかったといってよいだろう。   

NIRA期に.,大規模商のつよい反対を押し切ってまで,『規約』に.割引・控除   制限規定をもうけたことを憩起するとき,製造業者の消極的態度ほ奇異の感を   あたえるかもしれない。だが,その原因としては,はば以下の諸点が指摘でき   る。まず第1に.,製造業者のかかる態度は,大規模商の圧力をぬきに.してほか   んがえ.られない。それゆえ,われわれほ,むしろ,製造業者がチェーンに.よっ  

(28)  

て期待されたはど同法案軋反対の証言をしなかったその消極性をこそ評価しな   ければなるまい。つぎに,自己のインタレストをも代弁する独立商の戦闘的活   動のゆえ.に.,自らが積極的に活動するまでもなく法案成立の見通しがあった(  

これと類似の例ほ.,おなじ80代に‥おける公正取引法〔再販売価格維持法〕制定運   動に.もみられる)。それと同時に,かれらの表面上の消極的態度は,とくに  

NIRA後期に.顕著な反独占世論の高揚を考慮した行動形態の採用と関連があ   ろう。さいごに.,同法案成立に.よって直接影響を蒙るのは,主として消費財産   業であり,しかもさらに.,その流通部面で大規模商がかなりの程度発展して−い   る分野であることに.よる。したがって:,生産財生産部門の製造業者や大規模商   C6)J.C.Palamountain,Ob.ci t.,p。207,n.、33 

閻 もっともBadeIは「 ‥ロビンソソ・バットマン法は,.主として−,食品の製造菜者,   

卸商,小売商に.よっで支持され,かつ議会工作がなされた….」とのぺている(Louis    Bader, A SuI・Vey Of Consumers andIndependent Store Owners Reactions to   

RecehtpriceLegislation:,Jour.0.f Markeiing,Vol.IV,,No.1,July1939,p.   

59)。しかし詳細は不明である。  

C28)Cf,J.C.Palamountain,OP.cii.,p.222.大手の農民組合も同様無関心といってよい   

態度であった。   

(19)

30年代アメリカ紅おける小売配給の諸問題(2)   一員クー山   365  

の発展があまり載られない分野の製造業者は,同法案がとりあげた問題自体が  

(29)  

存在しないため,無関心たりえ.た。これが,一・般に,製造業者の消極的態度と   して映じたのであろう。   

かくして.,同法案をめぐる状況は,チ、エ、−ンに.とってきわめて不利であっ   た。とくに.その初期段階での劣勢と反対運動の立ち遅れは決定的であった。そ  

こでチェーンほ,同法案の成立を不可避と情勢判断し,同法案紅真正面から反   対するよりも,あま−りドラスティックでない法案へと修正するいわば骨抜き戦   術を採用した。かくして多数の修正案がだされ,また他方でほ,よりマイルド  

($0)  

な内容のBoIab−VanNuys法案も有力化しはじゃる。 

このような戦術によって審議を引き延ばし,時間をかせいだチェ∴−ソ側は.,  

初期の立ち遅れた態勢を急速に.建てなおし,そのすぐれた組織的・経済的力を背   景に.強力なロビイング〝とく紅上院への−を展開しほじめる。この結果,  

36年に.はいるとチェ.L−ソ側の圧力ほ急速把.つよまり,35年7月の聴聞会では,  

同法案支持者が多かったの紅たいし,36年3月にr開かれたBorah−Van Nuys   法案に/たいする上院司法委員会の聴聞会は,ロビンソン・バットマン法案に′た   いする攻撃会のごとき観を呈するまでにいたる。同会では,27人の証言人全員  

がそれに.反対し,そのうち別人はBo柑b・Van Nuys法案がまだましだとしたの  

である。主な反対者は,チ.ェ.−・ン関係を除くと,マーケテイング研究者,2〜  

3の小規模消費組合代表,百貨店代表,チ.ェ.L−ソに従順な2〜3の製造業者と   農業生産者であった。   

かくして,初期段階では原案のまま通過する可能性が大であった同法案は,  

とくに上院で支持をうしない,おびただしい修正案がでて,審議に混乱が生じ   たくらいであった。しかし,チ∴ェ−ン側が期待したような廃案に.なる可能性裸  

C29)NationalCoalAssociation,American Mining Congress,Manufacturing Chezn・  

istsAssociation,の各代表の意見は,かれらの産兼紅ほ存在しないチェー・ン問題阻関    している同法案が,もし成立し,−・般的紅適用されること匿.なれは,かれらの営巣に.き    わめて破壊的な影響がある,というものであった。だが,これは誤解といってよいだろ   

