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精神科看護婦 ( 士) の入院時情報収集 に関す る研究

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Academic year: 2021

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(1)

著 :秋田大学医短紀要

6( 2):1 61‑1 67,1 99 8.

精神科看護婦 ( 士) の入院時情報収集 に関す る研究

『 家族構成』 に関 して ‑

煙 山 晶 子 *

On Admi s s i on Re c or d Ga t he r i ngon Fa mi l y by Ps yc hi a t r i cNur s e s

Shoko KEMUYAMA

*

Ⅰ. はじめに

看 護婦 (士) (以下 ,看 護者 とす る) は, 日々,患者の看護上の問題 をとらえるために情 報 を収集 し,それ らを個別的なケアへの指針 と

している。精神科 において患者の抱 える問題 は, 目に見 えない ものであることが多いため, とら えに くくまた表現が難 しい ものである1)

精神科病棟 の看護者 は,病棟 での患者 との関 わ りの始 ま りで あ る入 院時 の情報 収 集 以下 ,

(情報収集 とする) において, どの ような内容 の情報 を得て, どの ように今後のケアに生かそ うと考 えているのか。そこには精神科での経験 に基づいた臨床の知識や具体的な工夫が存在す るのではないか と考 え,精神科病棟 の看護者 を 対象 に面接調査 を行 った。

家族の存在 は精神科疾患 を有する患者の回復 において大 きな意味 を持つ。著者 自身,精神科 における患者の家族 に関する情報の必要性 は感 じなが らも,患者か ら聞 くことに対 して抵抗 を

感 じた経験があった。そ こで,様 々な情報の中 か ら,家族の情報 に注 目し,看護者 によるとら え方 を明 らかに したい と考 えた。

Ⅱ.

研究 目的

精神科病棟 の看護者が情報収集において,忠 者か ら得ている家族 に関す る情報の内容 と情報 収集の際に配慮 している点 を明 らかにす る。

Ⅲ.研究方法

1.研究対象

:A

大学医学部附属病院,神経科 精神科病棟

( 36

床,開放病棟。以下,精神科病 棟 とす る) に勤務する看護者

1 5

名。その概要 は

1

の とお りである。

女性

1 2

名 ,男性

3

名 で, 年齢 は平均

41. 6

(

±12. 39),22

歳か ら

56

歳であった。通算臨床 経験年数 は,平均

1 8. 5

年 (±

1 1. 3 0)

で,短い

ものは

0. 3

年,最長は

2 6

年であった。

研究対象者 を平均精神科勤務年数

3

年以上 と

秋 田大学医療技術短期大学部

*看護学科

Ke yWo r d s:

精神科看護 入院時情報収集 家族

(2)

( 3 2 )

精神科看護婦 (士)の入院時情報収集に関する研究‑ 『家族構成』に関して‑

1

看護者の概要

性別 平均年齢 臨床経験年数 精神科経験 年数 経験の長 い看護婦 経験の短 い看護婦

女性 :

1 2

41 . 6 歳 ± 1 2. 39 1 8. 5

年 ±

1 1 . 3 0 5 . 5 年 ±6. 91

7

名 8名

男性 :

3

( 22‑56 歳)

(

0. 3‑33

年)

( 0. 3 ‑24 年) (5 ‑24

年) (

0, 3

‑ 2

年)

3

年未満 に分 け,語 られた内容 を比較 した。平

3

年以上 の看護者 は

7

名で

, ( 2 4‑ 5

年)

, 3

年未満の看護者 は

8

(2‑0. 3

年) だった。

ベナ‑は技 能習得 に関す るモデル を看護 に適 用 してい る。 その中 に, 『一人前』 と呼 んでい る段 階がある。 これは類似 した状況で

2‑ 3

仕事 を している看護者 を示 し, この段 階の看護 者 は長期的 目標 や計画 を立てて意識的 に自分の 活動 を行 うこ とが で きる と してい る2)。 そ こで, 本研 究では,精神科勤務年数が平均

3

年以上の 看護者 を 「経験 の長 い看護者」, また

, 3

年未 満の看護者 を 「経験 の短い看護者」 とした。

2.

