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アフタヌーンティーの役割 ーV・ウルフ『夜と昼』

一考察ー

著者 太田 素子

雑誌名 大手前大学論集

巻 8

ページ 23‑32

発行年 2008‑03‑31

URL http://id.nii.ac.jp/1160/00000117/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止

(2)

ア フ タ ヌ ー ン テ イ ー の 役 割

一V・ ウ ル フ 『夜 と 昼 』 一・考 察 一

太 田 素 子

要 旨

ヴ ァ ー ジ ニ ア ・ウ ル フ の 中 期 円 熟 期 の 小 説 に お い て は 、 パ ー テ ィ が 重 要 な 役 割 を 果 し て い る が 、 彼 女 の 長 編 第 二 作 で あ る 夜 と 昼 』 で は ア フ タ ヌ ー ン テ ィ.̲̲.が重 要 な 役 割 を 果 た し て い る 。 紅 茶 は 、17世 紀 に も た ら さ れ や が て 一 般 大 衆 に ま で 消 費 が 拡 大 す る が 、 終 始 、 ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー の 名 の も と に 、 中 、 上 流 階 級 の ス テ イ タ ス シ ン ボ ル で あ り続 け 、 イ ン グ リ ッ シ ュ ネ ス と も 関 わ っ て い る 。 本 論 は 、 ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー の 視 点 か ら 、

「夜 と 昼 』 の キ ャ サ リ ン と レ イ フ の 関 係 を 読 み 直 す 試 み で あ る 。

キ ー ワ ー ド ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー 、 イ ン グ リ ッ シ ュ ネ ス 、 帝 国 、 ヴ ァ ー ジ ニ ア ・ ウ ル フ 、

「夜 と 昼 』

は じめ に

ヴ ァ ー ジ ニ ア ・ ウ ル フ(VirginiaWoolf)の 長 編 第 二 作 で あ る 夜 と 昼 』(Nightand 1)ay)(1919)に は 、 ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー が 効 果 的 に 用 い ら れ て い る 。 イ ギ リ ス 人 は 紅 茶

を 好 む と 一 般 に 言 わ れ て い る が 、 そ の 歴 史 は そ れ ほ ど古 く は な い 。 紅 茶 が イ ン グ ラ ン ド に 登 場 す る の は17世 紀 中 頃 で 、 チ ャ ー ル ズn世 の 王 妃 で ポ ル ト ガ ル か ら嫁 い で き た キ ャ サ リ ン が イ ン グ ラ ン ド宮 廷 に も た ら し た と さ れ る 。 し か し 、 コ ー ヒ ー ハ ウ ス が 次 々 と 開 店 す る の に 対 し て 、 イ ン グ ラ ン ドで 紅 茶 の 消 費 が 一 般 化 し 、 コ ー ヒ ー ハ ウ ス が コ ー ヒ ー よ り も 紅 茶 を 出 す よ う に な っ た の は 、18世 紀 は じ め と 言 わ れ る 。 そ し て 、 こ の 頃 よ り、

イ ギ リ ス 人 の 紅 茶 愛 好 は ス タ ー トす る の で あ る 。 し か し 、 当 時 、 紅 茶 は 高 価 な ぜ い た く 品 で あ り 、 同 様 に 貴 重 品 で あ っ た 砂 糖 を 入 れ て 喫 む と い う 、 原 産 地 ア ジ ア に は な い 、 独

23

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特 の 消 費 の 方 法 は 、 典 型 的 な 王 侯 貴 族 の ス テ イ タ ス ・シ ンボ ル と な っ て い っ た 。 紅 茶 愛 好 を さ ら に 加 速 さ せ た の は 、 大 英 帝 国 の ヨー ロ ッパ 外 世 界 へ の 植 民 地 拡 大 で あ っ た 。 大 英 帝 国 が 、 東 イ ン ド会 社 の 活 動 を盛 ん に し て茶 の 輸 入 を 激 増 させ 、 三 角 貿 易 に よ り、 カ リ ブ 海 の 島 々 で 砂 糖 き び プ ラ ン テ ー シ ョ ン を展 開 す る よ う に な っ て は じめ て 、 砂 糖 を入 れ た 紅 茶 は 、 中 流 階 級 も消 費 す る もの に な り、 さ ら に 、19世 紀 以 降 、 労 働 者 階 級 に も紅 茶 消 費 は拡 大 して い く。 東 西 の プ ラ ン テ ー シ ョ ンか らの 紅 茶 と砂 糖 の 大 量 供 給 が 、 工 場 労 働 者 に ま で 消 費 を拡 大 し、 彼 らが 労 働 の 合 間 に カ フ ェ イ ン と糖 分 の 補 給 に よ っ て 、 労 働 の 効 率 を あ げ 、 又 台 所 が な くて も簡 単 に と れ る夕 食 で あ るハ イ テ ィー を可 能 に した 。 そ の 一 方 で 、 ス テ イ タス ・シ ン ボ ル と して の 紅 茶 は 、 ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー とい う形 で 、 中 、 上 流 階 級 に 、 広 く受 け 入 れ られ て 、 階 級 の シ ン ボ ル 的 役 割 を 果 た す よ

