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⽝ の 僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 症 に

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Academic year: 2021

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(1)

⽝ の 僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 症 に

続 発 す る 肺 ⾼ ⾎ 圧 症 の 術 後 の 画 像 検 査 所 ⾒ の 変 化 と 周 術 期 限 外 濾 過 の 有 効 性 に 関 す る 研 究

⽇ 本 ⼤ 学 ⼤ 学 院 獣 医 学 研 究 科 獣 医 学 専 攻 博 ⼠ 課 程

鈴 ⽊ 陽 彦

2 0 2 0 年

(2)

略 語

A C V I M ; A m e r i c a n c o l l e g e o f v e t e r i n a r y i n t e r n a l m e d i c i n e ア メ リ カ 獣 医 内 科 学 会

AT / E T; A c c e l e r a t i o n t i m e / e j e c t i o n t i m e 加 速 時 間/駆 出 時 間 C P B ; C a r d i o p u l m o n a r y b y p a s s ⼈ ⼯ ⼼ 肺

E F ; E j e c t i o n f r a c t i o n 駆 出 率 E I ; E c c e n t r i c i t y i n d e x

E L I S A ; E n z y m e - l i n k e d i m m u n o s o r b e n t a s s a y 酵 素 結 合 免 疫 吸 着 法

e P T F E ; e x p a n d e d p o l y t e t r a f l u o r o e t h y l e n e 延 伸 ポ リ テ ト ラ フ ル オ ロ エ チ レ ン F S ; F r a c t i o n a l s h o r t e n i n g 左 室 内 径 短 縮 率

H C T; H e m a t o c r i t ヘ マ ト ク リ ッ ト I C U ; I n t e n s i v e c a r e u n i t 集 中 治 療 室 I L ; I n t e r l e u k i n イ ン タ ー ロ イ キ ン I V; I n t r a v e n o u s i n j e c t i o n 静 脈 注 射

L A / A o ; R a t i o o f l e f t a t r i a l t o a o r t i c d i a m e t e r s 左 ⼼ 房 ⼤ 動 脈 径 ⽐

LV I D d ; L e f t v e n t r i c u l a r i n t e r n a l d i m e n s i o n i n d i a s t o l e 左 室 拡 張 期 末 期 径 LV I D D N ; n o r m a l i z e d l e f t v e n t r i c u l a r i n t e r n a l d i m e n s i o n i n d i a s t o l e

体 重 標 準 化 左 室 拡 張 末 期 径

LV I D s ; L e f t v e n t r i c u l a r i n t e r n a l d i m e n s i o n i n s y s t o l e 左 室 収 縮 期 末 期 径 M R ; M i t r a l r e g u r g i t a t i o n 僧 帽 弁 逆 流

M U F ; M o d i f i e d u l t r a f i l t r a t i o n 限 外 ろ 過 変 法 M I ; M i t r a l v a l v e i n s u f f i c i e n c y 僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 症

(3)

M V R ; M i t r a l v a l v e r e p a i r 僧 帽 弁 形 成 術

PA / A o ; R a t i o o f p u l m o n a r y a r t e r y t o a o r t i c d i a m e t e r s 肺 動 脈 径 ⼤ 動 脈 径 ⽐ P H ; P u l m o n a r y h y p e r t e n s i o n 肺 ⾼ ⾎ 圧 症

P LT; P l a t e l e t c o u n t ⾎ ⼩ 板 数

R B C ; R e d b l o o d c e l l c o u n t ⾚ ⾎ 球 数

RV I D d ; R i g h t v e n t r i c u l a r i n t e r n a l d i m e n s i o n i n d i a s t o l e 右 室 拡 張 期 末 期 径 RV I D s ; R i g h t v e n t r i c u l a r i n t e r n a l d i m e n s i o n i n s y s t o l e 右 室 収 縮 末 期 期 径 S C ; s u b c u t a n e o u s i n j e c t i o n ⽪ 下 注 射

TA P S E ; Tr i c u s p i d a n n u l a r p l a n e s y s t o l i c e x c u r s i o n 三 尖 弁 輪 収 縮 期 移 動 距 離 T N F ; Tu m o r n e c r o s i s f a c t o r 腫 瘍 壊 死 因 ⼦

T R ; Tr i c u s p i d r e g u r g i t a t i o n 三 尖 弁 逆 流 V H S ; Ve r t e b r a l h e a r t s i z e 胸 ⾻ ⼼ 臓 サ イ ズ W B C ; W h i t e b l o o d c e l l c o u n t ⽩ ⾎ 球 数

(4)

⽬ 次

⾴ 序 ⽂

1

1

章 僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 症 に 続 発 す る 肺 静 脈 性 肺 ⾼ ⾎ 圧 症 の 疫 学 に 関 す る 研 究

1 .

緒 ⾔

5

2 .

材 料 と ⽅ 法

6 3 .

結 果

8

4 .

考 察

1 0 5 .

⼩ 括

1 2

2

章 肺 ⾼ ⾎ 圧 症 を 合 併 し た 僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 症 に 対 す る 外 科 治 療 の 有 効 性 に 関 す る 研 究

1 .

緒 ⾔

1 9 2 .

材 料 と ⽅ 法

2 0 3 .

結 果

2 4 4 .

考 察

2 7 5 .

⼩ 括

3 0

(5)

3

章 周 術 期 に お け る

M U F

の 有 効 性 に 関 す る 研 究

1 .

緒 ⾔

4 1 2 .

材 料 と ⽅ 法

4 2 3 .

結 果

4 6 4 .

考 察

4 8 5 .

⼩ 括

5 1

総 括

5 6

謝 辞

6 1

引 ⽤ ⽂ 献

6 2

(6)

1

序 ⽂

(7)

肺 ⾼ ⾎ 圧 症 (

P H

) と は 、 ⼈ 医 学 で は 安 静 時 平 均 肺 動 脈 圧 が

2 0 m m H g

以 上 と 定 義 さ れ る (

H o e p e r M M e t a l. 2 0 1 3

) 肺 動 脈 圧 が 上 昇 す る 疾 患 で あ る 。 近 年 、 ⽝ で も 診 断 技 術 、 特 に ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 の 発 達 に よ り

P H

を 診 断 す る 機 会 が 増 加 し て い る 傾 向 に あ る 。

⼈ 医 学 で は 、第

1

群( 肺 動 脈 性

P H

)、第

2

群( 左 ⼼ 系 ⼼ 疾 患 に 伴 う

P H

)、

3

群 ( 肺 疾 患 お よ び

/

ま た は 低 酸 素 ⾎ 症 に 伴 う

P H

)、 第

4

群 ( 肺 動 脈 閉 塞 に 伴 う

P H

)、第

5

群( 詳 細 不 明 お よ び

/

ま た は 多 因 ⼦ の メ カ ニ ズ ム に 伴 う

P H

) の

5

群 に 臨 床 分 類 さ れ て い る (

T h o m a s C A e t a l . 2 0 2 0

) が 、 ⽝ で の 分 類 は な く ⼈ 医 学 で の 分 類 を 使 ⽤ し て い る 。 ⽝ で 最 も 多 い

P H

の 原 因 は 、 ⼈ と 同 様 に 第

2

群 の 左 ⼼ 系 ⼼ 疾 患 に 伴 う

P H

で あ る (

H e l e n P e t a l.

2 0 1 6

)。 特 に 僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 症 (

M I

) に 続 発 す る

P H

が 主 で あ り 、 そ の メ

カ ニ ズ ム は 、僧 帽 弁 逆 流(

M R

)に よ っ て 左 ⼼ 房 圧 が 上 昇 す る こ と で 肺 静 脈 圧 が 上 昇 し 、 結 果 と し て 肺 動 脈 圧 が 上 昇 す る た め に

P H

に ⾄ る 機 序 が 特 徴 的 な 病 態 で あ る (

K e l l i h a n H B e t a l . 2 0 1 2

)。 さ ら に 、

M I

罹 患 ⽝ に お い て 、

P H

を 合 併 し た 場 合 に は 予 後 を 悪 化 さ せ る こ と が 報 告 さ れ て お り

B o r g a r e l l i M e t a l. 2 0 1 5

)、

P H

の 存 在 が 重 要 視 さ れ て い る 。

M I

罹 患 ⽝ に お け る

P H

の 合 併 率 に 関 し て 海 外 か ら の 報 告 (

B o r g a r e l l i M e t a l. 2 0 1 5 , Ti d h o l m A e t a l. 2 0 1 5 , S e r r e s F J e t a l. 2 0 0 6 , G u g l i e l m i n i C e t a l. 2 0 1 0 ,

S c h o b e r K E e t a l .2 0 1 0) が 散 ⾒ さ れ る が 、 未 だ 真 の 合 併 率 は 不 明 な ま ま で

あ り 、 本 邦 で の 合 併 率 の 報 告 も な い 。

M I

に 続 発 し た

P H

に 対 す る 治 療 と し て は 、 原 因 と な る

M I

に 対 し て 適 切 な 治 療 を ⾏ い 、 左 ⼼ 房 圧 を 低 下 さ せ る こ と で あ る (

K e l l i h a n H B e t a l .