デー タ収集方法 :半構成的 な面接調査 を以 下 の手順 で行 った。

1)対象者一人一人 に研 究の趣 旨を説明 し協力 の同意 を得 た。

2

)病棟 で使用 している入 院時情報の記録用紙 を提示 しなが ら質問 した。

特定の疾患 に限定せず,入院時の患者か ら情 報収集す る状況 を想起 して,各項 目毎 に収集 し

ている情報 の内容,具体 的な情報収集 の方法, その意図について尋 ねた。

対象者 の発言 内容 に適宜質問 を加 えなが ら, 対象者一人 につ き,約 1時間程度話 して もらっ

た。

3

)面接 内容 は対象者 の了承 を得 てテープに録 音 した。

3.

分析方法

1)録音 されたテープか ら逐語録 を作成 し,分 析対象 とした。

2

)逐語録 を語 られた言葉 ごとに文節 に分 け類 似 の内容 をまとめて整理 した。

3)

経験 の長い看護者 と経験 の短い看護者か ら 語 られた内容か ら,特徴 的な ものを取 り上 げた。

4)

分析 に際 して,精神科看護 を専 門 とす る看 護者 と検討 を重 ね,信頼性 の確保 に努めた。

5

)看護者が入 院時に聴取 している家族 に関す る情報 の中か ら,情報 の具体的内容 と,情報収 集す る際 に配慮 している点 について分析 した。

Ⅳ.

家族構成』 の項 目において収集 されている 情報 の具体 的な内容 と,それ らについて患者 に 聞 く際 に配慮 している点 について語 った ことを 述べ てい く。

家族構成』 に関 しては

1 5

名の看護者全員が 聞いていた。

1.情報の具体 的な内容 と意図

家族構成』 の項 目で看護者が聞いている具体 的 な情報 内容 は以下 の

4

つ に分類 された。 【 族構成員】 【家族構 成員 の属性】 【家族構 成員 の 健康状態】 【家族構 成員 間の相互作用】(

2)

1

)

家族構成員】

11名の看護者が家族構成員 に関 して聞いてい る と語 った。

話 の切 り出 しとして, まず 「現在何 人暮 らし か」 を聞 き,その構成 を具体 的 に語 って もらう,

とい う進 め方だった。聞いた内容 を家族 関係 を 図示 しなが らまとめていた。経験 の長い看護者 は 「患者 に影響 を与 えている人 について考 えて

(3)

2

家族 構 成』 に関 す る情 報収集 の 内容 と意 図

カテゴリー 内容の具体例 意図 していることとして語 られたこと 豪族構成員 経攻の長い看護婦 ・同居者 (祖父母、父母、兄 ・患者 に対 して影書を与えている人のこと

(7名中

4

名) 弟、配偶者)・同居者の致 を考えて開いている (l) 経験の短い看護婦

(8

名中

7

名) 弟、配偶者)・同居者 く祖父母、父母、兄 語 られなかった》

豪族構成鼻の 経験の長い看護婦 ・年齢 ・豪族の名前を覚えることが患者の気持ち

属性

(7

名中

3

名) ・性別・名前・職業の有無 を少 しでもゆるめるかと思 う (1)

経験の短い看護婦

(8

名中

5

名) ・年 齢・性別・職業・住居 語 られなかった》

豪族構成員の 経珠の長い看護婦 ・健康状態 ・病気の豪族をかかえた影響が子供に空っ

健康状態 く7名中

3

名) 神病患者の有無・死亡 している場合の理由・心良病、高血圧、糖尿病、精ていないか (1)