1)

う に な る 。

2)

帝 国 と 階 級 と 切 り離 せ な い ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー と い う伝 統 は 又 、 イ ン グ リ ッ シ ュ ネ ス と い う 言 葉 と も 深 く 関 わ っ て く る 。 イ ン グ リ ッ シ ュ ネ ス と い う 言 葉 は 、18世 紀 後 半 か ら

3)

使 わ れ る よ う に な り、 帝 国 の 時 代 と深 く関 わ る言 葉 で あ る。 一 般 に 「イ ン グ ラ ン ド性 」 と も言 わ れ 、 「イ ン グ ラ ン ド ら し さ」 あ る い は 「イ ン グ ラ ン ド ら しい も の 」 を 意 味 し、

国 外 に 向 け て は 、 連 合 王 国 と呼 ば れ る 「国 家 」 で あ る英 国 の 文 化 的 特 徴 を 表 現 す る語 と して 用 い られ る。 そ して 、 こ の 語 は 、 文 字 通 り英 国 の な か の マ ジ ョ リ テ ィ ー で あ る イ ン グ ラ ン ドを 代 表 す る表 現 と い う側 面 を持 つ 。 社 会 的 上 位 に あ る 集 団 と社 会 的 な従 属 集 団 とい う関 係 を 生 み 出 す イ ン グ リ ッ シ ュ ネ ス と い う 言 葉 は 、 政 治 経 済 と は 一 見 関 係 の な い 文 化 表 象 に用 い られ て きた 。 こ れ は 、 上 流 階 級 とい う ま さ に マ ジ ョ リ テ ィ ー の 文 化 か ら は じ ま っ た ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー と も 、 深 い 関 わ り を 持 つ 言 葉 で あ る 。 ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー は 、 集 ま りの ホ ス テ ス で あ る女 性 を 中 心 に 華 や か に繰 り広 げ られ る社 交 と し て 、 成 人 男 子 が マ ジ ョ リ テ ィ ー で あ る社 会 に お い て 、 きわ め て 女 性 性 に 依 存 した 文 化 形 態 と 言 う側 面 も併 せ 持 っ て 、 帝 国 の 時 代 に お け る イ ン グ リ ッ シ ュ ネ ス の 拡 大 に も寄 与 す る の で あ る 。

この よ う な18世 紀 か ら19世 紀 に 繰 り広 げ られ る ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー の 伝 統 は 、 ヴ ァ ー ジ ニ ア ・ウ ル フ の 描 い た 「夜 と昼 』(1919)で 重 要 な役 割 を 果 た して い る 。19世 紀 末 か ら第 一 次 大 戦 前 後 の イ ギ リ ス 社 会 で は、 国 民 意 識 と帝 国 意 識 は 不 可 分 に結 ば れ 、 階 級 や ジ ェ ン ダ ー の壁 を 越 え て 、 イ ギ リ ス 人 の 愛 国 心 、 ナ シ ョナ リ ズ ム が 最 も昂 揚 した 時 期 、 そ し て 、 イ ン グ リ ッ シ ュ ネ ス と い う言 葉 が 意 識 さ れ た 時 代 で も あ っ た 。 本 論 で は 、 『夜 と昼 』 で 描 か れ て い る幾 つ か の 茶 会 の 中 か ら、1.紳 士 階 級 で 知 的 エ リー トで も あ る ヒ ル ベ リ ー 家(theHilberies)の ア フ タ ヌ ー ンテ ィ ー 、2.同 じ く紳 士 階 級 の 村 の 牧 師 の 娘 で 現 在 は 婦 人 参 政 権 運 動 家 メ ア リ(MaryDuchet)の 主 と し て 事 務 所 で の お 茶 、3.

同 じ中 流 で あ り な が ら、 紳 士 階 級 か ら は は ず れ て い る デ ナ ム 家(theDenhams)の お 茶

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ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー の 役 割

の3つ を と り あ げ て 、 同 じ 中 流 階 級 の 中 で 微 妙 な 差 異 と せ め ぎ あ い を ひ き お こ す 、 ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー の 視 点 か ら、 キ ャ サ リ ン(KatherineHilbery)と レ イ フ(RalphDenham) さ ら に は メ ア リ と の 関 係 を 明 ら か に し て い き た い 。

1.ヒ ル ベ リー 家 の 茶 会

まず 、 女 主 人 公 キ ャサ リ ン ・ヒ ル ベ リー の 家 で あ り、 紳 十 階 級 で 知 的 エ リー トで もあ る ヒ ル ベ リ ー 家 の ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー に つ い て 考 え る 。 『夜 と昼 』 は キ ャサ リ ンが 客 間 で 人 々 に お 茶 を い れ て い る 場 面 か ら始 ま る。