2 0 1 2)。 し か し な が ら 内 科 治 療 に は 限 界 が あ り 、M R

を 外 科 的 に 制 御 す

(8)

3

る 必 要 性 が あ る 。 ⼈ 医 学 で は 、 僧 帽 弁 形 成 術 (

M V R

) 後 に 術 前 の

P H

が 改 善 す る こ と が 報 告 さ れ て い る (

G o l d s t o n e A B e t a l. 2 0 11 , M u r a s h i t a T

e t a l. 2 0 1 5

)。 獣 医 学 に お い て も 、

M I

に 対 す る

M V R

の 報 告 (

M i z u n o T

e t a l. 2 0 1 3 , U e c h i M e t a l. 2 0 1 2 , U e c h i M e t a l. 2 0 1 2

) が な さ れ て い る が 、

P H

を 合 併 し た

M I

罹 患 ⽝ に お け る

M V R

の 有 効 性 を ⽰ す 報 告 は な い 。

ま た

M V R

で は ⼈ と 同 様 に ⼈ ⼯ ⼼ 肺 (

C P B

) の 使 ⽤ が 必 須 と な る 。 し か

し な が ら

C P B

を 使 ⽤ す る こ と で 、 ⾎ 液 希 釈 や 全 ⾝ 性 炎 症 反 応 な ど の 合 併 症 が 問 題 と な る こ と が 報 告 さ れ て い る (

K a n e m o t o I e t a l. 2 0 1 0

)。 こ れ ら の 問 題 を 解 決 す る た め に 、 体 格 の ⼩ さ な ⼩ 児 ⼼ 臓 外 科 に お い て は 限 外 ろ 過 の ⼀ つ で あ る 、 限 外 ろ 過 変 法 (

M U F

) が ⾏ わ れ て い る 。

M U F

を 実 施 す る こ と で 、 術 後 の

P a O2/ F i O

が 改 善 し 肺 機 能 の 改 善 が 認 め れ る と の 報 告 も あ る (

M a h m o u d A S e t a l. 2 0 0 5 , O n o e M e t a l. 2 0 0 1

)。

P H

を 合 併 し た

M I

罹 患 ⽝ に お け る

M V R

で も 、

M U F

は 有 効 で あ る と 考 え ら れ る が 、 獣 医 学 に お い て

M U F

に つ い て 検 討 し た 報 告 は な い 。

以 上 の こ と か ら 、 本 研 究 で は 第

1

章 で は 、 実 際 に 本 邦 で の

M I

罹 患 ⽝ に お け る

P H

の 合 併 率 を 調 査 し 、 さ ら に

P H

の 有 無 に よ る ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 な ら び 胸 部

X

線 検 査 を ⽐ 較 検 討 し た 。 第

2

章 で は 、

M I

罹 患 ⽝ に 対 し

M V R

を 実 施 し 、 術 後 の ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 な ら び に 胸 部

X

線 検 査 を ⽐ 較

す る こ と で 、

M I

に 対 す る 外 科 治 療 の 有 効 性 を 確 認 す る と 同 時 に 、

M I

に 合 併 し た

P H

へ の 有 効 性 に つ い て 検 討 し た 。 第

3

章 で は 、 ⼩ 児 ⼼ 臓 外 科 に お い て

P H

に 対 し て 有 効 で あ る こ と が 報 告 さ れ て い る (

M a t s u m u r a Y

e t a l . 2 0 0 7

)、

M U F

に つ い て 検 討 を ⾏ っ た 。

(9)

1

僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 症 に 続 発 す る

肺 静 脈 性 肺 ⾼ ⾎ 圧 症 の 疫 学 に 関 す る 研 究

(10)

5

1 .

緒 ⾔

P H

M I

罹 患 ⽝ に お い て ⼀ 般 的 な 合 併 症 と し て 認 識 さ れ て い る

B o r g a r e l l i M e t a l. 2 0 1 5

)。

M I

に 起 因 す る

P H

は 、 僧 帽 弁 の 粘 液 腫 様 変 性 に よ り ⽣ じ た

M R

に よ り 左 ⼼ 房 圧 が 上 昇 し 、 そ の 上 昇 し た 左 ⼼ 房 圧 が 肺 静 脈 へ と 伝 播 す る こ と で 、 ⼆ 次 的 に 肺 動 脈 圧 が 上 昇 す る こ と と さ れ て い る (

K e l l i h a n H B e t a l. 2 0 1 2 , P a t e l H e t a l . 2 0 1 4

)。

P H

の 確 定 診 断 に は

⼼ 臓 カ テ ー テ ル 検 査 が 必 要 不 可 ⽋ で あ る が 、 獣 医 学 で は 無 ⿇ 酔 下 で の 実 施 は 不 可 能 で あ る た め 、 ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 に よ り ⾮ 侵 襲 的 に 診 断 す る こ と が ⼀ 般 的 で あ る (

H e l e n P e t a l. 2 0 1 6

)。 三 尖 弁 逆 流 (

T R

) を 有 す る ⽝ で は 、 ベ ル ヌ ー イ の 簡 易 式 ( 圧 較 差 =

4

× 流 速

2

) を ⽤ い て

T R

速 度 か ら 収 縮 期 の 右 ⼼ 室 圧 と 肺 動 脈 圧 の 圧 較 差 を 推 定 す る こ と が 可 能 で あ り 、

P H

の 診 断 に は

T R

速 度 を ⽤ い た 推 定 肺 動 脈 圧 が 最 も ⼀ 般 的 に 利 ⽤ さ れ て い る 。 ま た

M I

罹 患 ⽝ に 占 め る

P H

の 合 併 率 は

1 4

5 3

% と 報 告 さ れ て い る

B o r g a r e l l i M e t a l. 2 0 1 5 , Ti d h o l m A e t a l. 2 0 1 5 , S e r r e s F J e t a l. 2 0 0 6 , G u g l i e l m i n i C e t a l. 2 0 1 0 , S c h o b e r K E e t a l .2 0 1 0

)。 し か し な が ら 、 こ れ ら

の 報 告 の い ず れ も が 海 外 の 報 告 で あ り 、 本 邦 で の 報 告 は な い 。 そ こ で 本

研 究 で は 、

M I

罹 患 ⽝ に 続 発 す る

P H

を 研 究 す る に あ た り 、 本 邦 で の ⼀

次 診 療 施 設 な ら び ⼆ 次 診 療 施 設 に 来 院 し た

M I

罹 患 ⽝ に お け る

P H

の 合

併 率 を 明 ら か に す る と 共 に 、

P H

の 有 無 に よ る ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 所 ⾒ な ら

び に 胸 部

X

線 検 査 所 ⾒ に つ い て 検 討 を ⾏ っ た 。

(11)

2 .

材 料 と ⽅ 法

1 )

供 試 材 料

本 研 究 で は

2 0 1 7

年 か ら

2 0 2 0

年 に か け て ⽇ 本 ⼤ 学 動 物 病 院 循 環 器 科 、

⽩ ⽯ 動 物 病 院( 埼 ⽟ 県 狭 ⼭ 市 )、⽬ ⿊ ア ニ マ ル メ デ ィ カ ル セ ン タ ー( 東 京 都 ⽬ ⿊ 区 ) に 来 院 し た

M I

罹 患 ⽝

1 4 7

頭 を 対 象 に ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 、 胸 部

X

線 検 査 を 実 施 し 、P H の 合 併 状 況 を 検 討 し た 。症 例 は ⽶ 国 獣 医 内 科 学 会

A C V I M

) ガ イ ド ラ イ ン に 従 っ て 分 類 し た 。

2 )

画 像 検 査 項 ⽬

⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 は 超 ⾳ 波 診 断 装 置

a p l i o 3 0 0

C a n o n M e d i c a l S y s t e m s C o . , L t d . , To c h i g i , J a p a n

) を ⽤ い て 、

2

名 の ⽇ 本 獣 医 循 環 器 学 会 認 定 医 に よ り 実 施 さ れ た

。本 研 究 で の P H

の 診 断 基 準 で あ る

T R

に 関 し て は 、右 側 傍 胸 ⾻ ア プ ロ ー チ で ⻑ 軸 四 腔 断 ⾯ 、 短 軸 断 ⾯ 、 な ら び に 左 傍 胸 ⾻ ア プ ロ ー チ で ⼼ 尖 部 四 腔 断 ⾯ の