控攻の短い看護婦 ・健康状態 ・精神疾患患者の豪族には、同様の症状の

く8

名中

7

名) ・死亡 している場合の理由 (病 人が いるという印象を持 っているか (l) 気か事故か) ・暴虐環境が影響 しているのではないかと

・遺伝疾患について

・現在治療を しているか

・親戚、兄弟に精神疾患で入院

した人はいな いか 考えているか ら

く1)

豪族構成見聞 経験の長い看護婦 ・サポー トする人は誰か ・豪族が病気になることで豪族が安定 して (7名中

5

名) ・今後患者を証が見ていくのか いるのではないか く1)

相 互作用 ・身近で話せる人は誰か ・患者が入院することで豪族が どのような

・‑番親 しい人は誰か 影響を受けるのかを考えている (

1)

・両親の関係 ・その泉族がかかえている病的な構造を立

・両親をどう思うか て直すためのキーパーソンとなる人は誰か

・豪族内での各豪族構成員の役

・母親の子供達への対応 を探る (

1)

( )内は語 った看護者数

(4)

( 34)

精神科看護婦 (士)の入院時情報収集に関する研究‑ 『家族構成』に関して‑

聞いてい く」 と語 った。

2)

家族構成員 の属性】

8

名の看護者 は家族構成員 を聞いた うえで, 属性 として年齢 ,職業,性 別 を確認 していた。

家族 の名前 を確認す る」 と語 った看護者 もい た。名前 を確 認 してい る意図は 「家族 の名前 を 覚 えている とい う事が,患者 の気持 ちをゆるめ るのではないか と思 う。」 と語 った。

3

) 【家族構成員 の健康状態】

1 0

名 の看護者が,家族構成員 の健康状態 につ いて確認 していた。現在の健康状態 だけではな く,家族構成員 の既往歴や遺伝性 の病気 の有無 について も聞 き,死亡 してい る場合 にはその死 因について も確認 していた。

家族 の健康状態 の確認 に関 して意図 している こととして語 った内容 は,家族 の健康状態が特 定の家族構成員 に与 える影響 について考 えるた め, とい うものであ った。

4)

家族構成員 間の相互作用】

家族構成員 間の相互作用 に関す る内容 を聞 く

と語 った看護者 は

5

名いた。精神科 での経験が 長い看護者が主 に聞いていた。家族構 成員 の中 で 「患者 のサ ポー トをす るのは誰 か」 「今後患 者 を誰が見てい くのか」 「(患者 にとって)最 も 話 しやすい人 は誰か」 とい う質問 をす ることに

よって確認 している と語 った。

また,具体 的な内容 は語 らなか ったが,意 図 してい ることとして,両親の関係や,母親の子 供達へ の対応,家族の中での各家族構成員 の役 割 について関心 をは らうことで,家族 に とって 患者 の病気が意味す る もの,患者が入 院す るこ とで家族が どの ような影響 を受 けるのか,例 え ば,患者 が病気 になることによって,家族が安 定 を保 っているのではないか と考 えて聞いてい る, と語 った。そ して,家族の関係 に問題があ る と判断 した場合 に,その家族がかかえてい る 病的な構造 を立て直す ためのキーパ ーソンとな る人 を明確 にす ることを意図 していた。

2.

情報収集の際 に配慮 している点

家族 に関す る,入 院時 の情報収集 は, 【患者

3

家族構成』 に関する情報収集の際 に配慮 している点

カテ ゴリー 配慮の意図

患者か ら直 患者から詳しく聞く経験の長い看護婦 ・患者から詳しく話を聞くことによって患者や豪族がかかえて いる問題が解決できることがある (1)

入院時には詳 しく経攻の長い看護婦 ・もつと聞いた方がいいと患うが、入院直後からたくさんのこ 接聞く 聞かない とを開くのは患者に負担がかかるのではないか (

1)

・入院時には誰が患者を見ていくのかがわかればいいと思って いる (1)

経験の短い看護婦 ・最初から詳しく聞かなくてもわかってくることもある (2)

・一度に開くことはできない (1)

・偉報が変わってくることもある (1)