う。EdwaIdsに.よれは,食品業以外から生じたこれらの反対紅,委員会は若干当惑し,   

そのため6カ月間同法案は棚ざらしに.されたという(C.D.Edwards,ObりCit.,p。23)。  

倒その内容については,.丁.C.Palamountain,♂ク.c払,p.221,をみよ。   

(20)

第39巻 第4弓  

一一一 ヱ0・一   366  

なかった。ARF(American RetailFederation)をめぐる紛争と調査が,世論  

(鋸) の注目をあび,同法案成立に.一億の,直接的役割を演じたのである。ARFを調  

査する−\連の聴聞会 【 それはロビンソン・バットマン法案の審議と併行して   開かれて.いた鵬において大規模チェーンの獲得していた価格,割引・控除   の実態が暴露され,とくに.A&Pの「優先得意先名簿」ほ.岬・種のセンセーショ   ンを惹き起した。そればかりでほない。36年4月7日およぴ5月19日に,それ   ぞれARFにかんする『調査報告書』が提出され,後者に.おいて,価格や販売条   件の差別を違法とする立法措置が勧告されたのである。これは文字どおり,ロ  

ビンソソ・バットマン法案通過のための直接的掩護射撃の役割を果したといっ   でよい。  

かかる状勢のもとで,上院ほ4月80日,ロビンソン法案を可決する。だが,  

この上院案ほ多数の修正をへて,まったく骨抜き把.されていた。Patmanを中   心に.強力な支持者が結束していた下院は,上院案を無視し,Patman提出の原   案を,若干の修正ののち,5月28日に・通過させてこ上院へ回した。しかし上院は,  

この下院案を,またもさきに.通過させた上院案と同一・内容のものへと修正し,  

6月1日可決する。ここに両院協議会で調整が試みられ,そこで決定された案   が6月15・18日議会を通過した(大統領署名は19日)。これは,独立商のインタ   レストを比較的忠実に.反映した下院案と大規模チ・ェ\−ンの工作をヨリつよくう   けた上院案との完全な妥協の産物といってよい。それと同時に,上院で有力で   あったBoI・ab−VanNuys法案の主要部分は,ロビンソン・バットマン法第3   粂となった。   

同法の主要内容については後癒するこ.とにして,つぎに原案の主たる修正個   所をみるこ.とによって,大規模チェ・−ンを中心とする工作の足跡をたどってみ   仙 35年4月17日付「ニュ−‥ヨ・−ク・タイムズ」ほ,ARF結成にかんし,トップ記事   

で,つぎのような見出しをつけた。「全国の配給米者が結束・経済問題につき団体行動    をとるため/立法問題に・かかわる『■見解統一・』1」1週間後,下院はARFに「チ・ェー   

y.ストア・ロビイ」の疑いがあるとして調査命令をくだした(Cf.Gl・M・Lebhar,10P.   

c払,p.191ff.,訳212ぺ・−・ジ以下。なお,中野安「30年代アメリカにおける小売配給の   

諸問題(1)」69ぺ−・ジ,注57をみよ)0   

(21)

30年代アメリカにおける小売配給の諸問題(2)   −・2才一嶋   367  

(82)  

よう。  

(iY)(1)修正の欝1は,−一独立商やチ・.ェ.−ンと藩按の関係はないゃミー下   院司法委員会で追加された「価格」の定義が削除されたことで奉る。その定義   によれば,価格は,じっさいの工場瀕し価格(actualmi11price),つまり買手   の支払うとこ.ろの割引・控除を差し引いた純価格をいみするものとされ,それ   ゆえ基点価格制(bqsing−pOintsystem),地域価格制(zozIe−Price system),  

出荷価格制(delivery−price system)等,独占的価格設定方式は違法となった   のであるが,下院で,製造業者グループの反対に.あって,この規定は削除され   る。そ・のいみするところほいうまでもなかろう。  