3

断 ⾯ で の 最 ⾼ 速 度 を 採 ⽤ し た 。

T R

速 度 ≧

3 m / s e c

の 場 合 に

P H

と 診 断 し た 。T R 以 外 の 検 査 項 ⽬ は 、右 側 傍 胸 ⾻ ア プ

ロ ー チ で 短 軸 断 ⾯ を 描 出 し 、 体 重 標 準 化 左 室 拡 張 末 期 径 (

LV I D D N

)、 左 室 内 径 短 縮 率 (

F S

)、 左 ⼼ 房 径 ⼤ 動 脈 径 ⽐ (

L A / A o

)、 肺 動 脈 収 縮 期 ⾎ 流 速 加 速 時 間 駆 出 時 間 ⽐ (

AT / E T

)、 肺 動 脈 径 ⼤ 動 脈 径 ⽐ (

PA / A o

)、 右 ⼼ 室 拡 張 末 期 径 左 ⼼ 室 拡 張 末 期 径 ⽐(

RV I D d / LV I D d

)、右 ⼼ 室 収 縮 末 期 径 左 ⼼ 室 収 縮 末 期 径 ⽐(

RV I D s / LV I D s

)、E c c e n t r i c i t y i n d e x(

E I

)を 計 測 し た 。左 傍 胸 ⾻ ア プ ロ ー チ に て ⼼ 尖 部 四 腔 断 ⾯ お よ び ⼼ 尖 部 ⼆ 腔 断 ⾯ を 描 出 し て

M o d i f i e d S i m p s o n

法 を ⽤ い て 駆 出 率 (

E F) を

計 測 し 、 ま た ⼼ 尖 部 四 腔 断

⾯ か ら 三 尖 弁 輪 収 縮 期 移 動 距 離 (

TA P S E

) を 計 測 し た 。

(12)

7

胸 部

X

線 検 査 で は 右 横 臥 位 に て 撮 影 し 、 同 ⼀ 施 検 者 に よ り 胸 ⾻ ⼼ 臓 サ

イ ズ (

V H S) の

計 測 を ⾏ っ た 。

3

) 統 計 解 析

統 計 解 析 は

G r a p h P a d P r i s m v e r. 5 . 0 0 f o r Wi n d o w s

G r a p h P a d S o f t w a r e , S a n

D i e g o , C a l i f o r n i a , U S A

)を ⽤ い て ⾏ っ た 。す べ て の 値 は 中 央 値( 最 ⼩ 値

-

最 ⼤ 値 )で 表 し た 。シ グ ナ ル メ ン ト に 関 し て は χ

2

検 定 を ⽤ い た 。ま た

P H( + ) 群 と P H( - ) 群 の 2 群 間 ⽐ 較 に は M a n n -W h i t n e y U 検 定 を ⽤ い

た 。

P

< 0 . 0 5 を 有 意 差 あ り と し た 。

(13)

3 .

結 果

1 )

シ グ ナ ル メ ン ト ( 性 別 、 年 齢 、 体 重 、 ⽝ 種 、

A C V I M

ス テ ー ジ 分 類 ) 本 研 究 に お け る 対 象 症 例 は

M I

罹 患 ⽝

1 4 7

頭 ( 雄

8 8

頭 、 雌

5 9

頭 ) で あ り 、 年 齢 は

1 0

歳 (

5 - 1 4

)、 体 重 は

3 . 9 k g

1 . 8 - 2 0 . 9

) で あ っ た 。

⽝ 種 は チ ワ ワ (

7 7

頭 )、 雑 種 (

1 9

頭 )、 キ ャ バ リ ア ・ キ ン グ チ ャ ー ル ズ ・ ス パ ニ エ ル (

1 3

頭 )、 ト イ ・ プ ー ド ル (

1 2

頭 )、 マ ル チ ー ズ (

7

頭 )、 シ ー ズ ー (

6

頭 )、 ポ メ ラ ニ ア ン (

2

頭 )、 パ ピ ヨ ン (

2

頭 )、 柴 ⽝

1

頭 )、 シ ェ ッ ト ラ ン ド ・ シ ー プ ド ッ ク (

1

頭 )、 ヨ ー ク シ ャ ー ・ テ リ ア (

1

頭 )、 狆 (

1

頭 )、 チ ャ イ ニ ー ズ ・ ク レ ス テ ッ ド ・ ド ッ ク (

1

頭 )、

ミ ニ チ ュ ア ・ シ ュ ナ ウ ザ ー (

1

頭 )、 ビ ー グ ル (

1

頭 )、 ビ シ ョ ン ・ フ リ ー ゼ (

1

頭 )、 ト イ マ ン チ ェ ス タ ー ・ テ リ ア (

1

頭 ) で あ っ た 。

A C V I M

ス テ ー ジ 別 で は

S t a g e B 2

4 2

頭 )、

S t a g e C

8 3

頭 )、

S t a g e D

2 2

頭 ) で あ っ た 。

2 ) P H

の 有 無

P H

+

) 群 は

4 5

頭 ( 雄

2 3

頭 、 雌

2 2

)

、 年 齢 は

1 0

歳 (

9 - 11

)、 体 重 は

4 . 8 k g

3 . 2 - 6 . 9

) で あ っ た 。

A C V I M S t a g e

別 で は 、

S t a g e B 2

5

頭 )、

S t a g e C

2 9

頭 )、

S t a g e D

11

頭 ) で あ っ た 。

P H

-

) 群 は

1 0 2

( 雄

6 1

頭 、 雌

4 1

頭 )、 体 重 は

3 . 7 k g(2 . 8 - 5 . 0

)、 年 齢 は

9

歳 (

8 - 11

) で

あ っ た 。

A C V I M S t a g e

別 で は 、

S t a g e B 2

3 7

頭 )、

S t a g e C

5 4

頭 )、

S t a g e D

11

頭 ) で あ っ た ( 表

1

)。

P H

の 合 併 率 は

3 0 %

4 5

/ 1 4 7

頭 )

で あ っ た 。

A C V I M

ス テ ー ジ 分 類 で は 、

S t a g e B 2

11 %

5

/ 4 2

頭 )、

S t a g e C

3 5 %

2 9

/ 8 3

頭 )、

S t a g e D

5 0 %

11

/ 2 2

頭 ) で あ り 、

(14)

9

P H

の 合 併 と

A C V I M

ス テ ー ジ 分 類 の 間 に 有 意 差 を 認 め た 。

3 )

⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査

P H

+

) 群 に お い て

E F

P H

-

) 群 と ⽐ 較 し て 有 意 に 低 下 し ( 図

1

)、

L A / A o

LV I D D N

PA / A o

P H

-

) 群 と ⽐ 較 し て 有 意 に 上 昇 し て い た

( 図

2 , 3 , 4

)。

4 )

胸 部

X

線 検 査

P H

+

) 群 に お い て 、

V H S

P H

-

) 群 と ⽐ 較 し て 有 意 に 上 昇 し て い

た ( 図

5 ,

2

)。

(15)

考 察

本 邦 で の

M I

へ の

P H

の 合 併 率 は

3 0 %

と 過 去 の 海 外 の 報 告 (

B o r g a r e l l i M e t a l. 2 0 1 5 , Ti d h o l m A e t a l. 2 0 1 5 , S e r r e s F J e t a l. 2 0 0 6 , G u g l i e l m i n i C e t a l. 2 0 1 0 , S c h o b e r K E e t a l .2 0 1 0

) と 類 似 す る 結 果 と な っ た 。 し か し な が ら 、 過 去 の 報 告 で は

5 3 %

と 半 数 以 上 で

P H

を 合 併 す る と の 報 告 も あ り

G u g l i e l m i n i C e t a l. 2 0 1 0 ,

)、 こ の よ う な 違 い に な っ た ⼀ つ の 原 因 と し て は 、

P H

の 診 断 基 準 に ⽤ い た

T R

速 度 の 設 定 の 違 い が あ り 、 本 研 究 で は

T R

速 度 ≧

3 m / s e c

を カ ッ ト オ フ 値 に 設 定 し た が 、

G u g l i e l m i n i

ら の 報 告 で は

T R

速 度 ≧

2 . 4 m / s e c

と 低 く 設 定 さ れ て い た た め と 考 え ら れ た 。

P H

+

) 群 と

P H

-

) 群 と の ⽐ 較 で は 、

P H

+

) 群 で は

P H

-

) 群 と ⽐

較 し て

LV I D D N

L A / A o

V H S

の 項 ⽬ で 有 意 に 上 昇 す る 結 果 と な っ た 。

LV I D D N

お よ び

L A / A o

は ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 に て 左 ⼼ 系 拡 ⼤ を ⽰ 唆 す る 所

⾒ で あ り 、 同 様 に

V H S

も 胸 部

X

線 検 査 に お い て ⼼ 拡 ⼤ を ⽰ 唆 す る 所 ⾒ で あ る 。 従 っ て

P H

+

) 群 で は 有 意 に ⼼ 拡 ⼤ が ⽣ じ て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。