ItwasaSundayeveninginOctober,andincommonwithmanyotheryoungladiesof herclass,KatharineHilberywaspouringouttea.Perhapsafifthpartofhermindwas thusoccupied,andtheremainingpartsleaptoverthelzttlebarrierofdaywhichinter‑

posedbetweenMondaymorningandthisrathersubduedmoment,andplayedwiththe

thingsonedoesvoluntarilyandnormallyinthedaylight .Butalthoughshewassilent, shewasevidentlymistressofasituationwhichwasfamiliarenoughtoher ,andinclined toIetittakeitswayforthesixhundredthtime,perhaps,withoutbringingintoplayany ofherunoccupiedfaculties.(1)

夕 方 とあ る か ら に は 、 これ は 五 時 頃 か ら は じま る ア フ タヌ ー ン テ ィー と考 え ら れ る。 「同 じ階 級 の 令 嬢 た ち 」 と、 無 意 識 の 階 級 意 識 も示 され て い る。 キ ャ サ リ ン は 、 文 学 者 で 評 論 誌 の 編 集 者 で あ る 父 と、 ヴ ィ ク トリ ア朝 時 代 の 大 詩 人 の 娘 で 情 緒 過 多 で 気 ま ぐれ な 母

との 問 に 生 まれ た 一 人 娘 とい う恵 まれ た 家 庭 の 出 で あ り、 母 を助 け て お 茶 を 注 ぐ役 割 を、

か な り気 の 重 い ひ と と き」 と感 じつ つ も、 「じ ゅ うぶ ん 慣 れ た 感 じで」(familiarenough) 心 の5分 の1を 傾 け る だ け で 、 果 た して い る の で あ る 。 ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー は彼 女 が い

さ さか う ん ざ り しつ つ も、 手 慣 れ た や り方 で 進 め て い け る 、 ま さ に 日常 世 界 そ の もの で あ っ た 。

こ の 茶 会 に、 突 然 訪 れ て 来 る の が 、 そ の 後 、 キ ャ サ リ ンが 心 惹 か れ て い く レ イ フ ・デ ナ ム と い う 青 年 で あ る 。 貧 乏 な 大 家 族 の 長 男 で 姉 と二 人 で 一 家 の 生 活 や 弟 妹 の 教 育 を 支 え て い る 。 専 門 学 校 を 出 て 現 在 リ ン カ ー ン イ ン フ ィ ー ル ズ の 法 律 事 務 所 の 下 級 弁 護 士 で あ る が 、 紳 士 階 級 に は属 さ な い 。 キ ャ サ リ ンの 父 の 評 論 誌 に 法 律 関係 の 論 文 を 寄 稿 した 縁 で ヒ ル ベ リー 家 の お 茶 に招 か れ た の で あ る。

Katharinestirredhertea,andseemedtospeculate,soDenhamthought,uponthe dutyoffillingsomebodyelse'scup,butshewasreallywonderinghowshewasgoingto

一25一

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keepthisstrangeyoungmaninharmonywiththerest.Sheobservedthathewascom‑

pressinghisteacup,sothattherewasdangerlestthethinchinamightcaveinwards.

Shecouldseethathewasnervous;onewouldexpectabonyyoungmanwithhisface

slightlyreddenedbythewind,andhishairnotaltogethersmooth,tobenervousinsuch

aparty.Further,heprobablydislikedthiskindofthing,andhadcomeoutofcuriosity,

orbecauseherfatherhadinvitedhim‐anyhow,hewouldnotbeeasilycombinedwith

therest.(3)

彼 女 が 茶 会 を"familiar"と 感 じ、 楽 々 と こ な して い る の に 対 し、 レ イ フ は 、 「神 経 質 に」

(nervous)な っ て お り、 紳 士 階 級 の 特 権 階 級 的 社 交 で あ る、 こ うい う茶 会 を 「嫌 っ て」

(dislike)い る よ う に 見 え る 。 ヒ ル ベ リ ー 家 で 行 わ れ て い る 茶 会 に対 して 、 二 人 は ま さ に正 反 対 の 態 度 で あ る と言 え る。 自分 の 家 の 茶 会 で 、 神 経 質 に な っ て 楽 しめ な い で い る 初 対 面 の レ イ フ を 、 キ ャ サ リ ンは 気 遣 うが 、 こ こ で は ま だ 、 そ れ は 自分 の 家 の 茶 会 を 円 滑 に 進 行 し よ う とい う ホ ス テ ス と して の 気 配 り にす ぎ な い 。 階 級 差 は 依 然 と して 存 在 し、

キ ャサ リ ン は 自分 の 家 庭 環 境 へ の レ イ フ の 敵 意 す ら感 じて 、 彼 に つ い 意 地 の 悪 い 態 度 を 示 す こ と に な る 。 茶 会 は 二 人 の 階 級 差 を 浮 き彫 り に し、 二 人 の 関 係 を象 徴 す る 。 さ らに は 、 茶 会 を通 して 、 キ ャ サ リ ン の 家 族 を 誇 りに思 う気 持 ち と、 誇 りに は 思 え な い レ イ フ