・患者が言いたくないことを聞いているのではないか (1)

・大事なことだと思うのだが聞くのを忘れてしまう (

1)

・自分が聞かれる立場なら嫌だ

(2)

・何代も前の人間関係や、患者に身近でない人に関しては聞か なくてもいいのではないか (1)

患者には直記録かb情報を 経験の長い看護婦 ・患者から叩きに<いことは医師記録から詳しい情報をとらえ

経験の長い看護婦

7

名、経験の短い看護婦

8

( )内は語った看護者数

(5)

か ら直接聞 く】 と 【患者 には直接聞かない】が あったO 【患者か ら直接 聞 く】 は 【入 院時 に詳 し く聞 く】 と 【入 院時 には詳 し く聞か ない】

だった。 また 【患者 には直接 聞か ない】 には,

記録か ら情報 を得 る】があった。次 にこれ ら の情報収集の際 に配慮 している点 として語 った 事 を述べ る

1) 【入院時に詳 しく聞 く】

経験 の長い看護者 は,患者か ら詳 しく話 を聞 くことによって患者や家族がかかえている問題 が解決で きることがある, と経験か ら得た実感 を語 った。 (

3)

2)【

入院時には詳 しく聞かない】

経験の長い看護者 には, もう少 し多 くの情報 を聞 き取 った方がいい と考 えてはいるが,患者 の負担 になるのではないか と考 え,それ以上 の 質問をする事 を差 し控 えている, と語 った。 ま た,入院の時点で必要 な情報は患者のサポー ト 者 と考 えていると語 った看護者 もいた。

経験 の短い看護者の中には,患者 と接 してい るうちにわかって くることもあるのではないか, 自分は患者が聞 きた くないことを聞いているの ではないか,入院時のその場で聞かな くとも, 徐 々にわかったそのつ ど記録 していけばいいの ではないか と考 えていた。

他の看護者が,家族のことについて詳 しく聞 くこ とにつ いての抵抗 感 について語 る もの も あった。その理由 としては,患者 とは直接関係 の ない過去 の何代 も前 の人 間関係 や,患者 に とって身近でない人のことを詳 しく聞 くことに ついて,なぜ聞 くのかわか らない, どこまで聞 いたらいいのかわか らない, 自分が聞かれる立 場 なら嫌 だ と思 う, と語 った。

3)

記録か ら情報 を得 る】

経験 の長い看護者 は,あ らか じめ医師記録か ら詳 しい情報 をとらえてお く, とい う工夫 をす ることによって,患者か らは聞 きに くい内容で あって も,具体的なことを知 ることがで きる,

と語 った。

Ⅴ.

1.情報収集 に関 して

家族 を患者のサポー ト者 として とらえ,具体 的な関わ りなど,家族構成月 間の相互作用 にお よんだ情報収集 を していたのは経験 の長い看護 者 に特徴的であった。直接, どの ような相互作 用があるかを知ろうとするのではな く,家族構 成員の属性や,健康状態 に関 しての情報 を得 る 意図を持 って,患者 と家族の関係 について考 え て聞いていた。

経験 の短い看護者は,入院時の情報 として家 族構成員や属性,家族 に精神疾患患者がいるか, などの個人 としての情報 をとらえていた。 しか し,経験 の短い看護者 は,それ らの情報 を持つ 個人がそれぞれ どの ように関わっているか, と い う家族構成員間での相互作用 に関 して情報収 集 しているとは語 らなかった。家族内の精神疾 患患者 についての質問 をしていたが,患者が 自 身の疾病 を遺伝する もの ととらえているのか, 家族の中に精神疾患患者がいる とい う事実が, 患者や家族 にどの ように影響 しあっているのか,

また看護者が質問す ることが患者 に与 える影響 を考 えた情幸馴文集ではなかった。 このことは, 看護者が経験 的に家族構成員間の相互作用 に関 する情報の必要性 を実感 し,患者 は家族の一員 で互いに影響 しあ う存在 と意識 し,入院時か ら その関係性 を確認 している もの と推測 される。