M I

か ら の

P H

は 、 左 ⼼ 房 圧 が 上 昇 す る こ と で 肺 静 脈 圧 が 上 昇 し ⽣ じ る 肺 静 脈 性

P H

で あ る こ と を 考 慮 す る と 、 こ れ ら の 機 序 を 裏 付 け る 結 果 と な っ た 。

M I

I S A C H

分 類 が 進 ⾏ す る ほ ど

P H

の 罹 患 率 が

⾼ く 、 特 に 左 ⼼ 不 全 ⽝ に お け る

P H

の 合 併 率 は

7 2 %

に 上 る と 報 告 さ れ て い る (

S e r r e s F J e t a l. 2 0 0 6

)。 ま た 左 ⼼ 房 拡 ⼤ は

M I

に 合 併 す る

P H

の リ ス ク 因 ⼦ で あ る こ と も 報 告 さ れ て い る (

Ti d h o l m A e t a l. 2 0 1 5 , O ’ L e a r y

J M e t a l. 2 0 1 8

) 実 際 に 、

M I

罹 患 ⽝ に お い て

L A / A o

と 推 定 肺 動 脈 圧 に は

低 い な が ら も 有 意 な 相 関 性 が 認 め ら れ て お り (

Ti d h o l m A e t a l. 2 0 1 5 , S e r r e s F J e t a l. 2 0 0 6 , C h i a v e g a t o D e t a l .2 0 0 9)、 左 ⼼ 房

拡 ⼤ を 伴 う

M I

(16)

11

患 ⽝ で は

P H

の 罹 患 率 が ⾼ く な っ て い る 。 本 研 究 で も 同 様 に 、

A C V I M

ス テ ー ジ 分 類 の 進 ⾏ と と も に 、

P H

の 合 併 率 が 上 昇 す る こ と が ⽰ さ れ た 。 さ ら に 、

M I

は 左 ⼼ 房 拡 ⼤ に 続 き 左 ⼼ 室 拡 ⼤ へ 進 ⾏ す る (

C h e t b o u l V e t a l . 2 0 1 2 , O ’ G a r a P e t a l. 2 0 0 8

) こ と で 、 結 果 的 に 左 ⼼ 不 全 へ と ⾄ る 。 従 っ て 、 本 研 究 で 認 め ら れ た

LV I D D N

L A / A o

V H S

の 有 意 な 上 昇 は 、

P H

+

) 群 に お い て は

P H

-

) 群 と ⽐ 較 し て

M I

が よ り 重 症 で あ る と 推 察 さ れ た 。

さ ら に

E F

に 関 し て は 、 ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 に お け る 最 も ⼀ 般 的 な 左 室 ⼼ 筋 の 収 縮 能 を 評 価 す る 項 ⽬ で あ り (

B o n a g u r a J D e t a l. 2 0 0 9

)、 ⼈ の

M I

に お い て

M R

の 重 症 な 症 例 ほ ど

E F

( シ ン プ ソ ン 法 ) が 低 下 す る こ と が

⽰ さ れ て お り (

M c G i n l e y J C e t a l. 2 0 0 7)、P H

+

) 群 に お い て は

M I

が よ り 重 度 で あ る 可 能 性 が ⽰ 唆 さ れ た 。

ま た

P H

の ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 所 ⾒ と し て 、T R 速 度 以 外 に も 複 数 の 検 査 項

⽬ が 存 在 し て い る (

Ta i T C e t a l. 2 0 1 3 , H e l e n P e t a l. 2 0 1 6

)。 あ る 報 告 で

PA / A o > 1 . 0 4、AT / E T < 0 . 3 0

、 は 推 定 肺 動 脈 圧

> 5 5 m m H g

の 予 測 に 有 ⽤ で

あ っ た と 報 告 し て い る (

Vi s s e r L C e t a l . 2 0 1 6

)。 本 研 究 で も

P H(+

) 群 に

お い て

PA / A o 1 . 1

0 . 9 – 1 . 6

) で あ り 、 有 意 差 を 認 め て い る こ と か ら 、

P H

T R

以 外 の 診 断 基 準 と し て は

PA / A o

は 有 ⽤ で あ る 可 能 性 が 考 え ら れ た 。

し か し 、診 断 精 度 と し て は 感 度

6 2 . 5 %

、特 異 度

7 2

% で あ り 、P H 診 断 の 補

助 的 な 位 置 づ け で あ る と 考 え ら れ た 。

(17)

⼩ 括

本 研 究 で は

3

施 設 の 動 物 病 院 に 来 院 し た

M I

罹 患 ⽝ に お け る

P H

の 合 併 率 を 調 査 し 、

P H

の 有 無 に よ る ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 所 ⾒ な ら び に 胸 部

X

線 検 査 所 ⾒ に つ い て 検 討 を ⾏ っ た 。 そ の 結 果 、

M I

罹 患 ⽝ に お い て

3 0 %

の 症 例 で

P H

を 合 併 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。 ま た 、

A C V I M

ス テ ー ジ 分 類 が 進 ⾏ す る に 従 い 、

P H

の 合 併 率 が 有 意 に 上 昇 す る こ と が ⽰ さ れ た 。

⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 で は

P H

を 合 併 し た 群 に お い て 、

LV I D D N

お よ び

L A / A o

で 有 意 な 上 昇 が 認 め ら れ 、 ま た

E F

で 有 意 な 減 少 が 認 め ら れ た 。

同 様 に 胸 部

X

線 検 査 で は

V H S

に お い て 有 意 な 上 昇 が 認 め ら れ た 。

以 上 の こ と か ら 、 本 邦 で の

M I

罹 患 ⽝ に お け る

P H

の 合 併 率 が 初 め て 明

ら か に な っ た 。 ま た 本 邦 で も 海 外 の 報 告 と 同 様 に 、

M I

の 重 症 度 の 進 ⾏

に 伴 い

P H

を 合 併 す る こ と が ⽰ 唆 さ れ た 。

(18)

13

1 P H

の 有 無 に お け る

E F

の ⽐ 較

*

P< 0 . 0 5

2

P H

の 有 無 に お け る

L a / A o

の ⽐ 較

*

P< 0 . 0 5

LA/Ao

PH+ PH-

0 1 2 3 4 5

PH

EF

PH+ PH-

50 60 70 80 90 100

PH

EF %

*

*

(19)

3

P H

の 有 無 に お け る

LV I D D N

の ⽐ 較

*

P< 0 . 0 5

4

P H

の 有 無 に お け る

PA / A o

の ⽐ 較

*

P< 0 . 0 5

LVIDDN

PH+ PH-

0 1 2 3 4

PH

PA/AO

PH+ PH-

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

PH

*

*

(20)

15

5

P H

の 有 無 に お け る

V H S

の ⽐ 較

VHS

PH+ PH-

8 10 12 14 16 18

PH

VHS v

*

(21)

1

: 対 象 症 例

1 4 7

頭 に お け る 性 別 、 体 重 、 年 齢 、

A C V I M

ス テ ー ジ 分 類 お よ び

T R

速 度

PH (-) PH (+)

102 45

/ 61/41 23/22

, kg 3.7 (1.8 - 10.4) 4.8 (1.8 - 20.9)

, 9 (5 - 13) 10 (6 - 14)

ACVIM

B2 37 (89%) 5 (11%)

C 54 (65%) 29 (35%)

D 11 (50%) 11 (50%)

TR , m/sec 1.3 (0.0 - 2.6) 3.4 (3.1 - 3.7)

* P<0.05

(22)

17

2

P H

合 併 の 有 無 に よ る 画 像 検 査 所 ⾒ の ⽐ 較

PH (-) PH (+)

LVIDDN 2.1 (1.3 - 3.0) 2.2 (1.9 - 2.8)*

LA/Ao 2.4 (2.1 - 2.8) 2.8 (1.9 - 3.9)*

FS, % 50 (29.2 - 73.9 ) 47.3 (29.8 - 64.5)

EF, % 83.3 (60.3 - 94.9) 79.3 (64.9 - 92.5)*

EI 1.0 (0.6 - 1.6) 1.0 (0.8 - 1.3)

AT/ET 0.4 (0.2 - 0.6) 0.4 (0.2 - 0.5)

PA/Ao 1.0 (0.7 - 1.4) 1.1 (0.9 - 1.6)*

TAPSE 13.6 (3.0 - 23.2) 13.2 (4.5 - 24.6)

RVIDd/LVIDd 0.1 (0.0 - 0.5) 0.1 (0.0 - 0.6)

RVIDs/LVIDs 0.2 (0.0 - 0.8) 0.3 (0.0 - 0.9)

VHS, v 11.4 (9.5 - 15.8) 12.4 (10.1 - 14.0)*

* P<0.05

(23)

2

肺 ⾼ ⾎ 圧 症 を 合 併 し た 僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 症 に 対 す る

外 科 治 療 の 有 効 性 に 関 す る 研 究

(24)

19

1 .