の 気 持 ち が 対 照 的 に 描 か れ る 。 ヒ ル ベ リー 家 の 茶 会 は 、 行 き届 い た お 茶 の接 待 と、 人 々 を結 び つ け 、 知 的活 気 と共 に 、 和 や か な 団樂 を 生 み 出 す 社 交 的 会 話 か らな る 、 洗 練 され た もの で あ っ た 。 しか し、 中 流 で は あ る が ヒ ル ベ リー 家 の よ う な 紳 士 階 級 に は属 さ な い レ イ フ に と っ て は 、 自分 よ り社 会 的 に 上 位 に あ る 集 団 を 象 徴 す る ヒ ル ベ リ,̲̲..家の 茶 会 は 、 階 級 差 を如 実 に感 じ さ せ る集 い で あ っ た 。 「彼 は た ぶ ん こ う い う こ と が 好 き で は な い の だ 」 と、 こ の と き は 簡 単 に 考 え て し ま う キ ャサ リ ンで あ る が 、 実 は レ イ フ の この 居 心 地 の 悪 さ は 、 彼 の 階 級 意 識 に 根 ざ して い て 、 後 に惹 か れ 合 う こ と に な る 二 人 の 関 係 に影 を 落 とす 。 そ して 、 こ の 居 心 地 の 悪 さ の 解 消 とい う 問 題 は 、 小 説 後 半 で 彼 の 家 で あ る デ ナ ム 家 の 、 や は り茶 会 を 通 し て も う一 度 取 り上 げ ら れ て い る 。 キ ャ サ リ ン と レ イ フ の 関 係 に ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー は 重 要 な役 割 を果 た し て い る が 、 特 に 冒 頭 の ヒ ル ベ リー 家 の 茶 会 は 、 後 の 展 開 の 伏 線 と して の 役 割 を 果 た して い る の で あ る。

2.メ ア リの 事 務 所 で の お 茶

次 に 、 婦 人 参 政 権 運 動 家 で あ る 、 メ ア リ ・ダチ ェ ッ トの 、 主 と して 事 務 所 で の お 茶 に つ い て 考 え る 。 メ ア リは イ ン グ ラ ン ド中東 部 の 村 の 牧 師 の 次 女 で あ る 。 体 力 と決 断 力 に 恵 ま れ 、 強 い プ ラ イ ドの 持 ち 主 で 、 半 年 前 か らロ ン ド ン に 出 て婦 人 参 政 権 運 動 を推 進 す る協 会 の 事 務 所 で 彼 女 も運 動 に挺 身 し て い る 。 レ イ フ と は社 会 活 動 を 通 じて 知 り合 い 、

(6)

ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー の 役 割

彼 を 愛 して い る。 こ の 彼 女 の お 茶 は 、 自宅 で は な く事 務 所 内 で 、 会 議 の 合 間 に 次 の よ う に 行 わ れ る。

"Let'shaveourt

ea,"shesaid,..."ltwasagoodmeeting‑didn'tyouthinkso,Sally?"

sheletfall,casually,asshesatdownatthetable.

Theyhadtheirtea,andwentovermanyofthepointsthathadbeenraisedinthecom‑

mitteerathermoreintimatelythanhadbeenpossiblethen;andtheyallfeltanagreeable

senseofbeinginsomewaybehindthescenes;ofhavingtheirhandsuponstrings

which,whenpulled,wouldcompletelychangethepageantexhibiteddailytothosewho

readthenewspapers.Althoughtheirviewswereverydifferent,thissenseunitedthem

andmadethemalmostcordialintheirmannerstoeachother.(176‐7)

事 務 所 で 行 わ れ た 委 員 会 で 、 運 動 に 対 す る熱 心 な 議 論 の 後 、 他 の 委 員 が 出 て 行 っ た 後 も、

シー ル 女 史 と メ ア リが 残 り、 女 性 二 人 で 、 お 茶 を飲 み な が ら、 委 員 会 の 議 論 の 続 きが 行 わ れ る 。 こ の お 茶 は 、 ヒ ル ベ リー 家 の お 茶 とは 異 な っ て い る 。 社 交 と会 話 の た め に 集 ま る ヒ ル ベ リ ー 家 の 茶 会 に 対 し、 仕 事 の 議 論 の 続 きに 没 頭 す る彼 女 た ち の お 茶 は 、 伝 統 的 な 中 産 階 級 の ア フ タ ヌ ー ンテ ィ ー と言 う よ り、 単 に カ フ ェ イ ン を 補 給 して 仕 事 の 疲 れ を 解 消 す る簡 単 で 事 務 的 な テ ィー ブ レ イ ク で あ る 。 しか し、 同 時 に 、 仕 事 の 厳 し さや 、 高 揚 感 と は 違 う、 あ る暖 か い 雰 囲 気 が 漂 っ て い る と語 られ る 。 この 「暖 か さ」(cordial)は

い わ ゆ る ア フ タヌ.̲̲.ンテ ィー と全 く違 っ た 設 定 で あ る メ ア リの 事 務 所 の お 茶 に 、 ア フ タ ヌ ー ン テ ィー の 基 本 で あ る 社 交 の 、 儀 礼 を取 り除 い た 真 の 意 味 で の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンの 部 分 を 、 付 与 し て い る と言 え る 。 そ し て 、 メ ア リ は こ の 事 務 所 で の お 茶 を伝 統 的 ア フ タ ヌ ー ン テ ィー の 精 神 へ とつ な ぐ役 割 を 担 っ て い る の で あ る。

こ の よ う な 、 事 務 所 で の メ ア リの お 茶 に 、 キ ャ サ リ ンが 参 加 す る と ど う な る か 。 散 歩 中 の キ ャ サ リ ンが 急 に 思 い 立 っ て お 茶 の 時 間 に メ ア リの 事 務 所 を 訪 れ る場 面 は 、 次 の よ うに 描 か れ て い る 。

"You!"sheexclaimed ."Wethoughtyouweretheprinter....Well,thisisasurprise.