患者が家族の中の一員であること,互いに影響 しあ う存在であることを意識 して とらえ,入院 時の情報収集の時点か らその関係性 を確認 し, 入院治療の早期か ら家族 を取 り込 もうとしてい る事が考 え られる。森 山は,「家族全体 の相互 作用 を観察す る こ とに よって,家族 の中で起 こってい るダイナ ミクス を よ りよ く理解 で き

。 」

3)と述 べ て い る。経 験 の長 い看 護者 は,

患者が病気 になることで,家族が安定 を保 っ ているのではないか。」 と, 自身の患者 と家族 の見方 について語 っていた。患者の語 った情報 を手がか りに して,患者 と家族がかかえている 問題の兆候 に気づ き,それ らについての情報 を 得 ようとしている事が推測 される。森 山は家族

に対するアセスメン トを行 う際のインタビュー

(6)

( 36)

精神科看護婦 (士)の入院時情報収集に関する研究家族構成』に関して‑

の進め方 について,仮説 を立て,その仮説 を証 明す るための質問 を行 ってい くことを述べてい る4)。入院時の患者 には状態 によって,直接話 を聞 くことがで きる状態ではない場合 もある。

情報収集 とい う形で患者 に接 した看護者 によっ て とらえられた,問題の兆候 とそれに関す る情 報 を明確 に表す ことは,他の看護者 にとって患 者観察の視点の参考 になるのではないか と考 え

る。

2

∴ 情報収集の際の患者‑の配慮 に関 して 入院の時点での家族 に関す る事実の把握の し かたは看護者 によって様 々であった。

看護者 は,い くつかの方法で情報 を集めてい た。情報収集の必要性が感 じられる内容であっ て も入院 したばか りの患者 に配慮 し,患者か ら, 直接聞 くことので きる内容 とで きない内容 を考 慮 し,無理 な聞 き出 し方 は避 けていた。経験の 短い看護者が患者 にとって話 しに くい ことを質 問 しているのではないか と抵抗 を感 じていたの に対 して,経験の長い看護者 は現在,患者か ら 直接得 る必要のある情報 を弁別 し,患者 との閏 に生ず る気 まず さを回避 し,効果的な情報収集 をしているもの と考 える。

入院を決心 した患者の中には入院することを 未だに納得で きず にいる人,入院 したいが仕事 や家庭のことが気 にかか り静養することに専念 で きない人 もいる。看護者 は入院時の患者の不 安 な気持 ちを受 けとめる必要がある。看護上の 問題 を明確 にするためにはよ り多 くの情報が必 要である。 しか し,不安や疲労 を感 じている患 者か らの長時間の情報収集は負担である。入院 時の情報収集は外 聞 らのい う看護者一患者の関 係の発展過程の中で 「互いに知 り合 う時期」で ある。患者が慣 れない環境での治療や看護 を受 け入れる体制 を作 ることに重点が置かれ る5)0 そのため,看護者 は無理 な情報収集 をすること を避けると語 った もの と考 える。入院の時点で はまだ必要がない と感 じている情報 は, どんな 内容で, どの時点で必要 とされるのかについて 追ってい く必要があると考 える。

患者のプライバ シーに関す る情報 に対 して も 配慮 されていた。「私的情報提供時の患者 の心

理的負担や抵抗感 に対する理解 をもたか ナれば な らない。」6)と村 田は述べ ている。家族 関係の 情報 には,患者のプライバ シーに関する事が多 く含 まれ,微妙 な問題 を示唆す る話題であるた め,看護者 は無理 な情報収集 を避 けていた もの