緒 ⾔

M I

に 続 発 し た

P H

に 対 す る 治 療 の 基 本 ⽅ 針 は 、 原 因 と な る 左 ⼼ 系 疾 患 に 対 す る 適 切 な 治 療 を ⾏ い 、 左 ⼼ 房 圧 を 低 下 さ せ る こ と で あ る 。 左 ⼼ 房 圧 の 上 昇 に よ っ て 受 動 的 に 肺 動 脈 圧 が 上 昇 し て い る 状 態 (

p a s s i v e P H

) で は 左 ⼼ 房 圧 を 正 常 化 す る こ と で

P H

が 改 善 す る 可 能 性 が あ る 。 具 体 的 に は 強 ⼼ 薬 、 ⾎ 管 拡 張 薬 、 利 尿 剤 を ⽤ い る の が ⼀ 般 的 で あ る (

K e l l i h a n

H B e t a l . 2 0 1 2

)。 こ れ ら

M I

に 対 す る 治 療 を ⾏ っ て い る に も 関 わ ら ず 、

P H

が 改 善 し な い 場 合 は 、 肺 ⾎ 管 拡 張 薬 を 使 ⽤ す る 場 合 が あ る 。 獣 医 学 で は 肺 ⾎ 管 拡 張 薬 と し て は シ ル デ ナ フ ィ ル の 使 ⽤ 報 告 が 多 い (

B r o w n A J e t a l. 2 0 1 0 , B a c h J F e t a l . 2 0 0 6 , K e l l u m H B e t a l. 2 0 0 7 , U e d a Y e t a l .

2 0 1 9

)。 し か し な が ら 、 肺 ⾎ 管 拡 張 に よ り 左 ⼼ 系 へ の 前 負 荷 が 増 ⼤ し 、

肺 ⽔ 腫 な ど の ⼼ 不 全 を 引 き 起 こ す こ と も 報 告 さ れ て い る (

H u m b e r t M e t a l . 1 9 9 8 , C a l i f f R M e t a l . 1 9 9 7

)。 そ の た め ⼈ 医 学 で は 、 左 ⼼ 系 疾 患 に 起 因 す る 、 第

2

群 の

P H

患 者 へ の 肺 ⾎ 管 拡 張 薬 の 使 ⽤ は ⼀ 定 の ⾒ 解 が 得 ら れ て い な い 。

⼀ ⽅ で ⼈ 医 学 で は 、

M V R

後 に 術 前 の

P H

が 改 善 す る こ と が 報 告 さ れ て

い る (

G o l d s t o n e A B e t a l. 2 0 11 , M u r a s h i t a T e t a l. 2 0 1 5

)。 し か し な が ら

獣 医 学 で は 、

M V R

後 の 術 前 の

P H

の 変 化 を 検 討 し た 報 告 は な い 。 そ こ

で 本 研 究 で は

M I

罹 患 ⽝ に 対 し て

M V R

を 実 施 し 、 術 前

P H

が 術 後 に ど

の よ う に 変 化 す る か 、 ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 お よ び 胸 部

X

線 検 査 所 ⾒ を も と

に 評 価 し た 。

(25)

2 .

材 料 と ⽅ 法

1 )

供 試 材 料

⽇ 本 ⼤ 学 ⽣ 物 資 源 科 学 部 付 属 動 物 病 院 に て

2 0 1 6

年 か ら

2 0 1 7

年 の 間 に

M I

と 診 断 さ れ

C P B

を ⽤ い て

M V R

を 実 施 し た 症 例

11 4

頭 を 対 象 と し た 。

症 例 は

A C V I M

ガ イ ド ラ イ ン に 従 っ て 分 類 し た 。

2 )

画 像 検 査 項 ⽬

⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 は 超 ⾳ 波 診 断 装 置

a p l i o 3 0 0(C a n o n M e d i c a l S y s t e m s C o . ,

L t d . , To c h i g i , J a p a n

) を ⽤ い て 、

2

名 の ⽇ 本 獣 医 循 環 器 学 会 認 定 医 に よ り

実 施 さ れ た 。本 研 究 で の

P H

の 診 断 基 準 で あ る

T R

に 関 し て は 、右 側 傍 胸

⾻ ア プ ロ ー チ で ⻑ 軸 四 腔 断 ⾯ 、 短 軸 断 ⾯ 、 な ら び に 左 傍 胸 ⾻ ア プ ロ ー チ で ⼼ 尖 部 四 腔 断 ⾯ の

3

断 ⾯ で の 最 ⾼ 速 度 を 採 ⽤ し た 。 第

1

章 と 同 様 に 、

T R

速 度 ≧

3 m / s e c

の 場 合 に

P H

と 診 断 し た 。 右 側 傍 胸 ⾻ ア プ ロ ー チ で 短 軸 断 ⾯ を 描 出 し 、 体 重 標 準 化 左 室 拡 張 末 期 径 (

LV I D D N

)、 左 室 内 径 短 縮 率

F S

)、 左 ⼼ 房 径 ⼤ 動 脈 径 ⽐ (

L A / A o

)、 肺 動 脈 収 縮 期 ⾎ 流 速 加 速 時 間 駆

出 時 間 ⽐ (

AT / E T

)、 肺 動 脈 径 ⼤ 動 脈 径 ⽐ (

PA / A o

)、 右 ⼼ 室 拡 張 末 期 径 左

⼼ 室 拡 張 末 期 径 ⽐(

RV I D d / LV I D d

)、右 ⼼ 室 収 縮 末 期 径 左 ⼼ 室 収 縮 末 期 径

⽐(

RV I D s / LV I D s

)、E c c e n t r i c i t y i n d e x(

E I

)を 計 測 し た 。左 傍 胸 ⾻ ア プ ロ ー チ に て ⼼ 尖 部 四 腔 断 ⾯ お よ び ⼼ 尖 部 ⼆ 腔 断 ⾯ を 描 出 し て

M o d i f i e d

S i m p s o n

法 を ⽤ い て 駆 出 率 (

E F

) を 算 出 し 、 ま た ⼼ 尖 部 四 腔 断 ⾯ か ら 三

尖 弁 輪 収 縮 期 移 動 距 離 (

TA P S E

) を 計 測 し た 。

胸 部

X

線 検 査 で は 右 横 臥 位 に て 撮 影 し 、 同 ⼀ 施 検 者 に よ り 胸 ⾻ ⼼ 臓

サ イ ズ (

V H S

) の 計 測 を ⾏ っ た 。

(26)

21

画 像 検 査 は 術 前 と 術 後

3

ヵ ⽉ で 実 施 し 、 術 後 に 右 ⼼ 負 荷 所 ⾒ ( ⼼ 室 中 隔 壁 の 扁 平 化 、 右 ⼼ 系 の 拡 ⼤ ) も し く は 臨 床 徴 候 ( 運 動 不 耐 性 、 チ ア ノ ー ゼ ) が 認 め ら れ た 場 合 に は 肺 ⾎ 管 拡 張 薬 で あ る シ ル デ ナ フ ィ ル の 投 与 を ⾏ っ た 。

3 )

⿇ 酔 と ⼿ 術

⿇ 酔 前 投 与 薬 と し て 硫 酸 ア ト ロ ピ ン (

0 . 0 4 m g / k g , S C , M i t s u b i s h i Ta n a b e P h a r m a C o r p . , O s a k a , J a p a n

) を 接 種 し た 。 そ の 後 ⼗ 分 に 酸 素 化 し た 後 フ ェ ン タ ニ ル (

5 μ g / k g , I V, D a i i c h i S a n k y o c o . , L t d . , To k y o , J a p a n

)、 プ ロ ポ フ ォ ー ル (

4 m g / k g , I V, M y l a n I n c . , C a n o n s b u r g , PA ,

U . S . A .

) に て ⿇ 酔 導 ⼊ し 、 気 管 チ ュ ー ブ を 挿 管 し た 。

2 - 3

% イ ソ フ ル

ラ ン (

D S P h a r m a A n i m a l H e a l t h C o . , L t d . , O s a k a , J a p a n

) に て ⿇ 酔 維 持 と し た 。

C P B

中 は フ ェ ン タ ニ ル (

0 . 4 μ g / k g / m i n , I V

)、 プ ロ ポ フ ォ ー ル

0 . 1 m g / k g / m i n , I V) の

持 続 点 滴 に て ⿇ 酔 維 持 を ⾏ っ た 。 症 例 は 右 横 臥

位 に 固 定 し 、 ⼿ 術 を 開 始 し た 。 ⼤ 腿 三 ⾓ の 位 置 で ⽪ 膚 を 切 開 し 、 ⼤ 腿 動 脈 な ら び に ⼤ 腿 静 脈 を 分 離 し た 。 そ の 後

5 F r

の 栄 養 カ テ ー テ ル を 挿 ⼊ し 観 ⾎ 的 に ⾎ 圧 測 定 を ⾏ っ た 。 続 い て 左 側 頸 部 ⽪ 膚 を 切 開 し 、 頸 動 脈 な ら び に 頸 静 脈 を 分 離 し た 。 左 側 第