Comein,"sheadded."You'rejustintimefortea."

Katharinewondered,asshestoodthere,feeling,forthemoment,entirelydetached andunabsorbed,whyshehadcome.Shelooked,indeed,toMary'seyesstrangelyout

ofplaceintheoffice.(82‐3)

一27一

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大 手前大学論集 第8号

キ ャ サ リ ン を 印刷 屋 と間 違 え る 、 事 務 所 独 特 の 仕 事 第 一 の 雰 囲 気 の 中 で 、 驚 き なが ら も メ ア リ は キ ャ サ リ ン を お 茶 に 招 じ い れ る 。 キ ャ サ リ ン が 「事 務 所 に は 場 違 い 」(outof placeintheoffice)の 存 在 で あ る こ と は 、 彼 女 も メ ア リ も肌 で 感 じ取 っ て い る 。 し か し、

こ の 事 務 所 の お 茶 が キ ャ サ リ ンに 与 え る 、 自分 が 場 違 い で あ る とい う印 象 は 、 い た た ま れ な い 思 い 、 二 度 と体 験 した くな い ほ どの 違 和 感 を と も な う わ け で は な い 。 こ の こ と は 、

キ ャサ リ ンが そ の 後 、 再 び 今 度 は 自 宅 に で は あ る が メ ア リ を お 茶 の 時 間 に 訪 ね る 気 持 に な る こ とか ら も明 らか で あ る 。

メ ア リの 部 屋 を、 通 りす が り に訪 ね て 「メ ア リ、 お 茶 を い た だ け な い か し ら?」 と た め らい が ち に 聞 くキ ャ サ リ ン で あ る が 、 メ ア リが 気 づ く と、 キ ャサ リ ン は 客 で あ りな が ら、 自然 に お 茶 を い れ る側 に ま わ っ て い た 。

Katharinemighthavebeenseatedinherowndrawing‑room,controllingasituation whichpresentednosortofdifficultytohertrainedmind.Rathertohersurprise,Mary foundherselfmakingconversationwithWilliamaboutoldItalianpictures,while Katharinepouredouttea,cutcake,keptWilliam'splatesupplied,withoutjoiningmore thanwasnecessaryintheconversation.SheseemedtohavetakenpossessionofMary's room,andtohandlethecupsasiftheybelongedtoher.Butitwasdonesonaturally thatitbrednoresentmentinMary;(180‑‑181)

キ ャサ リ ンが お 茶 を そ そ ぐ役 割 を引 き受 け る、 こ の 場 面 は 、 ま さ に ヒ ル ベ リー 家 の ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー の描 写 を 再 現 す る 。 レ イ フ は キ ャ サ リ ン の 家 の 茶 会 に 違 和 感 を抱 くが 、 婦 人 参 政 権 運 動 家 で あ る はず の メ ア リ は 、 本 来 自 分 が つ ぐべ き お 茶 を キ ャ サ リ ンが 注 い で い る こ と に 別 に 違 和 感 を 感 じて い な い 。 婦 人 参 政 権 運 動 家 、 社 会 的 な 従 属 集 団 の 側 に 立 つ メ ア リ の 事 務 所 、 そ し て そ こ で 行 わ れ る お 茶 は 、 社 会 的 上 位 に あ る 集 団 に 属 す る キ ャ サ リ ンに とっ て 当然 違 和 感 を 感 じ させ る も の で あ り なが ら、 そ の 違 和 感 は 決 定 的 な もの で は な い 。 社 会 活 動 家 で は あ る が 本 来 紳 士 階 級 に属 す る 牧 師 の 娘 、 メ ア リの 柔 軟 な 考 え 方 が あ る種 の 居 心 地 の 良 さ を も た らす こ と で 、 本 来 せ め ぎ合 う は ず の 、 両 者 の 境 界 の 越 境 の 可 能 性 が 、 こ の メ ア リ の お 茶 に 示 唆 さ れ る の で あ る。

3.デ ナ ム 家 の 茶 会

さ ら に、 紳 士 階 級 に 属 さ な い デ ナ ム 家 の 茶 会 につ い て 考 え る 。 キ ャサ リ ンの 属 す る紳 士 階 級 に は 属 さず 、 社 会 的 な 上 位 集 団 に い る彼 女 と比 べ る と社 会 的 な 従 属 集 団 の 一 員 で あ り、 そ の こ と に 劣 等 感 を抱 い て い る レ イ フ の 、 階 級 差 意 識 を解 消 す る可 能 性 を 、 彼 の 家 で あ る デ ナ ム 家 の 茶 会 へ の 、 キ ャ サ リ ンの 参 加 の 場 面 か ら さ ぐ っ て い き た い 。 二 人 が