と察す る。

経験の長い看護者 は,家族の話 を聞いている うちに問題 が解決 で きる, と確信 した経験 を 語 った。家族の相互作用 を把握す ることで,忠 者の問題解決 につながってい く事 を実感する機 会 を持つ ことが経験 の短い看護者 にも必要では ないか と考 える。岩井 は 「常 に忘れてならない のは何 のために情報 を必要 としているのか とい う目的であ り,それ らは患者 ・家族の看護のた めに必要 な情報 とい う原点である。」7)と述べ て いる。看護者 によって必要 としている情報 に違 いがあることは,ほかの看護者 にとって必要性 が伝 わ らない情報 は意味のない ものになって し

まう恐れがあると考 える。常 にケアにつながる とい う共通の意識 を持 って情報収集 し,その意 図が伝 わるような記録の方法,相互の意見交換, 学習の場 を持つ ことが必要 と考 える。

Ⅵ.

精神科病棟 の看護者が入院の情報収集 におい て,患者か ら得 ている家族 に関す る情報 につい て,看護者が語 った情報の内容 と収集の際 に配 慮 していることか ら,以下のことがわかった。

1.質問 していた内容 は以下の

4

つであった。

家族構成員】 【家族構成員の属性】 【家族構成 員の健康状態】 【家族構成員間の相互作用】

2.【

家族構成員 問の相互作用】 に関 して語 っ たのは経験 の長い看護者が特徴的であった。

3.

家族 に関す る,入 院時の情報収集 は

,

者か ら直接聞 く】 と 【患者 には直接聞かない】

とに分類 され, 【患者 か ら直接 聞 く】 は 【入院 時に詳 しく聞 く】 と 【入院時には詳 しく聞かな い】があった。 【患者 には直接 聞かない】 には,

記録か ら情報 を得 る】があった。

4.

看護者は患者の心理的負担 を考慮 しで情報 収集の内容 に配慮 していた。 また患者か ら直接 聞 き取 る以外 に記録か ら情報 を得 るとい う方法

(7)

で,看護者側の心理的な負担 を軽 くし,効果的 な情報収集 をしていた。

Ⅶ.

おわ りに

今回は,精神科病棟 の入院時の情報収集の一 部 として家族 に関す ることを取 り上 げた。今後,

これ らのことをふ まえて,入院時に得た情報 を 患者の問題解決 にどの ように して生か している のか,入院時の家族 と看護者 との関わ りについ て も検討 してい きたい と考 えている。

引用文献

1

)川野雅資 : "精神科看護 にとっての観察の 意味",看護観察のキーポイン トシ リーズ

Ⅰ,川野雅資 編,中央法規, p.

1 2‑1 4

,

1 9 95.

2)pa t or i c i aBe nne r

(井部俊子,井村真澄, 上泉和子訳) :ベナ‑看護論,医学書院,

p. 1 8,1 996.

3

)森 山美智子 :家族看護モデル アセスメン トと援 助 の手 引 き, 医学書 院,

p. 1 9

,

1 995.

4)前掲書 4) p.8

5

)外 聞邦江 ,外 口玉子 :精神科看護 の展 開 患者 との接 点 をさぐる,医学書院, p.

9 0

‑ 93,1 967.

6

)村 田明子 :現代人のプライバ シー意識 と病 室 空 間,看 護 展望

,1 2 (4) :p. 3 8

,

1 987.

7

)岩井郁子 :看護過程 におけるアセスメン ト プロセス,看護

MookNo. 1 8

看護過程, 金原出版 :

p. 87,1 9 86.

表 2 『 家族 構 成』 に関 す る情 報収集 の 内容 と意 図 カテゴリー 内容の具体例 意図 していることとして語 られたこと 豪族構成員 経攻の長い看護婦 ・同居者 ( 祖父母、父母、兄 ・患者 に対 して影書を与えている人のこと (7名中 4 名) 弟、配偶者)・同居者の致 を考えて開いている (l) 経験の短い看護婦(8名中7名) 弟、配偶者)・同居者 く 祖父母、父母、兄 《 語 られなかった》 豪族構成鼻の 経験の長い看護婦 ・年齢 ・豪族の名前を覚えることが患者の気持ち 属性 (7 名

参照

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