(2)下院司法委員会で,大量仕入に.より正当化されるコスト節減分に.照応す   る価格差別に.も,一億の条件−とくに.それを享受しうるのが少数者に.かぎら   れ,それゆえ不当に.差別的となるか,または独占を助長するばあい一下紅お   いては,連邦取引委員会に.割引の絶対的限界を設定する権限をみとめた(欝2   条a項)。こ.れはあきらかに独立商に有利な修正といえる。しか′し,問題はかか  

る条件の存在を証明することがきわめて.困難な点に.ある。したがってニ,こ.の修   正ほ,連邦取引委員会がその運用を躊躇するこ.とが充分予想できる類のもので  

(さ$)  

あった。  

(3)かねてから議論のひとつの焦点となっており,また独立商(とくに卸   商)の地位保持に.とってもっとも重要なポイントをなす機能割引(functional   discounts)=業種割引(tradedisco11ntS)と顧客分類にかんし,重大な修正がな  

された。   

伝統的配給体系のもとでほ,割引ほ大きくわけて2つあったといってよい。  

ひとつは,いわばタテの関係を処理するもので,特定の業種(=顧客)分類庭  属する配給業者が遂行する機能に・たいし−仕入カと関係なく職あたえられ  

る。他は,いわばヨコの関係を処理するもので,同叫業種内で,仕入量紅対応  

(32)以下については,注22,23に,あげたものおよびW・HいSStevens, AnInterpI etation   

ofthe Robinson−Patman Act,,,Jour..of MaY・keting,VoIuIf,No.1,J111y1937,   

pp.38−45,を参府。  

(33)N.HEngle,ん姑.df.,p‖76 

(22)

算39巻 第4号  

−22−   368  

して−あたえられる数塩害帽l(quantity discounts)である。   

旧来鱒伝統的配給体系下でほ,卸商と小売商との間で機能と経済的力量に・大   きい格差が厳存していたため,両割引ほ,タテとヨコの関係を処理するうえで,  

−・定の経済的合理性を有してこいたといって:よい。しかし.大規模小売商の発   展は,それが卸機能をも遂行(=卸商の排除)することに.よって,旧来の業   種・機能分類を不明確に.し,機能割引を独立卸商のみ紅あたえる根拠を薄弱に  

した。しかもさらに.,大規模小売商の発展は数盈割引の重要性をいらじるしく   高めた。かくしてニ,大規模小売商は両割引を鱒得するように・なっただけでな  

く,両割引取得に‥おいで,独立卸商よりも優位に.立つ紅いたった。   

独立商は,異質の配給体系の併存によって生じたこの錯綜した割引取得関係   を,ロビンソン・バットマン法によって,自己紅有利紅.組み替えようとしたわ   けである。そして:,数量割引紅ついては,後述のごとく,あらたなる処理原理   をいちおう確立したが,機能割引については.,旧来の原理に.よって:処理しよう   としたのである。   

原案では,(イ)卸商,tロ小売商,M消費者への再販売購入か,さらに.は(ニ)再加   工のための購入かどうかを唯一・の基準としで,この4宅間に.おける価格差を正  

当とした。そしてさらに・,下院司法委員会ほ,かかる規定紅つぎのような限定   を付した。「卸商または仲買人,ないし小売商のごとき顧客分類では,購入では  

●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●   ●  

なく,買手の販売の性格が分類を決定する」と。   

こ.の規定は.,配給紅おける卸商の役割を積極的にみとめ,卸商の遂行する機   能に,たいする差別的捨置(いわゆるwholesale differential)を容認したもの   である。こ.れに.よって,卸商を排除して製造業者と直接取引する大規模チェ−  

ソほ.,実質的に卸機能を遂行しているにもかかわらず,販売の性格を基準とし   て,小売商に分類されるから,卸商としての機能割引を取得しえないことに・な   る。したがって,卸商より不利な仕入価格となるが,それこそは再販売市場に  おける価格設定上のハンディキャップを解消して,伝統的配給体系を維持しよ  

うとする独立商側のねらいであった。   

しかし,この規定はチェ」−ソの猛烈な反対を惹起しただけでほない。それは   

(23)

30年代アメリカ把.おける小売配給の諸問題(2)   −−2ワー   

、369  

製造業老と直接取引する農居組合にも不利に作用するため,かれらの反対をも    惹き起こし,両院協議会で同規定はまったく削除される。この結果,機能割引    ほ,㌧たとえ合法としても,大規模商に.もーいくつかの抜け道を通じて−鵬そ  

($4)   