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ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー の 役 割

互 い に ひ か れ あ っ て い る こ と を 自覚 す る 作 品 の 後 半 部 分 で 、 キ ャ サ リ ン と散 策 し な が ら、

レ イ フ は 彼 女 に ひ か れ て い く気 持 を抑 え られ な い 。 し か も、 小 説 の 冒 頭 場 面 の ヒ ル ベ リ ー 家 の 茶 会 以 来 、 自分 と キ ャ サ リ ン の 階 級 差 を強 く意 識 す る レイ フ は 、 お 茶 に つ い て の 「大 胆 な 計 画 」(adaringplan)を 思 い つ く。 自分 の 家 の お 茶 に招 待 し、 明 ら か な 階 級 差 に 幻 滅 した 彼 女 の 態 度 を見 て 、 そ ん な彼 女 に失 望 し、 彼 女 と は住 む 世 界 が 違 う と い う 理 由 で 彼 女 へ の 思 い を 断 と う と い う 、 ど ち らか とい え ば 受 身 的 な計 画 で あ っ た 。 彼 女 を 試 す こ と に な る こ の 計 画 に 対 し て 、 彼 女 に 「つ ら く当 た っ て い る」 とい う意 識 を持 ち な が ら も 、 彼 は あ え て 実 行 に 移 す の で あ る。

Inhissurpriseatthesuddennessofthechange,andattheextentofhisfreedom,he bethoughthimofadaringplan,bywhichtheghostofKatharinecouldbemoreeffectu‑

allyexorcisedthanbymereabstinence.Hewouldaskhertocomehomewithhimto tea.Hewouldforceherthroughthemilloffamilylife;hewouldplaceherinalight unsparingandrevealing.Hisfamilywouldfindnothingtoadmireinher,andshe,he feltcertain,woulddespisethemall,andthis,too,wouldhelphim.Hefelthimself becomingmoreandmoremercilesstowardsher.Bysuchcourageousmeasuresany one,hethought,couldendtheabsurdpassionswhichwerethecauseofsomuchpain andwaste.(394)

ヒ ル ベ リ ー 家 の 、 客 を く つ ろ が せ 、 居 心 地 よ く さ せ る こ と を 第 一 と す る 伝 統 は 、 デ ナ ム 家 に は な い 。 出 さ れ た ケ ー キ は 大 き す ぎ て 会 話 の 邪 魔 に な り、 又 、 レ イ フ の 母 の デ ナ ム 夫 人 は 、 息 子 の 連 れ て き た 女 性 を 、 好 奇 心 を 隠 そ う と も せ ず に ぶ しつ け に 見 つ め 、 キ ャ サ リ ン に 居 心 地 の 悪 い 思 い を さ せ る 。 こ の よ う な デ ナ ム 家 の お 茶 の 客 と な っ た キ ャ サ リ

ン は 極 度 の 恥 ず か し さ で 固 く な っ た 。」(Therigidityofextremeshynesscameoverher.

395)と 描 か れ る 。 レ イ フ の 家 族 と 、 そ し て レ イ フ 自 身 の 、 批 判 的 な ま な ざ し は 、 会 話 を 停 滞 さ せ 、 彼 女 の 居 心 地 の 悪 さ は ピ ー ク に 達 す る 。

Owing,perhaps,tothiscriticalglance,KatharinedecidedthatRalphDenham'sfamily wascommonplace,unshapely,lackingincharm,andfitlyexpressedbythehideous

natureoftheirfurnitureanddecorations....Shedidnotapplyherjudgmentconsciously toRalph,butwhenshelookedathim,amomentlater,sheratedhimlowerthanatany

othertimeoftheiracquaintanceship.{398)

デ ナ ム 家 の お 茶 は 彼 女 に と っ て、 こ れ まで 慣 れ 親 しん だ お 茶 と社 交 の技 術 で は は か れ な

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大手前大学論集 第8号

い 、 そ し て 彼 女 の 手 慣 れ た お 茶 の マ ナ ー と は ま る で ふ さ わ し く な い 体 験 で 、 彼 女 は デ ナ ム 夫 人 に 対 す る"thevergeofrudeness"(399)に 追 い 込 ま れ る 。 こ こ ま で は ま さ に レ イ フ の 思 い 通 り の 展 開 で あ っ た 。

Nextmoment,asilence,suddenandcomplete,descendeduponthemall.Thesilence ,of allthesepeopleroundtheuntidytablewasenormousandhideous;....Asecondlater thedooropenedandtherewasastirofrelief;(399)