5

肋 間 開 胸 に て ア プ ロ ー チ し 、 ⼼ 膜 を 切 開 後 、

4

本 の ⼼ 膜 テ ン ト を 設 置 し た 。 そ の 後 、 ヘ パ リ ン (

2 0 0 I U / k g , I V, AY P h a r m a c e u t i c a l s C o . , L t d . , To k y o , J a p a n) を

投 与 し 、 活 性 化 凝 固 時 間

3 5 0

秒 以 上 で あ る こ と を 確 認 し た 。 す で に 分 離 し て い る 頸 動 脈 に

6 -

8 F r

送 ⾎ カ ニ ュ ー レ を 挿 ⼊ し 、 ま た 頸 静 脈 に は

8 - 1 2 F r

脱 ⾎ カ ニ ュ ー レ を

挿 ⼊ し て 部 分 体 外 循 環 を 開 始 し た 。 灌 流 量 が

6 0 m l / k g / m i n

以 上 で あ る こ

(27)

と を 確 認 後 、 ⼤ 動 脈 遮 断 を ⾏ い 完 全 体 外 循 環 に 移 ⾏ し た 後 、 ⼼ 筋 保 護 液 を 注 ⼊ し ⼼ 臓 を 停 ⽌ し た 。 ⼼ 停 ⽌ 後 左 ⼼ 房 切 開 を ⾏ い 僧 帽 弁 の 観 察 を ⾏ っ た 。 ⼼ 内 操 作 は 、 は じ め に

e P T F E

G o r e - Te x , To k y o , J a p a n

) を ⽤ い て 僧 帽 弁 前 尖

-

前 乳 頭 筋 に

1

対 、 後 尖

-

前 乳 頭 筋 に

1

対 、 前 尖

-

後 乳 頭 筋 に

2

対 、 後 尖

-

後 乳 頭 筋 に

1

対 の 計

5

対 の 腱 索 再 建 術 を ⾏ っ た 。 続 い て 拡 ⼤ し た 僧 帽 弁 弁 輪 に 対 し て

5 - 0

ポ リ ビ ニ リ デ ン フ ル オ ラ イ ド 縫 合 ⽷

K o n o S e i s a k u s h o C o . , L t d . , C h i b a , J a p a n

) を ⽤ い て 弁 輪 縫 縮 術 を ⾏ っ た 。 そ の 後

5 - 0

ポ リ ビ ニ リ デ ン フ ル オ ラ イ ド 縫 合 ⽷ に て 単 純 連 続 縫 合 で 左 ⼼ 房 を 縫 合 し 、 ⼤ 動 脈 遮 断 を 解 除 し た 。

C P B

の 灌 流 量 を 徐 々 に 減 量 し て い き 、 ⾎ ⾏ 動 態 の 維 持 を 確 認 し た 後 に

C P B

か ら 離 脱 し た 。 そ の 後 は 常 法 に 従 い 胸 腔 ド レ ー ン チ ュ ー ブ を 設 置 し て 閉 胸 し た 。

4 ) C P B

本 研 究 で は ⼼ 臓 機 能 を 代 替 え す る 送 ⾎ ポ ン プ 、 肺 の ガ ス 交 換 能 を 代 替 え す る ⼈ ⼯ 肺 を 基 本 的 な 構 成 要 素 と し て 、 体 温 を ⼈ ⼯ 的 に 調 整 す る 熱 交 換 器 や ⼿ 術 中 の 余 分 な ⽔ 分 や 電 解 質 を 除 去 す る ⾎ 液 濃 縮 器 の 設 置 も ⾏ っ た ( 図

1

)。 本 研 究 で は 図

2

の 構 成 に よ り

1 5 0 m l

の 充 填 量 に 構 成 し た 。

① 静 脈 リ ザ ー バ ー

静 脈 リ ザ ー バ ー (

D 1 0 0 , L i v a N o v a , To k y o , J a p a n

) を 使 ⽤ し た 。

② ⼈ ⼯ 肺 ( 熱 交 換 器 ⼀ 体 型 ⼈ ⼯ 肺 )

⼈ ⼯ 肺 は 外 部 灌 流 ⽅ 式 の 中 空 ⽷ 型 膜 型 ⼈ ⼯ 肺(

D 1 0 0 K I D S , L i v a N o v a ,

(28)

23

To k y o , J a p a n

) を 使 ⽤ し た 。

③ ⾎ 液 濃 縮 器

本 研 究 で は 充 填 量 が

2 3 m l

、 膜 ⾯ 積

0 . 3

㎡ の ⾎ 液 濃 縮 器

B I O C U B E®B H C - 0 3 0 , N i p r o , O s a k a , J a p a n

) を 使 ⽤ し た 。

5 )

統 計 解 析

統 計 解 析 は

G r a p h P a d P r i s m v e r. 5 . 0 0 f o r Wi n d o w s

G r a p h P a d S o f t w a r e , S a n D i e g o , C a l i f o r n i a , U S A

) を ⽤ い て ⾏ っ た 。 す べ て の 値 は 中 央 値

( 最 ⼩ 値

-

最 ⼤ 値 ) で 表 し た 。

P H

+

) 群 と

P H

-

) 群 の

2

群 間 ⽐ 較 に は

M a n n - W h i t n e y U

検 定 を ⽤ い た 。 術 前 と 術 後 の ⽐ 較 に は

Wi l c o x s o n

の 符 号 順 位 検 定 を ⽤ い た 。

P

0 . 0 5

を 有 意 差 あ り と し た 。

(29)

3 .

結 果

1 )

シ グ ナ ル メ ン ト( 性 別 、年 齢 、体 重 、⽝ 種 、A C V I M ス テ ー ジ 分 類 ) 本 研 究 に お け る 対 象 症 例 は

M I

罹 患 ⽝

11 4

頭 ( 雄

6 9

頭 、 雌

4 5

頭 ) で あ り 、 年 齢 は

1 0

歳 (

5 - 1 4

)、 体 重 は

3 . 8 k g(1 . 8 – 2 0 . 9

) で あ っ た 。 ⽝ 種 は チ ワ ワ (

6 0

頭 )、 雑 種 (

1 4

頭 )、 キ ャ バ リ ア ・ キ ン グ ・ チ ャ ー ル ズ ・ ス パ ニ エ ル (

11

頭 )、 ト イ ・ プ ー ド ル (

9

頭 )、 マ ル チ ー ズ (

5

頭 )、 シ ー ズ ー

4

頭 )、 ポ メ ラ ニ ア ン(

2

頭 )、 狆(

1

頭 )、ヨ ー ク シ ャ ー・テ リ ア (

1

頭 )、

シ ェ ッ ト ラ ン ド ・ シ ー プ ド ッ ク (

1

頭 )、 ビ ー グ ル (

1

頭 )、 パ ピ ヨ ン (

1

頭 )、チ ャ イ ニ ー ズ ・ ク レ ス テ ッ ド ・ ド ッ ク (

1

頭 )、ミ ニ チ ュ ア ・ シ ュ ナ ウ ザ ー (

1

頭 )、 柴 ⽝(

1

頭 )、 ビ シ ョ ン・フ リ ー ゼ (

1

頭 )で あ っ た 。

A C V I M S t a g e

別 で は 、

S t a g e B 2

3 2

頭 )、

S t a g e C

6 5

頭 )、

S t a g e D(1 7

頭 ) で あ っ た 。

2 ) P H

の 有 無

術 前 に

P H

を 合 併 し て い た 症 例 は

3 7

頭( 雄

1 7

頭 、雌

2 0

頭 )、年 齢 は

1 0

歳 (

9 - 11)、

体 重 は

4 . 8 k g(3 . 2 - 8 . 1

) で あ っ た 。

A C V I M S t a g e

別 で は 、

S t a g e B 2

5

頭 )、

S t a g e C

2 3

頭 )、

S t a g e D

9

頭 ) で あ っ た 。 ま た 術 前 に

P H

を 合 併 し て い な か っ た 症 例 は

7 7

頭 ( 雄

5 2

頭 、 雌

2 5

頭 )、 年 齢 は

1 0

歳(

8 - 11)、体

重 は

3 . 7 k g

2 . 8 - 4 . 9

)で あ っ た 。A C V I M S t a g e 別 で は 、

S t a g e B 2

2 7

頭 )、

S t a g e C

4 2

頭 )、

S t a g e D

8

頭 ) で あ っ た ( 表

1

)。

3 )

術 前 の 画 像 検 査 所 ⾒ の ⽐ 較

P H

を 合 併 し た 群 (

P H +

群 ) と 合 併 し て い な い 群 (

P H -群 ) と の ⼼ 臓 超

(30)

25

⾳ 波 検 査 所 ⾒ の ⽐ 較 で は 、

P H +

群 が

LV I D D N

L A / A o

PA / A o

に お い て 有 意 な 上 昇 を 認 め た ( 表

2

)。

4 )

術 後

P H

の 変 化

① 術 前

P H ( + )