れを取得する可能性があたえ.られた。このように.して,独立商擁護の橋頭堕は    吹き飛ばされた。この修正は,卸商がつよく要求し,すでに『規約』に.おいても    みとめられてこいた規定だけに,重大ない魂をもつ。   

(4)「・……・・当該商品の市場もしくぼ市場性(marketability)把.影響をおよ    ぼす変動事情に応ずるため,随時かかる商品の価格を変更することは,これを    妨げない。■j(欝2条a項)との規定が追加された。これも差別価格設定に利用   

しうる抜け道である。   

(5)原案では,価格差別が競争に.いかなる影響をあたえるか紅関係なく,い    かなる差別をも遵法とするきびしい規定となっていたのを,上院司法委員会   は,旧クレイトン法第2条に・ある例の有名な「競争を実質的に・減殺し,もしく    は独占を生ずることとなり……−−.」の1句を追加することに.よって骨抜きに.した。  

(6)手数料(commission),仲買料(brokerage)その他ほ,大規模商が享受    していた価格差別の恰好の隠蔽形態であった(たとえ.ば34年に.A&Pは200万ド   ルもの仲買料をえて:いた)ため,原案ではその授受を禁止していたが,.チ∴ェ−   

ンはもとより,グォ・ランタリL−・チ.ェーンや消費者協同組合の要求もあって,  

但し書で骨抜き紅された(第2粂c項)。   

(7)原案に,なかった「善意で(in good faith)」競争に対処するための価格差   別を容認する規定がくわえられる(第2条b項)ことに.よって,差別価格禁止    は.,旧クレイトン法同様いちじるしく曖昧化されてしまった。国境紛争と同   様,どちらが先紅発砲したかは判明しないことが多いものである。これに.よっ    て,価格切り下げ競争が容易に.される。  

(8)原案ではり「価格または販売条件」の,買手間に.おける差別を禁止してこい    たが,下院司法委員会で「価格」申みに・修正される。そのいみするところほ,  

64)なお,くわしくは,U.S…Department of Commerce, Regulation of PricingPrac−   

tices,,,in Readi7igin Mdrketing,ed小 by.T..tI.Westing,1953,p.275,を参照。   

(24)

370   第39巻 第4号   

「∴如仁一  

指摘するまでもなく明白であろう。  

(9)割引紅関連して,原案ではコストを狭く解してこいたが,両院協議会は広   い解釈へと変更し,かくして大規模商が割引を患的に増大させることを可能に  した。  

(10)原案でほ売手による価格差別のみを違法とし,買手によるその事受には   適用されなかったが,上院で修正され,結局,「■本条により禁止されている差別   価格を,故意に誘発し,もしくは享受することは,これを違法とする。」となっ   た(欝2粂f項)。クレイトン法でほ,価格差別をした売手のみが違法行為に問   われたのにたいし,これは買手をも同様紅扱うこ.とに.よって,大規模商の差別   価格要求をチよツクしようとしたものである。らの規定が製造業者にたいする  

(35)  

avaluablesupport (Utterback議員)であるちとはいうまでもあるまい。   

さて,以上のごとく,なるはど独立商はロビンソン・バットマン法制定を  

「勝ち取った」にしても,それはどくかぎられたいみにおいて.■でしかなかっ   た。ごく少数の例外はあるが,主要な修正点はほぼすべてチェ−ン紅有利なも   のであった。チ.ェ.−ンの採用した戦術はみごと成功したわけである。これは眉己   給業に.おけるチぷ.−ンと独立商の現実的力関係の反映といって.−さしつかえなか   ろう。しかし,とのことはロビンソン・バットマン法がチ上−ン紅とって無害   なものとなったことをけっしていみしない。この点を解明するには,同法の内   容を全体としての経済的背景のもとに把える必要がある。  

ⅠⅤ ロビンソン・バットマン法の基本的性格   

(i)法の客観的に恩す役割が,それの制定に努力したひとびとの主観的意図   とかならずしも同一・でないこ.とは,けっしてめずらしいことではない。とはい  

え,かかる事態が生ずる可能性は法自体のなかに存在する(もちろん,それが   現実イヒするのは,一・定の社会的,政治的および経済的条件を必要とするのであ  

るが)。すでに.のぺたごとく,制定過程払おいて,多くの修正を蒙ったため,制  

脚 もっとも「故意」なる1語によって,その規定はある程度穴があけられている。   

参照

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