この 気 ま ず い 沈 黙 を 救 っ た の は 、 レ イ フ の 姉 の ジ ョー ン(Joan)で あ る 。 彼 女 が 部 屋 に 入 っ て く る と、 彼 女 の 自然 な 会 話 か ら、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンへ の 試 み が は じ ま る 。 デ ナ ム 夫 人 の ぶ しつ け な 好 奇 心 、 レ イ フの キ ャサ リ ン を試 す 試 み 、 キ ャ サ リ ン の 違 和 感 、 緊 張 感 、 趣 味 の 悪 さ に 辟 易 とす る気 持 ち が 、 お 茶 の 会 話 を停 滞 させ 、 そ ん な 中 で 、 誰 も コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンへ の 試 み を し な か っ た た め に 、 気 まず い 沈 黙 が 支 配 す る。 ジ ョー ンの 自然 な 会 話 は 、 た くま ず して 社 交 の 原 点 と して の 、 会 話 を 円 滑 に 復 活 させ る 。 メ ア リの 場 合 と 同 様 、 ジ ョー ンの 柔 軟 な 態 度 と コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの 試 み が 、 本 来 階 級 差 か ら生

まれ る場 違 い な 感 覚 を 緩 和 して い る の で あ る 。

5)

ヴ ァ ー ジニ ア ・ウ ル フ の 中期 円 熟 期 の小 説 で は、 パ ー テ ィ が 重 要 な役 割 を担 っ て い る。

そ こ で は 、 パ ー テ ィの 女 主 人 が 、 社 交 を 通 して そ こ に 参 加 す る 人 々 の 間 に、 束 の 間 の 一 体 感 を 共 有 す る 「瞬 間 」 を現 出 させ る 。 パ ー テ ィ は 同 じ階 級 に属 す る 人 々 の 集 ま り とい う安 心 感 が 根 底 に あ る 。 ヒ ル ベ リー 家 の ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー に は そ れ が あ るが 、 メ ア リ の お 茶 、 デ ナ ム 家 の 茶 会 に は そ れ は な い 。 そ の 意 味 で は 、 パ ー テ ィ よ り難 しい 状 況 に あ る。 しか し、 階 級 意 識 の せ め ぎ あ い が 基 本 に 存 在 す る茶 会 で は あ っ て も、 メ ア リの お 茶 で は 、 メ ア リが 、 デ ナ ム 家 の 茶 会 で は ジ ョー ンが 、 キ ャサ リ ン に手 を さ しの べ る こ とで 、 社 交 の 最 も基 本 的形 態 で あ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン は 成 立 し う る の で あ る。 な ご や か に 進 行 し 出 した お 茶 を 楽 しみ 始 め た キ ャ サ リ ンは 、 お 茶 の 時 間が 過 ぎ て も 「帰 りた く な い 」

(shehadnowishtogohome)(403)と 思 う。

Theyappealedtoher(i.e.Katherine),andsheforgothercakeandbegantolaughand

talkandarguewithsuddenanimation.Thelargefamilyseemedtohersowarmandvar‑

iousthatsheforgottocensurethemfortheirtasteinpottery.(400‐401)

遂 に レ イ フ は 、 キ ャサ リ ン を 試 す 実 験 の 失 敗 を 認 め 、 誇 り を と り も どす 。

"Itriedtothinkso

.ButIthoughtyoumorewonderfulthanever."

(10)

ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー の 役 割

"1'vedinemybesttoseeyouasyouare

,withoutanyofthisdamnedromanticnon‑

sense.ThatwaswhyIaskedyouhere,andit'sincreasedmyfolly.Whenyou'regoneI

shalllookoutofthatwindowandthinkofyou.1shallwastethewholeeveningthinking

ofyou.Ishallwastemywholelife,Ibelieve."(403‐4)

紳 士 階 級 で あ る ヒ ル ベ リー 家 の 伝 統 的 な ア フ タヌ ー ンテ ィー を 通 し て しか キ ャ サ リ ン を 見 ず 、 階 級 意 識 と劣 等 感 に と らわ れ て い た レ イ フ は 、 今 は じめ て 、 あ りの ま ま の キ ャサ リ ン を 認 め る こ と を 自分 に許 し、 さ ら に は 自分 の 家 族 に対 して 本 来 も っ て い た 誇 り を取 り戻 して い る 。 お 茶 を 通 し て 明 らか に な っ た 社 会 的 上 位 集 団 と従 属 集 団 の せ め ぎ合 い と い う意 識 に と ら わ れ た 二 人 は や は りお 茶 を 通 して よ うや くそ こか ら解 放 され る。 キ ャサ リ ンが メ ア リや ジ ョー ンの 助 け を得 て 社 会 的 従 属 集 団 の お 茶 に も融 け 込 み 、 そ の よ う な キ ャサ リ ン を 見 て レ イ フ も あ りの ま ま の キ ャサ リ ン を 見 つ め 直 そ う とす る 。 こ の 小 説 の 最 後 の 場 面 で 、 レ イ フ は 、 遂 に 冒 頭 の ヒ ル ベ リー 家 の ア フ タ ヌ ー ン テ ィー が 自分 に も た らす 劣 等 感 か ら解 放 され る。 そ し て は じめ て 自 ら ヒ ル ベ リー 家 を 訪 れ て 、 外 出 して い る キ ャサ リ ン を待 つ 気 持 ち に な る。 イ ギ リス 伝 統 の ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー は 、 二 人 の 男 女 の 惹 か れ 合 う気 持 ち に 階 級 意 識 の 枠 を は め て 試 練 を与 え つ つ 、 そ れ を乗 り越 え る こ とで 、 二 人 に 愛 を 成 就 さ せ る 役 割 を 果 た す の で あ る。 そ し て 、 こ の こ とは 二 人 が ヴ ィ ジ ョ ン を