術 後 に

2 0

頭 (

5 4 %

) で

P H

が 改 善 し た が 、

1 7

頭 で

P H

が 残 存 し た 。 残 存 し た

1 7

頭 の う ち

3

頭 で 術 直 後 か ら シ ル デ ナ フ ィ ル (

1 - 2 m g / k g B I D

) が 投 与 さ れ て い た ( 表

3

)。

② 術 前

P H ( - )

術 後 に

8

頭 で 新 た に

P H

を 認 め た 。

8

頭 の う ち

2

頭 で 術 直 後 か ら シ ル

デ ナ フ ィ ル (

1 - 2 m g / k g B I D

) が 投 与 さ れ て い た ( 表

3

)。 シ ル デ ナ フ ィ

ル 投 与 が 必 要 だ っ た

2

頭 に 関 し て は 、 術 前 の ⼼ 拡 ⼤ が 顕 著

L A / A O > 3 . 0

) で あ り 、 左 ⼼ 系 が 右 ⼼ 系 を 圧 排 し て い た ( 図

4

)。 そ の

他 の 症 例 で は 、 術 後

T R

以 外 の

P H

を ⽰ 唆 す る 所 ⾒ は 認 め ら れ な か っ た 。

5 )

術 前 と 術 後 の 画 像 検 査 所 ⾒ の ⽐ 較

術 後 の ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 お よ び 胸 部

X

線 検 査 で は 、 術 前 と ⽐ 較 し て

LV I D D N , L A / A O , F S , E F, TA P S E , V H S

が 有 意 に 減 少 し た ( 表

4)。

術 後 に

P H

が 残 存 ま た は に 認 め た 症 例 で は 、

P H

を 認 め な い 症 例 と ⽐ 較 し て 、

AT / E T

に お い て 有 意 な 減 少 が 認 め ら れ た ( 表

5

)。

術 後 に

P H

が 残 存 も し く は 出 現 し た 症 例 に お い て 、 シ ル デ ナ フ ィ ル 投

(31)

与 が 必 要 だ っ た 症 例 と 無 治 療 の 症 例 を ⽐ 較 す る と 、 シ ル デ ナ フ ィ ル 投 与

群 は 術 前 の

LV I D D N

L A / A o

が 有 意 に 上 昇 し て い た 。

(32)

27

4 .

考 察

本 研 究 で は 、 ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 に て 術 前 と ⽐ 較 し て 術 後 に 、

LV I D D N ,

L A / A O

が 有 意 に 減 少 し 、 胸 部

X

線 検 査 で は

V H S

が 有 意 に 減 少 し て い

た 。 こ れ ら の 項 ⽬ は ⼼ 拡 ⼤ を 客 観 的 に 評 価 す る 検 査 項 ⽬ で あ り 、

M R

を 外 科 的 に 制 御 し た こ と に よ り 、 ⼼ 拡 ⼤ が 改 善 し た こ と が ⽰ さ れ た 。 過 去 の

M I

罹 患 ⽝ に 対 す る

M V R

に お い て も 、

M V R

1

ヵ ⽉ で ⼼ 拡 ⼤ が 改 善 す る 報 告 を は じ め と し て 、

M R

に 対 す る 外 科 治 療 の 有 効 性 を ⽰ す 報 告 が 存 在 し (

M i z u n o T e t a l. 2 0 1 3 , U e c h i M e t a l. 2 0 1 2 , U e c h i M e t a l.

2 0 1 2

)、 本 研 究 で も

M I

罹 患 ⽝ に 対 す る 外 科 の 有 効 性 が ⽰ さ れ た 。

⼀ ⽅ で 、 術 前 と ⽐ 較 し て 術 後 に

E F、F S

TA P S E

が 低 下 す る 結 果 と な っ た 。

E F

お よ び

F S

は 左 ⼼ 収 縮 能 を ⽰ す 検 査 項 ⽬ で あ り (

C h e t b o u l V e t a l . 2 0 1 2

)、 ま た

TA P S E

は 右 ⼼ 収 縮 能 を ⽰ す 項 ⽬ で あ る (

P a r i u t R e t a l.

2 0 1 2

)。

E F

お よ び

F S

は 後 負 荷 の 影 響 を 受 け る な ど 制 限 が あ る が 、 術 後

3

ヵ ⽉ 時 点 で は 臨 床 症 状 は 認 め な い が 、 潜 在 的 に ⼼ 収 縮 能 は 低 下 し た 状 態 で あ る 可 能 性 が ⽰ 唆 さ れ た 。 ⼈ 医 学 で は 、 術 前 の 左 室 収 縮 末 期 容 積 係

数 が

1 0 0 m l / m

以 上 の 患 者 で は 、 術 後 に 収 縮 能 が 改 善 し な い と い う 報 告

I s h i t o y a H . 2 0 0 0) や 、 術 前 の 左 ⼼

室 拡 ⼤ が 顕 著 な 患 者 で は ⼼ 筋 細 胞 列

の 断 裂 な ど の 不 可 逆 的 な 反 応 を ⽣ じ る こ と が 報 告 さ れ て い る (

O k a d a R

e t a l. 1 9 8 8

)。 ⼼ 収 縮 能 の 低 下 は 術 中 の 不 ⼗ 分 な ⼼ 筋 保 護 や 再 灌 流 障 害

な ど の 影 響 も 考 え ら れ る が 、 ⼈ 医 学 同 様 術 前 の 影 響 を 検 討 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ た 。

術 後 に 新 た に

P H

を 認 め た 症 例 で は 2 つ の タ イ プ が あ る と 考 え ら れ

た 。 ま ず 第 ⼀ に 、 術 前 に 顕 著 な 左 ⼼ 拡 ⼤ を ⽰ し た

3

症 例 に お い て は 、 拡

(33)

⼤ し た 左 ⼼ 系 が 右 ⼼ 系 を 圧 排 し 、 結 果 と し て 三 尖 弁 輪 の 拡 ⼤ を 抑 制 す る こ と で

T R

を 隠 し て い た 可 能 性 が 考 え ら れ 、 術 後 に 左 ⼼ 拡 ⼤ が 解 消 し た 結 果 、 右 ⼼ 拡 ⼤ に 引 き 続 き

P H

が 顕 在 化 し た タ イ プ で あ る と 考 え ら れ た 。

⼀ ⽅ で 、 新 た に

P H

が 認 め ら れ た 残 り の

5

頭 は 、

T R

以 外 の

P H

⽰ 唆 す る 所 ⾒ が 認 め ら れ な か っ た 。 ⼈ 医 学 に お い て 、

M V R

後 の 軽 度

T R

に 関 し て は 、 悪 化 す る こ と は な い と す る 報 告 (

Yi l m a z O e t a l. 2 0 11

) も あ る が 、 ⽝ に お け る 報 告 は な い 。 ⼈ と 同 様 に 術 後

T R

が 悪 化 し な い タ イ プ で あ る こ と も 予 想 さ れ る が 、 本 研 究 に お い て は 術 後 の

P H

が 予 後 に ど の よ う な 影 響 を 与 え る か を 検 討 で き て い な い た め 、 追 跡 調 査 が 必 要 で あ る と 考 え ら れ た

術 後 に

P H

を 認 め た 症 例

2 5

頭 の う ち

5

頭 で 、 臨 床 症 状 ( 運 動 不 耐 性 、 チ ノ ー ゼ )、 右 ⼼ 負 荷 所 ⾒ ( ⼼ 室 中 隔 壁 の 扁 平 化 、 右 ⼼ 拡 ⼤ 所 ⾒ ) を 認 め た た め 、 肺 ⾎ 管 拡 張 薬 の シ ル デ ナ フ ィ ル の 投 与 (

1 - 2 m g / k g B I D

) が ⾏ わ れ て い た 。

5

頭 全 て に お い て

M R

は 完 全 に 消 失 し て い る こ と か ら 、

M R

が 関 与 し て い る 肺 静 脈 性

P H

の 可 能 性 は 低 い と 考 え ら れ た 。 こ れ ら シ ル デ ナ フ ィ ル の 治 療 を 必 要 と し た 5 症 例 と 、 術 後 に

P H

を 認 め た も の の 無 治 療 で あ っ た 症 例 の 術 前 ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 を ⽐ 較 す る と 、 シ ル デ ナ フ ィ ル 治 療 を 必 要 と し た 症 例 で は

LV I D D N

L A / A o

が 有 意 に 上 昇 し て お り 、

M R

に よ る ⼼ 拡 ⼤ が 進 ⾏ し て い た こ と が ⽰ 唆 さ れ た 。

M I

罹 患 ⽝ に お い て

L A / A o

と 収 縮 期 肺 動 脈 圧 が 相 関 す る と の 報 告 も あ り (

S e r r e s F J

e t a l . 2 0 0 6

)、 本 研 究 で は 明 確 な 基 準 の 検 討 は で き な か っ た が 、 術 前 に

L A / A o

LV I D D N

の 顕 著 な 拡 ⼤ を 伴 う 症 例 で は 術 後 に

P H

が 残 存 し 、 さ

(34)

29

ら に

P H

に 対 す る 追 加 の 治 療 を 考 慮 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ た 。

(35)

5 .