6)

共 有 して い る こ と を示 唆 す る の で あ る。

お わ り に

『夜 と昼 』 の 描 か れ た20世 紀 初 頭 は又 、 イ ン グ リ ッ シ ュ ネ ス に お け る 、 社 会 的 従 属 集 団 の 変 化 の 時 期 で も あ っ た 。18世 紀 に は 、 社 会 的 上 位 集 団 イ ン グ ラ ン ドとせ め ぎ あ う の は 、 ス コ ッ トラ ン ドや ア イ ル ラ ン ドで あ っ た 。 しか しや が て 、 従 属 集 団 は 、 マ イ ノ リ テ ィ ー と し て の 、 女 性 や 労 働 者 階 級 に 、 そ して 、 帝 国 の 時 代 に な っ て 、 植 民 地 の 存 在 へ と、 移 行 し て い く。 そ の 過 程 に お い て 、 イ ン グ ラ ン ド内 の 社 会 的 従 属 集 団 は 、 上 位 集 団 に取 り込 ま れ て い く。 こ の よ う な 時 期 に書 か れ た 『夜 と昼 』 は 、 イ ン グ リ ッ シ ュ ネ ス の 表 象 の 一・つ で あ る ア フ タ ヌ ー ンテ ィー を効 果 的 に 用 い る こ と に よ っ て 、 社 会 的 上 位 集 団 と従 属 集 団 の 階 級 の 違 い とせ め ぎ合 い と い う視 点 を 明 確 に して い る 。 しか し、 『夜 と昼 』 は 同 時 に 、 ア フ タ ヌ ー ン テ ィ ー を効 果 的 に 用 い る こ と で 、 二 つ の 集 団 の和 解 を も示 唆 し て い る 。 なぜ な ら 、 キ ャサ リ ン と レ イ フ の 恋 愛 は 、 小 説 の 最 終 場 面 に お い て 、 階 級 意 識 を越 え た ヴ ィ ジ ョ ンの 共 有 を 果 た す か らで あ る。 そ し て 、 こ の よ う な ヴ ィ ジ ョ ンの 共 有 に 至 る 過 程 に 、 ア フ タ ヌ ー ン テ ィー は 重 要 な役 割 を 果 た して い る の で あ る 。

一 一31

(11)

大手前大学論集 第8号

NightandDayの 引 用 はHogarthPressのUniformEditionに よ る

19白9﹂沼4

cf.,J‑L・ フ ラ ン ド ラ ン/M・ モ ン タ ナ ー リ 編 『食 の 歴 史 皿 』(藤 原 書 店 、2006)

井 野 瀬 久 美 恵 「イ ギ リ ス 的 な る も の(Englishness)の 捏 造 一 「政 策 と し て の 文 化 」 再 考

(1880‑1920)」 田 村 克 己 編 『文 化 の 生 産 』(ド メ ス 出 版 、1999)

1870年 代 後 半 か ら 第 一 次 大 戦 が 勃 発 す る1914年 ま で

cf.,NightandDay

"Youmustbeveryproudofyourfamil

y,MissHilbery."

"Yes

,Iam,"Katharineanswered,andsheadded,"Doyouthinkthere'sanythingwrongin that?"

"Wrong?Howshoulditbewrong?Itmustbeabore

,though,showingyourthingstovisi‑

tors,"headdedreflectively.

"Notifthevisitorslikethem

."(ZO)

5

6

"Butaren'tyouproudofyourfamily?"Katharinedemanded

.

"No

,"saidDenham,"We'veneverdoneanythingtobeproudofunlessyoucountpay‑

ingone'sbillsamatterforpride."

"Thatsoundsratherdull

,"Katharineremarked.

"Youwouldthinkushorriblydull

,"Denhamagreed.

"Yes

,Imightfindyoudull,butIdon'tthinkIshouldfindyouridiculous,"Katharineadded, asifDenhamhadactuallybroughtthatchargeagainstherfamily.

"Nobecausewe'renotintheleastridiculous

.We'rerespectablemiddle‑classfamily, IivingatHighgate."

"Wedon'tliveatHighgate

,butwe'remiddleclasstoo,Isuppose."(11)

cf,拙 稿 「ヴ ァ ー ジ ニ ア ・ウ ル フ の パ ー テ ィ 空 間 」 藤 井 治 彦 編 『空 間 と 英 米 文 学 』(英 宝 社 、

1987)

cf.,拙 稿 「RalphとridingheroNightandDay‑一 一 考 察 」 『大 手 前 大 学 人 文 科 学 部 論 集 第2

号 』(2002)

参照

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