⼩ 括

本 研 究 で は

M I

罹 患 ⽝

11 4

頭 を 対 象 に

M V R

を 実 施 し 、 術 前 術 後 の ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 所 ⾒ な ら び に 胸 部

X

線 検 査 所 ⾒ を も と に 、

M V R

の 有 効 性 を 検 討 す る と 共 に 、 術 後 の

P H

の 変 化 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 術 前 と ⽐ 較 し て 術 後 に は ⼼ 拡 ⼤ の 改 善 が 認 め ら れ 、

M V R

の 有 効 性 が 明 ら か に な り 、 さ ら に 術 前 に

P H

を 合 併 し た 症 例 の

5 4 %

P H

が 消 失 す る 結 果 と な っ た 。

以 上 の 結 果 か ら

M I

罹 患 ⽝ に 対 す る 外 科 治 療 は 有 効 な 治 療 法 の ⼀ つ で

あ り 、 術 前 に

P H

を 合 併 し た 症 例 で も

P H

を 改 善 さ せ る 可 能 性 が あ る と

考 え ら れ た 。 さ ら に こ れ ま で に

M I

罹 患 ⽝ に 対 す る

M V R

に お い て 、 術

後 の

P H

へ の 効 果 を 検 討 し た 報 告 は な く 、 今 回 の 研 究 が 初 め て の 報 告 で

あ る 。

(36)

31

1

: 対 象 症 例

11 4

頭 に お け る 性 別 、 体 重 、 年 齢 、

A C V I M

ス テ ー ジ 分 類 お よ び

T R

速 度

PH (-) PH (+)

77 37

/ 52/25 17/20

, kg 3.7 (1.8 - 10.4) 4.8 (1.8 - 20.9)

, 10 (5 - 13) 10 (6 -14)

ACVIM

B2 27 5

C 42 23

D 8 9

TR , m/sec 0.0 (0.0 - 2.9) 3.3 (3.0 - 4.6)

* P<0.05

(37)

2

P H

合 併 の 有 無 に よ る 術 前 ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 所 ⾒ の ⽐ 較

PH (-) PH (+)

LVIDDN 2.1 (1.0 - 3.0) 2.2 (1.9 - 2.8)*

LA/Ao 2.4 (1.4 - 4.0) 2.7 (1.9 - 4.4)*

FS, % 50.4 (29.2 - 73.9) 47.2 (29.8 - 64.8)

EF, % 82.4 (60.3 - 94.7) 81.1 (67.4 - 90.3)

EI 1.0 (0.6 - 1.6) 1.0 (0.8 - 1.3)

AT/ET 0.4 (0.2 - 0.6) 0.4 (0.2 - 0.5)

PA/Ao 1.0 (0.7 - 1.5) 1.0 (0.9 - 1.4)*

TAPSE 10.1 (5.6 - 16.5) 13.1 (7.9 - 20.8)

RVIDd/LVIDd 0.1 (0.0 - 0.5) 0.1 (0.0 - 0.6)

RVIDs/LVIDs 0.2 (0.0 - 0.8) 0.2 (0.0 - 0.9)

* P<0.05

(38)

33

3

術 前 術 後 の

P H

の 推 移

PH (-) PH (+)

77 37

PH (-) / PH (+) 69 / 8 20 / 17

2 3

(39)

4

: 術 前 術 後 の 画 像 検 査 所 ⾒ の 変 化

3

LVIDDN 2.1 (1.5 - 3.0) 1.5 (1.0 - 2.4)*

LA/Ao 2.5 (1.4 - 4.4) 1.4 (0.8 - 2.5)*

FS, % 49.4 (29.2 - 73.9) 34.3 (13.3 - 59.7)*

EF, % 81.6 (60.3 - 94.7) 68.5 (31.9 - 85.5)*

EI 1.0 (0.6 - 1.6) 1.1 (0.7 -1.6)

AT/ET 0.4 (0.2 - 0.6) 0.4 (0.0 - 0.6)

PA/Ao 1.0 (0.7 - 1.5) 0.9 (0.7 - 1.3)

TAPSE 13.6 (7.8 - 23.2) 10.6 (5.6 - 20.8)*

RVIDd/LVIDd 0.1 (0.0 - 0.6) 0.2 (0.0 - 0.6)

RVIDs/LVIDs 0.2 (0.0 - 0.9) 0.3 (0.0 - 0.8)

VHS, v 11.9 (9.5 - 15.5) 10.3 (8.5 - 12.4)*

* P<0.05

(40)

35

5

: 術 後

P H

の 有 無 に よ る 画 像 検 査 所 ⾒ の ⽐ 較

PH (-) PH (+)

LVIDDN 1.6 (1.4 - 1.7) 1.4 (1.3 -1.6)

LA/Ao 1.4 (1.2 - 1.5) 1.3 (1.2 -1.6)

FS, % 34.1 (27.7 - 41.5) 36.0 (30.0 -38.7)

EF, % 66.1 (56.7 - 75.2) 73.0 (69.9 - 77.2)

EI 1.1 (1.0 - 1.2) 1.1 (0.8 - 1.2)

AT/ET 0.4 (0.3 - 0.5) 0.3 (0.3 - 0.3)*

PA/Ao 0.9 (0.8 - 1.0) 0.9 (0.9 - 1.0)

TAPSE 10.2 (9.0 - 12.7) 13.1 (11.0 -12.1)

RVIDd/LVIDd 0.2 (0.1 - 0.3) 0.2 (0.2 - 0.4)

RVIDs/LVIDs 0.3 (0.2 - 0.3) 0.3 (0.2 -0.4)

VHS, v 10.2 (9.8 - 10.8) 10.8 (10.0-11.1)

* P<0.05

(41)

1

: ⼈ ⼯ ⼼ 肺 の 模 式 図

(42)

37

2

: ⼈ ⼯ ⼼ 肺 装 置

(43)

3

: 術 前 術 後 の

P H

の 推 移

Pre n=114 PH (+) n=37 PH (-) n=77

PH (+) n=25 PH (-) n=89 Post n=114

n=17 n=69

n=8 n=20

n=5 n=20

(44)

39

4

M I

罹 患 ⽝ の ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 所 ⾒

L A / A o : 3 . 7

( 基 準 値

< 1 . 6

, LV I D D N : 2 . 7

( 基 準 値

< 1 . 7

) と 顕 著 な 左 ⼼ 拡

⼤ を ⽰ し て お り 、 ⾚ ⽮ 印 は 僧 帽 弁 弁 輪 の ⼼ 室 中 隔 壁 側 を ⽰ し 、 三 尖 弁 弁

輪 を 圧 排 し て い る 。

(45)

3

周 術 期 に お け る

M U F

の 有 効 性 に 関 す る 研 究

図 3 : P H の 有 無 に お け る LV I D D N の ⽐ 較 * : P &lt; 0 . 0 5   図 4 : P H の 有 無 に お け る PA / A o の ⽐ 較 * : P &lt; 0
表 1 : 対 象 症 例 1 4 7 頭 に お け る 性 別 、 体 重 、 年 齢 、 A C V I M ス テ ー ジ 分 類 お よ び T R 速 度 PH (-)  PH (+)  102 45 / 61/41 23/22 , kg 3.7 (1.8 - 10.4) 4.8 (1.8 - 20.9) ,  9 (5 - 13) 10 (6 - 14) ACVIM B2 37 (89%) 5 (11%) C 54 (65%) 29 (35%) D 11 (50%) 11 (50%) TR ,
表 2 : P H 合 併 の 有 無 に よ る 術 前 ⼼ 臓 超 ⾳ 波 検 査 所 ⾒ の ⽐ 較 PH (-)  PH (+)  LVIDDN 2.1 (1.0 - 3.0) 2.2 (1.9 - 2.8)* LA/Ao 2.4 (1.4 - 4.0) 2.7 (1.9 - 4.4)* FS, % 50.4 (29.2 - 73.9) 47.2 (29.8 - 64.8) EF, % 82.4 (60.3 - 94.7) 81.1 (67.4 - 90.3) EI 1.0 (0.6 - 1.6)
表 4 : 術 前 術 後 の 画 像 検 査 所 ⾒ の 変 化 3 LVIDDN 2.1 (1.5 - 3.0) 1.5 (1.0 - 2.4)* LA/Ao 2.5 (1.4 - 4.4) 1.4 (0.8 - 2.5)* FS, % 49.4 (29.2 - 73.9) 34.3 (13.3 - 59.7)* EF, % 81.6 (60.3 - 94.7) 68.5 (31.9 - 85.5)* EI 1.0 (0.6 - 1.6) 1.1 (0.7 -1.6) AT/ET 0.4 (0.2 -
+7

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